【事例7選】マーケティングにメタバースを活用する3大メリットとは
コロナウイルス感染拡大による行動制限の影響で、多くの企業のリアルでのマーケティング活動が大きな打撃を受けています。
そんななか、メタバースをマーケティングに活用する動きが注目を集めています。
実は既に三越伊勢丹や日産自動車、東京海自日動など、幅広い業界の大手企業がマーケティングへのメタバースの活用を進めていることをご存知でしょうか?
そこで今回は、マーケティングにメタバースの活用する3大メリットを業界別の活用事例とともにご紹介します。
本記事をお読みいただければ、メタバースをマーケティングに活用するためのヒントが得られるかと思いますので、ぜひ最後までご一読ください。
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そもそもメタバースとは
メタバースとは一言でいうと、人々が様々な活動を行うことのできるインターネット上の3次元の仮想空間のことを指します。
メタバースの語源は「超越」を意味する「meta」と「世界」を意味する「universe」を組み合わせた造語だと言われています。メタバースという言葉が世界で初めて使われたのは、1992年にニール・スティーヴンスン氏が発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」です。
メタバースにおいて、ユーザーはアバターと呼ばれる自身の分身の姿でメタバース空間にアクセスし、他のユーザーとコミュニケーションや経済活動を行うことができます。例えば、集まって会話をしたり、イベントやスポーツ、買い物などを楽しむことができます。
一般ユーザーに広く普及しているメタバースサービスとして、「Fortnite」や「Roblox」、「どうぶつの森」などのゲーム型のメタバース、「VRChat」や「Cluster」などのSNS型のメタバースが挙げられます。
メタバースへのアクセス方法としては、スマホやPCからもアクセス可能ですが、Apple Vision ProやMeta Questのようなヘッドマウントディスプレイからアクセスすることにより、より世界に没入したような体験が可能になります。
マーケティングにメタバースを活用する3つのメリット
マーケティングにメタバースを活用するメリットの代表的なものとして、以下の3つが存在します。
- ①コロナ禍対策としてのオンラインシフト
- ②幅広い顧客へのリーチ
- ③メタバースならではの体験による訴求力向上
それぞれの理由をわかりやすく説明していきます。
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➀コロナ禍対策としてのオンラインシフト
コロナウイルス感染拡大防止のための行動制限などの影響で、幅広い業界のマーケティング・プロモーション活動が打撃を受けています。商材によってはオンラインでのプロモーションへのシフトを成功させています。一方で、実物を確認して買いたいという人が多い商材や実店舗でのプロモーションイベントや顧客ひとり一人に寄り添った提案が重要な商材のマーケティングのオンラインシフトは非常に難易度が高く、幅広い業界の企業の課題となっています。
そこで、マーケティングにメタバース活用することで、実店舗などのリアル空間で行っていたマーケティング施策のオンラインシフトを行うことが可能です。
②幅広い顧客へのリーチ
メタバースを活用したマーケティングの特徴の1つとして、「いつでも、どこからでもアクセスしてもらえる」という点があります。従来のリアルな空間でのプロモーションイベントでは、ターゲットとなる人が地理的に大きく制限されているため、一定程度ターゲットが密集している都心部など以外で施策を実施しづらいという課題がありました。そこで、メタバース上でマーケティング施策を行うことで、幅広い地域のターゲットにチー利することが可能です。
また、メタバースを活用することで、従来若者世代との接点獲得に苦戦していた企業・商材のマーケティングを加速させることもできます。メタバースがデジタルネイティブの比較的若い世代から人気を集めていることや、人気のコンテンツなどとコラボしたりゲーミフィケーションを取り入れたプロモーション施策との相性が良いことから、若者世代の顧客獲得への打ち手としての活用が進んでいくことが考えられます。
③メタバースならではの体験による訴求力向上
マーケティングにメタバースを活用することで、オンラインでの商材の訴求力を向上することができます。訴求力向上に繋がるポイントは大きく2点あります。
1点目は、3Dモデルを活用した訴求力の向上です。顧客が商材や店舗、施設を目の前にしているような体験を提供でき、従来オンラインで商材の魅力が伝わりづらく、オンラインプロモーションに苦戦していた商材の訴求力を向上することができます。
2点目は、メタバースならではの体験を通じた、新たな購買体験による訴求力の向上です。オンラインでありながら、友人と一緒に買い物が出来る環境を構築したり、リアルでは簡単に提供できない非現実的な体験型のプロモーション施策を低コストで実施したりすることができます。
マーケティングへのメタバースの業界別活用事例7選
マーケティングのメタバースへの活用事例として、業界ごとに以下の7つが挙げられます。
- ①小売業界:三越伊勢丹がメタバース上に百貨店を再現
- ②アパレル業界:BEAMSがVR上に仮想店舗を出店し実店舗への送客も
- ③自動車業界:日産がメタバース上で新車の試乗会を開催
- ④観光業界:あしびかんぱにーがメタバース上に沖縄の観光名所を再現
- ⑤金融業界:SMBC日興証券が金融を身近に感じられる体験型イベントの開催
- ⑥保険業界:東京海上日動が災害体験ができるARアプリを開発
- ⑦地方創生:吉本興業が養父市の鉱山跡地をメタバース上に再現し観光客獲得へ
それぞれについて、わかりやすく紹介します。
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①小売業界:三越伊勢丹がメタバース上に百貨店を再現
三越伊勢丹は、独自のメタバース上の仮想都市である「レヴ ワールズ」を構築し提供しています。来場者はアバターの姿で、デジタル空間の「バーチャル伊勢丹」での買い物を楽しむことができます。店員のアバターも配置され、チャット機能を使った接客も受けられます。
また、メタバース上ではバーチャルファッションショーを楽しんだりや人気格闘漫画『刃牙』シリーズに登場する“地下闘技場”をモデルとしたイベントスペースが設けられ、アバターとなった一部の人気キャラクターに会えたり、関連するデジタルアイテムを入手したりすることもできます。
現在は婦人服や食品など180ブランドを扱っていますが、今後は家具や日用品にも対象を広げる方針です。友人のアバターと一緒に会話しながら買い物できるようにするなど機能も強化する予定です。他社がメタバース上で開催されるイベントへの出展が中心のなか、三越伊勢丹は既に独自のメタバース空間を構築・提供しており、小売・百貨店業界のメタバース活用をリードする存在といえます。
②アパレル業界:BEAMSがVR上に仮想店舗を出店し実店舗への送客も
ファッション大手であるビームスは世界最大のVRイベントである「バーチャルマーケット」に4度出展を行っています。
バーチャルマーケットとはVR上にある会場で、アバターなどのさまざまな 3D アイテムや、リアル商品(洋服、PC、飲食物など)を売り買いでき、日本はもとより世界中から100万人を超える来場者を誇る世界最大のVRイベントです。
バーチャルマーケットでは、アバター用の洋服であるデジタルアイテムの販売やライブなどのイベントの開催が行われました。アバター用の洋服であるデジタルアイテムは、ビームスの2022年の秋冬商品を3Dモデルに起こした、Tシャツやワンピースなどの全7種類が販売されました。また、ライブでは池田エライザさんがバーチャルライブを開催し、VRに着想を得た新曲の発表も行われました。
一方でリアルでの商品販売も行われ、バーチャルマーケットの出展を記念したリアルな洋服の商品もビームスの公式オンラインショップにて販売されました。4度目の参加の際には、関西のショップスタッフも含む約50名の社員が交代でバーチャル接客にあたり、VR上での接客を通じてリアル店舗への来客に繋がっている事例も生まれてきているとのことです。
③自動車業界:日産がメタバース上で新車の試乗会を開催
自動車業界では、ディーラーでの試乗会や接客をメタバース上で行い、多くの顧客との接点獲得を狙う取り組みが進んでいます。従来はわざわざ店舗に足を運び、契約書などの手続きを行う必要のあった試乗を、いつでも、どこからでも気軽に体験することができます。
日産自動車は、軽電気自動車「日産サクラ」の試乗会をメタバース上で開催しました。試乗会は、世界最大のVR SNS「VRChat」上で行われ、四季を感じられるドライブコースでバーチャルな日産サクラを運転することができました。自分で運転席に座って運転したり、後部座席に座ったりと現実の試乗に近い体験ができ、新車の特徴を立体的に確認することができます。メタバース上での試乗は通常の試乗とは違い、書類での手続きなども不要で、いつでもどこからでも体験可能なのが最大の強みです。
同社によると、「今回の取り組みにより営業担当者にアバターの操作経験がないことや、仮想空間でのリアルな商品訴求の難しさが明らかになった」とのこと。今回のような実証を重ねることで、将来的にメタバースのマーケティングのチャネルとしての活用が本格的に進んでいくことが期待されます。
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④観光業界:あしびかんぱにーがメタバース上に沖縄の観光名所を再現
沖縄発のエンターテインメントコンテンツ企業である、株式会社あしびかんぱにーがメタバース上で沖縄の観光名所を楽しむことのできる「バーチャルOKINAWA」をリリースしました。
バーチャルOKINAWAは、国際通り商店街やビーチなど、沖縄のさまざまな観光名所を再現しており、アバターを使って世界中の人々と交流できるソーシャルプラットフォーム「VRChat」をVRデバイスなどにダウンロードすることで利用可能です。恩納湾の贅沢なビーチから、沖縄の名所であるひめゆりの塔まで、美しい風景をいつでもどこからでも楽しむことができます。
2022年には、すでに公開している「国際通りエリア」「ビーチエリア」に続き、新たに「首里城エリア」として、守礼門から首里城正殿までの首里城公園を忠実に再現しています。見て楽しむだけでなく、エリア内のガイドと会話しながら、首里城の歴史や雑学を学ぶことが可能です。
いつでもどこからでも気軽に楽しめるメタバースでの観光をきっかけに、実際に現地に足を運ぶ人も増えていくと考えられます。
⑤金融業界:SMBC日興証券が金融を身近に感じられる体験型イベントの開催
SMBC日興証券は、2021年末に開催された、世界最大のメタバースイベントである「バーチャルマーケット2021」に特設ブースを出展しました。リーマンショックやアベノミクスなどの相場変動を疑似体験できる株価連動ジェットコースターや、証券アナリストなどの専門家とアバターを通して直接話せるバーチャル座談会など、メタバースならではの金融を身近に感じられるようなコンテンツを提供しました。
株価連動ジェットコースターでは、走行中に当時の株価の変動と関連した金融・経済トピックが目の前に現れるなど、メタバースならではの演出で金融の世界を楽しむことができます。さらに、コースター乗車中に撮影した写真が乗車後にブース内に表示されるなど、現実世界の某有名遊園地のアトラクションのような演出も用意されました。
バーチャル座談会では、投資や資産運用に関する情報を提供するパネルや動画が公開されました。また、普段なかなか直接話せる機会のないSMBC日興証券のアナリストなどと相場解説などのスモールトークセッションも実施し、貴重な機会を提供しています。
⑥保険業界:東京海上日動が災害体験ができるARアプリを開発
東京海上日動は、スマートフォンやタブレット端末を使って、河川の氾濫による洪水や土砂災害の危険性を疑似体験できる「災害体験AR」を開発しました。こちらのアプリは、洪水や土砂災害の危険性をより多くの人に知ってもらい、社会全体の防災意識を高めることを目的として開発されました。
また、健康や事故などと違い普段感じることのない自然災害のリスクを、リアルに近い環境で感じてもらうことにより、保険加入の検討のきっかけを創出する狙いもあると考えられます。
今後は自治体や企業との連携による小学生や住民への防災教育、スマートシティなどでの活用を予定しているとのこと。さらに、日系企業の多いタイでの浸水深の可視化も可能で、今後ニーズに応じてグローバルに展開も検討しています。
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⑦地方創生:吉本興業が養父市の鉱山跡地をメタバース上に再現し観光客獲得へ
吉本興業は兵庫県北部に位置する、人口約2万人の養父市の観光名所を再現したメタバースをリリースしました。来場者は、かつて日本一のすず鉱山として栄えた明延鉱山の坑道後を観光したり、吉本興行のタレントとコラボした採掘ゲームを楽しんだり、市役所を訪れデジタル住民票交付してもらったりすることができます。
バーチャル養父のオープニングイベントには、吉本興業所属のお笑い芸人である、野生爆弾くっきー!さんやとろサーモンの村田さんらが参加し、その様子は吉本の映像配信サービス「FANCY」によってライブ配信されました。
また、イベントで養父市市長がアバター姿で登場し、「メタバースには無限の可能性があると思います。世界中どこからでも来ていただけるので、いろんな国の方々に来てもらって、養父市の自然や観光名所を楽しみ、市民とも交流してもらいたい。そして、ゆくゆくは現実世界でも体験しに来ていただければ。バーチャルでは100万人都市を目指しています」とコメントしました。
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