VRのECへの活用事例3選を活用のポイントやメリットとともに解説

コロナウイルス感染拡大による行動制限の影響で、EC市場はさらに成長しました。

そんななか、従来のWebサイトに比べ多くのメリットを持つVRを活用したECサービスを提供する動きが注目を集めています。実は既に三越伊勢丹やフォートナイトなど、幅広い業界の大手企業がVRのECへの活用を進めています。

 

一方で、以下の様な悩みを持つ企業のご担当者様は多いのではないでしょうか。

  • VRをわざわざECに活用するメリットがイマイチわからない
  • VRを活用したECサービスへのイメージがわかない
  • 活用を成功させるためのポイントを押さえておきたい

 

そこで本記事では、VRをECに活用するメリットや具体事例3選、成功のポイントをご紹介します。

本記事を読めば、VRを自社のECサービスに活用する上で押さえておきたいナレッジをまとめてキャッチアップできると思いますので、ぜひ最後までお読みください。


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そもそもVRとは?

そもそもVRとは? MR、ARとの違い

VRとはVirtual Realityの略称で、別名仮想現実とも呼ばれます。最先端の3DモデリングやVRデバイス等の技術により、まるでその世界に入り込んでいるかのように感じられる、デジタル上の仮想空間を提供する技術のことを指します。

様々なユースケースの中でも特にゲームの使用を中心に利用が拡大しており、まるでゲームの世界に入り込んだかのような没入感・臨場感を感じながらプレイすることが出来ます。

 

また、ARとVR・MRとの違いはベースとなる世界やその没入感になります。詳しくは以下の関連記事で解説しています。

 

※関連記事:VRとは何か?ARとの違いやビジネスでの活用事例も簡単に解説!

企業がVRをECに活用する3つのメリット

企業がVRをECに活用するメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • ①VRならではの体験による訴求力向上
  • ②VRを活用した新たなユーザー体験の提供
  • ③高い費用対効果への期待

それぞれについてわかりやすく解説します。

 

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①VRならではの体験による訴求力向上

メリットの1つ目は、VRならではの体験により商品・ブランドの訴求力を向上できる点です。

VR広告を活用することで、オンラインで商材の訴求力を向上することができます。訴求力向上に繋がるポイントは大きく2点あります。

1点目は、3Dモデルを活用した訴求力の向上です。ユーザーはVR上商品や店舗、施設を目の前にしているような体験ができ、オンラインで商材の魅力が伝わりづらかった商品の訴求力を向上することが可能です。

2点目は、VRならではの体験を通じた、新たな購買体験による訴求力の向上です。オンラインでありながら、友人と一緒に買い物が出来る環境を構築したり、リアルでは簡単に提供できない非現実的な体験型のプロモーションを低コストで実施したりすることができます。

②VRを活用した新たなユーザー体験の提供

メリットの2つ目は、VRを活用し新たなユーザー体験を提供できる点です。

広告・マーケティング活動をWebやSNSで行う場合とVR上で行う場合の最も大きな違いは、ブランドがユーザーに対し3次元の空間上でインタラクションを交えた体験を設計できることです。そのため、従来は各ブランドがリアルで開催していたイベントや、リアルでは実現の難しいゲーミフィケーションを交えた体験設計などを通じて、ブランドの世界観を体験してもらう取り組みが可能です。

既に世界最大級のVRゲームプラットフォームである「Roblox(ロブロックス)」ではGUCCIやNIKEなどの世界を代表するブランドが、ブランドの常設エリアを開設しており、実際にVRを活用して自社のECの拡大を図っています。

③高い費用対効果への期待

メリットの3つ目は、VRを活用したECサービスは高い費用対効果が期待されている点です。

広告の費用対効果を決める要素として、どれだけ商品・サービスにマッチするユーザーをターゲティングし配信できるかと各ユーザーに対して最適な訴求方法を取ることができるかというものがあります。これらの精度を大きく左右する要素がユーザーデータです。このユーザーデータの活用が大きく進んだことによりインターネット広告の市場は急拡大を続ける一方で、データの取得・活用が難しいテレビ・新聞広告の市場は縮小を続けています。

一方、VRが人々の生活に普及しより多くの時間を過ごすようになると、Web/SNSでの集客に比べ、より多くのユーザーデータを獲得できる可能性を秘めています。具体的には、各ユーザーのサービスを横断したこれまでの行動履歴や広告配信後の購買行動等が挙げられます。これらのデータを活用するためにECは相性が良く、より効果的に活用することができると期待されています。

企業によるVRのECへの活用事例3選

企業によるVRのECへの活用事例として、代表的なものは以下の3選です。

 

  • ①三越伊勢丹:独自VR空間上に百貨店を再現
  • ②バレンシアガ:世界最大のメタバース フォートナイトとコラボ
  • ③BEAMS:VR上に仮想店舗を出店し実店舗への送客

 

それぞれについて、わかりやすく解説します。

 

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①三越伊勢丹:独自VR空間上に百貨店を再現

三越伊勢丹:独自VR空間上に百貨店を再現
(画像:三越伊勢丹)

三越伊勢丹は、独自のVR上の仮想都市である「レヴ ワールズ」を構築し提供しています。来場者はアバターの姿で、デジタル空間の「バーチャル伊勢丹」での買い物を楽しむことができます。店員のアバターも配置され、チャット機能を使った接客も受けられます。

また、VR上ではバーチャルファッションショーを楽しんだりや人気格闘漫画『刃牙』シリーズに登場する“地下闘技場”をモデルとしたイベントスペースが設けられ、アバターとなった一部の人気キャラクターに会えたり、関連するデジタルアイテムを入手したりすることもできます。

他社はVR上で開催されるイベントへの出展事例が多いなか、三越伊勢丹は既に独自のVR空間を構築・提供しており、小売・百貨店業界のVR活用をリードする存在といえます。

②バレンシアガ:世界最大のメタバース フォートナイトとコラボ

バレンシアガ:世界最大のメタバース フォートナイトとコラボ
(画像:バレンシアガ)

ラグジュアリーブランドのバレンシアガは人気オンラインゲームであり、近年メタバース化が進みつつある「フォートナイト」とコラボレーションを行いました。バレンシアガがゲーム用のデジタルファッションアイテムを制作し、同様のデザインのリアルのアイテムをバレンシアガの一部店舗やオンラインショップにて販売しました。リアルのアイテムの価格は約5万~17万円ほどでした。

 

フォートナイトのゲーム内では、バレンシアガの仮設店舗をオープンし、ウェアやスキンを取りそろえました。それらのアイテムはバレンシアガの2020~2021年のコレクションアイテムをスキャンし3Dモデル化して制作されています。また他にも、ゲーム内にバレンシアガが2021年秋コレクションのために制作したオンラインゲーム「アフターワールド:ザ・エージ・オブ・トゥモロー」に着想を得たエリアを特設するなど、ユーザーが楽しみながらバレンシアガのブランドに触れられる取り組みが行われました。

 

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③BEAMS:VR上に仮想店舗を出店し実店舗への送客

BEAMS:VR上に仮想店舗を出店し実店舗への送客
(画像:ビームス)

ファッション大手であるビームスは世界最大のVRイベントである「バーチャルマーケット」に4度出展を行っています。バーチャルマーケットとはVR上にある会場で、アバターなどのさまざまな 3D アイテムや、リアル商品(洋服、PC、飲食物など)を売り買いでき、日本はもとより世界中から100万人を超える来場者を誇る世界最大のVRイベントです。

バーチャルマーケットでは、アバター用の洋服であるデジタルアイテムの販売やライブなどのイベントの開催が行われました。アバター用の洋服であるデジタルアイテムは、ビームスの2022年の秋冬商品を3Dモデルに起こした、Tシャツやワンピースなどの全7種類が販売されました。また、ライブでは池田エライザさんがバーチャルライブを開催し、VRに着想を得た新曲の発表も行われました。一方でリアルでの商品販売も行われ、バーチャルマーケットの出展を記念したリアルな洋服の商品もビームスの公式オンラインショップにて販売されました。4度目の参加の際には、関西のショップスタッフも含む約50名の社員が交代でバーチャル接客にあたり、VR上での接客を通じてリアル店舗への来客に繋がっている事例も生まれてきているとのことです。

 

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VRを活用したECを成功させるための3つのポイント

ECにVRを活用を検討する際に注意すべき点として以下の3つが挙げられます。

 

  • ①VR活用の目的・戦略の明確化
  • ②VRでしかできない体験の設計
  • ③ユーザーの手間・負担を考えたコンテンツ設計

 

それぞれの注意点についてわかりやすく紹介していきます。

①VR活用の目的・戦略の明確化

VR活用の目的・戦略の明確化

VRをECに活用する際は、VRをビジネスに活用する目的とターゲットのニーズを明確にすることが、どんなVRの機能や体験を実装するべきか考えるにあたり重要なポイントとなります。

例えば、ターゲットの年齢や性別、よく使用するデバイスに応じてVR体験を提供するプラットフォームを決定する必要があります。また、VR上でイベントを行い、そのイベントを通じて商品を販売する際には、イベントから商品の販売に至る動線をしっかりと確保することが重要です。

目的とターゲットを明確にすることで、そのVRイベントはよりユーザーに魅力的なものとなり、活用する企業にとってよりリターンの大きいものとなります。

②VRでしかできない体験の設計

2つ目の注意点は、VRでしかできない体験が設計できているかです。なんとなく流行っているからVRを自社製品のECに活用してみようという流れで、VRの特徴が活かせていない体験を設計してしまうと、従来のwebのECサイトと比べ、コストが高く、ユーザー負担も大きいという結果になりかねません。「3Dコンテンツでのリッチな情報量」や「インタラクティブな体験ができる」などVRならではの特徴を最大限生かした体験設計・企画が重要になります。

 

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③ユーザーの手間・負担を考えたコンテンツ設計

3つ目の注意点は、ユーザーの手間・負担が大きくないかという点です。一般的にユーザーがVRを体験する際は、アプリをしたり、アバターを操作したりと、従来のECサイトに比べユーザーに求める手間が大きい傾向にあります。そのため、ユーザーの体験したいというインセンティブを高める企画や体験の手間を最小限に抑えるUI/UX設計が重要になります。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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