有名VRプラットフォーム5選をビジネスへの活用事例とともに解説

MetaのXRヘッドセットのQuestシリーズが累計販売台数2,000万台を突破し、Appleも初のXRデバイスの発売を発表するなど、近年VRやメタバースへの注目はより一層高まっています。

 

幅広い業界の企業が相次いでVR活用を進めるなかで、VRプラットフォームのビジネス活用を検討されている方も多いのではないでしょうか?

 

そこで今回は、日本人ユーザーの多い5大VRプラットフォームのそれぞれの特徴やビジネス活用の方法、最新の活用事例を分かりやすくご紹介します。 

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

 

  • 自社がVRを活用してどんなことができるか検討している
  • 主要なVRプラットフォームの特徴やできることを知りたい
  • 具体的にどのようにVR活用を進めたらいいか分からない

 

本記事を読めば、VRプラットフォームをビジネスに活用するための一通りの知見を効率よく理解できる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。


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目次

そもそもVRとは?

そもそもVRとは? MR、ARとの違い

VRとはVirtual Realityの略称で、別名仮想現実とも呼ばれます。最先端の3DモデリングやVRデバイス等の技術により、まるでその世界に入り込んでいるかのように感じられる、デジタル上の仮想空間を提供する技術のことを指します。

 

様々なユースケースの中でも特にゲームの使用を中心に利用が拡大しており、まるでゲームの世界に入り込んだかのような没入感・臨場感を感じながらプレイすることが出来ます。

 

また、ARとVR・MRとの違いはベースとなる世界やその没入感になります。詳しくは以下の関連記事をご覧ください。

 

※関連記事:VRとは何か?ARとの違いやビジネスでの活用事例も簡単に解説!

5大VRプラットフォームの比較

5大VRプラットフォームの比較

日本人のユーザー数の多い主要なVRプラットフォームとして以下の5つが挙げられます。

 

  • Fortnite:ユーザー数4億人のVRバトルロイヤルゲーム
  • Roblox:ユーザー数4億人のVR上のゲームプラットフォーム
  • ZEPETO:ユーザー数3億人のファッションVRプラットフォーム
  • VRChat:世界最大のソーシャルVRプラットフォーム
  • cluster:累計動員数2,000万人超の日本最大のVRプラットフォーム

 

これらのVRは、ゲームを軸とし、ユーザー同士のコミュニケーションが活発化しメタバース化した「ゲーム型VR」と、他ユーザーとの交流を主目的とする「SNS型VR」の2つに分けられます。

 

また、コアとなっているユーザー体験やユーザー層も様々であるため、ビジネス活用を検討する際は、各プラットフォームの特徴をしっかりと把握することが重要です。

 

それぞれのプラットフォームの具体的な概要やビジネスへの活用方法や最新の活用事例を分かりやすく紹介していきます。

 

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①Fortnite:ユーザー数4億人のVRバトルロイヤルゲーム

Fortnite:クリエイティブ要素のあるFPSメタバースゲーム
(画像:Fortnite)

Fortniteの概要

Fortniteは、​​2017年にリリースされた総ユーザー数約3.5億人、月間アクティブユーザー数最大6,200万人を誇るメタバースゲームです。ゲーム内でリアルタイムでのユーザー同士のコミュニケーションが活発に行われている点や、アーティストのライブなどゲーム以外での利用もされている点から、世界を代表するメタバースプラットフォームの1つとも言われています。

Fortniteのユーザー情報

  • 月間アクティブユーザー数
    • 世界:約7000万人
    • 日本:数百万人(推計)
  • ユーザー層
    • 年齢:10-30代が中心
    • 性別:男性約7割、女性約3割

Fortniteのコア体験

1.建築を用いたFPS(一人称視点シューティングゲーム)

建築を用いたFPS(一人称視点シューティングゲーム) Fortnite
(画像:Fortnite)

基本のバトルロワイヤルFPS機能に加え、プレイヤーは銃で撃ち合って遊ぶだけでなく、自ら建築して戦うフィールドを作ることができます。

2.ライブ等によるゲーム以外のエンタメ要素

ライブ等によるゲーム以外のエンタメ要素 Fortnite
(画像:Fortnite)

ライブイベントの開催を中心にゲーム以外のエンタメ要素も人気を博しています。日本では米津玄師や星野源、海外ではマシュメロやトラヴィス・スコットといった大物アーティストがFortnite上でバーチャルライブを開催しました。

Fortniteのマーケティングへの活用方法

1.企業ワールド作成

企業はFortnite内にオリジナルゲーム/ワールドを制作し、ユーザーにプレイしてもらうことができます。ゲーム/ワールド内に広告を掲載し、訪れたプレーヤーへの企業・商品PRを行うことが可能です。Fortniteは公式が高精度のゲーム制作システムを提供しているため、企業はユーザーに質の高い体験を提供できる本格的なゲーム向けのワールドを作り、多くのユーザーがそのワールドを利用することで企業のマーケティング効果がより高まるエコシステムを確立できている点が大きな特徴となっています。

2.アバター・スキン配布/販売

企業は自社商品をアバターやスキンとしてFortnite内で作成し、無料配布/有料販売することができます。これによりデジタル収益を獲得したり、企業・商品のPRを行ったりすることが可能です。Fortnite運営は参入した企業のアバターやスキンのPRを積極的に行うため、アクティブユーザーには概ね認知される点が強みとなっています。

Fortniteのビジネス活用における注意点

1.ゲーム/ワールドの制作コスト

Fortniteにおける自社ゲーム/ワールドの制作を制作会社に外注する場合は制作費として、数十〜数千万円程度は必要になります。

2.運営からの許諾

Fortniteにおいてゲーム/ワールド制作の際は不要ですが、公式アバターを作成する際は運営からの許諾が必要な場合があるため、先に問い合わせをしておきましょう。

Fortniteのマーケティングへの活用事例2選

1.Verizon:独自のワールドを制作しPRに活用

Visit Verizon 5G Stadium in Fortnite | Super Bowl LV | Map Code: 5926-8650-7282 | Verizon
(動画:Verizon)

米大手通信事業者のVerizon社は、Fortnite上で独自のワールドを制作し、自社の5G通信をPRしました。Verizon社がスポンサーを務める世界的なアメフトの大会「スーパーボウル」のスタジアムをFortnite上に再現し、スタジアム内には様々なゲームを用意しています。Fortniteは同サーバーに多数同時接続するゲームであり、ユーザーにとって回線の速さや安定は重要なため、5GのPRをする場としては非常に有効であったと考えられます。

 

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2.Balenciaga:リアルと連動したアバター用スキンを販売

Balenciaga:リアルと連動したアバター用スキンを販売
(画像:Balenciaga)

Balenciagaは、Epic Gamesと提携し、ハイセンスなFortniteのアバター用スキンを作成しました。4つのスキンに加えて、つるはしやBalenciaga blingバックパックなどのBalenciagaをテーマにしたアクセサリーも作成されました。バレンシアガをテーマにしたゲーム内のハブが開発され、現実世界の衣料品ラインも提供されました。ハブにはバレンシアガのバーチャルショップがあり、訪問者はコスメを購入することができます。バーチャル・ストアの上には、パーカーを着た散歩中の犬 Doggoが登場するアニメーションの広告掲示板が設置されました。

 

現実世界でも、ニューヨーク、ロンドン、東京、ソウルに広告掲示板が現れました。Doggo’s のパーカーは、フォートナイトをテーマにしたバレンシアガのコレクションの一部でもありました。

②Roblox:ユーザー数4億人以上のゲームプラットフォーム

Roblox:ユーザー自身が制作したゲームを他のユーザーが楽しめるプラットフォーム
(画像:Roblox)

Robloxの概要

Robloxは、2006年にリリースされた月間アクティブユーザー数が約2億人を誇る世界最大のメタバースサービスです。ユーザー自身が制作したゲームを他のユーザーが楽しめるプラットフォームとなっており、ゲーム版YouTubeとも称されます。学生を中心にオンラインで友達と集まれる場となっており、「放課後の公園」から「Roblox」へと置き換わりつつある状況です。

Robloxのユーザー情報

  • 月間アクティブユーザー数:
    • 世界:約2億人
    • 日本:約50万人(推計)
  • ユーザー層:
    • 年齢:16歳以下が約7割
    • 性別:男女はおよそ同数

Robloxのコア体験

1.バリエーション豊富なゲームタイトル

バリエーション豊富なゲームタイトル Roblox
(画像:Roblox)

Roblox上にはユーザー自身が作った5000万本を越えるゲームが存在します。各ユーザーはゲームを作って多くのユーザーにプレイしてもらうのか、ゲームをプレイする側として楽しむのか、はたまたその両方を楽しむのか、自由に選ぶことが可能です。

2.オンラインで友達と集まれる場所

オンラインで友達と集まれる場所 Roblox
(画像:Roblox)

Robloxでは自身を投影したアバターを用いてリアル/ネットの友達と集まり、チャットで会話をしながらゲームをプレイできます。なかには、ゲームをせず会話をするために集まるだけというユーザーも存在するようです。

Robloxのマーケティングへの活用方法

1.企業ワールド(ゲーム)作成

企業はオリジナルのゲームを作成し、ユーザーに提供することで、遊んでくれたユーザーへの企業・商品PRを行うことが出来ます。Roblox公式から提供されたツールにより、簡単に子供でも楽しみやすいゲームワールド制作ができます

2.広告出稿

企業はRoblox内の看板に広告を出稿できます。広告はユーザー情報に基づき内容が変わる静止画形式のため、パーソナライズした広告により費用対効果を高める事が可能です。

Robloxのビジネス活用における注意点

1.ゲームの制作および広告出稿コスト

多くのユーザーに楽しんでもらうゲーム制作を目指す場合は、制作会社への依頼が一般的であり、外注費がかかります。広告出稿の場合も、代理店を利用する際に支払いが発生するので留意しておきましょう。

2.運営からの許諾

ゲーム制作や広告出稿について、法人が行う際は運営からの許諾が必要なケースがあります。特に中国でのコンテンツ展開などは注意が必要です。

Robloxのマーケティングへの活用事例2選

1.志摩スペイン村:Roblox上にリゾート施設を再現

志摩スペイン村:Roblox上にリゾート施設を再現
(画像:志摩スペイン村)

三重県志摩市のリゾート施設である志摩スペイン村は、Roblox上で志摩スペイン村を再現したエリアをオープンすることを発表しました。

ユーザーは志摩スペイン村の広場や街並みを楽しんだり、スペインの奇祭「牛追い祭り」「トマト祭り」をモチーフにした生き残りゲームを楽しむことができる予定です。

 

志摩スペイン村は、魅力的なアトラクションやフードがある一方で、都心から離れているという立地の悪さから気軽にアクセスしにくいという課題を抱えていました。Robloxでの取り組みを通じて、若者や遠隔地在住の人に志摩スペイン村の魅力を知ってもらうことを目的とし、今回の取り組みを進めているとのことです。

 

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2.Universal Studios:Roblox内に映画広告を掲載

Universal Studios:Roblox内に映画広告を掲載
(画像:Universal Studios)

アメリカの映画会社Universal Studiosは、Roblox内に映画広告を掲載しました。Robloxは全ユーザーの約85%が25歳以下であり、若者をターゲットとして映画館来場を促進することが狙いです。リアルの街中での広告と同様に、ユーザーがゲームをプレイしていると自然と広告が目に入るような設計となっています。また、広告が画面内に表示された秒数によって広告へのエンゲージメントを測定するなど、リアルな看板広告では出来ないデジタル広告ならではのパフォーマンス管理も可能となっています。

③ZEPETO:ユーザー数3億人のファッションプラットフォーム

ZEPETO:Z世代の女性に大人気のアバターSNSアプリ
(画像:ZEPETO)

ZEPETOの概要

ZEPETOは、2018年にリリースされた、アバターを用いて理想のカワイイ自分作りができる、Z世代の女性に大人気のアバターSNSアプリです。自分好みのアバターを簡単に作成でき、チャットや通話、SNS投稿などを通じて他ユーザーと交流することが可能です。また、作ったアバターを通じてライブイベントやゲームを楽しむこともできます。

ZEPETOのユーザー情報

  • 月間アクティブユーザー数
    • (全世界)約3億人
    • (日本)約1,500万人(推計)
  • ユーザー層
    • 年齢:10代-20代前半が中心
    • 性別:女性が約7割、男性が約3割

ZEPETOのコア体験

1.豊富なアバターによる限りなく理想に近い自分作り

豊富なアバターによる限りなく理想に近い自分作り ZEPETO
(画像:ZEPETO)

韓国風のビジュアルの可愛らしいアバターがZ世代女子を惹き付けており、他にも日本アイドル/アメリカンなど様々なタイプで自分の理想に近いアバターを作ることが可能です。他にもアバターを作成できるアプリは多数存在しますが、カスタマイズのバリエーションの豊富さや操作のしやすさといった点で優位性があります。

2.ZEPETOを用いたSNSでの発信

ZEPETOを用いたSNSでの発信
(画像:ZEPETO)

ZEPETOで作ったアバターを用いて、撮影した画像や動画をInstagramなど他のSNSでシェアできます。アバターを好きなポーズで撮影したり、動かして動画撮影することも可能です。このユースケースによって、メタバースに馴染みのないユーザーでも、自分らしいアイコンを作ってSNSで投稿してみたいという動機から、ZEPETOを利用し始めています。

ZEPETOのマーケティングへの活用方法

1.企業ワールド作成

企業はオリジナルワールドを制作し、訪れたプレーヤーへの企業・商品PRを行うことが出来ます。また、オリジナルワールド上でのアバターの配布/販売も可能です。

2.アバター配布/販売

企業はワールド制作をせずに、ZEPETO内でオリジナルアバターのみ作成し販売/配布することもできます。ある程度自由にデザインすることができ、加えてユーザー起点のSNS発信を活用した認知拡大を狙えることから、多くの企業がマーケティングに活用しています。

ZEPETOのビジネス活用における注意点

1.ワールド・アバターの制作コスト

ワールド・アバターの制作をする際には、制作会社への依頼に伴う制作コストが必要です。

2.運営からの許諾

ワールド・アバターの制作において、運営からの許諾は必ず求められます。注意しておきましょう。

ZEPETOのマーケティングへの活用事例2選

1.ポロラルフローレン:ZEPETOでアバター用の洋服を販売

ポロラルフローレン:ZEPETOでアバター用の洋服を販売
(画像:ZEPETO)

ラルフローレンは、ZEPETO上で購入可能なバーチャルウェアの販売を開始しました。ラルフローレンは、ZEPETO のアプリ内に50種類のファッションアイテムを用意し、ZEMと呼ばれるアプリ内通貨で購入可能にしています。価格は約80円〜400円です。

 

また、今回のコラボでは、ファッションアイテムの販売以外にも、ニューヨークの実在するセントラルパークなどのロケーションのバーチャル空間での再現やラルフローレンのアイテムを身に着けたK-POPアーティストTomorrow x Together(TXT)のバーチャルライブなど、ユーザーが楽しめる様々な取り組みが行われました。ユーザーがライブの様子を自撮りしSNSにアップするなど、コラボの認知度を高める動きも多く見られました。

 

同社は、ZEPETOのアプリ内のアクティビティから様々なデータを取得し、訪問者数や交流の頻度、利用時間、アイテムの売上などを把握し、今後の取り組みの検討に活用しています。リアル店舗より多くの顧客データが得られる点も、メタバース参入によるメリットの1つと言えます。今後はNFTの販売を検討するなど、バーチャル領域でのビジネス展開を加速させる方針とのことです。

 

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2.ZARA:ZEPETO内と実店舗の両方で同じデザインのアイテムを販売

ZARA:ZEPETO内と実店舗の両方で同じデザインのアイテムを販売
(画像:ZEPETO)

ZARAは、ZEPETO内のアバターが着用できるバーチャルウェアを販売し、同じデザインのアイテムを現実の店舗でも販売しました。ZEPETOの特徴である他のSNSでの発信を促進するために、壁紙・フォトブースもセットで公開しており、ユーザーによるSNS発信を活発化させています。

 

ZEPETOのメインユーザーである若年層へ商品・ブランドのPRをすると同時に、デジタルでの収益ポイントを獲得することが狙いと考えられます。

④VRChat:世界最大のソーシャルプラットフォーム

VR Chat:没入感のある体験が魅力的なSNSメタバース
(画像:VR Chat)

VR Chatの概要

VR Chatは、2017年にリリースされたVRデバイスを用いたバーチャル空間上での会話/ゲームが可能なメタバースプラットフォームです。スマホやPCで気軽に楽しむというよりは、VRデバイスを用いてより没入感のある体験を楽しむというのがメインのユースケースになっています。これにより、自身のアバターを用いてチャットではなく音声によるコミュニケーションが可能です。

VR Chatのユーザー情報

  • 月間アクティブユーザー数
    • 世界:約400万人
    • 日本:数十万人(推計)
  • ユーザー層
    • 年齢:30代以下が約9割
    • 性別:男性が約8割
    • clusterよりもいわゆる”オタク層”が多い

VR Chatのコア体験

1.アバターを通じた気楽かつ多様なコミュニケーション

アバターを通じた気楽かつ多様なコミュニケーション VRChat
(画像:VR Chat)

VR Chatでは、アバターを通じて心も体も現実とは離れた気楽なコミュニケーションを取ることが出来ます。チャットや音声による会話はもちろん、アバターのジェスチャーや表情操作など、視覚的なコミュニケーションもできるため、かなり現実に近い多様なコミュニケーションが可能となっています。

2.ログインすれば誰かしら居るVR上の居場所

ログインすれば誰かしら居るVR上の居場所 VRChat
(画像:VRChat)

VRChatでは、フレンド作りイベントやフレンド作りに向いているワールドがあり、気の合う仲間を見つけることができます。フレンドになった相手とはVRChatの機能ですぐに会いに行けるうえ、平日・休日/朝・昼・夜それぞれのタイミングで誰かしらはフレンドがいるので、いつでもフレンドと会える居場所となっています。生活の一部としてVRChatに生息しており、ほぼ”住んでいる”ようなユーザーも存在するようです。

VR Chatのマーケティングへの活用方法

1.企業ワールド作成

企業はオリジナルワールドやイベントを制作し、訪れたプレーヤーへの企業・商品PRを行うことが出来ます。没入感のあるVRならではのリアルなグラフィックや高い操作性により、非常に鮮明かつ多くの情報をユーザーに伝えることが可能です。

2.広告出稿

企業はVRchat内のポスターに広告を出稿できます。広告枠はポスター形式で静止画が切り変わる仕組みとなっており、企業・商品PRに活用することが可能です。

VR Chatのビジネス活用における注意点

1.ワールド/イベント制作および広告出稿コスト

VR上でのワールドやイベント制作は難易度が高く、制作会社への依頼が一般的であることから、外注費がかかります。広告出稿の場合も、代理店を利用する際に支払いが発生するので留意しておくべきです。

2.運営からの許諾

VR Chatをビジネス活用をする上では、基本的に法人契約が必要なので注意が必要です。

VR Chatのマーケティングへの活用事例2選

1.日産自動車:VR Chat上で新車発表・試乗会を開催

日産自動車:VR Chat上で新車発表・試乗会を開催
(画像:日産自動車)

日産自動車はメタバース上で、新型軽電気自動車「日産サクラ」の発表・試乗会をVRChatで開催しました。

発表会は日産副社長のアバターが登場し、ボイスレターが再生されるという形で進行。また、試乗会では日本の四季を感じられるドライブコースでバーチャルなサクラを運転することができました。VR上での試乗は通常の試乗とは違い、書類での手続きなどが不要で、いつでもどこからでも体験可能な点が強みです。

 

今回の取り組みにより、販売スタッフのアバター操作経験不足や、リアルな商品を仮想空間上でプロモーションする難しさなどが明らかになったとのことです。このような試験的な取り組みを重ねるなかで、将来的に製品のプロモーションチャネルとしてVRイベントが本格的に活用できるユースケースが確立されていくことが期待されます。

 

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2.PimaxCrystal:VR Chat上のポスター広告にVRデバイスの宣伝広告を出稿

PimaxCrystal:VR Chat上のポスター広告にVRデバイスの宣伝広告を出稿
(画像:Pimax Technology)

中国のVRデバイス制作会社であるPimax Technologyは、VRChat内のポスター広告に、自社のVRデバイス商品である「PimaxCrystal」の広告を出稿しました。VRChatのユーザーはVR関連のリテラシーが高く、VRデバイスに興味を持つ人が多いので、そのターゲットを狙った広告出稿となっています。またメタバース空間ならではの広告として、数秒ごとの切り替え表示を行うことなども可能であり、リアルの広告よりも視覚的なアピールを強めることができます。

⑤cluster:累計動員数2,000万人超の日本最大のプラットフォーム

cluster:バーチャル空間上での会話、ゲームが可能な日本発最大級のメタバースプラットフォーム
(画像:cluster)

clusterの概要

clusterは、2016年にリリースされた、バーチャル空間上での会話、ゲームが可能な日本発最大級のメタバースプラットフォームです。イベント開催や参加に重点を置いたプラットフォームであり、VRデバイスを用いた利用が主流ですが、PC、スマホからの利用にも対応しています。VRデバイスを通じてプレイすることで、自身のアバターを用いた音声コミュニケーションが可能です。

clusterのユーザー情報

  • 月間アクティブユーザー数
    • (全世界)数十万人(推計)
    • (日本)数十万人(推計)
  • ユーザー層
    • 年齢:10-20代が中心(推測)
    • 性別:男性が約7割、女性が約3割(推測)
    • VRChatよりも”ライト層”が多い

clusterのコア体験

1.イベントの開催・参加

イベントの開催・参加 cluster
(画像:cluster)

clusterの最大の特徴は、メタバース上の大規模イベントに参加できる点です。バーチャル渋谷やハロウィーンフェスやポケモンバーチャルフェストを始めとして、clusterでは様々なイベントが定期的に開催されており、誰でも気軽に参加することが出来ます。また、各ユーザーは無料でイベントを作成、開催することも可能です。

2.ワールドの制作・体験

ワールドの制作・体験 cluster
(画像:cluster)

cluster上には、バー、クラブ、カフェ、ビーチ、ボウリング場、遊園地、脱出ゲームなど多様なワールドが4万個以上あり、ユーザーはそのワールドに入って遊ぶことができます。また、それらのワールドはユーザー自身が作成したものであり、ワールドクラフトという機能を用いて誰でもワールドを作成、公開することが可能です。

clusterのマーケティングへの活用方法

イベント・ワールド作成

企業はオリジナルのイベント・ワールドを制作し、訪れたプレーヤーへの企業・商品PRを行うことが出来ます。基本はイベント開催のためにワールドを制作するケースが多く、イベント後は常設ワールドとしてプラットフォーム上に残すことも可能です。VRによってリアルな体験を提供できるだけでなく、clusterのイベントはスマホからの参加者も一定数存在するため、より幅広い集客を狙える点が特徴です。

clusterのビジネス活用における注意点

1.ワールド/イベント制作および広告出稿コスト

VR上でのワールドやイベント制作は難易度が高く、制作会社への依頼が一般的であり、外注費がかかります。

2.運営からの許諾

clusterでは法人利用には運営からの許諾が必須です、留意しておきましょう。

clusterのマーケティングへの活用事例2選

1.大阪府・大阪市:cluster上の「バーチャル大阪」で魅力を発信

大阪府・大阪市:cluster上の「バーチャル大阪」で魅力を発信
(画像:バーチャル大阪)

大阪府と大阪市は、KDDIと共同でcluster上に都市連動型メタバースの「バーチャル大阪」を展開し、PRに活用しています。2025年開催の大阪・関西万博に先駆けて、道頓堀など大阪市内をモチーフにした「新市街」エリアが登場し、大阪の都市の魅力を国内外に発信しています。

 

ユーザーはリアルタイムで世界中の人とコミュニケーションを取りながら、バーチャル音楽ライブへの参加や、アバターを介した自ら創作活動を行うなど、様々な楽しみ方を選ぶことが可能です。今後は、バーチャル商店街で買い物すると実際に商品が届くなど、さらなる発展に期待が集まります。

 

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2.KDDI:cluster上で熱狂しながらサッカー日本代表戦を観戦

KDDI:cluster上で熱狂しながらサッカー日本代表戦を観戦
(画像:KDDI)

KDDIは2022年、cluster上でのサッカー日本代表戦のパブリックビューイングを開催しました。参加者はサッカー日本代表のユニフォームを着たアバターの姿で、試合の中継スクリーンの前に集まり、ファンが一体となって応援しながら観戦したり、有名YouTuberのトークイベントを楽しんだりすることができました。

 

このイベントの目的は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、リアルでの観戦や応援が制限を受けるなか、サポーターが一体となり熱狂しながらサッカー観戦が行える環境を提供したいというものです。

 

VR上でのサッカー日本代表戦のパブリックビューイングイベントは、3試合で延べ約3万人を集めるほどの盛況ぶりでした。また、3試合の来場者の約8割の方が、日本代表戦を初めて観戦した方となっており、サッカー日本代表のファン層拡大に繋がったとのことです。

企業がVRをECに活用する3つのメリット

企業がVRをECに活用するメリットとして、以下の3つが挙げられます。

 

  • ①VRならではの体験による訴求力向上
  • ②VRを活用した新たなユーザー体験の提供
  • ③高い費用対効果への期待

 

それぞれについてわかりやすく解説します。

 

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①VRならではの体験による訴求力向上

メリットの1つ目は、VRならではの体験により商品・ブランドの訴求力を向上できる点です。

VR広告を活用することで、オンラインで商材の訴求力を向上することができます。訴求力向上に繋がるポイントは大きく2点あります。

 

1点目は、3Dモデルを活用した訴求力の向上です。ユーザーはVR上商品や店舗、施設を目の前にしているような体験ができ、オンラインで商材の魅力が伝わりづらかった商品の訴求力を向上することが可能です。

 

2点目は、VRならではの体験を通じた、新たな購買体験による訴求力の向上です。オンラインでありながら、友人と一緒に買い物が出来る環境を構築したり、リアルでは簡単に提供できない非現実的な体験型のプロモーションを低コストで実施したりすることができます。

②VRを活用した新たなユーザー体験の提供

メリットの2つ目は、VRを活用し新たなユーザー体験を提供できる点です。

 

広告・マーケティング活動をWebやSNSで行う場合とVR上で行う場合の最も大きな違いは、ブランドがユーザーに対し3次元の空間上でインタラクションを交えた体験を設計できることです。そのため、従来は各ブランドがリアルで開催していたイベントや、リアルでは実現の難しいゲーミフィケーションを交えた体験設計などを通じて、ブランドの世界観を体験してもらう取り組みが可能です。

 

既に世界最大級のVRゲームプラットフォームである「Roblox(ロブロックス)」ではGUCCIやNIKEなどの世界を代表するブランドが、ブランドの常設エリアを開設しており、実際にVRを活用して自社のECの拡大を図っています。

③高い費用対効果への期待

メリットの3つ目は、VRを活用したECサービスは高い費用対効果が期待されている点です。

 

広告の費用対効果を決める要素として、どれだけ商品・サービスにマッチするユーザーをターゲティングし配信できるかと各ユーザーに対して最適な訴求方法を取ることができるかというものがあります。これらの精度を大きく左右する要素がユーザーデータです。このユーザーデータの活用が大きく進んだことによりインターネット広告の市場は急拡大を続ける一方で、データの取得・活用が難しいテレビ・新聞広告の市場は縮小を続けています。

 

一方、VRが人々の生活に普及しより多くの時間を過ごすようになると、Web/SNSでの集客に比べ、より多くのユーザーデータを獲得できる可能性を秘めています。具体的には、各ユーザーのサービスを横断したこれまでの行動履歴や広告配信後の購買行動等が挙げられます。これらのデータを活用するためにECは相性が良く、より効果的に活用することができると期待されています。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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