メタバースの百貨店業界の活用事例5選|参入相次ぐ3つの理由も解説
コロナウイルス感染拡大の影響で、外出制限や渡航制限による来客数の減少やオシャレ着需要の低迷など、百貨店業界は大きな打撃を受けています。
そんななか、オンライン上で顧客に対して新たな購買体験を提供できるメタバースの活用が、百貨店業界でも注目を集めています。
実は既に、三越伊勢丹や大丸松坂屋などの大手百貨店がメタバースの活用を進めていることをご存知でしょうか?
そこで今回は、百貨店業界でのメタバースの活用事例5選をご紹介します。
本記事をお読みいただければ、メタバースを百貨店業界のビジネスに活用するためのヒントが得られるかと思いますので、ぜひ最後までご一読ください。
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そもそもメタバースとは
メタバースとは一言でいうと、人々が様々な活動を行うことのできるインターネット上の3次元の仮想空間のことを指します。
メタバースの語源は「超越」を意味する「meta」と「世界」を意味する「universe」を組み合わせた造語だと言われています。メタバースという言葉が世界で初めて使われたのは、1992年にニール・スティーヴンスン氏が発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」です。
メタバースにおいて、ユーザーはアバターと呼ばれる自身の分身の姿でメタバース空間にアクセスし、他のユーザーとコミュニケーションや経済活動を行うことができます。例えば、集まって会話をしたり、イベントやスポーツ、買い物などを楽しむことができます。
一般ユーザーに広く普及しているメタバースサービスとして、「Fortnite」や「Roblox」、「どうぶつの森」などのゲーム型のメタバース、「VRChat」や「Cluster」などのSNS型のメタバースが挙げられます。
メタバースへのアクセス方法としては、スマホやPCからもアクセス可能ですが、Apple Vision ProやMeta Questのようなヘッドマウントディスプレイからアクセスすることにより、より世界に没入したような体験が可能になります。
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有名百貨店のメタバースへの出展が相次ぐ3つの理由
有名百貨店のメタバースへの出展が相次ぐ理由として、以下の3つが存在します。
- ①コロナ禍による店頭売上の低迷
- ②若年層の百貨店離れ
- ③EC売上比率の低さ
それぞれの理由をわかりやすく説明していきます。
➀コロナ禍による店頭売上の低迷
百貨店業界は、コロナウイルス感染拡大によって大きな打撃を受けた業界の1つです。感染防止対策による来客数の減少、渡航制限による外国人観光客の来客数の減少、またオシャレ着需要の低下による、衣料品の売上減少などを理由とし、深刻な売り上げ低迷の状況に直面しています。
②若年層の百貨店離れ
購買行動の変化などにより、若者の百貨店離れが加速しています。トレンドが生まれる場所、コーディネートやアイテムの情報を得る場所、実際に購入する場所の全てがオフラインからオンラインにシフトし、購買プロセスの全てをオンラインで完結させる若者も珍しくありません。また、ユニクロやGUなどのプチプラファッションの普及により、比較的高単価の商材を扱う百貨店で買い物をする若者の割合は低下しています。
また、ZOZOTOWNやインスタグラム等のレコメンド機能も充実してきており、百貨店の強みである顧客ひとり一人に合わせた商品・スタイルの提案の魅力も相対的に低下してきています。
③EC売上比率の低さ
百貨店の強みが、対面での丁寧な接客を通じた、顧客ひとり一人に合わせた商品・スタイルの提案であることや、後発のアパレル小売店・ブランドに比べEC化への取り組みが遅れたことなどにより、EC売上比率は高まっていません。また、コロナウイルス感染終息後も、オンラインをベースとした購買行動は人々に普及し続けると考えられ、中長期的に見ても重要な経営課題といえます。
百貨店がメタバースへ参入する3つの狙い
百貨店がメタバースに参入する狙いとして、以下の3つが存在します。
- ①新たな購買体験の提供
- ②若年層の取り込み
- ③EC化率の向上
それぞれの狙いをわかりやすく説明していきます。
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➀新たな購買体験の提供
メタバースを活用した商品の販売は、実店舗・ECに次ぐ第三の販売チャネルとなる可能性を秘めています。メタバース上の店舗での商品販売は、販売スタッフのアバター姿での接客や、実店舗では実現の難しい体験型のプロモーション施策などを行うことができます。
そのため、実店舗とECそれぞれの課題を解消した、新たな販売体験を提供することが出来るのではないかと考えており、各社が顧客に求められる体験構築に向け多数の実証に取り組んでいます。
②若年層の取り込み
メタバース空間上では人気のIPコンテンツとのコラボやゲーミフィケーションを取り入れたプロモーションなど、若年層をターゲットとした多様なプロモーションを行うことができます。
既に大手百貨店が主催するメタバース上でVTuberなどのバーチャルアーティストのライブを開催したり、有名漫画のキャラクターとコラボした特設ブースを設置するなど、百貨店の既存の客層とは異なる若年層の取り込みに向けた動きを見せています。
③EC化率の向上
メタバース上での商品販売は、購入後商品が自宅へ郵送されるECの形を取ることが多く、百貨店が長年課題としていたEC化率の向上への貢献が期待されています。
既にメタバース上では、販売スタッフがアバター姿で接客するという取り組みが進んでいます。そのため、対面での丁寧な接客を通じた、顧客ひとり一人に合わせた商品・スタイルの提案という従来のECでは発揮できなかった百貨店の強みが活かされるのではと考えられています。
百貨店業界でのメタバース活用事例5選
百貨店業界でのメタバース活用の代表的事例として、以下の5つが挙げられます。
- ① 三越伊勢丹:独自のメタバース空間を構築
- ② 大丸松坂屋:メタバース上の百貨店で600種類の食品を販売
- ③ 阪神阪急HD:メタバース上での音楽フェスを主催
- ④ 阪急阪神百貨店:メタバース上の百貨店でメタバース接客を実施
- ⑤ 高島屋:VRを活用した家具のオンライン接客を実施
それぞれの事例について、わかりやすく解説します。
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①三越伊勢丹:独自のメタバース空間を構築
三越伊勢丹は、独自のメタバース上の仮想都市である「レヴ ワールズ」を構築し、専用アプリから提供しています。利用者はアバターを登録し、デジタル空間の「バーチャル伊勢丹」での買い物を楽しむことができます。店員のアバターも配置され、チャット機能を使った接客も受けられます。
また、メタバース上ではバーチャルファッションショーを楽しんだりや人気格闘漫画『刃牙』シリーズに登場する“地下闘技場”をモデルとしたイベントスペースが設けられ、アバターとなった一部の人気キャラクターに会えたり、関連するデジタルアイテムを入手したりすることもできます。
β版のリリースから1年ほどが経過する「レヴ ワールズ」ですが、百貨店の強みである「デパ地下」や「ギフト」への関心の高さが確認できているとのことです。
現在は婦人服や食品など180ブランドを扱っていますが、今後は家具や日用品にも対象を広げる方針です。友人のアバターと一緒に会話しながら買い物できるようにするなど機能も強化する予定です。
他社がメタバース上で開催されるイベントへの出展が中心のなか、三越伊勢丹は既に独自のメタバース空間を構築・提供しており、百貨店業界のメタバース活用をリードする存在といえます。
②大丸松坂屋:メタバース上の百貨店で600種類の食品を販売
大丸松坂屋は、世界最大のメタバース/VRのイベント「バーチャルマーケット」への出展を発表しました。大丸松坂屋は専用のブースであるニューヨークの街並みを再現した空間に、「バーチャル大丸・松坂屋」を出展します。来場者は百貨店内で600種類以上のグルメの買い物を楽しんだり、大丸松坂屋の400年の歴史を体感できるアトラクションを楽しんだりすることができます。
食品ブースでは、来場者が自由に店内をまわり、食品3Dモデルを手に取って商品の形状を確認したり、バーチャルカタログで詳細を見たり、商品を購入することが可能です。夏に食べたい「しろくまアイス」や「盛岡冷麺」などのグルメを600点以上が販売される予定です。購入した商品は、後日自宅に届きます。
また、今回のイベント開催に伴い、「メタバース上で働くアルバイト」を初めて採用。バーチャル接客の経験があり、商品知識を身につけたスタッフが商品の魅力を伝えます。
③阪神阪急HD:メタバース上での音楽フェスを主催
大手関西私鉄である阪神阪急HDは、メタバース上での音楽フェスである「JM梅田ミュージックフェス」を開催しました。JM梅田ミュージックフェスは、阪急阪神HDが百貨店を含む大阪・梅田の街を忠実に再現したメタバース空間上で実施されるオンライン音楽祭です。
当イベントでは、メタバース空間となった大阪梅田を舞台に、VTuber等のバーチャルキャラクターによる音楽フェスが実施されました。アバターの姿で参加する来場者は、コンサートの参加、グッズ販売などのコンテンツが提供された他、バーチャルな梅田を高い没入感で体感できました。音楽フェスには30名を超えるVTuberなどのバーチャルアーティストが参加し、来場者数は8万人以上を記録する盛況となりました。
同社は、100年以上続けてきた「街づくり」のノウハウをメタバース領域でのビジネス展開に活用できるのではと考えています。
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④阪急阪神百貨店:メタバース上の百貨店でメタバース接客を実施
阪急阪神百貨店は、世界最大のメタバース/VRのイベント「バーチャルマーケット」への出展を発表しました。来場者は自身のアバターの姿で、百貨店内を自由に歩き回り、洋服や食品、家電などの買い物を楽しむことができます。
洋服コーナーでは、実在する靴下を愛する阪神百貨店のスタッフが、アバターの姿で接客を担当し、来場者ひとり一人にピッタリの靴下をレコメンドしてくれます。実物の靴下をECから購入できるのはもちろん、実物と同様のデザインのアバターが着用できるデジタルアイテムとしての靴下も購入可能です。
食品コーナーでは、関西の名物グルメである「551HORAI」「阪神名物いか焼き」「クラブハリエ」「フジマル醸造所」などのショップが、阪神梅田本店内のショップをイメージした内装でメタバースに登場。ECサイトとも連携しており、購入後日本全国に発送可能です。
家電コーナーでは、人気の生活家電ブランド「バルミューダ」のコーヒーメーカーやケトルなどを3DCGで再現します。ケトルを手に持って好きな角度から眺めたり、椅子に座るなど人気のインテリアアイテムをバーチャル上で試すことが可能です。
⑤高島屋:VRを活用した家具のオンライン接客を実施
高島屋はVRを活用した家具のバーチャル売り場を構築しています。家具売り場の一角に設けられたVR体験スペースでは、来客がVRヘッドセットを着用し、仮想空間上に構築された12部屋のモデルルームに配置された家具を体感することができます。12部屋の内の1つは本店に実在するバラショップの部屋で、バラを飾った生活を体験し、気に入った場合は購入をすることも可能です。こちらのバーチャル家具売り場と連携する取引先を2022年には3倍にも拡大する予定です。
従来の家具販売では、スペースの関係で限られた家具しか置けないなか、バーチャル空間上で多数のモデルルームや家具を体感してもらいながら接客をすることで、百貨店の強みがより活かされるとしています。今後は、家具だけでなく百貨店の取り扱う生活全般の提案にVRが活用できないか検討していくとのことです。
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