GUCCIによるメタバースの活用事例3選|狙いやメリットも解説

近年アパレル業界ではコロナ対策の外出制限によるオシャレ着需要の低下や社会的に意識が高まるサステナビリティへの対応など、各社苦境に立たされています。

 

そんななか、アパレル業界各社がそれらの課題への解決策としてメタバースの活用を進めており、特にGUCCIはメタバースをリードする存在として大きな注目を集めています。

 

一方で、「GUCCIがメタバースに参入したらしいけど具体的な取り組みを知りたい」、「どのような狙いで活用を進めているのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか?

 

そこで今回は、GUCCIによるメタバースの活用事例3選とその狙いやメリットを分かりやすく紹介します。

本記事を読めば、アパレル業界のビジネスにメタバースを活用するヒントが得られると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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GUCCIによるメタバースの活用事例3選

GUCCIによるメタバースの活用事例3選

GUCCIによるメタバースの活用事例として以下の3つが挙げられます。

 

  • Roblox上に常設エリア「GUCCI Town」をオープン
  • ②The Sandbox上に期間限定エリア「GUCCI Vault Land」をオープン
  • ③独自メタバース上のアートギャラリー「Vault Art Space」をオープン

 

それぞれの事例を分かりやすく紹介していきます。

 

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①Roblox上に常設エリア「GUCCI Town」をオープン

Welcome to Gucci Town
(動画:GUCCI)

GUCCIは、ゲーム版YouTubeとも呼ばれる大人気ゲーム型メタバース「Roblox」上に、常設エリアである「GUCCI Town」をオープンしました。

 
Robloxとは、他ユーザーが作成した様々なゲームをプレイしたり、ユーザー自身もゲームを作成することのできる、ゲームプラットフォームです。利用されるゲームの全てがユーザー自身によって作成されていることから、「ゲーム版のYoutube」とも評されています。

 

「GUCCI Town」にはグッチのアイテムに関連するゲームを楽しめる競技場、アート制作を楽しめるアトリエ、ヴィンテージから新作アイテムを見ることのできる展示スペースなどが存在し、メタバースの世界でグッチに纏わる様々なブランドをすることができます。

 

2021年5月にも、GUCCIはRobloxに2週間限定のエリアをオープンし、約2000万来場者を記録するという成果を挙げていることから、今回常設エリアのオープンに踏み切ったと考えられます。

 

GUCCI CEOのニコラ・ウディノ氏によると、この取り組みの成功は、「GUCCIがRoblox上でブランドのコミュニティ意識を育てることができたからだ」としています。

 

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②The Sandbox上に期間限定エリア「GUCCI Vault Land」をオープン

Gucci Vault Land in The Sandbox
(動画:GUCCI)

GUCCIは、ゲーム版YouTubeとも呼ばれる大人気NFT型メタバース「TheSandbox」上に、期間限定エリアである「GUCCI Vault LandGUCCI Town」をオープンしました。

 

TheSandboxとは、TheSandboxとはボクセル(3次元のピクセル)によって構成されるNFTゲームプラットフォームです。マインクラフトのようにボクセル(3次元のピクセル)を積み重ねてメタバース上にゲームを作ることができ、ユーザーが作成したゲームで遊ぶことができたり、ユーザー間でのコミュニケーションを楽しむことができます。

 

特徴としては、イーサリアムのブロックチェーン技術を基盤としている点、SANDという独自の暗号通貨を持っている点、SANDを用いてLAND(ランド)と呼ばれる土地やアバター、ゲームを作る上で必要な素材、アイテムなどをNFTマーケットプレイスで売買することができる点が挙げられます。

 

「GUCCI Vault Land」では、謎解きゲームを楽しんだり、ヴィンテージバックの修復を体験できたりとメタバースの世界でグッチに纏わる様々なブランドをすることができます。

また、GUCCIのデジタルコレクションNFTを購入したり、そのNFTの保有者はTheSandbox上のアバターに着用させることもできます。

③独自メタバース上のアートギャラリー「Vault Art Space」をオープン

独自メタバース上のアートギャラリー「Vault Art Space」をオープン
(画像:Cucci)

GUCCIは、NFT作品を集めたマーケットプレイスを運営するSuperRareとのパートナーシップを結び、独自メタバース上のアートギャラリー「Vault Art Space」をオープンしました。

 

Vault Art Spaceには多数のNFTアート作品が展示されており、ユーザーはそれらの作品を鑑賞したり、ウォレットを接続してイーサリアムによって購入したりすることができます。

メタバースをアパレル業界で活用する4つのメリット

メタバースをアパレル業界で活用する4つのメリット

メタバースをアパレル業界に活用するメリットとして以下の4つが挙げられます。

 

  • ①新たな顧客層の獲得による既存事業の売上向上
  • ②仮想空間上のファッションアイテム販売による新たな収益源の獲得
  • ③NFTを活用した新たなビジネスモデルの構築
  • ④サステナビリティへの社会的要請への対応

 

それぞれのメリットについて分かりやすく紹介します。

 

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①新たな顧客層の獲得による既存事業の売上向上

新たな顧客層の獲得による既存事業の売上向上 バレンシアガ
(画像:EpicGames)

新型コロナウイルスの影響による外出制限によるオシャレ着需要の低下など、近年アパレル業界は苦境に立たされています。実店舗での新規顧客の獲得がますます難しくなるなか、メタバースプラットフォームとのコラボレーションやメタバース上のイベントへの出展により、普段自社のブランドの実店舗を訪れないような顧客層を獲得しようという動きが進んでいます。

 

アパレル業界のマーケティングチャネルがSNSに大きくシフトしたように、今後VRも有力な顧客チャネルの1つに成長する可能性があります。

②仮想空間上のファッションアイテム販売による新たな収益源の獲得

アパレルブランド各社は、VR上のスキンや洋服などのデジタルアセットの販売が新たな収益源になると考え相次いで参入を始めています。

 

特にルイヴィトンやグッチなどのハイブランドは、自社のコアな強みであるブランド価値は物理的なアイテムであろうが、バーチャルなアイテムであろうが発揮できるとし、デジタルファッションアイテムの市場に非常に積極的です。

 

既にNIKEは2022年7月までに約260億円分のNFTを販売しています。また、デジタルアイテムはデザインさえしてしまえば、生産にかかるコストが小さいので利益率が非常に高く、魅力的なビジネスと言えます。

③NFTを活用した新たなビジネスモデルの構築

NFTを活用した新たなビジネスモデルの構築 RTFKT
(画像:RTFKT)

デジタルファッションアイテムをNFTの形式で販売することで、ブランド側が2次流通・3次流通での収益の一部を半永久的に獲得できる新たなビジネスモデルを構築することができます。例えば、2次流通以降の販売額の10%をブランドに分配するといった設計をNFTに施すことができます。今までハイブランドのファッションアイテムは2次流通市場が活況にも関わらず、その恩恵を受けられずにいました。

 

また、NFTの報酬配分の仕組みを活用し、個人のデザイナーがデザインしたアイテムをアパレルブランドとコラボという形で販売することで、ブランド・個人間の垣根を超えた新たな共創の形を創り出すことも可能です。

④サステナビリティへの社会的要請への対応

近年の社会のサステナビリティへの意識が高まる中で、アパレル業界各社はそれまでのサプライチェーンや販売方法の見直しを迫られています。サプライチェーン上での消費エネルギーや資源、多くのアイテムが買われては捨てられるという廃棄の問題など、ファッション業界はサステナビリティの観点で多くの課題を抱えています。

 

そんななかで、メタバース上のデジタルファッションビジネスは、この課題を解決する打ち手として注目を集めています。バーチャルアイテムの販売は本質的に非常にサスティナブルだと言えます。製造にリアルな素材やエネルギーを必要とせず、店頭でのセールや廃棄処分も不要です。実際洋服1着を製造するなかで発生する炭素は、デジタルアイテムの場合リアルなアイテムの約3%ほどまで節約することができると言われています。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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