VRをビジネスに活用する全9方法|メリットと事例を紹介

メタバース総研は国内外の最新業界動向をウォッチするなかで、これまで200記事以上のVR活用事例に関する記事をリリースし、多くの方からご好評を頂いております。

 

今回は、その中でもVRのビジネスへの活用手法と各手法ごとの事例を厳選してご紹介します。

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

 

  • 注目を集めるVRが実際にどのように活用されているのか抑えておきたい
  • 自社がVRを活用してどんなことができるか検討している
  • 具体的にどのように活用を進めたらいいか分からない

 

本記事を読めば、幅広い業界・目的別の最先端の活用事例を一気にキャッチアップし、参考になる事例が見つかると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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目次

企業によるVRのビジネスへの9個の活用法

VRのビジネス活用方法は多岐にわたりますが、代表的な手法として大きく以下の3カテゴリ・9パターンが挙げられます。

 

<新規事業構築>

  • ①VRサービスの構築
  • ②イベントの開催

 

<マーケティング・ブランディング>

  • ③大手VRプラットフォームでの自社アバター配布・販売
  • ④大手VRプラットフォームでの自社ワールド制作
  • ⑤大手VRイベントへの出展
  • ⑥VR空間上への広告出稿
  • ⑦既存の顧客接点の機能強化
  • ⑧自社VRサービスの構築

 

<社内業務効率化>

  • ⑨社員研修への活用

 

それぞれの手法について概要やメリットを紹介していきます。

①VRサービスの構築

1つ目の活用手法は、VRを活用した各社独自のVRサービスの構築です。現実に存在するもの/しないものを含め、仮想空間上に3Dの世界を構築することができるというVRならではの特徴を活かし、ユーザーにユニークな体験を提供することができます。

 

企業のメリットとして、構築したサービスの利用料やコンテンツ課金、広告枠販売など多様なビジネスモデルで収益を獲得できることなどが挙げられます。

 

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②イベントの開催

イベントの開催 サンリオ
(画像:サンリオ)

2つ目の活用手法は、VR上でのイベントの開催です。アーティストを集めたライブイベントやバーチャルマーケットのような企業を集め各企業がコンテンツを提供するイベントなど、幅広い内容のイベントを開催することができます。

 

リアルでのイベント開催に比べたメリットとして、幅広いエリアから多くのユーザーを集客できる点、VRならではユニークな体験を届けることができる点、会場費や運営費などのコストを節約できる点などが挙げられます。

 

企業のメリットとしては、イベント開催により、イベントへの入場券やデジタルコンテンツの販売など非常に収益性の高い新たなビジネスを展開できることなどが挙げられます。

 

※関連記事:企業のVRイベント活用事例7選|メリットや活用のポイントを解説

マーケティング・ブランディングへの6つの活用手法

③大手VRプラットフォームでの自社ワールド制作

大手VRプラットフォームでの自社ワールド制作 GUCCI
(画像:GUCCI)

3つ目の活用手法は、FortniteRobloxに代表される大手VRプラットフォーム上での自社ワールドの制作です。

VRプラットフォーム上に、自社の実店舗を再現したワールドや、自社のブランドイメージをゲームを通じて体験してもらえるワールドを展開することができます。

 

企業のメリットとしては、急速に普及が進むVRプラットフォーム上の多数のユーザーに対し、VRならではの体験を通じ、自社の商品やブランドの魅力を深く訴求できることなどが挙げられます。

 

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④大手VRプラットフォームでの自社アバター配布・販売

大手VRプラットフォームでの自社アバター配布・販売 バレンシアガ
(画像:バレンシアガ)

4つ目の活用手法は、大手VRプラットフォームでの自社オリジナルのアバターやスキンの配布・販売です。多数のユーザーに対し、自社のブランドや商品をモチーフとしたアバターやアバターが着用するスキンを配布・販売することができ、大手ラグジュアリーブランドを中心に活用が進んでいます。

 

企業のメリットとしては、VRプラットフォームの多数のユーザーに対し、自社ブランドをPRできる点やコンテンツへの課金による収益を獲得できる点などが挙げられます。

 

※関連記事:【初心者向け】有名メタバースプラットフォームランキング10選

⑤大手VRプラットフォームでの広告出稿

大手VRプラットフォームでの広告出稿 博報堂
(画像:博報堂)

5つ目の活用手法は、大手VRプラットフォームでの広告出稿です。現実世界の屋外広告のように、VRプラットフォーム上の看板や建物の壁などに広告を出稿することができます。

 

企業のメリットとしては、若年層を中心に急速に普及が進み、多くの視線を集めるVRをメディアとして活用し、自社の商品やブランドの魅力をPRできることが挙げられます。

 

※関連記事:【事例9選】メタバースを広告に活用する5大メリットや活用方法とは

⑥大手VRイベントへの出展

大手VRイベントへの出展 バーチャルマーケット
(画像:バーチャルマーケット)

6つ目の活用手法は、大手VRイベントへの出展です。バーチャルマーケットに代表されるように、企業が出展可能なVRイベントが多数開催されています。イベントに自社ワールドを出展し、ゲーミフィケーションを取り入れたアトラクションやユーザー参加型のイベントを展開したり、アバター姿での接客・営業などを行うことができます。

 

企業のメリットとしては、VRならではの体験やこれまでバーチャル空間では実現しえなかったリアルな顧客体験により自社をPRすることに加え、自社のVR活用の可能性を探るための初期的な検証ができることなどが挙げられます。

⑦既存の顧客接点の機能強化

既存の顧客接点の機能強化 東急不動産
(画像:東急不動産)

7つ目の活用手法は、自社の既存の顧客接点の機能強化です。企業は、VRを使った内見や観光地の見学などによって顧客接点を強化することができます。

 

企業のメリットとしては、従来オンライン空間上での販売やマーケティングが難しかった商材を、3Dモデルや360°動画を活用したVRならではの体験を通じて強力に訴求できることなどが挙げられます。

⑧自社メタバースサービスの構築

自社メタバースサービスの構築 大和ハウス
(画像:ダイワハウス)

8つ目の活用手法は、マーケティングを目的とした自社VRサービスの構築です。自社のVRサービス上での体験提供を通じて、顧客のニーズを高めたり、商品の魅力を訴求することで商品販売やマーケティングを行うことができます。

 

企業のメリットとしては、アパレルアイテムや家、無形商材などの従来オンライン空間上での販売やマーケティングが難しかった商材を、3Dモデルの活用やVRならではの体験を通じて強力に訴求できることなどが挙げられます。

社内業務効率化への活用手法

⑨バーチャルオフィスの導入

9つ目の活用手法は、バーチャルオフィスの導入による社内コミュニケーションの円滑化です。バーチャルオフィスとは、リモート環境ながら、アバターの動きやステータス表示などで情報量の豊富なコミュニケーションがとれ、まるで実際のオフィスで一緒に働いているような体験ができるバーチャル空間上のオフィスのことです。

 

企業のメリットとしては、コミュニケーションが円滑化されることで生産性が向上したり、自然発生的なコミュニケーションが生まれることで社員同士の繋がりが強化されることなどが挙げられます。

 

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活用手法ごとの注目事例17選

①VRサービスの構築:バンダイナムコ、ぴあ

1.バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるメタバースを構築へ

バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるメタバースを構築へ
(画像:バンダイナムコ)

バンダイナムコグループは、2022年4月から掲げる中期ビジョン「Connect with Fans」の重点戦略の1つとして、IPでファンとつながる「IPメタバース」を設定しました。これは、メタバースを介して、バンダイナムコグループとファンのコミュニティを作る仕組みで、その第1弾としての位置づけです。

 

先日のガンダムカンファレンスで流れたイメージ映像では、メタバース上に世界中のガンダムファンが集い、語り合ったり、ライブイベントに参加したりする様子が描かれていました。

今後はバンダイナムコグループ以外の企業によるガンダムビジネスへの参入促進やガンダムファンがガンダムを活用したビジネスができる場の提供を目指して事業展開を行っていく予定とのことです。

2.ぴあ:バーチャルライブ向けの独自VRを構築

ぴあ:バーチャルライブ向けの独自VRを構築
(画像:ぴあ)

ぴあ株式会社は、バーチャルライブプラットフォーム「NeoMe」(ネオミー)をスマートフォンアプリのサービスとして提供開始しました。「NeoMe」は、ユーザーがアバターとなってバーチャル空間に入り、バーチャルライブを中心に、ユーザー同士の交流やアバターのコーディネートを楽しむことができるスマートフォンアプリです。

 

ぴあは、「NeoMe」を通じて、次世代を担う若手パフォーマーに対して、バーチャルを起点とした新たな表現や活動の場を提供しています。バーチャルライブの第1弾となる「NeoMe Live Vol.1」には、ヤバイTシャツ屋さんが出演しました。ユーザーやファンは、同じ趣味の人とつながる場を提供し、パフォーマーとユーザーの新たなコミュニティづくりを支援します。

 

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②イベントの開催:サンリオ、日産自動車

3.サンリオ:メタバース上で大規模なライブイベントを開催し有名アーテイストを誘致

サンリオ:メタバース上で大規模なライブイベントを開催し有名アーテイストを誘致
(画像:サンリオバーチャルフェス)

サンリオは、リアル/バーチャルのアーティスト総勢52組が集まったライブイベント「サンリオバーチャルフェス」を開催しました。

参加アーティストとして、AKB48などのリアルアーティストから、Vtuber、VRChat上で活動するバーチャルアーティストまで、幅広いジャンルのアーティストが一堂に会したため、大きな話題を呼びました。

 

この取り組みのポイントは、ユーザーが求めるものを実現するために、企業や団体の垣根を超えたコラボレーションを実現させた点です。ユーザーを特定の企業やプラットフォームに囲い込もうとするWeb2.0的な発想とは違った取り組みが、今後のVRイベントの盛り上がりに繋がっていくと予想されます。

 

※関連記事:メタバースを活用したイベント事例6選|3つのメリットも紹介

4.日産自動車:VR chat上で新車発表・試乗会を開催

日産自動車:VR chat上で新車発表・試乗会を開催
(画像:日産自動車)

日産自動車はメタバース上で、新型軽電気自動車「日産サクラ」の発表・試乗会を開催しました。イベントは参加者は世界最大のVR SNSプラットフォーム「VRChat」で開催されました。

発表会では日産副社長のアバターが登場し、ボイスレターが再生されました。また、試乗会では日本の四季を感じられるドライブコースでバーチャルなサクラを運転することができます。

 

自分で運転席に座って運転したり、後部座席に座ってみたりと、現実の試乗さながらの体験ができ、新車の特徴を確認することができます。VR上での試乗は通常の試乗とは違い、書類での手続きなども不要で、いつでもどこからでも体験可能なのが強みです。

 

今回の取り組みにより、販売スタッフのアバター操作経験不足やリアルな商品を仮想空間上でプロモーションする難しさなどが明らかになったとのことです。このような試験的な取り組みを重ねるなかで、将来的に製品のプロモーションチャネルとしてVRイベントが本格的に活用できるユースケースが確立されていくことが期待されます。

③大手VRプラットフォームでの自社アバターやスキン配布・販売:バレンシアガ、ポロラルフローレン

5.バレンシアガ:Fortniteと連携しアバター用のスキンを販売

バレンシアガ:Fortniteと連携しアバター用のスキンを販売
(画像:バレンシアガ)

ラグジュアリーブランドのバレンシアガは、人気オンラインゲームであり近年VRメタバース化が進みつつある「フォートナイト」とコラボレーションを行いました。

バレンシアガがゲーム用のデジタルファッションアイテムを制作し、同様のデザインのリアルのアイテムをバレンシアガの一部店舗やオンラインショップにて販売しました。リアルのアイテムの価格は約5万〜17万円ほどでした。

フォートナイトのゲーム内では、バレンシアガの仮設店舗をオープンし、ウェアやスキンを取りそろえました。それらのアイテムはバレンシアガの2020〜2021年のコレクションアイテムをスキャンし3Dモデル化して制作されています。

 

また他にも、ゲーム内にバレンシアガが2021年秋コレクションのために制作したオンラインゲーム「アフターワールド:ザ・エージ・オブ・トゥモロー」に着想を得たエリアを特設するなど、ユーザーが楽しみながらバレンシアガのブランドに触れられる取り組みが行われました。

 

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6.ポロラルフローレン:ユーザー数2億人のZEPETOでアバター用の洋服を販売

ポロラルフローレン:ユーザー数2億人のZEPETOでアバター用の洋服を販売
(画像:ポロラルフローレン)

ラルフローレンはユーザー数2億人を誇るSNSであるZEPETO上で購入可能なバーチャルウェアの販売を開始しました。

ZEPETOとはユーザーが自身の3Dアバターを作成し他のユーザーと交流するアプリで、ラルフローレンは、ZEPETO のアプリ内に50種類のファッションアイテムを用意し、ZEMと呼ばれるアプリ内通貨で購入可能にしています。価格は約80円〜400円となっています。

 

また、今回のコラボでは、ファッションアイテムの販売以外にも、ニューヨークの実在するセントラルパークなどのロケーションのバーチャル空間での再現やラルフローレンのアイテムを身に着けたK-POPアーティストTomorrow x Together(TXT)のバーチャルライブなど、ユーザーが楽しめる様々な取り組みが行われました。ユーザーがライブの様子を自撮りしSNSにアップするなど、コラボの認知度を高める動きも多く見られました。

 

同社は、今回のコラボにて、ZEPETOのアプリ内のアクティビティから様々なデータを取得し、訪問者数や交流の頻度、利用時間、アイテムの売上などを把握し、今後の取り組みの検討に活用しています。リアル店舗より多くの顧客データが得られるのも、VR参入によるメリットの1つと言えます。今後はNFTの販売を検討するなど、バーチャル領域でのビジネス展開を加速させる方針とのことです。

 

※関連記事:【事例14選】メタバースのアパレル業界での活用方法やメリットとは

④大手VRプラットフォームでの自社ワールド制作:GUCCI、エイベックス、三越伊勢丹

7.GUCCI:Roblox上に常設エリア「GUCCI Town」をオープン

Welcome to Gucci Town
(動画:GUCCI)

GUCCIは、ゲーム版YouTubeとも呼ばれる大人気ゲーム型VRメタバース「Roblox」上に、常設エリアである「GUCCI Town」をオープンしました。
Robloxとは、他ユーザーが作成した様々なゲームをプレイしたり、ユーザー自身もゲームを作成することのできる、ゲームプラットフォームです。利用されるゲームの全てがユーザー自身によって作成されていることから、「ゲーム版のYoutube」とも評されています。

 

 「GUCCI Town」にはグッチのアイテムに関連するゲームを楽しめる競技場、アート制作を楽しめるアトリエ、ヴィンテージから新作アイテムを見ることのできる展示スペースなどが存在し、メタバースの世界でグッチに纏わる様々なブランドをすることができます。

 

2021年5月にも、GUCCIはRobloxに2週間限定のエリアをオープンし、約2000万来場者を記録するという成果を挙げていることから、今回常設エリアのオープンに踏み切ったと考えられます。

GUCCI CEOのニコラ・ウディノ氏によると、この取り組みの成功は、「GUCCIがRoblox上でブランドのコミュニティ意識を育てることができたからだ」としています。

 

※関連記事:GUCCIによるメタバースの活用事例3選|狙いやメリットも解説

8.エイベックス:The Sandbox上にエイベックスランドを開設

エイベックス:The Sandbox上にエイベックスランドを開設
(画像:エイベックス)

エイベックス・テクノロジーズは、The Sandboxとパートナーシップ体制を構築し、アーティストとファンが仮想空間上で交流できるテーマパーク「エイベックスランド(仮称)」をオープンすると発表しました。

 

エイベックスランド(仮称)は2022年度中に、「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」内にオープンする予定で、アーティストのライブ配信やファンミーティングの実施、NFTアイテムの販売などが検討されています。

これらに先駆けて、ピコ太郎さんや浜崎あゆみさんに関連するNFTアイテムなどをセットにしたプレミアムLANDを2022年3月3日に販売しました。

 

※関連記事:VRのエンタメ業界での活用事例9選|3大メリットや活用方法も紹介

9.三越伊勢丹:独自VR空間上に百貨店を再現

三越伊勢丹:独自VR空間上に百貨店を再現
(画像:三越伊勢丹)

三越伊勢丹は、独自のVR上の仮想都市である「レヴ ワールズ」を構築し提供しています。来場者はアバターの姿で、デジタル空間の「バーチャル伊勢丹」での買い物を楽しむことができます。店員のアバターも配置され、チャット機能を使った接客も受けられます。

 

現在は婦人服や食品など180ブランドを扱っていますが、今後は家具や日用品にも対象を広げる方針です。友人のアバターと一緒に会話しながら買い物できるようにするなど機能も強化する予定です。 他社がVR上で開催されるイベントへの出展が中心のなか、三越伊勢丹は既に独自のVR空間を構築・提供しており、小売・百貨店業界のVR活用をリードする存在といえます。

 

※関連記事:メタバースの小売業界への活用事例8選|3大メリットや活用法も解説

⑤大手VRイベントへの出展

10.SMBC日興証券:VR上で金融を身近に感じられるイベントを開催

金融業界:SMBC日興証券がVR上で金融を身近に感じられるイベントを開催
(画像:SMBC日興証券)

SMBC日興証券は、2021年末に開催された、世界最大のVRイベントである「バーチャルマーケット2021」に特設ブースを出展しました。リーマンショックやアベノミクスなどの相場変動を疑似体験できる株価連動ジェットコースターや、証券アナリストなどの専門家とアバターを通して直接話せるバーチャル座談会など、VRならではの金融を身近に感じられるようなコンテンツを提供しました。

 

株価連動ジェットコースターでは、走行中に当時の株価の変動と関連した金融・経済トピックが目の前に現れるなど、VRならではの演出で金融の世界を楽しむことができました。さらに、コースター乗車中に撮影した写真が乗車後にブース内に表示されるなど、現実世界の某有名遊園地のアトラクションのような演出も用意されました。

 

バーチャル座談会では、投資や資産運用に関する情報を提供するパネルや動画を見ることができました。また、普段なかなか直接話せる機会のないSMBC日興証券のアナリストなどと相場解説などのスモールトークセッションも実施されました。


※関連記事:メタバース上に銀行?金融業界における事例8選やメリットを紹介

⑥VR空間上への広告出稿:博報堂、電通

11.博報堂:国内初VR上の広告枠の販売を開始

博報堂:国内初VR上の広告枠の販売を開始
(画像:博報堂)

博報堂は国内企業としては初となる、VR上の広告枠の販売事業を開始しました。博報堂傘下のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)社は、デイリーアクティブユーザー約5,000万人を誇る、世界最大級のVRゲームプラットフォーム「Roblox(ロブロックス)」内での広告枠の販売を開始しました。

 

広告主はRoblox内の建物や看板に画像や動画の広告を掲載することが可能です。広告費用は場所やサイズによるものの、2週間の掲載枠が80万円〜とのことです。

12.電通:東京ゲームショウVRに基盤システムを提供

電通:東京ゲームショウVRに基盤システムを提供
(画像:電通)

電通はバーチャル空間上で行われるイベント「東京ゲームショウVR」向けに、大型イベントのメタバース化を推進するシステムを開発・提供しました。

東京ゲームショウVRでは、ゲーム関連企業のみならず、飲料メーカーやアパレル企業などのブランドを体験できる特設ブースが設けられ、各ブースでの体験を通じて、リアルでは提供が難しいバーチャルならではのブランド体験の実現を目指しています。

 

同社は出資を行っているVRメタバース関連のスタートアップであるabmr社とともに、基盤プロダクトの改善を通じ、広告機能はもちろんのこと、VR空間ならではのブランド体験の構築やイベントでの体験全体の質向上を目指していくとのこと。「東京ゲームショウVR2021」では、バーチャル会場の総来場者数は約21万人を記録、参加者の98.8%が再来訪意向を示すなど、大きな反響を呼びました。

⑦既存の顧客接点の機能強化:大和ハウス

13.大和ハウス:自由に見学できるVR上の住宅展示場をオープン

大和ハウス:自由に見学できるVR上の住宅展示場をオープン
(画像:大和ハウス)

大和ハウスはアバターを用いて担当者と見学者がコミュニケーションを図りながら仮想空間上の住宅展示場を自由に見学できる「VR住宅展示場」を公開しました。ユーザーはスマホやタブレット・PCからVRにアクセスでき、最大6名の見学者とともに担当者にリアルタイムに質問や相談を実施することが可能です。

 

VR上にある住宅展示場という特徴を活かし地面から屋根の上までさまざまな角度から見学できることに加え、室内では子どもやペットなどの視点でも見学が可能です。また、見学者が床や壁紙・天井等の色や素材、インテリアなどを瞬時に切り替えて、イメージを検討することもできます。今後、対応する住宅商品ラインナップを拡充していく方針とのことです。


※関連記事:【2023年最新】VRの不動産業界への活用事例5選と4大メリット

⑧自社VRサービスの構築:REALITY、VARK

14.REALITY:アバター姿でのライブ配信プラットフォーム

REALITY:アバター姿でのライブ配信プラットフォーム
(画像:REALITY)

REALITYは、VRによるアバターを用いたライブ配信を軸としたVRプラットフォームです。

自分だけのオリジナルアバターを作成し、モーションキャプチャー技術を用いたリアルなライブ配信で視聴者とコミュニケーションを取ったり、アバターが受け取るギフトでマネタイズするなど、簡単操作で楽しめるスマートフォン向けVRです。

 

5GやVR/ARを見据えたエンタテインメントの未来像を実現しています。

また、法人向けに3DCGとXR技術を活用したXRクラウド事業「REALITY XR」も展開しています。

15.VARK:VR上でのライブイベントプラットフォーム

VARK:VR上でのライブイベントプラットフォーム
(画像:VARK)

VARKは、VR上で現実と同じようにライブイベントを楽しむことができるアプリケーションです。決まった時間に開かれるイベントに誰でも参加でき、そのイベントに「いる」アーティストのライブを、一体感を感じながら楽しむことができます。「目の前で歌う」「一瞬で世界が変わる」など、バーチャルの可能性をフルに活用し、最高の体験を提供することを目指します。

⑨社員研修への活用:ANA、セコム

16.ANA:VRを飛行機の機体整備士の危険予知研修に活用

ANA:VRを飛行機の機体整備士の危険予知研修に活用
(画像:ANA)

ANAは労災ゼロを目指し、整備士に向けた安全体験教育にVRコンテンツ「ANA VR Safety Training System」を導入しています。ANA VR Safety Training Systemは、整備士が作業の安全を確保するための危険予知能力を向上させるための研修プログラムです。

 
航空機整備の環境や過去の労働災害事例をもとにコンテンツを作成し、格納庫での整備作業を再現したVRシステムです。受講者が危険を見逃したまま次の行動に移ったり、安全行動の手順を間違えたりすると、VRシステム内で転倒を体験することになります。このとき、ナレーションで行動を振り返り、なぜ参加者が転倒・転落したのかを説明します。

このような手順で実際の作業における危険を予見し、転倒・転落から身を守ることができます。

17.セコム:警備業界初となるVRを活用した研修プログラムを導入

コム:警備業界初となるVRを活用した研修プログラムを導入
(画像:セコム)

セコムは、警備業界初となるVRを活用した研修プログラムを導入しています。こちらの研修プログラムでは社員がVRヘッドセットを装着し、VRの体験型コンテンツにより緊急時の対処を学ぶことができます。

 

具体的には、煙が充満する中での避難誘導や、避難器具を使っての高所からの避難訓練などの訓練を実施しているとのことです。

企業がVR活用を進めるための4フェーズ35ステップ

企業がVR活用を進めるための4フェーズ35ステップ

VR活用の進め方は大きく4つのフェーズに分けられます。

  • Phase1:市場動向・知見のキャッチアップ
  • Phase2:戦略/企画の立案
  • Phase3:事業計画の策定
  • Phase4:開発・運用

それぞれのフェーズについて分かりやすく紹介していきます。

Phase1:市場動向・知見のキャッチアップ

1つ目のPhaseとして取り組むべきは、最先端の市場動向・知見のキャッチアップです。Metaなどのビックテックやユーザーの動向・先進活用事例など、日々変化する市場動向やナレッジをキャッチアップしましょう。このフェーズが、成果に繋がる骨太な戦略/企画策定の基盤となります。

Phase2:戦略/企画の立案

2つ目のPhaseはVR活用の戦略/企画です。活用目的を踏まえ、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方、実現に向けた企画を立案しましょう。ユーザーバリューと自社の事業性の両方を満たす、質の高い戦略/企画の立案が、成果につながるVR活用の実現に向け最も重要なポイントとなります。

Phase3:事業計画の策定

3つ目のPhaseは事業計画の策定です。事業に期待する成果や開発・運用のアプローチやタイムライン、必要な投資額などを検討しましょう。VR開発・運用といっても、プロジェクト毎に求められるケイパビリティは様々であるため、自社にマッチするツール・ベンダーの選定が非常に重要です。

Phase4:開発・運用

4つ目のPhaseが開発・運用です。VR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを有効活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完しつつ、ユーザーに届けたい体験を実現するVRの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。

 

また、必要な35のステップをフェーズごとに以下のように整理できます。

 

  • Phase1:業界動向・知見のキャッチアップ
    • VRの基礎知識
      • ①ユーザー・企業ができること/メリット
      • ②注目を集める背景・歴史
      • ③VRデバイス・Web3等の関連テクノロジー
      • ④今後の普及・発展への展望
    • 市場/ユーザー動向
      • ⑤ビックテックなどの戦略・取り組み
      • ⑥主要VRプラットフォーム
      • ⑦各業界における大手企業の取り組み
      • ⑧国内外のユーザーの動向 
    • VR活用手法・先進事例
      • ⑨VR活用手法の全体像
      • ⑩自社と類似する業界における国内外の事例
      • ⑪自社が検討する活用手法の国内外の事例

 

  • Phase2:戦略/企画の立案
    • 自社が取り得る活用の方向性の洗い出し
      • ⑫ターゲットとする経営課題と活用目的の明確化
      • ⑬目的達成に向けた活用手法候補の幅出し
    • 目的達成に向けた活用の方向性の評価
      • ⑭自社の目的に合わせた評価軸の設定
      • ⑮評価軸に沿った活用の方向性の評価
    • VR戦略の立案
      • ⑯自社の強み・アセットの活かし方を検討
      • ⑰中長期で目指す姿と企画のコンセプトの立案
      • ⑱ビジネスモデルの設計
    • 詳細な先進事例ベンチマーク
      • ⑲企画コンセプトに類似する国内外の事例ベンチマーク
      • ⑳企画の立案・具体化に向けた示唆出し
    • 企画の立案・具体化
      • ㉑コアターゲット像と提供価値
      • ㉒ユーザー体験/コンテンツ案
      • ㉓活用チャネル/プラットフォーム案

 

  • Phase3:事業計画の策定
    • 事業計画の策定
      • ㉔期待する成果/主要KGI・KPIの設定
      • ㉕開発・運用アプローチ(活用ツール・ベンダー等)の設計
      • ㉖必要なリソース(コスト・人員等)の算出
    • ロードマップ策定
      • ㉗開発・運用のタイムラインの設定
      • ㉘主要マイルストーンの設定
      • ㉙想定されるリスクと対処方法の検討

 

  • Phase4:開発・運用
    • 開発
      • ㉚不足するケイパビリティやリソースの補完
      • ㉛要件定義・システムの基本設計
      • ㉜開発の実行
    • 運用
      • ㉝VRへの集客/マーケティング
      • ㉞運用・保守の実施
      • ㉟効果測定と運用方法の見直し

 

各ステップの詳細は以下の記事で解説しています。

 

※関連記事:VRを活用した事業を作る方法|全4フェーズと35ステップ【担当者必見】

成果につながるメタバース戦略/企画の策定に向けた3つのポイント

成果につながるメタバース戦略/企画の策定に向けた3つのポイント

成果につながるメタバース戦略/企画の策定に向けたポイントとして以下の3つが挙げられます。

  • ①自社の課題・活用目的の明確化
  • ②経営課題を踏まえた骨太なメタバース戦略の策定
  • ③UXに軸足を置いたメタバースならではの体験設計

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

①自社の課題・活用目的の明確化

現在メタバース活用に取り組む企業には、”メタバースを活用すること自体”が目的化してしまっている企業が見受けられます。

 
その結果、商品プロモーションやブランディング、新たな収益源の獲得などの、期待していた成果を上げられないという結果に終わってしまいます。

 

そのため、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜメタバースではないといけないのか?」といった自社の経営課題や活用目的の明確化が、成果につながる戦略/企画策定の大前提となります。

②経営課題を踏まえた骨太なメタバース戦略の策定

現在メタバース活用に取り組む企業には、メタバース活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。

 

その結果、活用のPDCAが回らない、メタバース活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど、大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。

 

そのため、中長期での事業の目指す姿や足元の実証的な取り組み計画を策定するなど、骨太なメタバース戦略の策定が重要です。

③UXに軸足を置いたメタバースならではの企画/体験設計

企業側の都合が中心で設計された、ユーザーバリューやユーザビリティの低いメタバースをリリースしてしまった場合、ユーザーが価値を感じず、継続的な利用をしてくれないという結果に終わってしまいます。

 

そのため、ユーザー目線で”メタバースならでは”の価値ある体験を届けることのできる企画や体験設計が重要となります。

費用対効果・実現性が高いメタバース活用方法

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強力なパートナーシップによる最適なアプローチ設計

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経験豊富なクリエイター・エンジニア・コンサルタントによる並走支援

3つの理由

業界トップクラスの経験/スキルを有するクリエイター・エンジニア・コンサルタントから、最適なメンバーをアサイン。戦略立案から実行まで並走し、社内のリソース不足を解決します。

「課題や依頼内容が明確になっていない」、「社内で合意が取れていない」場合でも問題ございません。メタバース総研へのお問い合わせをお待ちしております。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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