日本企業が展開するメタバース事業10選|各社の狙いやメリットも解説

メタバース総研は国内外の最新業界動向をウォッチするなかで、これまで200記事以上のメタバース活用事例に関する記事をリリースし、多くの方からご好評を頂いております。

 

今回は、その中でも特に注目を集める日本企業が展開するメタバース事業10選を各社の狙いやメリットとともにご紹介します。

 

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

 

  • メタバースが実際にどのように活用されているのか抑えておきたい
  • 自社がメタバースを活用してどんなことができるか検討している
  • 具体的にどのように活用を進めたらいいか分からない

 

本記事を読めば、最先端の活用事例を一気にキャッチアップし、検討の参考になる事例を見つけられると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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目次

メタバースが注目を集める6つの理由

メタバースが注目を集める6つの理由

メタバースが注目を集める理由として以下の6つが挙げられます。

 

  • ①AppleやMetaなどのビックテックの本格参入・巨額投資
  • ②関連技術の大幅な進歩とデバイスの低価格化
  • ③コロナによるリモートコミュニケーションの普及
  • ④若年層を中心とするユーザー数の増加
  • ⑤仮想世界に対する人々の意識の変化
  • ⑥メタバース市場の成長性の高さ

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

①AppleやMetaなどのビックテックの本格参入・巨額投資

AppleやMetaなどのビックテックの本格参入・巨額投資
(画像:Meta)

1つ目の理由は、AppleやMetaなどのビッグテックが本格参入し、巨額の投資を行っていることです。例えば、Meta社は、2021年末にFacebookからMetaへ社名変更し、合わせて、メタバース領域に年間約1兆円規模の投資を行うことを発表しました。また、Appleは、2023年6月に、ゴーグル型XRヘッドセットデバイスであるApple Vision Proを発表するなどメタバース関連のデバイスの開発に力を注いでいます。

 

世界を代表するテック企業であるAppleやMeta社が多額の投資をしてまで、メタバースに注力していることは、メタバースには大きな可能性があるということを物語っています。

 

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②関連技術の大幅な進歩とデバイスの低価格化

関連技術の大幅な進歩とデバイスの低価格化 oculus
(画像:Meta)

2つ目の理由は、メタバース関連技術の進歩です。メタバースは様々な領域のテクノロジーによって構成されているサービスですが、特に近年のテクノロジーの発展により体験価値が大きく向上しています。

 

具体的には通信技術の向上やコンピューターの処理性能の向上、メタバース向けデバイスの登場などが挙げられ、セカンドライフが登場した2000年代前半時点と比べると、メタバース空間内での体験をよりスムーズに、より没入感のある形で楽しむことができるようになりました。

 

このようにメタバースがオワコンであるといわれる理由の一つである通信速度の遅さという技術的な制約は、大幅に改善され、今後もさらに進化していくことが期待できます。

③コロナによるリモートコミュニケーションの普及

コロナによるリモートコミュニケーションの普及 horizon workrooms
(画像:Meta)

3つ目の理由は、コロナによるリモートコミュニケーションの普及です。コロナウイルス感染拡大の影響で、人々のコミュニケーションの機会が対面からリモートに移行し、プライベートはもちろん仕事上でのコミュニケーションも、SlackなどのチャットやZOOMなどのビデオ会話によって行われるのが当たり前の時代となりました。

 

デジタルを介したコミュニケーションの需要が拡大しているのはもちろん、人々が抵抗感なくデジタルコミュニケーションを利用するようになっているというのが非常に大きなポイントといえます。

④若年層を中心とするユーザー数の増加

4つ目の理由は、若年層を中心とするユーザー数の増加です。現在メタバースは、特にオンラインゲームでの用途を中心に若年層のユーザー数が急増しています。背景として、若年層は子供の頃から日常的にスマホを利用していること、コミュニケーションの手段としてSNSではなく、オンラインゲーム上のコミュニケーション機能を利用するシーンが増えていることなどが挙げられます。

 

ゲーム型メタバースの代表的なサービスとして挙げられる、フォートナイトが約5億人、ロブロックスが約2億人と圧倒的なユーザー数を誇ります。

 

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⑤仮想世界に対する人々の意識の変化

仮想世界に対する人々の意識の変化 VRChat
(画像:VRChat

5つ目の理由は、仮想世界に対する人々の意識の変化です。かつては、仮想世界に時間を費やすのはおかしなことで、一部の変わった人がするものだという風潮がありました。

 

ところが、コロナのロックダウンで自宅に閉じ込められた結果、多くの人がフォートナイトやロブロックスなどの仮想世界のゲームに参加し、大いに楽しむようになりました。

 

ゲームだけでなく、バーチャルなイベントに参加したり、離れた場所にいる人と会話したりするためにメタバースを利用する人も増えたことで、仮想世界に対する人々の見方が変わり、かつてあったような偏見があまり見られなくなったと考えられます

⑥メタバース市場の成長性の高さ

メタバース市場の成長性の高さ

6つ目の理由は、メタバース市場の成長性の高さです。メタバース市場は国内・海外ともに今後大きな成長を見せると考えられています。

 

世界のメタバースの市場規模は2020年時点で約68兆円、2024年には約111兆円。日本国内のメタバースの市場規模は2021年度時点で約744億円、その後年率170%で成長し、2026年度には約1兆円にまで成長すると予想されています。

メタバースを活用した6つのビジネスモデル

メタバースを活用した6つのビジネスモデル

メタバースを活用したビジネスモデルとして主に以下の6つが挙げられます。

 

  • ①デジタルサービス/コンテンツ課金
  • ②プラットフォーム手数料
  • ③広告枠販売
  • ④インフラ/ツール提供
  • ⑤マーケティング・セールスへの活用
  • ⑥各種業務効率化への活用

 

それぞれのビジネスモデルについてわかりやすく解説していきます。

 

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①デジタルサービス/コンテンツ課金

デジタルサービス/コンテンツ課金 Epic Games
(画像:Epic Games)

1つ目のビジネスモデルは、デジタルサービス/コンテンツ課金です。メタバース上でのユーザーのゲームなどのサービスの利用料や利用する武器・アバターなどのデジタルコンテンツへの課金からマネタイズをするモデルで、現時点で最も多くの企業がマネタイズに成功しているモデルでもあります。

 

従来からゲームなどのサービスへの課金市場は一定の規模で存在しましたが、メタバースの普及によりデジタルコンテンツの市場がより拡大していくと考えられています。

 

その背景として、人々がメタバースを利用する時間が増えるにあたり、メタバース上でのアバターや洋服などのデジタルアセットがより高い価値を持つようになること、NFTを活用することで唯一無二の価値を持ち、取引が容易になる事などがあります。

 

このビジネスモデルの事例として、世界を代表するゲーム型メタバースであるフォートナイトや国内最大のSNS型メタバースであるClusterなどが挙げられます。

②プラットフォーム手数料

プラットフォーム手数料 Roblox
(画像:Roblox)

2つ目のビジネスモデルは、プラットフォーム手数料です。メタバースを運営するプラットフォーマーが、メタバース上での価値交換を仲介しその手数料によりマネタイズするモデルです。

 

メタバースの発展には、企業だけでなく一般ユーザーがクリエイターとしてデジタルコンテンツ制作などの様々な価値提供を行うことが必要不可欠だと考えられており、その実現にこのビジネスモデルが役割を果たします。

 

このビジネスモデルの事例として、ゲーム版Youtubeとも称されるRobloxが挙げられます。Robloxは一般ユーザーによって制作された5000万本を超えるゲームタイトルを自由に遊べ、課金もできるメタバースサービスなのですが、このユーザーからの課金の一部がゲームを制作したクリエイターに還元される仕組みとなっています。

③広告枠販売

広告枠販売 博報堂
(画像:博報堂)

3つ目のビジネスモデルは、広告枠販売です。メタバースを運営するプラットフォーマーやメタバースの一区画を所有する企業や個人が、メタバース上での広告枠を企業などに販売することでマネタイズするモデルです。

 

テレビ広告、Web広告と人々の視線を集めるメディアが広告価値を持ってきたのと同様、人々がメタバースで過ごす時間が増えるにつれて、メタバース上の建物の壁などに掲示される広告の価値も高まります。

 

このビジネスモデルの事例として、Roblox上の広告枠の販売が挙げられ、この広告枠の販売の一部は博報堂の子会社によって行われました。

④インフラ/ツール提供

インフラ/ツール提供 Unity
(画像:Unity)

4つ目のビジネスモデルは、インフラ/ツール提供です。メタバースのビジネス活用を進める企業などに対し、メタバースを構築するインフラやコンテンツを作成するツールを提供し、その利用料によってマネタイズするモデルです。

 

現在多数の企業がメタバースに参入していますが、0からメタバース空間の構築やコンテンツ制作を行うには様々なケイパビリティや多くのリソースが必要となるため、他の企業が提供するインフラやツールを活用するのが一般的です。

 

このビジネスモデルの事例として、代表的な3DゲームエンジンであるUnityやバーチャルマーケットを運営するHIKKYが提供するVketCloudなどが挙げられます。

 

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⑤マーケティング・セールスへの活用

マーケティング・セールスへの活用 ポロラルフローレン
(画像:ポロラルフローレン)

5つ目のビジネスモデルは、マーケティング・セールスへの活用です。新たな集客チャネルとしてメタバースを活用したり、セールスにメタバースを活用することで、既存の商品やサービスの販売に繋げるモデルです。

 

新たな集客チャネルとしてメタバースを活用することで、新たな顧客層との接点の構築ブランドへのロイヤリティ向上、セールスにメタバースを活用することで3Dの没入感のあるコンテンツやアバターでの接客による成約率の向上が期待されています。

⑥各種業務効率化への活用

各種業務効率化への活用 DHL
(画像:DHL)

6つ目のビジネスモデルは、各種業務効率化への活用です。製造ラインや製品のシミュレーションや遠隔地からの業務の実現、研修などのへの活用により様々な業務効率を高めるモデルです。

 

メタバースのビジネス活用というと、ユーザー向けのサービス提供がイメージされがちですが、業務効率化への活用を進める企業も多く、短期での収益向上に結びつきやすいモデルとなっています。

日本企業が展開する注目のメタバース事業10選

日本企業が展開する注目のメタバース事業10選

日本企業が展開する注目のメタバース事業として以下の10事例が挙げられます。

 

<デジタルサービス/コンテンツ課金>

  • ①バーチャルマーケット:ギネスにも認定された世界最大のメタバースイベント
  • ②サンリオバーチャルフェス:50組以上のアーティストが参加の有料ライブイベント

 

<プラットフォーム手数料>

  • ③REALITY:海外ユーザー比率8割超えの日本発メタバースの代表格
  • ④KDDI:ライブ配信、バーチャルショッピングなどができるメタバース「αU」を提供
  • ⑤Cluster:累計動員数2,000万人超の日本最大のメタバースプラットフォーム

 

<インフラ/ツール提供>

  • ⑥サイバーエージェント:メタバース上での店舗開発に特化の子会社設立

 

<マーケティング・セールスへの活用>

  • ⑦三越伊勢丹:独自のメタバース空間「REV WORLDS」を構築し新たなEC体験の提供へ
  • ⑧バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるガンダムメタバースを構築へ
  • ⑨大和ハウス:メタバース上の住宅展示場を自由に見学

 

<各種業務効率化への活用>

  • ⑩トヨタ自動車:スマートシティ「WovenCity」を開発中

 

それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。

 

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デジタルサービス/コンテンツ課金

①バーチャルマーケット:ギネスにも認定された世界最大のメタバースイベント

バーチャルマーケット:ギネスにも認定された世界最大のメタバースイベント
(画像:HIKKY)

1つ目の事例として、メタバース上のイベントであるバーチャルマーケットが挙げられます。

参加者はメタバース上の企業やクリエイターが出店しているブースにて、アバターなどの3Dデータ商品やリアルの商品(食品、PC、洋服など)を購入することができます。

 

2021年に開催された6回目のバーチャルマーケットでは、73社の出展企業と100万人を超える来場者数を記録し、世界最大のメタバースイベントとして、ギネス世界記録にも認定されました。

 

73社の出展企業 バーチャルマーケット
(画像:HIKKY)

バーチャルマーケットが国内外から多くの参加者を集める理由として、多数の企業により提供される充実したコンテンツが挙げられます。 

 

例えば、松坂屋はメタバース上に百貨店を再現し、600点以上のリアルなグルメを販売したり、JR西日本は、バーチャル大阪駅を展開し、鉄道への試乗体験やライブイベントを開催するなど、ここまで魅力的なコンテンツが揃ったメタバース/VRイベントは、世界的に見ても数少なく、参加者の約半数が海外からの参加というデータからも、国内外からの注目度の高さが伺えます。

②サンリオバーチャルフェス:50組以上のアーティストが参加の有料ライブイベント

サンリオバーチャルフェス:50組以上のアーティストが参加の有料ライブイベント
(画像:サンリオ)

2つ目の成功事例として、リアル/バーチャルの有名アーティスト50組以上が参加した、メタバース上のライブイベント、サンリオバーチャルフェスが挙げられます。

 

参加者は、メタバース上で有名アーティストのライブパフォーマンスを楽しんだり、参加者同士でコミュニケーションを取ったり、リアル・バーチャルの限定グッズを購入することができたりします。

バーチャルのライブイベントでありながら、有料チケットの価格は5,000円〜10,000円超えのものも存在するなど、リアルのライブイベントと同様の価格であることも注目を集めました。

 

同イベントが多くのユーザーを集めた理由として、ユーザーが求めるものを実現するために、企業や団体の垣根を超えたコラボレーションを実現させた点が挙げられます。参加するアーティストは、AKB48などのリアルの有名アーティストから、Vtuber、VRChat上で活動するバーチャルアーティストまで、幅広いジャンル・所属企業のアーティストが一堂に会することで、大きな話題を呼びました。

 

このように、ユーザーを特定の企業やプラットフォームに囲い込もうとするWeb2.0的な発想とは違った取り組みが、今後のメタバースイベントの盛り上がりに繋がっていくと予想されます。

プラットフォーム手数料

③REALITY:海外ユーザー比率8割超えの日本発メタバースの代表格

REALITY:海外ユーザー比率8割超えの日本発メタバースの代表格
(画像:REALITY)

3つ目の成功事例として、グリーグループが提供するライブ配信を軸とするメタバースアプリ”REALITY”が挙げられます。

 

ユーザーは自分好みのかわいいアニメ調のアバター姿で、スマホから手軽にライブ配信を行い、他ユーザーと交流をすることができます。

 

REALITYは、アプリダウンロード数が1,000万を超えていながら、海外ユーザー比率が約8割にも上るとされており、日本発メタバースの代表格と言えます。

 

同サービスが成功を収めている理由として大きく2つのポイントが挙げられます。

 

1点目は、スマホ1つで誰でも手軽にアバター姿でライブ配信が行える点です。近年のVtuber/ライブ配信ブームに伴い、アバター姿でライブ配信を行いたいというニーズは高まりを見せているものの、従来は本格的な撮影機材を揃えたり、自らアバターの3Dモデルを作成する必要があるなど、実際にライブ配信を行うハードルは高い状況でした。

一方で、REALITYであれば、スマホ1台で、幅広いバリューチェーンのアバターを選択するだけで、Vtuberのようなライブ配信を行うことが可能です。

 

2点目は、かわいいアニメ調のアバターが世界中の日本のアニメ/マンガファンの心を掴んでいる点です。海外でもアバター生成サービスは多数存在するものの、リアルな人間を再現する方向性のものが大半で、日本の武器であるアニメ・漫画文化による大きな差別化に成功しています。

④KDDI:ライブ配信、バーチャルショッピングなどができるメタバース「αU」を提供

KDDI:ライブ配信、バーチャルショッピングなどができるメタバース「αU」を提供
(画像:KDDI)

KDDIはライブ配信、バーチャルショッピングなどを行うことができるメタバース「αU」を提供しています。KDDIはこれを「現実と仮想を軽やかに行き来する新しい世代に寄り添い、誰もがクリエイターになりうる世界に向けたメタバース・Web3サービス」と位置付け、メタバースは「体験する場所」から「発信する場所」へと進化していきます。

 

αUではライブ配信やバーチャルショッピングを楽しめることに加えて、アバターやマイルームの制作、マイルームの家具の販売など、クリエイターとしての体験が可能です。さらにクリエイター支援の取り組みとして、国内外のパートナーと連携し、日本のクリエイターやコンテンツのグローバル展開をサポートしています。

 

KDDIはこの新サービスに1000億円投入しメタバース関連のコンテンツを拡大していく予定です。

⑤Cluster:累計動員数2,000万人超の日本最大のメタバースプラットフォーム

Cluster:累計動員数2,000万人超の日本最大のメタバースプラットフォーム
(画像:Cluster)

5つ目の成功事例として、他ユーザーとの交流を軸とするメタバースアプリclusterが挙げられます。

 

ユーザーは、他ユーザーや企業が製作したメタバース空間で他ユーザーと他ユーザーとの交流やゲームをして楽しんだり、自身もワールドを製作し、公開することができます。

 

2017年にリリースされたclusterは、総ダウンロード数100万超、累計動員数2,000万人超と、日本のメタバースプラットフォームとしては最大規模に成長しています。 

 

同サービスが多くのユーザーを集める理由として、魅力的な企業やIPとのコラボレーションの多さが挙げられます。以下は代表的な企業やIPとのコラボレーションになります。

 

  • 株式会社ポケモン:ポケモンバーチャルフェスト
  • 渋谷5Gエンターテイメント​プロジェクト:バーチャル渋谷 ハロウィーンフェス
  • 株式会社横浜DeNAベイスターズ:バーチャルハマスタ
  • 株式会社ウィスコム:バーチャル東京タワー
  • 株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント:輝夜 月LIVE

 

このように、コラボイベントをきっかけに企業やIPのファンを取り込めていることが、cluster成長の一因と考えられます。

インフラ/ツール提供

⑥サイバーエージェント:メタバース上での店舗開発に特化の子会社設立

サイバーエージェント:メタバース上での店舗開発に特化の子会社設立
(画像:サイバーエージェント)

サイバーエージェントは、バーチャル店舗開発に特化した子会社「株式会社CyberMetaverse Productions」を設立しました。同社はメタバース空間におけるバーチャル店舗のあり方を確立し、NFTを活用したデジタルコンテンツ制作や独自の暗号資産の発行支援まで一貫した支援を行うとのことです。

 

具体的には、小売・アパレル等の業種の企業向けにメタバース上の店舗におけるアバター接客サービスなどを提供し、顧客の購買意欲促進に貢献しています。

 

同社は体制強化のため2023年までに、Unreal EngineやUnityエンジニア、CGアーティストを中心に100名の新規採用を予定しています。

マーケティング・セールスへの活用

⑦三越伊勢丹:独自のメタバース空間「REV WORLDS」を構築し新たなEC体験の提供へ

三越伊勢丹:独自のメタバース空間「REV WORLDS」を構築し新たなEC体験の提供へ
(画像:三越伊勢丹)

三越伊勢丹は、自社の百貨店の店舗を再現したメタバース「REV WORLDS」をスマホ向けアプリでリリースしています。同社はこのアプリを通じて、”バーチャルな伊勢丹の店舗”で”リアルな買い物”体験を提供しています。ユーザーはアバターの姿で商品を見て回ることができ、その商品を実際にECで購入することが可能です。

 

店員のアバターも配置され、チャット機能を使った接客も受けられます。現在は婦人服や食品など310ブランドを扱っていますが、今後は家具や日用品にも対象を広げる方針です。友人のアバターと一緒に会話しながら買い物できるようにするなど機能も強化する予定です。

 

他社がメタバース上で開催されるイベントへの出展が中心のなか、三越伊勢丹は既に独自のメタバース空間を構築・提供しており、マーケティングへのメタバース活用をリードする存在といえます。

⑧バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるガンダムメタバースを構築へ

バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるガンダムメタバースを構築へ
(画像:バンダイナムコ)

バンダイナムコグループは、2022年4月から掲げる中期ビジョン「Connect with Fans」の重点戦略の1つとして、IPでファンとつながる「IPメタバース」を設定しました。これはメタバースを介し、バンダイナムコグループとファンのコミュニティを作る仕組みで、その第1弾が「ガンダムメタバース」です。

 

ガンダムカンファレンスにて発表されたイメージ映像では、世界中のガンダムファンがメタバース上に集い、語り合ったり、ライブイベントに参加したりする様子が描かれていました。

 

今後バンダイナムコは、グループ以外の企業によるガンダムビジネスへの参入促進や、ガンダムファンがガンダムを活用したビジネスができる場の提供を目指して事業展開を行っていく予定とのことです。

⑨大和ハウス:メタバース上の住宅展示場を自由に見学

大和ハウス:メタバース上の住宅展示場を自由に見学
(画像:大和ハウス)

大和ハウスはアバターを用いて担当者と見学者がコミュニケーションを図りながら仮想空間上の住宅展示場を自由に見学できる「VR住宅展示場」を公開しました。ユーザーはスマホやタブレット・PCからVRにアクセスでき、最大6名の見学者とともに担当者にリアルタイムに質問や相談を実施することが可能です。

 

VR上にある住宅展示場という特徴を活かし地面から屋根の上までさまざまな角度から見学できることに加え、室内では子どもやペットなどの視点でも見学が可能です。また、見学者が床や壁紙・天井等の色や素材、インテリアなどを瞬時に切り替えて、イメージを検討することもできます。今後、対応する住宅商品ラインナップを拡充していく方針とのことです。

各種業務効率化への活用

⑩トヨタ自動車:スマートシティ「WovenCity」を開発中

トヨタ自動車:スマートシティ「WovenCity」を開発中
(画像:トヨタ自動車)

トヨタ自動車は、自動運転やMaaS、ロボット物流などの様々な技術・サービスの実証実験を行うスマートシティである「Woven City」を静岡県裾野市の自社工場跡地に建設しています。

 

WovenCityでは、地上に自動運転車用、人と小型モビリティ用、歩行者用の3種類、地下には自動運転車などによる物流の道路が開通する予定です。

また、WovenCityは「人中心」、「実証実験」、「未完成」をコンセプトとしており、実際に人が住む環境下で、モビリティ・エネルギー・IoTなどの12領域での多数のサービスの実証実験が行われる予定です。

 

これらの実証実験は「ソフトウェアファースト」の考え方がベースとなっており、リアルの世界での建物や設備を建設する前に、バーチャルの世界でのシミュレーションやソフトウェア開発を先行させ、仮説検証の効率を高める狙いがあります。

企業がメタバース活用を進めるための4つのフェーズ

企業がメタバース活用を進めるための4つのフェーズ

企業のメタバース活用の進める流れとして、大きく以下の4つのフェーズが挙げられます。

 

  • Phase1:市場動向・知見のキャッチアップ
  • Phase2:戦略/企画の立案
  • Phase3:事業計画の策定
  • Phase4:開発・運用

 

それぞれのフェーズについて分かりやすく紹介していきます。

 

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Phase1:市場動向・知見のキャッチアップ

1つ目のPhaseとして取り組むべきは、最先端の市場動向・知見のキャッチアップです。MetaやApple、Microsoftなどのビックテックやユーザーの動向・先行活用事例など、日々変化する市場動向やナレッジへのキャッチアップが必要です。

このフェーズが、成果に繋がる骨太な戦略/企画策定の基盤となります。

Phase2:戦略/企画の立案

2つ目のPhaseはメタバース活用の戦略/企画です。活用目的を踏まえ、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方、実現に向けた企画を立案しましょう。

ユーザーバリューと自社の事業性の両方を満たす、質の高い戦略/企画の立案が、成果につながるメタバース活用の実現に向け最も重要なポイントとなります。

Phase3:事業計画の策定

3つ目のPhaseは事業計画の策定です。事業に期待する成果や開発・運用のアプローチやタイムライン、必要な投資額などを検討しましょう。

メタバース開発・運用といっても、プロジェクト毎に求められるケイパビリティは様々であるため、自社にマッチするツール・ベンダーの選定が非常に重要です。

Phase4:開発・運用

4つ目のPhaseが開発・運用です。メタバース開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを有効活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完しつつ、ユーザーに届けたい体験を実現するメタバースの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。 

 

4つのフェーズで取り組むべき35のステップに関しては、以下の関連記事で詳しく解説しています。

 

※関連記事:メタバースを活用した事業を作る方法|全4フェーズと35ステップ【担当者必見】

企業がメタバース活用で成果を上げるための5つのポイント

企業がメタバース活用で成果を上げるための5つのポイント

企業がメタバース活用で成果を上げるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
  • ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
  • ③ユーザーファーストなUX設計
  • ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
  • ⑤強力な開発・運用体制の構築

 

それぞれについて分かりやすく紹介していきます。

 

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①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ

1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。

デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。

 

メタバース活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。

②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案

2つ目のポイントは、メタバースを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。

現在メタバース活用に取り組む企業には、メタバース活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。

その結果、活用のPDCAが回らない、メタバース活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。

 

自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜメタバースではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。

③ユーザーファーストな企画・UX設計

3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなメタバースの企画・UX設計です。

現在、多くの企業がメタバースに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなメタバースが多く存在します。それらのメタバースは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。

 

そのため、「メタバースならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。

④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進

4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。

メタバース市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。

そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。

⑤強力な開発・運用体制の構築

5つ目のポイントは、強力なメタバース開発・運用体制の構築です。

高いユーザー体験と事業性を両立するメタバースの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。

 

メタバース開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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