メタバースとは何か?注目の理由やビジネスチャンス、活用事例を解説
MetaのXRヘッドセットのQuestシリーズが累計販売台数2,000万台を突破し、Appleも初のXRデバイスの発売を発表するなど、近年メタバースへの注目はより一層高まっています。
一方で、メタバースには様々な定義が存在し、VRやARなど似たような概念と混同されることも多いため、理解が難しい概念となっています。
そのため、「メタバースのなんとなくのイメージは湧くけど、より具体的に理解したい」「メタバースがビジネスにどのような影響をもたらすのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回はメタバースの概念から注目される6つの理由、もたらされる3つのビジネスチャンス、活用事例10選まで初心者の方にもわかりやすく解説します。
本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。
- メタバースの意味や定義がよくわからないのでしっかりと理解したい
- メタバースがビジネスに与える影響を把握しておきたい
- 代表的な企業のメタバース活用事例を抑えておきたい
本記事を読めば、ビジネスパーソンが抑えておくべき、メタバースに関する一通りの知見をキャッチアップできると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。
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目次
メタバースとは
メタバースには、様々な定義が存在しますが、「多数の人々が、現実世界のような様々な活動や交流ができる、インターネット上の3次元の仮想空間」のことを指します。
ユーザーは、アバターと呼ばれる自身の分身の姿でメタバース空間にアクセスし、他のユーザーとともに以下のような活動を行うことができます。
- ボイスチャットや身振り手振りでのコミュニケーション
- ゲームやライブイベントなどのエンタメ体験
- NFTなどを活用したデジタル資産の売買・投資活動
メタバースの利用方法は、スマホやPCからもアクセス可能ですが、Meta QuestやAppleが来年発売予定のApple Vision Proのようなヘッドマウントディスプレイからアクセスすることにより、より没入感のある体験が可能になります。
メタバースとXR(VR・AR・MR)との違い
メタバースと似た概念として、VR、AR、MRといった言葉をよく耳にする方も多いと思います。これらはまとめて、XR(エックスアール)と呼ばれ、リアルとバーチャルを融合した空間を創り出す先端技術を総称した言葉として定着しています。
XRとメタバースの違いとしては、XRがリアルとバーチャルを融合した空間を創り出す先端技術の総称である一方、メタバースは、XR空間上で人々がコミュニケーションや交流を行うように進化した空間やサービス全体のことを指します。
メタバースの歴史や語源
メタバースが大きく注目を集めるようになったのは、2021年末にフェイスブックがMeta社に社名変更したことがきっかけですが、それ以前からメタバースの概念やメタバースサービスは存在していました。
以下では、メタバースの歴史を理解する上で重要な出来事を紹介します。
①1992年:SF小説「スノウ・クラッシュ」で初めて使われる
世界で初めて「メタバース」という言葉が使われたのは、1992年にニール・スティーヴンスン氏が発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」です。
メタバースの語源は「超越」を意味する「meta」と「世界」を意味する「universe」から来ているとされています。
②2003年:世界初のメタバース空間「セカンドライフ」がリリース
世界初のメタバース空間は、リンデンラボ社が発表した「セカンドライフ」だと考えられています。セカンドライフでユーザーは他のユーザーと交流できるほか、アバターが使えるアイテムに似た仮想資産を作り、セカンドライフ上で使用される仮想通貨「リンデンドル」で仮想資産の売買ができるようになりました。
「リンデンドル」は法定通貨で購入することができるため、世界で初めて仮想空間上で経済活動が行われた事例といえます。
③2021年:FacebookがMetaに社名変更しメタバース事業へ注力
2021年末、Facebookは社名をMetaに変更し、今後同社の主力事業としてメタバースに注力していくことを対外的にアピールしました。この社名変更をきっかけに、世界中にメタバースのコンセプトが認知され、多くの企業がメタバース領域へ参入するきっかけとなりました。
※関連記事:Facebook改めMetaがメタバースに社運を賭けるワケとは?
④2023年:Appleが初のXRデバイスPro Visionの発売を発表
Appleは開発者向けカンファレンスのWWDC2023にて、同社として初となるXRデバイスである、「Apple Vision Pro」を2024年に発売すると発表しました。
デモ動画の中では、Apple Vision Proを装着してデスクワークや映画視聴やゲームなどのエンターテインメントを楽しみながら、子供と触れ合うといった場面が描かれ、同デバイスが日常生活に溶け込む形で利用されることを想定していると考えられます。
これまで、Appleは卓越したプロダクト/UXデザイン力とマーケティングにより、PCやスマートフォンなどの先端デバイスを、人々の生活に定着させてきたことから、Apple Pro Visionの登場がメタバースの本格普及に貢献するのではという大きな期待が寄せられています。
⇒関連サービス:メタバース総研のApple Vision Pro向けサービス開発支援の概要はこちら
国内外の代表的なメタバース3選
国内外の代表的なメタバースとして以下の3つが挙げられます。
- ①Roblox:約4億人のユーザー数を誇るメタバースプラットフォーム
- ②Cluster:累計動員数2,000万人超の日本最大のメタバースプラットフォーム
- ③バーチャルマーケット:ギネスにも認定された世界最大のメタバースイベント
それぞれのメタバースについて分かりやすく紹介していきます。
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①Roblox:約4億人のユーザー数を誇るメタバースゲームプラットフォーム
代表的なメタバースの1つ目として、”ゲーム版のYouTube”とも称される、ゲーム制作・プレイを軸とするメタバースサービスRobloxが挙げられます。
ユーザーは、他ユーザーが作成した様々な3DCGゲームをプレイしたり、ユーザー自身も比較的簡単にゲームを制作し、公開することができます。
Robloxは、アプリダウンロード数が3億8,300万人、デイリーアクティブユーザーは約6,500万人と、若年層ユーザーを中心に圧倒的な人気を誇っています。
②Cluster:累計動員数2,000万人超の日本最大のメタバースプラットフォーム
代表的なメタバースの2つ目として、他ユーザーとの交流を軸とするメタバースアプリClusterが挙げられます。
ユーザーは、他ユーザーや企業が製作したメタバース空間で他ユーザーと他ユーザーとの交流やゲームをして楽しんだり、自身もワールドを製作し、公開することができます。
2017年にリリースされたClusterは、総ダウンロード数100万超、累計動員数2,000万人超と、日本のメタバースプラットフォームとしては最大規模に成長しています。
※関連記事:日本最大のメタバースプラットフォームcluster(クラスター)とは?
③バーチャルマーケット:ギネスにも認定された世界最大のメタバースイベント
代表的なメタバースの3つ目として、メタバース上のイベントであるバーチャルマーケットが挙げられます。
参加者はメタバース上の企業やクリエイターが出店しているブースにて、アバターなどの3Dデータ商品やリアルの商品(食品、PC、洋服など)を購入することができます。
2021年に開催された6回目のバーチャルマーケットでは、73社の出店企業と100万人を超える来場者数を記録し、世界最大のメタバースイベントとして、ギネス世界記録にも認定されました。
※関連記事:バーチャルマーケットとはどんなイベント?出展企業や参加方法も解説
メタバースが注目を集める6つの理由
メタバースが注目を集める理由として以下の6つが挙げられます。
- ①AppleやMetaなどのビックテックの本格参入・巨額投資
- ②関連技術の大幅な進歩とデバイスの低価格化
- ③コロナによるリモートコミュニケーションの普及
- ④若年層を中心とするユーザー数の増加
- ⑤仮想世界に対する人々の意識の変化
- ⑥メタバース市場の成長性の高さ
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
①AppleやMetaなどのビックテックの本格参入・巨額投資
1つ目の理由は、AppleやMetaなどのビッグテックが本格参入し、巨額の投資を行っていることです。例えば、Meta社は、2021年末にFacebookからMetaへ社名変更し、合わせて、メタバース領域に年間約1兆円規模の投資を行うことを発表しました。また、Appleは、2023年6月に、ゴーグル型XRヘッドセットデバイスであるApple Vision Proを発表するなどメタバース関連のデバイスの開発に力を注いでいます。
世界を代表するテック企業であるAppleやMeta社が多額の投資をしてまで、メタバースに注力していることは、メタバースには大きな可能性があるということを物語っています。
②関連技術の大幅な進歩とデバイスの低価格化
2つ目の理由は、メタバース関連技術の進歩です。メタバースは様々な領域のテクノロジーによって構成されているサービスですが、特に近年のテクノロジーの発展により体験価値が大きく向上しています。
具体的には通信技術の向上やコンピューターの処理性能の向上、メタバース向けデバイスの登場などが挙げられ、セカンドライフが登場した2000年代前半時点と比べると、メタバース空間内での体験をよりスムーズに、より没入感のある形で楽しむことができるようになりました。
このようにメタバースがオワコンであるといわれる理由の一つである通信速度の遅さという技術的な制約は、大幅に改善され、今後もさらに進化していくことが期待できます。
③コロナによるリモートコミュニケーションの普及
3つ目の理由は、コロナによるリモートコミュニケーションの普及です。コロナウイルス感染拡大の影響で、人々のコミュニケーションの機会が対面からリモートに移行し、プライベートはもちろん仕事上でのコミュニケーションも、SlackなどのチャットやZOOMなどのビデオ会話によって行われるのが当たり前の時代となりました。
デジタルを介したコミュニケーションの需要が拡大しているのはもちろん、人々が抵抗感なくデジタルコミュニケーションを利用するようになっているというのが非常に大きなポイントといえます。
④若年層を中心とするユーザー数の増加
4つ目の理由は、若年層を中心とするユーザー数の増加です。現在メタバースは、特にオンラインゲームでの用途を中心に若年層のユーザー数が急増しています。背景として、若年層は子供の頃から日常的にスマホを利用していること、コミュニケーションの手段としてSNSではなく、オンラインゲーム上のコミュニケーション機能を利用するシーンが増えていることなどが挙げられます。
ゲーム型メタバースの代表的なサービスとして挙げられる、フォートナイトが約5億人、ロブロックスが約2億人と圧倒的なユーザー数を誇ります。
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⑤仮想世界に対する人々の意識の変化
5つ目の理由は、仮想世界に対する人々の意識の変化です。かつては、仮想世界に時間を費やすのはおかしなことで、一部の変わった人がするものだという風潮がありました。
ところが、コロナのロックダウンで自宅に閉じ込められた結果、多くの人がフォートナイトやロブロックスなどの仮想世界のゲームに参加し、大いに楽しむようになりました。
ゲームだけでなく、バーチャルなイベントに参加したり、離れた場所にいる人と会話したりするためにメタバースを利用する人も増えたことで、仮想世界に対する人々の見方が変わり、かつてあったような偏見があまり見られなくなったと考えられます。
⑥メタバース市場の成長性の高さ
6つ目の理由は、メタバース市場の成長性の高さです。メタバース市場は国内・海外ともに今後大きな成長を見せると考えられています。
世界のメタバースの市場規模は2020年時点で約68兆円、2024年には約111兆円。日本国内のメタバースの市場規模は2021年度時点で約744億円、その後年率170%で成長し、2026年度には約1兆円にまで成長すると予想されています。
メタバースがもたらす3つのビジネスチャンス
企業がメタバースを活用する代表的なビジネスチャンスとして以下の3つが挙げられます。
- ①新規事業の創出
- ②マーケティング・ブランディングの強化
- ③企業の社内業務の効率化
それぞれのビジネスチャンスについて分かりやすく解説していきます。
①新規事業の創出
1つ目のビジネスチャンスは、メタバースサービスやイベントなどの新規事業の創出です。
メタバースを活用し新たなサービスを構築することで、ユーザーに対し現実に存在するもの/しないものを含め、仮想空間上に3Dの世界を構築することができるというメタバースならではの特徴を活かし、ユニークな体験を提供するサービスを提供することができます。
また、メタバース上でアーティストや企業を集めたイベントをすることで、入場券やデジタルコンテンツの販売など収益性の高い新たなビジネスを展開できることが挙げられます。
②マーケティング・ブランディングの強化
2つ目のビジネスチャンスは、メタバースを活用したマーケティング・ブランディングの強化です。
メタバースが人々の生活に普及するにつれ、オフラインからオンラインへ、WebからSNSへと起こってきたのと同様の顧客接点のシフトが、メタバースでも起こると考えられます。
メタバースをマーケティング・ブランディングに活用することで、従来はオンラインでの実施が難しかった商品・サービスの販促やメタバースならではの体験を通じた強力なブランディングを行うことができます。メタバースは従来のWebページや動画と比べ伝えられる情報がリッチかつインタラクティブな体験を提供可能なため、ユーザーを惹きつけやすく幅広い業種での活用が進んでいます。
③企業の社内業務の効率化
3つ目のビジネスチャンスは、企業の社内業務の効率化です。
メタバース・デジタルツインを社内業務の効率化に活用することで、バリューチェーン全体や工程全体の最適化や社員の作業のサポート、研修の効率化をすることができます。
メタバース上で現状存在しない施設や設備を設計し、シミュレーションを行うことで、最適な製造ラインや運用方法を特定したり、メタバースの特徴である3Dでの情報の表示により、AR/MRグラスで現場の作業員の作業をサポートしたり、VRグラスにより様々なシチュエーションを想定した研修を行ったりと多岐にわたる活用方法が存在します。
【プロ厳選】注目すべきメタバースのビジネス活用事例10選
注目すべきメタバースのビジネス活用の事例として以下の10事例が挙げられます。
- 新規事業の創出:①KDDI、②バンダイナムコ、③サンリオ
- マーケティングの強化:④GUCCI、⑤三越伊勢丹、⑥日産自動車、⑦ZOZO
- 企業の社内業務の効率化:⑧ウォルマート、⑨DHL、⑩川崎重工
それぞれの事例について分かりやすく紹介していきます。
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新規事業の創出:①KDDI、②バンダイナムコ、③サンリオ
①KDDI:ライブ配信、バーチャルショッピングなどができるメタバースを提供
KDDIはライブ配信、バーチャルショッピングなどを行うことができるメタバース「αU」を提供しています。KDDIはこれを「現実と仮想を軽やかに行き来する新しい世代に寄り添い、誰もがクリエイターになりうる世界に向けたメタバース・Web3サービス」と位置付け、メタバースは「体験する場所」から「発信する場所」へと進化していきます。
αUではライブ配信やバーチャルショッピングを楽しめることに加えて、アバターやマイルームの制作、マイルームの家具の販売など、ユーザーがクリエイターになる体験が可能です。
さらにクリエイター支援の取り組みとして、国内外のパートナーと連携し、日本のクリエイターやコンテンツのグローバル展開をサポートします。
KDDIはこの新サービスに1000億円投入しメタバース関連のコンテンツを拡大していく予定です。
※関連記事:KDDIのメタバース「αU」とは?できることや特徴を徹底解説
②バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるメタバースを構築へ
バンダイナムコグループは、2022年4月から掲げる中期ビジョン「Connect with Fans」の重点戦略の1つとして、IPでファンとつながる「IPメタバース」を設定しました。
これは、メタバースを介して、バンダイナムコグループとファンのコミュニティを作る仕組みで、その第1弾がガンダムメタバースです。先日のガンダムカンファレンスで流れたイメージ映像では、メタバース上に世界中のガンダムファンが集い、語り合ったり、ライブイベントに参加したりする様子が描かれていました。
今後はバンダイナムコグループ以外の企業によるガンダムビジネスへの参入促進やガンダムファンがガンダムを活用したビジネスができる場の提供を目指して事業展開を行っていく予定とのことです。
③サンリオバーチャルフェス:50組以上のアーティストが参加の有料ライブイベント
サンリオは、メタバース上に、50組以上のリアル/バーチャルの有名アーティストを集めた、有料のライブイベント「サンリオバーチャルフェス」を開催しました。
参加者は、メタバース上で有名アーティストのライブパフォーマンスを楽しんだり、参加者同士でコミュニケーションを取ったり、リアル・バーチャルの限定グッズを購入することができたりします。
バーチャルのライブイベントでありながら、有料チケットの価格は5,000円〜10,000円超えのものも存在するなど、リアルのライブイベントと同様の価格であることも注目を集めました。
同イベントが多くのユーザーを集めた理由として、ユーザーが求めるものを実現するために、企業や団体の垣根を超えたコラボレーションを実現させた点が挙げられます。参加するアーティストは、AKB48などのリアルの有名アーティストから、Vtuber、VRChat上で活動するバーチャルアーティストまで、幅広いジャンル・所属企業のアーティストが一堂に会することで、大きな話題を呼びました。
このように、ユーザーを特定の企業やプラットフォームに囲い込もうとするWeb2.0的な発想とは違った取り組みが、今後のメタバースイベントの盛り上がりに繋がっていくと予想されます。
マーケティングの強化:④GUCCI、⑤三越伊勢丹、⑥日産自動車、⑦ZOZO
④GUCCI:Roblox上に自社独自のメタバース空間を構築
GUCCIは、ゲーム版YouTubeとも呼ばれる大人気ゲーム型メタバース「Roblox」上に、常設エリアである「GUCCI Town」をオープンしました。
Robloxとは、他ユーザーが作成した様々なゲームをプレイしたり、ユーザー自身もゲームを作成することのできる、ゲームプラットフォームです。利用されるゲームの全てがユーザー自身によって作成されていることから、「ゲーム版のYoutube」とも評されています。
「GUCCI Town」にはグッチのアイテムに関連するゲームを楽しめる競技場、アート制作を楽しめるアトリエ、ヴィンテージから新作アイテムを見ることのできる展示スペースなどが存在し、メタバースの世界でグッチに纏わる様々なブランドをすることができます。
2021年5月にも、GUCCIはRobloxに2週間限定のエリアをオープンし、約2000万来場者を記録するという成果を挙げていることから、今回常設エリアのオープンに踏み切ったと考えられます。
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⑤三越伊勢丹:独自のメタバース空間を構築し新たなEC体験の提供へ
三越伊勢丹は、自社の百貨店の店舗を再現したメタバース「Rev worlds」をスマホ向けアプリをリリースしています。同社はこのアプリを通じて、”バーチャルな伊勢丹の店舗”で”リアルな買い物”体験を提供しています。ユーザーはアバターの姿で商品を見て回ることができ、その商品を実際にECで購入することが可能です。
店員のアバターも配置され、チャット機能を使った接客も受けられます。現在は婦人服や食品など310ブランドを扱っていますが、今後は家具や日用品にも対象を広げる方針です。友人のアバターと一緒に会話しながら買い物できるようにするなど機能も強化する予定です。
他社がメタバース上で開催されるイベントへの出展が中心のなか、三越伊勢丹は既に独自のメタバース空間を構築・提供しており、マーケティングへのメタバース活用をリードする存在といえます。
⑥日産自動車:VR chat上で新車発表・試乗会を開催
日産自動車はメタバース上で、新型軽電気自動車「日産サクラ」の発表・試乗会を開催しました。イベントは世界最大のVR SNSプラットフォーム「VRChat」で開催されました。
発表会は日産副社長のアバターが登場し、ボイスレターが再生されるという形で進行。また、試乗会では日本の四季を感じられるドライブコースでバーチャルなサクラを運転することができました。VR上での試乗は通常の試乗とは違い、書類での手続きなどが不要で、いつでもどこからでも体験可能な点が強みです。
今回の取り組みにより、販売スタッフのアバター操作経験不足や、リアルな商品を仮想空間上でプロモーションする難しさなどが明らかになったとのことです。このような試験的な取り組みを重ねるなかで、将来的に製品のプロモーションチャネルとしてVRイベントが本格的に活用できるユースケースが確立されていくことが期待されます。
⑦ZOZOCOSME:ARメイクで自分の顔で化粧品を試せる
ZOZOTOWNはZOZOTOWN上のコスメ専門モール「ZOZOCOSME」でバーチャルにメイクアップアイテムを試せる新機能「ARメイク」を提供しています。
ZOZOTOWNの「ARメイク」機能は、商品詳細ページからワンタップで起動し、簡単な操作で顔にメイクを施すシミュレーションを行うことができます。
「ARメイク」機能では、メイクの濃淡を調整したり、メイクのオンオフを切り替えることができ、実際にコスメアイテムを使用した際の色や質感を容易に想像することができます。また、「ARメイク」画面下部の「カートに入れる」ボタンから直接商品の購入に進むことができます。
企業の社内業務の効率化:⑧ウォルマート、⑨DHL、⑩川崎重工
⑧ウォルマート:メタバース上で混雑等の状況を再現した研修
世界的なスーパーマーケットチェーンであるウォルマートは、接客のトレーニングにVRを導入しています。従業員にHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着させ、ブラックフライデーなどの販売イベント時に大勢のお客様に対応するための研修を行っています。従来の研修とは異なり、現実には再現が困難な状況を実際に体験しているかのような、リアリティの高い研修を行うことができます。
この研修を行うため、ウォルマートは1万7000台のOculas Questを約4700店舗に準備するなど大規模な投資を行っており、VRを活用した研修に本腰を入れています。
⑨DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化
ドイツの大手物流企業のDHL社は、グーグルのスマートグラス「Glass Enterprise Edition 2」を導入し、倉庫での配送業務にARを活用しています。従業員はピッキング作業の現場でグラスを着用することで、製品・商品の保管場所やカート配置場所といった必要な情報を確認することが可能です。
ハンズフリーで即座に必要な情報にアクセスできるため、作業の精度と効率の向上に繋がります。また、多くのスマートグラスにはマイク機能が搭載されており、遠隔かつハンズフリーで会話による連携を取ることも可能です。
⑩川崎重工:工場を丸ごとメタバース化する計画を発表
川崎重工はマイクロソフト社のカンファレンス「Build2022」にて、工場を丸ごとメタバース化する「インダストリアルメタバース」の構築に取り組むことを発表しました。この取り組みにより、工場における全工程をバーチャル空間上でシミュレーションできるデジタルツインの構築を目指すとのことです。
同社は、マイクロソフトのクラウド/IoT管理ソリューション「Azure IoT」、エッジAIソリューション「Azure Percept」、MRデバイス「HoloLens 2」を採用し、生産ラインや製造現場の管理に取り組んでいます。
これにより、ロボットの障害発生時の迅速な対応や、トラブルを未然に防ぐ予知保全が可能になります。また、リアルタイムかつ遠隔で専門家からのアドバイス、支援を受けることができるようになりました。
企業がメタバースを活用する10のデメリット・リスク
企業がメタバース活用を進める上でのデメリット・リスクとして以下の10点が挙げられます。
- ①ユーザーへの心理的な悪影響
- ②ユーザーへの身体的な悪影響
- ③個人情報や企業の機密情報の流出
- ④デジタルアセットの盗難やウォレットのハッキング
- ⑤メタバース空間の改ざん・ハッキング
- ⑥匿名性を悪用した詐欺などの犯罪
- ⑦ユーザーへの普及
- ⑧企業の収益向上への寄与
- ⑨法整備の進展
- ⑩技術の発展
それぞれのデメリット・リスクについて、分かりやすく解説していきます。
ユーザーの保護に関する2つのデメリット・リスク
①ユーザーへの心理的な悪影響
1つ目はユーザーへの心理的な悪影響です。メタバースはスマホやPCと比べ、コンテンツへの非常に没入感が強く、中毒性が高いのではないかと考えられています。
また、若年層のユーザーはアイデンティティが確立されている段階であり、メタバース上で自由自在に設定できるアバターの人格で長時間に渡り活動を続けた結果、現実世界での自分のアイデンティティとのギャップに悩まされ精神的ストレスを抱えるというリスクも懸念されています。
②ユーザーへの身体的な悪影響
2つ目はユーザーへの身体的な悪影響です。HMDなどのデバイスを装着してメタバースにアクセスする際に、乗り物酔いや転倒などの事故のリスクが存在します。
また、メタバース内で様々な活動を行うようになると、人々の運動量が減少し生活習慣病などのリスクが増大するという可能性が考えられます。
企業の直接的な損失に関する4つのデメリット・リスク
③個人情報や企業の機密情報の流出
3つ目が個人情報や企業の機密情報の流出です。悪意のあるハッカーがメタバース空間のセキュリティの脆弱性を狙い、メタバースに関する個人や企業の情報をハッキングするリスクが考えられます。
メタバース空間での活動データは従来のWeb上での活動データよりもリッチなものになる可能性があり、それらのデータが流出することは個人にとっても、企業にとっても大きな損害をもたらすと考えられます。
④デジタルアセットの盗難やウォレットのハッキング
4つ目がデジタルアセットの盗難やウォレットのハッキングです。メタバース上で利用されるアバターやファッションアイテムや土地などのデジタルアセットは、今後多くのケースでNFTを活用して取引が行われると考えられています。
一方で、そのやりとりを行う暗号資産、デジタルアセットのウォレットがハッキングされるリスクが存在します。2018年に暗号資産取引所であるCoinCheckがハッキングされ、約580億円相当の仮想通貨が流出するという事件が代表的です。
⑤メタバース空間の改ざん・ハッキング
5つ目がメタバース空間の改ざん・ハッキングです。悪意のあるハッカーがメタバース空間のセキュリティの脆弱性を狙い、メタバース空間を改ざん・ハッキングしてしまうというリスクが考えられます。
メタバースが人々の生活により普及し、様々な活動が行われる要になっていればいるほど、企業やユーザーは大きなダメージを受けることとなります。
⑥匿名性を悪用した詐欺などの犯罪
6つ目が匿名性を悪用した詐欺などの犯罪です。メタバースの特徴として、見た目や名前など全てのプロフィールを自由に設定でき、現実世界と異なる人格で様々な活動を楽しめるという点があります。
一方で、悪意のあるユーザーがその特徴を活かし、匿名のアバターの姿で詐欺などの犯罪行為を犯すというリスクが考えられます。
メタバース市場全体が抱える4つのリスク
⑦ユーザーへの普及
7つ目はメタバースがどの程度ユーザーに普及するか?という点です。現在はマルチプレーヤー型オンラインゲームやVRゲームの流行に牽引され、利用者を増やしつつあるという状況です。
一方で、本格的にマス層まで普及していくためにはいくつかの障壁が存在します。例えば、より多くの人が「メタバースを利用したい!」と思えるようなユースケースの確立やヒットコンテンツの登場、メタバースを利用するためのデバイスの低価格化や軽量化などが挙げられます。
⑧企業の収益向上への寄与
8つ目は企業がメタバースを活用することがどの程度収益に繋がるのか?という点です。現在、国内外の幅広い業界の企業がメタバース活用に取り組んでいます。
一方で、各社はまだメタバースを投資フェーズの市場として捉え、大きく収益化を果たしている企業は少ないのが現状です。今後、メタバース市場が本格的に成長した際に、自社が新たなビジネスモデルの構築や収益化に繋げられるかで明暗が分かれることとなるでしょう。
⑨法整備の進展
9つ目はメタバースに関連する法律整備がどの程度早く進むのか?という点です。現在、日本政府はWeb3/メタバースを日本の成長産業の1つとして掲げ、Web3.0制作推進室を設置するなど、産業の発展に積極的な動きを見せています。
一方で、メタバース関連の法律はいまだ整備がなされておらず、企業・個人間でのトラブルに繋がるリスクが存在します。例えば、メタバース上でのデジタルアセット等の所有権や嫌がらせ・誹謗中傷への対処、写り込みの問題など、メタバース上での様々な活動への法整備が進んでいないのが現状です。
⑩技術の発展
10つ目はメタバースに関連する技術がどの程度早く発展するのか?という点です。メタバースでの体験は様々な要素技術によって構成されており、それらの技術発展は大きくメタバースでの体験価値を高めるものとメタバースにアクセスする負担を減らすものの2つに分けられます。
メタバースでの体験価値を高めるものに関しては、3Dモデリングやユーザーの動作のトラッキング技術の進化、メタバースにアクセスする負担を減らすものに関しては、バッテリーやデバイス自体の小型化、軽量化などが挙げられます。
一方で、現状のMetaQuest2を通じたメタバースの体験でも、メタバースの世界にかなり没入した感覚を得られるレベルまで来ているため、今後より要素技術が発展していくことで、メタバースがより人々の生活に普及していくと考えられます
企業がメタバース活用で成果を上げるための5つのポイント
企業がメタバース活用で成果を上げるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。
- ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
- ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
- ③ユーザーファーストなUX設計
- ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
- ⑤強力な開発・運用体制の構築
それぞれについて分かりやすく紹介していきます。
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①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。
デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。
メタバース活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。
②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案
2つ目のポイントは、メタバースを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。
現在メタバース活用に取り組む企業には、メタバース活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。
その結果、活用のPDCAが回らない、メタバース活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。
自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜメタバースではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。
③ユーザーファーストな企画・UX設計
3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなメタバースの企画・UX設計です。
現在、多くの企業がメタバースに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなメタバースが多く存在します。それらのメタバースは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。
そのため、「メタバースならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。
④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。
メタバース市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。
そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。
⑤強力な開発・運用体制の構築
5つ目のポイントは、強力なメタバース開発・運用体制の構築です。
高いユーザー体験と事業性を両立するメタバースの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。
メタバース開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。
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メタバースの知見が不足しており、メタバース活用の企画や開発に課題を抱えていませんか?
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強力なパートナーシップによる最適なアプローチ設計
各領域の業界を代表するソリューション提供企業とのパートナーシップを構築。案件毎に中立的な立場から、費用対効果の高いアプローチを設計します。
経験豊富なクリエイター・エンジニア・コンサルタントによる並走支援
業界トップクラスの経験/スキルを有するクリエイター・エンジニア・コンサルタントから、最適なメンバーをアサイン。戦略立案から実行まで並走し、社内のリソース不足を解決します。
「課題や依頼内容が明確になっていない」、「社内で合意が取れていない」場合でも問題ございません。メタバース総研へのお問い合わせをお待ちしております。
メタバース/XR活用の個別無料相談会実施中
メタバース総研では、メタバース/XR活用の個別無料相談会を実施しています。
各社様のメタバース/XR活用に関する課題解決に向け、最新の市場動向や具体的な活用アイデアなどを、個別のオンラインMTGにて、無料でご紹介させていただきます。
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