VRの自治体/地方創生での活用事例22選|3大メリットも解説

本記事では、VR×自治体に関心のある方向けに、VRの基本から自治体/地方創生での活用事例までわかりやすく解説します。

 

こんな方におススメ

 

  • VRを自治体/地方創生で活用したい
  • VRを自治体/地方創生で活用するメリットが知りたい
  • 具体的な活用事例を知りたい

 

本記事を読めば、VRの基本やメリットから、自治体/地方創生での具体的な活用事例まで、一気にキャッチアップすることができます。VR×地方創生に関心のある方はぜひご一読ください。


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目次

そもそもVRとは?

そもそもVRとは? 三越伊勢丹
(画像:三越伊勢丹)

VRとはVirtual Realityの略称で、別名仮想現実とも呼ばれます。最先端の3DモデリングやVRデバイス、ゴーグル等の技術により、まるでその世界に入り込んでいるかのように感じられる、デジタル上の仮想空間を提供する技術のことを指します。

 

日本バーチャルリアリティ学会ではVRを「みかけや形は原物そのものではないが、本質的あるいは効果としては現実であり原物であること」と定義しています。すなわち、VRは、現実世界そのものではないが、実質は現実世界とほとんど変わらないという意味です。

 

VRの定義についてはこの他にも色々な考え方がありますが、いずれにしても、本質的には現実とほとんど変わらないというところがポイントになります。

 

様々なユースケースの中でも特にゲームの使用を中心に利用が拡大しており、まるでゲームの世界に入り込んだかのような没入感・臨場感を感じながらプレイすることが出来ます。

 

また、最近ではゲームだけでなく、仮想現実に出店し商品を販売したり、仮想空間上で社員研修や教育を行ったり、建築のシミュレーションを行ったりするなど、様々な分野でVRが活用されています。

 

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自治体/地方創生のためにVRでできること3選

地方創生のためにVRでできること3選

VRを活用した自治体/地方創生の取り組みの代表的なものとして、以下の3つが存在します。

 

  • ①VR上で再現した地方の観光を通じた魅力の発信
  • ②VRを活用した特産品やNFTなどの販売
  • ③仕事や医療などのリモート化による、地方定住人口の拡大

 

それぞれの取り組みをわかりやすく説明していきます。

 

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①VR上で再現した地方の観光を通じた魅力の発信

志摩スペイン村 VR上で再現した地方の観光を通じた魅力の発信
(画像:志摩スペイン村)

VR上に観光名所などを再現することで、いつでもどこからでも気軽に観光を楽しんでもらい、地方の魅力を発信することができます。

 

また、VR上での観光体験だけでなく、その後現地を訪れてもらうきっかけとする取り組みも、多くの地方自治体で進められています。実際に、凸版印刷とMONETが行った、移動中の社内でのVR事前体験を行う実証実験の結果、行く予定が無かった観光地のVR空間を訪れた多くの人が、その観光地に興味を持ったり、実際に訪れることになるという成果が得られています。

 

コロナ禍で全国の観光地が大きな打撃を受けるなか、需要再燃の起爆剤として、VRのマーケティングチャネルとしての活用が、大きな注目を集めることとなるでしょう。

②VRを活用した特産品やNFTなどの販売

VRを活用することで、単純なECでは販売の難しかった特産品を、地元の方々がアバターの姿で魅力を伝えながら販売することができます。従来のECサイトの画像と文章だけでは伝わりづらい、背景やストーリー、製作時の工夫を対話によって伝えることで、まるで現地に行って観光しながら買い物をしているような体験を提供することができます。

 

また、地方自治体に収益の還元されるNFTを販売することで、地方自治体にとっての新たな収益源や他地域に住む多様な人材との繋がりを獲得することができます。

③仕事や医療などのリモート化による、地方定住人口の拡大

淡路アバターセンター 仕事や医療などのリモート化による、地方定住人口の拡大
(画像:パソナグループ)

VRを活用することで、より幅広い業務をリモートで行ったり、医師の診察や治療を遠隔で受けたりすることができます。その結果として、若者が都市部でしかできない仕事を求めて上京したり、高齢者が必要な治療を受けるために都市部へ移住するなどの人口流出を防げるのではないかと期待されています。

 

また、地方からでも都市部と同様の働き方ができるとなると、豊かな自然環境や生活費の安さなどを求める都市部からの移住者が増え、定住人口の拡大に繋がるのではないかと考えられます。

VRの自治体/地方創生への活用事例22選

VRの地方創生への活用事例22選

VRの自治体/地方創生への代表的な活用事例として以下の22事例が挙げられます。

 

  • ①手塚プロダクション×鳥取:地域還元型のVRゲーム
  • ②Palan×金沢:観光しながら楽しめるVRコマース
  • ③あしびかんぱにー×沖縄:沖縄の観光地を楽しめるVR
  • Roblox×志摩スペイン村:Roblox上にリゾート施設志摩スペイン村を再現
  • ⑤吉本興行×養父市:かつての日本一の鉱山をVR上に再現
  • ⑥SBINFT×白浜町:VR×アートで地方創生へ
  • ⑦パソナ×淡路島:淡路島への本社機能を移転にVRを活用
  • ⑧静岡県焼津市:VR上のイベントバーチャルマーケットに出展
  • ⑨佐賀県嬉野市:嬉野温泉駅と周辺の観光地を再現した独自のVR空間を開設
  • ⑩千葉県木更津市ら4市:VR上で合同の婚活イベントを実施
  • ⑪静岡県藤枝市:VR体験商談会を実施
  • ⑫鹿児島県日置市:VR空間を創造するプロジェクト「ネオ日置計画」を開始
  • ⑬大阪府泉佐野市:VR上のイベントバーチャルマーケットに出展
  • ⑭山口県萩市:ふるさと納税のPRにVRを活用
  • ⑮株式会社ゼロニウム:あきた移住・交流メタバース万博で秋田への移住を促進
  • ⑯三菱総合研究所:VRを活用した町おこしの実証実験を開始
  • ⑰山形県村山市:VR婚活イベントを開催
  • ⑱三重県明和町:VRで地域の魅力を発信
  • ⑲山口県宇部市:自然教育VRプラットフォームの実証実験
  • ⑳新潟県山古志:VRとNFTを活用した地域おこし
  • ㉑長崎県西海市:VRを学べるアカデミーを開講
  • ㉒広島県三原市:メタカープを活用した地域おこし

 

それぞれの事例をわかりやすく紹介していきます。

 

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①手塚プロダクション×鳥取:地域還元型のVRゲーム

手塚プロダクション×鳥取:地域還元型のVR×NFTゲーム
(画像:手塚プロダクション)

鉄腕アトムなど世界的マンガ・アニメコンテンツ制作する手塚プロダクションや旅行事業を行うJTBの設立したJ&J事業創造らが、日本各地にちなんだNFTを使用したVRゲームを開発しました。

 
このプロジェクトは、コロナ禍で大きなダメージを受けた地域経済および国内観光マーケットの回復と支援を目的としています。

 
ユーザーは、日本各地の魅力や文化の詰まったNFTを資産として所持し、それを使用して遊んだり、カード同士を合成することで新たなカードを生成したり、カードの売買によって収益をあげたりすることができます。その第一弾として、県を掲げ宇宙産業の飛躍に向けた取り組みを進める鳥取県とのタイアップが決定しました。

 
このNFTの販売を通じて得られた売上の一部は、各地域産業に寄付されるという新たな復興支援の形を目指しています。

②Palan×金沢:観光しながら楽しめるVRコマース

Palan×金沢:観光しながら楽しめるVRコマース
(画像:Palan)

Palanは、金沢の特産品店である「MIHON-ICHI KANAZAWA」のバーチャルショップをVR上にオープンし、XRを活用した新たな買い物体験に関する実証を開始しました。

 

VR上での店舗を訪れることで、職人こだわりの金沢の特産品の買い物を楽しむことが出来ます。また、ブースにはひがし茶屋街や兼六園など、春夏秋冬の金沢の観光地が再現されており、ウェブVR空間で、観光気分を味わうことができます。

 
加えて、気になった商品をARで試し置きすることができ、自宅にいながら商品の色や質感、サイズを確認することができます。


こちらのVRショップは、ウェブがベースとなっているので、アプリ不要で、ワンストップで購入することができる手軽さも、特徴となっています。

③あしびかんぱにー×沖縄:沖縄の観光地を楽しめるVR

あしびかんぱにー×沖縄:沖縄の観光地を楽しめるVR
(画像:あしびかんぱにー)

沖縄発のエンタメ企業であるあしびかんぱにーが、VR上で沖縄の観光名所を楽しむことのできる「バーチャルOKINAWA」をリリースしました。

 

バーチャルOKINAWAでは、VR上で再現された国際通り商店街やビーチなど、沖縄のさまざまな観光名所を巡ることができます。
例えば、恩納湾の贅沢なビーチから、沖縄の名所であるひめゆりの塔まで、沖縄の様々な美しい風景を日本全国どこからでも楽しむことができます。

 
2022年4月には、バーチャルOKINAWAで提供される沖縄商品のショッピングを楽しめる場所として人気を博している「国際通り商店街公式オンラインショップ」がリニューアルオープンしました。ストアサイトでは、実際に国際通りで販売されている500点以上の商品を取り扱っており、今後さらに多くの店舗がオープン予定です。

 
また、すでに公開している「国際通りエリア」「ビーチエリア」に続き、新たに「首里城エリア」として、守礼門から首里城正殿までの首里城公園を忠実に再現しています。見て楽しむだけでなく、エリア内のガイドと会話しながら、首里城の歴史や雑学を学ぶことができます。

 
このバーチャルOKINAWAには、アバターを使って世界中の人々と交流できるソーシャルプラットフォーム「VRChat」を、VRデバイスなどにダウンロードすることで利用可能なほか、簡易版をスマホやPCから利用することも可能です。

 

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④Roblox×志摩スペイン村:Roblox上にリゾート施設志摩スペイン村を再現

Roblox×志摩スペイン村:Roblox上にリゾート施設志摩スペイン村を再現
(画像:志摩スペイン村)

三重県志摩市のリゾート施設である志摩スペイン村は、大人気VRプラットフォームのRoblox上で志摩スペイン村を再現したエリアをオープンすることを発表しました。

 
ユーザーは志摩スペイン村の広場や街並みを楽しんだり、スペインの奇祭「牛追い祭り」「トマト祭り」をモチーフにした生き残りゲームを楽しむことができる予定です。

 
志摩スペイン村は、魅力的なアトラクションやフードがあるのに対し、立地の悪さから気軽にアクセスしにくいという課題を抱えており、若者や遠隔地在住の人に志摩スペイン村の魅力を知ってもらうことを目的とし、今回の取り組みを進めているとのことです。

⑤吉本興行×養父市:かつての日本一の鉱山をVR上に再現

吉本興行×養父市:かつての日本一の鉱山をVR上に再現
(画像:養父市)

養父市は同市の観光名所を再現したVR「バーチャルやぶ」をリリースしました。

 
ユーザーは、かつて日本一のすず鉱山として栄えた明延鉱山の坑道後を観光したり、吉本興行所属のタレントコラボした採掘ゲームを楽しんだり、市役所を訪れ、デジタル住民票交付してもらったりすることができます。

 
バーチャル養父のオープニングイベントには、吉本興業所属のお笑い芸人である、野生爆弾くっきー!さんやとろサーモンの村田さんらが参加し、その様子は吉本の映像配信サービス「FANCY」によってライブ配信されました。

 
また、イベントで養父市市長がアバター姿で登場し、「VRには無限の可能性があると思います。世界中どこからでも来ていただけるので、いろんな国の方々に来てもらって、養父市の自然や観光名所を楽しみ、市民とも交流してもらいたい。そして、ゆくゆくは現実世界でも体験しに来ていただければ。バーチャルでは100万人都市を目指しています」とコメントしました。

⑥SBINFT×白浜町:VR×アートで地方創生へ

SBINFT×白浜町:VR×アートで地方創生へ
(画像:SBINFT株式会社)

SBINFTは、白浜で開催されたストリートアートイベント「POW!WOW!JAPAN」と連動したVR「バーチャル白浜」を仮想空間であるCryptovoxels上でリリースしました。

 
今回のイベントでは、SBINFTが運営するNFTマーケットプレイスであるnanakusa公認アーティストである、AUORA氏、ひかげ氏のコラボ作品の販売や参加者への限定NFTの配布キャンペーンを通じて、バーチャル空間を通じた新たな地方創生に取り組んでいます。

⑦パソナ×淡路島:淡路島への本社機能を移転にVRを活用

パソナ×淡路島:淡路島への本社機能を移転にVRを活用
(画像:パソナグループ)

パソナは働く人の”真に豊かな生き方・働き方”を目指し、2020年9月より、東京から淡路島に本社機能の段階的な移転を進めています。移転先の淡路島からの新たなリモートワークの形としてVRの活用が検討されています。具体的にはVRを活用し、リモートで営業や副業を行うことで、地方でも都心部と変わらない労働環境を構築することを目指しています。

 

また本社機能の移転に合わせ、兵庫県淡路市に「淡路アバターセンター」を開設しました。こちらの施設では、アバターを操作するオペレーターの育成の他、アバター人材による対人接客業務のBPOサービスを展開する予定です。

 

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⑧静岡県焼津市:VR上のイベントバーチャルマーケットに出展

静岡県焼津市:VR上のイベントバーチャルマーケットに出展
(画像:株式会社HIKKY

静岡県焼津市は、VR上のイベント「バーチャルマーケット2022 Winter」に特設ブースを出展し、焼津市の魅力やふるさと納税品のPRを行いました。

 
ブースを訪れたユーザーは、「バーチャルマグロ解体ショー」に加え、船の上からマグロを釣ることができる「バーチャルマグロ一本釣り」など、臨場感のあるVRならではの体験をすることができました。

 
さらに、焼津市のふるさと納税品として人気の「ネギトロ」や「カツオのたたき」、「生しらす」など自慢の地場産品が3Dモデルで展示され、ブース内から直接ふるさと納税寄付サイトに遷移し、その場で寄付を実施することも可能でした。

 
こちらの事例はVRならではの体験を上手く活用し、遠隔地の人々に対し魅力を発信することで、地域経済の活性化に繋げるという、他の地方自治体にとっても非常に参考になる活用事例となっています。

⑨佐賀県嬉野市:嬉野温泉駅と周辺の観光地を再現した独自のVR空間を開設

佐賀県嬉野市:嬉野温泉駅と周辺の観光地を再現した独自のVR空間を開設
(画像:大日本印刷株式会社)

佐賀県嬉野市は、西九州新幹線の開業に合わせ、独自のVR空間である「デジタルモール嬉野」を開設しました。

 
デジタルモール嬉野は、西九州新幹線の嬉野温泉駅とその周辺の街並みや観光地を高精細なグラフィックで再現したVR空間で、同時に200人以上がアクセスすることが可能です。
ユーザーはこのVR上で、アバター姿で自由に散策したり、嬉野市に関するクイズやスタンプラリー、名産品のショッピングなどを楽しむことができます。

 
またVR内には、コインを獲得できるポイントが存在し、それらのコインを集めるとリアル店舗で活用できる様々な特典の得られるカプセルトイガチャを回すことができるなど、VRならではのゲーミフィケーションを上手く取り入れ、遠隔地の人々に市としての魅力をPRしています。

 
こちらの事例は、多彩な特産物や観光資源に恵まれながらも、少子高齢化やコロナウイルスの影響などにより、経済活動の停滞に悩まされる地方自治体にとって非常に参考になる活用事例となっています。

⑩千葉県木更津市ら4市:VR上で合同の婚活イベントを実施

千葉県木更津市ら4市:VR上で合同の婚活イベントを実施
(画像:木更津市)

千葉県木更津市ら4市が、VR上での合同婚活イベントを実施すると発表しました。
対象は木更津市など該当する市に居住または勤務、または移住に興味のある方で、イベントはVR空間「GAIA TOWN」上で行われます。

 
参加者は善意生徒の1対1での対話と全体への自己PRを行い、マッチングシートに回答。後日、マッチングしたカップルはVR上でのデート、また双方の合意によりリアルでのデートに発展していく予定とのことです。

 
VR上で婚活イベントを行うメリットとして、参加者はアバター姿でコミュニケーションを取るため、見た目や年収などの条件に囚われることなく、内面からアプローチできるという点を挙げており、非常にユニークなVRの活用事例です。現状は全体で26人規模のイベントとなっていますが、どのように発展していくのか今後の動向から目が離せません。

⑪静岡県藤枝市:VR体験商談会を実施

静岡県藤枝市:VR体験商談会を実施
(画像:藤枝市)

静岡県藤枝市が、地域企業のマッチングの場を提供すべく、VR空間「GAIA TOWN」上でのイベント、VR体験商談会を実施しました。

 
コロナウイルスの影響もあり、リアルな展示会や商談の機会が制限されるなか、VR上での商談会を実施することで、新たなお客様とのネットワークの拡大を促進する狙いがあるとのこと。

 
ユーザーは、VR空間上でアバター姿でブースの店員に話しかけると、そのまま音声会話で商談ができるなど、VRならではのインタラクティブナコミュニケーションができる工夫もなされています。

 
こちらの事例は、VRをリアルなビジネスマッチングの場として上手く活用しており、地方自治体のみならず企業にとっても非常に参考になる活用事例となっています。

 

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⑫鹿児島県日置市:VR空間を創造するプロジェクト「ネオ日置計画」を開始

鹿児島県日置市:VR空間を創造するプロジェクト「ネオ日置計画」を開始
(画像:日置市)

鹿児島県日置市は、地理的な距離に制約を受けず、遠隔地の人々と日置市の人々が交流できるVR空間の創造を目指すプロジェクト「ネオ日置計画」を開始しました。

 
日置市は歴史的観光資源を有する一方で、コロナウイルスの影響による観光業の低迷に直面しており、地理的な距離に制約を受けない交流や経済活動へのシフトチェンジなどを目指しVR活用を行うとのこと。

 
VR上での観光案内やECサイト空間を展開する上で、ネイティブな鹿児島弁を話す日置市民との交流など、「人の交流」を中心に据えた設計を検討しているとのことです。
また、こちらのプロジェクトではふるさと納税を活用したクラウドファンディングも実施しており、達成率220%となる700万円以上を集めるなど、大きな期待を集めています。

 
こちらの事例は、VRならではの体験と日置市の持つユニークな観光資源を掛け合わせた、非常に練り込まれた素晴らしいコンセプトの活用事例となっており、今後どのような成果を上げることができるのか、期待が高まります。

⑬大阪府泉佐野市:VR上のイベントバーチャルマーケットに出展

大阪府泉佐野市:VR上のイベントバーチャルマーケットに出展
(画像:HIKKY)

大阪府泉佐野市は、VR上のイベント「バーチャルマーケット2022 Winter」に特設ブースを出展し、泉佐野市の魅力やふるさと納税品のPRを行いました。

 
ブースを訪れたユーザーは、肉やその他の地場産品、観光資源の魅力を体験したり、ブース中央にある肉の泉佐野を象徴する牛のモニュメントに乗り、ロデオ体験をすることができました。

 
泉佐野市はふるさと納税受入額累計1,000億円という3年連続No.1の受け入れ額を誇る業界のトップランナーであり、泉佐野市の人気のお肉やお米、タオルはもちろん、ふるさと納税オリジナルのビールなどが3Dモデルで展示され、ブース内から直接ふるさと納税寄付サイトに遷移し、その場で寄付を実施することも可能でした。


こちらの事例は、VRならではの体験を上手く活用し、遠隔地の人々に対し魅力を発信することで、地域経済の活性化に繋げるという、他の地方自治体にとっても非常に参考になる活用事例となっています。

⑭山口県萩市:ふるさと納税のPRにVRを活用

山口県萩市:ふるさと納税のPRにVRを活用
(画像:株式会社SPECTRUM)

山口県萩市は、株式会社SPECTRUMと共に、VR空間Decentraland上に独自の展示スペースを設置し、市の魅力やふるさと納税のPRを行いました。

 
ユーザーは展示スペースを自由に歩き回り、萩焼や地酒など様々な萩市の特産品を見て回ることができました。また、VR空間から、萩市のふるさと納税サイトに直接移行することができるという、自然な形でのユーザー導線が設計されています。

 

こちらの事例は、VRならではの体験を上手く活用し、遠隔地の人々に対し魅力を発信することで、ふるさと納税のPRに繋げるという、他の地方自治体にとって非常に参考になる活用事例となっています。

⑮株式会社ゼロニウム:あきた移住・交流メタバース万博で秋田への移住を促進

株式会社ゼロニウム:あきた移住・交流メタバース万博で秋田への移住を促進
(画像:株式会社ゼロニウム)

株式会社ゼロニウムはVRを活用した地方創生において先進的な取り組みを行なっています。同社が開発した「あきた移住・交流メタバース万博」は、秋田県への移住促進を目的としたVR空間です。

 

このVR空間では、秋田県にゆかりのあるアバター「んだッチ」や「ハタハタ」になり、県内市町村や移住支援に関する情報を収集することができます。各地域のシンボルや名物をテーマにしたパビリオンを巡りながら、移住支援情報や地域の仕事情報などを楽しみながら収集することができます。

 

また、あきた移住・交流VR万博では、2023年3月12日に秋田県初のVR上での移住イベント「交流・相談day」が開催されました。このイベントでは、秋田県職員と県内市町村の移住担当者が参加し、移住支援情報や地域の仕事情報などを案内していました。

 

Webブラウザのみでアクセス出来るため、専用のソフトやアプリのインストール、高価なVR機材を不要とし、PC、スマートフォン、タブレットで体験が可能です。また、入口でのユーザー登録作業を最低限とし、VR未経験の人でも老若男女問わず気軽に入れるVR空間を目指しています。

 

本メタバース空間を開発した株式会社ゼロニウムについてより詳しく知りたい方はこちらの公式HPをご覧ください。

 

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⑯三菱総合研究所:VRを活用した町おこしの実証実験を開始

三菱総合研究所:VRを活用した町おこしの実証実験を開始
(画像:株式会社Psychic VR Lab)

三菱総合研究所は、埼玉県、日本ビジネスシステムズ株式会社および株式会社Psychic VR Lab、日本マイクロソフト株式会社と、浦和駅から埼玉県庁までの通りをVRで再現するプロジェクトが進められています。この実証実験を通じて、観光、買い物、交流などの分野でVRを活用する方法が検討されています。

 

2020年初頭からの新型コロナウイルス感染拡大などを契機として、場所・空間を問わないXRによる情報発信・コミュニケーションが注目されてきました。このような状況の中、リアル環境をXR上に展開することで、より効果的な行政サービスを提供する観点で実証を行い、技術的、運用的な導入難易度や効果、課題等を抽出・検証します。本実証は、自治体DX推進に向け、県職員がXR技術を体験し、実証参画各社とともにXRを活用した行政サービスの展開を検討する契機となります。

 

今後は、VR空間上での施設やツアーコースの案内、VR空間上で紹介される商品を購入できるECサービスなどを通して、県有施設、観光地を案内したり、伝統工芸品の販路開拓を目指しています。

 

本取り組みについてより詳しく知りたい方はこちらのHPをご覧ください。

⑰山形県村山市:VR婚活イベントを開催

山形県村山市:VR婚活イベントを開催
(画像:S.E.Onetop合同会社)

山形県村山市で開催された「marry360」は、東北地方で初めてのVRを使った婚活イベントでした。S.E.Onetop合同会社が主催し、イベント名は「marry360 むらやまバレンタインマッチングイベント」です。

 

このイベントは、バレンタインデーに向けて2月12日に開催されました。「marry360」は、VR上での婚活イベントで、人口流出が進んでいる地方の移住施策のモデルケースとして企画されました。

 

VR「GAIA TOWN」を利用して開催され、参加者11名中5組ものカップルが誕生。参加者からは、リアルで会うよりもアバターの方が話しやすかったとの声が上がっており、VR婚活イベントを地方で開催することは、町おこしの一環として効果的なイベントだと考えられます。

 
村山市のVR活用についてより詳しく知りたい方はこちらのサイトをご覧ください。

⑱三重県明和町:VRで地域創生を促進

三重県明和町:VRで地域創生を促進
(画像:AVITA株式会社)

三重県明和町は、アバターを活用した新規事業開発を手掛けるAVITAと連携し、明和町の魅力を広く発信することを目的に「アバター」や「VR」などの技術活用の検討を進めています。2023年2月末に、町が運営するインキュベーション・コワーキング施設「三重明和」とAVITAが提携しました。共同でSDGs実現のための持続可能なまちづくりを行う方針です。

 

具体的には、斎宮や斎王などの歴史を取り入れたアバターなどのオリジナルデジタルアイテムの制作、アバターを用いたリモート接客による明和町の特産品のPR・販売などに取り組みます。

 

明和町のVR活用についてより詳しく知りたい方はこちらのサイトをご覧ください。

⑲山口県宇部市:自然教育VRプラットフォームの実証実験

山口県宇部市:自然教育VRプラットフォームの実証実験
(画像:株式会社イマクリエ)

山口県宇部市では、VRを活用した革新的な取り組みが進められています。株式会社イマクリエが宇部市と協力し、自然教育VRプラットフォームの実証実験を行っています。

 

この取り組みは、ときわ公園チャレンジ令和4年度実証事業の一環で、「ときわミュージアム 世界を旅する植物館」を題材に、利用者がアバターとして自由に散策できるVR空間を構築しています。ブラウザから操作可能で、世界中からいつでも来館可能です。

 

VR内のコンテンツについては、植物館コンシェルジュと連携し、デジタル写真館やeラーニングコンテンツなどを随時更新予定。また、オンラインとオフラインを融合させたハイブリッドイベントも実施予定です。

 

宇部市のVR活用についてより詳しく知りたい方はこちらのサイトをご覧ください。

 

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⑳新潟県山古志:VRとNFTを活用した地域おこし

Yamakoshi Visit and Stay vlog – June 2022
(動画:山古志)

人口わずか800人の村、山古志はVRを活用した地方創生に関して先進的な取り組みをしています。新潟県山古志地域では、過疎化対策としてVRとNFTを活用した取り組みが進められています。VR上に「仮想山古志」が作成され、その中でNFTなどが販売される予定です。このプロジェクトは地元住民らが企画し、国からの補助金も活用されています。

 

山古志地域は錦鯉の産地として有名であり、錦鯉を題材にした「Nishikigoi NFT」が発行されています。このNFTは「電子住民票」としての役割も兼ねており、NFTを保有することで世界中の誰でも山古志のデジタル住民になることができます。デジタル村民になることで、実際に山古志村に訪れることなくデジタル上で村民の方々と知り合い、その後実際に村を訪れてリアルで対面することができます。

 

このように、人口が少なくても価値観を共有し、より効果的に魅力をアピールすることのできるVRは地方創生に大きなメリットをもたらすでしょう。

 

山古志地域のVR活用についてより詳しく知りたい方はこちらのサイトをご覧ください。

㉑長崎県西海市:VRを学べるアカデミーを開講

長崎県西海市:VRを学べるアカデミーを開講
(画像:株式会社西海クリエイティブカンパニー

長崎県西海市は株式会社西海クリエイティブカンパニーと提携し西海VRアカデミーを開講しました。Web3.0やVRに関する知識を地域の人々に提供し、新しい働き方を実現する人材の育成を目的としています。

 

2ヶ月間で全8講座が予定されており、カリキュラムは体験とディスカッションを中心に構成されていて、初心者でも楽しく学べるようになっています。また、アカデミーの参加者には特別なNFTが発行され、西海市のWeb3.0コミュニティへの参加や提言の機会などが提供される予定です。さらに、同取り組みが西海市が積極的に取り組んでいる脱炭素に応用されることも期待されています。

 
西海VRアカデミーについてより詳しく知りたい方はこちらのサイトをご覧ください。

㉒広島県三原市:メタカープを活用した地域おこし

広島県三原市:メタカープを活用した地域おこし
(画像:株式会社ビーライズ)

三原市は、ふるさと納税などの情報発信にVR空間「メタカープ」を活用しています。メタカープは、広島東洋カープの公式試合をVR空間で観戦できるAndroidとiOS対応のアプリです。

 

このプロジェクトは広島県の「ひろしまサンドボックス」補助金を利用して始まり、広島東洋カープのファンクラブ会員向けのコミュニティ空間としてスタートしました。「メタカープ」アプリは株式会社ビーライズと広島テレビ放送株式会社が共同開発し、AndroidとiOS両方に対応しています。

 

具体的には、メタカープ内に露天風のブースを設置し、広島三原プリンの購入やふるさと納税に関連する三原市のサイトへのアクセスが可能です。また一般ユーザーは、三原市をイメージしたTシャツを着て参加できます。

 

三原市のメタバース活用に関する詳細は、こちらの公式HPをご覧ください。

自治体/地方創生へのVR活用を成功に導く5つのポイント

地方創生へのVR活用を成功に導く5つのポイント

自治体/地方創生へのVR活用を成功に導くポイントとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
  • ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
  • ③ユーザーファーストなUX設計
  • ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
  • ⑤強力な開発・運用体制の構築

 

それぞれについて分かりやすく紹介していきます。

 

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①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ

1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。

デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。

 

VR活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。

②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案

2つ目のポイントは、VRを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。

現在VR活用に取り組む企業には、VR活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。

 

その結果、活用のPDCAが回らない、VR活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。

 

自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜVRではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。

③ユーザーファーストな企画・UX設計

3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなVRの企画・UX設計です。

現在、多くの企業がVRに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなVRが多く存在します。それらのVRは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。

 

そのため、「VRならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。

④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進

4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。

VR市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。

 

そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。

⑤強力な開発・運用体制の構築

5つ目のポイントは、強力なVR開発・運用体制の構築です。

高いユーザー体験と事業性を両立するVRの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。

 

VR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。

自治体/地方創生にVRを活用するための4つのステップ

地方創生にVRを活用するための4つのステップ

企業がVRの活用を進めるステップとして、大きく以下の4つのフェーズが挙げられます。

 

  • Step1:市場動向・知見のキャッチアップ
  • Step2:戦略/企画の立案
  • Step3:事業計画の策定
  • Step4:開発・運用

 

それぞれのフェーズについて分かりやすく紹介していきます。

 

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Step1:市場動向・知見のキャッチアップ

1つ目のStepとして取り組むべきは、最先端の市場動向・知見のキャッチアップです。MetaやApple、Microsoftなどのビックテックやユーザーの動向・先行活用事例など、日々変化する市場動向やナレッジへのキャッチアップが必要です。

 

このフェーズが、成果に繋がる骨太な戦略/企画策定の基盤となります。

Step2:戦略/企画の立案

2つ目のStepはVR活用の戦略/企画です。活用目的を踏まえ、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方、実現に向けた企画を立案しましょう。

 

ユーザーバリューと自社の事業性の両方を満たす、質の高い戦略/企画の立案が、成果につながるVR活用の実現に向け最も重要なポイントとなります。

Step3:事業計画の策定

3つ目のStepは事業計画の策定です。事業に期待する成果や開発・運用のアプローチやタイムライン、必要な投資額などを検討しましょう。

 

VR開発・運用といっても、プロジェクト毎に求められるケイパビリティは様々であるため、自社にマッチするツール・ベンダーの選定が非常に重要です。

Step4:開発・運用

4つ目のStepが開発・運用です。VR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを有効活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完しつつ、ユーザーに届けたい体験を実現するVRの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。

費用対効果・実現性が高いメタバース活用方法

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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