メタバースの大本命”Fortnite”のビジネス活用の可能性とは?
目次
NEIGHBOR CEO ノトフ氏
1984年生まれ、広島県呉市出身。2006年にYouTuberとして活動をスタート。その後、大学在学中からアニメ系のフリーライターとして仕事を始める。2015年に東京アイドル劇場を立ち上げて2017年に法人化する。フォートナイトを年間1000時間以上はプレイするに至り、2022年にフォートナイトに特化したメタバース製作スタジオNEIGHBORを設立。
株式会社NEIGHBOR会社紹介
Fortniteに特化したメタバース制作事業に取り組む企業。具体的にはFortniteのクリエイティブ機能を使って都市のメタバース化や、オリジナルゲームの開発に取り組む。世界トップレベルのクリエイターと提携し、大規模開発に対応できる国内初のFortniteクリエイティブスタジオである。2022年にローンチしたメタバース「AI ロケスタくん」はグローバルで来場者数100万人を突破し、2023年2月にNetflixオリジナルアニメのPRとして制作したメタバースお化け屋敷は120万人を記録。Z世代を中心に広がりを見せる新しい生活様式である「ネットワーク上での共同消費」をテーマに、思い出に残るメタバースの制作に取り組む。
Fortniteというプラットフォームはマーケティング・PRのための1つのチャネル
ー企業によるFortniteの活用方法とは、どのようなものが中心になってくるのでしょうか。
ノトフ:大多数の企業にとって、Fortniteを活用することによって、新しく何かビジネスを生み出すことは、現時点では難しいと考えています。このため、Fortniteの活用は、企業のPR目的での活用が中心となります。
Fortnite上でのPRイベントはマーケティング施策として実行され、世界中の人々に自社ブランドの世界観を体験してもらい、認知してもらう目的で活用されています。言い換えると、「Fortnite」は新聞、テレビ、SNS、YouTubeなどに続く新しいマーケティングの場として活用されているということです。
ー個社が独自でメタバースを制作する場合やFortnite以外のプラットフォームと比較して、Fortnite上でPRイベントやマーケティングを行うことのメリットを教えて下さい。
ノトフ:最も大きいメリットは、リーチできる人数の多さです。Fortniteはアカウント数としては4億アカウント、月間アクティブユーザー数が8,000万人を有しているプラットフォームとなっています。PRを行う上で、リーチできる人数が多いところにコンテンツを投下することは基本戦略となるため、ユーザー数の多いFortniteを活用するのは効果的であると考えられます。
また、RobloxやZEPETOといったFortniteと同規模のプラットフォーム間での大きな違いは、ユーザー層の違いとなります。Robloxは、小学生世代のいわゆるα世代が中心となっているため、ユーザー数は大きい割に経済規模が小さいという特徴がある一方で、簡単なゲームの制作が容易であり、気楽に開発できるというメリットが挙げられます。
ZEPETOはFortnite、Robloxと比較した際に女性が圧倒的に多いので、女性ユーザーをターゲットとする場合はZEPETOの活用が有効です。そのため、メタバース内の映えスポットの様な空間を制作するという活用方法が有効になります。
Fortniteは、ユーザー層がZ世代とα世代、α世代の親が多いという特徴があり、プラットフォームの特性としては激しいアクションゲームが制作可能であるという点が挙げられます。
このように、ユーザー数が同規模のプラットフォーム間でどのプラットフォームを選ぶべきかについては、SNSマーケティングの際にTwitter、Instagram、YouTubeのどれを選択するかの様に、それぞれの特徴を踏まえて、自社が利用するプラットフォームを利用することが重要です。
Epic Gamesからも評価されるコンテンツ制作の実績
Junji Ito Maniac Haunted house – Fortnite Creative Game Trailer
ー続いて、これまでの代表的な制作実績について教えて頂けますでしょうか。
ノトフ:グローバルレベルで反響があった作品として、2023年2月に制作したNetflixオリジナルアニメである「伊藤潤二『マニアック』」をモチーフにしたメタバースお化け屋敷が挙げられます。3月にFortnite内で50万来場者を記録しており、現在は120万来場者を超えるヒットコンテンツとなりました。実際に、Epic Games本社からも連絡をもらって、高評価を頂くことができています。
ークライアントの企業の方々からは、どのような目的で制作の依頼をされることが多いのでしょうか。
ノトフ:現在、PR目的やブランディング目的での制作依頼が多い状況です。ただ、Fortniteを活用してPRイベントを行った場合、定量的な成果が必ず出るとは限らない状況であるということは正直にお話をさせて頂いたうえで、実験的取り組みとして制作させて頂いている状況が多いです。
現実として、Fortniteなどのメタバースを活用したPRイベントは現状費用対効果や、定量的成果の観点で見るべき分野ではないと考えています。あくまで現状では、TiktokやYouTubeなどのSNSマーケティングの方が成果を予測しやすい状況です。
最終的にはプラットフォーム間の機能面の差は小さくなり、人々の活動の拠点となる
ー今後のFortniteのメタバースプラットフォームとしての発展の可能性について、どのようにお考えですか。
ノトフ:個人的には、最終的には全てのメタバースプラットフォーム間での機能面での差が小さくなると考えています。実際に、Facebook、Twitter、Instagramも文字、動画、画像の全てを活用して投稿を行えるという点で違いは少なくなってきています。こういった状況が、最終的にはメタバースプラットフォームでも起こってくるだろうと考えています。
つまり、あらゆるメタバースプラットフォームで決済が可能になり、経済活動が行われ、写実的なグラフィックでクオリティの高いゲームが可能になるということです。現在インターネット上でできることは全てメタバースでの活動に置き換わっていくのではないかと考えられます。
ー企業がFortniteをPRやブランディングに活用する上でのポイントとしては何が挙げられると考えられるのでしょうか。
ノトフ:最も重要なのは、継続的にFortniteという場を借りて施策を行っていくということです。他のSNSマーケティング等とも通じる点ではありますが、やはり単発の取り組みによって期待通りの効果を挙げることは難しいです。継続した取り組みを通じてノウハウやナレッジを蓄積することによって、徐々に効果が現れてくるイメージを持っていただくと認識のズレが少なくなると思います。
その上で、Fortniteの活用を成功させるためには、Fortniteを活用する目的、何のためにコンテンツを制作してリリースするのかという根本の部分を見失わない様にすることが重要です。誰に向けて、どのような情報を発信し、どういった感情を持ってもらうのかを意識したコンテンツ制作を行うことが、Fortniteを活用したコンテンツ制作でも同様に大切だと思います。
Fortnite上の人々が集まる「場」を実現することが現在の目標
ー最後に、NEIGHBOR社の今後の事業の展望を教えて頂けますか。
ノトフ:NEIGHBOR社の目標は、Fortnite上に制作している仮想都市をFortnite上で最も大きな規模のものにするということです。この「NEIGHBOR TOKYO」と呼んでる仮想都市は、人が集まるようになれば、各クライアントのメタバースへの導線確保にも有用だと考えているので、この街づくりに当面は注力していきたいと考えています。
ー今回はお忙しいなか、貴重なお話をありがとうございました。今後も業界の注目企業/ビジネスパーソンを取材し、メタバースのビジネス活用の最前線に迫っていきますので、どうぞお楽しみに。
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