VRの観光業界での活用事例16選|3大メリットや費用も紹介
関連技術の進歩やMetaやAppleのデバイス発売などに伴い、多くの企業がVRの活用を進めています。
最近では、コロナによるリモート化の普及を背景にVR観光が人気を集めており、ANAやHISなどの大手企業も取り組みを開始しています。
そこで今回は、観光へのVRの活用事例16選を、メリットや費用相場、成功のポイントなどとともにわかりやすくご紹介します。
本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。
- 観光へのVR活用を検討している
- 他社による観光へのVRの活用事例を押さえておきたい
- VR活用を成功させるポイントを押さえておきたい
本記事を読めば、観光へのVR活用を進める上で押さえておきたい知識を、一気にキャッチアップできる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。
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目次
- そもそもVRとは?
- VRを観光業界のビジネスに活用する3つのメリット
- 観光へのVRの活用事例16選
- 企業や自治体による活用事例
- ①志摩スペイン村:VRゲーム Roblox上にリゾート施設を再現
- ②あしびかんぱにー:VR上に「バーチャルOKINAWA」をオープン
- ③国土交通省:VRを活用したバスツアーを開催
- ④大日本印刷:「バーチャル秋葉原」をオープン
- ⑤手塚プロダクション×鳥取:地域還元型のVR×NFTゲーム
- ⑥バーチャル大阪:VR上で大阪の魅力を発信
- ⑦島根縁結び商店街:メタバース商店街で地元の特産品を販売
- ⑧岡山メタバース博:岡山の魅力の発信にVRを活用
- ⑨Palan×金沢:観光しながら楽しめるバーチャルショッピング
- ⑩吉本興行×養父市:かつての日本一の鉱山をVR上に再現
- ⑪SBINFT×白浜町:VR×アートで地方創生へ
- ⑫Google:GoogleストリートビューにVR機能を追加
- ホテル・旅行会社による活用事例
- 観光へのVR活用を成功させるための5つのポイント
- 【項目別】VR活用にかかる費用相場
- おススメのVR活用支援会社3選
- 費用対効果・実現性が高いメタバース活用方法
そもそもVRとは?
VRとはVirtual Realityの略称で、別名仮想現実とも呼ばれます。最先端の3DモデリングやVRデバイス、ゴーグル等の技術により、まるでその世界に入り込んでいるかのように感じられる、デジタル上の仮想空間を提供する技術のことを指します。
日本バーチャルリアリティ学会ではVRを「みかけや形は原物そのものではないが、本質的あるいは効果としては現実であり原物であること」と定義しています。すなわち、VRは、現実世界そのものではないが、実質は現実世界とほとんど変わらないという意味です。
VRの定義についてはこの他にも色々な考え方がありますが、いずれにしても、本質的には現実とほとんど変わらないというところがポイントになります。
様々なユースケースの中でも特にゲームの使用を中心に利用が拡大しており、まるでゲームの世界に入り込んだかのような没入感・臨場感を感じながらプレイすることが出来ます。
また、最近ではゲームだけでなく、仮想現実に出店し商品を販売したり、仮想空間上で社員研修や教育を行ったり、建築のシミュレーションを行ったりするなど、様々な分野でVRが活用されています。
VRを観光業界のビジネスに活用する3つのメリット
VRを観光業界のビジネスに活用するメリットとして以下の3つが挙げられます。
- ①マーケティングに活用し、リアルでの観光客を獲得
- ②コロナで落ち込む観光業界の新たな収益源に
- ③文化的資産の継承
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
①マーケティングに活用し、リアルでの観光客を獲得
VR空間上に観光客を呼び込むメリットは新たな収益機会の獲得に留まりません。一度VRを訪れることで、その観光地の魅力を知った方が、その後実際にその観光地を訪れるきっかけに繋がることが期待されます。
実際に凸版印刷とMONETが行った、移動中の社内でのVR事前体験を行う実証実験の結果、行く予定が無かった観光地のVR空間を訪れた多くの人が、その観光地に興味を持ったり、実際に訪れることになるという成果が得られています。
コロナで落ち込んだ観光需要の再燃の起爆剤として、VRのマーケティングチャネルとしての活用がますます注目を集めることとなるでしょう。
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②コロナで落ち込む観光業界の新たな収益源に
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で外国人観光客はもちろん、日本人観光客も大きく落ち込み、史上まれにみる低迷を見せる観光業界ですが、VRを活用した観光ビジネスに取り組むことで、新たな収益獲得の機会とすることができます。
③文化的資産の継承
VR上に文化的価値のある建造物や歴史的な物品を再現することで、半永久的に文化的資産を守り継ぐことができます。また、博物館等で保管する場合と比べ、より多くの人にいつでもどこからでもアクセスしてもらえることから、より資産を継承する意義が大きいといえます。
観光へのVRの活用事例16選
観光へのVRの活用事例16選は以下の通りです。
<企業や自治体による活用事例>
- ①志摩スペイン村:VRゲーム Roblox上にリゾート施設を再現
- ②あしびかんぱにー:VR上に「バーチャルOKINAWA」をオープン
- ③国土交通省:VRを活用したバスツアーを開催
- ④大日本印刷:「バーチャル秋葉原」をオープン
- ⑤手塚プロダクション×鳥取:地域還元型のVR×NFTゲーム
- ⑥バーチャル大阪:VR上で大阪の魅力を発信
- ⑦島根縁結び商店街:メタバース商店街で地元の特産品を販売
- ⑧岡山メタバース博:岡山の魅力の発信にVRを活用
- ⑨Palan×金沢:観光しながら楽しめるバーチャルショッピング
- ⑩吉本興行×養父市:かつての日本一の鉱山をVR上に再現
- ⑪SBINFT×白浜町:VR×アートで地方創生へ
- ⑫Google Earth VR:ストリートビューにVR機能を追加
<ホテル・旅行会社による活用事例>
- ⑬ANA:バーチャル旅行プラットフォーム設立を目指す
- ⑭HIS:旅行の疑似体験ができるVRゴーグルを各店舗に導入
- ⑮Marriott :デジテルツインを活用したバーチャルホテル
- ⑯Millennium :VR上でホテルを運営
それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。
企業や自治体による活用事例
①志摩スペイン村:VRゲーム Roblox上にリゾート施設を再現
三重県志摩市のリゾート施設である志摩スペイン村は、大人気VRプラットフォームのRoblox上で志摩スペイン村を再現したエリアをオープンすることを発表しました。
ユーザーは志摩スペイン村の広場や街並みを楽しんだり、スペインの奇祭「牛追い祭り」「トマト祭り」をモチーフにした生き残りゲームを楽しむことができる予定です。
志摩スペイン村は、魅力的なアトラクションやフードがあるのに対し、立地の悪さから気軽にアクセスしにくいという課題を抱えており、若者や遠隔地在住の人に志摩スペイン村の魅力を知ってもらうことを目的とし、今回の取り組みを進めているとのことです。
②あしびかんぱにー:VR上に「バーチャルOKINAWA」をオープン
沖縄発のエンタメ企業であるあしびかんぱにーが、VR上で沖縄の観光名所を楽しむことのできる「バーチャルOKINAWA」をリリースしました。バーチャルOKINAWAでは、VR上で再現された国際通り商店街やビーチなど、沖縄のさまざまな観光名所を巡ることができます。
例えば、恩納湾の贅沢なビーチから、沖縄の名所であるひめゆりの塔まで、美しい風景を日本全国で楽しむことができます。
2022年4月には、バーチャルOKINAWAで提供される沖縄商品のショッピングを楽しめる場所として人気を博している「国際通り商店街公式オンラインショップ」がリニューアルオープンしました。ストアサイトでは、実際に国際通りで販売されている500点以上の商品を取り扱っており、今後さらに多くの店舗がオープン予定です。
また、すでに公開している「国際通りエリア」「ビーチエリア」に続き、新たに「首里城エリア」として、守礼門から首里城正殿までの首里城公園を忠実に再現しています。見て楽しむだけでなく、エリア内のガイドと会話しながら、首里城の歴史や雑学を学ぶことができます。
このバーチャルOKINAWAには、アバターを使って世界中の人々と交流できるソーシャルプラットフォーム「VRChat」を、VRデバイスなどにダウンロードすることで利用可能なほか、簡易版をスマホやPCから利用することも可能です。
③国土交通省:VRを活用したバスツアーを開催
2021年12月〜2022年1月にかけて、国土交通省などが進めるまちづくりのDXプロジェクトである「Project Plateau」の一環として横浜みなとみらい周辺で「VRを活用したバスツアー」が開催されました。
この取り組みはXR技術を活用した新しい観光体験型アトラクションの実現を目指すもので、横浜のみなとみらい地区の3D都市モデルを活用しています。観光バスツアーでは、交通状況に応じたスケジューリング技術や予測技術、3D都市モデルをもとに横浜のVRを構築するプランニング技術などを活用します。また、現実の物体の前後関係を反映させるオクルージョン技術により、横浜のVRを形成することで、没入感を高めています。
取組の結果としては、予約率は9割近く、約380人が参加し、XR観光コンテンツへの関心の高さと集客力の高さを明確に示しました。今回の実証実験では、高精度な3次元点群地図データと3D都市モデルデータを連携させることで、XR映像の未来都市や海底都市世界などの仮想空間データとして利用できることが確認されました。また、体験の質を高めるために、元の3D都市モデルデータよりも細かい粒度でモデルを作成し、世界観に合わせたテクスチャなどの効果を加えることで、映像制作コストの低減と没入感の向上を実現しました。
④大日本印刷:「バーチャル秋葉原」をオープン
大日本印刷とAKIBA観光協議会は、現実世界と仮想世界を融合させた地域共創型XR街づくりプロジェクトとして、2022年4月に「バーチャル秋葉原」をオープンしました。生活者は、PC用アプリケーションやVRゴーグル、Webブラウザなどを通じて、世界のどこからでもいつでも秋葉原の魅力を楽しむことができます。仮想空間には、ショッピングができる店舗やギャラリースペース、広告看板などが設置されており、コンテンツホルダーをはじめとする様々な企業が、情報発信や販促活動を行う「第3のチャネル」として利用することができます。
秋葉原の特徴である商標の看板等も地元企業の協力のもと、バーチャルリアリティ上で再現します。一部のバーチャル店舗の中には、商品などを展示するスペースがあり、ECサイトへ誘導して購入に繋げることができます。
バーチャル秋葉原は、ユーザーの分身であるアバターが集まり、動画視聴や商品購入、バーチャルゲームへの参加などを同時に行うことができる空間です。現実の特性を踏まえ、企業はコンテンツを提供・実施するだけでバーチャル秋葉原の世界に参加できます。
また、クリエイターが同一IPの二次創作を行い、スペース内で展示・販売できるよう、新たなビジネススキームを準備しています。コンテンツはNFTで管理し、クリエイティブビジネスの健全な循環を実現するとのことです。
⑤手塚プロダクション×鳥取:地域還元型のVR×NFTゲーム
鉄腕アトムなど世界的マンガ・アニメコンテンツ制作を行う手塚プロダクションや旅行事業を行うJTBの設立したJ&J事業創造らが、日本各地にちなんだNFTを使用したVRゲームを開発しました。
このプロジェクトは、コロナ禍で大きなダメージを受けた地域経済および国内観光マーケットの回復と支援を目的としています。
ユーザーは、日本各地の魅力や文化の詰まったNFTを資産として所持し、それを使用して遊んだり、カード同士を合成することで新たなカードを生成したり、カードの売買によって収益をあげたりすることができます。
その第一弾として、県を掲げ宇宙産業の飛躍に向けた取り組みを進める鳥取県とのタイアップが決定しました。
このNFTの販売を通じて得られた売上の一部は、各地域産業に寄付されるという新たな復興支援の形を目指しています。
⑥バーチャル大阪:VR上で大阪の魅力を発信
バーチャル大阪は、大阪府と大阪市がKDDIと共同で展開する都市連動型メタバースです。2025年開催の大阪・関西万博に先駆けて、道頓堀など大阪市内をモチーフにした「新市街」エリアが登場し、大阪の都市の魅力を国内外に発信しています。公式サイトからVRサービス「Cluster」をインストールして無料アカウントを登録するだけでバーチャル大阪に入ることができます。
自宅や外出先から多様なデバイスを使用してバーチャル大阪に参加することで、リアルタイムで世界中の人とコミュニケーションを取りながら、バーチャル音楽ライブ等のエンタメコンテンツやアバターを介したユーザー自らの創作活動など、様々な楽しみ方を体験することができます。今後は、バーチャル商店街で買い物すると実際に商品が届いたり、イベント会場で音楽ライブが開催されたりさらなる発展に期待が集まります。
道頓堀や大阪城など大阪市内のランドマークが集結していたり、太陽の塔をモチーフにしたアバター衣装を着たりすることができ、大阪の魅力を感じることのできるデジタルコンテンツとなっています。
⑦島根縁結び商店街:メタバース商店街で地元の特産品を販売
松江商工会議所、出雲商工会議所、一般社団法人島根城下町食文化研究会はメタバースで買い物を楽しめる「しまね縁結び商店街」をオープンしました。商店街には、地元の特産品や商材を販売する店舗が並んでおり、24時間自由に来場・買い物が可能です。
商店街がある仮想空間「GAIA TOWN」に参加するには、ガイアタウンのアプリをパソコンにインストールし、自身のキャラクターとなるアバターを作り入場することで、手元のパソコンから誰でも気軽に商談やショッピングができます。商店街への訪問アバター数は、開設1週間で1500超。メタバースに構築した日本初の商業交流空間を提供しています。
今後は、仮想空間の商店街は展示商談を行う場としてだけでなく、商店街として機能させることにも挑戦する予定。常に来訪アバターが集う商流・交流の場の創造と、行政サービス、観光、暮らし相談など実際の商店街が持つ多様な機能を仮想空間上でも発揮できるようにします。地方特有の物産や商材を世界に発信できるメタバースを活用した取り組みは今後もさらに発展していくことが予想され、本サービスはその先駆けとして注目を集めています。
⑧岡山メタバース博:岡山の魅力の発信にVRを活用
岡山メタバース博は岡山県に点在する産業や観光、文化、食などの地域資源をメタバース上に結集し、岡山の魅力を再認識することのできるイベントです。PRブースにて岡山の産業や観光名所の魅力を発信したり、岡山県内で活躍する「ヒト」のPRツールとして活用されています。
「Spatial」というプラットフォームを通じて無料でアバターを作成し、空間を楽しむことができます。アバターは5分ほどの短い時間で作成可能です。岡山メタバース博の開催中には、300名以上の来場者があり、多くの人が岡山の魅力を再発見しています。
今後は、行政とのタイアップ空間を活用した行政PRイベントの開催も予定しています。
以上のようなイベントを通じて、地域資源を活用し、地方がより輝く可能性を引き出すことが期待されています。
⑨Palan×金沢:観光しながら楽しめるバーチャルショッピング
Palanは、金沢の特産品店である「MIHON-ICHI KANAZAWA」のバーチャルショップをVR上にオープンし、XRを活用した新たな買い物体験に関する実証を開始しました。
VR上での店舗を訪れることで、職人こだわりの金沢の特産品の買い物を楽しむことが出来ます。また、ブースにはひがし茶屋街や兼六園など、春夏秋冬の金沢の観光地が再現されており、ウェブVR空間で、観光気分を味わうことができます。
加えて、気になった商品をARで試し置きすることができ、自宅にいながら商品の色や質感、サイズを確認することができます。
こちらのVRショップは、ウェブがベースとなっているので、アプリ不要で、ワンストップで購入することができる手軽さも、特徴となっています。
⑩吉本興行×養父市:かつての日本一の鉱山をVR上に再現
吉本興業は人口約2万人、兵庫県北部に位置する養父市の観光名所を再現したVRをリリースしました。
ユーザーは、かつて日本一のすず鉱山として栄えた明延鉱山の坑道後を観光したり、吉本興行所属のタレントコラボした採掘ゲームを楽しんだり、市役所を訪れ、デジタル住民票交付してもらったりすることができます。
バーチャル養父のオープニングイベントには、吉本興業所属のお笑い芸人である、野生爆弾くっきー!さんやとろサーモンの村田さんらが参加し、その様子は吉本の映像配信サービス「FANCY」によってライブ配信されました。
また、イベントで養父市市長がアバター姿で登場し、「VRには無限の可能性があると思います。世界中どこからでも来ていただけるので、いろんな国の方々に来てもらって、養父市の自然や観光名所を楽しみ、市民とも交流してもらいたい。そして、ゆくゆくは現実世界でも体験しに来ていただければ。バーチャルでは100万人都市を目指しています」とコメントしました。
⑪SBINFT×白浜町:VR×アートで地方創生へ
SBINFTは、白浜で開催されたストリートアートイベント「POW!WOW!JAPAN」と連動したVR「バーチャル白浜」を仮想空間であるCryptovoxels上でリリースしました。
今回のイベントでは、SBINFTが運営するNFTマーケットプレイスであるnanakusa公認アーティストである、AUORA氏、ひかげ氏のコラボ作品の販売や参加者への限定NFTの配布キャンペーンを通じて、バーチャル空間を通じた新たな地方創生に取り組んでいます。
⑫Google:GoogleストリートビューにVR機能を追加
Google Earth VRとは、Googleのバーチャル地球儀アプリ「Google Earth」のVR版です。Google Earthに備わっているストリートビュー機能にVRを組み合わせることで、世界中の都市の風景をVR映像で楽しむことができます。
専用のVRゴーグルを装着し、VR空間上に現れる地球儀から行きたい場所を選ぶことで、その場所の迫力ある360度映像を見ることができます。コントローラーを行きたい方向に向けてボタンを押すだけで簡単にどこへでも行けるため、自宅にいながらまるで世界中を飛び回っているかのような体験をすることができます。
コロナを機にリモート化の動きが加速する中、自宅で旅行を楽しめるコンテンツは今後もますます人気を高めていくと考えられます。
ホテル・旅行会社による活用事例
⑬ANA:バーチャル旅行プラットフォーム設立を目指す
ANAホールディングスは、2022年5月に新会社「ANA NEO」の設立を発表しました。同社は、インターネット上の仮想空間で様々なアトラクションを体験できる「バーチャル旅行プラットフォーム」SKY WHALEの設立・運営を担当する予定です。2022年内のサービス開始を目指しています。
ANAホールディングスでは、アバターロボット「newme」を用いた遠隔案内などの実証実験を行っていますが、ANA NEOでは、ANAグループが航空会社として培ってきた知見や「newme」が提供する各種サービスを活用し、ビジネスモデルのデジタル化を推進します。仮想空間での地域コミュニティによる経済発展や社会課題の解決を促進することで、生活者に新たな価値の創造を目指すとのことです。
同社がリリース予定のSKY WHALEは、「Skyパーク」「Skyモール」「Skyビレッジ」という3つのサービスで構成されています。
「Skyパーク」はバーチャル旅行テーマパークであり、3次元CGで描かれた世界のさまざまな都市や景勝地で、誰もが気軽に楽しめる新しい旅行体験をお客様に提供します。
「Skyモール」では、ご家族やご友人と自由にモール内を回遊し、お買い物や各種イベントを楽しむことができます。スカイモールは、ANAグループならではの品揃えを世界中のお客様のお手元にお届けする越境ECサービスで、偶然の出会いの楽しさや利便性を提供し、地域振興や地産外商の促進を図ります。
「Skyビレッジ」ではバーチャルにおけるスマートシティの実現を目指して、バーチャル上での医療・教育・行政などのサービス展開を予定しているとのことです。
⑭HIS:旅行の疑似体験ができるVRゴーグルを各店舗に導入
HISは関東地区の127の店舗にVRゴーグル「CREWL」を導入しました。来店者は、VRゴーグルを装着し、海外のホテルの様子などを360度の映像で見ることができます。来店者がVRで体感している映像は、営業担当者のPCと共有することができるため、担当者はVR映像に合わせて来店者に説明を行うこともできます。
CREWLは、VRコンテンツプラットフォームを提供するナーブ株式会社が提供するVRゴーグルです。手で持って覗くタイプのゴーグルであり、顔と機器との接触面が少ないので、来店者から衛生面を気にされるおそれが低いというメリットがあります。また、付けはずしが容易なためVR酔いになりにくく、適度な没入感を楽しめる点も特徴です。そのため、営業店舗などで多数の来店者に使用してもらうのに適したゴーグルと言えます。
実際にホテルの中にいるかのような感覚を体験させることで、来店者の旅行への意欲を掻き立てることができると考えられます。
⑮Marriott :デジテルツインを活用したバーチャルホテル
世界最大規模のホテルチェーンマリオットは、メタバースに参入しています。マドリッド マリオット オーディトリアム ホテルは、メタバースにカンファレンス センターを含むデジタルツインを導入し、ホテルやカンファレンスセンターをメタバース内に再現しています。
ゲストはホテルへの宿泊を検討する際に、PCとヘッドセットを用いて利用することができ、ヘッドセットを通して施設内を歩き回って見学することができます。マドリッドマリオットの最大のセールスポイントは、ホテルとイベント施設が 1 つの建物内にあることです。メタバースを利用することで、ホテルのレイアウトをアピールするために現地で説明することが不要となり、コスト削減が図れます。
さらに、ホテルの情報を発信するためにメタバースを活用することは、利用者にとってWebサイトよりも実際の現場を理解しやすく、集客に効果的です。
⑯Millennium :VR上でホテルを運営
MullenLoweシンガポールは、Millennium Hotels and Resortsと提携し、メタバース上にM Social Decentralandを立ち上げました。M Social Decentralandは世界各地のM Socialホテルをモデルにした、メタバースでホテルを運営する世界初のホスピタリティグループです。ゲストはこのバーチャル空間を探索し、スペースを借りたり購入したりできます。自分のアバターのスクリーンショットをソーシャルチャネルで#MSocialDecentralandと共有すると、実際のホテルに宿泊できる抽選に参加できます。また、バーチャルホテルにはゲストがパフォーマンスやプロジェクトの立ち上げなどのバーチャルイベントを開催できるロビースペースも用意されています。
Millenniumは、M Socialを通じてブランドの認知度を高め、新規ゲストを獲得するためにメタバースを活用しています。
観光へのVR活用を成功させるための5つのポイント
観光へのVR活用を成功させるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。
- ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
- ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
- ③ユーザーファーストなUX設計
- ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
- ⑤強力な開発・運用体制の構築
それぞれについて分かりやすく紹介していきます。
①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。
デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。
VR活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。
②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案
2つ目のポイントは、VRを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。
現在VR活用に取り組む企業には、VR活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。
その結果、活用のPDCAが回らない、VR活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。
自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜVRではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。
③ユーザーファーストな企画・UX設計
3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなVRの企画・UX設計です。
現在、多くの企業がVRに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなVRが多く存在します。それらのVRは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。
そのため、「VRならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。
④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。
VR市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。
そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。
⑤強力な開発・運用体制の構築
5つ目のポイントは、強力なVR開発・運用体制の構築です。
高いユーザー体験と事業性を両立するVRの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。
VR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。
【項目別】VR活用にかかる費用相場
VR活用は、企画から撮影、システム開発まで様々な項目が存在し、そのうちどの項目を依頼するかで費用が大きく変わってきます。項目ごとの費用についてわかりやすく紹介していきます。
①企画・構成費:5万円~50万円
VR活用の目的達成のため、どのようなVR動画を制作するのかの企画・構成を考えてもらう費用として5万円〜50万円ほどがかかります。この費用には、VR制作の一連のプロジェクトマネジメント費用も含まれることが多いです。
②撮影費:5万円~50万円
VRコンテンツの素材となる360°映像を撮影する費用として5万円〜50万円ほどがかかります。一般的な撮影と比較して、全方位を収める必要があるため費用が高くなる傾向にあります。また、撮影場所、撮影スタッフの人数、撮影機材のグレード等によって費用が変わります。
③編集費:5万円~40万円
撮影したVRコンテンツの素材を編集する費用として5万円〜40万円ほどかかります。複数のカメラで撮影した映像のつなぎ目(ステッチ)を違和感がないように処理する作業(ステッチワーク)に技術と時間がかかるため、一般的な動画編集と比べると費用が高くなります。
④3DCG作成費:30万円~
VRゲームやアニメーション内のキャラクターや背景や各種オブジェクトなどの3DCGを制作する費用として30万円~ほどかかります。モーションキャプチャーを使ってキャラクターを動かしたり、細部まで細かく作り込む3DCG等は費用が高くなります。
⑤音響・ナレーション費:5万円~20万円
編集済みのVRコンテンツに音響やナレーションを加える費用として5万円~20万円ほどかかります。声優を起用したり、録音スタジオや有料音源を利用する場合は費用が高くなります。一方で、Web上のフリー音源などを活用すれば、コストを抑えることができます。
⑥専用アプリ・システム開発費:30万円~200万円
専用アプリ・システムを開発する費用として30万円〜200万円ほどかかります。アプリの機能を高度なものにしたり、複数機能を追加する場合などは費用が高くなります。一方で、一般的な機能を用いたアプリであれば、コストを抑えることができます。
おススメのVR活用支援会社3選
おすすめのVR活用支援会社として、以下の3社が挙げられます。
それぞれの会社の支援内容や特徴を分かりやすく紹介していきます。
①クラスター:メタバースプラットフォームclusterを運営
クラスター株式会社は、メタバースプラットフォームclusterの運営と、同プラットフォームを活用したい企業の支援を行っています。
クラスターの強みとして以下の3点が挙げられます。
- 1.100万アプリダウンロードを超えるメタバースプラットフォームを運営
- 2.自社プラットフォームと連携した開発支援
- 3.cluster上での多数の企業の取り組み支援による知見
1.100万アプリダウンロードを超えるメタバースプラットフォームを運営
運営するclusterはアプリダウンロード数が100万を超えており、多くのユーザーを集めるメタバースプラットフォームとなっています。
そのため、メタバース活用の初心者にとって、clusterは有効な選択肢と言えます。
2.自社プラットフォームと連携した開発支援
clusterは、自社プラットフォーム上にメタバース空間を展開したい企業向けのコンサル・開発支援も行っています。
そのため、cluster上でのメタバースの企画・開発の支援におけるスムーズな連携が特徴です。
3.cluster上での多数の企業の取り組み支援による知見
clusterは、これまでに幅広い業界の企業のclusterの活用支援実績を有しています。
そのため、企業のcluster活用に関する豊富なノウハウを活かした支援が強みとなっています。
②メタバース総研:国内最大級の知見に基づき戦略/企画策定から開発・運用まで支援
メタバース総研は、企業向けのメタバース/XRのコンサルティング・開発を行っている会社です。
メタバース総研の強みとして以下の3点が挙げられます。
- 1.国内最大級のメディア運営/豊富なコンサルティング経験による戦略策定力
- 2.中立的な立場から各社に最適なツール/プラットフォームを選定可能
- 3.強力なパートナー企業/クリエイターによる総合的な支援力
1.国内最大級のメディア運営/豊富なコンサルティング経験による戦略策定力
メタバース総研は、国内最大級のビジネスに特化したメタバース/XRメディアの運営と幅広い業界の大手企業へのコンサルティング経験を通じた戦略策定力を強みとしています。
そのため支援の際は、クライアント企業様の事業の課題・活用の目的を踏まえたメタバース/XRの活用戦略/企画策定を徹底しています。このこだわりが、多くの企業が陥っている”メタバース/XR活用自体の目的化”を防ぎ、成果に繋がる活用を実現します。
2.中立的な立場から各社に最適なツール/プラットフォームを選定可能
メタバース総研は、特定のメタバース/XR開発ツールやプラットフォームを有していません。
そのため、特定の開発ツールやプラットフォームの活用ありきの支援ではなく、中立的な立場からクライアント企業様のプロジェクト毎に最適なプラットフォームやツールを選定し、支援が可能です。
3.強力なパートナー企業/クリエイターによる総合的な支援
メタバース総研は、技術領域・ユースケース毎に、業界を代表する実績/ソリューションを有する、12社の企業や38名のクリエイターとパートナーとして協働しています。
そのため、クライアント企業様の課題やご要望に合わせ、パートナー企業/クリエイターらとともに最適な各種ソリューションをご提供しています。
※メタバース総研は豊富な経験とナレッジに基づき、各社様に合わせた先進事例や具体的な活用アイデアなどの最新ナレッジをご提供させていただいております。 メタバース/XR活用でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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③ハシラス:VRコンテンツ専門の制作会社
ハシラスは、VRコンテンツ専門の制作会社です。なかでもハイエンドVRデバイスと独自のハードウェア・ソフトウェアを組み合わせたVRアトラクションの企画・制作の実績が豊富です。
ハシラスの強みとして以下の3点が挙げられます。
- ①豊富なハードウェア導入実績
- ②オリジナル体感ハードウェアの作成
- ③ハイエンドVRの豊富なノウハウ
1.豊富な導入実績・事例と圧倒的な体験ユーザー数
ハシラスは2014年からVRアトラクションの開発を行なっており、国内外問わず多数の施設にコンテンツを納入しています。多くの実績と、圧倒的な体験ユーザー数から得られるフィードバックにより、豊富な技術・知見を育んでいます。
2.オリジナル体感ハードウェアの作成
VR向けライドなどの体感ハードウェアを自主制作している点がハシラスのコンテンツ制作の特徴であり、良好な体感性やアテンド性、酔い防止などの最新の知見を盛り込んだハードウェアを継続的に開発しています。
3.ハイエンドVRの豊富なノウハウ
ハシラスはハイエンドなVR機器をフル活用した体験価値の高いコンテンツ制作を得意としています。一般的な360度動画と異なり、現実の身体とVR空間が相互作用するコンテンツを実現可能です。アニメやマンガなどのIP活用においても、原作そのままの世界観に体験者自身が入り込んで活躍できるリッチなコンテンツ制作が可能です。
費用対効果・実現性が高いメタバース活用方法
メタバースの知見が不足しており、メタバース活用の企画や開発に課題を抱えていませんか?
そのような課題はメタバース総研のコンサルティング・開発支援サービスで解決することができます。
是非メタバース総研にお問い合わせください。
豊富な経験・ナレッジを活かした戦略・企画策定
数多くの企業様に対するコンサルティングや国内最大級のビジネス特化型メタバースメディアの運営で培った豊富な知見を活用し、成果につながる戦略・企画を策定します。
強力なパートナーシップによる最適なアプローチ設計
各領域の業界を代表するソリューション提供企業とのパートナーシップを構築。案件毎に中立的な立場から、費用対効果の高いアプローチを設計します。
経験豊富なクリエイター・エンジニア・コンサルタントによる並走支援
業界トップクラスの経験/スキルを有するクリエイター・エンジニア・コンサルタントから、最適なメンバーをアサイン。戦略立案から実行まで並走し、社内のリソース不足を解決します。
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