メタバースの食品業界への活用事例10選|5つのメリットも解説します
関連技術の進歩やオンラインコミュニケーション需要の高まりなどを背景とし、今後急速に人々の生活や仕事に普及していくと考えられるメタバース。
現在、ゲームやエンタメ業界の活用に注目されがちですが、コカ・コーラやブルボンなど、大手の食品業界の企業も相次いで参入を始めています。
そんななか、「食品業界のビジネスにどのようにメタバースを活用するのかイメージが沸かない」、「具体的にどのような活用事例があるのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、メタバースの食品業界への活用事例やメリットとともにわかりやすくご紹介します。
本記事をお読みいただければ、メタバースを食品業界のビジネスに活用するためのヒントが得られるかと思いますので、ぜひ最後までご一読ください。
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そもそもメタバースとは
メタバースとは一言でいうと、人々が様々な活動を行うことのできるインターネット上の3次元の仮想空間のことを指します。
メタバースの語源は「超越」を意味する「meta」と「世界」を意味する「universe」を組み合わせた造語だと言われています。メタバースという言葉が世界で初めて使われたのは、1992年にニール・スティーヴンスン氏が発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」です。
メタバースにおいて、ユーザーはアバターと呼ばれる自身の分身の姿でメタバース空間にアクセスし、他のユーザーとコミュニケーションや経済活動を行うことができます。例えば、集まって会話をしたり、イベントやスポーツ、買い物などを楽しむことができます。
一般ユーザーに広く普及しているメタバースサービスとして、「Fortnite」や「Roblox」、「どうぶつの森」などのゲーム型のメタバース、「VRChat」や「Cluster」などのSNS型のメタバースが挙げられます。
メタバースへのアクセス方法としては、スマホやPCからもアクセス可能ですが、Apple Vision ProやMeta Questのようなヘッドマウントディスプレイからアクセスすることにより、より世界に没入したような体験が可能になります。
メタバースを食品業界のビジネスに活用する5つのメリット
メタバースを食品業界のビジネスに活用するメリットとして主に以下の5つが挙げられます。
- ①コロナ禍対策としてのオンラインシフト
- ②幅広い顧客にリーチできる
- ③メタバースならではの体験により訴求力が向上する
- ④ブランドへのロイヤリティを強化しやすい
- ⑤SNS等でのバズマーケティングに繋がりやすい
それぞれのメリットについてわかりやすく紹介していきます。
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➀コロナ禍対策としてのオンラインシフト
1つ目のメリットは、コロナウイルス感染拡大防止のための行動制限などの影響で、幅広い業界のマーケティング・プロモーション活動が打撃を受けています。
商材によってはオンラインでのプロモーションへのシフトを成功させています。一方で、実物を確認して買いたいという人が多い商材や実店舗でのプロモーションイベントや顧客ひとり一人に寄り添った提案が重要な商材のマーケティングのオンラインシフトは非常に難易度が高く、幅広い業界の企業の課題となっています。
そこで、マーケティングにメタバース活用することで、実店舗などのリアル空間で行っていたマーケティング施策のオンラインシフトを行うことが可能です。
②幅広い顧客にリーチできる
2つ目のメリットは、幅広い顧客にリーチできるという点です。メタバースを活用したマーケティングの特徴の1つとして、「いつでも、どこからでもアクセスしてもらえる」という点があります。
従来のリアルな空間でのプロモーションイベントでは、ターゲットとなる人が地理的に大きく制限されているため、一定程度ターゲットが密集している都心部など以外で施策を実施しづらいという課題がありました。そこで、メタバース上でマーケティング施策を行うことで、幅広い地域のターゲットにリーチすることが可能です。
また、メタバースを活用することで、従来若者世代との接点獲得に苦戦していた企業・商材のマーケティングを加速させることもできます。メタバースがデジタルネイティブの比較的若い世代から人気を集めていることや、人気のコンテンツなどとコラボしたりゲーミフィケーションを取り入れたプロモーション施策との相性が良いことから、若者世代の顧客獲得への打ち手としての活用が進んでいくことが考えられます。
③メタバースならではの体験による訴求力向上
3つ目のメリットは、メタバースならではの体験による訴求力向上ができるという点です。
マーケティングにメタバースを活用することで、オンラインでの商材の訴求力を向上することができます。訴求力向上に繋がるポイントは大きく2点あります。
1点目は、3Dモデルを活用した訴求力の向上です。顧客が商材や店舗、施設を目の前にしているような体験を提供でき、従来オンラインで商材の魅力が伝わりづらく、オンラインプロモーションに苦戦していた商材の訴求力を向上することができます。
2点目は、メタバースならではの体験を通じた、新たな購買体験による訴求力の向上です。オンラインでありながら、友人と一緒に買い物が出来る環境を構築したり、リアルでは簡単に提供できない非現実的な体験型のプロモーション施策を低コストで実施したりすることができます。
④ブランドへのロイヤリティを強化しやすい
4つ目のメリットは、ブランドへのロイヤリティを強化しやすいという点です。メタバースを活用することで新たなブランド体験を提供できるためです。広告・マーケティング活動をWebやSNSで行う場合とメタバース上で行う場合の最も大きな違いは、ブランドがユーザーに対し3次元の空間上でインタラクションを交えた体験を設計できることです。
そのため、従来は各ブランドがリアルで開催していたイベントや、リアルでは実現の難しいゲーミフィケーションを交えた体験設計などを通じて、ブランドの世界観を体験してもらう取り組みが可能です。
⑤SNS等でのバズマーケティングに繋がりやすい
5つ目のメリットはSNS等でのバズマーケティングに繋がりやすいという点です。メタバースは他の画像や動画をベースとした一般的なWeb広告と比べ、珍しさがあることや、アニメーションやゲーミフィケーションを取り入れることで、コンテンツとしての魅力があることなどからSNS等でシェアされやすい傾向があります、
そのため、広告宣伝費以上の広告効果が得られたり、SNS上でのトレンドになれば、ユーザーに対し強力なインパクトを残すことができます。
メタバースの食品業界での活用事例10選
メタバースの食品業界での代表的な活用事例として以下の10つが挙げられます。
- ➀ジャックダニエル:歴史や製造方法を学べるAR絵本
- ②ドミノピザ:AR上で世界中のチーズをめぐる旅を体験
- ③ブルボン:自社の世界観を伝える専用メタバース空間を構築
- ④大丸松坂屋:メタバース上の百貨店で600種類の食品を販売
- ⑤ふくや :ECにメタバースを活用しCVR30%を記録
- ⑥コカ・コーラ:メタバース上で新製品のプロモーションイベントを開催
- ⑦キリン:メタバース上でオンライン工場見学を実施
- ⑨オレオ:ミニゲームなどを楽しめる独自のメタバースをリリース
- ⑩McCormick:Decentraland上にバーチャルスパイスマーケットを構築
それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。
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➀ジャックダニエル:歴史や製造方法を学べるAR絵本
ウイスキーメーカーであるジャックダニエルは、自社の歴史やウイスキーの製法を学べるARアプリをリリースしました。
アプリにてウイスキーボトルを読み取ると、ボトル上に飛び出す絵本のような立体的なコンテンツが表示され、楽しみながらジャックダニエルの歴史やウイスキーの製法を学ぶことができます。
このARアプリの提供は、短期的な売上だけでなく、中長期的なブランドへのロイヤリティ向上に向けた効果がある取り組みと言えます。
②ドミノピザ:AR上で世界中のチーズをめぐる旅を体験
ドミノピザ社は、AR上で世界のチーズをめぐる旅を体験してもらいながら、チーズピザの購買に繋げるというプロモーションを行いました。
チラシや特設サイトからARカメラ起動ページにアクセスすると、目の前に地球儀が登場し、世界中のチーズの名産地が表示されます。ユーザーは各産地のチーズの特徴や楽しみ方を確認することができました。
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③ブルボン:自社の世界観を伝える専用メタバース空間を構築
ブルボンは、お菓子の持つ「楽しさ」を伝えるブルボンの世界観と、ブルボン本社がある新潟県柏崎市の魅力を発信するための専用のメタバース空間を構築しました。
メタバース空間では、ブルボンの歴史などを学んだり、道中で拾ったコインでカプセルトイのガチャガチャで遊べます。また、自販機からはブルボンのオンラインストアへアクセスでき、メタバースコラボ商品を含めたブルボンの商品を注文できます。
今後は、企業と生活者の安全・安心な対話型のコミュニケーションを実現する場として展開し、さらなるファンの獲得とファン同士のコミュニティの活性化につなげていくことを目標としています。
④大丸松坂屋:メタバース上の百貨店で600種類の食品を販売
大丸松坂屋は、世界最大のメタバース/VRのイベント「バーチャルマーケット」への出展を発表しました。大丸松坂屋は専用のブースであるニューヨークの街並みを再現した空間に、「バーチャル大丸・松坂屋」を出展します。来場者は百貨店内で600種類以上のグルメの買い物を楽しんだり、大丸松坂屋の400年の歴史を体感できるアトラクションを楽しんだりすることができます。
食品ブースでは、来場者が自由に店内をまわり、食品3Dモデルを手に取って商品の形状を確認したり、バーチャルカタログで詳細を見たり、商品を購入することが可能です。夏に食べたい「しろくまアイス」や「盛岡冷麺」などのグルメを600点以上が販売される予定です。購入した商品は、後日自宅に届きます。
また、今回のイベント開催に伴い、「メタバース上で働くアルバイト」を初めて採用。バーチャル接客の経験があり、商品知識を身につけたスタッフが商品の魅力を伝えます。
⑤ふくや :ECにメタバースを活用しCVR30%を記録
明太子メーカーのふくやは、バーチャル店舗をメタバース上に設置し、リアル店舗同様に商品を確認し、店員から説明を受け、購入ができるという取り組みを実施し、来場者の約3割が商品を購入するという成果をあげました。
来場者は、PRG風のメタバース空間上で、自分のアバターを操作し、別のアバターに近づくことでチャットやビデオ通話などができ、コミュニケーションをとりながら買い物を楽しむことができました。
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⑥コカ・コーラ:メタバース上で新製品のプロモーションイベントを開催
コカ・コーラは、メタバース内のバーチャルショップで新製品のプロモーションやイベントを開催し、消費者とのメタバース内のつながりを強化しています。メタバース上のゲームに発想を得て開発した新飲料「コカ・コーラゼロシュガーバイト」は人気オンラインゲームフォートナイト上で飲料の発売前から体験できるようにし、消費者の期待を高めました。
コカ・コーラは他にもメタバース上に復元した過去の自動販売機をNFTを使ってオークションで販売するなど、メタバースを活用した新たな消費者の獲得に積極的に取り組んでいます。
⑦キリン:メタバース上でオンライン工場見学を実施
キリンが提供している「おいしさ体験オンラインツアー」は、工場見学ガイドによる案内を受けながら3D空間を自由に操作することのできるメタバースを活用した体験型のオンラインコンテンツです。
ツアーでは、キリンビールの製造過程や歴史を学んだり、講師からビールの味わいや香りの説明を受けたりすることができます。これにより、消費者は製品の魅力を深く理解し、新たな飲み方や楽しみ方を発見することができます。
キリンのおいしさ体験オンラインツアーは、消費者とのエンゲージメントを高めるだけでなく、製品の認知度や魅力を向上させる効果的な取り組みとなっています。
⑧ネスレ:メタバース内の店舗で料理コンテストなどを開催
ネスレは大手メタバースプラットフォームDecentraland上にバーチャルストア「Nestlé MUNCH」を構築しました。このバーチャルストアはネスレブランドの延長として設計されており、仮想上の商品を購入できるほか、料理コンテスト、味覚テストなどの仮想イベントも開催されました。メタバースの活用によって消費者との新たな関わりによるブランドイメージの向上とビジネスの拡大を目指しています。
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⑨オレオ:ミニゲームなどを楽しめる独自のメタバースをリリース
オレオはメタバースを利用した独自のバーチャルスペース「oreoverse」を提供しています。oreoverseではブランドとの交流やゲームへの参加が可能であり、ユーザーは新しいフレーバーや限定版製品を発見する機会を得られます。消費者は楽しみながら商品の価値や魅力を知ることができ、このような体験はオレオがブランドの魅力を消費者に伝える有効な手段となっています。
⑩McCormick:Decentraland上にバーチャルスパイスマーケットを構築
McCormickはアメリカに本社を構える世界最大のスパイスメーカーです。McCormickは仮想スパイスマーケット「House of Flavor by McCormick®」をDecentraland上に構築しました。ユーザーはさまざまなスパイスと、料理でのそれらの用途について学ぶことができます。メタバース上でのこうしたイベントは、料理教室、ワークショップ、コミュニティ イベントを通じて、ブランド認知度を向上させ、より広い客層にアプローチすることができます。
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