メタバース(仮想空間)とは?3大メリットや事例10選も紹介

関連技術の進歩やオンラインコミュニケーション需要の高まりなどを背景とし、ますます注目を集めるメタバース。多くの企業がメタバースの活用を始めており、AIとともに今後私たちの生活に欠かせないものになると言われています。

 

一方で、「メタバースや仮想空間という言葉を最近よく聞くけど、どのようなものなのかよくわからない」という方も多いのではないでしょうか?

 

そこで、今回はメタバース(仮想空間)とは何かについて、メリットや注目の理由、活用事例などとともにわかりやすくご紹介します。

 

本記事は以下のような方におすすめです。

 

  • メタバースの基本的な知識を押さえておきたい
  • メタバースを活用するメリットや活用事例が知りたい
  • 代表的なメタバースサービスの事例を押さえておきたい

 

本記事を読めば、メタバースについての基本的な知識を効率的にキャッチアップできると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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目次

メタバース(仮想空間)とは

メタバース(仮想空間)とは VRChat
(画像:VRChat

メタバース(仮想空間)とは一言でいうと、人々が様々な活動を行うことのできるインターネット上の3次元の空間のことを指します。

 

メタバースの語源は「超越」を意味する「meta」と「世界」を意味する「universe」を組み合わせた造語だと言われています。メタバースという言葉が世界で初めて使われたのは、1992年にニール・スティーヴンスン氏が発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」です。

 

メタバースにおいて、ユーザーはアバターと呼ばれる自身の分身の姿でメタバース空間にアクセスし、他のユーザーとコミュニケーションや経済活動を行うことができます。例えば、集まって会話をしたり、イベントやスポーツ、買い物などを楽しむことができます。

 

一般ユーザーに広く普及しているメタバースサービスとして、「Fortnite」や「Roblox」、「どうぶつの森」などのゲーム型のメタバース、「VRChat」や「Cluster」などのSNS型のメタバースが挙げられます。

 

メタバースへのアクセス方法としては、スマホやPCからもアクセス可能ですが、Apple Vision ProやMeta Questのようなヘッドマウントディスプレイからアクセスすることにより、より世界に没入したような体験が可能になります。

 

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メタバース(仮想空間)が注目を集める6つの理由

メタバースが注目を集める6つの理由

メタバースが注目を集める理由として以下の6つが挙げられます。

 

  • ①AppleやMetaなどのビックテックの本格参入・巨額投資
  • ②関連技術の大幅な進歩とデバイスの低価格化
  • ③コロナによるリモートコミュニケーションの普及
  • ④若年層を中心とするユーザー数の増加
  • ⑤仮想世界に対する人々の意識の変化
  • ⑥メタバース市場の成長性の高さ

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

①AppleやMetaなどのビックテックの本格参入・巨額投資

AppleやMetaなどのビックテックの本格参入・巨額投資
(画像:Meta)

1つ目の理由は、AppleやMetaなどのビッグテックが本格参入し、巨額の投資を行っていることです。例えば、Meta社は、2021年末にFacebookからMetaへ社名変更し、合わせて、メタバース領域に年間約1兆円規模の投資を行うことを発表しました。

 

また、Appleは、2023年6月に、ゴーグル型XRヘッドセットデバイスであるApple Vision Proを発表するなどメタバース関連のデバイスの開発に力を注いでいます。

 

世界を代表するテック企業であるAppleやMeta社が多額の投資をしてまで、メタバースに注力していることは、メタバースには大きな可能性があるということを物語っています。

 

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②関連技術の大幅な進歩とデバイスの低価格化

関連技術の大幅な進歩とデバイスの低価格化 oculus
(画像:Meta)

2つ目の理由は、メタバース関連技術の進歩です。メタバースは様々な領域のテクノロジーによって構成されているサービスですが、特に近年のテクノロジーの発展により体験価値が大きく向上しています。

 

具体的には通信技術の向上やコンピューターの処理性能の向上、メタバース向けデバイスの登場などが挙げられ、セカンドライフが登場した2000年代前半時点と比べると、メタバース空間内での体験をよりスムーズに、より没入感のある形で楽しむことができるようになりました。

 

このようにメタバースがオワコンであるといわれる理由の一つである通信速度の遅さという技術的な制約は、大幅に改善され、今後もさらに進化していくことが期待できます。

③コロナによるリモートコミュニケーションの普及

コロナによるリモートコミュニケーションの普及 horizon workrooms
(画像:Meta)

3つ目の理由は、コロナによるリモートコミュニケーションの普及です。コロナウイルス感染拡大の影響で、人々のコミュニケーションの機会が対面からリモートに移行し、プライベートはもちろん仕事上でのコミュニケーションも、SlackなどのチャットやZOOMなどのビデオ会話によって行われるのが当たり前の時代となりました。

 

デジタルを介したコミュニケーションの需要が拡大しているのはもちろん、人々が抵抗感なくデジタルコミュニケーションを利用するようになっているというのが非常に大きなポイントといえます。

④若年層を中心とするユーザー数の増加

4つ目の理由は、若年層を中心とするユーザー数の増加です。現在メタバースは、特にオンラインゲームでの用途を中心に若年層のユーザー数が急増しています。背景として、若年層は子供の頃から日常的にスマホを利用していること、コミュニケーションの手段としてSNSではなく、オンラインゲーム上のコミュニケーション機能を利用するシーンが増えていることなどが挙げられます。

 

ゲーム型メタバースの代表的なサービスとして挙げられる、フォートナイトが約5億人、ロブロックスが約2億人と圧倒的なユーザー数を誇ります。

 

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⑤仮想世界に対する人々の意識の変化

仮想世界に対する人々の意識の変化 VRChat
(画像:VRChat)

5つ目の理由は、仮想世界に対する人々の意識の変化です。かつては、仮想世界に時間を費やすのはおかしなことで、一部の変わった人がするものだという風潮がありました。

 

ところが、コロナのロックダウンで自宅に閉じ込められた結果、多くの人がフォートナイトやロブロックスなどの仮想世界のゲームに参加し、大いに楽しむようになりました。

 

ゲームだけでなく、バーチャルなイベントに参加したり、離れた場所にいる人と会話したりするためにメタバースを利用する人も増えたことで、仮想世界に対する人々の見方が変わり、かつてあったような偏見があまり見られなくなったと考えられます

⑥メタバース市場の成長性の高さ

メタバース市場の成長性の高さ

6つ目の理由は、メタバース市場の成長性の高さです。メタバース市場は国内・海外ともに今後大きな成長を見せると考えられています。

 

世界のメタバースの市場規模は2020年時点で約68兆円、2024年には約111兆円。日本国内のメタバースの市場規模は2021年度時点で約744億円、その後年率170%で成長し、2026年度には約1兆円にまで成長すると予想されています。

企業がメタバース(仮想空間)を活用する3大メリット

企業がメタバースを活用する3大メリット

企業がメタバースを活用する代表的なメリットとして以下の3つが挙げられます。

 

  • ①新規事業の創出
  • ②マーケティング・ブランディングの強化
  • ③企業の社内業務の効率化

 

それぞれのメリットを分かりやすく紹介していきます。

 

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①新規事業の創出

新規事業の創出 バンダイナムコ
(画像:バンダイナムコ)

1つ目のメリットは、メタバースサービスやイベントなどの新規事業の創出です。

メタバースを活用し新たなサービスを構築することで、ユーザーに対し現実に存在するもの/しないものを含め、仮想空間上に3Dの世界を構築することができるというメタバースならではの特徴を活かし、ユニークな体験を提供するサービスを提供することができます。

 

また、メタバース上でアーティストや企業を集めたイベントをすることで、入場券やデジタルコンテンツの販売など収益性の高い新たなビジネスを展開できることが挙げられます。

②マーケティング・ブランディングの強化

マーケティング・ブランディングの強化 三越伊勢丹
(画像:三越伊勢丹)

2つ目のメリットは、メタバースを活用したマーケティング・ブランディングの強化です。

メタバースが人々の生活に普及するにつれ、オフラインからオンラインへ、WebからSNSへと起こってきたのと同様の顧客接点のシフトが、メタバースでも起こると考えられます。

 

メタバースをマーケティング・ブランディングに活用することで、従来はオンラインでの実施が難しかった商品・サービスの販促やメタバースならではの体験を通じた強力なブランディングを行うことができます。メタバースは従来のWebページや動画と比べ伝えられる情報がリッチかつインタラクティブな体験を提供可能なため、ユーザーを惹きつけやすく幅広い業種での活用が進んでいます。

③企業の社内業務の効率化

企業の社内業務の効率化 DHL
(画像:DHL)

3つ目のメリットは、企業の社内業務の効率化です。

メタバース・デジタルツインを社内業務の効率化に活用することで、バリューチェーン全体や工程全体の最適化社員の作業のサポート、研修の効率化をすることができます。

 

メタバース上で現状存在しない施設や設備を設計し、シミュレーションを行うことで、最適な製造ラインや運用方法を特定したり、メタバースの特徴である3Dでの情報の表示により、AR/MRグラスで現場の作業員の作業をサポートしたり、VRグラスにより様々なシチュエーションを想定した研修を行ったりと多岐にわたる活用方法が存在します。

【プロ厳選】メタバースのビジネス活用事例10選

【プロ厳選】メタバースのビジネス活用事例10選

注目すべきメタバースのビジネス活用の事例として以下の10事例が挙げられます。

 

  • 新規事業の創出:①KDDI、②バンダイナムコ、③サンリオ
  • マーケティングの強化:④GUCCI、⑤三越伊勢丹、⑥日産自動車、⑦ZOZO
  • 企業の社内業務の効率化:⑧ウォルマート、⑨DHL、⑩川崎重工

 

それぞれの事例について分かりやすく紹介していきます。

 

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新規事業の創出:①KDDI、②バンダイナムコ、③サンリオ

①KDDI:ライブ配信、バーチャルショッピングなどができるメタバースを提供

KDDI:ライブ配信、バーチャルショッピングなどができるメタバースを提供
(画像:KDDI)

KDDIはライブ配信、バーチャルショッピングなどを行うことができるメタバース「αU」を提供しています。KDDIはこれを「現実と仮想を軽やかに行き来する新しい世代に寄り添い、誰もがクリエイターになりうる世界に向けたメタバース・Web3サービス」と位置付け、メタバースは「体験する場所」から「発信する場所」へと進化していきます。

 

αUではライブ配信やバーチャルショッピングを楽しめることに加えて、アバターやマイルームの制作、マイルームの家具の販売など、ユーザーがクリエイターになる体験が可能です。

さらにクリエイター支援の取り組みとして、国内外のパートナーと連携し、日本のクリエイターやコンテンツのグローバル展開をサポートします。

 

KDDIはこの新サービスに1000億円投入しメタバース関連のコンテンツを拡大していく予定です。

②バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるメタバースを構築へ

バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるメタバースを構築へ
(画像:バンダイナムコ)

バンダイナムコグループは、2022年4月から掲げる中期ビジョン「Connect with Fans」の重点戦略の1つとして、IPでファンとつながる「IPメタバース」を設定しました。

 

これは、メタバースを介して、バンダイナムコグループとファンのコミュニティを作る仕組みで、その第1弾がガンダムメタバースです。先日のガンダムカンファレンスで流れたイメージ映像では、メタバース上に世界中のガンダムファンが集い、語り合ったり、ライブイベントに参加したりする様子が描かれていました。

 

今後はバンダイナムコグループ以外の企業によるガンダムビジネスへの参入促進やガンダムファンがガンダムを活用したビジネスができる場の提供を目指して事業展開を行っていく予定とのことです。

③サンリオバーチャルフェス:50組以上のアーティストが参加の有料ライブイベント

サンリオバーチャルフェス:50組以上のアーティストが参加の有料ライブイベント
(画像:サンリオ)

サンリオは、メタバース上に、50組以上のリアル/バーチャルの有名アーティストを集めた、有料のライブイベント「サンリオバーチャルフェス」を開催しました。

 

参加者は、メタバース上で有名アーティストのライブパフォーマンスを楽しんだり、参加者同士でコミュニケーションを取ったり、リアル・バーチャルの限定グッズを購入することができたりします。

バーチャルのライブイベントでありながら、有料チケットの価格は5,000円〜10,000円超えのものも存在するなど、リアルのライブイベントと同様の価格であることも注目を集めました。

 

同イベントが多くのユーザーを集めた理由として、ユーザーが求めるものを実現するために、企業や団体の垣根を超えたコラボレーションを実現させた点が挙げられます。参加するアーティストは、AKB48などのリアルの有名アーティストから、Vtuber、VRChat上で活動するバーチャルアーティストまで、幅広いジャンル・所属企業のアーティストが一堂に会することで、大きな話題を呼びました。

 

このように、ユーザーを特定の企業やプラットフォームに囲い込もうとするWeb2.0的な発想とは違った取り組みが、今後のメタバースイベントの盛り上がりに繋がっていくと予想されます。

マーケティングの強化:④GUCCI、⑤三越伊勢丹、⑥日産自動車、⑦ZOZO

④GUCCI:Roblox上に自社独自のメタバース空間を構築

Welcome to Gucci Town
(動画:GUCCI)

GUCCIは、ゲーム版YouTubeとも呼ばれる大人気ゲーム型メタバース「Roblox」上に、常設エリアである「GUCCI Town」をオープンしました。

 
Robloxとは、他ユーザーが作成した様々なゲームをプレイしたり、ユーザー自身もゲームを作成することのできる、ゲームプラットフォームです。利用されるゲームの全てがユーザー自身によって作成されていることから、「ゲーム版のYoutube」とも評されています。

 

「GUCCI Town」にはグッチのアイテムに関連するゲームを楽しめる競技場、アート制作を楽しめるアトリエ、ヴィンテージから新作アイテムを見ることのできる展示スペースなどが存在し、メタバースの世界でグッチに纏わる様々なブランドをすることができます。

 

2021年5月にも、GUCCIはRobloxに2週間限定のエリアをオープンし、約2000万来場者を記録するという成果を挙げていることから、今回常設エリアのオープンに踏み切ったと考えられます。

 

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⑤三越伊勢丹:独自のメタバース空間を構築し新たなEC体験の提供へ

三越伊勢丹:独自のメタバース空間を構築し新たなEC体験の提供へ
(画像:三越伊勢丹)

三越伊勢丹は、自社の百貨店の店舗を再現したメタバース「Rev worlds」をスマホ向けアプリをリリースしています。同社はこのアプリを通じて、”バーチャルな伊勢丹の店舗”で”リアルな買い物”体験を提供しています。ユーザーはアバターの姿で商品を見て回ることができ、その商品を実際にECで購入することが可能です。

 

店員のアバターも配置され、チャット機能を使った接客も受けられます。現在は婦人服や食品など310ブランドを扱っていますが、今後は家具や日用品にも対象を広げる方針です。友人のアバターと一緒に会話しながら買い物できるようにするなど機能も強化する予定です。

 

他社がメタバース上で開催されるイベントへの出展が中心のなか、三越伊勢丹は既に独自のメタバース空間を構築・提供しており、マーケティングへのメタバース活用をリードする存在といえます。

⑥日産自動車:VR chat上で新車発表・試乗会を開催

日産自動車:VR chat上で新車発表・試乗会を開催
(画像:日産自動車)

日産自動車はメタバース上で、新型軽電気自動車「日産サクラ」の発表・試乗会を開催しました。イベントは世界最大のVR SNSプラットフォーム「VRChat」で開催されました。

 

発表会は日産副社長のアバターが登場し、ボイスレターが再生されるという形で進行。また、試乗会では日本の四季を感じられるドライブコースでバーチャルなサクラを運転することができました。VR上での試乗は通常の試乗とは違い、書類での手続きなどが不要で、いつでもどこからでも体験可能な点が強みです。

 

今回の取り組みにより、販売スタッフのアバター操作経験不足や、リアルな商品を仮想空間上でプロモーションする難しさなどが明らかになったとのことです。このような試験的な取り組みを重ねるなかで、将来的に製品のプロモーションチャネルとしてVRイベントが本格的に活用できるユースケースが確立されていくことが期待されます。

⑦ZOZOCOSME:ARメイクで自分の顔で化粧品を試せる

ZOZOCOSME:ARメイクで自分の顔で化粧品を試せる
(画像:ZOZOCOSME)

ZOZOTOWNはZOZOTOWN上のコスメ専門モール「ZOZOCOSME」でバーチャルにメイクアップアイテムを試せる新機能「ARメイク」を提供しています。

 
ZOZOTOWNの「ARメイク」機能は、商品詳細ページからワンタップで起動し、簡単な操作でにメイクを施すシミュレーションを行うことができます。

 

「ARメイク」機能では、メイクの濃淡を調整したり、メイクのオンオフを切り替えることができ、実際にコスメアイテムを使用した際の色や質感を容易に想像することができます。また、「ARメイク」画面下部の「カートに入れる」ボタンから直接商品の購入に進むことができます。

企業の社内業務の効率化:⑧ウォルマート、⑨DHL、⑩川崎重工

⑧ウォルマート:メタバース上で混雑等の状況を再現した研修

ウォルマート:メタバース上で混雑等の状況を再現した研修
(画像:ウォルマート)

世界的なスーパーマーケットチェーンであるウォルマートは、接客のトレーニングにVRを導入しています。従業員にHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着させ、ブラックフライデーなどの販売イベント時に大勢のお客様に対応するための研修を行っています。従来の研修とは異なり、現実には再現が困難な状況を実際に体験しているかのような、リアリティの高い研修を行うことができます。

 
この研修を行うため、ウォルマートは1万7000台のOculas Questを約4700店舗に準備するなど大規模な投資を行っており、VRを活用した研修に本腰を入れています。

 

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⑨DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化

DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化
(画像:DHL)

ドイツの大手物流企業のDHL社は、グーグルのスマートグラス「Glass Enterprise Edition 2」を導入し、倉庫での配送業務にARを活用しています。従業員はピッキング作業の現場でグラスを着用することで、製品・商品の保管場所やカート配置場所といった必要な情報を確認することが可能です。

 

ハンズフリーで即座に必要な情報にアクセスできるため、作業の精度と効率の向上に繋がります。また、多くのスマートグラスにはマイク機能が搭載されており、遠隔かつハンズフリーで会話による連携を取ることも可能です。

⑩川崎重工:工場を丸ごとメタバース化する計画を発表

川崎重工:工場を丸ごとメタバース化する計画を発表
(画像:川崎重工)

川崎重工はマイクロソフト社のカンファレンス「Build2022」にて、工場を丸ごとメタバース化する「インダストリアルメタバース」の構築に取り組むことを発表しました。この取り組みにより、工場における全工程をバーチャル空間上でシミュレーションできるデジタルツインの構築を目指すとのことです。

 

同社は、マイクロソフトのクラウド/IoT管理ソリューション「Azure IoT」、エッジAIソリューション「Azure Percept」、MRデバイス「HoloLens 2」を採用し、生産ラインや製造現場の管理に取り組んでいます。

 

これにより、ロボットの障害発生時の迅速な対応や、トラブルを未然に防ぐ予知保全が可能になります。また、リアルタイムかつ遠隔で専門家からのアドバイス、支援を受けることができるようになりました。

代表的なメタバースサービス5選

代表的なメタバースサービス5選

代表的なメタバースサービスとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①Fortnite:3億人がハマるメタバースバトルロイヤルゲーム
  • ②Roblox:メタバース上のゲームプラットフォーム
  • ③VRChat:世界最大のソーシャルVRプラットフォーム
  • ZEPETO:スマホで簡単に3Dアバターを作って遊べるアプリ
  • ⑤TheSandBox:TheSandbox:NFTゲームプラットフォーム

 

それぞれのメタバースの概要についてわかりやすく解説していきます。

 

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①Fortnite:3億人がハマるメタバースバトルロイヤルゲーム

Fortnite:3億人がハマるメタバースバトルロイヤルゲーム
(画像:Fortnite)

Fortniteとは、​​小さな島で100人のプレイヤーと戦って最後まで勝ち残ることを目指すバトルロイヤルゲームです。一般的に知られてはいないですが、Fortnite内にはバトルロイヤル以外にも3つのゲームモードがあり、それぞれ「ゼロビルド」(建築なしのバトルロイヤル)、「クリエイティブ」(ユーザーが制作したゲーム)、「世界を救え」というゲームモードになります。

 

ゲーム内でリアルタイムでのユーザー同士のコミュニケーションが活発に行われている点やアーティストのライブなどゲーム以外での利用もされている点から、世界を代表するメタバースの1つとも言われています。

 

基本的には無料で複数人でプレイできること、簡単な操作でゲームを楽しめること、コロナウイルス感染拡大により余暇時間が生まれたことなどにより、小学生を中心に世界中で爆発的に流行な流行を見せています。

 
2017年にリリースされたFortniteは、現在総ユーザー数約3.5億人、月間アクティブユーザー数はピーク時で6,200万人と、圧倒的なユーザー数をかかえるメタバースへと発展しており、未上場ではありますが時価総額は約4兆円まで到達しています。

②Roblox:メタバース上のゲームプラットフォーム

Roblox:メタバース上のゲームプラットフォーム
(画像:Roblox)

Robloxとは、他ユーザーが作成した様々なゲームをプレイしたり、ユーザー自身もゲームを作成することのできる、ゲームプラットフォームです。利用されるゲームの全てがユーザー自身によって作成されていることから、「ゲーム版のYoutube」とも評されています。

 

また、ゲーム内でリアルタイムでのユーザー同士のコミュニケーションが活発に行われている点やゲーム内のアバターやアイテムを売買する経済圏が成立していることなどから、世界を代表するメタバースの1つとも言われています。

 

基本的には無料で複数人でプレイできること、簡単な操作でゲームを楽しめること、コロナウイルス感染拡大により余暇時間が生まれたことなどにより、小学生を中心に世界中で爆発的に流行な流行を見せています。
2004年にリリースされたRobloxは、現在総ユーザー数約2億人、デイリーアクティブユーザー数は約5000万人と、圧倒的なユーザー数をかかえるメタバースへと発展しています。また、Roblox上でやり取りされる仮想通貨「Robux(ロバックス)」の流通額は2021年時点で年間約3兆円を記録しており、2021年3月の米ナスダック上場時の時価総額は最大3兆円規模に達しました。

③VRChat:世界最大のソーシャルVRプラットフォーム

VRChat:世界最大のソーシャルVRプラットフォーム
(画像:VRChat)

VRChatとは、VR上で世界中の人々とコミュニケーションが取れる、世界最大のソーシャルVRプラットフォームです。ユーザーは、好きなアバターの姿でチャットや音声通話、身振り手振りなどを通じてコミュニケーションを取ることができます。また、コミュニケーションはVRChat内に存在する無数のワールドと呼ばれるバーチャル空間内で行われ、ユーザー自身がワールドを作成したり、そこでイベントを開いたりすることもできます。

 

VRChatはPCからもアクセス可能ですが、Meta QuestなどのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)からアクセスすることで、まるで同じ部屋にいる人と会話しているような体験をすることができます。

 

2022年1月には同時接続者が過去最高の約4.2万人にまで上り、世界を代表するVR/メタバース空間に成長しています。

④ZEPETO:スマホで簡単に3Dアバターを作って遊べるアプリ

ZEPETO:スマホで簡単に3Dアバターを作って遊べるアプリ
(画像:ZEPETO)

ZEPETOとは、自分好みのアバターを簡単に作成し、他ユーザーと交流したりゲームを楽しんだりできるメタバースアプリです。

 

他にもアバターを作成できるアプリは多数存在しますが、カスタマイズのバリエーションの豊富さや操作のしやすさなどが理由で、ZEPETOは多くの若者から支持を集めており、ユーザ―数は3億人を突破しています。

 

また、1つのアプリ内でアバター作成、チャット/通話でのコミュニケーション、画像・動画投稿、ゲームなど、現代の若者が毎日のように利用する体験を提供している点も人気の理由の1つとなっています。

⑤TheSandbox:NFTゲームプラットフォーム

TheSandbox:NFTゲームプラットフォーム
(画像:TheSandbox)

TheSandboxとはボクセル(3次元のピクセル)によって構成されるNFTゲームプラットフォームです。マインクラフトのようにボクセル(3次元のピクセル)を積み重ねてメタバース上にゲームを作ることができ、ユーザーが作成したゲームで遊ぶことができたり、ユーザー間でのコミュニケーションを楽しむことができます。

 

特徴としては、イーサリアムのブロックチェーン技術を基盤としている点、SANDという独自の暗号通貨を持っている点、SANDを用いてLAND(ランド)と呼ばれる土地やアバター、ゲームを作る上で必要な素材、アイテムなどをNFTマーケットプレイスで売買することができる点が挙げられます。

 

2012年にリリースされたTheSandboxは、2018年にAnimoca Brandsが買収してイーサリアムのブロックチェーン技術が導入されました。以降、ユーザー数が増加してダウンロード数は4,000万回、月間アクティブユーザー数は100万人を超えました。2020年3月にはスクウェア・エニックスなどから201万ドルの出資を受けるなどThe SandBoxは165以上のブランドとパートナーシップを結んでおり、今後の発展が期待されています。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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