【2024年最新】メタバース開発に必要な13の技術や仕組みを紹介

2021年末のFacebookのMetaへの社名変更をきっかけに、世界的に注目を集めるメタバース。日本でも各業界の企業が参入を発表しています。

一方で、「メタバースを活用するのに必要な技術としてどのようなものがあるのか分からない」という方も多いのではないでしょうか? 

 

そこで、今回はメタバースの開発に必要な要素技術を分かりやすく解説します。

本記事を読めば、メタバースを構成する技術の全体像を効率良くキャッチアップできると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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そもそもメタバースとは

そもそもメタバースとは VRChat
(画像:VRChat

メタバースとは一言でいうと、人々が様々な活動を行うことのできるインターネット上の3次元の仮想空間のことを指します。

 

メタバースの語源は「超越」を意味する「meta」と「世界」を意味する「universe」を組み合わせた造語だと言われています。メタバースという言葉が世界で初めて使われたのは、1992年にニール・スティーヴンスン氏が発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」です。

 

メタバースにおいて、ユーザーはアバターと呼ばれる自身の分身の姿でメタバース空間にアクセスし、他のユーザーとコミュニケーションや経済活動を行うことができます。例えば、集まって会話をしたり、イベントやスポーツ、買い物などを楽しむことができます。

 

一般ユーザーに広く普及しているメタバースサービスとして、「Fortnite」や「Roblox」、「どうぶつの森」などのゲーム型のメタバース、「VRChat」や「Cluster」などのSNS型のメタバースが挙げられます。

 

メタバースへのアクセス方法としては、スマホやPCからもアクセス可能ですが、Apple Vision ProやMeta Questのようなヘッドマウントディスプレイからアクセスすることにより、より世界に没入したような体験が可能になります。

 

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メタバースを体験するための技術5選

メタバースを体験するための技術5選

メタバースを五感で体感するための技術として以下の5つが挙げられます。

 

  • ①視覚・聴覚:VRヘッドマウントディスプレイ
  • ②触覚:ハプティクス技術
  • ③嗅覚:嗅覚ディスプレイ
  • ④味覚:味覚ディスプレイ
  • ⑤五感全体:BMI(ブレインマシーンインターフェイス)

 

それぞれの技術について詳しくは以下の関連記事で紹介しています。

 

※関連記事:メタバースを五感で体験するための技術とは?

メタバースを構成する13の技術と7カテゴリ

メタバースを構成する13の技術と7カテゴリ

メタバースに必要な技術として以下の7つのカテゴリと13の要素技術が挙げられます。

 

  • 1.VR/AR/MRデバイス:ディスプレイ、バッテリー、プロセッサー、モーションキャプチャー
  • 2.3Dコンテンツ作成:3Dモデリング、アバター生成、ボリュメトリックビデオ
  • 3.空間認識:空間構造データ、自己位置認識
  • 4.通信技術:5G
  • 5.データ分析:AI
  • 6.データ収集:IoT
  • 7.データ管理:ブロックチェーン/NFT

 

それぞれの技術について分かりやすく解説していきます。

 

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1.VR/AR/MRデバイス

MetaQuestやPlaystation VRに代表されるようなVR/AR/MRデバイスの進化は、メタバースの発展において最も重要なファクターの1つです。近年様々な要素技術の発展により、「より没入感のある体験」を「より身体的な負担が少なく楽しめる」デバイスが登場し始めています。

①ディスプレイ

VR/AR/MRデバイスに搭載されるディスプレイ技術の発展は、メタバース空間により没入しているような体験の実現に繋がっています。具体的にはディスプレイの解像度や反応速度、色合いなど様々な要素の発展が、メタバースへの没入感を増大させ、体験価値を大きく向上させています。

②バッテリー

VR/AR/MRデバイスに搭載されるバッテリー技術の発展は、メタバース空間にアクセスする負担を減らし、長時間アクセスし続けることを可能にしています。スマホなどのデバイスにも言えることですが、バッテリーの小型化・軽量化により、ユーザーが長時間利用し続けることが可能になりつつあります。

③プロセッサー

VR/AR/MRデバイスに搭載されるプロセッサー技術の発展は、メタバース空間における体験の質の向上とアクセスの負担軽減に繋がっています。具体的には、プロセッサーの性能の進化に伴い、デバイスからアクセスするメタバース空間のコンテンツの解像度や処理速度の向上が進んでいます。

 

また、プロセッサーの小型化・軽量化に伴い、デバイスをPCにコードで接続することのない、小型・軽量のスタンドアロン型のデバイスが登場しています。

④モーションキャプチャー

モーションキャプチャーとは、デバイスの操作者の手や目の動きを追跡し、アバターの動きや表情などに反映する技術のことです。

 

VR/AR/MRデバイスに搭載されるモーションキャプチャー技術の発展は、メタバース空間上でユーザーのアバターをコントロールする負担の軽減とコミュニケ―ションの円滑化に繋がっています。具体的には、アバターの操作をコントローラーでの操作だけでなく、ハンドジェスチャーや目の動きによって行うことで、操作の負担を大幅に減らすことができます。

 

また、これらの操作が自身のアバターの身振り手振りや表情に細かく反映されることで、他ユーザーに伝わる情報量が増え、コミュニケーションの円滑化にも繋がっています。

 

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2.3Dコンテンツ作成

3Dコンテンツ作成技術の進化は、メタバースの発展において非常に重要なファクターです。メタバース上に存在するモノやヒトを、よりリアルかつ簡単に作成することができるツールの開発・普及により、多くの企業やクリエイターがメタバース空間自体やコンテンツを制作する環境が整ってきています。

⑤3Dモデリング

3Dモデリング Unity
(画像:unity)

3Dモデリングとは、3Dモデルと呼ばれる、3次元のオブジェクトをソフトウェアを使用して作成することを指します。

3Dモデリング技術の発展は、メタバース空間上のコンテンツの質と量の向上に繋がっています。

 

近年ゲーム向けを中心に、3Dモデル制作ツールが発展したきたことにより、3Dモデルを用いたコンテンツが広く普及しました。3Dモデル制作ツールの代表例として、「Unity」や「Maya」、「Blender」などが存在し、これらは高度なプログラミングを用いずに利用することができるため、3Dモデルを取り扱えるクリエイターや企業の数が増えたことが、3Dモデルを用いたコンテンツが広く普及してきた背景の1つです。

 

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⑥アバター生成

アバター生成 Ready Player Me
(画像:Ready Player Me)

アバター生成技術とは、ユーザーがメタバース上で自身の分身として利用するアバターを生成する技術のことです。アバター生成技術の発展は、メタバース空間での活動への没入感を高めることに繋がっています。

 

アバターの作成の方法として、簡単なオプションから選択する方法や、「Unity」等の本格的なツールを使い3Dモデリングを自分で行う方法、「Ready Player Me」のようなツールを使い、自分の顔写真から自動生成する方法があります。

⑦ボリュメトリックビデオ

ボリュメトリックビデオとは、現実世界の空間や人、その人の動きなど全体を撮影し、3次元データ化する技術のことです。ボリュメトリックビデオ技術の発展により、デバイスから特定の空間内においてあらゆる視点から映像を見たり、操作したりすることが可能になりました。

 

具体的には、バスケのコート内に自分がアバターの姿で入り込み、プレー中にリアルタイムでコート内を移動しながら観戦するといった活用方法が考えられています。直近では、主にスポーツ観戦などの分野で活用が進んでいくと考えられています。

3.空間認識

空間認識技術の発展は、メタバースを次のレベルに大きく飛躍させる可能性を秘めています。現状メタバースとして広く利用されているのは、完全な仮想空間をベースとするVRメタバースです。

 

一方で、今後はリアルの世界とバーチャルの世界が融合したAR/MRメタバースが発展していくと考えられています。

 

そこで必要になるのが、空間認識の技術です。リアルとバーチャルの世界を融合させるためには、リアルの世界のデータとユーザーがどのような場所にいるのか特定する技術が非常に高い精度で求められます。

⑧空間構造データ

空間構造データとは、現実世界の土地や建物などの3Dデータのことです。空間構造データが整備されることで、現実世界と紐づいたメタバース(AR/MRメタバース)が実現されています。

 

空間構造データは企業や政府が整備を進めており、代表的なプレイヤーとしてはGoogleMapによる大量の地図データを有するGoogleや、日本の国土交通省等が挙げられます。

 

国土交通省は2020年度から「Project PLATEAU(プロジェクトプラトー)」という、スマートシティをはじめとする都市開発のDX化を目的とし、都市の3Dモデルの整備・活用を推進するプロジェクトを進めています。地方自治体や民間企業を巻き込みながら、全国の3D都市モデルのデータ整備、ユースケース開発、3D都市モデルの整備・利活用ムーブメントの惹起とオープンデータ化に取り組んでいます。

⑨自己位置認識

自己位置認識技術とは、デバイスが世界のどの位置にあるかをリアルタイムで計測する技術の事です。自己位置認識技術の発展により、現実世界と紐づいたメタバース(AR/MRメタバース)が実現されています。自己位置認識には大きく、SLAMとVPSのいずれかの技術が用いられます。

 

SLAM マクニカ
(画像:マクニカ)

SLAMは「Simultaneous Localization and Mapping」の略で、地図データと位置情報の特定によって、自分がどこにいるのか、周辺環境はどのようなものなのかを判断する技術の事です。強みとしてはGPSをベースにしているため、世界中幅広いエリアをカバーできるという点が挙げられます。

 

VPS ナイアンティック
(画像:ナイアンティック)

VPSは、「Visual Positioning Service」の略で、スマホ等のカメラから得られた画像情報を基に、自分がどこにいるのか、どちらを向いているのかなどを判断する技術の事です。強みとしては、SLAMに比べ、数センチ単位での正確な位置特定ができる点と、屋外だけでなく屋内の位置特定ができる点が挙げられます。

 

一方で、VPSサービスを利用するには、対象エリアの画像情報を大量に収集する必要があり莫大なコストがかかります。将来的な本格活用を見据え、大量の地図データを持つGoogleやApple、ポケモンGOを提供する米ナイアンティック社など、海外ビックテックがデータ収集を進めています。このように、SLAMとVPSにはメリット・デメリットが存在し、どちらの技術を採用するかに、各社の戦略が現れています。

4.通信技術

⑩5G

5Gとは、第5世代移動通信システム(5th Generation)のことで、大きな特徴として「高速大容量」、「高信頼・低遅延」、「多数同時接続」の3つが挙げられます。5G通信が普及したことで、多くのユーザーがメタバース空間でスムーズな体験をすることが可能になりました。メタバースは三次元の仮想空間上に多くのユーザーがアクセスするため、データ通信技術の発展は、メタバースの普及の絶対条件だったと言えます。

5.データ分析

⑪AI

AIの発展は、ユーザーに対してのメタバース体験価値向上に加え、企業のメタバース活用の意義の増大をもたらします。ユーザーにとっては、メタバース上で利用するサービスがAIによって最適化され、体験価値が向上します。

 

また、企業がメタバース/デジタルツインを活用する際には、3次元の仮想空間上での人々の活動データやリアルの世界のデータなど、膨大なデータを活用するシミュレーションの精度向上などに貢献すると考えられています。

6.データ収集

⑫IoT

IoTの発展は主に企業のメタバース活用の意義の増大をもたらします。企業はメタバース/デジタルツインを用いて、建物や設備はもちろん、製品や製造ラインのシミュレーションを行い、最適化を進めていますが、それらで用いるデータを各種IoTデバイスによって、リッチにし、シミュレーションの価値を高めることができます。

7.データ管理

⑬ブロックチェーン/NFT

NFTとはブロックチェーン上の偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータのことを指します。このNFTはメタバースの大きな特徴の1つである、バーチャル空間上での経済活動の発展に大きく3つの側面で貢献すると考えられています。

 

1つ目の側面は、メタバース上のデジタルアセットの権利保護です。メタバース上で売買されるデジタルアセットの代表的な例として、アバターやアバター用のデジタルファッションアイテムなどが挙げられます。それらを従来のようにNFTを用いずに管理・売買を行うと簡単に複製が行えてしまうため、デジタルデータ自体に価値がつきづらく、制作者のインセンティブも生まれづらいという課題がありました。

そこで、それらのデータをNFTとして管理・売買することで、そのデータが世界で唯一であることを証明でき、複製することが難しくなるため、価値を持つようになり、経済活動が加速すると考えられています。

 

2つ目の側面は、メタバース間での相互運用の実現です。NFTの特徴としてデータ自体を特定の会社のプラットフォームに依存せず、自分自身で管理できるというものがあります。その特徴を活用することで、異なるメタバース間でデジタルアセットを持ち運ぶことができるようになると期待されています。このデータの相互運用の仕組みにより、メタバースの最終形と考えられるマルチバースの実現に貢献できると考えられています。

 

3つ目の側面は、メタバースへのアクセス権の管理です。特定のNFT保有者のみがアクセスできるメタバース空間を構築することで、メタバースへのアクセス権を管理することができ、メタバース空間での体験のプレミア化を図ることが出来ます。既に多くのハイブランドがこの活用法を実践しており、自社の発行したNFT保有者限定で、限定イベントやアイテムの先行販売が行われるメタバースの運営を通じて、ファンのエンゲージメントを高める取り組みを進めています。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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