【わかりやすく】メタバースの定義は?実現に必要な7つの条件も解説

2021年末のFacebookのMetaへの社名変更をきっかけに、世界的に注目を集めるメタバース。メタバースの定義は人によって様々で、メタバースの捉え方の中心をVRChatなどのSNSに置く派閥やThe SandboxなどのNFTに置く派閥、Fortniteなどの3DCGに置く派閥などが存在するため、理解が難しい概念となっています。

 

一方で、「メタバースのなんとなくのイメージは湧くけど、定義や条件までは理解していない」という方が大半なのではないでしょうか?

 

そこで、今回はメタバースの定義や実現に必要な7つの条件を初心者の方にも分かりやすく解説します。

本記事を読めば、メタバースとは何か?をしっかりと理解できると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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メタバースとは

そもそもメタバースとは VRChat
(画像:VRChat)

メタバースとは一言でいうと、人々が様々な活動を行うことのできるインターネット上の3次元の仮想空間のことを指します。

 

メタバースの語源は「超越」を意味する「meta」と「世界」を意味する「universe」を組み合わせた造語だと言われています。メタバースという言葉が世界で初めて使われたのは、1992年にニール・スティーヴンスン氏が発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」です。

 

メタバースにおいて、ユーザーはアバターと呼ばれる自身の分身の姿でメタバース空間にアクセスし、他のユーザーとコミュニケーションや経済活動を行うことができます。例えば、集まって会話をしたり、イベントやスポーツ、買い物などを楽しむことができます。

 

一般ユーザーに広く普及しているメタバースサービスとして、「Fortnite」や「Roblox」、「どうぶつの森」などのゲーム型のメタバース、「VRChat」や「Cluster」などのSNS型のメタバースが挙げられます。

 

メタバースへのアクセス方法としては、スマホやPCからもアクセス可能ですが、Apple Vision ProやMeta Questのようなヘッドマウントディスプレイからアクセスすることにより、より世界に没入したような体験が可能になります。

 

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メタバースの実現に必要な7つの条件

メタバースの実現に必要な7つの条件

2020年にアメリカのベンチャー投資家のマシュー・ポール氏が定義したメタバースが備えるべき7つの条件は、マークザッカーバーグがエッセイの熟読を表明するほど、有力な指針の1つとされています。

 

マシュー・ポール氏によるメタバースが備えるべき7つの条件は以下の通りです。

 

  • ①永続的である
  • ②同期的である
  • ③同時接続ユーザー数に制限がない
  • ④経済性がある
  • ⑤リアルとバーチャルの垣根が無い
  • ⑥相互運用性がある
  • ⑦幅広い企業・個人による貢献がある

 

それぞれの条件について分かりやすく解説していきます。

①永続的である

1つ目の特徴は、永続的に存在するという点です。メタバースはインターネット上の世界であり、途中で世界が止まってしまったり、リセットされるということはあってはなりません。そのため、従来のRPGなどのゲームとは異なり、各プレイヤーの意思に関わらず、永続的に存在し続ける必要があります。

②同期的である

2つ目の特徴は、リアルタイム性があるという点です。この特徴によりユーザーは他のユーザーとの体験をリアルタイムに共有することができ、現実世界と同様のコミュニケーションの円滑さも実現されます。

③同時接続ユーザー数に制限がない

3つ目の特徴は、同時接続ユーザー数に制限がないという点です。この特徴により、まるで現実世界のように1つの世界に多くの人々が存在し、活動や交流が行われる環境を実現することができます。一方で、現在の技術レベルだと同時に接続できる人数は数百人が限界というサービスが多く、今後の発展が期待されています。

④経済性がある

4つ目の特徴は、経済性があるという点です。メタバースの発展にこの要素は必要不可欠です。メタバース空間上での価値提供に対し、現実の世界でも価値を持つ通貨が対価として支払われることで、メタバース上での体験を豊かにする様々な活動が活発化していきます。既に、アバターの着用する洋服やメタバース空間の一区画の売買が行われ、メタバースの発展に繋がっています。

⑤リアルとバーチャルの垣根が無い

5つ目の特徴は、リアルとバーチャルの垣根が無いという点です。この特徴は従来のインターネットサービスと最も異なる点で、自分が実際にメタバース空間に入り込んでいるような感覚が得られることが重要です。視覚や聴覚を刺激するヘッドマウントディスプレイや、触覚を刺激するグローブ型デバイスなどの関連デバイスの進化により、没入感がより高まっていくと考えられています。

⑥相互運用性がある

6つ目の特徴は、相互運用性があるという点です。相互運用性の実現には、異なるメタバースプラットフォーム間でも、アバターやアイテムなどを自由に持ち運びできる必要があります。この相互運用性があるメタバースはマルチバース(多元宇宙)とも呼ばれ、各企業や個人が提供するメタバースが完全に接続された状態を表しています。

⑦幅広い企業・個人による貢献がある

7つ目の特徴は、幅広い企業・個人による貢献があるという点です。メタバースにおけるコンテンツや体験は、特定の企業ではなく、幅広い企業や個人によって提供される必要があります。この条件を実現するために有効な仕組みとしてUGC(User Generated Contens)があり、ゲーム版Youtubeとも呼ばれるRobloxはこの仕組みを活用し、急成長を遂げています。

代表的なメタバース3選

メタバースがどのようなものなのか、具体的なイメージを持っていただくために、代表的な3つのメタバースをご紹介します。

 

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①Fortnite(フォートナイト):3.5億人がはまるバトルロイヤルゲーム

Fortnite(フォートナイト):3.5億人がはまるバトルロイヤルゲーム
(画像:Epic Games)

Fortniteとは、​​小さな島で100人のプレイヤーと戦って最後まで勝ち残ることを目指すバトルロイヤルゲームです。一般的に知られてはいないですが、Fortnite内にはバトルロイヤル以外にも3つのゲームモードがあり、それぞれ「ゼロビルド」(建築なしのバトルロイヤル)、「クリエイティブ」(ユーザーが制作したゲーム)、「世界を救え」というゲームモードになります。ゲーム内でリアルタイムでのユーザー同士のコミュニケーションが活発に行われている点やアーティストのライブなどゲーム以外での利用もされている点から、世界を代表するメタバースの1つとも言われています。

 

基本的には無料で複数人でプレイできること、簡単な操作でゲームを楽しめること、コロナウイルス感染拡大により余暇時間が生まれたことなどにより、小学生を中心に世界中で爆発的に流行な流行を見せています。

 

2017年にリリースされたFortniteは、現在総ユーザー数約3.5億人、月間アクティブユーザー数はピーク時で6,200万人と、圧倒的なユーザー数をかかえるメタバースへと発展しており、未上場ではありますが時価総額は約4兆円まで到達しています。

②Roblox(ロブロックス):2億人がハマるゲーム版YouTube

Roblox(ロブロックス):2億人がハマるゲーム版YouTube
(画像:Roblox)

Robloxとは、他ユーザーが作成した様々なゲームをプレイしたり、ユーザー自身もゲームを作成することのできる、ゲームプラットフォームです。利用されるゲームの全てがユーザー自身によって作成されていることから、「ゲーム版のYoutube」とも評されています。

 

また、ゲーム内でリアルタイムでのユーザー同士のコミュニケーションが活発に行われている点やゲーム内のアバターやアイテムを売買する経済圏が成立していることなどから、世界を代表するメタバースの1つとも言われています。

 

Roblox最大の特徴は、プレイされる全てのゲームがユーザーによって作成されている点です。Roblox社はゲームタイトル自体を制作することはなく、ユーザーがより簡単に優れたゲームを制作しやすいツール・環境を整備することにリソースを集中させています。この取り組みにより小学生でもゲームタイトルを簡単に制作することができ、一部のタイトルは多数のユーザーを集めるヒットコンテンツとなっています。

 

基本的には無料で複数人でプレイできること、簡単な操作でゲームを楽しめること、コロナウイルス感染拡大により余暇時間が生まれたことなどにより、小学生を中心に世界中で爆発的に流行な流行を見せています。

 
2004年にリリースされたRobloxは、現在総ユーザー数約2億人、デイリーアクティブユーザー数は約5000万人と、圧倒的なユーザー数をかかえるメタバースへと発展しています。また、Roblox上でやり取りされる仮想通貨「Robux(ロバックス)」の流通額は2021年時点で年間約3兆円を記録しており、2021年3月の米ナスダック上場時の時価総額は最大3兆円規模に達しました。

③VRChat:世界最大のソーシャルVRプラットフォーム

VRChat:世界最大のソーシャルVRプラットフォーム
(画像:VRChat)

VRChatとは、VR上で世界中の人々とコミュニケーションが取れる、世界最大のソーシャルVRプラットフォームです。ユーザーは、好きなアバターの姿でチャットや音声通話、身振り手振りなどを通じてコミュニケーションを取ることができます。また、コミュニケーションはVRChat内に存在する無数のワールドと呼ばれるバーチャル空間内で行われ、ユーザー自身がワールドを作成したり、そこでイベントを開いたりすることもできます。

 

VRChatはPCからもアクセス可能ですが、Meta QuestなどのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)からアクセスすることで、まるで同じ部屋にいる人と会話しているような体験をすることができます。

 

2022年1月には同時接続者が過去最高の約4.2万人にまで上り、世界を代表するVR/メタバース空間に成長しています。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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