マルチバースとは?メタバースとの関係や将来性をわかりやすく解説

メタバースの関連ワードとして、「マルチバース」という言葉を聞く機会が増えてきたかと思います。

一方、マルチバースの定義やメタバースとの関係について、詳しく説明はできないという方も多いのではないでしょうか。

 

そこで、この記事ではマルチバースとメタバースとの関係や事例、将来性について、分かりやすく解説していきます。

本記事を読めば、マルチバースについて理解できると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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マルチバースとは

マルチバースとは、元々理論物理学における理論で、日本語では「多元宇宙論」とも呼ばれます。その名の通り、この世界に宇宙は1つではなく複数存在していると考える理論です。異なる生態系が存在し、私たちが生活する宇宙と交わることのない、別の宇宙がどこかに存在するという仮説が提唱されています。

 

一方、ビジネスの文脈で使われるマルチバースという言葉は、メタバースと密接に関係しているものです。この文脈においては、理論物理学におけるマルチバースとは違い、異なるバース(宇宙)同士が交わり、バース間を移動することが可能です。次の章で、メタバースとの関係性について分かりやすく解説します。

マルチバースとメタバースとの関係性

メタバースの文脈でのマルチバースは、「別のルールを持つメタバースが複数存在する世界」を指す言葉となっています。

 

似たような概念を指す言葉で「オープンメタバース」があります。オープンメタバースとは、特定の組織ではなく、複数の組織によって運営されるメタバースのことを指します。オープンメタバースの世界では複数のメタバースの間を移動したり、データを移行したりすることが可能です。

 

つまり、マルチバースであり、かつそれらの間を自由に移動し経済活動できる世界がオープンメタバースといえるでしょう。

マルチバースの事例3選

マルチバース 事例

まだ私たちの生きる現実世界では、マルチバースは実現していません。そこで、SFの世界でのマルチバースの事例を2つ用意しました。さらに、社名をFacebookからMetaに変更しメタバースへの本気度を見せる、Meta社のマルチバース実現に向けた取り組みも紹介します。

 

  • ①ドクター・ストレンジ
  • ②スパイダーマン:スパイダーバース
  • ③Meta社のマルチバース実現への取り組み

 

それぞれの事例をわかりやすく紹介していきます。

 

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①ドクター・ストレンジ(2016)

ドクター・ストレンジ マルチバース マーベル
(画像:マーベル)

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の映画作品である本作では、主人公ドクター・ストレンジは魔術を操ることができる魔術師であり、異なるバース(世界)を行き来することができます。続編の「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022)」では、マルチバースの概念がより強調され、起こった事件が別のバースに影響を与えるというストーリーになっています。

②スパイダーマン:ノーウェイホーム(2021)

スパイダーマン マルチバース マーベル
(画像:ソニーピクチャーズ)

同じくMCUより、大人気「スパイダーマン」シリーズの最新作であるこの映画作品では、先程紹介したドクター・ストレンジが冒頭から登場。ストーリーのほとんどがマルチバースで進行します。そして、過去のスパイダーマンシリーズに登場した、別のバース(世界)に存在する、トビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールド、トム・ホランドによる3人のスパイダーマンが勢ぞろいするのです。マルチバースの設定を存分に活かしたストーリーですね。

③Meta社のマルチバース実現への取り組み

Meta マルチバース connect
(画像:Meta)

Meta社はマルチバースおよびオープンメタバースを実現すべく、MicrosoftやZOOM、EpicGame社との提携を「Meta Connect 2022」にて発表しました。従来は競合関係にあった企業たちですが、それでもマルチバース実現を目指す理由として、以下の3つが考えられます。

 

  • メタバース市場の拡大のため
  • Appleなどのクローズドなプラットフォームに苦しめられた経験
  • FaceBook時代から続く「人と人を繋ぐ」という企業としてのDNA

 

Meta社の取り組みやマルチバース実現を目指す理由について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

マルチバースに関連する技術の進化

マルチバースおよびオープンメタバースの実現には、関連技術の進化が不可欠です。主に以下の2つが注目すべき技術といえます。

これらについて分かりやすく解説していきます。

①NFT

NFTによって、マルチバースにおける異なるメタバース間での相互運用が実現できます。NFTの特徴としてデータ自体を特定の会社のプラットフォームに依存せず、自分自身で管理できるというものがあります。その特徴を活用することで、異なるメタバース間でデジタルアセットを持ち運ぶことができるようになると期待されているのです。このデータの相互運用の仕組みにより、メタバースの最終形と考えられるマルチバースの実現に貢献できると考えられています。

②ブロックチェーン

ブロックチェーン上でメタバースを構築することで、マルチバースおよびオープンメタバースの実現に繋がると考えられています。具体的には、従来の特定の国家や企業の管理するサーバーではなく、ブロックチェーンシステム上にメタバース空間を構築することで、全てのユーザーが自身で情報を管理したり、やり取りができると考えられています。またブロックチェーン上で個々が別々のメタバースを構築することで、マルチバースを実現し、それらを繋ぐオープンメタバースへと発展していけるのです。

 

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マルチバースとメタバースの今後

マルチバースの実現は、メタバース全体の発展に不可欠と言えます。なぜなら、マルチバースが実現しないメタバース(クローズドメタバース)では、特定の組織、企業が単一のメタバースを独占する市場になるからです。すると、その組織が運営を辞めてしまったり、悪意のある操作を行ってしまうリスクが存在してしまいます。

 

これに対し、マルチバースが存在し互いに連携することで共存共栄ができます。これはまさにWeb3.0による世界です。

 

したがって、今後もマルチバース、オープンメタバースを実現するような動きは、web2.0からweb3.0への動きと共に加速していくと考えられます。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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