大学のメタバース活用事例5選|3大メリットも紹介

関連技術の発達とともに近年注目を集めているメタバース。ゲーム・エンタメ業界で広く利用されている一方で、3Dの没入型の体験を提供できる相性の良さから、大学教育への活用も注目を集めています。

 

また、大学において、ハプティクスやネットワークなどのVRの要素技術研究や、メタバースの社会実装に向けた実証研究などの様々な研究も進められています。

 

そこで今回は、大学によるメタバースの活用事例、活用のメリットについて分かりやすくご紹介します。

 

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

 

  • 大学によるメタバースの活用事例を知りたい
  • 大学でメタバースを活用するメリットが知りたい

 

本記事を読めば、大学によるメタバースの活用事例と研究の取り組みを一気にキャッチアップできる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。


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そもそもメタバースとは

そもそもメタバースとは VRChat
(画像:VRChat

メタバースとは一言でいうと、人々が様々な活動を行うことのできるインターネット上の3次元の仮想空間のことを指します。

 

メタバースの語源は「超越」を意味する「meta」と「世界」を意味する「universe」を組み合わせた造語だと言われています。メタバースという言葉が世界で初めて使われたのは、1992年にニール・スティーヴンスン氏が発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」です。

 

メタバースにおいて、ユーザーはアバターと呼ばれる自身の分身の姿でメタバース空間にアクセスし、他のユーザーとコミュニケーションや経済活動を行うことができます。例えば、集まって会話をしたり、イベントやスポーツ、買い物などを楽しむことができます。

 

一般ユーザーに広く普及しているメタバースサービスとして、「Fortnite」や「Roblox」、「どうぶつの森」などのゲーム型のメタバース、「VRChat」や「Cluster」などのSNS型のメタバースが挙げられます。

 

メタバースへのアクセス方法としては、スマホやPCからもアクセス可能ですが、Apple Vision ProやMeta Questのようなヘッドマウントディスプレイからアクセスすることにより、より世界に没入したような体験が可能になります。

 

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大学がメタバースを活用する3つのメリット

大学がメタバースを活用する3つのメリット

大学がメタバースを活用するメリットとして、大きく以下の3点が考えられます。

 

  • ①3Dコンテンツによる学習効率の向上
  • ②教育の時間的・地理的制約からの解放
  • ③大学維持費用の削減

 

それぞれのメリットについて、わかりやすく解説します。

 

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①3Dコンテンツによる学習効率の向上

従来の教材は2Dであることから、立体的な構造を直感的に理解することが困難でした。

 

3Dコンテンツによって、生体の臓器の構造や機械の操作方法などの立体的な学習内容を直感的に理解できます。また、3Dコンテンツだけでなく、アニメーションも学習目的に活用されています。これにより、学習効率の向上が期待されます。

②教育の時間的・地理的制約からの解放

メタバースを大学で活用することで、大学の設備を活用した大規模な実験や、ゼミなどの双方向的なコミュニケーションが重要な学習をリモートで提供する事ができます。

 

これにより、海外の学生や、特殊な事情で通学が困難な学生にも学びの機会を提供できるようになるでしょう。

③大学維持費用の削減

メタバースの活用によって、リアルの教室や集会場など、人が「集まる」だけの設備の必要性が低くなり、大学の設備をミニマイズすることができます。

 

これにより、大学は設備を維持するための費用を削減し、研究のための費用や優秀な研究者を雇用する為の費用に予算を割くことができます。

大学によるメタバースの活用事例5選

大学によるメタバースの活用事例5選

大学によるメタバースの活用事例の代表的なものとして以下の5選が挙げられます。

 

<メタバース上で教育を提供>

  • ①スタンフォード大学:VRメタバースを用いてキャンパスからより実践的な学びを提供
  • ②角川ドワンゴ学園:メタバースを活用した授業を実施
  • ③金沢工業大学:メタバースを活用してオフィスアワーの改善

 

<イベントの開催>

  • ④東京女子大学:大学広場をVR空間で再現し、VRオープンキャンパスを開催
  • ⑤東京大学:新入生歓迎イベントをメタバース上で開催

 

それぞれについて、わかりやすく解説します。

 

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メタバース上で教育を提供

①スタンフォード大学:VRメタバースを用いてキャンパスからより実践的な学びを提供

スタンフォード大学:VRメタバースを用いてキャンパスからより実践的な学びを提供
(画像:スタンフォード大学)

スタンフォード大学は、Meta(旧Facebook)が開発した「Virtual People」というVRを活用した教育カリキュラムを導入しました。2021年から始まったこのプログラムには数百人の学生が参加し、年間約150日間の授業がVR空間内で行われています。学生は同社製のVRヘッドセット「Oculus Quest 2」を使い、ほぼ全ての内容をVR上で学習しています。

②角川ドワンゴ学園:メタバースを活用した授業を実施

角川ドワンゴ学園:メタバースを活用した授業を実施
(画像:角川ドワンゴ学園)

IT企業ドワンゴの運営する通信制高校である角川ドワンゴ学園の普通科では、2021年4月からVRによる授業が導入されています。VR内で学習できるようにVRヘッドセットを配布し、同校で販売されている教材の大半はVRに対応しています。これまで紙の読み書きを覚えることが中心だった授業が、3D教材や史跡に触れるなど、疑似体験に重点を置いた授業に変わりました。

③金沢工業大学:メタバースを活用してオフィスアワーの改善

金沢工業大学:メタバースを活用してオフィスアワーの改善
(画像:金沢工業大学)

金沢工業大学は、学生同士の交流や、オフィスアワーの活用の場としてバーチャルオフィスoViceを活用しています。

 

学生は、oViceを通じて教授への質問やコミュニケーションをとったり、学生同士で集まってレポートやテスト勉強を行ったりすることができます。教授側は、oViceを通じて学生に授業満足度アンケートを行ったり、成績の悪い学生への個別フォローアップを行ったりすることができます。

 

結果として、従来よりも学生によるオフィスアワーの活用率が上がったことが確認されたり、授業への満足度が向上したりと、授業改善を実現することができました。

 

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イベントの開催

④東京女子大学:大学広場をVR空間で再現し、VRオープンキャンパスを開催

東京女子大学:大学広場をVR空間で再現し、VRオープンキャンパスを開催
(画像:東京女子大学)

東京女子大学は、メタバースプラットフォーム「cluster」を利用し、VRオープンキャンパスを開催しました。東京女子大学心理・コミュニケーション学科のコミュニケーション専攻の学生有志が、実際にキャンパスに訪れるのが難しい人、東京女子大学の雰囲気を知りたい人など、東京女子大学に関心のある方に向けて、VRオープンキャンパスを企画しました。

 
 
2023年度は、構内の広場である「VERA広場」をVR空間に再現し、以下のようなコンテンツを制作しました。

 

  • 個別相談ができる1on1相談室
  • クイズ形式のワークショップ
  • VERA広場での花火イベント

 

結果として、開催当日は延べ300人が、VRオープンキャンパスに参加しました。

⑤東京大学:新入生歓迎イベントをメタバース上で開催

東京大学:新入生歓迎イベントをメタバース上で開催
(画像:東京大学)

東京大学は、2022年度の学生サークルの新入生歓迎オリエンテーションをメタバース空間で実施しました。新入生は、自分のスマートフォンやPCからメタバース空間「バーチャル東大」に入場し、オンラインでサークルの説明を受けることができます。

 

また、メタバース空間内に再現された安田講堂前広場に思い思いのアバター姿で集まり、交流が行われました。企画したVRセンターは、新歓オリエンテーション以外にも、学内外を問わず他の教育、研究、学生の活動にメタバースの活用を進めるような実践的な取り組みを進めていきたいと発表しています

大学がメタバース活用で成果を上げるための5つのポイント

大学がメタバース活用で成果を上げるための5つのポイント

企業がメタバース活用で成果を上げるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①最先端のノウハウのキャッチアップ
  • ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
  • ③ユーザーファーストなUX設計
  • ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
  • ⑤強力な開発・運用体制の構築

 

それぞれについて分かりやすく紹介していきます。

 

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①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ

1つ目のポイントは、最先端のノウハウのキャッチアップです。

デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。

 

メタバース活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、それぞれの大学にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。

②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案

2つ目のポイントは、メタバースを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。

現在メタバース活用に取り組む大学や企業、自治体には、メタバース活用の取り組みが単発で終わってしまっているものが見受けられます。

 

その結果、活用のPDCAが回らない、メタバース活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな成果が生まれないという結果に終わってしまいます。

 

自らの大学の課題を踏まえ、「活用によりどのような課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜメタバースではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す大学の理想の姿の実現に向けた戦略を立案しましょう。

③ユーザーファーストな企画・UX設計

3つ目のポイントは、学生や教授などのユーザーが使いやすいメタバースの企画・UX設計です。

現在、多くの大学や企業がメタバース活用を進めていますが、そのなかには、制作側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなメタバースが多く存在します。それらのメタバースは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。

 

そのため、「メタバースならではの体験価値を届けられているか」や「学生や教授の利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。

④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進

4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。

メタバース市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。

 

そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。

⑤強力な開発・運用体制の構築

5つ目のポイントは、強力なメタバース開発・運用体制の構築です。

高いユーザー体験と事業性を両立するメタバースの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。

 

メタバース開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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