ビームスがメタバースに本格参入する3つの狙いとは

近年、FortniteRobloxなどのメタバースプラットフォームの普及によって、様々な企業がメタバースを自社ビジネスに活用しています。

 

今回は、ビームスがメタバースに本格参入する理由を、実際のビームスによるメタバース活用事例と合わせてご紹介します。

 

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

 

  • ビームスがメタバースに本格的に参入している理由が知りたい
  • ビームスがメタバースをどのように活用しているのか具体的に知りたい
  • アパレルブランドとしてメタバースの活用のポイントが知りたい

 

本記事を読めば、ビームスのメタバース上での取り組みからメタバースに本格参入する理由まで一気にキャッチアップできる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。


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目次

ビームスのメタバースを活用した2つの取り組み

ビームスのメタバースを活用した2つの取り組み

ビームスのメタバースを活用した取り組みとして代表的なものに以下の2事例が挙げられます。

 

  • ①バーチャルマーケットへの5回の自社ブース出展
  • ZEPETOへのバーチャル店舗出店とコラボアイテムの販売

 

それぞれについて、わかりやすく紹介していきます。

①バーチャルマーケットへの5回の自社ブース出展

バーチャルマーケットへの5回の自社ブース出展 BEAMS
(画像:ビームス)

1つ目の取り組みとして、世界最大のVRイベントである「バーチャルマーケット」への5度の出展が挙げられます。バーチャルマーケットとは、メタバース上にある会場でアバターなどのさまざまな 3D アイテムやリアル商品(洋服、PC、飲食物など)を売り買いできるイベントのことです。日本はもとより世界中から100万人を超える来場者を誇る世界最大のメタバースイベントです。

 

2022年冬のバーチャルマーケットでは、アバター用の洋服であるデジタルアイテムの販売やライブなどのイベントの開催が行われました。アバター用の洋服であるデジタルアイテムは、ビームスの2022年の秋冬商品を3Dモデルに起こした、Tシャツやワンピースなどの全7種類が販売されました。

 

また、ライブでは池田エライザさんがバーチャルライブを開催し、メタバースに着想を得た新曲の発表も行われました。一方でリアルでの商品販売も行われ、バーチャルマーケットの出展を記念したリアルな洋服の商品もビームスの公式オンラインショップにて販売されました。

 

4度目の参加の際には、関西のショップスタッフも含む約50名の社員が交代でバーチャル接客にあたり、メタバース上での接客を通じてリアル店舗への来客に繋がっている事例も生まれてきているとのことです。

②ZEPETOへのバーチャル店舗出店とコラボアイテムの販売

ZEPETOへのバーチャル店舗出店とコラボアイテムの販売 BEAMS
(画像:ビームス)

2つ目の取り組みとして、メタバースプラットフォームの「ZEPETO」に参加し、ZEPETO内の人気クリエイターとコラボしてメタバース内で10点のコレクションをリリースした取り組みが挙げられます。

 

ユーザーは、ZEPETO内でビームスと人気のクリエイターがコラボした商品を購入し、アバターのファッションを楽しんだり、コレクションしたりして楽しむことが可能です。ファッションのデザインやサイズ感などに知見のあるビームスと、ZEPETO内で映えるZEPETOらしい表現や3Dモデリングの技術に優れたクリエイターのコラボにより、クオリティの高いコレクションとなっています。

 

ビームスの狙いは、今後の顧客層として注力したいZ世代とのタッチポイントを獲得しにいくことや、メタバースやデジタルファッションのノウハウを獲得することでした。特に後者は、4度にわたるバーチャルマーケットでの取り組みから継続することに意味がある、と担当者はインタビューで語っています。

 

ビームスは、ZEPETOでの取り組みを通じてメタバースでの自己表現はリアルを上回る可能性があることを実感したため、今後もメタバースやデジタルファッション関連の取り組みは継続していくとのことです。

ビームスがメタバースに本格参入する3つの狙い

ビームスがメタバースに本格参入する3つの狙い

ビームスがメタバースに本格参入する理由として、大きく以下の3つが挙げられます。

 

  • ①市場拡大が見込まれるメタバースへの早期参入によるノウハウの蓄積
  • ②自社の顧客ターゲットである若年層との接点強化
  • ③既存ビジネスとメタバースのシナジーの検証

 

それぞれについてわかりやすく解説していきます。

①市場拡大が見込まれるメタバースへの早期参入によるノウハウの蓄積

第一の狙いはメタバースへの早期参入によるノウハウの蓄積です。マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、世界のメタバースの市場規模は2022年時点で約42兆円、2030年には約700兆円に達すると予想されています。特にEC、製造、銀行、通信、小売業界でのメタバースのユースケースが増えるとのことです。

 

また、矢野経済研究所によると、日本国内のメタバースの市場規模は2022年度時点で約1,377億円、2027年度には2兆円を超えると予想されています。にまで成長すると予想されており、その後も成長が期待されています。

 

メタバースへ早期参入することで、ノウハウを自社に蓄積し、メタバースが「当たり前」となった世の中でアドバンテージを獲得することを目指していると考えられます。

②自社の顧客ターゲットである若年層との接点強化

第二の狙いはビームスの顧客ターゲットである若年層との接点強化です。

ビームスの参入した「ZEPETO」や「VR Chat」などのプラットフォームは、Z世代を中心に利用が広がっており、ビームスが今後注力したいユーザー層と利用者層が一致しています。

 

今後注力したいと考えているZ世代を中心とした若年層とビームスのタッチポイントを強化し、自社の認知度やロイヤリティの向上を目的としていると考えられます。

③既存ビジネスとメタバースのシナジーの検証

第三の狙いはビームスの既存ビジネスとメタバースのシナジーの検証です。

メタバースの市場拡大が見込まれ、自社の顧客ターゲットが多く利用しているとしても、自社のビジネスとの親和性の有無は確認する必要があります。

 

実際にメタバースで事業を行うことで、自社ビジネスがメタバースを活用することによって生まれるシナジーを検証し、今後の戦略策定への活用を目指していると考えられます。

ビームスがメタバース参入に成功している4つの理由

ビームスがメタバース参入に成功している4つの理由

ビームスがメタバース参入に成功している理由としては、大きく以下の4つの理由が考えられます。

 

  • ①継続的なメタバース活用によるノウハウの蓄積
  • ②メタバース上での顧客との質の高いコミュニケーション
  • ③限定アイテムの販売や、有名人とのコラボによる集客の強化
  • ④ショッピング以外のユーザーの楽しめるコンテンツの提供

 

それぞれについて、わかりやすく紹介していきます。

①継続的なメタバース活用によるノウハウの蓄積

継続的なメタバース活用によるノウハウの蓄積 BEAMS
(画像:ビームス)

継続的にメタバースを活用した事業を行い、メタバース活用に関するノウハウが蓄積していることが1つ目の理由です。

 

ビームスはメタバースイベントであるバーチャルマーケットに「バーチャルマーケット5」から6回連続で出展していますが、その度にコンテンツを改良し、メタバース上での顧客体験の質を向上させ続けています。

 

継続して活用を行い仮説検証を重ね、PDCAサイクルを数多く回せていることがビームスがメタバース活用に成功している大きな理由となっています。

②メタバース上での顧客との質の高いコミュニケーション

メタバース上での顧客との質の高いコミュニケーション BEAMS
(画像:ビームス)

ビームスの強みである接客を『デジタル接客』として提供し、顧客とメタバース上で質の高いコミュニケーションがとれていることが2つ目の理由です。
 

メタバースでの接客は、botやAIアバターによる接客を行っている企業が多い中、ビームスではあえてリアルのスタッフがアバターとして店舗に立ち、接客を行っています。リアルのスタッフが店舗に立つことでユーザーのリアクションや要望を細かくキャッチアップすることができています。

③限定アイテムの販売や、有名人とのコラボによる集客の強化

限定アイテムの販売や、有名人とのコラボによる集客の強化 BEAMS
(画像:ビームス)

ビームスはメタバース活用において積極的にメタバース限定アイテムやタレントとのコラボレーションを行い集客を強化していることが3つ目の理由です。

 

メタバース上での体験をリアルの顧客体験に近づけるだけでなく、メタバースでしかできない体験を提供するための施策として限定アイテムやタレントとのコラボレーションは有効と考えられます。

④ショッピング以外のユーザーの楽しめるコンテンツの提供

ショッピング以外のユーザーの楽しめるコンテンツの提供 BEAMS
(画像:ビームス)

メタバース上で、ビームスのメインコンテンツであるショッピング以外にもユーザが楽しめるコンテンツを提供していることが4つ目の理由です。

 

メタバースコンテンツはユーザーにとって居心地がよく、楽しめる場所であることが重要であり、その結果としてその場所で販売されている商品への注目度が高まります。

 

ビームスはこれを利用して、バーチャルマーケット2021で居酒屋スペースやアバターがダンスを披露できる場を提供しました。その結果、ユーザーからのシェアが広がり、結果として集客につながったという実績があります。 

アパレル業界でメタバースを活用する4つの方法

アパレル業界でメタバースを活用する4つの方法

アパレル業界でメタバースを活用する方法として以下の4つが挙げられます。

 

  • ①新たな顧客層の獲得による既存事業の売上向上
  • ②仮想空間上のファッションアイテム販売による新たな収益源の獲得
  • ③NFTを活用した新たなビジネスモデルの構築
  • ④サステナビリティへの社会的要請への対応

 

それぞれのメリットについて分かりやすく紹介します。

①新たな顧客層の獲得による既存事業の売上向上

新たな顧客層の獲得による既存事業の売上向上 Fortnite バレンシアガ
(画像:Balenciaga)

新型コロナウイルスの影響による外出制限によるオシャレ着需要の低下など、近年アパレル業界は苦境に立たされています。実店舗での新規顧客の獲得がますます難しくなるなか、メタバースプラットフォームとのコラボレーションやメタバース上のイベントへの出展により、普段自社のブランドの実店舗を訪れないような顧客層を獲得しようという動きが進んでいます。

 

アパレル業界のマーケティングチャネルがSNSに大きくシフトしたように、今後VRも有力な顧客チャネルの1つに成長する可能性があります。

②仮想空間上のファッションアイテム販売による新たな収益源の獲得

アパレルブランド各社は、VR上のスキンや洋服などのデジタルアセットの販売が新たな収益源になると考え相次いで参入を始めています。

 

特にルイヴィトンやグッチなどのハイブランドは、自社のコアな強みであるブランド価値は物理的なアイテムであろうが、バーチャルなアイテムであろうが発揮できるとし、デジタルファッションアイテムの市場に非常に積極的です。

 

既にNIKEは2022年7月までに約260億円分のNFTを販売しています。また、デジタルアイテムはデザインさえしてしまえば、生産にかかるコストが小さいので利益率が非常に高く、魅力的なビジネスと言えます。

③NFTを活用した新たなビジネスモデルの構築

NFTを活用した新たなビジネスモデルの構築 RTFKT
(画像:RTFKT)

デジタルファッションアイテムをNFTの形式で販売することで、ブランド側が2次流通・3次流通での収益の一部を半永久的に獲得できる新たなビジネスモデルを構築することができます。例えば、2次流通以降の販売額の10%をブランドに分配するといった設計をNFTに施すことができます。今までハイブランドのファッションアイテムは2次流通市場が活況にも関わらず、その恩恵を受けられずにいました。

 

また、NFTの報酬配分の仕組みを活用し、個人のデザイナーがデザインしたアイテムをアパレルブランドとコラボという形で販売することで、ブランド・個人間の垣根を超えた新たな共創の形を創り出すことも可能です。

④サステナビリティへの社会的要請への対応

近年の社会のサステナビリティへの意識が高まる中で、アパレル業界各社はそれまでのサプライチェーンや販売方法の見直しを迫られています。サプライチェーン上での消費エネルギーや資源、多くのアイテムが買われては捨てられるという廃棄の問題など、ファッション業界はサステナビリティの観点で多くの課題を抱えています。

 

そんななかで、メタバース上のデジタルファッションビジネスは、この課題を解決する打ち手として注目を集めています。バーチャルアイテムの販売は本質的に非常にサスティナブルだと言えます。製造にリアルな素材やエネルギーを必要とせず、店頭でのセールや廃棄処分も不要です。実際洋服1着を製造するなかで発生する炭素は、デジタルアイテムの場合リアルなアイテムの約3%ほどまで節約することができると言われています。

メタバースのアパレル業界での活用事例15選

メタバースのアパレル業界での活用事例15選

ビームス以外にも、メタバースのアパレル業界での活用事例として代表的なものに、以下の15選が挙げられます。

 

  • ①アダストリア:メタバースイベント来場者にアバター用の洋服を提供
  • ②アンリアレイジ:販売したNFT作品11点が総額5000万円で落札
  • ③NIKE:計測された足のサイズから靴をレコメンド
  • ④Warbyparker:ARでいつでもどこでもメガネを試着
  • ⑤Gucci:Roblox上に自社独自のメタバース空間を構築
  • ⑥Louis Vuitton :ブランドの歴史を感じられる独自VRゲームを公開
  • ⑦Balenciaga:Fortniteと連携しアバター用のスキンを販売
  • ⑧RTFKT:バーチャルスニーカーが販売開始7分で3.2億円を売り上げる
  • ⑨ポロラルフローレン:ユーザー数2億人のZEPETOでアバター用の洋服を販売
  • ⑩DOLCE & GABBANA:デジタルウェアのコンペティションを開催
  • ⑪DOLCE & GABBANA:初めて発表したNFTコレクション9作品がオークションで総額6億円で落札
  • ⑫AMBUSH® :独自のメタバース空間を公開
  • ⑬GIVENCHY:Roblox上にメタバース空間を構築
  • ⑭NIKE:Roblox上にメタバース空間を構築しデジタルアセットを販売
  • ⑮Luis:バーチャル店舗をKDDIのメタバース「αU」上 に展示

 

それぞれについてわかりやすく解説します。

 

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①アダストリア:メタバースイベント来場者にアバター用の洋服を提供

アダストリア:メタバースイベント来場者にアバター用の洋服を提供
(画像:アダストリア)

ファッション大手であるアダストリアはメタバース領域への参入を果たしています。具体的な取り組みとしては、阪急阪神ホールディングス主催の「JM梅田ミュージックフェス2022 SUMMER」にて、アダストリア参加のブランドである「レイジ―ブルー」と「ハレ」のアイテムをアバター用の洋服として来場者に無料で提供した。これらのアバターアイテムの作成にあたり、洋服の質感やデザインの再現性を高めるとデータ容量が重くなってしまうという問題があり、バランスを調整しながら作成が行われました。

 

同社のメタバース領域への参入の狙いとしては、「デジタルの顧客接点・サービスを広げる」という成長戦略の実現に向け、メタバースの世界でもファッションを楽しむきっかけをつくることとのこと。同社は将来的に、様々なメタバースプラットフォームへの展開、メタバース内でのコンテンツ提供、イベント開催なども予定しています。

②アンリアレイジ:販売したNFT作品11点が総額5000万円で落札

アンリアレイジ:販売したNFT作品11点が総額5000万円で落札
(画像:アンリアレイジ)

日本を代表するファッションブランドの1つであり、パリコレクションなどへの参加をはたしているアンリアレイジは、メタバース・NFT領域への進出を進めるファッションブランドの代表格と言えます。

同ブランドは2022年3月にVRプラットフォーム「ディセントラランド」を舞台に開催されたファッションイベント「メタバースファッションウィーク」に、日本のファッションブランドとして唯一の参加を果たしています。

 

また、2022年春夏のパリコレクションにて、映画「竜とそばかすの姫」とのコラボ作品をリアルとバーチャルの洋服で発表し、販売したバーチャルの洋服であるNFT作品11点が総額5000万円で落札され、大きなニュースとなりました。

 

アンリアレイジは2014年からパリコレクションの参加をきっかけに、海外の歴史あるブランドに対抗する方法としてテクノロジーの活用に取り組んできていたため、業界でも早い段階からデジタルファッションへの取り組みを進めていました。

 

同ブランドのデザイナーである森永さんは、洋服のデジタルアセットをNFT化して販売するメリットの1つとしてNFTは二次流通、三次流通でも利益が発行者に還元される仕組みがあり、理論上半永久的にその価値が担保される点を挙げています。

③NIKE:計測された足のサイズから靴をレコメンド

NIKE:計測された足のサイズから靴をレコメンド
(画像:NIKE)

Nikeは公式アプリ上で足のサイズを測ることのできる機能である「Nike Fit」を提供しています。Nike Fitは最新のAR技術を使って、わずか数秒で両足の13カ所からデータを収集し、足のサイズや幅などの計測を行うことができます。

 

計測結果をもとに、ユーザーに最適なシューズがレコメンドされ、サイズ違いで返品しなければならなくなる事態を防ぐことができます。また、このデータはアプリに保存されるので、ナイキの実店舗に行ったときや、オンラインで次のキックを注文するときにも、QRコードを使ってすぐに店員にサイズを伝えることができます。

④Warbyparker:ARでいつでもどこでもメガネを試着

Warby Parker | Virtual Try-On
(動画:Warby Parker)

アメリカのメガネブランドであるWarby Parkerは、いつでもどこでもARを活用して眼鏡を試着できるサービスを提供しています。

 

こちらのサービスでは、iPhoneのFace ID等に活用されるカメラ機能を用いて、自分の顔にメガネをかけるとどうなるかをリアルにシミュレーションすることができます。

⑤Gucci:Roblox上に自社独自のメタバース空間を構築

Gucci:Roblox上に自社独自のメタバース空間を構築
(画像:Gucci)

没入型マルチメディア体験「Garden Archetypes」の公開と同時に、グッチはRobloxと共同で、ユニークでインタラクティブなバーチャル展示「Gucci Garden」を発表しました。グッチ ガーデンに入ると、アバターがニュートラルなマネキンに変身します。さまざまな部屋を歩き回りながら、来場者のマネキンは展示の要素を吸収していきます。各人が異なる順序で部屋を体験し、空間の他の断片を保持することで、旅の終わりには唯一無二のクリエイションとして姿を現すのです。

 

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⑥Louis Vuitton :ブランドの歴史を感じられる独自VRゲームを公開

Louis Vuitton :ブランドの歴史を感じられる独自VRゲームを公開
(画像:Louis Vuitton)

ルイ・ヴィトンは、創業者の200歳の誕生日を記念して、ブランド・モノグラムから生まれたマスコット、ヴィヴィアンがバーチャルな世界を駆け巡り、収集可能なNFTキャンドルを求めて世界中の活気あるロケーションを旅するVRゲームをリリースしました。

 

それぞれのキャンドルは、ルイとその家族の旅にまつわるストーリーを解き放ちます。プレイヤーは30個のNFTを集めることができ、その中には、デジタルコラージュがNFTとしてクリスティーズのオークションで6930万ドルで落札されたアーティスト、Beepleの作品も10個含まれています。

⑦Balenciaga:Fortniteと連携しアバター用のスキンを販売

Balenciaga:Fortniteと連携しアバター用のスキンを販売
(画像:Balenciaga)

Balenciagaは、Epic Gamesと提携し、ハイセンスなFortniteのアバター用スキンを作成しました。4つのスキンに加えて、つるはしやBalenciaga blingバックパックなどのBalenciagaをテーマにしたアクセサリーも作成されました。バレンシアガをテーマにしたゲーム内のハブが開発され、現実世界の衣料品ラインも提供されました。ハブにはバレンシアガのバーチャルショップがあり、訪問者はコスメを購入することができます。

 

バーチャル・ストアの上には、パーカーを着た散歩中の犬 Doggoが登場するアニメーションの広告掲示板が設置された。現実世界でも、ニューヨーク、ロンドン、東京、ソウルに広告掲示板が現れました。Doggo’s のパーカーは、フォートナイトをテーマにしたバレンシアガのコレクションの一部でもありました。

⑧RTFKT:バーチャルスニーカーが販売開始7分で3.2億円を売り上げる

RTFKT:バーチャルスニーカーが販売開始7分で3.2億円を売り上げる
(画像:RTFKT)

RTFKT(アーティファクト)は2020年にロンドンで立ち上げられたブランドで、スニーカーを中心にデジタルアセットのデザイン・NFTの販売を行っています。オークションでの多額の販売実績や有名ブランド・アーティストとのコラボなど、メタバース・NFT×デジタルファッションの文脈では圧倒的な存在感を誇っています。

 

RTFKTの販売するNFTの保有者はスニーカーや洋服をメタバース上で自身のアバターに着用させられたり、ARを活用して自身が実際にスニーカーを履いているような体験ができたりします。

 

RTFKTが脚光を浴びたのは2021年3月のこと、バーチャルスニーカーNFTのオークションを行い、開始7分で600足、約3.2億円の売上を記録しました。

 

また、数々のコラボレーションで度々注目を集めており、スポーツファッションブランドのNIKEや、アーティストの村上隆などとのコラボNFTをローンチしており、NFTの購入者はデジタルアセットだけでなく、NFTとリンクした実物の洋服を入手できるなどの取り組みが行われています。

RTFKTは2021年末にNIKEに買収されたことをTwitterで発表し、今後NIKEのケイパビリティを活かし、更なる成長を遂げることが期待されています。

⑨ポロラルフローレン:ユーザー数2億人のZEPETOでアバター用の洋服を販売

ポロラルフローレン:ユーザー数2億人のZEPETOでアバター用の洋服を販売
(画像:ポロラルフローレン)

ラルフローレンはユーザー数2億人を誇るSNSであるZEPETO上で購入可能なバーチャルウェアの販売を開始しました。ZEPETOとはユーザーが自身の3Dアバターを作成し他のユーザーと交流するアプリで、ラルフローレンは、ZEPETO のアプリ内に50種類のファッションアイテムを用意し、ZEMと呼ばれるアプリ内通貨で購入可能にしています。価格は約80円~400円となっています。

 

また、今回のコラボでは、ファッションアイテムの販売以外にも、ニューヨークの実在するセントラルパークなどのロケーションのバーチャル空間での再現やラルフローレンのアイテムを身に着けたK-POPバンドTomorrow x Together(TXT)のバーチャルライブなど、ユーザーが楽しめる様々な取り組みが行われました。ユーザーがライブの様子を自撮りしSNSにアップするなど、コラボの認知度を高める動きも多く見られました。

 

同社は、今回のコラボにて、ZEPETOのアプリ内のアクティビティから様々なデータを取得し、訪問者数や交流の頻度、利用時間、アイテムの売上などを把握し、今後の取り組みの検討に活用しています。リアル店舗より多くの顧客データが得られるのも、メタバース参入によるメリットの1つと言えます。今後はNFTの販売を検討するなど、バーチャル領域でのビジネス展開を加速させる方針とのことです。

⑩DOLCE & GABBANA:デジタルウェアのコンペティションを開催

DOLCE & GABBANA:デジタルウェアのコンペティションを開催
(画像:DOLCE&GABBANA)

イタリアの世界的ファッションブランドであるDOLCE&GABBANAは、NFTマーケットプレイスのUNXDと共同開発する第2回ファッションウィークにて、デジタルデザインコンペティションの開催を発表しています。最終候補者は3D仮想プラットフォームDecentraland内のDOLCE&GABBANA専用スペースで展示をすることができます。

 

このFuture Rewindコンペティションは伝統的なファッション界のクラフツマンシップと、デジタルデザインの新しいメディアとの架け橋となる初めての試みであり、若い才能を支援する包括的なネットワークを構築する手段の一つとして期待されています。

⑪DOLCE & GABBANA:初めて発表したNFTコレクション9作品がオークションで総額6億円で落札

DOLCE & GABBANA:初めて発表したNFTコレクション9作品がオークションで総額6億円で落札
(画像:DOLCE&GABBANA)

DOLCE&GABANAは、2021年10月に初のNFTコレクション「Collezione Genesi(ジェネシス コレクション)」を発表し、オークションで総額約6億円で落札されました。

 

今回NFT化された9つの作品は、DOLCE&GABANAの各コレクションから厳選されたハンドメイド仕立てのミュージアム級の逸品です。落札者には、カスタムメイドのデジタルウェアラブルの贈呈や、次回のコレクションイベントへの招待など、リアルとデジタルの2つのエコシステムを通じてVIPサービスが提供されました。

 

リアルの価値をデジタルでの価値に昇華した取り組みとして、今回のDOLCE&GABANAのNFTコレクションは意義のある取り組みだといえます。

⑫AMBUSH® :独自のメタバース空間を公開

AMBUSH® :独自のメタバース空間を公開
(画像:AMBUSH®)

ジュエリーブランドであるAMBUSH®︎はデジタル時代における第3フェーズ Web 3.0の到来とともに、メタバース領域への参入を開始しました。今回オンライン上で様々なブランドが体験できる場としてメタバース空間である“AMBUSH® SILVER FCTRY”を公開します。

 

チェーンを形取った仮想宇宙船内では、ランウェイの観覧、過去コレクションのアーカイブの閲覧、イベントへの参加、ファン同士の交流が可能です。

⑬GIVENCHY:Roblox上にメタバース空間を構築

GIVENCHY:Roblox上にメタバース空間を構築
(画像:Roblox)

フランスの世界的ラグジュアリーブランドGIVENCHYはメタバースプラットフォームであるRoblox上にメタバース空間「Givenchy Beauty House」を構築しました。「Givenchy Beauty House」では、GIVENCHYとRobloxが、アバターを通じて個性と美しさを最大限に表現できる場を提供します。

 

プレイヤーはブランドイメージから着想を得たダンスフロアや地下鉄をイメージした地下空間などバーチャル体験の様々なエリアにアクセスすることができます。さらに、GIVENCHYのファッションアクセサリーをイメージしたアイテムを手に入れることも可能です。

⑭NIKE:Roblox上にメタバース空間を構築しデジタルアセットを販売

NIKE:Roblox上にメタバース空間を構築しデジタルアセットを販売
(画像:NIKE)

NIKEは、メタバースプラットフォームRoblox(ロブロックス)上に没入型3D空間「NIKELAND」(ナイキランド)をオープンしました。ユーザーは3Dアバターを操作し、メタバース空間上に作られたバスケットボールコートなどの運動施設で、他のユーザーと共に鬼ごっこやドッジボールなどのスポーツを楽しむことができます。

 

また、ツールキットを利用して自分だけのオリジナルミニゲームを制作することも可能です。さらに、デジタルショールームでは、NIKEのアパレルやシューズをデジタルアセットとして購入でき、アバターに装着させることで身体能力をアップさせることもできます。NIKELANDは、NIKEのブランドとしての世界観を表現するためのマーケティングの施策としてだけでなく、メタバースという新たなマネタイズポイントの開拓に繋げる目的があると考えられます。

⑮Luis:バーチャル店舗をKDDIのメタバース「αU」上 に展示

Luis:バーチャル店舗をKDDIのメタバース「αU」上 に展示
(画像:Luis)

アパレルブランドLuisは、KDDIのバーチャルショッピングサービス「αU」上に渋谷パルコ5階のアパレル店舗「Lui`s/EX/store」の店舗と商品を展示しています。渋谷パルコの店舗にバーチャルで訪問できる他、実際の店舗で働く店員と会話することも可能です。このように「αU place」など新たなバーチャルサービスの発達により、店舗のメタバース領域への参入がよりしやすくなっています。

企業がメタバース活用で成果を上げるための5つのポイント

企業がメタバース活用で成果を上げるための5つのポイント

企業がメタバース活用で成果を上げるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
  • ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
  • ③ユーザーファーストなUX設計
  • ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
  • ⑤強力な開発・運用体制の構築

 

それぞれについて分かりやすく紹介していきます。

①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ

1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。

デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。

 

メタバース活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。

②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案

2つ目のポイントは、メタバースを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。

現在メタバース活用に取り組む企業には、メタバース活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。

 

その結果、活用のPDCAが回らない、メタバース活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。

 

自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜメタバースではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。

③ユーザーファーストな企画・UX設計

3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなメタバースの企画・UX設計です。

現在、多くの企業がメタバースに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなメタバースが多く存在します。それらのメタバースは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。

 

そのため、「メタバースならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。

④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進

4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。

メタバース市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。

 

そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。

⑤強力な開発・運用体制の構築

5つ目のポイントは、強力なメタバース開発・運用体制の構築です。

高いユーザー体験と事業性を両立するメタバースの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。

 

メタバース開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。

企業がメタバース活用を進めるための4つのフェーズ

企業がメタバース活用を進めるための4つのフェーズ

企業のメタバース活用の進める流れとして、大きく以下の4つのフェーズが挙げられます。

 

  • Phase1:市場動向・知見のキャッチアップ
  • Phase2:戦略/企画の立案
  • Phase3:事業計画の策定
  • Phase4:開発・運用

 

それぞれのフェーズについて分かりやすく紹介していきます。

 

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Phase1:市場動向・知見のキャッチアップ

1つ目のPhaseとして取り組むべきは、最先端の市場動向・知見のキャッチアップです。MetaやApple、Microsoftなどのビックテックやユーザーの動向・先行活用事例など、日々変化する市場動向やナレッジへのキャッチアップが必要です。

このフェーズが、成果に繋がる骨太な戦略/企画策定の基盤となります。

Phase2:戦略/企画の立案

2つ目のPhaseはメタバース活用の戦略/企画です。活用目的を踏まえ、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方、実現に向けた企画を立案しましょう。

ユーザーバリューと自社の事業性の両方を満たす、質の高い戦略/企画の立案が、成果につながるメタバース活用の実現に向け最も重要なポイントとなります。

Phase3:事業計画の策定

3つ目のPhaseは事業計画の策定です。事業に期待する成果や開発・運用のアプローチやタイムライン、必要な投資額などを検討しましょう。

メタバース開発・運用といっても、プロジェクト毎に求められるケイパビリティは様々であるため、自社にマッチするツール・ベンダーの選定が非常に重要です。

Phase4:開発・運用

4つ目のPhaseが開発・運用です。メタバース開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを有効活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完しつつ、ユーザーに届けたい体験を実現するメタバースの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。 

 

4つのフェーズで取り組むべき35のステップに関しては、以下の関連記事で詳しく解説しています。

 

※関連記事:メタバースを活用した事業を作る方法|全4フェーズと35ステップ【担当者必見】

費用対効果・実現性が高いメタバース活用方法

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3つの理由

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3つの理由

各領域の業界を代表するソリューション提供企業とのパートナーシップを構築。案件毎に中立的な立場から、費用対効果の高いアプローチを設計します。

経験豊富なクリエイター・エンジニア・コンサルタントによる並走支援

3つの理由

業界トップクラスの経験/スキルを有するクリエイター・エンジニア・コンサルタントから、最適なメンバーをアサイン。戦略立案から実行まで並走し、社内のリソース不足を解決します。

「課題や依頼内容が明確になっていない」、「社内で合意が取れていない」場合でも問題ございません。メタバース総研へのお問い合わせをお待ちしております。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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