【事例有】メタバースでのビジネスチャンスを掴む6つの方法とは?

FacebookのMetaへの社名変更をきっかけに、幅広い業界の多数の企業がメタバースへの参入を発表しています。

 

一方で、「メタバースが盛り上がっているのは知っているけど、ビジネスチャンスとして具体的にどんなものがあるのか・何に取り組めばいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか?

 

そこで、今回は企業にとってのメタバース領域でのビジネスチャンスを事例とともに解説します。

本記事を読めば、メタバース領域でビジネスチャンスを掴むためのヒントが得られると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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目次

そもそもメタバースとは

そもそもメタバースとは VRChat
(画像:VRChat

メタバースとは一言でいうと、人々が様々な活動を行うことのできるインターネット上の3次元の仮想空間のことを指します。

 

メタバースの語源は「超越」を意味する「meta」と「世界」を意味する「universe」を組み合わせた造語だと言われています。メタバースという言葉が世界で初めて使われたのは、1992年にニール・スティーヴンスン氏が発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」です。

 

メタバースにおいて、ユーザーはアバターと呼ばれる自身の分身の姿でメタバース空間にアクセスし、他のユーザーとコミュニケーションや経済活動を行うことができます。例えば、集まって会話をしたり、イベントやスポーツ、買い物などを楽しむことができます。

 

一般ユーザーに広く普及しているメタバースサービスとして、「Fortnite」や「Roblox」、「どうぶつの森」などのゲーム型のメタバース、「VRChat」や「Cluster」などのSNS型のメタバースが挙げられます。

 

メタバースへのアクセス方法としては、スマホやPCからもアクセス可能ですが、Apple Vision ProやMeta Questのようなヘッドマウントディスプレイからアクセスすることにより、より世界に没入したような体験が可能になります。

メタバースがビジネスチャンスとして注目を集める6つの理由

メタバースが注目を集める6つの理由

メタバースがビジネスチャンスとして注目を集める理由として、主に以下の6つが挙げられます。

 

  • ①AppleやMetaなどのビックテックの本格参入・巨額投資
  • ②関連技術の大幅な進歩とデバイスの低価格化
  • ③コロナによるリモートコミュニケーションの普及
  • ④若年層を中心とするユーザー数の増加
  • ⑤仮想世界に対する人々の意識の変化
  • ⑥メタバース市場の成長性の高さ

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

①AppleやMetaなどのビックテックの本格参入・巨額投資

AppleやMetaなどのビックテックの本格参入・巨額投資
(画像:Meta)

1つ目の理由は、AppleやMetaなどのビッグテックが本格参入し、巨額の投資を行っていることです。例えば、Meta社は、2021年末にFacebookからMetaへ社名変更し、合わせて、メタバース領域に年間約1兆円規模の投資を行うことを発表しました。また、Appleは、2023年6月に、ゴーグル型XRヘッドセットデバイスであるApple Vision Proを発表するなどメタバース関連のデバイスの開発に力を注いでいます。

 

世界を代表するテック企業であるAppleやMeta社が多額の投資をしてまで、メタバースに注力していることは、メタバースには大きな可能性があるということを物語っています。

 

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②関連技術の大幅な進歩とデバイスの低価格化

関連技術の大幅な進歩とデバイスの低価格化 oculus
(画像:Meta)

2つ目の理由は、メタバース関連技術の進歩です。メタバースは様々な領域のテクノロジーによって構成されているサービスですが、特に近年のテクノロジーの発展により体験価値が大きく向上しています。

 

具体的には通信技術の向上やコンピューターの処理性能の向上、メタバース向けデバイスの登場などが挙げられ、セカンドライフが登場した2000年代前半時点と比べると、メタバース空間内での体験をよりスムーズに、より没入感のある形で楽しむことができるようになりました。

 

このようにメタバースがオワコンであるといわれる理由の一つである通信速度の遅さという技術的な制約は、大幅に改善され、今後もさらに進化していくことが期待できます。

③コロナによるリモートコミュニケーションの普及

コロナによるリモートコミュニケーションの普及 horizon workrooms
(画像:Meta)

3つ目の理由は、コロナによるリモートコミュニケーションの普及です。コロナウイルス感染拡大の影響で、人々のコミュニケーションの機会が対面からリモートに移行し、プライベートはもちろん仕事上でのコミュニケーションも、SlackなどのチャットやZOOMなどのビデオ会話によって行われるのが当たり前の時代となりました。

 

デジタルを介したコミュニケーションの需要が拡大しているのはもちろん、人々が抵抗感なくデジタルコミュニケーションを利用するようになっているというのが非常に大きなポイントといえます。

④若年層を中心とするユーザー数の増加

4つ目の理由は、若年層を中心とするユーザー数の増加です。現在メタバースは、特にオンラインゲームでの用途を中心に若年層のユーザー数が急増しています。背景として、若年層は子供の頃から日常的にスマホを利用していること、コミュニケーションの手段としてSNSではなく、オンラインゲーム上のコミュニケーション機能を利用するシーンが増えていることなどが挙げられます。

 

ゲーム型メタバースの代表的なサービスとして挙げられる、フォートナイトが約5億人、ロブロックスが約2億人と圧倒的なユーザー数を誇ります。

 

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⑤仮想世界に対する人々の意識の変化

仮想世界に対する人々の意識の変化 VRChat
(画像:VRChat)

5つ目の理由は、仮想世界に対する人々の意識の変化です。かつては、仮想世界に時間を費やすのはおかしなことで、一部の変わった人がするものだという風潮がありました。

 

ところが、コロナのロックダウンで自宅に閉じ込められた結果、多くの人がフォートナイトやロブロックスなどの仮想世界のゲームに参加し、大いに楽しむようになりました。

 

ゲームだけでなく、バーチャルなイベントに参加したり、離れた場所にいる人と会話したりするためにメタバースを利用する人も増えたことで、仮想世界に対する人々の見方が変わり、かつてあったような偏見があまり見られなくなったと考えられます

⑥メタバース市場の成長性の高さ

メタバース市場の成長性の高さ

6つ目の理由は、メタバース市場の成長性の高さです。メタバース市場は国内・海外ともに今後大きな成長を見せると考えられています。

 

世界のメタバースの市場規模は2020年時点で約68兆円、2024年には約111兆円。日本国内のメタバースの市場規模は2021年度時点で約744億円、その後年率170%で成長し、2026年度には約1兆円にまで成長すると予想されています。

企業がメタバース活用を進める6つの方法

企業がメタバース活用を進める6つの方法

企業がメタバースを活用することでできることは主に以下の6つです。

 

  • ①独自のユーザー向けメタバース空間/サービスの構築
  • ②オンラインショッピングへの活用
  • ③プロモーションへの活用
  • ④メタバースイベントへの出展
  • ⑤独自の業務効率化向けメタバース空間/サービスの構築
  • ⑥リモートワークへの活用

 

それぞれをわかりやすく解説していきます。

 

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①独自のユーザー向けメタバース空間/サービスの構築

独自のユーザー向けメタバース空間/サービスの構築 バンダイナムコ
(画像:バンダイナムコ)

1つ目は独自のユーザー向けメタバース空間/サービスの構築です。

ユーザーに対し、現実に存在するもの/しないものを含め、仮想空間上に3Dの世界を構築することができるというメタバースならではの特徴を活かし、ユニークな体験を提供することができます。

 

企業のメリットとしては、構築したメタバース空間/サービスに既存顧客を集め、新たなサービスを提供することで収益源としたり、既存顧客とは異なる新たな顧客層に対し、既存のビジネスを提供するためのマーケティングに活用するなど様々な形での収益獲得の機会を創出することができます。

②オンラインショッピングへの活用

オンラインショッピングへの活用 三越伊勢丹
(画像:三越伊勢丹)

2つ目はオンラインショッピングへの活用です。

メタバースの特徴を活かし、従来のECでは実現できなかった、実店舗さながらの購買体験を提供することができます。

 

例えば、商品のイメージを3Dで立体的に確認できたり、店舗スタッフや同行者とボイスチャットで会話しながら買い物を楽しんだりすることができます。企業のメリットとしては、コロナ禍で、より実店舗での商品販売が伸び悩むなか、メタバースの特徴を活かすことで、EC化に苦戦していた商品のオンライン化を推し進めることができます。

③プロモーションへの活用

プロモーションへの活用 日産自動車
(画像:日産自動車)

3つ目はプロモーションへの活用です。

メタバースは従来のWebページや動画と比べ伝えられる情報がリッチであるため、ユーザーを惹きつけやすく、幅広い業種でのプロモーションへの活用が進んでいます。企業のメリットとしては、コロナ禍で実店舗でのプロモーションが制限されるなか、メタバースの特徴を活かすことで、従来はオンラインでのプロモーションが難しかった商品やサービスを訴求することができます。

④メタバースイベントへの出展

メタバースイベントへの出展 HIKKY
(画像:HIKKY

4つ目はメタバースイベントへの出展です。

メタバースはアバターを通じ、チャットやボイスチャットでの人々とのコミュニケーションができることが最大の魅力の1つであり、その特徴を活かし、メタバース上で様々な大規模なイベントが開催されています。

 

それらのイベントは個人・企業がブースを出展することができ、多くのユーザーの来場を期待できます。企業のメリットとしては、既存の顧客とは異なる新たな顧客層にリーチができたり、メタバースイベント上でのリアル/バーチャルな商品の販売により収益を得ることができたりします。

⑤独自の業務効率化向けメタバース空間/サービスの構築

独自の業務効率化向けメタバース空間/サービスの構築 川崎重工
(画像:川崎重工)

5つ目は独自の業務効率化向けメタバース空間/サービスの構築です。

メタバースの特徴である3Dでの情報の表示により、現場の作業員の作業をサポートする情報をグラス上に表示したり、現状存在しない施設や設備を設計し、シミュレーションを行うことで、最適な製造ラインや運用方法を特定するなどの活用ができます。

 

企業のメリットとしては、現場レベルの作業効率改善のみならず、バリューチェーン上の開発→生産→販売→アフターサービスの全てのプロセスの業務効率化を図ることができます。

⑥リモートワークへの活用

リモートワークへの活用 マイクロソフト
(画像:マイクロソフト)

6つ目はリモートワークへの活用です。

メタバース上のオフィス空間に集まり、アバターの姿で一緒に働くことで、まるでリアルのオフィスに出社して働いているような体験を提供することができます。

 

企業のメリットとしては、コロナ禍で多くの企業がリモートワークへの移行を進めるなか、リモートワークでの課題となっていた、リモートでのコミュニケーションの難しさや共同での議論や作業の難しさを解消することができます。

メタバースのビジネス活用を成功させる5つのポイント

メタバースのビジネス活用を成功させる5つのポイント

メタバースのビジネス活用を成功させる方法として以下の5つが挙げられます。

 

  • ①実際にメタバースに触れ理解の解像度を高める
  • ②市場/競合の動向や事例をキャッチアップする
  • ③メタバース活用の目的や課題の明確にする
  • ④不足するケイパビリティやリソースを補完する
  • ⑤プロジェクトをアジャイルに推進する

 

各ポイントについて、詳しくは以下の関連記事で解説しています。

 

※関連記事:メタバースはまた失敗に終わってしまうのか?展望と普及のカギも解説

目的別メタバースの活用事例7選

目的別の注目を集める活用事例7選は以下の通りです。

 

<①新サービスの構築>

  • KDDI:ライブ配信、バーチャルショッピングなどができるメタバース「αU」を提供
  • バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるメタバースを構築へ

 

<②マーケティング・ブランディングへの活用>

  • 三越伊勢丹:独自のメタバース空間を構築し新たなEC体験の提供へ
  • 日産自動車:VR chat上で新車発表・試乗会を開催

 

<③社内業務効率化への活用>

  • ウォルマート:メタバース上で混雑等の状況を再現した研修
  • DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化
  • 川崎重工:工場を丸ごとメタバース化する計画を発表

 

それぞれの事例を分かりやすく紹介していきます。

 

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①新サービスの構築:KDDI、バンダイナムコ

メタバースを活用し新たなサービスを構築することで、ユーザーに対し現実に存在するもの/しないものを含め、仮想空間上に3Dの世界を構築することができるというメタバースならではの特徴を活かし、ユニークな体験を提供することができます。

 

そんなメタバースを活用した新サービスに取り組む企業の事例をご紹介します。

 

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1.KDDI:ライブ配信、バーチャルショッピングなどができるメタバース「αU」を提供

KDDI:ライブ配信、バーチャルショッピングなどができるメタバース「αU」を提供
(画像:HIKKY)

KDDIはライブ配信、バーチャルショッピングなどを行うことができるメタバース「αU」を提供しています。KDDIはこれを「現実と仮想を軽やかに行き来する新しい世代に寄り添い、誰もがクリエイターになりうる世界に向けたメタバース・Web3サービス」と位置付け、メタバースは「体験する場所」から「発信する場所」へと進化していきます。

 

αUではライブ配信やバーチャルショッピングを楽しめることに加えて、アバターやマイルームの制作、マイルームの家具の販売など、クリエイターとしての体験が可能です。さらにクリエイター支援の取り組みとして、国内外のパートナーと連携し、日本のクリエイターやコンテンツのグローバル展開をサポートしています。KDDIはこの新サービスに1000億円投入しメタバース関連のコンテンツを拡大していく予定です。

2.バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるメタバースを構築へ

バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるメタバースを構築へ
(画像:バンダイナムコ)

バンダイナムコグループは、2022年4月から掲げる中期ビジョン「Connect with Fans」の重点戦略の1つとして、IPでファンとつながる「IPメタバース」を設定しました。これはメタバースを介し、バンダイナムコグループとファンのコミュニティを作る仕組みで、その第1弾が「ガンダムメタバース」です。ガンダムカンファレンスにて発表されたイメージ映像では、世界中のガンダムファンがメタバース上に集い、語り合ったり、ライブイベントに参加したりする様子が描かれていました。

 

今後バンダイナムコは、グループ以外の企業によるガンダムビジネスへの参入促進や、ガンダムファンがガンダムを活用したビジネスができる場の提供を目指して事業展開を行っていく予定とのことです。

②マーケティング・ブランディングへの活用:三越伊勢丹、日産自動車

メタバースをマーケティング・ブランディングに活用することで、従来はオンラインでの実施が難しかった商品・サービスの販促やメタバースならではの体験を通じた強力なブランディングを行うことができます。メタバースは従来のWebページや動画と比べ伝えられる情報がリッチかつインタラクティブな体験を提供可能なため、ユーザーを惹きつけやすく幅広い業種での活用が進んでいます。

 

そんなメタバースを活用したマーケティング・ブランディングに取り組む企業の事例をご紹介します。

 

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3.三越伊勢丹:独自のメタバース空間を構築し新たなEC体験の提供へ

三越伊勢丹:独自のメタバース空間を構築し新たなEC体験の提供へ
(画像:三越伊勢丹)

三越伊勢丹は、自社の百貨店の店舗を再現したメタバース「Rev worlds」をスマホ向けアプリをリリースしています。同社はこのアプリを通じて、”バーチャルな伊勢丹の店舗”で”リアルな買い物”体験を提供しています。ユーザーはアバターの姿で商品を見て回ることができ、その商品を実際にECで購入することが可能です。店員のアバターも配置され、チャット機能を使った接客も受けられます。

 

現在は婦人服や食品など310ブランドを扱っていますが、今後は家具や日用品にも対象を広げる方針です。友人のアバターと一緒に会話しながら買い物できるようにするなど機能も強化する予定です。

 

他社がメタバース上で開催されるイベントへの出展が中心のなか、三越伊勢丹は既に独自のメタバース空間を構築・提供しており、マーケティングへのメタバース活用をリードする存在といえます。

4.日産自動車:VR chat上で新車発表・試乗会を開催

日産自動車:VR chat上で新車発表・試乗会を開催
(画像:日産自動車)

日産自動車はメタバース上で、新型軽電気自動車「日産サクラ」の発表・試乗会を開催しました。イベントは世界最大のVR SNSプラットフォーム「VRChat」で開催されました。

 

発表会は日産副社長のアバターが登場し、ボイスレターが再生されるという形で進行。また、試乗会では日本の四季を感じられるドライブコースでバーチャルなサクラを運転することができました。VR上での試乗は通常の試乗とは違い、書類での手続きなどが不要で、いつでもどこからでも体験可能な点が強みです。

 

今回の取り組みにより、販売スタッフのアバター操作経験不足や、リアルな商品を仮想空間上でプロモーションする難しさなどが明らかになったとのことです。このような試験的な取り組みを重ねるなかで、将来的に製品のプロモーションチャネルとしてVRイベントが本格的に活用できるユースケースが確立されていくことが期待されます。

③社内業務効率化への活用:ウォルマート、DHL、川崎重工

メタバース・デジタルツインを社内業務の効率化に活用することで、バリューチェーン全体や工程全体の最適化や社員の作業のサポート、研修の効率化をすることができます。

 

メタバース上で現状存在しない施設や設備を設計し、シミュレーションを行うことで、最適な製造ラインや運用方法を特定したり、メタバースの特徴である3Dでの情報の表示により、AR/MRグラスで現場の作業員の作業をサポートしたり、VRグラスにより様々なシチュエーションを想定した研修を行ったりと多岐にわたる活用方法が存在します。

 

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5.ウォルマート:メタバース上で混雑等の状況を再現した研修

ウォルマート:メタバース上で混雑等の状況を再現した研修
(画像:ウォルマート)

世界的なスーパーマーケットチェーンであるウォルマートは、接客のトレーニングにVRを導入しています。従業員にHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着させ、ブラックフライデーなどの販売イベント時に大勢のお客様に対応するための研修を行っています。

 

従来の研修とは異なり、現実には再現が困難な状況を実際に体験しているかのような、リアリティの高い研修を行うことができます。

 
この研修を行うため、ウォルマートは1万7000台のOculas Questを約4700店舗に準備するなど大規模な投資を行っており、VRを活用した研修に本腰を入れています。

6.DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化

DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化
(画像:DHL)

ドイツの大手物流企業のDHL社は、グーグルのスマートグラス「Glass Enterprise Edition 2」を導入し、倉庫での配送業務にARを活用しています。従業員はピッキング作業の現場でグラスを着用することで、製品・商品の保管場所やカート配置場所といった必要な情報を確認することが可能です。

 

ハンズフリーで即座に必要な情報にアクセスできるため、作業の精度と効率の向上に繋がります。また多くのスマートグラスにはマイク機能が搭載されており、遠隔かつハンズフリーで会話による連携を取ることも可能です。

7.川崎重工:工場を丸ごとメタバース化する計画を発表

川崎重工:工場を丸ごとメタバース化する計画を発表
(画像:川崎重工)

川崎重工はマイクロソフト社のカンファレンス「Build2022」にて、工場を丸ごとメタバース化する「インダストリアルメタバース」の構築に取り組むことを発表しました。この取り組みにより、工場における全工程をバーチャル空間上でシミュレーションできるデジタルツインの構築を目指すとのことです。

 

同社は、マイクロソフトのクラウド/IoT管理ソリューション「Azure IoT」、エッジAIソリューション「Azure Percept」、MRデバイス「HoloLens 2」を採用し、生産ラインや製造現場の管理に取り組んでいます。これにより、ロボットの障害発生時の迅速な対応や、トラブルを未然に防ぐ予知保全が可能になります。また、リアルタイムかつ遠隔で専門家からのアドバイス、支援を受けることができるようになりました。

 

また、「Azure Digital Twins」を用いることで、過去・現在・未来の稼働状況を仮想空間上で把握することで、問題の原因を特定し解決することも可能です。従来は物理的に目を通しにくかった箇所の点検や、未来の状況予測が可能になるため、未然の事故防止に繋がると考えられています。

メタバースの未来:今後の展望と普及へのカギ

メタバースの未来:今後の展望と普及へのカギ

メタバース市場は、今はまだ黎明期にあり、2040年ごろにかけて「黎明期」「普及期」「定着期」の3つのフェーズを経て発展していくと考えられています。

➀黎明期(~2025年):一般ユーザーにメタバースの認知が広まる

現在〜2025年までのメタバース黎明期は、メタバースを構成する技術要素の進化と社会的なニーズの高まりを機に、多くの一般ユーザーがメタバースに興味を示し始めます

 

それに伴い多くの企業がメタバース市場への参入を始めます。具体的には技術の発展により、VRデバイスの低価格や小型化が進み、一般ユーザーでも利用しやすいデバイスになること、新型コロナウイルスの流行により、リモートコミュニケーションの需要が高まることなどにより、メタバースが大きく発展する準備が整うフェーズと言えます。

 

一方で、メインのユーザー層はVRゲームを目的とするコアユーザーであり、市場としてもデバイスやゲームタイトルが中心となっています。

②普及期(2025~2030年):メタバースが一気に人々の生活に普及

2025~2030年のメタバース普及期は、要素技術の更なる発展と、メタバース上で提供されるサービスの充実により、メタバースが一気に人々の生活に普及し始めます。

 

この頃にはVR/ARデバイスはかなり小型化・軽量化され、長時間装着することが可能になっており、現代におけるスマホのような感覚で、幅広い活動をメタバース上で行うようになっていきます。

 

人々がメタバースで過ごす時間が長くなるにつれ、メタバース空間上のデジタルアセット(アバターやアバターの洋服など)がより価値を持ったり、メタバース上のメディアやSNSの広告がより価値を持っていくと考えられます。

③定着期(2030年~):多くの人々が当たり前にメタバース空間で活動

2030年以降のメタバース定着期は、要素技術が一通り成熟し、人々がメタバース空間にアクセスする上での課題は解決され、老若男女問わず多くの人々が当たり前にメタバース空間で活動するようになると考えられています。

 

現代のスマホのように、あらゆる領域のサービスにアクセスするベースとなる存在に発展しており、消費者向けのサービスの充実はもちろん、多くの企業の業務プロセスにメタバースが取り込まれていくと考えられます。

 

具体的には、企業の教育研修がメタバースを通じて行われたり、製造業のバリューチェン全体がメタバース上に構築され、各種シミュレーションや現場の作業員のサポートにも活用されるなど、仕事でもメタバースを活用することがごく自然に行われるようになっていくでしょう。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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