建築業界でのメタバース活用事例5選|メリットも解説

メタバースの建築業界への活用事例

近年FacebookのMetaへの社名変更をきっかけに脚光を浴びるメタバースですが、メタバース上での建物の3Dモデルの設計を行う「メタバース建築士」なる仕事が生まれるかもしれないなどといった議論が話題になるなど、特に建設業界にいらっしゃる方は注目をされているのではないでしょうか。

 

一方で、メタバースを現実世界の建設の業務に活用しようという取り組みも既に始まっています。

 

そこで今回は、メタバース空間上での建築ではなく、現実世界の建築へのメタバース活用にフォーカスし、活用事例やそのメリットについて分かりやすく解説していきます。

本記事をお読みいただければ、建築業界のビジネスにおけるメタバース活用のヒントが得られるかと思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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そもそもメタバースとは

そもそもメタバースとは VRChat
(画像:VRChat

メタバースとは一言でいうと、人々が様々な活動を行うことのできるインターネット上の3次元の仮想空間のことを指します。

 

メタバースの語源は「超越」を意味する「meta」と「世界」を意味する「universe」を組み合わせた造語だと言われています。メタバースという言葉が世界で初めて使われたのは、1992年にニール・スティーヴンスン氏が発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」です。

 

メタバースにおいて、ユーザーはアバターと呼ばれる自身の分身の姿でメタバース空間にアクセスし、他のユーザーとコミュニケーションや経済活動を行うことができます。例えば、集まって会話をしたり、イベントやスポーツ、買い物などを楽しむことができます。

 

一般ユーザーに広く普及しているメタバースサービスとして、「Fortnite」や「Roblox」、「どうぶつの森」などのゲーム型のメタバース、「VRChat」や「Cluster」などのSNS型のメタバースが挙げられます。

 

メタバースへのアクセス方法としては、スマホやPCからもアクセス可能ですが、Apple Vision ProやMeta Questのようなヘッドマウントディスプレイからアクセスすることにより、より世界に没入したような体験が可能になります。

メタバースの建築業界への活用事例5選

メタバースの建築業界への活用事例としては次の5つがあります。

 

  • ①東急建設:建物の完成イメージの共有に活用
  • ②鹿島建設:建築の全フェーズでデジタルツインを実現
  • ③ラストマイルワークス:建築に特化したメタバース空間を提供
  • ④奥村組:メタバース上で設計・施工のシュミレーション
  • ⑤ASATEC:施工前の家をARで確認できる営業支援サービス

 

それぞれの事例をわかりやすく解説していきます。

 

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①東急建設:建物の完成イメージの共有に活用

東急建設:建物の完成イメージの共有に活用
(画像:東急建設)

東急建設は、設計者や現場の作業員、また外部の発注者など様々な関係者が共通の建物の完成イメージを持つことで、施工の品質や効率を高めるためにHololensの活用を進めています。本取り組みには、Hololens上でAzure Remote Renderingという、3Dモデルをクラウド上でレンダリングし、それをストリーミングすることで、リアルタイムにHoloLensのデバイスに表示できるサービスが活用されています。

 

この活用により、発注者、設計者、施工者間での認識のズレを防ぐことができ、施工品質の向上や無駄な手戻りの削減による業務効率化を実現することができます。

②鹿島建設:建築の全フェーズでデジタルツインを実現

鹿島建設:建築の全フェーズでデジタルツインを実現
(画像:鹿島建設

鹿島建設はオービック御堂筋ビルの新築工事において、プロジェクトの全フェーズにおいてBIMによるデジタルツインを活用することで、プロジェクトの各フェーズにおける建物データの連携・共有を可能にしました。

 

企画・設計フェーズでは周辺環境へのビル風のシュミレーション、建物内のシュミレーションに、施工フェーズでは工事プロセスのデジタル化と進捗管理、MRの活用による、実際の施工状況の確認に、維持管理フェーズでは、ファシリティマネジメントのデータへの連携、日常の点検から得られた情報を収集し、その後の建築の企画・開発への活用になど、多岐にわたるユースケースでデジタルツインを活用しました。

 

デジタルツインを活用することで、建物自体の高品質化はもちろん、企画・設計から竣工後の管理・運営までの一連の建物にまつわる情報をデジタル化し、お客様に提供することが建物の更なる価値向上に繋がると考えているとのことです。

 

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③ラストマイルワークス:建築に特化したメタバース空間を提供

ラストマイルワークス:建築に特化したメタバース空間を提供
(画像:ラストマイルワークス株式会社)

2022年1月に、創業以来建築CGやVRコンテンツの制作を行ってきた企業であるラストマイルワークスは建築に特化したメタバース空間である「comony」の提供を開始しました。

 
conomyのメタバース空間は、自分自身で閲覧できる建築のポートフォリオとしての活用だけでなく、世界中から招待されたゲストとのコミュニケーションにも利用できます。
また、仮想空間上に建てられた世界の有名建築物や、ここでしか見ることのできない未完成建築作品をを24時間365日、見学することができます。

 

従来の2Dでの図面を介したコミュニケーションでは、完成イメージの共有が不十分であり、設計時と施工時の認識のギャップが多く存在しました。

そこで、デザインプロセス全体により高い精度と正確性を持たせるためのソリューションとしてconomyを企画・開発しました。conomyは3Dのメタバース空間を通じて、作り手と受け手の円滑なコミュニケーションを実現しています。

 
今後はconomyを盛り上げてくれる建築クリエイターの募集のため、個展や建築コンペ/イベント等を開催予定とのことです。

④奥村組:メタバース上で設計・施工のシュミレーション

奥村組:メタバース上で設計・施工のシュミレーション
(画像:株式会社奥村組)

2021年12月に奥村組はメタバース上でのシュミレーションにより設計・施工の工数削減を目指すため、独自のメタバース空間である「メタバース技術研究所」の構築を発表しました。

メタバース技術研究所の構築にはSynemon社のVR構築サービス「NEUTRANS」が活用されました。

 

従来は建築用のモックアップを作るのは当たり前のことでしたが、原寸大で製作する場合、多くの産業廃棄物を発生させることになります。また、縮小版で制作する場合も、手戻りが発生した際に膨大な工数が発生するという問題がありました。

 

そこで、同社の技術研究所内にある実験棟をメタバース化することで、設計や施工の細部の精度を高め、室内環境の際現に必要な施工にかかる工数を削減することができます。

 

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⑤ASATEC:施工前の家をARで確認できる営業支援サービス

ASATEC:施工前の家をARで確認できる営業支援サービス
(画像:ASATEC)

2021年12月にXRのプロジェクト企画・開発を行うASATECが施工前の家を事前にARで確認できる営業支援サービスの提供を開始しました。build+は、空き地の周辺景観を認識し、あたかも空き地に3Dの建築物が存在するかのように表示するサービスです。

 

建築物は同社のアプリケーション「MetaTown」で確認することができます。MetaTownはスマートフォン向けアプリケーションです。XR(AR、VR、MR)、デジタルツイン、GPSの技術を空間認識の力で組み合わせ、仮想世界を作り上げることができます。地域活性化を担う企業や大学と連携し、観光・地域活性化プロジェクト、防災プロジェクト、製造・建設・不動産業向けDXプロジェクトなど、2023年までに100件のプロジェクトを目指し、「街のメディア化」を推進するとのことです。

 

build+を活用することで、建設会社や住宅販売会社が、施工前の家やマンションをよりイメージが湧く形で営業できるようになり、訴求力の向上ひいては成約率の向上に繋がるのではと期待されており、既に100件以上の導入実績があります。

メタバースを建築業界に活用する3つのメリット

メタバースを建築業界に活用する3つのメリット

メタバースの建築業界への活用の代表的なメリットとして、以下の3つが存在します。

 

  • ➀3Dモデルにより完成イメージのギャップを解消
  • ②建物の設計シュミレーションのコスト・環境負荷を削減
  • ③完成イメージの3D化によりお客様への訴求力向上

 

それぞれのメリットをわかりやすく説明していきます。

 

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➀3Dモデルにより完成イメージのギャップを解消

設計時に建物の完成形のイメージをすり合わせる際に、従来の2Dの図面等を用いたアプローチだと、設計時には設計者・施工者・発注者がイメージする建物の完成形がそれぞれ異なっている場合もあり、手戻りの工数発生やトラブルへの発展など様々な問題に繋がっていました。

 

そこで、建物の設計時に、メタバース空間上で建物の完成形の3Dモデルを製作することで、建物の細かい設計まで視覚的に確認することができるため、設計者・施工者・発注者の認識のギャップ解消に繋げられるというメリットがあります。

②建物の設計シュミレーションのコスト・環境負荷を削減

設計のシュミレーションをする際に、従来のアプローチだと、実寸大ないしは縮小版の模型を制作し、理想とする建物が建設できそうかを検証するのですが、シュミレーションを行うためには何度も模型を組み替える必要があり、そのために多くの工数やコストが発生していました。また、そのシュミレーションをには当然多くの資材が使用されるため環境負荷にも繋がってしまうという問題がありました。

 

そこで、設計のシュミレーションをメタバース空間上で行うことで、工数やコストの削減はもちろん、現実の資材を使用することもないので環境負荷を抑えることが可能です。

③完成イメージの3D化によりお客様への訴求力向上

施工・完成前の戸建てやマンションを販売する際に、従来のアプローチだと2Dの設計図を用いた紹介、または完成形のイメージを2Dの形で確認するというのが主流でした。

実際に完成している建物の販売と比べると、お客様が建物の魅力を感じ、安心して購買していただくハードルは非常に高いものとなっていました。

 

そこで、AR/VRなどの技術を活用することで、建物の完成時のイメージを3Dで可視化しながら販売をすることが可能になります。

この取り組みにより、完成前の建物の販売における訴求力や成約率の向上への貢献が期待できます。

メタバースの建築業界での活用に向けた2つの課題

メタバースの建築業界での活用に向けた課題は大きく以下の2つです。

 

  • ①3Dモデル等のデータ整備のコストの大きさ
  • ②費用対効果の不明瞭さ

 

それぞれの課題についてわかりやすく紹介していきます。

 

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①3Dモデル等のデータ整備のコストの大きさ

メタバースの建築業界での活用における最大の課題として、メタバース空間の構築に向けた3Dモデル等のデータ整備のコストの大きさが挙げられます。

 

データ整備にかかるコストを決める要素として、➀最終的に構築しようとしているモデルの規模感(製品単位、建物単位、都市単位など)②現状収集・整備できているデータの割合③行おうとするシュミレーションの精度 の大きく3つが存在しますが、価値あるシミュレーションを行うために精度を下げることは難しく、また現状、データの整備は成されていないことも多く、投資金額が数億円以上に上ることもあります。

 
そのため、既にメタバース・デジタルツインの活用に取り組めている企業の大半が、各業界を代表する大企業となっているのが現状です。

②費用対効果の不明瞭さ

コストの大きさについては先述の通りですが、効果に関しても、現場に理解されづらいというのが現状です。理由としては大きく2つ上げられ、1点目はメタバース・デジタルツインは比較的新しい技術であることから、他の技術に比べ、活用の先行事例が少なく、効果を想定しづらい点。2点目は、メタバースやデジタルツインが構築できたとしても、これらを活用する業務設計がなされてないことにより、効果が十分に挙げられないという点です。

 

これらの技術を活用することにより、現場の業務は大きく変わることになるので、経営層から現場の作業員までが、活用の目的やメリットをしっかりと理解した上で、十分にコミュニケーションを取り、新たな業務設計を行うことが求められます。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却した後、日本企業の海外マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を設立して代表取締役社長に就任。メタバースのビジネス活用を支援するメタバース総研を設立して代表取締役社長に就任。

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