音楽ライブへのXRの活用事例22選|6つのメリットも紹介
Meta社のMeta questシリーズ、Apple社によるVision Proなど、多くのビッグテック企業がXR(VR/AR/MR)業界に参入し、市場規模は年々大きくなってきています。
音楽ライブにおいても、VR上でのバーチャルライブだけでなく、ARを活用した演出がライブやミュージックビデオに活用されています。
一方で、実際にライブイベントにどのようにしてXRを実際に活用すればいいのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、音楽ライブへのXRの活用事例や活用のメリットを分かりやすくご紹介します。
本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。
- XRをどのように音楽ライブに活用すればいいのかわからない
- XRを音楽ライブに活用した先行事例をキャッチアップしたい
- XRの音楽ライブへの活用のメリットがわからない
本記事を読めば、音楽ライブへのXR活用について一気にキャッチアップできる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。
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目次
- そもそもXRとは?
- 音楽ライブにXRを活用する6つのメリット
- 音楽ライブにVRを活用する3つのメリット
- 音楽ライブにARを活用する3つのメリット
- 音楽ライブへのXR活用事例22選
- 音楽ライブへの最新VR活用事例15選
- ①米津玄師、星野源:FortniteでVRライブを開催
- ②宇多田ヒカル:PS VRでVRライブを開催
- ③きゃりーぱみゅぱみゅ:リアルライブを撮影しVR配信
- ④ZARD:VRを活用して無観客ライブを開催
- ⑤Litle Glee Monster:360°の音響と映像でアカペラを体験
- ⑥Kizuna AI:バーチャルYoutuberとしてVR上でパフォーマンス
- ⑦Elton John:引退ライブのプロモーションにVR映像を活用
- ⑧サンリオバーチャルフェス:有名アーティストがVR上に集合
- ⑨阪神阪急HD:VR上での音楽フェスを主催
- ⑩ソニーミュージック:最先端のXRライブプロジェクトを実施
- ⑪Roblox:ゲーム空間上でのバーチャルライブを開催
- ⑫ぴあ:バーチャルライブ向けの独自VRプラットフォームを構築
- ⑬REALITY:アバター姿でのライブ配信プラットフォーム
- ⑭VARK:VR上でのライブイベントプラットフォーム
- ⑮PatchXR:VR上の楽器・音楽作成/演奏プラットフォーム
- 音楽ライブへのARの活用事例7選
- 音楽ライブでXR活用を進めるための4つのフェーズ
- 音楽ライブでXR活用で成果を上げるための5つのポイント
- 費用対効果・実現性が高いメタバース活用方法
そもそもXRとは?
XRとはExtented Realityの略称で、リアルの世界とバーチャルの世界を融合した技術を指す、広い概念です。XRに含まれる代表的な技術としてVR・AR・MRなどの先端技術があります。新たな技術開発が多数行われている分野であり、明確にVRやARに分類できない技術をXR技術と表現することもあります。
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音楽ライブにXRを活用する6つのメリット
音楽ライブにXRを活用するメリットとして、VR/ARと活用する技術ごとに以上の通りにまとめることができます。
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音楽ライブにVRを活用する3つのメリット
音楽ライブにVRを活用するメリットとして、大きく以下の3つが挙げられます。
- ①VRでしか実現できないライブ演出の実現
- ②空間的制約を超えた集客
- ③VRから得られたデータの活用によるライブ演出やサービスの改善
それぞれについて、わかりやすく解説します。
①VRでしか実現できないライブ演出の実現
VRを活用したライブでは、リアルだけのライブでは実現の難しい体験をユーザーに提供することができます。
開催者側は、シーンを一瞬で切り替えることができ、アクロバティックなパフォーマンスの実現など演出の幅を広げられます。
観客は音楽ライブでアーティストの目線でライブへ参加できたり、イベント会場内での移動に時間がかからなかったりと、VRならではの体験が可能です。
②空間的制約を超えた集客
VRを用いたライブでは、ユーザーはデバイスさえあればどこからでもライブに参加が可能なので、リアルでの集客でネックとなる地理的制約から解放されるメリットがあります。
開催者側は集客の上で地理的問題を考える必要がなくなり、いかにライブの目的とユーザーのニーズに合わせて顧客体験の質を向上させ、PRするかという本質的な課題に取り組むことができます。企業側は機会損失を被ることなく、ニーズの全量に対して顧客体験を提供できます。近年問題となっているライブチケットの転売も防ぐことができます。
ユーザー側としても自宅にいながらにしてライブ参加が可能なため、会場までの交通費や宿泊費を節約できるというメリットがあります。
ユーザーにとっても、参加したいライブの抽選に落選して参加できない、複数の有料アカウントを作成し複数口で抽選を行うなどの事態を避けられるというメリットがあります。
③VRから得られたデータの活用によるライブ演出やサービスの改善
VR上の人々の行動データはWebサイトやSNS上のものに比べ圧倒的にリッチになると考えられており、それらを活用すればライブの演出や顧客体験へのPDCAがより効率的に行えます。
VR上ではいつ、誰と、どんな行動を取っていたかに加え、ユーザーの感情などもデータとして取得できるようになると考えられています。それが実現すれば、VRで行ったライブの反応をデータとして収集することも可能です。
音楽ライブにARを活用する3つのメリット
音楽ライブにARを活用するメリットとして、大きく以下の3点が挙げられます。
- ①ARならではの演出による顧客体験の向上
- ②物理的な工事などが不要で演出を追加できる
- ③ARを活用したグッズ販売による売上向上
それぞれについて、以下でわかりやすく解説します。
①ARならではの体験を届けることができる
ARを活用したライブでは、リアルだけのライブでは実現の難しい体験をユーザーに提供することができます。
開催者側は、シーンを一瞬で切り替える、アクロバティックなパフォーマンスの実現など演出の幅を広げられます。
観客は音楽ライブでアーティストの目線でライブへ参加できたり、イベント会場内での移動に時間がかからなかったりと、ARならではの体験が可能です。
②物理的な工事などが不要で演出を追加できる
ARは施設工事不要でソフトウェアにより提供可能なため、実際に施設工事を行うよりコストを抑えられます。リアルでは時間や費用がかさみがちなシーズン毎の演出の切り替えなどにも相性が良いです。
これにより企業は施設工事に時間をかけず、ライブの演出の工夫やプロモーション施策に限られたリソースを投下できます。また、物理的な構造物やインフラが不要なため、大規模イベントで近年問題になっている環境への影響を最小限に抑えることができます。
③ARを活用したグッズ販売による売上向上
ARをライブグッズの物販に活用することで、売上向上を見込める可能性があります。
現状のライブグッズ販売のチャネルは、行列ができがちな会場での直販もしくはECでの販売がメインとなっています。現状のやり方では試着や実際の商品に触れてイメージを確かめることが難しいため、AR活用によるリターンが大きいと考えられます。
直販のための行列に並んでいる間にARでの試着を行うことで、サイズ違いやイメージとギャップがあるなどのリスクを軽減でき、グッズの顧客満足度の向上、売上向上に繋がる可能性があります。
音楽ライブへのXR活用事例22選
音楽ライブへの最新VR活用事例15選
音楽ライブへのVRの活用事例として、代表的なものとして以下の15事例が挙げられます。
- ①米津玄師、星野源:FortniteでVRライブを開催
- ②宇多田ヒカル:PS VRでVRライブを開催
- ③きゃりーぱみゅぱみゅ:リアルライブを撮影しVR配信
- ④ZARD:VRを活用して無観客ライブを開催
- ⑤Litle Glee Monster:360°の音響と映像でアカペラを体験
- ⑥Kizuna AI:バーチャルYoutuberとしてVR上でパフォーマンス
- ⑦Elton John:ライブのプロモーションにVR映像を活用
- ⑧サンリオバーチャルフェス:有名アーティストがVR上に集合
- ⑨阪神阪急HD:VR上での音楽フェスを主催
- ⑩ソニーミュージック:最先端のXRライブプロジェクトを実施
- ⑪Roblox:ゲーム空間上でのバーチャルライブを開催
- ⑫ぴあ:バーチャルライブ向けの独自VRプラットフォームを構築
- ⑬REALITY:アバター姿でのライブ配信プラットフォーム
- ⑭VARK:VR上でのライブイベントプラットフォーム
- ⑮PatchXR:VR上の楽器・音楽作成/演奏プラットフォーム
それぞれについてわかりやすく解説します。
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①米津玄師、星野源:FortniteでVRライブを開催
米津玄師や星野源は、フォートナイト上でバーチャルライブを開催しました。
米津玄師は2020年に開催中であったライブツアー「米津玄師 2020 TOUR / HYPE」の中断等に伴いフォートナイトでの全世界同時バーチャルライブを開催し、世界中から様々なプレイヤーが参加しました。米津玄師は「STRAY SHEEP」のジャケットに描かれた羊のマスクを被った3DCGの姿で様々な場所に移動しながらパフォーマンスを披露しました。
星野源はフォートナイト内で開催されるバーチャルイベント「Soundwave Series」に参加して世界中のアーティストとともにバーチャルライブを披露しました。
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②宇多田ヒカル:PS VRでVRライブを開催
宇多田ヒカルは、2019年にゲームソフト「KINGDOM HEARTS」に提供した2曲の楽曲のVRライブをPS VRの無料ソフトの形式で配信しました。ユーザーは、ライブの風景を3パターンのアングルから鑑賞が可能で、宇多田ヒカルが歌う姿を高い臨場感で体験することができました。
配信に加えて、全国のソニーストアで本コンテンツの監督によるトークショーとVRライブの体験会を開催し、当時まだ広まっていなかったVRライブを一般ユーザーに体験してもらう取り組みも行われました。
③きゃりーぱみゅぱみゅ:リアルライブを撮影しVR配信
きゃりーぱみゅぱみゅは、リリースしたシングル「ガムガムガール」のパフォーマンスビデオを没入感のある3D-VR映像の形式で配信しました。ユーザーは、【スマホ】や【PC】を通じてきゃりーぱみゅぱみゅとダンサーの躍動感あふれるパフォーマンスを3D-VR映像で、さらにステージの正面、側面などのさまざまなアングルから視聴することができます。
このパフォーマンスビデオは、ソフトバンクのコンテンツ配信サービスである「5G LAB」内の「VR SQUARE」「FR SQUARE」というライブ配信プラットフォーム上で配信されました。5G環境での配信によって、より高品質なビデオを低遅延で提供できることが示されました。
④ZARD:VRを活用して無観客ライブを開催
ZARDは、ios向けアプリ「新音楽視聴体験 音のVR」にて、VRバーチャルライブを配信しました。
ユーザーは、バーチャル空間内を移動することでボーカル、ギター、キーボードなどのうち、自分が近づいたパートの音が大きく聞こえるようになるという体験をすることができました。
また、このバーチャル空間はZARDファンの聖地である「山野楽器 銀座本店ビル」の地下一階を再現しており、その点でもファンにとっての満足度の高い取り組みとなりました。
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⑤Litle Glee Monster:360°の音響と映像でアカペラを体験
Little Glee Monsterは、「ギュッと」と「Jupiter」の2曲の楽曲について360°動画をリリースしています。
視聴者は、イヤホンを付けて動画を視聴することにより、立体音響によってグループのメンバーが輪になって歌っているアカペラを、真ん中に立って聴いているかのような体験をすることができます。また、スマホを動かすとその位置に応じてVR動画が切り替わるだけでなく、聞こえ方も変わってきます。
⑥Kizuna AI:バーチャルYoutuberとしてVR上でパフォーマンス
バーチャルタレントのKizuna AIは、Facebook社(現Meta社)のバーチャルリアリティプラットフォーム「Oculus」で日本文化や花火を演出テーマにした音楽ライブを開催しました。
ユーザーは、「Oculus」にログインし、イベント会場を訪れることによって、2つのモードでライブを鑑賞することができます。1つ目のマルチモードでは最前列でライブをほかのファンと共に楽しむことが可能で、2つ目のソロモードでは観衆を見下ろすボックスシートからゆったり鑑賞することが可能です。
このライブでは、ゲストとして、世界で活躍するパフォーマンスチーム「HANABI」も出演し、リアルとバーチャルのミックスしたパフォーマンスが注目されました。
⑦Elton John:引退ライブのプロモーションにVR映像を活用
Elton Johnは、現役最後のツアー活動となる3年間のワールドツアーの発表をVR映像を用いて行いました。
動画では、360°のVR動画で彼のキャリアを振り返る映像がYoutubeで公開されました。また、発表当日のプレスカンファレンスでは、Googleが提供するVRヘッドセットGoogle Cardboardを用いて、エルトンジョンの活動を間近で振り返る180°映像が配信されました。180°映像は首を回すと映像が自分の背面まで用意されている360°映像と異なり、前方の視界のみが用意されている動画コンテンツです。
発表会で180°映像を用いた理由は、360°映像と比較して映像の視野が限られている分、映像の品質を上げることができるからというものでした。発表された映像の没入感の高さは、多くのファンを感動させるもので、長年のキャリアの締めくくりの発表としての評価は非常に高いものとなりました。
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⑧サンリオバーチャルフェス:有名アーティストがVR上に集合
サンリオバーチャルフェスは、VR上で開催された、リアル/バーチャルのアーティスト総勢52組が集まったライブイベントです。
アーティストは、AKB48などのリアルアーティストから、Vtuber、VRChat上で活動するアーティストまで、幅広いジャンルのアーティストが一堂に会することで、大きな話題を呼びました。
この取り組みのポイントは、ユーザーが求めるものを実現するために、企業や団体の垣根を超えたコラボレーションを実現させた点です。このように、ユーザーを特定の企業やプラットフォームに囲い込もうとするWeb2.0的な発想とは違った取り組みが、今後のVR市場の盛り上がりに繋がっていくでしょう。
⑨阪神阪急HD:VR上での音楽フェスを主催
大手関西私鉄である阪神阪急HDは、VR上での音楽フェスである「JM梅田ミュージックフェス」を開催しました。JM梅田ミュージックフェスは、阪急阪神HDが百貨店を含む大阪・梅田の街を忠実に再現したVR空間上で実施されるオンライン音楽祭です。
当イベントでは、メタ―バース空間となった大阪梅田を舞台に、VTuber等のバーチャルキャラクターによる音楽フェスが実施されました。アバターの姿で参加する来場者は、コンサートの参加、グッズ販売などのコンテンツが提供された他、バーチャルな梅田を高い没入感で体感できました。音楽フェスには30名を超えるVTuberなどのバーチャルアーティストが参加し、来場者数は8万人以上を記録する盛況となりました。
同社は、100年以上続けてきた「街づくり」のノウハウをVR領域でのビジネス展開に活用できるのではと考えています。
⑩ソニーミュージック:最先端のXRライブプロジェクトを実施
株式会社ソニー・ミュージックレーベルズは新たな仮想空間プロジェクト「ReVers3:x(リバースクロス)」の始動を発表しています。「ReVers3:x」では独自に制作した仮想空間を舞台に様々なアーティストのライブを楽しむことができるショートライブプロジェクトです。
「ReVers3:x」の第1弾として、ラッパーのKEIJUのライブが配信されました。仮想空間上に作られた東京のストリートに設置されたステージ上にはデジタルアーティストによるアートも配置され、音楽のみならず、空間としても楽しめるコンテンツとなっています。
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⑪Roblox:ゲーム空間上でのバーチャルライブを開催
アメリカでは「Fortnite」「Minecraft」に並ぶ人気オンラインゲーム、「Roblox」において、ゲーム空間を活かした音楽ライブイベントが急増しています。
2023年3月にはアメリカで開催されるスポーツ一大イベント「NFTスーパーボール」のプレーゲームイベントとして、Roblox内に新設されたRhythm Cityでヒップホップ歌手Saweetieによるパフォーマンスが行われました。今後は、Saweetieの他にもワーナーミュージック所属アーティストによるバーチャルコンサートがRhythm Cityで開催される予定です。
⑫ぴあ:バーチャルライブ向けの独自VRプラットフォームを構築
ぴあ株式会社は、バーチャルライブプラットフォーム「NeoMe」(ネオミー)をスマートフォンアプリのサービスとして提供開始しました。「NeoMe」は、ユーザーがアバターとなってバーチャル空間に入り、バーチャルライブを中心に、ユーザー同士の交流やアバターのコーディネートを楽しむことができるスマートフォンアプリです。
ぴあは、「NeoMe」を通じて、次世代を担う若手パフォーマーに対して、バーチャルを起点とした新たな表現や活動の場を提供しています。ユーザーやファンは、同じ趣味の人とつながる場を提供し、パフォーマーとユーザーの新たなコミュニティづくりを支援します。
バーチャルライブの第1弾となる「NeoMe Live Vol.1」には、ヤバイTシャツ屋さんが出演しました。
⑬REALITY:アバター姿でのライブ配信プラットフォーム
REALITYは、アバターを用いたライブ配信を軸としたVRプラットフォームです。
自分だけのオリジナルアバターを作成し、モーションキャプチャー技術を用いたリアルなライブ配信で視聴者とコミュニケーションを取ったり、アバターが受け取るギフトでマネタイズするなど、簡単操作で楽しめるスマートフォン向けメタバースです。5GやVR/ARを見据えたエンタテインメントの未来像を実現しています。
また、法人向けに3DCGとXR技術を活用したXRクラウド事業「REALITY XR」も展開しています。
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⑭VARK:VR上でのライブイベントプラットフォーム
VARKは、VR上で現実と同じようにライブイベントを楽しむことができるアプリケーションです。決まった時間に開かれるイベントに誰でも参加でき、そのイベントに「いる」アーティストのライブを、一体感を感じながら楽しむことができます。目の前で歌う」「一瞬で世界が変わる」など、バーチャルの可能性をフルに活用し、最高の体験を提供することを目指します。
⑮PatchXR:VR上の楽器・音楽作成/演奏プラットフォーム
PatchXRは、VR上でユーザーがデジタル楽器・音楽の作成/演奏を行えるプラットフォームです。ユーザーはオリジナルの楽器や音楽、演奏ステージ空間を作成可能です。また、それらを他ユーザーにシェアしたり、セッションを楽しむこともできます。PatchXRはVRHMD”MetaQuest2”にも対応しており、より没入感のある体験が可能です。
今後、プラットフォーム上でアーティストがオリジナルの楽器や音楽、演奏を有料で販売し、収益化する仕組みを導入予定です。
音楽ライブへのARの活用事例7選
音楽ライブへのARの活用事例として代表的なものに、以下の7事例が挙げられます。
- ①マドンナ:ARを使って自分の分身と共演するライブを開催
- ②いきものがかり:ARを活用してソニーストアからライブ鑑賞が可能
- ③GLAY:ライブと並行してARを活用した聖地巡礼イベントを開催
- ④AR Arist KENTO:ARを活用した演出のライブを全世界に配信
- ⑤ソニーミュージック:最先端のXRライブプロジェクトを実施
- ⑥にじさんじ:バーチャルライバーと生バンドによるARライブイベントを開催
- ⑦KAGI NIGHT:ARアーティストと生バンドのセッション
それぞれについて、わかりやすく解説します。
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①マドンナ:ARを使って自分の分身と共演するライブを開催
マドンナは、2019年のビルボード・ミュージック・アワードの授賞式でのパフォーマンスにおいて、ARを活用して自身の分身と共演する演出を行いました。
パフォーマンスでは、本人がエージェント、ミュージシャン、インストラクター、花嫁の衣装を着た自身のAR映像と共にパフォーマンスを行い、まるでマドンナ本人が5人いるかのような演出を施しました。4人の分身は突然現れ、泡のように消えるなどARでしかできない演出でパフォーマンスを盛り上げました。
②いきものがかり:ARを活用してソニーストアからライブ鑑賞が可能
いきものがかりは、2020年にリアルで開催したライブを撮影してAR動画として全国のソニーストアで鑑賞できるキャンペーンを行いました。
観客は、ソニーストアに設置されたXperiaの向きを変えることで様々な視点からライブを視聴できる点が特徴です。これは「Volumetric Capture」と呼ばれる技術で、実世界の空間を丸ごと撮影し、視点を動かしてあらゆる角度から視聴できるようにするAR技術です。
AR技術を活用することで、楽曲の世界観やライブそのものを、場所を選ばずによりリアルに臨場感を持って楽しむことができるという新しい体験を提供し、ユーザーの満足度向上や新規ファンの獲得につながったとのことです。
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③GLAY:ライブと並行してARを活用した聖地巡礼イベントを開催
GLAYは、自身の野外ライブと並行して、音声AR技術を利用した聖地巡礼イベント「グレナビ」を開催して、ファンと自身の音楽観やバックボーンを共有しました。
ファンは、メンバーの地元である函館をめぐり、GLAYゆかりの地を訪れるとアプリから通知が届き、GLAYの楽曲をBGMにメンバーによる裏話やその地に関するコメントを楽しむことができました。
コンテンツが用意された19か所のGLAYゆかりの地では、イベント開催期間中に人流が112%増加し、コラボした函館市の地域振興にも繋がりました。
④AR Artist KENTO:ARを活用した演出のライブを全世界に配信
マイケルジャクソンにも認められたダンサーであるKENTOは、ARを活用した演出を使ったライブ配信を行いました。
パフォーマンス中は、最先端のリアルタイムモーションキャプチャーにより認識されたKENTOの身体動作に連動する形で、その場その場でARエフェクトが加えられました。これにより、KENTOの今回のコンセプトである「目に見える音楽」を存分に届けることができました。
⑤ソニーミュージック:最先端のXRライブプロジェクトを実施
株式会社ソニー・ミュージックレーベルズは新たな仮想空間プロジェクト「ReVers3:x(リバースクロス)」の始動を発表しています。「ReVers3:x」では独自に制作した仮想空間を舞台に様々なアーティストのライブを楽しむことができるショートライブプロジェクトです。
「ReVers3:x」の第1弾として、ラッパーのKEIJUのライブが配信されました。仮想空間上に作られた東京のストリートに設置されたステージ上にはデジタルアーティストによるアートも配置され、音楽のみならず、空間としても楽しめるコンテンツとなっています。
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⑥にじさんじ:バーチャルライバーと生バンドによるARライブイベントを開催
ARバーチャルライバーグループのにじさんじは、2021年にバーチャルライバーと生バンドのコラボによるARライブを開催しました。
このライブは、リアル会場でのライブビューイングとネット配信の二つの形式で行われ、観客はライバーと生バンドの演奏に加えて、ARによる豪華な演出を合わせて楽しむことができました。
ARの活用によって、ネット配信が中心だったライバーの活動の場がリアルイベントまで広がり、バーチャルライバーの新たな活動のチャネルとして注目される事例となりました。
⑦KAGI NIGHT:ARアーティストと生バンドのセッション
ARアーティストによるライブイベントである「KAGI NIGHT2022」は、リアルとバーチャルの会場の両方で開催され、実際のライブ会場でARアーティストと生バンドのセッションを行いました。
観客はリアル会場とオンライン会場のどちらからでも、ARアーティストと生バンドによる演奏を楽しむことができます。また、リアル会場の特典として、ARパフォーマンスがいつでも見られるQRコードがついたオリジナルカードがプレゼントされました。
オンラインで手軽に鑑賞する、リアル会場で他の観客とともに盛り上がるなど、観客の好みに応じて様々な楽しみ方を提供できた取り組みとなりました。
音楽ライブでXR活用を進めるための4つのフェーズ
音楽ライブでXR活用の進める流れとして、大きく以下の4つのフェーズが挙げられます。
- Phase1:市場動向・知見のキャッチアップ
- Phase2:戦略/企画の立案
- Phase3:事業計画の策定
- Phase4:開発・運用
それぞれのフェーズについて分かりやすく紹介していきます。
Phase1:市場動向・知見のキャッチアップ
1つ目のPhaseとして取り組むべきは、最先端の市場動向・知見のキャッチアップです。MetaやApple、Microsoftなどのビックテックやユーザーの動向・先行活用事例など、日々変化する市場動向やナレッジへのキャッチアップが必要です。
このフェーズが、成果に繋がる骨太な戦略/企画策定の基盤となります。
Phase2:戦略/企画の立案
2つ目のPhaseはXR活用の戦略/企画です。活用目的を踏まえ、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方、実現に向けた企画を立案しましょう。
ユーザーバリューと自社の事業性の両方を満たす、質の高い戦略/企画の立案が、成果につながるXR活用の実現に向け最も重要なポイントとなります。
Phase3:事業計画の策定
3つ目のPhaseは事業計画の策定です。事業に期待する成果や開発・運用のアプローチやタイムライン、必要な投資額などを検討しましょう。
XR開発・運用といっても、プロジェクト毎に求められるケイパビリティは様々であるため、自社にマッチするツール・ベンダーの選定が非常に重要です。
Phase4:開発・運用
4つ目のPhaseが開発・運用です。XR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを有効活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完しつつ、ユーザーに届けたい体験を実現するXRの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。
4つのフェーズで取り組むべき35のステップに関しては、以下の関連記事で詳しく解説しています。
※関連記事:メタバースを活用した事業を作る方法|全4フェーズと35ステップ【担当者必見】
音楽ライブでXR活用で成果を上げるための5つのポイント
音楽ライブでのXR活用で成果を上げるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。
- ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
- ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
- ③ユーザーファーストなUX設計
- ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
- ⑤強力な開発・運用体制の構築
それぞれについて分かりやすく紹介していきます。
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①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。
デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。
XR活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。
②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案
2つ目のポイントは、XRを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。
現在XR活用に取り組む企業には、XR活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。
その結果、活用のPDCAが回らない、XR活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。
自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜXRではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。
③ユーザーファーストな企画・UX設計
3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなXRの企画・UX設計です。
現在、多くの企業がXRに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなXRが多く存在します。それらのXRは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。
そのため、「XRならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。
④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。
XR市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。
そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。
⑤強力な開発・運用体制の構築
5つ目のポイントは、強力なXR開発・運用体制の構築です。
高いユーザー体験と事業性を両立するXRの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。
XR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。
費用対効果・実現性が高いメタバース活用方法
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