メタバースでできること5選|活用事例やメリット・デメリットも解説

MetaのXRヘッドセットのQuestシリーズが累計販売台数2,000万台を突破し、Appleも初のXRデバイスの発売を発表するなど、近年メタバースへの注目はより一層高まっています。

そんななか、「メタバースが注目されていることは知っているけど、具体的にどのようなことができるのかまでは知らない」という方も多いのではないでしょうか?

 

そこで今回は、メタバースでできること5選を、注目の活用事例やメリット・デメリットとともに分かりやすくご紹介します。

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

 

  • メタバースでどんなことができるのか知りたい
  • どのような活用が進んでいるのか最新の事例を抑えておきたい
  • メタバースのメリットやデメリットを知りたい

 

本記事を読めば、メタバースに関する一通りの基礎知識を効率よく理解できる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。


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目次

メタバースでできること5選

メタバースが利用される代表的な目的として以下の5つが挙げられます。

  • ①他ユーザーとの交流
  • ②ゲームなどのエンタメ体験
  • ③NFTなどの投資活動
  • ④便利で楽しい新たな買い物体験
  • ⑤企業のビジネスへの活用

それぞれについて分かりやすく紹介していきます。

①他ユーザーとの交流

(画像:VRChat

メタバースでできることの1つ目は、まるで対面しているかのような他ユーザーとの交流です。

ユーザーはアバターと呼ばれる、自分の分身の姿で歩き回りながら、他ユーザーと身振り手振り、テキストチャットやボイスチャットで自由に交流することができます。

 

既存のSNSなどと比べ、まるで対面しているかのような、没入感が高くインタラクティブなコミュニケーションが可能な点が、多くのユーザーを惹きつけています。

 

スマホでも体験可能ですが、Meta QuestなどのVRヘッドセットを着用することで、より没入感の高い体験を楽しむことができます。

②ゲームやイベントなどのエンタメ体験

(画像:Fortnite

メタバースでできることの2つ目は、没入感の高いゲームやイベントなどのエンタメ体験です。

ユーザーは、3DCGを活用した、没入感の高いゲームやコンテンツ鑑賞などを楽しむことができます。

既存のゲームなどのエンタメ体験と比べ、没入感の高い点や他ユーザーと交流しながら楽しめる点、ゲーム内で使用する武器の売買など経済的な活動が行われている点が、多くのユーザーを惹きつけています

 

現状メタバースの利用目的として最も多くのユーザーを惹きつけており、特に若年層を中心に爆発的に普及が進んでいます。

 

代表的なサービスとして、FortniteやRobloxが挙げられますが、もともとはゲームとしてリリースされ、ユーザー数の増加や体験のリッチ化が進み、メタバースに進化したものが多いのも特徴です。

③NFTなどの投資活動

(画像:The Sandbox

メタバースでできることの3つ目は、ゲーミフィケーションを伴うNFTなどの投資活動です。

ユーザーは、メタバース上の土地や利用されるアバタースキンなどのアセットをNFTとして売買し、経済的なリターンを狙うことができます

 

既存の投資商品と比べ、2021年頃は高い投資リターンを記録していたことや、ゲーム的な要素を楽しみながら投資が行える点が、一部の熱狂的なユーザーを惹きつけています。

そのため、メタバース空間やユーザーの規模に対して、流通金額が大きいことも特徴の1つとなっています。

④便利で楽しい新たな買い物体験

(画像:三越伊勢丹)

メタバースでできることの4つ目は、メタバースならではの便利で楽しい新たな買い物体験です。

ユーザーは、メタバース上で商品の特徴を立体的に確認したり、店員からボイスチャットで説明を受けたり、友達と一緒にお店を歩き回ったりと、メタバースならではの買い物体験をすることができます。

 

買い物体験が加速度的にオンライン化していくなか、「実物の商品の様子を確認したい」、「店員さんに相談しながら決めたい」といったニーズの強い商材では、オンラインでの購入が難しいという課題があり、それらの課題を解決する新たな買い物の手段として注目を集めています。

⑤企業のビジネスへの活用

(画像:KDDI)

メタバースでできることの5つ目は、企業のビジネスへの活用です。

インターネットやスマートフォンの普及が、既存のビジネスの当たり前を大きく変えたように、メタバースを活用することによる様々なビジネスチャンスが存在します。

 

活用方法としては、メタバースを活用した新たなサービスを展開したり、メタバースをSNSのように活用することで、既存ビジネスのマーケティング・ブランディングを強化したり、サプライチェーン上の各プロセスにおける、シミュレーションや作業サポートに活用することにより業務効率化を図ったりすることができます。

メタバースの6つのデメリット・リスク

メタバースの代表的なデメリット・リスクとして以下の6つが挙げられます。

 

  • ①ユーザーへの心理的な悪影響
  • ②ユーザーへの身体的な悪影響
  • ③個人情報や企業の機密情報の流出
  • ④デジタルアセットの盗難やウォレットのハッキング
  • ⑤メタバース空間の改ざん・ハッキング
  • ⑥匿名性を悪用した詐欺などの犯罪

 

それぞれのリスクについて、分かりやすく解説していきます。

①ユーザーへの心理的な悪影響

1つ目はユーザーへの心理的な悪影響です。メタバースはスマホやPCと比べ、コンテンツへの非常に没入感が強く、中毒性が高いのではないかと考えられています。

 

また、若年層のユーザーはアイデンティティが確立されている段階であり、メタバース上で自由自在に設定できるアバターの人格で長時間に渡り活動を続けた結果、現実世界での自分のアイデンティティとのギャップに悩まされ精神的ストレスを抱えるというリスクも懸念されています。

②ユーザーへの身体的な悪影響

2つ目はユーザーへの身体的な悪影響です。HMDなどのデバイスを装着してメタバースにアクセスする際に、乗り物酔いや転倒などの事故のリスクが存在します。

 

また、メタバース内で様々な活動を行うようになると、人々の運動量が減少し生活習慣病などのリスクが増大するという可能性が考えられます。

③個人情報や企業の機密情報の流出

3つ目が個人情報や企業の機密情報の流出です。悪意のあるハッカーがメタバース空間のセキュリティの脆弱性を狙い、メタバースに関する個人や企業の情報をハッキングするリスクが考えられます。

 

メタバース空間での活動データは従来のWeb上での活動データよりもリッチなものになる可能性があり、それらのデータが流出することは個人にとっても、企業にとっても大きな損害をもたらすと考えられます。

④デジタルアセットの盗難やウォレットのハッキング

4つ目がデジタルアセットの盗難やウォレットのハッキングです。メタバース上で利用されるアバターやファッションアイテムや土地などのデジタルアセットは、今後多くのケースでNFTを活用して取引が行われると考えられています。

 

一方で、そのやりとりを行う暗号資産、デジタルアセットのウォレットがハッキングされるリスクが存在します。2018年に暗号資産取引所であるCoinCheckがハッキングされ、約580億円相当の仮想通貨が流出するという事件が代表的です。

⑤メタバース空間の改ざん・ハッキング

5つ目がメタバース空間の改ざん・ハッキングです。悪意のあるハッカーがメタバース空間のセキュリティの脆弱性を狙い、メタバース空間を改ざん・ハッキングしてしまうというリスクが考えられます。

 

メタバースが人々の生活により普及し、様々な活動が行われる要になっていればいるほど、企業やユーザーは大きなダメージを受けることとなります。

⑥匿名性を悪用した詐欺などの犯罪

6つ目が匿名性を悪用した詐欺などの犯罪です。メタバースの特徴として、見た目や名前など全てのプロフィールを自由に設定でき、現実世界と異なる人格で様々な活動を楽しめるという点があります。

 

一方で、悪意のあるユーザーがその特徴を活かし、匿名のアバターの姿で詐欺などの犯罪行為を犯すというリスクが考えられます。

国内外の代表的なメタバース3選

国内外の代表的なメタバース3選

国内外の代表的なメタバースとして以下の3つが挙げられます。

 

  • ①Roblox:約4億人のユーザー数を誇るメタバースプラットフォーム
  • Cluster:累計動員数2,000万人超の日本最大のメタバースプラットフォーム
  • ③バーチャルマーケット:ギネスにも認定された世界最大のメタバースイベント

 

それぞれのメタバースについて分かりやすく紹介していきます。

 

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①Roblox:約4億人のユーザー数を誇るメタバースゲームプラットフォーム

Roblox:約4億人のユーザー数を誇るメタバースゲームプラットフォーム
(画像:Roblox)

代表的なメタバースの1つ目として、”ゲーム版のYouTube”とも称される、ゲーム制作・プレイを軸とするメタバースサービスRobloxが挙げられます。

 

ユーザーは、他ユーザーが作成した様々な3DCGゲームをプレイしたり、ユーザー自身も比較的簡単にゲームを制作し、公開することができます。

 

Robloxは、アプリダウンロード数が3億8,300万人、デイリーアクティブユーザーは約6,500万人と、若年層ユーザーを中心に圧倒的な人気を誇っています。

②Cluster:累計動員数2,000万人超の日本最大のメタバースプラットフォーム

Cluster:累計動員数2,000万人超の日本最大のメタバースプラットフォーム
(画像:Cluster)

代表的なメタバースの2つ目として、他ユーザーとの交流を軸とするメタバースアプリClusterが挙げられます。

  

ユーザーは、他ユーザーや企業が製作したメタバース空間で他ユーザーと他ユーザーとの交流やゲームをして楽しんだり、自身もワールドを製作し、公開することができます。

 

2017年にリリースされたClusterは、総ダウンロード数100万超、累計動員数2,000万人超と、日本のメタバースプラットフォームとしては最大規模に成長しています。 

  

※関連記事:日本最大のメタバースプラットフォームcluster(クラスター)とは?

③バーチャルマーケット:ギネスにも認定された世界最大のメタバースイベント

バーチャルマーケット:ギネスにも認定された世界最大のメタバースイベント
(画像:HIKKY

代表的なメタバースの3つ目として、メタバース上のイベントであるバーチャルマーケットが挙げられます。

 

参加者はメタバース上の企業やクリエイターが出店しているブースにて、アバターなどの3Dデータ商品やリアルの商品(食品、PC、洋服など)を購入することができます。

 

2021年に開催された6回目のバーチャルマーケットでは、73社の出店企業と100万人を超える来場者数を記録し、世界最大のメタバースイベントとして、ギネス世界記録にも認定されました。

 

※関連記事:バーチャルマーケットとはどんなイベント?出展企業や参加方法も解説

メタバースがもたらす3つのビジネスチャンス

メタバースの普及がもたらす3つのビジネスチャンス

メタバースの普及がもたらすビジネスチャンスとして以下の3つが挙げられます。

 

  • ①新規事業の創出
  • ②マーケティング・ブランディングの強化
  • ③企業の社内業務の効率化

 

それぞれのビジネスチャンスを分かりやすく紹介していきます。

①新規事業の創出

新規事業の創出 バンダイナムコ
(画像:バンダイナムコ)

1つ目のビジネスチャンスは、メタバースサービスやイベントなどの新規事業の創出です。

メタバースを活用し新たなサービスを構築することで、ユーザーに対し現実に存在するもの/しないものを含め、仮想空間上に3Dの世界を構築することができるというメタバースならではの特徴を活かし、ユニークな体験を提供するサービスを提供することができます。

 

また、メタバース上でアーティストや企業を集めたイベントをすることで、入場券やデジタルコンテンツの販売など収益性の高い新たなビジネスを展開できることが挙げられます。

②マーケティング・ブランディングの強化

マーケティング・ブランディングの強化 三越伊勢丹
(画像:三越伊勢丹)

2つ目のビジネスチャンスは、メタバースを活用したマーケティング・ブランディングの強化です。

メタバースが人々の生活に普及するにつれ、オフラインからオンラインへ、WebからSNSへと起こってきたのと同様の顧客接点のシフトが、メタバースでも起こると考えられます。

 

メタバースをマーケティング・ブランディングに活用することで、従来はオンラインでの実施が難しかった商品・サービスの販促やメタバースならではの体験を通じた強力なブランディングを行うことができます。メタバースは従来のWebページや動画と比べ伝えられる情報がリッチかつインタラクティブな体験を提供可能なため、ユーザーを惹きつけやすく幅広い業種での活用が進んでいます。

③企業の社内業務の効率化

企業の社内業務の効率化 DHL
(画像:DHL)

3つ目のビジネスチャンスは、企業の社内業務の効率化です。

メタバース・デジタルツインを社内業務の効率化に活用することで、バリューチェーン全体や工程全体の最適化社員の作業のサポート、研修の効率化をすることができます。

 

メタバース上で現状存在しない施設や設備を設計し、シミュレーションを行うことで、最適な製造ラインや運用方法を特定したり、メタバースの特徴である3Dでの情報の表示により、AR/MRグラスで現場の作業員の作業をサポートしたり、VRグラスにより様々なシチュエーションを想定した研修を行ったりと多岐にわたる活用方法が存在します。

【プロ厳選】メタバースのビジネス活用事例10選

【プロ厳選】メタバースのビジネス活用事例10選

注目すべきメタバースのビジネス活用の事例として以下の10事例が挙げられます。

 

  • 新規事業の創出:①KDDI、②バンダイナムコ、③サンリオ
  • マーケティングの強化:④GUCCI、⑤三越伊勢丹、⑥日産自動車、⑦ZOZO
  • 企業の社内業務の効率化:⑧ウォルマート、⑨DHL、⑩川崎重工

 

それぞれの事例について分かりやすく紹介していきます。

 

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新規事業の創出:①KDDI、②バンダイナムコ、③サンリオ

①KDDI:ライブ配信、バーチャルショッピングなどができるメタバースを提供

KDDI:ライブ配信、バーチャルショッピングなどができるメタバースを提供
(画像:KDDI)

KDDIはライブ配信、バーチャルショッピングなどを行うことができるメタバース「αU」を提供しています。KDDIはこれを「現実と仮想を軽やかに行き来する新しい世代に寄り添い、誰もがクリエイターになりうる世界に向けたメタバース・Web3サービス」と位置付け、メタバースは「体験する場所」から「発信する場所」へと進化していきます。

 

αUではライブ配信やバーチャルショッピングを楽しめることに加えて、アバターやマイルームの制作、マイルームの家具の販売など、ユーザーがクリエイターになる体験が可能です。

さらにクリエイター支援の取り組みとして、国内外のパートナーと連携し、日本のクリエイターやコンテンツのグローバル展開をサポートします。

 

KDDIはこの新サービスに1000億円投入しメタバース関連のコンテンツを拡大していく予定です。

 

※関連記事:KDDIのメタバース「αU」とは?できることや特徴を徹底解説

②バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるメタバースを構築へ

バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるメタバースを構築へ
(画像:バンダイナムコ)

バンダイナムコグループは、2022年4月から掲げる中期ビジョン「Connect with Fans」の重点戦略の1つとして、IPでファンとつながる「IPメタバース」を設定しました。

 

これは、メタバースを介して、バンダイナムコグループとファンのコミュニティを作る仕組みで、その第1弾がガンダムメタバースです。先日のガンダムカンファレンスで流れたイメージ映像では、メタバース上に世界中のガンダムファンが集い、語り合ったり、ライブイベントに参加したりする様子が描かれていました。

 

今後はバンダイナムコグループ以外の企業によるガンダムビジネスへの参入促進やガンダムファンがガンダムを活用したビジネスができる場の提供を目指して事業展開を行っていく予定とのことです。

③サンリオバーチャルフェス:50組以上のアーティストが参加の有料ライブイベント

サンリオバーチャルフェス:50組以上のアーティストが参加の有料ライブイベント
(画像:サンリオ)

サンリオは、メタバース上に、50組以上のリアル/バーチャルの有名アーティストを集めた、有料のライブイベント「サンリオバーチャルフェス」を開催しました。

 

参加者は、メタバース上で有名アーティストのライブパフォーマンスを楽しんだり、参加者同士でコミュニケーションを取ったり、リアル・バーチャルの限定グッズを購入することができたりします。

バーチャルのライブイベントでありながら、有料チケットの価格は5,000円〜10,000円超えのものも存在するなど、リアルのライブイベントと同様の価格であることも注目を集めました。

 

同イベントが多くのユーザーを集めた理由として、ユーザーが求めるものを実現するために、企業や団体の垣根を超えたコラボレーションを実現させた点が挙げられます。参加するアーティストは、AKB48などのリアルの有名アーティストから、Vtuber、VRChat上で活動するバーチャルアーティストまで、幅広いジャンル・所属企業のアーティストが一堂に会することで、大きな話題を呼びました。

 

このように、ユーザーを特定の企業やプラットフォームに囲い込もうとするWeb2.0的な発想とは違った取り組みが、今後のメタバースイベントの盛り上がりに繋がっていくと予想されます。

マーケティングの強化:④GUCCI、⑤三越伊勢丹、⑥日産自動車、⑦ZOZO

④GUCCI:Roblox上に自社独自のメタバース空間を構築

Welcome to Gucci Town
(動画:GUCCI)

GUCCIは、ゲーム版YouTubeとも呼ばれる大人気ゲーム型メタバース「Roblox」上に、常設エリアである「GUCCI Town」をオープンしました。

 
Robloxとは、他ユーザーが作成した様々なゲームをプレイしたり、ユーザー自身もゲームを作成することのできる、ゲームプラットフォームです。利用されるゲームの全てがユーザー自身によって作成されていることから、「ゲーム版のYoutube」とも評されています。

 

「GUCCI Town」にはグッチのアイテムに関連するゲームを楽しめる競技場、アート制作を楽しめるアトリエ、ヴィンテージから新作アイテムを見ることのできる展示スペースなどが存在し、メタバースの世界でグッチに纏わる様々なブランドをすることができます。

 

2021年5月にも、GUCCIはRobloxに2週間限定のエリアをオープンし、約2000万来場者を記録するという成果を挙げていることから、今回常設エリアのオープンに踏み切ったと考えられます。 

 

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⑤三越伊勢丹:独自のメタバース空間を構築し新たなEC体験の提供へ

三越伊勢丹:独自のメタバース空間を構築し新たなEC体験の提供へ
(画像:三越伊勢丹)

三越伊勢丹は、自社の百貨店の店舗を再現したメタバース「Rev worlds」をスマホ向けアプリをリリースしています。同社はこのアプリを通じて、”バーチャルな伊勢丹の店舗”で”リアルな買い物”体験を提供しています。ユーザーはアバターの姿で商品を見て回ることができ、その商品を実際にECで購入することが可能です。

 

店員のアバターも配置され、チャット機能を使った接客も受けられます。現在は婦人服や食品など310ブランドを扱っていますが、今後は家具や日用品にも対象を広げる方針です。友人のアバターと一緒に会話しながら買い物できるようにするなど機能も強化する予定です。

 

他社がメタバース上で開催されるイベントへの出展が中心のなか、三越伊勢丹は既に独自のメタバース空間を構築・提供しており、マーケティングへのメタバース活用をリードする存在といえます。

⑥日産自動車:VR chat上で新車発表・試乗会を開催

日産自動車:VR chat上で新車発表・試乗会を開催
(画像:日産自動車)

日産自動車はメタバース上で、新型軽電気自動車「日産サクラ」の発表・試乗会を開催しました。イベントは世界最大のVR SNSプラットフォーム「VRChat」で開催されました。

発表会は日産副社長のアバターが登場し、ボイスレターが再生されるという形で進行。また、試乗会では日本の四季を感じられるドライブコースでバーチャルなサクラを運転することができました。VR上での試乗は通常の試乗とは違い、書類での手続きなどが不要で、いつでもどこからでも体験可能な点が強みです。

 

今回の取り組みにより、販売スタッフのアバター操作経験不足や、リアルな商品を仮想空間上でプロモーションする難しさなどが明らかになったとのことです。このような試験的な取り組みを重ねるなかで、将来的に製品のプロモーションチャネルとしてVRイベントが本格的に活用できるユースケースが確立されていくことが期待されます。

⑦ZOZOCOSME:ARメイクで自分の顔で化粧品を試せる

ZOZOCOSME:ARメイクで自分の顔で化粧品を試せる
(画像:ZOZOCOSME)

ZOZOTOWNはZOZOTOWN上のコスメ専門モール「ZOZOCOSME」でバーチャルにメイクアップアイテムを試せる新機能「ARメイク」を提供しています。

 
ZOZOTOWNの「ARメイク」機能は、商品詳細ページからワンタップで起動し、簡単な操作でにメイクを施すシミュレーションを行うことができます。

 

「ARメイク」機能では、メイクの濃淡を調整したり、メイクのオンオフを切り替えることができ、実際にコスメアイテムを使用した際の色や質感を容易に想像することができます。また、「ARメイク」画面下部の「カートに入れる」ボタンから直接商品の購入に進むことができます。

企業の社内業務の効率化:⑧ウォルマート、⑨DHL、⑩川崎重工

⑧ウォルマート:メタバース上で混雑等の状況を再現した研修

ウォルマート:メタバース上で混雑等の状況を再現した研修
(画像:ウォルマート)

世界的なスーパーマーケットチェーンであるウォルマートは、接客のトレーニングにVRを導入しています。従業員にHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着させ、ブラックフライデーなどの販売イベント時に大勢のお客様に対応するための研修を行っています。従来の研修とは異なり、現実には再現が困難な状況を実際に体験しているかのような、リアリティの高い研修を行うことができます。

 
この研修を行うため、ウォルマートは1万7000台のOculas Questを約4700店舗に準備するなど大規模な投資を行っており、VRを活用した研修に本腰を入れています。

⑨DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化

DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化
(画像:DHL)

ドイツの大手物流企業のDHL社は、グーグルのスマートグラス「Glass Enterprise Edition 2」を導入し、倉庫での配送業務にARを活用しています。従業員はピッキング作業の現場でグラスを着用することで、製品・商品の保管場所やカート配置場所といった必要な情報を確認することが可能です。

 

ハンズフリーで即座に必要な情報にアクセスできるため、作業の精度と効率の向上に繋がります。また、多くのスマートグラスにはマイク機能が搭載されており、遠隔かつハンズフリーで会話による連携を取ることも可能です。

⑩川崎重工:工場を丸ごとメタバース化する計画を発表

川崎重工:工場を丸ごとメタバース化する計画を発表
(画像:川崎重工)

川崎重工はマイクロソフト社のカンファレンス「Build2022」にて、工場を丸ごとメタバース化する「インダストリアルメタバース」の構築に取り組むことを発表しました。この取り組みにより、工場における全工程をバーチャル空間上でシミュレーションできるデジタルツインの構築を目指すとのことです。

 

同社は、マイクロソフトのクラウド/IoT管理ソリューション「Azure IoT」、エッジAIソリューション「Azure Percept」、MRデバイス「HoloLens 2」を採用し、生産ラインや製造現場の管理に取り組んでいます。

 

これにより、ロボットの障害発生時の迅速な対応や、トラブルを未然に防ぐ予知保全が可能になります。また、リアルタイムかつ遠隔で専門家からのアドバイス、支援を受けることができるようになりました。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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