VRのエンタメ業界での活用事例9選|3大メリットや活用方法も紹介

関連技術の進歩やオンラインコミュニケーション需要の高まりなどを背景とし、今後急速に人々の生活や仕事に普及していくと考えられるVR。

VRはエンタメ業界との相性が非常に良く、エイベックスやソニーミュージックなどの大手企業も相次いで参入を始めています。

 

一方で、「エンタメ業界にどのようにVRを活用するのかイメージが沸かない」、「具体的にどのような活用事例があるのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか?

 

そこで今回は、VRのエンタメ業界への活用事例やメリットとともにわかりやすくご紹介します。

本記事をお読みいただければ、VRをエンタメ業界のビジネスに活用するためのヒントが得られるかと思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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そもそもVRとは

VRとはVirtual Realityの略称で、別名仮想現実とも呼ばれます。最先端の3DモデリングやVRデバイス等の技術により、まるでその世界に入り込んでいるかのように感じられる、デジタル上の仮想空間を提供する技術のことを指します。

 

様々なユースケースの中でも特にゲームの使用を中心に利用が拡大しており、まるでゲームの世界に入り込んだかのような没入感・臨場感を感じながらプレイすることが出来ます。

VRをエンタメ業界に活用する3つのメリット

VRをエンタメ業界に活用する3つのメリット

エンタメ業界でVRを活用するメリットとして主に以下の3つが挙げられます。

 

  • ①VR領域での新たなビジネスの創出
  • ②新たな顧客接点の獲得
  • ③VRから得られたデータの活用による商品・サービスの改善

 

それぞれのメリットについてわかりやすく紹介していきます。

 

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①VR領域での新たなビジネスの創出

1つ目のメリットはVR領域での新たなビジネスの創出です。検索エンジン、EC、SNSに並ぶ次なるキラーサービスになるとも言われているVRですが、多様な業界の企業がVR領域に参入しており、サービス構築を目論んでいます。VRがより人々に普及し、VR上で過ごす時間が増えるようになると、VR領域でのビジネスの市場規模も拡大していくと考えられます。

②新たな顧客接点の獲得

2つ目のメリットは新たな顧客接点の獲得です。VR空間にはいつでもどこからでもアクセスできるという特徴があり、コロナウイルス感染拡大の影響で実店舗での顧客との繋がりが希薄化するなか、新たな顧客接点としての活用が期待されています。VRの特徴である、3Dのコンテンツで、スタッフが説明しながら商品やサービスを訴求できるという点を活かし、今までEC化に苦戦していた業界の企業にとって、貴重なオンラインでの接点になり得ると考えられます。

③VRから得られたデータの活用による商品・サービスの改善

3つ目のメリットはVRから得られたデータの活用による商品・サービスの改善です。VR上の人々の行動データはWebサイトやSNS上のものに比べ圧倒的にリッチになると考えられています。VR上ではいつ、誰と、どのような行動を取っていたかはもちろん、ウェアラブルデバイスの発展によりどのような感情になっていたかなどの多様なデータを取得できるようになると考えられています。

 

そのため、VR上のユーザーに商品やサービスを試してもらい、その反応をデータとして収集することで、商品やサービスの改善につなげることが可能です。

エンタメ業界でVRを活用する4つの方法

エンタメ業界でVRを活用する4つの方法

エンタメ業界でVRを活用する方法として主に以下の4つが挙げられます。

 

  • ①VR上でのIP・コンテンツの宣伝
  • ②VRを活用したライブイベントの配信
  • ③VR上でのライブイベントの開催
  • ④VR上でのデジタルアイテムの販売

 

それぞれについて分かりやすく解説していきます。

 

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①VR上でのIP・コンテンツの宣伝

VR上でのIP・コンテンツの宣伝 エイベックス
(画像:エイベックス)

1つ目の活用方法は、VR上でのIP・コンテンツの宣伝です。小売やアパレルブランド各社と同様、Robloxやフォートナイトなどの既存のVR空間に常設/特設のブースを設けることで、自社のIP・コンテンツの宣伝をすることができます。

 

宣伝をWebやSNSで行う場合とVR上で行う場合の最も大きな違いは、ブランドがユーザーに対し3次元の空間上でインタラクションを交えた体験を設計できることです。そのため、従来は各ブランドがリアルで開催していたイベントや、リアルでは実現の難しいゲーミフィケーションを交えた体験設計などを通じて、ブランドの世界観を体験してもらう取り組みが可能です。

②VRを活用したリアルイベントの配信

2つ目の活用方法は、VRを活用したリアルイベントの配信です。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、リアルでのイベントの開催に制限がかかるなか、リモートで実際にイベント会場を訪れているかのような体験を提供することができます。

 

どの程度没入感のある体験ができるかは、イベント運営者の設備への投資と、来場者側の使用するデバイスによって決まります。

 

イベント運営者の設備への投資としては、立体的な音声情報の取得・配信や空間の3次元の情報を丸ごとリアルタイムで撮影するボリュメトリックビデオなどが挙げられます。

 

また、来場者の使用するデバイスとしては、もちろんスマホやPCからでもアクセス可能ですが、Meta Quest 2などのHMDを使用することで、より没入感のある体験をすることができます。

③VR上でのバーチャルイベントの開催

VR上でのバーチャルイベントの開催 フォートナイト
(画像:フォートナイト

3つ目の活用方法は、VR上でのバーチャルイベントの開催です。世界最大のVRであるフォートナイトにて、米津玄師や星野源がライブを行ったことが世間を賑わせたように、VR上でのバーチャルイベントの開催は、今後広く普及するユースケースになる可能性があります。

 

理由として、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、リアルでのイベントの開催に制限がかかっているのはもちろん、3次元の仮想空間上で他の来場者とともに盛り上がることができるという点が、実際にイベント会場を訪れているような体験を実現しているからです。

 

また、イベントやライブに特化したVRプラットフォームも既に登場しており、今後最も活用が進むと考えられる活用法の1つです。

 

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④VR上でのデジタルアイテムの販売

4つ目の活用方法は、VR上でのデジタルアイテムの販売です。人々の活動がリアルからVR上にシフトしていくにつれ、VR上でのアバター用の洋服やコレクションアイテムが価値を持つようになっていくと考えられています。

 

そこで、従来のアーティストのグッズなどの市場も徐々にVR上にシフトしていくと予想されています。デジタルアイテムはリアルのアイテムと異なり、製造や販売にかかるコストが極めて小さいことから、ビジネスの目線からすると非常に魅力的な活用方法の1つです。

VRのエンタメ業界での活用事例9選

VRのエンタメ業界での活用事例9選

エンタメ業界でのVRの活用事例として以下の9つが挙げられます。

 

  • ①サンリオバーチャルフェス:有名アーティストが集合
  • ②エイベックス:The Sandbox上にエイベックスランドを開設
  • ③フォートナイト:米津玄師や星野源がバーチャルライブを開催
  • ④ソニーミュージック:最先端のXRライブプロジェクトを実施
  • ⑤バーチャル秋葉原:VR上に秋葉原の街並みを再現
  • ⑥ぴあ:バーチャルライブ向けの独自VRを構築
  • ⑦REALITY:アバター姿でのライブ配信プラットフォーム
  • ⑧VARK:VR上でのライブイベントプラットフォーム
  • ⑨阪神阪急HD:VR上での音楽フェスを主催

 

それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。

 

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①サンリオバーチャルフェス:有名アーティストが集合

サンリオバーチャルフェス:有名アーティストが集合
(画像:サンリオ)

サンリオバーチャルフェストは、VR上で開催された、リアル/バーチャルのアーティスト総勢52組が集まったライブイベントです。

 

アーティストは、AKB48などのリアルアーティストから、Vtuber、VRChat上で活動するアーティストまで、幅広いジャンルのアーティストが一堂に会することで、大きな話題を呼びました。

 

この取り組みのポイントは、ユーザーが求めるものを実現するために、企業や団体の垣根を超えたコラボレーションを実現させた点です。このように、ユーザーを特定の企業やプラットフォームに囲い込もうとするWeb2.0的な発想とは違った取り組みが、今後のVR市場の盛り上がりに繋がっていくでしょう。

②エイベックス:The Sandbox上にエイベックスランドを開設

エイベックス:The Sandbox上にエイベックスランドを開設
(画像:エイベックス)

エイベックス・テクノロジーズは、The Sandboxとパートナーシップ体制を構築し、アーティストとファンが仮想空間上で交流できるテーマパーク「エイベックスランド(仮称)」をオープンすると発表しました。エイベックスランド(仮称)は2022年度中に、「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」内にオープンする予定で、アーティストのライブ配信やファンミーティングの実施、NFTアイテムの販売などが検討されています。

 

これらに先駆けて、ピコ太郎さんや浜崎あゆみさんに関連するNFTアイテムなどをセットにしたプレミアムLANDを2022年3月3日に販売しました。

 

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③フォートナイト:米津玄師や星野源がバーチャルライブを開催

フォートナイト:米津玄師や星野源がバーチャルライブを開催
(画像:フォートナイト)

米津玄師や星野源は、フォートナイト上でバーチャルライブを開催しました。

 

米津玄師は2020年に開催中であったライブツアー「米津玄師 2020 TOUR / HYPE」の中断等に伴いフォートナイトでの全世界同時バーチャルライブを開催し、世界中から様々なプレイヤーが参加しました。米津玄師は「STRAY SHEEP」のジャケットに描かれた羊のマスクを被った3DCGの姿で様々な場所に移動しながらパフォーマンスを披露しました。

 

星野源はフォートナイト内で開催されるバーチャルイベント「Soundwave Series」に参加して世界中のアーティストとともにバーチャルライブを披露しました。

④ソニーミュージック:最先端のXRライブプロジェクトを実施

KEIJU – Falling/Tears/In My Eyez [XR LIVE] ReVers3:x vol.3 / リバースクロス
(動画:ソニーミュージック)

株式会社ソニー・ミュージックレーベルズは新たな仮想空間プロジェクト「ReVers3:x(リバースクロス)」の始動を発表しています。「ReVers3:x」では独自に制作した仮想空間を舞台に様々なアーティストのライブを楽しむことができるショートライブプロジェクトです。「ReVers3:x」の第1弾として、ラッパーのKEIJUのライブが配信されました。仮想空間上に作られた東京のストリートに設置されたステージ上にはデジタルアーティストによるアートも配置され、音楽のみならず、空間としても楽しめるコンテンツとなっています。

⑤バーチャル秋葉原:VR上に秋葉原の街並みを再現

バーチャル秋葉原:VR上に秋葉原の街並みを再現
(画像:バーチャル秋葉原)

バーチャル秋葉原とは、大日本印刷とAKIBA観光協議会により推進される、現実世界と仮想世界を融合させた地域共創型XR街づくりプロジェクトであり、2022年4月にオープンしたVR空間になります。ユーザーは、PC用アプリケーションやVRゴーグル、Webブラウザなどを通じて、世界のどこからでもいつでも秋葉原の魅力を楽しむことができます。仮想空間には、ショッピングができる店舗やギャラリースペース、広告看板などが設置されており、漫画・アニメ等のコンテンツホルダーをはじめとする様々な企業が、情報発信や販促活動を行う「第3のチャネル」として利用することができます。

 

バーチャル秋葉原の集客に向けた取り組みの代表的なものとして、海外企業との提携により、海外のマンガ・アニメ好きのコミュニティの獲得が挙げられます。

 

バーチャル秋葉原は、日本のアニメ・マンガ好きコミュニティ・データベースサイトを運営するMyAnimeList社と提携し、海外からのユーザー集客を図っています。

 

このように、自社のターゲット層を多く抱える他社との提携により、顧客基盤を活用する取り組みも、大きなインパクトのある施策の1つと言えます。

 

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⑥ぴあ:バーチャルライブ向けの独自VRを構築

ぴあ:バーチャルライブ向けの独自VRを構築
(画像:ぴあ)

ぴあ株式会社は、バーチャルライブプラットフォーム「NeoMe」(ネオミー)をスマートフォンアプリのサービスとして提供開始しました。「NeoMe」は、ユーザーがアバターとなってバーチャル空間に入り、バーチャルライブを中心に、ユーザー同士の交流やアバターのコーディネートを楽しむことができるスマートフォンアプリです。

 

ぴあは、「NeoMe」を通じて、次世代を担う若手パフォーマーに対して、バーチャルを起点とした新たな表現や活動の場を提供しています。ユーザーやファンは、同じ趣味の人とつながる場を提供し、パフォーマーとユーザーの新たなコミュニティづくりを支援します。

 

バーチャルライブの第1弾となる「NeoMe Live Vol.1」には、ヤバイTシャツ屋さんが出演しました。

⑦REALITY:アバター姿でのライブ配信プラットフォーム

REALITY:アバター姿でのライブ配信プラットフォーム
(画像:REALITY)

REALITYは、アバターを用いたライブ配信を軸としたVRプラットフォームです。

 

自分だけのオリジナルアバターを作成し、モーションキャプチャー技術を用いたリアルなライブ配信で視聴者とコミュニケーションを取ったり、アバターが受け取るギフトでマネタイズするなど、簡単操作で楽しめるスマートフォン向けVRです。5GやVR/ARを見据えたエンタテインメントの未来像を実現しています。

 

また、法人向けに3DCGとXR技術を活用したXRクラウド事業「REALITY XR」も展開しています。

⑧VARK:VR上でのライブイベントプラットフォーム

VARK:VR上でのライブイベントプラットフォーム
(画像:VARK)

VARKは、VR上で現実と同じようにライブイベントを楽しむことができるアプリケーションです。決まった時間に開かれるイベントに誰でも参加でき、そのイベントに「いる」アーティストのライブを、一体感を感じながら楽しむことができます。目の前で歌う」「一瞬で世界が変わる」など、バーチャルの可能性をフルに活用し、最高の体験を提供することを目指します。

 

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⑨阪神阪急HD:VR上での音楽フェスを主催

阪神阪急HD:VR上での音楽フェスを主催
(画像:阪神阪急HD)

大手関西私鉄である阪神阪急HDは、VR上での音楽フェスである「JM梅田ミュージックフェス」を開催しました。JM梅田ミュージックフェスは、阪急阪神HDが百貨店を含む大阪・梅田の街を忠実に再現したVR空間上で実施されるオンライン音楽祭です。当イベントでは、メタ―バース空間となった大阪梅田を舞台に、VTuber等のバーチャルキャラクターによる音楽フェスが実施されました。アバターの姿で参加する来場者は、コンサートの参加、グッズ販売などのコンテンツが提供された他、バーチャルな梅田を高い没入感で体感できました。音楽フェスには30名を超えるVTuberなどのバーチャルアーティストが参加し、来場者数は8万人以上を記録する盛況となりました。

 

同社は、100年以上続けてきた「街づくり」のノウハウをVR領域でのビジネス展開に活用できるのではと考えています。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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