メタバースのまちづくりへの活用事例34選|7大メリットも紹介

関連技術の進歩やMetaやAppleのデバイス発売などに伴い、多くの企業がメタバースの活用を進めています。

 

最近では、メタバースとまちづくりとの相性の良さから、メタバースをまちづくりに活用する企業や教育機関が増えています。

 

そこで今回は、メタバースへのまちづくりの活用事例7選を、メリットや費用相場、成功のポイントなどとともにわかりやすくご紹介します。

 

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

 

  • まちづくりへのメタバース活用を検討している
  • 他社によるまちづくりへのメタバースの活用事例を押さえておきたい
  • メタバースをまちづくりに活用するメリットが知りたい

 

本記事を読めば、まちづくりへのメタバース活用を進める上で押さえておきたい知識を、一気にキャッチアップできる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。


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目次

そもそもメタバースとは

そもそもメタバースとは VRChat
(画像:VRChat

メタバースとは一言でいうと、人々が様々な活動を行うことのできるインターネット上の3次元の仮想空間のことを指します。

 

メタバースの語源は「超越」を意味する「meta」と「世界」を意味する「universe」を組み合わせた造語だと言われています。メタバースという言葉が世界で初めて使われたのは、1992年にニール・スティーヴンスン氏が発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」です。

 

メタバースにおいて、ユーザーはアバターと呼ばれる自身の分身の姿でメタバース空間にアクセスし、他のユーザーとコミュニケーションや経済活動を行うことができます。例えば、集まって会話をしたり、イベントやスポーツ、買い物などを楽しむことができます。

 

一般ユーザーに広く普及しているメタバースサービスとして、「Fortnite」や「Roblox」、「どうぶつの森」などのゲーム型のメタバース、「VRChat」や「Cluster」などのSNS型のメタバースが挙げられます。

 

メタバースへのアクセス方法としては、スマホやPCからもアクセス可能ですが、Apple Vision ProやMeta Questのようなヘッドマウントディスプレイからアクセスすることにより、より世界に没入したような体験が可能になります。

まちづくりへメタバースを活用する7つのメリット

まちづくりへメタバースを活用する7つのメリット

まちづくりへメタバースを活用するメリットとして以下の7つが挙げられます。

 

  • ①まち全体の設計の質向上
  • ②防災機能の強化
  • ③建設の質・効率の向上
  • ④バーチャル内見による居住者の増加
  • ⑤新たな体験提供によるまちの魅力の向上
  • ⑥遠隔地の人々へのPR力向上
  • ⑦仕事や医療などのリモート化

 

それぞれのメリットについて分かりやすく紹介していきます。

 

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①まち全体の設計の質向上

まち全体の設計の質向上 デジタルツイン
(画像:ソフトバンク)

1つ目のメリットは、メタバースやデジタルツインを活用した高度なシミュレーションによる、まち全体の設計の質の向上です。

 

メタバース・デジタルツインを活用することで、バーチャル空間上に建設予定のまちの様子をほぼ実物同然に再現することができます。そのモデルに、リアルの世界のIoTなどで収集された、物流・人流・車両データなどを取り込むことで、どのような設計が、最も人々が快適かつ効率的に生活できるかを、高度にシミュレーションすることが可能です。

②防災機能の強化

防災機能の強化 デジタルツイン
(画像:読売新聞オンライン)

2つ目のメリットは、メタバースやデジタルツインを活用した高度なシミュレーションや、メタバースを活用した防災訓練により、まちの防災機能を強化することができます。

 

1つ目のメリット同様、メタバースやデジタルツインを活用したモデル上で、大雨や地震の際の災害の建物や人流に与える影響を、高精度でシミュレーションすることで、あらかじめ災害に強いまちの設計が可能です。

 

また、メタバースを活用した臨場感のある防災訓練を住民に対し実施することで、住民が災害発生時に適切な対処を行い、災害の被害を最小限に留めることも可能となります。

③建設の質・効率の向上

建設の質・効率の向上 東急建設
(画像:東急建設)

3つ目のメリットは、建物の建設のシミュレーションや作業現場のサポートにメタバースを活用することによる、建物の質や効率の向上です。

 

メタバース・デジタルツインを活用した高度なシミュレーションにより、建物の設計や施工方法を最適化することができます。

 

また、現場の作業員に対し、XRデバイスを使用してもらうことで、3Dのデジタルガイダンスを行い、従来の2Dの図面等での作業指示よりも正確かつ効率的な施工を実現できます。

④バーチャル内見による居住者の増加

バーチャル内見による居住者の増加 イツデモ内見
(画像:イツデモ内見)

4つ目のメリットは、メタバース上に再現した住居を内見してもらう、”バーチャル内見”による居住者の増加です。

 

まちづくりを進め、居住者を募集する際に、バーチャル内見を導入することで、遠隔地の人々に手軽に内見をしてもらい、住居の魅力を訴求することができます。

⑤新たな体験提供によるまちの魅力の向上

新たな体験提供によるまちの魅力の向上 STYLY
(画像:STYLY

5つ目のメリットは、メタバース/XRを活用した新たな体験提供による、まちの魅力向上です。まちを訪れた人々がスマホやグラス型デバイスを使用し、まちを巡ってもらうことで、リアルの街にバーチャルコンテンツが重なり、従来では実現し得なかったような新たなエンタメ体験を提供することができます。

⑥遠隔地の人々へのPR力向上

遠隔地の人々へのPR力向上 嬉野温泉
(画像:大日本印刷)

6つ目のメリットは、メタバース上での遠隔地の人々へのPR力向上です。メタバース上にまちを再現したり、まちの魅力が伝わるブースを開設したりすることで、普段はまちになじみのない遠隔地の人々に対し、魅力をPRすることが可能です。

  

まちの人々とのインタラクティブなコミュニケーションやゲーム要素を取り入れた設計などにより、従来のwebマーケティングと比べ、強力にまちの魅力を訴求することができます。

⑦仕事や医療などのリモート化

仕事や医療などのリモート化 淡路アバターセンター
(画像:パソナグループ)

メタバースを活用することで、より幅広い業務をリモートで行ったり、医師の診察や治療を遠隔で受けたりすることができます。その結果として、若者が都市部でしかできない仕事を求めて上京したり、高齢者が必要な治療を受けるために都市部へ移住するなどの人口流出を防げるのではないかと期待されています。

 

また、地方からでも都市部と同様の働き方ができるとなると、豊かな自然環境や生活費の安さなどを求める都市部からの移住者が増え、定住人口の拡大に繋がるのではないかと考えられます。

まちづくりへのメタバース活用事例12選

まちづくりへのメタバース活用事例12選

まちづくりのメタバースへの活用事例として、代表的なものとして以下の12事例が挙げられます。

 

  • ①トヨタ自動車:スマートシティ「Woven City」や同都市でのサービス開発
  • ②鹿島建設:国内初 建築の全フェーズでBIMによるデジタルツイン構築に成功
  • ③大林組:4D施工管理システムを開発
  • ④奥村組:メタバース上で設計・施工のシュミレーション
  • ⑤東京海上日動:大災害の予測にデジタルツインを活用
  • ⑥大和ハウス:メタバース上の住宅展示場を自由に見学
  • ⑦東急住宅リース:内見にARを活用し顧客への訴求力向上
  • ⑧国交省:都市づくりのDXを推進
  • ⑨大日本印刷:秋葉原を再現した「バーチャル秋葉原」をオープン
  • ⑩志摩スペイン村:メタバースゲーム Roblox上にリゾート施設を再現
  • ⑪NTT:メタバース上で参加型の水害対策訓練を実施
  • ⑫佐賀県嬉野市:嬉野温泉駅と周辺の観光地を再現した独自のメタバース空間を開設

 

それぞれについて、わかりやすく解説します。

 

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①トヨタ自動車:スマートシティ「Woven City」や同都市でのサービス開発にメタバースを活用

トヨタ自動車:スマートシティ「Woven City」や同都市でのサービス開発にメタバースを活用
(画像:TOYOTA)

トヨタ自動車は、自動運転やMaaS、ロボット物流などの様々な技術・サービスの実証実験を行うスマートシティである「Woven City」を静岡県裾野市の自社工場跡地に建設しています。

 

WovenCityでは、地上に自動運転車用、人と小型モビリティ用、歩行者用の3種類、地下には自動運転車などによる物流の道路が開通する予定です。

 

また、WovenCityは「人中心」、「実証実験」、「未完成」をコンセプトとしており、実際に人が住む環境下で、モビリティ・エネルギー・IoTなどの12領域での多数のサービスの実証実験が行われる予定です。

 

これらの実証実験は「ソフトウェアファースト」の考え方がベースとなっており、リアルの世界での建物や設備を建設する前に、バーチャルの世界でのシミュレーションやソフトウェア開発を先行させ、仮説検証の効率を高める狙いがあります。

②鹿島建設:国内初 建築の全フェーズでBIMによるデジタルツイン構築に成功

鹿島建設:国内初 建築の全フェーズでBIMによるデジタルツイン構築に成功
(画像:鹿島建設)

2020年に鹿島建設はオービック御堂筋ビルの新築工事において、プロジェクトの全フェーズにおいてBIMによるデジタルツインを活用することで、プロジェクトの各フェーズにおける建物データの連携・共有を可能にしました。

 

企画・設計フェーズでは周辺環境へのビル風のシュミレーション、建物内のシュミレーションに、施工フェーズでは工事プロセスのデジタル化と進捗管理、MRの活用による、実際の施工状況の確認に、維持管理フェーズでは、ファシリティマネジメントのデータへの連携、日常の点検から得られた情報を収集し、その後の建築の企画・開発への活用になど、多岐にわたるユースケースでデジタルツインを活用しました。

 

デジタルツインを活用することで、建物自体の高品質化はもちろん、企画・設計から竣工後の管理・運営までの一連の建物にまつわる情報をデジタル化し、お客様に提供することが建物の更なる価値向上に繋がると考えているとのことです。

 

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③大林組:4D施工管理システムを開発

大林組:4D施工管理システムを開発
(画像:大林組)

大林組は建築物の3Dモデルに建設現場周辺の地形やクレームの位置などの施工現場の状況を、デジタル上のモデルにリアルタイムに反映する「4D施工管理システム」を開発しました。

 

このシステムは、北海道で2023年3月の開業を控える「エスコンフィールドHOKKAIDO」の建設現場で実証が進められています。この実証では、クレーンに設置したセンサーからの位置や方角のデータを基に、クレーンの動作に関するデータをリアルタイムに収集し、デジタルツインに反映することで、施工の品質向上はもちろん、各業者の作業の出来高の算出にも活用されています。

 

また、現場に設置された入退場システムから取得した作業員の入退場データを基に、各作業を担当する作業員の工数を測定し、作業の効率化に繋げる試みも行われています。

④奥村組:メタバース上で設計・施工のシュミレーション

奥村組:メタバース上で設計・施工のシュミレーション
(画像:奥村組)

奥村組はメタバース上でのシュミレーションにより設計・施工の工数削減を目指すため、独自のメタバース空間である「メタバース技術研究所」の構築を発表しました。

メタバース技術研究所の構築にはSynemon社のVR構築サービス「NEUTRANS」が活用されたました。

 

従来は建築用のモックアップを作るのは当たり前のことでしたが、原寸大で製作する場合、多くの産業廃棄物を発生させることになります。また、縮小版で制作する場合も、手戻りが発生した際に膨大な工数が発生するという問題がありました。

 

そこで、同社の技術研究所内にある実験棟をメタバース化することで、設計や施工の細部の精度を高め、室内環境の際現に必要な施工にかかる工数を削減することができます。

メタバース技術研究所では、4種類の日射条件が室内環境の快適性や省エネルギーに与える影響を検証することができます。仮想空間上で工事関係者の合意形成を行い、実験結果をもとに実際の増改築工事を進めることで、手戻りを減らすことが期待できます。

 
また、同社はメタバース技術研究所の取り組みによりSDGs(持続可能な開発目標)を推進するとしています。その理由は、現実の素材を一切使用しないことにあります。

 

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⑤東京海上日動:大災害の予測にデジタルツインを活用

東京海上日動:大災害の予測にデジタルツインを活用
(画像:東京海上日動)

東京海上日動はNTTコミュニケーションズらと共同で、地震や水害など複数の種類の大規模災害をデジタルツインで予測する研究を開始しました。予測に基づく安全対策や補償を検討することが目的です。

 

具体的には、デジタルツインの仮想空間において、人の流れ、空間、気象、自然災害に関するデータと、防災科学技術研究所の災害予測技術を融合し、リアルタイム性の高い被害予測モデルを構築する予定です。また、このモデルの予測に基づき、災害の種類や規模に応じた複数パターンの災害初動対応策を策定します。

 

また、災害発生時の個別避難誘導、災害情報の一元管理、インフラシステムの安定運用を目的とした防災アプリケーションやクラウド型防災管理システムの研究を行います。

 

さらに、防災ソリューションの高度化に向け、リスクデータの活用やデータドリブンな保険商品についても研究していくとのことです。

⑥大和ハウス:メタバース上の住宅展示場を自由に見学

大和ハウス:メタバース上の住宅展示場を自由に見学
(画像:大和ハウス)

大和ハウスはアバターを用いて担当者と見学者がコミュニケーションを図りながら仮想空間上の住宅展示場を自由に見学できる「メタバース住宅展示場」を公開しました。ユーザーはスマホやタブレット・PCからメタバースにアクセスでき、最大6名の見学者とともに担当者にリアルタイムに質問や相談を実施することが可能です。

 

メタバース上にある住宅展示場という特徴を活かし地面から屋根の上までさまざまな角度から見学できることに加え、室内では子どもやペットなどの視点でも見学が可能です。また、見学者が床や壁紙・天井等の色や素材、インテリアなどを瞬時に切り替えて、イメージを検討することもできます。今後、対応する住宅商品ラインナップを拡充していく方針とのことです。

⑦東急住宅リース:内見にARを活用し顧客への訴求力向上

東急住宅リース:内見にARを活用し顧客への訴求力向上
(画像:東急住宅リース)

東急住宅リースは、同社が管理する賃貸マンションにおいて、ARを活用した内見サービス「AR内見」の実証実験を開始しました。同社では、内見客に本サービスを利用してもらい、成約が増えれば本格的な導入に踏み切る考えです。x garden社のメガネ型デバイス「AR glasses」を使い、家具などのバーチャル映像を内見する部屋に重ね合わせることで、家具のレイアウトや入居後の生活スタイルがイメージしやすくなります。

 

将来的にメタバースの活用が進むと、物件を探す顧客は、まずはVRでのオンライン内見で内見の候補を絞込み、実際に物件を訪れた際は上記のようなAR内見により、生活スタイルをイメージできる内見を行うといった流れで物件を決定するよになるかもしれません。

 

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⑧国交省:都市づくりのDXを推進

国交省:都市づくりのDXを推進
(画像:国土交通省)

2020年度より国土交通省は、「ProjectPLATEAU」で都市づくりのDXを推進しています。日本全国の都市で3D都市モデルを構築し、オープンデータとして公開することで、誰もが自由に都市データにアクセスし、防災やまちづくり、AR/VRなどさまざまな用途に活用できるようになります。

 

都市の3Dモデルは、都市計画・開発の様々な場面で利用することができます。例えば、交通の流れやバス停の混み具合、駐車場の空き状況、建物や公共施設に必要なスペースの把握、交通システムから排出されるCO2の量、自然災害の評価など、都市空間が持つさまざまなデータ・機能・特徴を把握することができるのです。

 

2021年には全国都市の3D都市モデルの整備が完了し、そのモデルを様々な地方公共団体や民間企業が活用し、数多くの未来のまちづくりにむけた実証実験が行われています。

⑨大日本印刷:秋葉原を再現した「バーチャル秋葉原」をオープン

大日本印刷:秋葉原を再現した「バーチャル秋葉原」をオープン
(画像:大日本印刷)

大日本印刷とAKIBA観光協議会は、現実世界と仮想世界を融合させた地域共創型XR街づくりプロジェクトとして、2022年4月に「バーチャル秋葉原」をオープンしました。

 

生活者は、PC用アプリケーションやVRゴーグル、Webブラウザなどを通じて、世界のどこからでもいつでも秋葉原の魅力を楽しむことができます。仮想空間には、ショッピングができる店舗やギャラリースペース、広告看板などが設置されており、コンテンツホルダーをはじめとする様々な企業が、情報発信や販促活動を行う「第3のチャネル」として利用することができます。

 

秋葉原の特徴である商標の看板等も地元企業の協力のもと、バーチャルリアリティ上で再現します。一部のバーチャル店舗の中には、商品などを展示するスペースがあり、ECサイトへ誘導して購入に繋げることができます。

 

バーチャル秋葉原は、ユーザーの分身であるアバターが集まり、動画視聴や商品購入、バーチャルゲームへの参加などを同時に行うことができる空間です。現実の特性を踏まえ、企業はコンテンツを提供・実施するだけでバーチャル秋葉原の世界に参加できます。

 

また、クリエイターが同一IPの二次創作を行い、スペース内で展示・販売できるよう、新たなビジネススキームを準備しています。コンテンツはNFTで管理し、クリエイティブビジネスの健全な循環を実現するとのことです。

⑩志摩スペイン村:メタバースゲーム Roblox上にリゾート施設を再現

志摩スペイン村:メタバースゲーム Roblox上にリゾート施設を再現
(画像:志摩スペイン村)

三重県志摩市のリゾート施設である志摩スペイン村は、大人気VRプラットフォームのRoblox上で志摩スペイン村を再現したエリアをオープンすることを発表しました。

 

ユーザーは志摩スペイン村の広場や街並みを楽しんだり、スペインの奇祭「牛追い祭り」「トマト祭り」をモチーフにした生き残りゲームを楽しむことができる予定です。

 

志摩スペイン村は、魅力的なアトラクションやフードがあるのに対し、立地の悪さから気軽にアクセスしにくいという課題を抱えており、若者や遠隔地在住の人に志摩スペイン村の魅力を知ってもらうことを目的とし、今回の取り組みを進めているとのことです。

 

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⑪NTT:メタバース上で参加型の水害対策訓練を実施

NTT:メタバース上で参加型の水害対策訓練を実施
(画像:NTTコミュニケーションズ)

NTTコミュニケーションズは、東京理科大学と共同で、水害リスクの高い地域での防災・減災を実現するために、市民参加型の「デジタル防災訓練」を用いた実証実験を開始すると発表しました。

 

構築されたメタバースは、国が提供するオープンな都市空間データや独自のデータに基づいて店舗や看板などを3D CGでリアルに再現されたもので、市民はアバターとして水害発生前後の避難行動をシュミレーションし、その行動データをNTTが分析するとのこと。

 

これにより、避難行動の可視化、防災意識の向上、安全な避難のための対策検討などに役立てることができます。また、デジタルツインの構築における技術的な課題を明らかにする予定です。

 
同社は、本実証実験のデータをもとに、企業や行政機関へ防災・減災のための提言を行うとともに、企業や行政などの共創パートナーとともに新しいサービスを開発していきたいと考えているとのことです。

⑫佐賀県嬉野市:嬉野温泉駅と周辺の観光地を再現した独自のメタバース空間を開設

佐賀県嬉野市:嬉野温泉駅と周辺の観光地を再現した独自のメタバース空間を開設
(画像:大日本印刷株式会社)

佐賀県嬉野市は、西九州新幹線の開業に合わせ、独自のメタバース空間である「デジタルモール嬉野」を開設しました。

 
デジタルモール嬉野は、西九州新幹線の嬉野温泉駅とその周辺の街並みや観光地を高精細なグラフィックで再現したメタバース空間で、同時に200人以上がアクセスすることが可能です。
ユーザーはこのメタバース上で、アバター姿で自由に散策したり、嬉野市に関するクイズやスタンプラリー、名産品のショッピングなどを楽しむことができます。

 
またメタバース内には、コインを獲得できるポイントが存在し、それらのコインを集めるとリアル店舗で活用できる様々な特典の得られるカプセルトイガチャを回すことができるなど、メタバースならではのゲーミフィケーションを上手く取り入れ、遠隔地の人々に市としての魅力をPRしています。

 
こちらの事例は、多彩な特産物や観光資源に恵まれながらも、少子高齢化やコロナウイルスの影響などにより、経済活動の停滞に悩まされる地方自治体にとって非常に参考になる活用事例となっています。

メタバースの地方創生/まちおこしへの活用事例22選

メタバースの地方創生/まちおこしへの活用事例22選

メタバースの地方創生への代表的な活用事例として以下の22事例が挙げられます。

 

  • ①手塚プロダクション×鳥取:地域還元型のメタバースゲーム
  • ②Palan×金沢:観光しながら楽しめるメタバースコマース
  • ③あしびかんぱにー×沖縄:沖縄の観光地を楽しめるメタバース
  • ④Roblox×志摩スペイン村:Roblox上にリゾート施設志摩スペイン村を再現
  • ⑤吉本興行×養父市:かつての日本一の鉱山をメタバース上に再現
  • ⑥SBINFT×白浜町:メタバース×アートで地方創生へ
  • ⑦パソナ×淡路島:淡路島への本社機能を移転にメタバースを活用
  • ⑧静岡県焼津市:メタバース上のイベントバーチャルマーケットに出展
  • ⑨佐賀県嬉野市:嬉野温泉駅と周辺の観光地を再現した独自のメタバース空間を開設
  • ⑩千葉県木更津市ら4市:メタバース上で合同の婚活イベントを実施
  • ⑪静岡県藤枝市:メタバース体験商談会を実施
  • ⑫鹿児島県日置市:メタバース空間を創造するプロジェクト「ネオ日置計画」を開始
  • ⑬大阪府泉佐野市:メタバース上のイベントバーチャルマーケットに出展
  • ⑭山口県萩市:ふるさと納税のPRにメタバースを活用
  • ⑮株式会社ゼロニウム:あきた移住・交流メタバース万博で秋田への移住を促進
  • ⑯三菱総合研究所:メタバースを活用した町おこしの実証実験を開始
  • ⑰山形県村山市:メタバース婚活イベントを開催
  • ⑱三重県明和町:メタバースで地域の魅力を発信
  • ⑲山口県宇部市:自然教育メタバースプラットフォームの実証実験
  • ⑳新潟県山古志:メタバースとNFTを活用した地域おこし
  • ㉑長崎県西海市:メタバースを学べるアカデミーを開講
  • ㉒広島県三原市:メタカープを活用した地域おこし

 

それぞれの事例をわかりやすく紹介していきます。

 

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①手塚プロダクション×鳥取:地域還元型のメタバースゲーム

手塚プロダクション×鳥取:地域還元型のメタバースゲーム
(画像:株式会社J&J事業創造)

鉄腕アトムなど世界的マンガ・アニメコンテンツ制作する手塚プロダクションや旅行事業を行うJTBの設立したJ&J事業創造らが、日本各地にちなんだNFTを使用したメタバースゲームを開発しました。

 
このプロジェクトは、コロナ禍で大きなダメージを受けた地域経済および国内観光マーケットの回復と支援を目的としています。

 
ユーザーは、日本各地の魅力や文化の詰まったNFTを資産として所持し、それを使用して遊んだり、カード同士を合成することで新たなカードを生成したり、カードの売買によって収益をあげたりすることができます。その第一弾として、県を掲げ宇宙産業の飛躍に向けた取り組みを進める鳥取県とのタイアップが決定しました。

 
このNFTの販売を通じて得られた売上の一部は、各地域産業に寄付されるという新たな復興支援の形を目指しています。

②Palan×金沢:観光しながら楽しめるメタバースコマース

Palan×金沢:観光しながら楽しめるメタバースコマース
(画像:Palan)

Palanは、金沢の特産品店である「MIHON-ICHI KANAZAWA」のバーチャルショップをメタバース上にオープンし、XRを活用した新たな買い物体験に関する実証を開始しました。

 

メタバース上での店舗を訪れることで、職人こだわりの金沢の特産品の買い物を楽しむことが出来ます。また、ブースにはひがし茶屋街や兼六園など、春夏秋冬の金沢の観光地が再現されており、ウェブVR空間で、観光気分を味わうことができます。

 
加えて、気になった商品をARで試し置きすることができ、自宅にいながら商品の色や質感、サイズを確認することができます。


こちらのメタバースショップは、ウェブがベースとなっているので、アプリ不要で、ワンストップで購入することができる手軽さも、特徴となっています。

 

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③あしびかんぱにー×沖縄:沖縄の観光地を楽しめるメタバース

あしびかんぱにー×沖縄:沖縄の観光地を楽しめるメタバース
(画像:あしびかんぱにー)

沖縄発のエンタメ企業であるあしびかんぱにーが、メタバース上で沖縄の観光名所を楽しむことのできる「バーチャルOKINAWA」をリリースしました。

 

バーチャルOKINAWAでは、メタバース上で再現された国際通り商店街やビーチなど、沖縄のさまざまな観光名所を巡ることができます。
例えば、恩納湾の贅沢なビーチから、沖縄の名所であるひめゆりの塔まで、沖縄の様々な美しい風景を日本全国どこからでも楽しむことができます。

 
2022年4月には、バーチャルOKINAWAで提供される沖縄商品のショッピングを楽しめる場所として人気を博している「国際通り商店街公式オンラインショップ」がリニューアルオープンしました。ストアサイトでは、実際に国際通りで販売されている500点以上の商品を取り扱っており、今後さらに多くの店舗がオープン予定です。

 
また、すでに公開している「国際通りエリア」「ビーチエリア」に続き、新たに「首里城エリア」として、守礼門から首里城正殿までの首里城公園を忠実に再現しています。見て楽しむだけでなく、エリア内のガイドと会話しながら、首里城の歴史や雑学を学ぶことができます。

 
このバーチャルOKINAWAには、アバターを使って世界中の人々と交流できるソーシャルプラットフォーム「VRChat」を、VRデバイスなどにダウンロードすることで利用可能なほか、簡易版をスマホやPCから利用することも可能です。

④Roblox×志摩スペイン村:Roblox上にリゾート施設志摩スペイン村を再現

Roblox×志摩スペイン村:Roblox上にリゾート施設志摩スペイン村を再現
(画像:志摩スペイン村)

三重県志摩市のリゾート施設である志摩スペイン村は、大人気メタバースプラットフォームのRoblox上で志摩スペイン村を再現したエリアをオープンすることを発表しました。

 
ユーザーは志摩スペイン村の広場や街並みを楽しんだり、スペインの奇祭「牛追い祭り」「トマト祭り」をモチーフにした生き残りゲームを楽しむことができる予定です。

 
志摩スペイン村は、魅力的なアトラクションやフードがあるのに対し、立地の悪さから気軽にアクセスしにくいという課題を抱えており、若者や遠隔地在住の人に志摩スペイン村の魅力を知ってもらうことを目的とし、今回の取り組みを進めているとのことです。

⑤吉本興行×養父市:かつての日本一の鉱山をメタバース上に再現

吉本興行×養父市:かつての日本一の鉱山をメタバース上に再現
(画像:養父市)

養父市は同市の観光名所を再現したメタバース「バーチャルやぶ」をリリースしました。

 
ユーザーは、かつて日本一のすず鉱山として栄えた明延鉱山の坑道後を観光したり、吉本興行所属のタレントコラボした採掘ゲームを楽しんだり、市役所を訪れ、デジタル住民票交付してもらったりすることができます。

 
バーチャル養父のオープニングイベントには、吉本興業所属のお笑い芸人である、野生爆弾くっきー!さんやとろサーモンの村田さんらが参加し、その様子は吉本の映像配信サービス「FANCY」によってライブ配信されました。

 
また、イベントで養父市市長がアバター姿で登場し、「メタバースには無限の可能性があると思います。世界中どこからでも来ていただけるので、いろんな国の方々に来てもらって、養父市の自然や観光名所を楽しみ、市民とも交流してもらいたい。そして、ゆくゆくは現実世界でも体験しに来ていただければ。バーチャルでは100万人都市を目指しています」とコメントしました。

⑥SBINFT×白浜町:メタバース×アートで地方創生へ

SBINFT×白浜町:メタバース×アートで地方創生へ
(画像:SBINFT株式会社)

SBINFTは、白浜で開催されたストリートアートイベント「POW!WOW!JAPAN」と連動したメタバース「バーチャル白浜」を仮想空間であるCryptovoxels上でリリースしました。

 
今回のイベントでは、SBINFTが運営するNFTマーケットプレイスであるnanakusa公認アーティストである、AUORA氏、ひかげ氏のコラボ作品の販売や参加者への限定NFTの配布キャンペーンを通じて、バーチャル空間を通じた新たな地方創生に取り組んでいます。

⑦パソナ×淡路島:淡路島への本社機能を移転にメタバースを活用

パソナ×淡路島:淡路島への本社機能を移転にメタバースを活用
(画像:パソナグループ)

パソナは働く人の”真に豊かな生き方・働き方”を目指し、2020年9月より、東京から淡路島に本社機能の段階的な移転を進めています。移転先の淡路島からの新たなリモートワークの形としてメタバースの活用が検討されています。具体的にはメタバースを活用し、リモートで営業や副業を行うことで、地方でも都心部と変わらない労働環境を構築することを目指しています。

 

また本社機能の移転に合わせ、兵庫県淡路市に「淡路アバターセンター」を開設しました。こちらの施設では、アバターを操作するオペレーターの育成の他、アバター人材による対人接客業務のBPOサービスを展開する予定です。

⑧静岡県焼津市:メタバース上のイベントバーチャルマーケットに出展

静岡県焼津市:メタバース上のイベントバーチャルマーケットに出展
(画像:株式会社HIKKY

静岡県焼津市は、メタバース上のイベント「バーチャルマーケット2022 Winter」に特設ブースを出展し、焼津市の魅力やふるさと納税品のPRを行いました。

 
ブースを訪れたユーザーは、「バーチャルマグロ解体ショー」に加え、船の上からマグロを釣ることができる「バーチャルマグロ一本釣り」など、臨場感のあるメタバースならではの体験をすることができました。

 
さらに、焼津市のふるさと納税品として人気の「ネギトロ」や「カツオのたたき」、「生しらす」など自慢の地場産品が3Dモデルで展示され、ブース内から直接ふるさと納税寄付サイトに遷移し、その場で寄付を実施することも可能でした。

 
こちらの事例はメタバースならではの体験を上手く活用し、遠隔地の人々に対し魅力を発信することで、地域経済の活性化に繋げるという、他の地方自治体にとっても非常に参考になる活用事例となっています。

⑨佐賀県嬉野市:嬉野温泉駅と周辺の観光地を再現した独自のメタバース空間を開設

佐賀県嬉野市:嬉野温泉駅と周辺の観光地を再現した独自のメタバース空間を開設
(画像:大日本印刷株式会社)

佐賀県嬉野市は、西九州新幹線の安企業に合わせ、独自のメタバース空間である「デジタルモール嬉野」を開設しました。

 
デジタルモール嬉野は、西九州新幹線の嬉野温泉駅とその周辺の街並みや観光地を高精細なグラフィックで再現したメタバース空間で、同時に200人以上がアクセスすることが可能です。
ユーザーはこのメタバース上で、アバター姿で自由に散策したり、嬉野市に関するクイズやスタンプラリー、名産品のショッピングなどを楽しむことができます。

 
またメタバース内には、コインを獲得できるポイントが存在し、それらのコインを集めるとリアル店舗で活用できる様々な特典の得られるカプセルトイガチャを回すことができるなど、メタバースならではのゲーミフィケーションを上手く取り入れ、遠隔地の人々に市としての魅力をPRしています。

 
こちらの事例は、多彩な特産物や観光資源に恵まれながらも、少子高齢化やコロナウイルスの影響などにより、経済活動の停滞に悩まされる地方自治体にとって非常に参考になる活用事例となっています。

⑩千葉県木更津市ら4市:メタバース上で合同の婚活イベントを実施

千葉県木更津市ら4市:メタバース上で合同の婚活イベントを実施
(画像:木更津市)

千葉県木更津市ら4市が、メタバース上での合同婚活イベントを実施すると発表しました。
対象は木更津市など該当する市に居住または勤務、または移住に興味のある方で、イベントはメタバース空間「GAIA TOWN」上で行われます。

 
参加者は善意生徒の1対1での対話と全体への自己PRを行い、マッチングシートに回答。後日、マッチングしたカップルはメタバース上でのデート、また双方の合意によりリアルでのデートに発展していく予定とのことです。

 
メタバース上で婚活イベントを行うメリットとして、参加者はアバター姿でコミュニケーションを取るため、見た目や年収などの条件に囚われることなく、内面からアプローチできるという点を挙げており、非常にユニークなメタバースの活用事例です。現状は全体で26人規模のイベントとなっていますが、どのように発展していくのか今後の動向から目が離せません。

⑪静岡県藤枝市:メタバース体験商談会を実施

静岡県藤枝市:メタバース体験商談会を実施
(画像:藤枝市)

静岡県藤枝市が、地域企業のマッチングの場を提供すべく、メタバース空間「GAIA TOWN」上でのイベント、メタバース体験商談会を実施しました。

 
コロナウイルスの影響もあり、リアルな展示会や商談の機会が制限されるなか、メタバース上での商談会を実施することで、新たなお客様とのネットワークの拡大を促進する狙いがあるとのこと。

 
ユーザーは、メタバース空間上でアバター姿でブースの店員に話しかけると、そのまま音声会話で商談ができるなど、メタバースならではのインタラクティブナコミュニケーションができる工夫もなされています。

 
こちらの事例は、メタバースをリアルなビジネスマッチングの場として上手く活用しており、地方自治体のみならず企業にとっても非常に参考になる活用事例となっています。

⑫鹿児島県日置市:メタバース空間を創造するプロジェクト「ネオ日置計画」を開始

鹿児島県日置市:メタバース空間を創造するプロジェクト「ネオ日置計画」を開始
(画像:日置市)

鹿児島県日置市は、地理的な距離に制約を受けず、遠隔地の人々と日置市の人々が交流できるメタバース空間の創造を目指すプロジェクト「ネオ日置計画」を開始しました。

 
日置市は歴史的観光資源を有する一方で、コロナウイルスの影響による観光業の低迷に直面しており、地理的な距離に制約を受けない交流や経済活動へのシフトチェンジなどを目指しメタバース活用を行うとのこと。

 
メタバース上での観光案内やECサイト空間を展開する上で、ネイティブな鹿児島弁を話す日置市民との交流など、「人の交流」を中心に据えた設計を検討しているとのことです。
また、こちらのプロジェクトではふるさと納税を活用したクラウドファンディングも実施しており、達成率220%となる700万円以上を集めるなど、大きな期待を集めています。

 
こちらの事例は、メタバースならではの体験と日置市の持つユニークな観光資源を掛け合わせた、非常に練り込まれた素晴らしいコンセプトの活用事例となっており、今後どのような成果を上げることができるのか、期待が高まります。

⑬大阪府泉佐野市:メタバース上のイベントバーチャルマーケットに出展

大阪府泉佐野市:メタバース上のイベントバーチャルマーケットに出展
(画像:HIKKY)

大阪府泉佐野市は、メタバース上のイベント「バーチャルマーケット2022 Winter」に特設ブースを出展し、泉佐野市の魅力やふるさと納税品のPRを行いました。

 
ブースを訪れたユーザーは、肉やその他の地場産品、観光資源の魅力を体験したり、ブース中央にある肉の泉佐野を象徴する牛のモニュメントに乗り、ロデオ体験をすることができました。

 
泉佐野市はふるさと納税受入額累計1,000億円という3年連続No.1の受け入れ額を誇る業界のトップランナーであり、泉佐野市の人気のお肉やお米、タオルはもちろん、ふるさと納税オリジナルのビールなどが3Dモデルで展示され、ブース内から直接ふるさと納税寄付サイトに遷移し、その場で寄付を実施することも可能でした。


こちらの事例は、メタバースならではの体験を上手く活用し、遠隔地の人々に対し魅力を発信することで、地域経済の活性化に繋げるという、他の地方自治体にとっても非常に参考になる活用事例となっています。

⑭山口県萩市:ふるさと納税のPRにメタバースを活用

山口県萩市:ふるさと納税のPRにメタバースを活用
(画像:株式会社SPECTRUM)

山口県萩市は、株式会社SPECTRUMと共に、メタバース空間Decentraland上に独自の展示スペースを設置し、市の魅力やふるさと納税のPRを行いました。

 
ユーザーは展示スペースを自由に歩き回り、萩焼や地酒など様々な萩市の特産品を見て回ることができました。また、メタバース空間から、萩市のふるさと納税サイトに直接移行することができるという、自然な形でのユーザー導線が設計されています。

 

こちらの事例は、メタバースならではの体験を上手く活用し、遠隔地の人々に対し魅力を発信することで、ふるさと納税のPRに繋げるという、他の地方自治体にとって非常に参考になる活用事例となっています。

⑮株式会社ゼロニウム:あきた移住・交流メタバース万博で秋田への移住を促進

株式会社ゼロニウム:あきた移住・交流メタバース万博で秋田への移住を促進
(画像:株式会社ゼロニウム)

株式会社ゼロニウムはメタバースを活用した地方創生において先進的な取り組みを行なっています。同社が開発した「あきた移住・交流メタバース万博」は、秋田県への移住促進を目的としたメタバース空間です。

 

このメタバース空間では、秋田県にゆかりのあるアバター「んだッチ」や「ハタハタ」になり、県内市町村や移住支援に関する情報を収集することができます。各地域のシンボルや名物をテーマにしたパビリオンを巡りながら、移住支援情報や地域の仕事情報などを楽しみながら収集することができます。

 

また、あきた移住・交流メタバース万博では、2023年3月12日に秋田県初のメタバース上での移住イベント「交流・相談day」が開催されました。このイベントでは、秋田県職員と県内市町村の移住担当者が参加し、移住支援情報や地域の仕事情報などを案内していました。

 

Webブラウザのみでアクセス出来るため、専用のソフトやアプリのインストール、高価なVR機材を不要とし、PC、スマートフォン、タブレットで体験が可能です。また、入口でのユーザー登録作業を最低限とし、メタバース未経験の人でも老若男女問わず気軽に入れるメタバース空間を目指しています。

 

本メタバース空間を開発した株式会社ゼロニウムについてより詳しく知りたい方はこちらの公式HPをご覧ください。

⑯三菱総合研究所:メタバースを活用した町おこしの実証実験を開始

三菱総合研究所:メタバースを活用した町おこしの実証実験を開始
(画像:STYLY)

三菱総合研究所は、埼玉県、日本ビジネスシステムズ株式会社および株式会社Psychic VR Lab、日本マイクロソフト株式会社と、浦和駅から埼玉県庁までの通りをメタバースで再現するプロジェクトが進められています。この実証実験を通じて、観光、買い物、交流などの分野でメタバースを活用する方法が検討されています。

 

2020年初頭からの新型コロナウイルス感染拡大などを契機として、場所・空間を問わないXRによる情報発信・コミュニケーションが注目されてきました。このような状況の中、リアル環境をXR上に展開することで、より効果的な行政サービスを提供する観点で実証を行い、技術的、運用的な導入難易度や効果、課題等を抽出・検証します。本実証は、自治体DX推進に向け、県職員がXR技術を体験し、実証参画各社とともにXRを活用した行政サービスの展開を検討する契機となります。

 

今後は、メタバース空間上での施設やツアーコースの案内、メタバース空間上で紹介される商品を購入できるECサービスなどを通して、県有施設、観光地を案内したり、伝統工芸品の販路開拓を目指しています。

 

本取り組みについてより詳しく知りたい方はこちらのHPをご覧ください。

⑰山形県村山市:メタバース婚活イベントを開催

山形県村山市:メタバース婚活イベントを開催
(画像:S.E.Onetop合同会社)

山形県村山市で開催された「marry360」は、東北地方で初めてのメタバースを使った婚活イベントでした。S.E.Onetop合同会社が主催し、イベント名は「marry360 むらやまバレンタインマッチングイベント」です。

 

このイベントは、バレンタインデーに向けて2月12日に開催されました。「marry360」は、メタバース上での婚活イベントで、人口流出が進んでいる地方の移住施策のモデルケースとして企画されました。

 

メタバース「GAIA TOWN」を利用して開催され、参加者11名中5組ものカップルが誕生。参加者からは、リアルで会うよりもアバターの方が話しやすかったとの声が上がっており、メタバース婚活イベントを地方で開催することは、町おこしの一環として効果的なイベントだと考えられます。

 
村山市のメタバース活用についてより詳しく知りたい方はこちらのサイトをご覧ください。

⑱三重県明和町:メタバースで地域創生を促進

三重県明和町:メタバースで地域創生を促進
(画像:AVITA株式会社)

三重県明和町は、アバターを活用した新規事業開発を手掛けるAVITAと連携し、明和町の魅力を広く発信することを目的に「アバター」や「メタバース」などの技術活用の検討を進めています。2023年2月末に、町が運営するインキュベーション・コワーキング施設「三重明和」とAVITAが提携しました。共同でSDGs実現のための持続可能なまちづくりを行う方針です。

 

具体的には、斎宮や斎王などの歴史を取り入れたアバターなどのオリジナルデジタルアイテムの制作、アバターを用いたリモート接客による明和町の特産品のPR・販売などに取り組みます。

 

明和町のメタバース活用についてより詳しく知りたい方はこちらのサイトをご覧ください。

⑲山口県宇部市:自然教育メタバースプラットフォームの実証実験

山口県宇部市:自然教育メタバースプラットフォームの実証実験
(画像:株式会社イマクリエ)

山口県宇部市では、メタバースを活用した革新的な取り組みが進められています。株式会社イマクリエが宇部市と協力し、自然教育メタバースプラットフォームの実証実験を行っています。

 

この取り組みは、ときわ公園チャレンジ令和4年度実証事業の一環で、「ときわミュージアム 世界を旅する植物館」を題材に、利用者がアバターとして自由に散策できるメタバース空間を構築しています。ブラウザから操作可能で、世界中からいつでも来館可能です。

 

メタバース内のコンテンツについては、植物館コンシェルジュと連携し、デジタル写真館やeラーニングコンテンツなどを随時更新予定。また、オンラインとオフラインを融合させたハイブリッドイベントも実施予定です。

 

宇部市のメタバース活用についてより詳しく知りたい方はこちらのサイトをご覧ください。

⑳新潟県山古志:メタバースとNFTを活用した地域おこし

Yamakoshi Visit and Stay vlog – June 2022
(動画:山古志)

人口わずか800人の村、山古志はメタバースを活用した地方創生に関して先進的な取り組みをしています。新潟県山古志地域では、過疎化対策としてメタバースとNFTを活用した取り組みが進められています。メタバース上に「仮想山古志」が作成され、その中でNFTなどが販売される予定です。このプロジェクトは地元住民らが企画し、国からの補助金も活用されています。

 

山古志地域は錦鯉の産地として有名であり、錦鯉を題材にした「Nishikigoi NFT」が発行されています。このNFTは「電子住民票」としての役割も兼ねており、NFTを保有することで世界中の誰でも山古志のデジタル住民になることができます。デジタル村民になることで、実際に山古志村に訪れることなくデジタル上で村民の方々と知り合い、その後実際に村を訪れてリアルで対面することができます。

 

このように、人口が少なくても価値観を共有し、より効果的に魅力をアピールすることのできるメタバースは地方創生に大きなメリットをもたらすでしょう。

 

山古志地域のメタバース活用についてより詳しく知りたい方はこちらのサイトをご覧ください。

㉑長崎県西海市:メタバースを学べるアカデミーを開講

長崎県西海市:メタバースを学べるアカデミーを開講
(画像:株式会社西海クリエイティブカンパニー

長崎県西海市は株式会社西海クリエイティブカンパニーと提携し西海メタバースアカデミーを開講しました。Web3.0やメタバースに関する知識を地域の人々に提供し、新しい働き方を実現する人材の育成を目的としています。

 

2ヶ月間で全8講座が予定されており、カリキュラムは体験とディスカッションを中心に構成されていて、初心者でも楽しく学べるようになっています。また、アカデミーの参加者には特別なNFTが発行され、西海市のWeb3.0コミュニティへの参加や提言の機会などが提供される予定です。さらに、同取り組みが西海市が積極的に取り組んでいる脱炭素に応用されることも期待されています。

 
西海メタバースアカデミーについてより詳しく知りたい方はこちらのサイトをご覧ください。

㉒広島県三原市:メタカープを活用した地域おこし

広島県三原市:メタカープを活用した地域おこし
(画像:株式会社ビーライズ)

三原市は、ふるさと納税などの情報発信にメタバース空間「メタカープ」を活用しています。メタカープは、広島東洋カープの公式試合をメタバース空間で観戦できるAndroidとiOS対応のアプリです。

 

このプロジェクトは広島県の「ひろしまサンドボックス」補助金を利用して始まり、広島東洋カープのファンクラブ会員向けのコミュニティ空間としてスタートしました。「メタカープ」アプリは株式会社ビーライズと広島テレビ放送株式会社が共同開発し、AndroidとiOS両方に対応しています。

 

具体的には、メタカープ内に露天風のブースを設置し、広島三原プリンの購入やふるさと納税に関連する三原市のサイトへのアクセスが可能です。また一般ユーザーは、三原市をイメージしたTシャツを着て参加できます。

 

三原市のメタバース活用に関する詳細は、こちらの公式HPをご覧ください。

メタバース活用で成果を上げるための5つのポイント

メタバース活用で成果を上げるための5つのポイント

メタバース活用で成果を上げるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
  • ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
  • ③ユーザーファーストなUX設計
  • ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
  • ⑤強力な開発・運用体制の構築

 

それぞれについて分かりやすく紹介していきます。

 

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①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ

1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。

デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。

 

メタバース活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。

②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案

2つ目のポイントは、メタバースを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。

現在メタバース活用に取り組む企業には、メタバース活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。

その結果、活用のPDCAが回らない、メタバース活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。

 

自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜメタバースではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。

③ユーザーファーストな企画・UX設計

3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなメタバースの企画・UX設計です。

現在、多くの企業がメタバースに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなメタバースが多く存在します。それらのメタバースは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。

 

そのため、「メタバースならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。

④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進

4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。

メタバース市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。

そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。

⑤強力な開発・運用体制の構築

5つ目のポイントは、強力なメタバース開発・運用体制の構築です。

高いユーザー体験と事業性を両立するメタバースの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。

 

メタバース開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。

メタバース活用の進め方|全4フェーズと35ステップ

メタバース活用の進め方|全4フェーズと35ステップ

メタバース活用を進める上では、大きく4つのフェーズと以下の35ステップを抑える必要があります。

 

<Phase1:業界動向・知見のキャッチアップ>

  • メタバースの基礎知識
    • ①ユーザー・企業ができること/メリット
    • ②注目を集める背景・歴史
    • ③XRデバイス・Web3等の関連テクノロジー
    • ④今後の普及・発展への展望
  • 市場/ユーザー動向
    • ⑤ビックテックなどの戦略・取り組み
    • ⑥主要メタバースプラットフォーム
    • ⑦各業界における大手企業の取り組み
    • ⑧国内外のユーザーの動向
  • メタバース活用手法・先行事例
    • ⑨メタバース活用手法の全体像
    • ⑩自社と類似する業界における国内外の事例
    • ⑪自社が検討する活用手法の国内外の事例

  

<Phase2:戦略/企画の立案>

  • 自社が取り得る活用の方向性の洗い出し
    • ⑫ターゲットとする経営課題と活用目的の明確化
    • ⑬目的達成に向けた活用手法候補の幅出し
  • 目的達成に向けた活用の方向性の評価
    • ⑭自社の目的に合わせた評価軸の設定
    • ⑮評価軸に沿った活用の方向性の評価
  • メタバース戦略の立案
    • ⑯自社の強み・アセットの活かし方を検討
    • ⑰中長期で目指す姿と企画のコンセプトの立案
    • ⑱ビジネスモデルの設計
  • 詳細な先行事例ベンチマーク
    • ⑲企画コンセプトに類似する国内外の事例ベンチマーク
    • ⑳企画の立案・具体化に向けた示唆出し
  • 企画の立案・具体化
    • ㉑コアターゲット像と提供価値
    • ㉒ユーザー体験/コンテンツ案
    • ㉓活用チャネル/プラットフォーム案

  

<Phase3:事業計画の策定>

  • 事業計画の策定
    • ㉔期待する成果/主要KGI・KPIの設定
    • ㉕開発・運用アプローチ(活用ツール・ベンダー等)の設計
    • ㉖必要なリソース(コスト・人員等)の算出
  • ロードマップ策定
    • ㉗開発・運用のタイムラインの設定
    • ㉘主要マイルストーンの設定
    • ㉙想定されるリスクと対処方法の検討

  

<Phase4:開発・運用>

  • 開発
    • ㉚不足するケイパビリティやリソースの補完
    • ㉛要件定義・システムの基本設計
    • ㉜開発の実行
  • 運用
    • ㉝メタバースへの集客/マーケティング
    • ㉞運用・保守の実施
    • ㉟効果測定と運用方法の見直し

 

それぞれのフェーズとステップの詳細については以下の記事をご覧ください。

 

※関連記事:メタバースを活用した事業を作る方法|全4フェーズと35ステップ

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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