【2024年最新】海外のメタバース活用事例22選|メリットも紹介

関連技術の進歩やオンラインコミュニケーション需要の高まりなどを背景とし、メタバースは世界的に注目を集めています。

そんななか、国内でも様々な業界の企業がメタバースへの参入を表明していますが、海外ではより本格的なメタバースの活用が進んでいます。

 

一方で、「メタバースが注目されているのは知っているけど、どのように活用されているのか知りたい」、「国内だけでなく海外の先進的な事例も抑えておきたい」という方も多いのではないでしょうか?

 

そこで、今回は海外でのメタバース活用事例20選をメリットとともにわかりやすくご紹介します。

本記事を読めば、グローバルでのメタバースのビジネス活用の動向を、一気にキャッチアップできると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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海外でのメタバースの活用事例22選

海外でのメタバースの活用事例22選

海外でのメタバースの活用事例として以下の22事例が挙げられます。

 

  • 小売業界:Amazon、ウォルマート、Loew’s
  • ファッション業界:Nike、Louis Vuitton、Gucci、Balenciaga
  • 飲食業界:PepsiCo、TGI Fridays、Chipotle
  • 観光業界:Marriott、Millennium
  • 広告業界:Snapchat
  • 製造業界:NVIDIA、テスラ、ベンツ、BMW
  • 配送業界:DHL
  • エネルギー業界:Siemens Energy、英国原子力公社
  • 都市開発:シンガポール

 

それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。

 

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小売業界:Amazon、PepsiCo、Lowe’s

①Amazon:グローバル規模での倉庫の配送オペレーションを最適化

Narrowing the Sim2Real Gap with NVIDIA Isaac Sim
(動画:NVIDIA)

Amazonはグローバルで50万台以上の倉庫内の配送ロボットのオペレーションの最適化にNVIDIA Omniverseを活用しています。

AIを活用したデジタルツインを構築し、倉庫の設計と流れを最適化しています。

 

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②ウォルマート:VRで混雑等の状況を再現した研修を実施

ウォルマート:VRで混雑等の状況を再現した研修を実施
(画像:ウォルマート)

世界的なスーパーマーケットチェーンであるウォルマートは、接客のトレーニングにVRを導入しています。従業員にHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着させ、ブラックフライデーなどの販売イベント時に大勢のお客様に対応するためのトレーニングを行っています。

 

従来の研修とは異なり、現実には再現が困難な状況を実際に体験しているかのような研修を行うことができます。

 
この研修を行うため、ウォルマートは1万7000台のOculas Questを約4700店舗に準備するなど大規模な投資を行っています。

③Lowe’s:顧客の人流データを活用し店舗のレイアウトを最適化

Reinventing Retail: Lowe's Builds Digital Twins of Stores to Deliver Enhanced Shopping Experiences
(動画:NVIDIA)

リフォーム大手であるLowe’sは、店舗のレイアウトの最適化にNVIDIA Omniverseを活用しています。

店舗のデジタルツインを構築し、実際の店内の顧客の人流データを活用することで、売上最大化に繋がる商品のレイアウトを実現しています。

ファッション業界:Nike、Louis Vuitton、Gucci、Balenciaga、Warbyparker

④NIKE:計測された足のサイズから靴をレコメンド

NIKE:計測された足のサイズから靴をレコメンド
(画像:NIKE)

Nikeは公式アプリ上で足のサイズを測ることのできる機能である「Nike Fit」を提供しています。Nike Fitは最新のAR技術を使って、わずか数秒で両足の13カ所からデータを収集し、足のサイズや幅などの計測を行うことができます。

 

計測結果をもとに、ユーザーに最適なシューズがレコメンドされ、サイズ違いで返品しなければならなくなる事態を防ぐことができます。また、このデータはアプリに保存されるので、ナイキの実店舗に行ったときや、オンラインで次のキックを注文するときにも、QRコードを使ってすぐに店員にサイズを伝えることができます。

 

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⑤Gucci:Roblox上に自社独自のメタバース空間を構築

Gucci:Roblox上に自社独自のメタバース空間を構築
(画像:Gucci)

没入型マルチメディア体験「Garden Archetypes」の公開と同時に、グッチはRobloxと共同で、ユニークでインタラクティブなバーチャル展示「Gucci Garden」を発表しました。グッチ ガーデンに入ると、アバターがニュートラルなマネキンに変身します。さまざまな部屋を歩き回りながら、来場者のマネキンは展示の要素を吸収していきます。各人が異なる順序で部屋を体験し、空間の他の断片を保持することで、旅の終わりには唯一無二のクリエイションとして姿を現すのです。

⑥Louis Vuitton :ブランドの歴史を感じられる独自VRゲームを公開

Louis Vuitton :ブランドの歴史を感じられる独自VRゲームを公開
(画像:Louis Vuitton)

ルイ・ヴィトンは、創業者の200歳の誕生日を記念して、ブランド・モノグラムから生まれたマスコット、ヴィヴィアンがバーチャルな世界を駆け巡り、収集可能なNFTキャンドルを求めて世界中の活気あるロケーションを旅するVRゲームをリリースしました。

 

それぞれのキャンドルは、ルイとその家族の旅にまつわるストーリーを解き放ちます。プレイヤーは30個のNFTを集めることができ、その中には、デジタルコラージュがNFTとしてクリスティーズのオークションで6930万ドルで落札されたアーティスト、Beepleの作品も10個含まれています。

⑦Balenciaga:Fortniteと連携しアバター用のスキンを販売

Balenciaga:Fortniteと連携しアバター用のスキンを販売
(画像:Balenciaga)

Balenciagaは、Epic Gamesと提携し、ハイセンスなFortniteのアバター用スキンを作成しました。4つのスキンに加えて、つるはしやBalenciaga blingバックパックなどのBalenciagaをテーマにしたアクセサリーも作成されました。バレンシアガをテーマにしたゲーム内のハブが開発され、現実世界の衣料品ラインも提供されました。ハブにはバレンシアガのバーチャルショップがあり、訪問者はコスメを購入することができます。

 

バーチャル・ストアの上には、パーカーを着た散歩中の犬 Doggoが登場するアニメーションの広告掲示板が設置されました。現実世界でも、ニューヨーク、ロンドン、東京、ソウルに広告掲示板が現れました。Doggo’s のパーカーは、フォートナイトをテーマにしたバレンシアガのコレクションの一部でもありました。

 

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⑧Warbyparker:ARでいつでもどこでもメガネを試着

Warby Parker | Virtual Try-On
(動画:Warbyparker)

アメリカのメガネブランドであるWarbyparkerは、いつでもどこでもARを活用して眼鏡を試着できるサービスを提供しています。

こちらのサービスでは、iPhoneのFace ID等に活用されるカメラ機能を用いて、自分の顔にメガネをかけるとどうなるかをリアルにシミュレーションすることができます。

食品業界:PepsiCo

⑨PepsiCo:流通センターの効率化とコスト削減

PepsiCo Simulates and Optimizes Distribution Centers with NVIDIA Omniverse and Metropolis
(動画:NVIDIA)

PepsiCoは、流通センターの効率化とエネルギー消費量の削減にNVIDIA Omniverseを活用しています。

AIを活用したデジタルツインを構築し、機械と作業員の作業を最適化することで、ダウンタイムとエネルギー消費量を減らすことに成功しています。

飲食業界:TGI Fridays、Chipotle

⑩TGI Fridays:レストランでVR体験が出来るキャンペーンを実施

TGI Fridays:レストランでVR体験が出来るキャンペーンを実施
(画像:TGI Fridays)

TGI Fridaysは、世界60ヶ国以上で992店舗展開する、「古きよきアメリカ」をコンセプトとするカジュアルダイニングレストランです。同社は、新メニューのプロモーションのために、世界初のバーチャル犬ぞり体験を提供しました。また、「何頭の犬がメインのソリを引いていますか?」というクイズにに正解した人から抽選でVRゴーグル等をプレゼントするというキャンペーンも同時に開催しており、Facebook等のSNSを経由して多数の方が本キャンペーンに参加していました。

 

TGI Fridays – #JingleEffect
(動画:TGI Fridays)

⑪Chipotle:Roblox上でキャンペーン「Burrito Builder」を実施

Chipotle:Roblox上でキャンペーン「Burrito Builder」を実施
(画像:Chipotle)

アメリカを中心に世界各国で展開するメキシコ料理のレストランチェーンのChipotle社は、「ゲーム版のYoutube」と言われるゲームプラットフ で「Burrito Builder」というブリトーを作るゲームを提供しました。

 

ユーザーはRoblox上でブリトーを作ることで、ブリトーコイン(Burrito Bucks)を獲得することができます。獲得したブリトーコインは、Tシャツやネックレスやサングラスなどのゲーム内アイテムと交換することができます。

 

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観光業界:Marriott、Millennium

⑫Marriott :デジテルツインを活用したバーチャルホテル

Madrid Marriott Auditorium Hotel & Conference center to join the Metaverse
(動画:マリオット)

世界最大規模のホテルチェーンマリオットは、メタバースに参入しています。マドリッド マリオット オーディトリアム ホテルは、メタバースにカンファレンス センターを含むデジタルツインを導入し、ホテルやカンファレンスセンターをメタバース内に再現しています。

 

ゲストはホテルへの宿泊を検討する際に、PCとヘッドセットを用いて利用することができ、ヘッドセットを通して施設内を歩き回って見学することができます。マドリッドマリオットの最大のセールスポイントは、ホテルとイベント施設が 1 つの建物内にあることです。

 

メタバースを利用することで、ホテルのレイアウトをアピールするために現地で説明することが不要となり、コスト削減が図れます。さらに、ホテルの情報を発信するためにメタバースを活用することは、利用者にとってWebサイトよりも実際の現場を理解しやすく、集客に効果的です。

⑬Millennium :メタバースでホテルを運営

Millennium :メタバースでホテルを運営
(画像:Hospitality net)

MullenLoweシンガポールは、Millennium Hotels and Resortsと提携し、メタバース上にM Social Decentralandを立ち上げました。M Social Decentralandは世界各地のM Socialホテルをモデルにした、メタバースでホテルを運営する世界初のホスピタリティグループです。

 

ゲストはこのバーチャル空間を探索し、スペースを借りたり購入したりできます。自分のアバターのスクリーンショットをソーシャルチャネルで#MSocialDecentralandと共有すると、実際のホテルに宿泊できる抽選に参加できます。また、バーチャルホテルにはゲストがパフォーマンスやプロジェクトの立ち上げなどのバーチャルイベントを開催できるロビースペースも用意されています。

 

Millenniumは、M Socialを通じてブランドの認知度を高め、新規ゲストを獲得するためにメタバースを活用しています。

広告業界:Snapchat

⑭Snapchat:世界最大のARSNS上で広告を配信

Snapchat:世界最大のARSNS上で広告を配信
(画像:Snapchat)

Snapchat上でのAR広告は様々な業界の大手企業により活用されています。

Snapchatとは、ARを活用した画像・動画投稿が楽しめるSNSで、10~20代の若者を中心に人気を集めており、米国を中心に3億人を超えるアクティブユーザーを抱えています。

 

Snapchatの広告を活用する企業の例として、DiorやGUCCI、PRADAなどが挙げられます。
Snapchatを活用したプロモーションは、他のSNSでの広告と比べ、立体的なコンテンツで訴求できる点やゲーミフィケーションを取り入れられる点などが特徴であり、注目を集めています。

 

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配送業界:DHL

⑮DHL:MRを活用し倉庫でのピッキング作業の効率化

DHL:MRを活用し倉庫でのピッキング作業の効率化
(画像:DHL)

ドイツの大手物流企業のDHL社はグーグルのスマートグラス「Glass Enterprise Edition 2」を倉庫での配送業務に導入しています。従業員はピッキング作業の現場でグラス型デバイスを着用することで、適宜必要な情報を確認することができます。荷物を持ったまま視線を移動させる必要がないため、作業の精度と効率の向上に繋がります。

製造業界:NVIDIA、テスラ、ベンツ、BMW

⑯NVIDIA:業務効率化向けのメタバース構築プラットフォームを提供

NVIDIA:業務効率化向けのメタバース構築プラットフォームを提供
(画像:NVIDIA)

大手半導体メーカーNVIDIAは、業務効率化向けのメタバース構築プラットフォーム「NVIDIA Omniverseを企業向けに提案していますです。

企業は同ツールを活用することで、企業の企画・設計・製造・配送・アフターフォローという幅広いバリューチェーンの効率化を進めることができます。

 

同ツールの提供する機能は大きく2つで、1つ目は3Dデザインのコラボレーション空間の利用、2つ目は製品や製造ラインなどのデジタルツインの構築・シミュレーションです。

 

2020年のリリース以来、BMWやAmazonなどの大手企業700社、15万人以上のユーザーに利用されており、業務効率化向けのメタバースサービスとしては最有力といえます。

⑰テスラ:デジタルツインを活用し車両を遠隔で自動アップデート

テスラ:デジタルツインを活用し車両を遠隔で自動アップデート
(画像:テスラ)

テスラの販売する車両にはデジタルツインを活用したシステムが標準搭載されており、車両が自動でアップデートされる仕組みを構築しています。各車両に搭載されたセンサーが車両の状態や走行状況、周辺環境などのデータを基に車両にとって最適な走行方法を分析し、自動でソフトウェアがアップデートされる仕組みとなっています。

 

この仕組みにより、車両診断を店舗で行う必要がなくなり、ユーザーは店舗に出向く手間、テスラは車両診断にかかるコストの大幅な削減に成功しています。

 

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⑱ベンツ:トレーニングセンターに100台以上のHololensを導入

ベンツ:トレーニングセンターに100台以上のHololensを導入
(画像:ベンツ)

ベンツは、研修の学習効率向上やコスト削減のため、自社のトレーニングセンターに100台以上のHololensを導入しています。

 

ベンツのトレーニングセンターでは、修理作業員の修理技術の取得や販売員の新車の特徴の理解のために、Hololensを通じたMR教育コンテンツを活用しています。このコンテンツを利用することで、車両の内部構造を3Dのデジタルオブジェクトとして確認でき、複雑な構造を直観的に理解することができるとのことです。

⑲BMW:世界中の自動車工場を3Dスキャンしメタバース化

BMW:世界中の自動車工場を3Dスキャンしメタバース化
(画像:BMW)

2022年6月、BMWは世界各地の自動車向上を3Dスキャンし、デジタルデータ化することを発表しました。
工場の生産ラインにデジタルツインを活用することで、生産効率の向上を図ります。

 

BMWは生産プロセスのDXを進める戦略的な取り組みである「BMW iFACTORY」の中核に工場にデジタルツインを活用する「バーチャル工場」を位置づけています。

工場の敷地内の全領域を可搬式3Dレーザースキャナーやドローンを用いてスキャン予定で、2023年の上半期に完了予定とのこと。

その後、NVIDIAの提供するメタバース空間ツールである「Omniverse」によってスキャンしたデータを使ってバーチャル工場を作成します。

 

同社はバーチャル工場の取り組みを数年前から実施しており、データを活用した設備改善、複数の関係者がリアルタイムCGによるコミュニケーションの円滑化、最新データの多くの関係者への共有などにより生産ラインの生産性向上に繋がっているとのことです。

エネルギー:英国原子力公社、Siemens Energy

⑳英国原子力公社:原子力発電設備の設計と製造の効率化

Building a Fusion Reactor Digital Twin in NVIDIA Omniverse
(動画:NVIDIA)

英国原子力公社は、原子力発電設備の設計と製造の効率化にNVIDIA Omniverseを活用しています。

設計フェーズでは、物理や建築、デザインなど様々な分野のエキスパートがリアルタイムでコラボレーションしながら3Dデザインを進めることができたり、製造フェーズでは各設備の最新の製造進捗がデジタルツインに反映され、製造計画を常に最適化することができたりします。

㉑Siemens Energy:発電施設の保守管理の効率化により大幅なコスト削減

Siemens Energy HRSG Digital Twin Simulation Using NVIDIA Modulus and Omniverse
(動画:NVIDIA)

Siemens Energyは、発電施設の保守管理の効率化にNVIDIA Omniverseを活用しています。デジタルツインを活用し、設備の腐食を正確に予測することで、検査回数を減らしながら安全に運用することができ、大幅なコストと工数の削減に成功しています。

都市開発:シンガポール

㉒シンガポール:世界初 国全体をデジタルツイン化

シンガポール:世界初 国全体をデジタルツイン化
(画像:シンガポール)

シンガポール政府は、自然や建物、道路や人・車などのあらゆるデータを集約し、国全体のデジタルツイン化に世界で初めて成功しました。この空間は「バーチャルシンガポール」と呼ばれ、都市計画へのデジタルツインの活用事例として世界中から注目を集めています。

 

バーチャルシンガポールに活用されるデータは、政府機関やインターネット、IoTからのリアルタイムデータなど幅広いソースから集められています。

この取り組みの成果は、最適な都市計画の策定や自然災害のリスク評価・対策、国民への最適な交通ルートの提案など多岐にわたり、国全体のDX化の基盤となっています。

メタバースが企業にもたらす7つのメリット

メタバース活用によって企業にもたらされるメリットとして以下の7つが挙げられます。

 

  • ①メタバース領域での新たなビジネスの創出
  • ②メタバースから得られたデータの活用による商品・サービスの改善
  • ③作業現場のサポートのよる品質と作業効率の向上
  • ④新たな顧客接点の獲得
  • ⑤シミュレーションによるバリューチェーン全体の効率化
  • ⑥社内コミュニケーションの円滑化
  • ⑦研修への活用による社員のスキル向上

 

それぞれのメリットについて分かりやすく解説していきます。

 

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➀メタバース領域での新たなビジネスの創出

1つ目のメリットはメタバース領域での新たなビジネスの創出です。検索エンジン、EC、SNSに並ぶ次なるキラーサービスになるとも言われているメタバースですが、多様な業界の企業がメタバース領域に参入しており、サービス構築を目論んでいます。メタバースがより人々に普及し、メタバース上で過ごす時間が増えるようになると、メタバース領域でのビジネスの市場規模も拡大していくと考えられます。

②メタバースから得られたデータの活用による商品・サービスの改善

2つ目のメリットはメタバースから得られたデータの活用による商品・サービスの改善です。メタバース上の人々の行動データはWebサイトやSNS上のものに比べ圧倒的にリッチになると考えられています。

 

メタバース上ではいつ、誰と、どのような行動を取っていたかはもちろん、ウェアラブルデバイスの発展によりどのような感情になっていたかなどの多様なデータを取得できるようになると考えられています。そのため、メタバース上のユーザーに商品やサービスを試してもらい、その反応をデータとして収集することで、商品やサービスの改善につなげることが可能です。

③作業現場のサポートによる品質と作業効率の向上

作業現場のサポートによる品質と作業効率の向上 ウォルマート
(画像:ウォルマート)

3つ目のメリットは作業現場のサポートによる品質と作業効率の向上です。AR/MRメタバースに工場などの作業員がゴーグル等を用いてアクセスすることにより、作業指示や図面などの情報を適宜確認しながら作業を進めることで、品質と作業効率を向上させることができます。

 

これまでは紙の作業手引書やタブレットの情報を基に作業をしていたものが、メタバース×ゴーグルを活用することで、両手をふさぐことなく適切な情報を取得できるというインパクトは非常に大きいものです。また、各作業員がどのような作業を行い、どこでミスが起こっていたかなどのデータを収集することにも繋がり、企業全体としての作業効率を高めることもできます。

④新たな顧客接点の獲得

4つ目のメリットは新たな顧客接点の獲得です。メタバース空間にはいつでもどこからでもアクセスできるという特徴があり、コロナウイルス感染拡大の影響で実店舗での顧客との繋がりが希薄化するなか、新たな顧客接点としての活用が期待されています。

 

メタバースの特徴である、3Dのコンテンツで、スタッフが説明しながら商品やサービスを訴求できるという点を活かし、今までEC化に苦戦していた業界の企業にとって、貴重なオンラインでの接点になり得ると考えられます。

⑤シミュレーションによるバリューチェーン全体の効率化

5つ目のメリットはシミュレーションによるバリューチェーン全体の効率化です。メタバース/デジタルツインを活用することで、現実世界に存在するもの/しないものを含め、都市や建物、設備を仮想空間上に再現し、シミュレーションを行うことで、現実世界でモックアップ作成や試運転をするコストをかけずに最適な設計や運用を算出することができます。

 

このシミュレーションにより、企画・生産・物流・販売・アフターサービスといった一連のバリューチェーンを効率化することで、大幅なコスト削減やリードタイムの短縮などに繋げることができます。

⑥社内コミュニケーションの円滑化

社内コミュニケーションの円滑化 Horizon Workrooms
(画像:Meta)

6つ目のメリットは社内コミュニケーションの円滑化です。コロナウイルス感染拡大の影響で、多くの企業がリモートワークへの移行を進めています。一方で、リモートワーク環境下ではホワイトボードを用いた共同作業ができない、相手の細かな表情や声色が読み取れずコミュニケーションが停滞する、自然発生的なコミュニケーションが減ってしまうなどの課題が存在します。

 

それらの課題をメタバース空間上のオフィス「メタバースオフィス」で一緒に働くことで解決することができるのではないかと期待されています。

⑦研修への活用による社員のスキル向上

7つ目のメリットは研修への活用による社員のスキル向上です。メタバースを企業の研修に活用することで、コンテンツが3Dで表示されるため学習効率が向上する、非常時のシチュエーションを簡単に再現できる、学習の時間的・地理的制約から解消されるなどのメリットがあり、社員のスキル向上に繋げることができます。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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