業界別VRのビジネスへの活用事例25選|5大メリットも紹介

関連技術の進歩やオンラインコミュニケーション需要の高まりなどを背景とし、今後急速に人々の生活や仕事に普及していくと考えられるVR。

エンタメから製造業まで様々な業界の企業が自社のビジネスへのVR活用を進めています。

 

一方で、「VRのビジネス活用のイメージが沸かない」、「実際に活用を進めている企業の取り組みをキャッチアップしたい」という方も多いのではないでしょうか?

 

そこで、今回はVRの業界別活用事例をメリットとともに分かりやすくご紹介します。

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

 

  • VRのビジネスへの活用を検討している
  • VRのビジネスへの活用事例をできるだけ多く知りたい
  • VR活用で成果を上げるためのポイントをおさえておきたい

 

本記事を読めば、VRを自社のビジネスに活用するヒントが得られるかと思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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目次

そもそもVRとは?

そもそもVRとは? 三越伊勢丹
(画像:三越伊勢丹)

VRとはVirtual Realityの略称で、別名仮想現実とも呼ばれます。最先端の3DモデリングやVRデバイス、ゴーグル等の技術により、まるでその世界に入り込んでいるかのように感じられる、デジタル上の仮想空間を提供する技術のことを指します。

 

日本バーチャルリアリティ学会ではVRを「みかけや形は原物そのものではないが、本質的あるいは効果としては現実であり原物であること」と定義しています。すなわち、VRは、現実世界そのものではないが、実質は現実世界とほとんど変わらないという意味です。

 

VRの定義についてはこの他にも色々な考え方がありますが、いずれにしても、本質的には現実とほとんど変わらないというところがポイントになります。

 

様々なユースケースの中でも特にゲームの使用を中心に利用が拡大しており、まるでゲームの世界に入り込んだかのような没入感・臨場感を感じながらプレイすることが出来ます。

 

また、最近ではゲームだけでなく、仮想現実に出店し商品を販売したり、仮想空間上で社員研修や教育を行ったり、建築のシミュレーションを行ったりするなど、様々な分野でVRが活用されています。

VRが企業にもたらす5つのメリット

VRが企業にもたらす5つのメリット

VRが企業にもたらすメリットとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①VR領域での新たなビジネスの創出
  • ②VRから得られたデータの活用による商品・サービスの改善
  • ③新たな顧客接点の獲得
  • ④社内コミュニケーションの円滑化
  • ⑤研修への活用による社員のスキル向上

 

それぞれのメリットを分かりやすく解説していきます。

①VR領域での新たなビジネスの創出

VR領域での新たなビジネスの創出 バレンシアガ フォートナイト
(画像:EpicGames)

1つ目のメリットはVR領域での新たなビジネスの創出です。検索エンジン、EC、SNSに並ぶ次なるキラーサービスになるとも言われているVRですが、多様な業界の企業がVR領域に参入しており、サービス構築を目論んでいます。VRがより人々に普及し、VR上で過ごす時間が増えるようになると、VR領域でのビジネスの市場規模も拡大していくと考えられます。

②VRから得られたデータの活用による商品・サービスの改善

2つ目のメリットはVRから得られたデータの活用による商品・サービスの改善です。VR上の人々の行動データはWebサイトやSNS上のものに比べ圧倒的にリッチになると考えられています。VR上ではいつ、誰と、どのような行動を取っていたかはもちろん、ウェアラブルデバイスの発展によりどのような感情になっていたかなどの多様なデータを取得できるようになると考えられています。

 

そのため、VR上のユーザーに商品やサービスを試してもらい、その反応をデータとして収集することで、商品やサービスの改善につなげることが可能です。

③新たな顧客接点の獲得

新たな顧客接点の獲得 日産自動車
(画像:日産自動車)

3つ目のメリットは新たな顧客接点の獲得です。VR空間にはいつでもどこからでもアクセスできるという特徴があり、コロナウイルス感染拡大の影響で実店舗での顧客との繋がりが希薄化するなか、新たな顧客接点としての活用が期待されています。

 

VRの特徴である、3Dのコンテンツで、スタッフが説明しながら商品やサービスを訴求できるという点を活かし、今までEC化に苦戦していた業界の企業にとって、貴重なオンラインでの接点になり得ると考えられます。

④社内コミュニケーションの円滑化

社内コミュニケーションの円滑化 Gather
(画像:Gather)

4つ目のメリットは社内コミュニケーションの円滑化です。コロナウイルス感染拡大の影響で、多くの企業がリモートワークへの移行を進めています。

 

一方で、リモートワーク環境下ではホワイトボードを用いた共同作業ができない、相手の細かな表情や声色が読み取れずコミュニケーションが停滞する、自然発生的なコミュニケーションが減ってしまうなどの課題が存在します。

 

それらの課題をVR空間上のオフィス「VRオフィス」で一緒に働くことで解決することができるのではないかと期待されています。

⑤研修への活用による社員のスキル向上

研修への活用による社員のスキル向上 ウォルマート
(画像:ウォルマート)

5つ目のメリットは研修への活用による社員のスキル向上です。VRを企業の研修に活用することで、コンテンツが3Dで表示されるため学習効率が向上する、非常時のシチュエーションを簡単に再現できる、学習の時間的・地理的制約から解消されるなどのメリットがあり、社員のスキル向上に繋げることができます。

業界別VRのビジネスへの活用事例25選

業界別VRのビジネスへの活用事例25選

業界別VRのビジネスへの活用事例25選は、以下の通りです。

 

  • ①小売業界:三越伊勢丹、大丸松坂屋、阪急阪神百貨店
    • 1.三越伊勢丹:VR空間上に百貨店を再現
    • 2.大丸松坂屋:VR上の百貨店で600種類の食品を販売
    • 3.阪急阪神百貨店:VR上の百貨店でVR接客を実施
  • ②ファッション業界:BEAMS、NIKE
    • 4.BEAMS:VRイベントへの出店を通じリアル店舗への送客も
    • 5.NIKE:Roblox上にVR空間を構築しデジタルアセットを販売
  • ③エンタメ業界:サンリオバーチャルフェス、ぴあ、阪神阪急HD
    • 6.サンリオバーチャルフェス:有名アーティストが集合
    • 7.ぴあ:バーチャルライブ向けの独自VR空間を構築
    • 8.阪神阪急HD:VR上での音楽フェスを主催
  • ④広告業界:博報堂、電通
    • 9.博報堂:VR空間上での広告枠の販売を開始
    • 10.電通:東京ゲームショウVRに基盤システムを提供
  • ⑤製造業界:川崎重工、ダイキン、日産自動車
    • 11.川崎重工:工場を丸ごとVR化を目指すと発表
    • 12.ダイキン:VRを活用し製造ラインのロスを削減へ
    • 13.日産自動車:VR上での新車発表・試乗会を開催
  • ⑥不動産業界:東急不動産、大和ハウス、神稲建設
    • 14.東急不動産:複数人での同時参加可能なVRモデルルームの構築
    • 15.大和ハウス:VR上の住宅展示場を自由に見学
    • 16.神稲建設:VR上のモデルハウスを自社で開発
  • ⑦医療業界:comatsuna、越前市、MentaRest
    • 17.comatsuna:アバターを介した対話によるメンタルケアサービスを提供
    • 18.越前市:心の悩みを相談できる「メタバースこころの保健室」の設置
    • 19.MentaRest:従業員のメンタル不調を改善するアバターカウンセリングの提供
  • ⑧観光業界:ANA、大日本印刷
    • 20.ANA:バーチャル旅行プラットフォーム設立を目指す
    • 21.大日本印刷:VR空間上に「バーチャル秋葉原」をオープン
  • ⑨自治体:バーチャル大阪、吉本興業×養父市
    • 22.バーチャル大阪:VRで大阪の魅力を発信
    • 23.吉本興業×養父市:かつての日本一の鉱山をVR上に再現
  • ⑩金融業界:みずほ銀行、JPモルガン
    • 24.みずほ銀行:VR空間上に店舗を開設
    • 25.JPモルガン:VR上に仮想店舗を開設し、金融サービス提供へ

 

それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。

 

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①小売業界:三越伊勢丹、大丸松坂屋、阪急阪神百貨店

小売業界へのVRの活用の目的は、リアルだけではできない幅広い顧客へのリーチが可能である点です。従来のリアルな空間でのプロモーションイベントでは、一定程度ターゲットが密集している都心部など以外で施策を実施しづらいという課題がありました。そこで、メタバース上でマーケティング施策を行うことで、幅広い地域のターゲットにリーチすることが可能です。また、メタバースを活用することで、従来若者世代との接点獲得に苦戦していた企業・商材のマーケティングを加速させることもできます。

1.三越伊勢丹:VR空間上に百貨店を再現

三越伊勢丹:VR空間上に百貨店を再現
(画像:三越伊勢丹)

三越伊勢丹は、独自のVR上の仮想都市である「レヴ ワールズ」を構築し提供しています。来場者はアバターの姿で、デジタル空間の「バーチャル伊勢丹」での買い物を楽しむことができます。店員のアバターも配置され、チャット機能を使った接客も受けられます。

また、VR上ではバーチャルファッションショーを楽しんだりや人気格闘漫画『刃牙』シリーズに登場する“地下闘技場”をモデルとしたイベントスペースが設けられ、アバターとなった一部の人気キャラクターに会えたり、関連するデジタルアイテムを入手したりすることもできます。

現在は婦人服や食品など180ブランドを扱っていますが、今後は家具や日用品にも対象を広げる方針です。友人のアバターと一緒に会話しながら買い物できるようにするなど機能も強化する予定です。他社がVR上で開催されるイベントへの出展が中心のなか、三越伊勢丹は既に独自のメタバース空間を構築・提供しており、小売・百貨店業界のメタバース活用をリードする存在といえます。

2.大丸松坂屋:VR上の百貨店で600種類の食品を販売

(画像:大丸松坂屋)

大丸松坂屋は、世界最大のメタバース/VRのイベント「バーチャルマーケット」への出展を発表しました。大丸松坂屋は専用のブースであるニューヨークの街並みを再現した空間に、「バーチャル大丸・松坂屋」を出展します。来場者は百貨店内で600種類以上のグルメの買い物を楽しんだり、大丸松坂屋の400年の歴史を体感できるアトラクションを楽しんだりすることができます。

食品ブースでは、来場者が自由に店内をまわり、食品3Dモデルを手に取って商品の形状を確認したり、バーチャルカタログで詳細を見たり、商品を購入することが可能です。夏に食べたい「しろくまアイス」や「盛岡冷麺」などのグルメを600点以上が販売される予定です。購入した商品は、後日自宅に届きます。

また、今回のイベント開催に伴い、「メタバース上で働くアルバイト」を初めて採用。バーチャル接客の経験があり、商品知識を身につけたスタッフが商品の魅力を伝えます。

3.阪急阪神百貨店:VR上の百貨店でVR接客を実施

.阪急阪神百貨店:VR上の百貨店でVR接客を実施
(画像:阪急阪神百貨店) 

阪急阪神百貨店は、世界最大のメタバース/VRのイベント「バーチャルマーケット」への出展を発表しました。来場者は自身のアバターの姿で、百貨店内を自由に歩き回り、洋服や食品、家電などの買い物を楽しむことができます。

洋服コーナーでは、実在する靴下を愛する阪神百貨店のスタッフが、アバターの姿で接客を担当し、来場者ひとり一人にピッタリの靴下をレコメンドしてくれます。実物の靴下をECから購入できるのはもちろん、実物と同様のデザインのアバターが着用できるデジタルアイテムとしての靴下も購入可能です。

食品コーナーでは、関西の名物グルメである「551HORAI」「阪神名物いか焼き」「クラブハリエ」「フジマル醸造所」などのショップが、阪神梅田本店内のショップをイメージした内装でメタバースに登場。ECサイトとも連携しており、購入後日本全国に発送可能です。

家電コーナーでは、人気の生活家電ブランド「バルミューダ」のコーヒーメーカーやケトルなどを3DCGで再現します。ケトルを手に持って好きな角度から眺めたり、椅子に座るなど人気のインテリアアイテムをVR上で試すことが可能です。

 

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②ファッション業界:BEAMS、NIKE

新型コロナウイルスの影響による外出制限によるオシャレ着需要の低下など、近年ファッション業界は苦境に立たされています。実店舗での新規顧客の獲得がますます難しくなるなか、VRプラットフォームとのコラボレーションやVR上のイベントへの出展により、普段自社のブランドの実店舗を訪れないような顧客層を獲得しようという動きが進んでいます。ファッション業界のマーケティングチャネルがSNSに大きくシフトしたように、今後VRも有力な顧客チャネルの1つに成長する可能性があります。

4.BEAMS:VRイベントへの出展を通じリアル店舗への送客も

BEAMS:VRイベントへの出展を通じリアル店舗への送客も
(画像:BEAMS)

ファッション大手であるビームスはVR領域への参入を果たしています。具体的な取り組みとしては、世界最大のVRイベントである「バーチャルマーケット」に4度出展を行っています。バーチャルマーケットとはメタバース上にある会場で、アバターなどのさまざまな 3D アイテムや、リアル商品(洋服、PC、飲食物など)を売り買いでき、日本はもとより世界中から100万人を超える来場者を誇る世界最大のVRイベントです。

バーチャルマーケットでは、アバター用の洋服であるデジタルアイテムの販売やライブなどのイベントの開催が行われました。アバター用の洋服であるデジタルアイテムは、ビームスの2022年の秋冬商品を3Dモデルに起こした、Tシャツやワンピースなどの全7種類が販売されました。

また、ライブでは池田エライザさんがバーチャルライブを開催し、メタバースに着想を得た新曲の発表も行われました。一方でリアルでの商品販売も行われ、バーチャルマーケットの出展を記念したリアルな洋服の商品もビームスの公式オンラインショップにて販売されました。4度目の参加の際には、関西のショップスタッフも含む約50名の社員が交代でバーチャル接客にあたり、VR上での接客を通じてリアル店舗への来客に繋がっている事例も生まれてきているとのことです。

5.NIKE:Roblox上にVR空間を構築しデジタルアセットを販売

NIKE:Roblox上にVR空間を構築しデジタルアセットを販売
(画像:NIKE)

NIKEは、メタバースプラットフォームRoblox(ロブロックス)上に没入型3D空間「NIKELAND」(ナイキランド)をオープンしました。ユーザーは3Dアバターを操作し、メタバース空間上に作られたバスケットボールコートなどの運動施設で、他のユーザーと共に鬼ごっこやドッジボールなどのスポーツを楽しむことができます。また、ツールキットを利用して自分だけのオリジナルミニゲームを制作することも可能です。さらに、デジタルショールームでは、NIKEのアパレルやシューズをデジタルアセットとして購入でき、アバターに装着させることで身体能力をアップさせることもできます。

 

NIKELANDは、NIKEのブランドとしての世界観を表現するためのマーケティングの施策としてだけでなく、VRという新たなマネタイズポイントの開拓に繋げる目的があると考えられます。

 

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③エンタメ業界:サンリオバーチャルフェス、ぴあ、阪神阪急HD

検索エンジン、EC、SNSに並ぶ次なるキラーサービスになるとも言われているVRですが、多様な業界の企業がVR領域に参入しており、サービス構築を目論んでいます。VRがより人々に普及し、VR上で過ごす時間が増えるようになると、VR領域でのビジネスの市場規模も拡大していくと考えられます。

6.サンリオバーチャルフェス:有名アーティストが集合

サンリオバーチャルフェス:有名アーティストが集合
(画像:サンリオ) 

サンリオバーチャルフェストは、VR上で開催された、リアル/バーチャルのアーティスト総勢52組が集まったライブイベントです。

アーティストは、AKB48などのリアルアーティストから、Vtuber、VRChat上で活動するアーティストまで、幅広いジャンルのアーティストが一堂に会することで、大きな話題を呼びました。

この取り組みのポイントは、ユーザーが求めるものを実現するために、企業や団体の垣根を超えたコラボレーションを実現させた点です。このように、ユーザーを特定の企業やプラットフォームに囲い込もうとするWeb2.0的な発想とは違った取り組みが、今後のVR市場の盛り上がりに繋がっていくでしょう。

7.ぴあ:バーチャルライブ向けの独自VR空間を構築

ぴあ:バーチャルライブ向けの独自VR空間を構築
(画像:ぴあ)

ぴあ株式会社は、バーチャルライブプラットフォーム「NeoMe」(ネオミー)をスマートフォンアプリのサービスとして提供開始しました。「NeoMe」は、ユーザーがアバターとなってバーチャル空間に入り、バーチャルライブを中心に、ユーザー同士の交流やアバターのコーディネートを楽しむことができるスマートフォンアプリです。

ぴあは、「NeoMe」を通じて、次世代を担う若手パフォーマーに対して、バーチャルを起点とした新たな表現や活動の場を提供しています。ユーザーやファンは、同じ趣味の人とつながる場を提供し、パフォーマーとユーザーの新たなコミュニティづくりを支援します。

バーチャルライブの第1弾となる「NeoMe Live Vol.1」には、ヤバイTシャツ屋さんが出演しました。

8.阪神阪急HD:VR上での音楽フェスを主催

阪神阪急HD:VR上での音楽フェスを主催
(画像:阪神阪急HD)

大手関西私鉄である阪神阪急HDは、VR上での音楽フェスである「JM梅田ミュージックフェス」を開催しました。JM梅田ミュージックフェスは、阪急阪神HDが百貨店を含む大阪・梅田の街を忠実に再現したVR空間上で実施されるオンライン音楽祭です。当イベントでは、VR空間となった大阪梅田を舞台に、VTuber等のバーチャルキャラクターによる音楽フェスが実施されました。アバターの姿で参加する来場者は、コンサートの参加、グッズ販売などのコンテンツが提供された他、バーチャルな梅田を高い没入感で体感できました。音楽フェスには30名を超えるVTuberなどのバーチャルアーティストが参加し、来場者数は8万人以上を記録する盛況となりました。

同社は、100年以上続けてきた「街づくり」のノウハウをVR領域でのビジネス展開に活用できるのではと考えています。

④広告業界:博報堂、電通

メタバースが人々の生活に普及しより多くの時間を過ごすようになると、Web/SNS広告に比べ、より多くのユーザーデータを獲得できる可能性を秘めています。

9.博報堂:VR空間上での広告枠の販売を開始

博報堂:VR空間上での広告枠の販売を開始
(画像:博報堂)

博報堂は国内企業としては初となる、VR空間内の広告枠の販売事業を開始しました。博報堂傘下のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)社は、デイリーアクティブユーザー約5000万人を誇る、世界最大級のゲーム型メタバース「Roblox(ロブロックス)」内での広告枠の販売を開始しました。

広告主はRoblox内の建物や看板に画像や動画の広告を掲載することが可能です。広告費用は場所やサイズによるものの、2週間の掲載枠が80万円〜とのことです。

10.電通:東京ゲームショウVRに基盤システムを提供

.電通:東京ゲームショウVRに基盤システムを提供
(画像:電通)

電通はバーチャル空間上で行われるイベント「東京ゲームショウVR」向けに、大型イベントのメタバース化を推進するシステムを開発・提供しました。

東京ゲームショウVRでは、ゲーム関連企業のみならず、飲料メーカーやアパレル企業などのブランドを体験できる特設ブースが設けられ、各ブースでの体験を通じて、リアルでは提供が難しいバーチャルならではのブランド体験の実現を目指しています。

同社は出資を行っているメタバース関連のスタートアップであるabmr社とともに、基盤プロダクトの改善を通じ、広告機能はもちろんのこと、VR空間ならではのブランド体験の構築やイベントでの体験全体の質向上を目指していくとのことです。

「東京ゲームショウVR2021」では、バーチャル会場の総来場者数は約21万人を記録、参加者の98.8%が再来訪意向を示すなど、大きな反響を呼びました。

⑤製造業界:川崎重工、ダイキン、日産自動車

VR上でのデジタルツインなどを活用したシミュレーションは、生産ラインのオペレーション改善にむけた重要なソリューションです。センサーの情報を常時または一定間隔でデジタルツインに送信することにより、トラブルの予測や故障の防止に役立てることができます。

また、現場の状況変化にもシミュレーションで迅速に対応することできるため、最小限の時間とリソースでの対応を可能にします。例えば、設備設計者は、数回のシミュレーションを行うことで、様々な変数が生産量に与える影響を確認し、運用に活かすことができます。

11.川崎重工:工場を丸ごとVR化を目指すと発表

川崎重工:工場を丸ごとVR化を目指すと発表
(画像:川崎重工)

川崎重工業はマイクロソフトのカンファレンス「Build2022」で、工場全体をメタバース化する「インダストリアルメタバース」の構築に取り組むと発表しました。
この取り組みにより、工場内の全工程を仮想空間に再現できるデジタルツインを構築し、離れた場所にいる人が各工程の状況を確認したり、操作したりできるようにすることを目指しているそうです。

同社は、マイクロソフトのIoTクラウド/IoTマネジメントソリューション、MRデバイス「HoloLens 2」、エッジAIソリューション「Azure Percept」により、複数の拠点で同時に、遠隔地の専門家からリアルタイムにアドバイスや支援を受けられるようにしました。これにより、ロボットの故障への迅速な対応、トラブルを未然に防ぐ予知保全が可能になります。

 

また、「Azure Digital Twins」も利用しており、過去、現在、未来の稼働状況を仮想空間で把握することで、物理的に離れた工場の問題の原因を特定し、対処・解決することができるようになるとのことです。

12.ダイキン:VRを活用し製造ラインのロスを削減へ

ダイキン:VRを活用し製造ラインのロスを削減へ
(画像:ダイキン工業)

2021年に空調製品を生産するダイキン工業は、堺製作所臨海工場(大阪府堺市)向けに、デジタルツインを搭載した新しい生産管理システムを開発しました。

この新たなシステムにより、同社は潜在的な問題を事前に予測し、迅速に対応することが可能になります。製造装置や組立作業、ワークフローの状態を監視し、仮想空間上に再現します。そして、過去の事象を詳細に分析し、将来起こりうる事象をシミュレーションすることで、潜在的な問題を予測します。

デジタルツイン生産管理システムの導入の結果として、2021年度には2019年度比で30%以上のロス削減を見込んでいるとのことです。

13.日産自動車:VR上での新車発表・試乗会を開催

日産自動車:VR上での新車発表・試乗会を開催
(画像:日産自動車)

日産自動車はVR上で、新型軽電気自動車「日産サクラ」の発表・試乗会を開催しました。イベントは参加者は世界最大のVR SNSプラットフォーム「VRChat」で開催されました。

発表会では日産副社長のアバターが登場し、ボイスレターが再生されました。

また、試乗会では日本の四季を感じられるドライブコースでバーチャルなサクラを運転することができます。自分で運転席に座って運転したり、後部座席に座ってみたりと、現実の試乗さながらの体験ができ、新車の特徴を確認することができます。メタバース上での試乗は通常の試乗とは違い、書類での手続きなども不要で、いつでもどこからでも体験可能なのが強みです。

このような試験的な取り組みを重ねるなかで、将来的に製品のプロモーションチャネルとしてVRが本格的に活用できるユースケースが確立されていくことが期待されます。

 

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⑥不動産業界:東急不動産、大和ハウス、神稲建設

VRにより、不動産会社は様々な時間的制約を解消することができます。その結果、業務効率を向上させることができます。従来の方法では、不動産会社は顧客を物件に案内する必要がありましたが、VRを利用することで、この時間のかかる作業を省くことができます。不動産会社は「物件訪問」「物件への移動」の時間を省くことで、成約までの工数を大幅に削減することができます

14.東急不動産:複数人での同時参加可能なVRモデルルームの構築

東急不動産:複数人での同時参加可能なVRモデルルームの構築
(画像:東急不動産)

東急不動産は、複数人が同時に参加できるモデルルームをブランズシティ湘南台マンションギャラリーにて公開しました。こちらのVRモデルルームはVR企画制作を行うハシラス社のVRソリューションである「キネトスケイプ」を活用しています。

これまでのVRモデルルームは体験人数が1人に限定されていましたが、こちらのソリューションを活用することにより、複数人で同時にVRを視聴することが可能になり、ご家族と話をしながらのリアルな内見さながらの体験をすることが可能です。こちらの物件は若い世代がターゲットであることから、VRでの物件提案が有効と考え導入を決定したとのことです。今後も他のマンションギャラリーへの活用を進める方針です。

 

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15.大和ハウス:VR上の住宅展示場を自由に見学

大和ハウス:VR上の住宅展示場を自由に見学
(画像:大和ハウス)

大和ハウスはアバターを用いて担当者と見学者がコミュニケーションを図りながら仮想空間上の住宅展示場を自由に見学できる「VR住宅展示場」を公開しました。ユーザーはスマホやタブレット・PCからVRにアクセスでき、最大6名の見学者とともに担当者にリアルタイムに質問や相談を実施することが可能です。

VR上にある住宅展示場という特徴を活かし地面から屋根の上までさまざまな角度から見学できることに加え、室内では子どもやペットなどの視点でも見学が可能です。また、見学者が床や壁紙・天井等の色や素材、インテリアなどを瞬時に切り替えて、イメージを検討することもできます。今後、対応する住宅商品ラインナップを拡充していく方針とのことです。

16.神稲建設:VR上のモデルハウスを自社で開発

神稲建設:VR上のモデルハウスを自社で開発
(画像:神稲建設)

総合建設業の神稲建設がVR上に同社の住宅展示場「くましろハウジング」を開設しました。ユーザーは同社HPより無料の専用アプリをダウンロードすることで見学が可能。住宅展示場ではCADデータを基に再現されたオリジナルの企画住宅をアバター姿で見学することができ、リビングや寝室、天井の高さなどの幅を確かめることができ、実際にモデルハウスを訪れているかのような臨場感を味わうことが可能です。

 

こちらの「くましろハウジング」はコロナ禍でモデルハウスを訪れる事が難しい、県外から移住したいといった要望を受け開発されました。今後は、イベントの開催などにより、来訪者同士でコミュニケーションが取れる場にしていきたいとのことです。

 

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⑦医療業界:comatsuna、越前市、MentaRest

病院を訪れることが難しい地方在住の患者や移動が困難な患者など物理的障壁を持つ患者への治療の実現や、手術の効率化などにメタバースを活用することができます。

さらに、これまで病院での病気の診察やメンタルヘルスのカウンセリングは、患者にとって心理的障壁の高いものでした。そこで、VR空間上でアバターを通じた診療やカウンセリングを行うことで、お互いの表情や声色は感じ取りつつ、リラックスした状態でのコミュニケーションを実現できるのではないかと期待されており、既に国内でもサービスが開発・提供されて始めています。

17.comatsuna:アバターを介した対話によるメンタルケアサービスを提供

comatsuna:アバターを介した対話によるメンタルケアサービスを提供
(画像:comatsuna)

デジタルヘルスケア・産業保健事業を手がけるcomatsuna社は先ごろ、VR/メタバースを活用した法人向け社員メンタル支援サービス「メンサポドクター」をリリースしました。メンズサポートドクターは、アバターを介したオンラインでのコミュニケーションによりメンタルヘルスの改善を図るもので、人見知りや対面でのコミュニケーションに抵抗のある方にも、気軽に利用できるメンタルヘルスケアサービスを提供することを目的とし開発されました。アバターを介したコミュニケーションが、対面での対話に比べ、人々の緊張を和らげ、より早く心を開いてもらい、悩みを相談しやすくすることができると考えているとのことです。

企業もこのサービスを導入することで、社員の潜在的な不満や不安、問題点をいち早く検出することができるとともに、社員のメンタル不調予防、離職予防に繋げることができます。

18.越前市:心の悩みを相談できる「メタバースこころの保健室」の設置

越前市:心の悩みを相談できる「メタバースこころの保健室」の設置
(画像:comatsuna)

越前市は、2023年2月14日よりデジタルヘルスケア・産業保健事業を手がけるcomatsuna社と共同で、「越前市メタバースこころの保健室」を開設しました。

 

このサービスは、こころの問題やお悩みを抱える人々に情報提供や相談支援を届けやすくする試みとして企画されました。アバターを介したコミュニケーションが、対面での対話に比べ、緊張を和らげ心を開きやすくし、結果的に悩みを相談しやすくなるという効果が期待されています。

 

この事例は、時間的・地理的制約を受けず、アバターの姿で気軽にカウンセリングをうけることができるというVRの特徴を、ヘルスケア領域で効果的に活用した事例として注目されています。

19.MentaRest:従業員のメンタル不調を改善するアバターカウンセリングの提供

MentaRest:従業員のメンタル不調を改善するアバターカウンセリングの提供
(画像:MentaRest)

MentaRestは、VR上の心理カウンセリングサービスである「MentaRest」を提供しています。アバターを通じたコミュニケーションによるカウンセリングにより、従業員のメンタルの不調を改善することを目的として、様々な企業が導入しています。

 

MentaRestでは、臨床心理士や公認心理士などの専門家がVR上で、科学的根拠に基づくカウンセリングを提供します。アバターを活用することでカウンセリングへの心理的障壁が低下し、自己開示が促され、相談者の悩みや感情をより詳細に把握することができます。

 

特に若い世代の間で、長時間労働や残業などによるストレスや心の悩みが問題化している現代社会において、MentaRestのようなVRを活用したカウンセリングサービスは、新たなメンタルケアのあり方として、とても有効な手段であると考えられます。

 

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⑧観光業界:ANA、大日本印刷

VR空間上に観光客を呼び込むメリットは新たな収益機会の獲得に留まりません。一度VR空間を訪れることで、その観光地の魅力を知った方が、その後実際にその観光地を訪れるきっかけに繋がることが期待されます。

20.ANA:バーチャル旅行プラットフォーム設立を目指す

ANA:バーチャル旅行プラットフォーム設立を目指す
(画像:ANA)

ANAホールディングスは、2022年5月に新会社「ANA NEO」の設立を発表しました。同社は、インターネット上の仮想空間で様々なアトラクションを体験できる「バーチャル旅行プラットフォーム」SKY WHALEの設立・運営を担当する予定です。2022年内のサービス開始を目指しています。

ANAホールディングスでは、アバターロボット「newme」を用いた遠隔案内などの実証実験を行っていますが、ANA NEOでは、ANAグループが航空会社として培ってきた知見や「newme」が提供する各種サービスを活用し、ビジネスモデルのデジタル化を推進します。仮想空間での地域コミュニティによる経済発展や社会課題の解決を促進することで、生活者に新たな価値の創造を目指すとのことです。

同社がリリース予定のSKY WHALEは、「Skyパーク」「Skyモール」「Skyビレッジ」という3つのサービスで構成されています。

「Skyパーク」はバーチャル旅行テーマパークであり、3次元CGで描かれた世界のさまざまな都市や景勝地で、誰もが気軽に楽しめる新しい旅行体験をお客様に提供します。

「Skyモール」では、ご家族やご友人と自由にモール内を回遊し、お買い物や各種イベントを楽しむことができます。スカイモールは、ANAグループならではの品揃えを世界中のお客様のお手元にお届けする越境ECサービスで、偶然の出会いの楽しさや利便性を提供し、地域振興や地産外商の促進を図ります。

「Skyビレッジ」ではバーチャルにおけるスマートシティの実現を目指して、バーチャル上での医療・教育・行政などのサービス展開を予定しているとのことです。

21.大日本印刷:VR空間上に「バーチャル秋葉原」をオープン

大日本印刷:VR空間上に「バーチャル秋葉原」をオープン
(画像:大日本印刷)

大日本印刷とAKIBA観光協議会は、現実世界と仮想世界を融合させた地域共創型XR街づくりプロジェクトとして、2022年4月に「バーチャル秋葉原」をオープンしました。生活者は、PC用アプリケーションやVRゴーグル、Webブラウザなどを通じて、世界のどこからでもいつでも秋葉原の魅力を楽しむことができます。仮想空間には、ショッピングができる店舗やギャラリースペース、広告看板などが設置されており、コンテンツホルダーをはじめとする様々な企業が、情報発信や販促活動を行う「第3のチャネル」として利用することができます。

秋葉原の特徴である商標の看板等も地元企業の協力のもと、バーチャルリアリティ上で再現します。一部のバーチャル店舗の中には、商品などを展示するスペースがあり、ECサイトへ誘導して購入に繋げることができます。

バーチャル秋葉原は、ユーザーの分身であるアバターが集まり、動画視聴や商品購入、バーチャルゲームへの参加などを同時に行うことができる空間です。現実の特性を踏まえ、企業はコンテンツを提供・実施するだけでバーチャル秋葉原の世界に参加できます。

また、クリエイターが同一IPの二次創作を行い、スペース内で展示・販売できるよう、新たなビジネススキームを準備しています。コンテンツはNFTで管理し、クリエイティブビジネスの健全な循環を実現するとのことです。

 

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⑨自治体:バーチャル大阪、吉本興業×養父市

VR上に観光名所などを再現することで、いつでもどこからでも気軽に観光を楽しんでもらい、地方の魅力を発信することができます。

また、VR上での観光体験だけでなく、その後現地を訪れてもらうきっかけとする取り組みも、多くの地方自治体で進められています。

さらに、地方自治体に収益の還元されるNFTを販売することで、地方自治体にとっての新たな収益源や他地域に住む多様な人材との繋がりを獲得することができます。

22.バーチャル大阪:VRで大阪の魅力を発信

バーチャル大阪:VRで大阪の魅力を発信
(画像:バーチャル大阪)

バーチャル大阪は、大阪府と大阪市がKDDIと共同で展開する都市連動型メタバースです。2025年開催の大阪・関西万博に先駆けて、道頓堀など大阪市内をモチーフにした「新市街」エリアが登場し、大阪の都市の魅力を国内外に発信しています。公式サイトからVRサービス「Cluster」をインストールして無料アカウントを登録するだけでバーチャル大阪に入ることができます。

 

自宅や外出先から多様なデバイスを使用してバーチャル大阪に参加することで、リアルタイムで世界中の人とコミュニケーションを取りながら、バーチャル音楽ライブ等のエンタメコンテンツやアバターを介したユーザー自らの創作活動など、様々な楽しみ方を体験することができます。今後は、バーチャル商店街で買い物すると実際に商品が届いたり、イベント会場で音楽ライブが開催されたり、さらなる発展に期待が集まります。

 

道頓堀や大阪城など大阪市内のランドマークが集結していたり、太陽の塔をモチーフにしたアバター衣装を着たりすることができ、大阪の魅力を感じることのできるデジタルコンテンツとなっています。

23.吉本興行×養父市:かつての日本一の鉱山をVR上に再現

吉本興行×養父市:かつての日本一の鉱山をVR上に再現
(画像:吉本興業)

吉本興業は人口約2万人、兵庫県北部に位置する養父市の観光名所を再現したVR空間をリリースしました。

ユーザーは、かつて日本一のすず鉱山として栄えた明延鉱山の坑道後を観光したり、吉本興行所属のタレントコラボした採掘ゲームを楽しんだり、市役所を訪れ、デジタル住民票交付してもらったりすることができます。

バーチャル養父のオープニングイベントには、吉本興業所属のお笑い芸人である、野生爆弾くっきー!さんやとろサーモンの村田さんらが参加し、その様子は吉本の映像配信サービス「FANCY」によってライブ配信されました。

また、イベントで養父市市長がアバター姿で登場し、「メタバースには無限の可能性があると思います。世界中どこからでも来ていただけるので、いろんな国の方々に来てもらって、養父市の自然や観光名所を楽しみ、市民とも交流してもらいたい。そして、ゆくゆくは現実世界でも体験しに来ていただければ。バーチャルでは100万人都市を目指しています」とコメントしました。

⑩金融業界:みずほ銀行、JPモルガン

VRの金融業界での活用目的として、新たな営業チャネルとしての活用できる点が挙げられます。VR空間上に仮想店舗を設置し、現実の店頭で行っていたような営業活動を行ったり、VRならではの体験を通じたプロモーションへの活用が想定されます。

24.みずほ銀行:VR空間上に店舗を開設し、決済機能提供などを検討

みずほ銀行:VR空間上に店舗を開設し、決済機能提供などを検討
(画像:みずほ銀行)

みずほフィナンシャルグループは、2022年8月に開かれる世界最大のVRイベントである「バーチャルマーケット2022」への出展を発表しました。

銀行店舗をイメージした出店ブースでは、ボルダリング体験やオリジナル3Dモデルの配布をはじめ、ゲストを招いた金融知識に関する座談会が行われる予定です。座談会では、金融知識を有するみずほ社員と、アバターを介したコミュニケーションを取ることも可能となっています。

同社は、将来的にはVR空間上の店舗にて資産形成の相談や商談を実施したり、決済手段の提供などを含めたVR空間上での新たな経済活動に対するソリューションの提供を目指すとのことです。また、現状VR空間には統一された決済手段が存在しないため、みずほの決済サービス「Jコインペイ」の技術を応用した決済サービスの提供が検討されています。

25.JPモルガン:VR上に仮想店舗を開設、金融サービス提供へ

JPモルガン:VR上に仮想店舗を開設、金融サービス提供へ
(画像:JPモルガン・チェース)

米国大手銀行のJPモルガン・チェースは、仮想空間上に自由に建物を建てられるVR空間である「ディセントラランド(Decentraland)」に仮想店舗を開設しました。ユーザーはアバターとしてこの店舗を訪れることで、暗号資産に関する情報を得ることができます。仮想店舗の開設を通じて、実際のVR上での顧客の需要を探りながら、将来的な金融サービスの提供を検討しているものと考えられます。

 

同社が発表したレポートには「ウォルマート(Walmart)、ナイキ(Nike)、ギャップ(Gap)、ベライゾン(Verizon:米携帯端末事業者)、Hulu、PWC、アディダス(Adidas)、アタリ(Atari:米ゲーム企業)などの有名企業をはじめ、さまざまな形態や規模の企業がさまざまな方法でメタバースに参入している」、「やがて仮想不動産市場でも、クレジット、住宅ローン、賃貸契約など、物理的な世界と同じようなサービスが始まるだろう」との記載がありました。

 

また、同社でクリプト・メタバース関連を統括するクリスティン・モイ氏は「メタバースの発展は、ユーザーがリアルとバーチャルの世界を行き来できるような、強固で柔軟な金融システムを構築できるかにかかっている」と述べています。

 

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企業がVR活用で成果を上げるための5つのポイント

企業がVR活用で成果を上げるための5つのポイント

企業がVR活用で成果を上げるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
  • ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
  • ③ユーザーファーストなUX設計
  • ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
  • ⑤強力な開発・運用体制の構築

 

それぞれについて分かりやすく紹介していきます。

①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ

1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。

デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。

 

VR活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。

②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案

2つ目のポイントは、VRを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。

現在VR活用に取り組む企業には、VR活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。

 

その結果、活用のPDCAが回らない、VR活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。

 

自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜVRではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。

③ユーザーファーストな企画・UX設計

3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなVRの企画・UX設計です。

現在、多くの企業がVRに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなVRが多く存在します。それらのVRは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。

 

そのため、「VRならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。

④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進

4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。

VR市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。

 

そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。

⑤強力な開発・運用体制の構築

5つ目のポイントは、強力なVR開発・運用体制の構築です。

高いユーザー体験と事業性を両立するVRの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。

 

VR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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