メタバースとは?わかりやすく意味やメリット、注目の理由を解説

2021年末のFacebookのMetaへの社名変更をきっかけに、世界的に注目を集めるメタバース

メタバースの定義は人によって様々で、メタバースの捉え方の中心をVRChatなどのSNSに置く派閥やThe SandboxなどのNFTに置く派閥、Fortniteなどの3DCGに置く派閥などが存在するため、理解が難しい概念となっています。

 

そのため、「メタバースのなんとなくのイメージは湧くけど、定義や条件までは理解していない」という方が大半なのではないでしょうか?

 

そこで、今回はメタバースの定義や実現に必要な7つの条件を初心者の方にも分かりやすく解説します。

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

 

  • メタバースの意味や定義がよくわからないので正確に理解したい
  • 企業がメタバースを活用することでどのようなメリットがあるのか知りたい
  • メタバースがどのように活用されているのかが知りたい

 

本記事を読めば、メタバースとは何か?をしっかりと理解できると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。 


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目次

メタバースとは

そもそもメタバースとは VRChat
(画像:VRChat

メタバースとは一言でいうと、人々が様々な活動を行うことのできるインターネット上の3次元の仮想空間のことを指します。

 

メタバースの語源は「超越」を意味する「meta」と「世界」を意味する「universe」を組み合わせた造語だと言われています。メタバースという言葉が世界で初めて使われたのは、1992年にニール・スティーヴンスン氏が発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」です。

 

メタバースにおいて、ユーザーはアバターと呼ばれる自身の分身の姿でメタバース空間にアクセスし、他のユーザーとコミュニケーションや経済活動を行うことができます。例えば、集まって会話をしたり、イベントやスポーツ、買い物などを楽しむことができます。

 

一般ユーザーに広く普及しているメタバースサービスとして、「Fortnite」や「Roblox」、「どうぶつの森」などのゲーム型のメタバース、「VRChat」や「Cluster」などのSNS型のメタバースが挙げられます。

 

メタバースへのアクセス方法としては、スマホやPCからもアクセス可能ですが、Apple Vision ProやMeta Questのようなヘッドマウントディスプレイからアクセスすることにより、より世界に没入したような体験が可能になります。

 

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メタバースの定義とは

業界の著名人によるメタバースの定義

メタバースに関する明確な定義はまだ存在せず、メタバース業界の著名人の中でも様々な見解が存在しています。

主な著名人によるメタバースの定義は以下の通りです。

 

  • メタ・プラットフォーム(旧フェイスブック)のCEOマーク・ザッカーバーグ:「自分と同じ物理的空間にいない他者とゲームや仕事、コミュニケーションができる一連の仮想空間」
  • メタバースゲームFortniteで知られるEpic GamesのCEOティム・スウィーニー:「リアルタイムの3D環境でのオンラインソーシャルエンターテインメント体験ができる空間」
  • マイクロソフトのCEOサティア・ナデラ:「デジタル世界と物理世界が結合する全く新しいプラットフォーム」
  • 元アマゾンスタジオ社員で投資家のマシュー・ボール:「リアルタイムでレンダリングされた3Dバーチャル世界の、大規模で相互運用可能なネットワークで、実質的に無制限の数のユーザーが同時かつ持続的に体験できるもの」

 

このようにメタバースの定義は業界の著名人の間でもまちまちですが、共通する部分として、「現実世界と仮想世界が融合した新たな価値を生み出す3次元空間」であるという点が挙げられます。

 

※関連記事:【初心者向け】メタバースの語源・定義とは?注目の理由や今後も紹介

メタバースが備えるべき7つの条件

2020年にアメリカのベンチャー投資家のマシュー・ポール氏が定義したメタバースが備えるべき7つの条件は、マークザッカーバーグがエッセイの熟読を表明するほど、有力な指針の1つとされています。

マシュー・ポール氏によるメタバースが備えるべき7つの条件は以下の通りです。

  • ①永続的である
  • ②同期的である
  • ③同時接続ユーザー数に制限がない
  • ④経済性がある
  • ⑤リアルとバーチャルの垣根が無い
  • ⑥相互運用性がある
  • ⑦幅広い企業・個人による貢献がある

 

それぞれの条件について分かりやすく解説していきます。

①永続的である

1つ目の特徴は、永続的に存在するという点です。

 

メタバースはインターネット上の世界であり、途中で世界が止まってしまったり、リセットされるということはあってはなりません。

そのため、従来のRPGなどのゲームとは異なり、各プレイヤーの意思に関わらず、永続的に存在し続ける必要があります。

②同期的である

2つ目の特徴は、リアルタイム性があるという点です。

 

この特徴によりユーザーは他のユーザーとの体験をリアルタイムに共有することができ、現実世界と同様のコミュニケーションの円滑さも実現されます。

③同時接続ユーザー数に制限がない

3つ目の特徴は、同時接続ユーザー数に制限がないという点です。

この特徴により、まるで現実世界のように1つの世界に多くの人々が存在し、活動や交流が行われる環境を実現することができます。

 

一方で、現在の技術レベルだと同時に接続できる人数は数百人が限界というサービスが多く、今後の発展が期待されています。

④経済性がある

4つ目の特徴は、経済性があるという点です。

メタバースの発展にこの要素は必要不可欠です。メタバース空間上での価値提供に対し、現実の世界でも価値を持つ通貨が対価として支払われることで、メタバース上での体験を豊かにする様々な活動が活発化していきます。

 

既に、アバターの着用する洋服やメタバース空間の一区画の売買が行われ、メタバースの発展に繋がっています。

⑤リアルとバーチャルの垣根が無い

5つ目の特徴は、リアルとバーチャルの垣根が無いという点です。

 

この特徴は従来のインターネットサービスと最も異なる点で、自分が実際にメタバース空間に入り込んでいるような感覚が得られることが重要です。

視覚や聴覚を刺激するヘッドマウントディスプレイや、触覚を刺激するグローブ型デバイスなどの関連デバイスの進化により、没入感がより高まっていくと考えられています。

⑥相互運用性がある

6つ目の特徴は、相互運用性があるという点です。

 

相互運用性の実現には、異なるメタバースプラットフォーム間でも、アバターやアイテムなどを自由に持ち運びできる必要があります。

この相互運用性があるメタバースはマルチバース(多元宇宙)とも呼ばれ、各企業や個人が提供するメタバースが完全に接続された状態を表しています。

⑦幅広い企業・個人による貢献がある

7つ目の特徴は、幅広い企業・個人による貢献があるという点です。

 

メタバースにおけるコンテンツや体験は、特定の企業ではなく、幅広い企業や個人によって提供される必要があります。

この条件を実現するために有効な仕組みとしてUGC(User Generated Contens)があり、ゲーム版Youtubeとも呼ばれるRobloxはこの仕組みを活用し、急成長を遂げています。

メタバースの歴史

メタバースが大きく注目を集めるようになったのは、2021年末にフェイスブックがMeta社に社名変更したことがきっかけですが、それ以前からメタバースの概念やメタバースサービスは存在していました。

 

以下では、メタバースの歴史を理解する上で重要な出来事を紹介します。

1992年:SF小説「スノウ・クラッシュ」で初めて使われる

1992年:SF小説「スノウ・クラッシュ」で初めて使われる
(画像:Biblio)

世界で初めて「メタバース」という言葉が使われたのは、1992年にニール・スティーヴンスン氏が発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」です。

 

メタバースの語源は「超越」を意味する「meta」と「世界」を意味する「universe」から来ているとされています。

2003年:世界初のメタバース空間「セカンドライフがリリース」

2003年:世界初のメタバース空間「セカンドライフがリリース」
(画像:セカンドライフ

世界初のメタバース空間は、リンデンラボ社が発表した「セカンドライフ」だと考えられています。セカンドライフでユーザーは他のユーザーと交流できるほか、アバターが使えるアイテムに似た仮想資産を作り、セカンドライフ上で使用される仮想通貨「リンデンドル」で仮想資産の売買ができるようになりました。

 

「リンデンドル」は法定通貨で購入することができるため、世界で初めて仮想空間上で経済活動が行われた事例といえます。

2021年:フェイスブックがMetaに社名変更

2021年:フェイスブックがMetaに社名変更
(画像:Meta)

2021年末、フェイスブックは社名をMetaに変更し、今後同社の主力事業としてメタバースに注力していくことを対外的にアピールしました。この社名変更をきっかけに、世界中にメタバースのコンセプトが認知され、多くの企業がメタバース領域へ参入するきっかけとなりました。

 

※関連記事:Facebook改めMetaがメタバースに社運を賭けるワケとは?

メタバースとVRの違い

メタバースとともによく耳にする言葉として「VR」がありますが、両者にはどのような違いがあるのか気になる方も多いのではないかと思います。

以下では、メタバースとVRの違いについて分かりやすく解説します。

VRとは

そもそも、VRとはVirtual Realityの略称で、仮想現実とも呼ばれます。

最先端の3DモデリングやVRデバイス等の技術により、まるでその世界に入り込んでいるかのように感じられる、デジタル上の仮想空間やサービスのことを指します。様々なユースケースの中でも特にゲームの使用を中心に利用が拡大しており、まるでゲームの世界に入り込んだかのような没入感・臨場感を感じながらプレイすることが出来ます。

メタバースとVRの違い

上記の通り、メタバースの明確な定義は定まっていないので、メタバースとVRの違いについても様々な考え方があります。

 

一つの考え方として、メタバースが他ユーザーとの交流や経済活動を行うことのできる3次元の仮想空間やサービスを指し、一方でVRは基本的にユーザーが1人で楽しむ3次元の仮想空間やサービスのことを指すというものが考えられます。

そのため、VRが発展し、より社会性を持ち、現実世界に近づいたものがメタバースであると考えることができます。

※関連記事:【図解】メタバースとVRの違いとは?事例とともにわかりやすく解説 

メタバースが注目を集める6つの理由

メタバースが注目を集める6つの理由

メタバースが注目を集める理由として以下の6つが挙げられます。

 

  • ①AppleやMetaなどのビックテックの本格参入・巨額投資
  • ②関連技術の大幅な進歩とデバイスの低価格化
  • ③コロナによるリモートコミュニケーションの普及
  • ④若年層を中心とするユーザー数の増加
  • ⑤仮想世界に対する人々の意識の変化
  • ⑥メタバース市場の成長性の高さ

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

①AppleやMetaなどのビックテックの本格参入・巨額投資

AppleやMetaなどのビックテックの本格参入・巨額投資
(画像:Meta)

1つ目の理由は、AppleやMetaなどのビッグテックが本格参入し、巨額の投資を行っていることです。例えば、Meta社は、2021年末にFacebookからMetaへ社名変更し、合わせて、メタバース領域に年間約1兆円規模の投資を行うことを発表しました。また、Appleは、2023年6月に、ゴーグル型XRヘッドセットデバイスであるApple Vision Proを発表するなどメタバース関連のデバイスの開発に力を注いでいます。

 

世界を代表するテック企業であるAppleやMeta社が多額の投資をしてまで、メタバースに注力していることは、メタバースには大きな可能性があるということを物語っています。

②関連技術の大幅な進歩とデバイスの低価格化

関連技術の大幅な進歩とデバイスの低価格化 oculus
(画像:Meta)

2つ目の理由は、メタバース関連技術の進歩です。メタバースは様々な領域のテクノロジーによって構成されているサービスですが、特に近年のテクノロジーの発展により体験価値が大きく向上しています。

 

具体的には通信技術の向上やコンピューターの処理性能の向上、メタバース向けデバイスの登場などが挙げられ、セカンドライフが登場した2000年代前半時点と比べると、メタバース空間内での体験をよりスムーズに、より没入感のある形で楽しむことができるようになりました。

 

このようにメタバースがオワコンであるといわれる理由の一つである通信速度の遅さという技術的な制約は、大幅に改善され、今後もさらに進化していくことが期待できます。

③コロナによるリモートコミュニケーションの普及

コロナによるリモートコミュニケーションの普及 horizon workrooms
(画像:Meta)

3つ目の理由は、コロナによるリモートコミュニケーションの普及です。コロナウイルス感染拡大の影響で、人々のコミュニケーションの機会が対面からリモートに移行し、プライベートはもちろん仕事上でのコミュニケーションも、SlackなどのチャットやZOOMなどのビデオ会話によって行われるのが当たり前の時代となりました。

 

デジタルを介したコミュニケーションの需要が拡大しているのはもちろん、人々が抵抗感なくデジタルコミュニケーションを利用するようになっているというのが非常に大きなポイントといえます。

④若年層を中心とするユーザー数の増加

4つ目の理由は、若年層を中心とするユーザー数の増加です。現在メタバースは、特にオンラインゲームでの用途を中心に若年層のユーザー数が急増しています。背景として、若年層は子供の頃から日常的にスマホを利用していること、コミュニケーションの手段としてSNSではなく、オンラインゲーム上のコミュニケーション機能を利用するシーンが増えていることなどが挙げられます。

 

ゲーム型メタバースの代表的なサービスとして挙げられる、フォートナイトが約5億人、ロブロックスが約2億人と圧倒的なユーザー数を誇ります。

 

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⑤仮想世界に対する人々の意識の変化

仮想世界に対する人々の意識の変化 VRChat
(画像:VRChat)

5つ目の理由は、仮想世界に対する人々の意識の変化です。かつては、仮想世界に時間を費やすのはおかしなことで、一部の変わった人がするものだという風潮がありました。

 

ところが、コロナのロックダウンで自宅に閉じ込められた結果、多くの人がフォートナイトやロブロックスなどの仮想世界のゲームに参加し、大いに楽しむようになりました。

 

ゲームだけでなく、バーチャルなイベントに参加したり、離れた場所にいる人と会話したりするためにメタバースを利用する人も増えたことで、仮想世界に対する人々の見方が変わり、かつてあったような偏見があまり見られなくなったと考えられます

⑥メタバース市場の成長性の高さ

メタバース市場の成長性の高さ

6つ目の理由は、メタバース市場の成長性の高さです。メタバース市場は国内・海外ともに今後大きな成長を見せると考えられています。

 

世界のメタバースの市場規模は2020年時点で約68兆円、2024年には約111兆円。日本国内のメタバースの市場規模は2021年度時点で約744億円、その後年率170%で成長し、2026年度には約1兆円にまで成長すると予想されています。

企業がメタバースでできること6選

企業がメタバース活用を進める6つの方法

メタバースに注目が集まっている中、多くの企業の間で、メタバースをビジネスに活用する動きが活発になっています。企業がメタバースを活用することでできることは主に以下の6つです。

 

  • ①独自のユーザー向けメタバース空間/サービスの構築
  • ②オンラインショッピングへの活用
  • ③プロモーションへの活用
  • ④メタバースイベントへの出展
  • ⑤独自の業務効率化向けメタバース空間/サービスの構築
  • ⑥リモートワークへの活用

 

それぞれをわかりやすく解説していきます。

①独自のユーザー向けメタバース空間/サービスの構築

独自のユーザー向けメタバース空間/サービスの構築 バンダイナムコ
(画像:バンダイナムコ)

1つ目は独自のユーザー向けメタバース空間/サービスの構築です。

ユーザーに対し、現実に存在するもの/しないものを含め、仮想空間上に3Dの世界を構築することができるというメタバースならではの特徴を活かし、ユニークな体験を提供することができます。

 

企業のメリットとしては、構築したメタバース空間/サービスに既存顧客を集め、新たなサービスを提供することで収益源としたり、既存顧客とは異なる新たな顧客層に対し、既存のビジネスを提供するためのマーケティングに活用するなど様々な形での収益獲得の機会を創出することができます。

 

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②オンラインショッピングへの活用

オンラインショッピングへの活用 三越伊勢丹
(画像:三越伊勢丹)

2つ目はオンラインショッピングへの活用です。

メタバースの特徴を活かし、従来のECでは実現できなかった、実店舗さながらの購買体験を提供することができます。

 

例えば、商品のイメージを3Dで立体的に確認できたり、店舗スタッフや同行者とボイスチャットで会話しながら買い物を楽しんだりすることができます。企業のメリットとしては、コロナ禍で、より実店舗での商品販売が伸び悩むなか、メタバースの特徴を活かすことで、EC化に苦戦していた商品のオンライン化を推し進めることができます。

 

※関連記事:【担当者必見】メタバース×ECの事例13選|メリットも解説

③プロモーションへの活用

プロモーションへの活用 日産自動車
(画像:日産自動車)

3つ目はプロモーションへの活用です。

メタバースは従来のWebページや動画と比べ伝えられる情報がリッチであるため、ユーザーを惹きつけやすく、幅広い業種でのプロモーションへの活用が進んでいます。企業のメリットとしては、コロナ禍で実店舗でのプロモーションが制限されるなか、メタバースの特徴を活かすことで、従来はオンラインでのプロモーションが難しかった商品やサービスを訴求することができます。

 

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④メタバースイベントへの出展

メタバースイベントへの出展 HIKKY
(画像:HIKKY

4つ目はメタバースイベントへの出展です。

メタバースはアバターを通じ、チャットやボイスチャットでの人々とのコミュニケーションができることが最大の魅力の1つであり、その特徴を活かし、メタバース上で様々な大規模なイベントが開催されています。

 

それらのイベントは個人・企業がブースを出展することができ、多くのユーザーの来場を期待できます。企業のメリットとしては、既存の顧客とは異なる新たな顧客層にリーチができたり、メタバースイベント上でのリアル/バーチャルな商品の販売により収益を得ることができたりします。

 

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⑤独自の業務効率化向けメタバース空間/サービスの構築

独自の業務効率化向けメタバース空間/サービスの構築 川崎重工
(画像:川崎重工)

5つ目は独自の業務効率化向けメタバース空間/サービスの構築です。

メタバースの特徴である3Dでの情報の表示により、現場の作業員の作業をサポートする情報をグラス上に表示したり、現状存在しない施設や設備を設計し、シミュレーションを行うことで、最適な製造ラインや運用方法を特定するなどの活用ができます。

 

企業のメリットとしては、現場レベルの作業効率改善のみならず、バリューチェーン上の開発→生産→販売→アフターサービスの全てのプロセスの業務効率化を図ることができます。

 

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⑥リモートワークへの活用

リモートワークへの活用 マイクロソフト
(画像:マイクロソフト)

6つ目はリモートワークへの活用です。

メタバース上のオフィス空間に集まり、アバターの姿で一緒に働くことで、まるでリアルのオフィスに出社して働いているような体験を提供することができます。

 

企業のメリットとしては、コロナ禍で多くの企業がリモートワークへの移行を進めるなか、リモートワークでの課題となっていた、リモートでのコミュニケーションの難しさや共同での議論や作業の難しさを解消することができます。

メタバースのビジネス活用事例5選

上記のように、メタバースをビジネスに活用することで、様々なメリットが得られる可能性があります。以下では、国内及び海外の企業によるメタバースのビジネス活用の事例を解説していきます。

 

  • ①BEAMS:VR上に仮想店舗を出店し実店舗への送客
  • ②サンリオ:メタバース上で大規模なライブイベントを開催し有名アーティストを誘致
  • ③東急建設:建物の完成イメージの共有に活用
  • ④BMW:世界中の自動車工場を3Dスキャンしメタバース化
  • ⑤ソフトバンクホークス:メタバース上に球場を再現

 

それぞれの事例をわかりやすく紹介していきます。

 

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①BEAMS:VR上に仮想店舗を出店し実店舗への送客

BEAMS:VR上に仮想店舗を出店し実店舗への送客
(画像:ビームス)

ファッション大手であるビームスは世界最大のVRイベントである「バーチャルマーケット」に4度出展を行っています。

 

バーチャルマーケットとはVR上にある会場で、アバターなどのさまざまな 3D アイテムや、リアル商品(洋服、PC、飲食物など)を売り買いでき、日本はもとより世界中から100万人を超える来場者を誇る世界最大のVRイベントです。

バーチャルマーケットでは、アバター用の洋服であるデジタルアイテムの販売やライブなどのイベントの開催が行われました。アバター用の洋服であるデジタルアイテムは、ビームスの2022年の秋冬商品を3Dモデルに起こした、Tシャツやワンピースなどの全7種類が販売されました。

 

また、ライブでは池田エライザさんがバーチャルライブを開催し、VRに着想を得た新曲の発表も行われました。一方でリアルでの商品販売も行われ、バーチャルマーケットの出展を記念したリアルな洋服の商品もビームスの公式オンラインショップにて販売されました。4度目の参加の際には、関西のショップスタッフも含む約50名の社員が交代でバーチャル接客にあたり、VR上での接客を通じてリアル店舗への来客に繋がっている事例も生まれてきているとのことです。

②サンリオ:メタバース上で大規模なライブイベントを開催し有名アーティストを誘致

サンリオ:メタバース上で大規模なライブイベントを開催し有名アーティストを誘致
(画像:サンリオバーチャルフェス)

サンリオは、リアル/バーチャルのアーティスト総勢52組が集まったライブイベント「サンリオバーチャルフェス」を開催しました。

アーティストは、AKB48などのリアルアーティストから、Vtuber、VRChat上で活動するバーチャルアーティストまで、幅広いジャンルのアーティストが一堂に会することで、大きな話題を呼びました。

 

この取り組みのポイントは、ユーザーが求めるものを実現するために、企業や団体の垣根を超えたコラボレーションを実現させた点です。ユーザーを特定の企業やプラットフォームに囲い込もうとするWeb2.0的な発想とは違った取り組みが、今後のVRイベントの盛り上がりに繋がっていくと予想されます。

③東急建設:建物の完成イメージの共有に活用

東急建設:建物の完成イメージの共有に活用
(画像:東急建設)

東急建設は、設計者や現場の作業員、また外部の発注者など様々な関係者が共通の建物の完成イメージを持つことで、施工の品質や効率を高めるためにHololensの活用を進めています。本取り組みには、Hololens上でAzure Remote Renderingという、3Dモデルをクラウド上でレンダリングし、それをストリーミングすることで、リアルタイムにHoloLensのデバイスに表示できるサービスが活用されています。

 

この活用により、発注者、設計者、施工者間での認識のズレを防ぐことができ、施工品質の向上や無駄な手戻りの削減による業務効率化を実現することができます。

④BMW:世界中の自動車工場を3Dスキャンしメタバース化

BMW:世界中の自動車工場を3Dスキャンしメタバース化
(画像:BMW)

BMWは世界各地の自動車向上を3Dスキャンし、デジタルデータ化することを発表しました。

工場の生産ラインにデジタルツインを活用することで、生産効率の向上を図ります。

BMWは生産プロセスのDXを進める戦略的な取り組みである「BMW iFACTORY」の中核に工場にデジタルツインを活用する「バーチャル工場」を位置づけています。

工場の敷地内の全領域を可搬式3Dレーザースキャナーやドローンを用いてスキャン予定で、2023年の上半期に完了予定とのこと。

その後、NVIDIAの提供するメタバース空間ツールである「Omniverse」によってスキャンしたデータを使ってバーチャル工場を作成します。

 

同社はバーチャル工場の取り組みを数年前から実施しており、データを活用した設備改善、複数の関係者がリアルタイムCGによるコミュニケーションの円滑化、最新データの多くの関係者への共有などにより生産ラインの生産性向上に繋がっているとのことです。

⑤ソフトバンクホークス:メタバース上に球場を再現

ソフトバンクホークス:メタバース上に球場を再現
(画像:福岡ソフトバンクホークス)

福岡ソフトバンクホークスは、同チームのホーム球場であるPayPayドームをメタバース上に再現し、球場で様々なコンテンツを楽しめるサービスの提供を開始しました。

このバーチャルPayPayドームにはスマホやPCから、アプリDL不要でアクセス可能です。ユニフォームを着たアバターの姿で、観戦席から飲食店ブース、普段は入ることの出来ない選手のロッカールーム名で、球場内の様々な施設を巡ることができます。

 

また、PayPayドームを訪れたファン同士で、チャットやジェット風船を飛ばすなどのアクションを通じて、盛り上がりながら応援することができます。

 

また、プロが投げた玉をほぼリアルタイムで疑似体験できる機能も提供しています。この機能では、バッターやキャッチャーの視点から、リアルタイムに投じられたボールを体感することができます。実際の投球データから球速や投球コース・変化の軌道などが再現されています。

メタバースの4つのリスク

このように、メタバースは社会を変える大きな可能性を秘めていますが、同時に、メタバースには危険性・リスクも存在するとの声も上がっています。以下では、企業がメタバースを活用する上での危険性・リスクについて紹介していきます。

 

企業がメタバースを活用するにあたってかかえる危険性・リスクとして以下の4つが挙げられます。

  • ①個人情報や企業の機密情報の流出
  • ②デジタルアセットの盗難やウォレットのハッキング
  • ③メタバース空間の改ざん・ハッキング
  • ④匿名性を悪用した詐欺などの犯罪

 

それぞれのリスクについて分かりやすく紹介していきます。

①個人情報や企業の機密情報の流出

1つ目が個人情報や企業の機密情報の流出です。

悪意のあるハッカーがメタバース空間のセキュリティの脆弱性を狙い、メタバースに関する個人や企業の情報をハッキングするリスクが考えられます。

 

メタバース空間での活動データは従来のWeb上での活動データよりもリッチなものになる可能性があり、それらのデータが流出することは個人にとっても、企業にとっても大きな損害をもたらすと考えられます。

②デジタルアセットの盗難やウォレットのハッキング

2つ目がデジタルアセットの盗難やウォレットのハッキングです。

メタバース上で利用されるアバターやファッションアイテムや土地などのデジタルアセットは、今後多くのケースでNFTを活用して取引が行われると考えられています。

 

一方で、そのやりとりを行う暗号資産、デジタルアセットのウォレットがハッキングされるリスクが存在します。2018年に暗号資産取引所であるCoinCheckがハッキングされ、約580億円相当の仮想通貨が流出するという事件が代表的です。

③メタバース空間の改ざん・ハッキング

3つ目がメタバース空間の改ざん・ハッキングです。

悪意のあるハッカーがメタバース空間のセキュリティの脆弱性を狙い、メタバース空間を改ざん・ハッキングしてしまうというリスクが考えられます。

 

メタバースが人々の生活により普及し、様々な活動が行われるようになっていればいるほど、企業やユーザーは大きなダメージを受けることとなります。

④匿名性を悪用した詐欺などの犯罪

4つ目が匿名性を悪用した詐欺などの犯罪です。

メタバースの特徴として、見た目や名前など全てのプロフィールを自由に設定でき、現実世界と異なる人格で様々な活動を楽しめるという点があります。

 

一方で、悪意のあるユーザーがその特徴を活かし、匿名のアバターの姿で詐欺などの犯罪行為を犯すというリスクが考えられます。

 

メタバースのリスクや企業が取るべき対策については、以下の関連記事で詳しく解説しています。

 

※関連記事:メタバースの問題点とは?メリットや活用事例もわかりやすく解説!

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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