VR制作の進め方とは?費用やおススメの制作会社、事例10選も紹介

FacebookのMeta社への社名変更をきっかけにVRの活用に注目が集まっています。様々な業界、企業でVR制作やVRを活かしたサービス開発が進められています。

 

一方、VR制作といっても、VRサービス・コンテンツは様々なバリエーションや制作方法があり、進め方や費用の相場が分からないという方も多いのではないでしょうか?

 

そこで今回は、VR制作の進め方や費用相場、おすすめのVR制作会社をご紹介します。

本記事を読めば、自社にマッチするVR活用の進め方のヒントを得られるかと思いますので、ぜひ最後までお読みください。


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目次

そもそもVR(Virtual Reality:仮想現実)とは?

バーチャル秋葉原 VR
(画像:バーチャル秋葉原)

VRとはVirtual Realityの略称で、別名仮想現実とも呼ばれます。最先端の3DモデリングやVRデバイス等の技術により、まるでその世界に入り込んでいるかのように感じられる、デジタル上の仮想空間を提供する技術のことです。

 

様々なユースケースがありますが、特にゲーム業界での利用が広がっており、まるでゲームの世界に入り込んだかのような没入感・臨場感を感じながらプレイすることが出来ます。

VRを作る2つの方法

VR 制作方法

VRを作る方法として主に以下の2つがあります。

 

  • ①制作会社に依頼をする
  • ②制作ツール/プラットフォームを活用する

 

それぞれの制作方法について分かりやすく紹介します。

①制作会社に依頼をする

1つ目は制作会社に依頼をする方法です。

メリットとして以下の4点が挙げられます。

  • 制作会社の豊富な経験やスキルをもとにハイクオリティなVR制作が行える
  • 自社の要望に対してオーダーメイドに近い形でVR制作が行える
  • 自社社員に経験や知識が無くともVR制作を行える
  • 自社社員のリソースを大きく節約できる

 

一方デメリットとしては、自社での開発や制作ツール/プラットフォームを活用する場合に比べ、費用がかかってしまう点が挙げられます。

②制作ツール/プラットフォームを活用する

2つ目は制作ツール/プラットフォームを活用する方法です。

メリットとしてVR制作の費用を抑えることができる点が挙げられます。

 

一方のデメリットは以下の3点です。

  • 制作できるVRの機能や体験、ビジュアルなどに制限がある
  • 経験やスキルを有した社員がいない場合、制作を進めるハードルや工数が大きい
  • 自社社員が手を動かす必要があり、労働リソースが必要になってしまう

 

そのため、制作ツール/プラットフォームは、プロモーション等に活用する簡易的なVRの制作のために使うことが一般的です。

 

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VR制作の費用相場とは

VR制作の費用は、以下の2つの場合によって相場が異なります。

 

  • ①制作会社に依頼した場合
  • ②制作ツール/プラットフォームを活用した場合

 

それぞれを分かりやすく解説していきます。

①制作会社に依頼した場合

VR 制作会社 費用

VR制作を制作会社に依頼する場合は、上の表のようにどの工程を依頼するかによって金額が変わります。全ての工程を依頼した場合、3DCGの作成数にもよりますが、最低でも80万円、平均すると250万円以上はかかる計算です。そのため、自社の人材や開発能などのアセットと相談し、必要な分だけ外注するのがおすすめです。

 

項目別や事例別の費用について、詳しくはこちらの記事で解説しています。

②制作ツール/プラットフォームを活用した場合

VR制作ツール/プラットフォームを用いて、プロモーション等に活用する簡易的なVRを作成する場合、多くのVR制作ツール/プラットフォームは月額約3万円程度〜で利用できます。基本のプランが月額制で設定されており、作成できるVRの数や、表現できるコンテンツのリッチさなどにより追加で課金する設定となっていることが多いです。

 

VR制作のおすすめツールと料金についてはこちらの記事で紹介しています。

おススメのVR制作会社5選

VR 制作会社

VR制作を依頼できるおススメの制作会社は以下の5社です。

 

  • ①ホロラボ:HoloLensのアプリ開発に強み
  • メタバース総研:戦略/企画策定が強みのXRコンサル・開発企業
  • ③面白法人カヤック:数多くのクリエイターが在籍
  • ④ハシラス:VRアトラクションの実績が豊富
  • ⑤積木製作:建築に特化し、豊富なナレッジを蓄積

 

それぞれを分かりやすくご紹介していきます。

①ホロラボ:HoloLensのアプリ制作に強み

ホロラボ:HoloLensのアプリ開発に強み
(画像:ホロラボ)

ホロラボは、Windows Mixed Realityなどのシステムやアプリケーションの研究・開発をしている企業です。ホロラボは国内の大手企業に利用されており、トヨタ自動車株式会社や東急建設株式会社などを支援しています。

 

ホロラボの強みは次の3点です。

  • 1.HoloLensのアプリ開発が得意な点
  • 2.教育プログラムの開発をしている点
  • 3.新しい技術の普及や技術者同士の交流を促進している点

1.HoloLensのアプリ開発が得意な点

ホロラボは2017年1月18日、Microsoft HoloLens の日本上陸の日に設立された研究開発型の企業であり、Windows Mixed Realit(マイクロソフトが開発している複合現実のプラットフォーム)に代表されるMicrosoft HoloLens関連の最新技術をいち早く使いこなしています。

2.教育プログラムの開発をしている点

Windows Mixed Realityなどの最新技術を簡単に理解できるような教育プログラムの開発を行っており、プログラムを通じて自社ナレッジを蓄積させています。

3.新しい技術の普及や技術者同士の交流を促進している点

展示やデモ、カンファレンスなどを通じて、他社と協力して新しい技術の普及や技術者同士の交流を促進しており、業界の最新技術を取り入れた研究や開発を可能にしています。

②メタバース総研:各社の目的達成に向けた成果に繋がるメタバース/XRを制作

メタバース総研:各社の目的達成に向けた成果に繋がるメタバース/XRを開発

メタバース総研は、企業向けのメタバース/XRのコンサルティング・開発を行っている会社です。

  

メタバース総研の強みとして以下の3点が挙げられます。

 

  • 1.国内最大級のメディア運営/豊富なコンサルティング経験による戦略策定力
  • 2.中立的な立場から各社に最適なツール/プラットフォームを選定可能
  • 3.強力なパートナー企業/クリエイターによる総合的な支援力

1.国内最大級のメディア運営/豊富なコンサルティング経験による戦略策定力

メタバース総研 国内最大級のメディア運営/豊富なコンサルティング経験による戦略策定力

メタバース総研は、国内最大級のビジネスに特化したメタバース/XRメディアの運営と幅広い業界の大手企業へのコンサルティング経験を通じた戦略策定力を強みとしています。

 

そのため支援の際は、クライアント企業様の事業の課題・活用の目的を踏まえたメタバースの活用戦略/企画策定を徹底しています。このこだわりが、多くの企業が陥っている”メタバース/XR活用自体の目的化”を防ぎ、成果に繋がる活用を実現します。

2.中立的な立場から各社に最適なツール/プラットフォームを選定可能

メタバース総研 中立的な立場から各社に最適なツール/プラットフォームを選定可能

メタバース総研は、特定のメタバース/XR開発ツールやプラットフォームを有していません。

 

そのため、特定の開発ツールやプラットフォームの活用ありきの支援ではなく、中立的な立場からクライアント企業様のプロジェクト毎に最適なプラットフォームやツールを選定し、支援することが可能です。

3.強力なパートナー企業/クリエイターによる総合的な支援

メタバース総研 強力なパートナー企業/クリエイターによる総合的な支援

メタバース総研は、技術領域・ユースケース毎に、業界を代表する実績/ソリューションを有する12社の企業や38名のクリエイターとパートナーとして協働しています。

 

そのため、クライアント企業様の課題やご要望に合わせ、パートナー企業/クリエイターらとともに最適な各種ソリューションをご提供しています。

 
※メタバース総研は豊富な経験とナレッジに基づき、各社様に合わせた先進事例や具体的な活用アイデアなどの最新ナレッジをご提供させていただいております。 メタバース/XR活用でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
メタバース/XRのビジネス活用個別無料相談会の詳細はこちら

③面白法人カヤック:数多くのクリエイターが在籍

面白法人カヤック:数多くのクリエイターが在籍
(画像:面白法人カヤック)

面白法人カヤックは、広告やPRの受託開発を行う「面白プロデュース事業」やソーシャルゲームの開発・運用を行う「ゲーム・エンタメ関連事業」、ゲームやeスポーツのコミュニティに特化した「eスポーツ関連事業」などの事業を展開する企業です。面白法人カヤックは、沢井製薬やソニー・ミュージックエンタテインメント、スクウェア・エニックス、明治などの大手企業の支援をしています。

 

面白法人カヤックの強みは次の3点です。

  • 1.クリエイティビティのあるクリエイターを多く抱えている点
  • 2.広告的なVRコンテンツが得意な点
  • 3.VRのニュースを語るポッドキャストを運営している点

1.クリエイティビティのあるクリエイターを多く抱えている点

「つくる人を増やす」の経営理念のもと会社経営を行っているため、社内にクリエイティビティのあるクリエイターを多く抱えているのが特徴で、面白いサービスを次々にリリースしてきました。

2.広告的なVRコンテンツが得意な点

VR領域においては、企業の課題を解決する広告的なVRコンテンツなど、様々なシーンでVRコンテンツの企画・実装・演出を行い、世の中にまだない新しい体験を次々と生み出しています。

3.VRのニュースを語るポッドキャストを運営している点

「カヤックVR部VRadio」をSoundCloudとYouTubeで配信中しており、運営を通じて蓄積されたナレッジをVR制作に活かしています。

④ハシラス:VRアトラクションの実績が豊富

ハシラス:VRアトラクションの実績が豊富
(画像:ハシラス)

ハシラスは、VRコンテンツ専門の制作会社です。なかでも、ハイエンドVRデバイスと独自のハードウェア・ソフトウェアを組み合わせた、VRアトラクションの企画・制作の実績が豊富となっています。ハシラスは、株式会社サンシャインシティや株式会社リクルートテクノロジーズなどのハイエンドVRの制作支援をしています。

 

ハシラスの強みは次の3点です。

  • 1.豊富な導入実績・事例と圧倒的な体験ユーザー数
  • 2.オリジナル体感ハードウェアの作成
  • 3.ハイエンドVRの豊富なノウハウ

1.豊富な導入実績・事例と圧倒的な体験ユーザー数

ハシラスは2014年からVRアトラクションの開発を行なっており、国内外問わず多数の施設にコンテンツを納入しています。多くの実績と、圧倒的な体験ユーザー数から得られるフィードバックにより、豊富な技術・知見を育んでいます。

2.オリジナル体感ハードウェアの作成

VR向けライドなどの体感ハードウェアを自主制作している点がハシラスのコンテンツ制作の特徴であり、良好な体感性やアテンド性、酔い防止などの最新の知見を盛り込んだハードウェアを継続的に開発しています。

3.ハイエンドVRの豊富なノウハウ

ハシラスはハイエンドなVR機器をフル活用した体験価値の高いコンテンツ制作を得意としています。一般的な360度動画と異なり、現実の身体とVR空間が相互作用するコンテンツを実現しています。アニメやマンガなどのIP活用においても、原作そのままの世界観に体験者自身が入り込んで活躍できるリッチなコンテンツ制作が可能です。

⑤積木製作:建築用 CGVRコンテンツの制作会社

積木製作:建築用 CGVRコンテンツの制作会社
(画像:積木製作)

積木製作は、建築用 CG 制作と VR コンテンツ制作を 2 本柱に事業を展開している企業です。積木製作は、大林組や鹿島建設や九州旅客鉄道や大和ハウス工業などの支援をしています。

 

積木製作の強みは次の3点です。

  • 1.建築に特化したVR制作会社
  • 2.建築のノウハウ
  • 3.自社サービス「安全体感VRトレーニング」

1.建築に特化したVR制作会社

建築の専門知識に加え画やCGのクオリティーにも定評があり、建築に特化したVR制作会社としてマンションやオフィス、公共事業などの支援を行っています。また、マイクロソフト社から「Microsoft Mixed Realityパートナー」として正式に認定されており、技術力の高さも評価されています。

2.建築のノウハウ

積木製作は、一級建築士でもある城戸太郎氏が2003年9月に設立した企業で、支援先に建設会社や不動産や鉄道会社が多く建築に特化したノウハウが豊富に蓄積されています。

3.自社サービス「安全体感VRトレーニング」

「安全体感VRトレーニング」は160社以上に採用されたVR体感教育で、1台38,500円(税込)という低価格で利用可能です。

VRのビジネス活用を成功させるための5つのポイント

VR ビジネス活用 ポイント

VRのビジネス活用を成功させる方法として以下の5つが挙げられます。

 

  • ①実際にVRに触れ理解の解像度を高める
  • ②市場/競合の動向や事例をキャッチアップする
  • ③VR活用の目的や課題の明確にする
  • ④不足するケイパビリティやリソースを補完する
  • ⑤プロジェクトをアジャイルに推進する

 

それぞれについてわかりやすく解説していきます。

①実際にVRに触れ理解の解像度を高める

VRChat
(画像:VRChat

VRのことを理解するには、VRを体験してみるのが一番です。

VRに触れることで、VRの魅力や現在の可能性・制約をより深く理解することができます。

一方で、VRのビジネス活用を検討されている担当者の方のなかにも、「実はVRを体験したことが無い」という方がまだまだいらっしゃる印象です。

もしまだ体験されていない方は、MetaQuestなどのVRデバイスを使用して体験してみると、VRの最大の魅力の1つである没入感を体感できます。手軽に試したい場合はスマホやPCからでも簡易的な体験が可能です。

また、初心者の方におススメのVRサービスとしては、「Cluster」という日本最大のSNS型メタバースや、「VRChat」という世界最大級のVRサービスなどが挙げられます。どちらもスマートフォンのアプリストアから簡単にダウンロードし、無料で利用できます。

②市場/競合の動向やナレッジをキャッチアップする

VRの活用を検討する企業の担当者の方は、テクノロジー、ユーザー、ビジネス戦略の観点から多岐にわたる情報をキャッチアップする必要があります。

近年メタバース市場は大きな成長を見せており、関連テクノロジーの進化や幅広い業界の企業の参入、様々なビジネス活用向けサービス・ツールのリリースなど、日々大きな動きを見せています。

このように刻々と変化する国内外の市場/競合の動向や事例、ナレッジのキャッチアップ・分析が、成果に繋がるメタバース活用の前提となります。

③VR活用の目的や課題の明確にする

VRは今後大きな市場成長が予想される領域であり、国内外の幅広い業界の企業が参入を発表し、活用に向けたサービスやツールなども多数登場しています。

その影響から、「競合が参入しているからウチも参入してみよう」、「面白そうなツールがあるから導入してみよう」といった、打ち手ベースの検討に留まってしまう傾向にあります。

一方で、VRのビジネス活用といっても、目的やユースケース、活用し得るツール、サービスは様々です。

そのため、「そもそも自社のどのような課題を解決したいのか」、「課題解決の方法としてVR活用が適しているのか?」といった上流工程の検討をしっかりと行うことが重要です。

④不足するケイパビリティやリソースを補完する

企業でのVR活用は、プロジェクトマネージャー、デザイナー、エンジニア、メタバースのエキスパートなど様々な能力をもった人材を必要とします。一方で、新規のプロジェクトでこのような人材を十分に確保できることは稀です。

また、プロジェクトで成功を収めるためには、プロジェクトの立ち上げだけでなく、中長期的にプロジェクトを推進し、仮説検証を回し続けることが重要です。

そのため、不足するケイパビリティやリソースをVRコンサルや開発ベンダーなどの活用により補完することが有効となります。

⑤プロジェクトをアジャイルに推進する

VR市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあります。様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、活用法を模索している段階です。

そのため、計画と実行のプロセスをアジャイルに回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないための重要なポイントといえます。

企業の業界別VR活用事例10選

VR 活用事例

企業がVRの活用を進める業界別の代表事例として以下の10個が挙げられます。

 

  • ①小売業界:三越伊勢丹がVR空間上に百貨店を再現
  • ②ファッション業界:BEAMSがVRイベントへの出展を通じリアル店舗への送客
  • ③エンタメ業界:ぴあがバーチャルライブ向けの独自メタバースを構築
  • ④広告業界:博報堂がVR空間上での広告枠の販売を開始
  • ⑤製造業界:日産自動車がVR上での新車発表・試乗会を開催
  • ⑥不動産業界:東急不動産が複数人での同時参加可能なVRモデルルーム
  • ⑦医療業界:comatsunaがアバターを介した対話によるメンタルケアサービス
  • ⑧観光業界:大日本印刷がVR空間上に「バーチャル秋葉原」をオープン
  • ⑨自治体:吉本興行×養父市がかつての日本一の鉱山をVR空間上に再現
  • ⑩金融業界:みずほ銀行がVR空間上に店舗を開設し、決済機能提供などを検討

 

それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。

 

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①小売業界:三越伊勢丹がVR空間上に百貨店を再現

三越伊勢丹 VR
(画像:三越伊勢丹)

三越伊勢丹は、独自のメタバース上の仮想都市である「レヴ ワールズ」を構築し提供しています。来場者はアバターの姿で、デジタル空間の「バーチャル伊勢丹」での買い物を楽しむことができます。店員のアバターも配置され、チャット機能を使った接客も受けられます。

また、メタバース上ではバーチャルファッションショーを楽しんだりや人気格闘漫画『刃牙』シリーズに登場する“地下闘技場”をモデルとしたイベントスペースが設けられ、アバターとなった一部の人気キャラクターに会えたり、関連するデジタルアイテムを入手したりすることもできます。

現在は婦人服や食品など180ブランドを扱っていますが、今後は家具や日用品にも対象を広げる方針です。友人のアバターと一緒に会話しながら買い物できるようにするなど機能も強化する予定です。他社がメタバース上で開催されるイベントへの出展が中心のなか、三越伊勢丹は既に独自のメタバース空間を構築・提供しており、小売・百貨店業界のメタバース活用をリードする存在といえます。

②ファッション業界:BEAMSがVRイベントへの出展を通じリアル店舗への送客

BEAMS VR
(画像:BEAMS)

ファッション大手であるBEAMSはVR領域への参入を果たしており、世界最大のVRイベントである「バーチャルマーケット」に4度出展を行っています。バーチャルマーケットとはメタバース上にある会場で、アバターなどのさまざまな 3D アイテムや、リアル商品(洋服、PC、飲食物など)を売り買いでき、日本はもとより世界中から100万人を超える来場者を誇る世界最大のVRイベントです。

BEAMSはバーチャルとリアルの両方で顧客との接点をつくりました。バーチャルマーケットでは、アバター用の洋服であるデジタルアイテムの販売や、ライブなどのイベント開催をした一方、リアルな洋服もBEAMSの公式オンラインショップにて販売しました。4度目の参加の際には、関西のショップスタッフも含む約50名の社員が交代でバーチャル接客にあたり、VR上での接客を通じてリアル店舗への来客に繋がっている事例も生まれてきているとのことです。

 

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③エンタメ業界:ぴあがバーチャルライブ向けの独自メタバースを構築

ぴあ VR
(画像:ぴあ)

ぴあ株式会社は、バーチャルライブプラットフォーム「NeoMe」(ネオミー)をスマートフォンアプリのサービスとして提供開始しました。「NeoMe」は、ユーザーがアバターとなってバーチャル空間に入り、バーチャルライブを中心に、ユーザー同士の交流やアバターのコーディネートを楽しむことができるスマートフォンアプリです。

ぴあは、「NeoMe」を通じて、次世代を担う若手パフォーマーに対して、バーチャルを起点とした新たな表現や活動の場を提供しています。ユーザーやファンは、同じ趣味の人とつながる場を提供し、パフォーマーとユーザーの新たなコミュニティづくりを支援します。

バーチャルライブの第1弾となる「NeoMe Live Vol.1」には、ヤバイTシャツ屋さんが出演しました。

④広告業界:博報堂がVR空間上での広告枠の販売を開始

博報堂 VR
(画像:博報堂)

博報堂は国内企業としては初となる、VR空間内の広告枠の販売事業を開始しました。博報堂傘下のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)社は、デイリーアクティブユーザー約5000万人を誇る、世界最大級のゲーム型メタバース「Roblox(ロブロックス)」内での広告枠の販売を開始しました。広告主はRoblox内の建物や看板に画像や動画の広告を掲載することが可能です。広告費用は場所やサイズによるものの、2週間の掲載枠が80万円〜とのことです。

 

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⑤製造業界:日産自動車がVR上での新車発表・試乗会を開催

日産自動車 VR
(画像:日産自動車)

日産自動車はメタバース上で、新型軽電気自動車「日産サクラ」の発表・試乗会を開催しました。イベントは参加者は世界最大のVR SNSプラットフォーム「VRChat」で開催されました。

発表会では日産副社長のアバターが登場し、ボイスレターが再生されました。

また、試乗会では日本の四季を感じられるドライブコースでバーチャルなサクラを運転することができます。自分で運転席に座って運転したり、後部座席に座ってみたりと、現実の試乗さながらの体験ができ、新車の特徴を確認することができます。メタバース上での試乗は通常の試乗とは違い、書類での手続きなども不要で、いつでもどこからでも体験可能なのが強みです。

このような試験的な取り組みを重ねるなかで、将来的に製品のプロモーションチャネルとしてメタバースが本格的に活用できるユースケースが確立されていくことが期待されます。

⑥不動産業界:東急不動産が複数人での同時参加可能なVRモデルルーム

東急不動産 VR
(画像:東急不動産)

東急不動産は、複数人が同時に参加できるモデルルームをブランズシティ湘南台マンションギャラリーにて公開しました。こちらのVRモデルルームはVR企画制作を行うハシラス社のVRソリューションである「キネトスケイプ」を活用しています。

これまでのVRモデルルームは体験人数が1人に限定されていましたが、こちらのソリューションを活用することにより、複数人で同時にVRを視聴することが可能になり、ご家族と話をしながらのリアルな内見さながらの体験をすることが可能です。こちらの物件は若い世代がターゲットであることから、VRでの物件提案が有効と考え導入を決定したとのこと。今後も他のマンションギャラリーへの活用を進める方針です。

⑦医療業界:comatsunaアバターを介した対話によるメンタルケアサービス

comatsuna VR
(画像:comatsuna)

デジタルヘルスケア・産業保健事業を手がけるcomatsuna社は先ごろ、メタバースを活用した法人向け社員メンタル支援サービス「メンサポドクター」をリリースしました。メンズサポートドクターは、アバターを介したオンラインでのコミュニケーションによりメンタルヘルスの改善を図るもので、人見知りや対面でのコミュニケーションに抵抗のある方にも、気軽に利用できるメンタルヘルスケアサービスを提供することを目的とし開発されました。

同社はアバターを介したコミュニケーションが、対面での対話に比べ、人々の緊張を和らげ、より早く心を開いてもらい、悩みを相談しやすくすることができると考えているとのことです。

企業もこのサービスを導入することで、社員の潜在的な不満や不安、問題点をいち早く検出することができるとともに、社員のメンタル不調予防、離職予防に繋げることができます。

⑧観光業界:大日本印刷がVR空間上に「バーチャル秋葉原」をオープン

大日本印刷 VR
(画像:大日本印刷)

大日本印刷とAKIBA観光協議会は、現実世界と仮想世界を融合させた地域共創型XR街づくりプロジェクトとして、2022年4月に「バーチャル秋葉原」をオープンしました。生活者は、PC用アプリケーションやVRゴーグル、Webブラウザなどを通じて、世界のどこからでもいつでも秋葉原の魅力を楽しむことができます。仮想空間には、ショッピングができる店舗やギャラリースペース、広告看板などが設置されており、コンテンツホルダーをはじめとする様々な企業が、情報発信や販促活動を行う「第3のチャネル」として利用することができます。

秋葉原の特徴である商標の看板等も地元企業の協力のもと、バーチャルリアリティ上で再現します。一部のバーチャル店舗の中には、商品などを展示するスペースがあり、ECサイトへ誘導して購入に繋げることができます。

バーチャル秋葉原は、ユーザーの分身であるアバターが集まり、動画視聴や商品購入、バーチャルゲームへの参加などを同時に行うことができる空間です。現実の特性を踏まえ、企業はコンテンツを提供・実施するだけでバーチャル秋葉原の世界に参加できます。

また、クリエイターが同一IPの二次創作を行い、スペース内で展示・販売できるよう、新たなビジネススキームを準備しています。コンテンツはNFTで管理し、クリエイティブビジネスの健全な循環を実現するとのことです。

⑨自治体:吉本興行×養父市がかつての日本一の鉱山をVR上に再現

吉本興行 VR
(画像:吉本興行)

吉本興業は人口約2万人、兵庫県北部に位置する養父市の観光名所を再現したVR空間をリリースしました。

ユーザーは、かつて日本一のスズ鉱山として栄えた明延鉱山の坑道後を観光したり、吉本興行所属のタレントコラボした採掘ゲームを楽しんだり、市役所を訪れ、デジタル住民票交付してもらったりすることができます。

バーチャル養父のオープニングイベントには、吉本興業所属のお笑い芸人である、野生爆弾くっきー!さんやとろサーモンの村田さんらが参加し、その様子は吉本の映像配信サービス「FANCY」によってライブ配信されました。

また、養父市長はアバター姿で登場し、「メタバースには無限の可能性があると思います。世界中どこからでも来ていただけるので、いろんな国の方々に来てもらって、養父市の自然や観光名所を楽しみ、市民とも交流してもらいたい。そして、ゆくゆくは現実世界でも体験しに来ていただければ。バーチャルでは100万人都市を目指しています」とコメントし、今後のバーチャルでの都市づくりへの意気込みを示しました。

⑩金融業界:みずほ銀行がVR空間上に店舗を開設し、決済機能提供などを検討

みずほ銀行 VR
(画像:みずほ銀行)

みずほフィナンシャルグループは、2022年8月に開かれた世界最大のVRイベントである「バーチャルマーケット2022」へ出店しました。

銀行店舗をイメージした出店ブースでは、ボルダリング体験やオリジナル3Dモデルの配布をはじめ、ゲストを招いた金融知識に関する座談会が行われる予定です。座談会では、金融知識を有するみずほ社員と、アバターを介したコミュニケーションを取ることも可能となっています。

同社は、将来的にはVR空間上の店舗にて資産形成の相談や商談を実施したり、決済手段の提供などを含めたVR空間上での新たな経済活動に対するソリューションの提供を目指すとのことです。また、現状VR空間には統一された決済手段が存在しないため、みずほの決済サービス「Jコインペイ」の技術を応用した決済サービスの提供が検討されています。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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