SONYのメタバース向けモーションキャプチャーmocopiとは?
関連技術の進歩やオンラインコミュニケーション需要の高まりなどを背景とし、今後急速に人々の生活や仕事に普及していくと考えられるVR/メタバース。
Meta社のMetaQuestProや、SONYのPlayStationVR2など、様々なデバイスが登場しより快適に様々な体験をすることが可能となっています。
そんななか、SONYがメタバース向けの小型・軽量のモバイルモーションキャプチャー「mocopi」を発売し、メタバース市場に大きな変化をもたらす可能性があると注目を集めています。
一方で、「mocopiで結局何ができるのか分からない」、「どのようなポイントが新しく注目されているのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、mocopiの概要やできること、特徴からソニーのメタバース戦略まで分かりやすく紹介します。
本記事を読めば、最新のメタバース関連デバイスmocopiの一通りの情報を効率良くキャッチアップできると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。
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目次
mocopiとは
mocopiとは、SONYが販売する小型・軽量のモバイルモーションキャプチャーです。
ユーザーは、6つの小型・軽量(直径約3cm、重さ各8g)のセンサーを全身に装着し、専用スマホアプリを組み合わせることで、高精度かつリアルタイムでのモーションキャプチャーをすることができます。価格は税込49,500円で2023年1月下旬に販売予定です。
mocopiは、Vtuberやメタバース市場の盛り上がりに伴い、アバターを介したコミュニケーション需要が高まっていることを背景として開発されました。
mocopi最大の特徴は誰でも手軽に全身のモーションキャプチャーを行い、様々なサービスで利用することができる点です。
従来モーションキャプチャーを行うには、専用のスタジオで高額の機材を使用し、作成したデータをソフトウェア上で加工する必要がありました。
一方mocopiは、小型・軽量のデバイスとスマホさえあれば、いつでもどこでも、ソフトウェアの知識が無い人でも高精度かつリアルタイムでのモーションキャプチャーを行うことができます。
mocopiでできること3選
mocopiでできることとして主に以下の3つが挙げられます。
- ①Vtuberの撮影や映画・アニメーション制作での活用
- ②メタバースでの活用
- ③フィットネスサービスでの活用
それぞれについて分かりやすく紹介していきます。
①Vtuberの撮影や映画・アニメーション制作での活用
近年大きな盛り上がりを見せるVtuberですが、モーションキャプチャをスマホで行おうとすると、キャプチャできる対象が顔に限られてしまったり、全身をキャプチャしようとすると大がかりな機材や専用スタジオが必要だったりと、様々な制約が存在しました。
一方で、mocopiを活用することで、比較的安価・かつ手軽に全身のモーションキャプチャを行うことができ、それらをVtuberの配信はもちろん、映画やアニメ制作にも活用することができます。
②メタバースでの活用
近年メタバースが注目される理由の1つに、オンラインでありながら、表情や身振り手振りなど、情報量のリッチなコミュニケーションを取ることができる点が挙げられます。
mocopiをメタバースに活用することで、従来は難しかった下半身を含めた全身のモーションキャプチャーが可能となり、メタバース空間上でもまるで対面で合っているかのような没入感の高いコミュニケーションが実現できると期待されています。
③フィットネスサービスでの活用
コロナウイルス感染拡大の影響もあり、近年オンラインフィットネスサービスが注目を集めています。現状のフィットネスサービスは動画などを再生しながら動きをまねるといったものが一般的です。
一方でmocopiのようなデバイスをフィットネスに活用することで、より精度の高いフォームでのトレーニングやより正確なデータの記録などフィットネスの効率を高めたり、全身の動きを取り入れたゲーム要素の強いフィットネスサービスを楽しむといった発展が期待されます。
mocopiの4つの特徴
mocopiの特徴として以下の4つが挙げられます。
- ①モーションキャプチャーにかかるコストや工数を大幅に削減
- ②屋内だけでなく屋外でも使用可能
- ③モーションデータは専用アプリから簡単に保存可能
- ④様々なゲームプラットフォームやメタバースと連携可能
それぞれの特徴について分かりやすく紹介していきます。
①モーションキャプチャーにかかるコストや工数を大幅に削減
特徴の1つ目は、モーションキャプチャーにかかるコストや工数を大幅に削減できる点です。
従来、全身のモーションキャプチャを行うためには、専用のスタジオで高額の機材を使用し、作成したデータをソフトウェア上で加工する必要がありました。
一方で、monopiを活用することで、比較的安価な小型・軽量のデバイスとスマホさえあれば、いつでもどこでも、ソフトウェアの知識が無い人でも高精度かつリアルタイムでのモーションキャプチャーを行うことができます。
②屋内だけでなく屋外でも使用可能
特徴の2つ目は、屋内だけでなく屋外でも使用可能な点です。
mocopiはセンサーはスマホとBluetoothで接続するため、屋内だけでなく屋外でも使用できます。また、防水性能(IPX5/IPX8)や防塵性能(IP6X)も備え、稼働時間も最大10時間と、あらゆる場所でモーションキャプチャを行うことが可能です。
③モーションデータは専用アプリから簡単に保存可能
特徴の3つ目は、モーションデータは専用アプリから簡単に保存可能な点です。
従来モーションキャプチャデータを動画やサービスで使用するためには、ソフトウェア上で加工・編集する必要があり、ソフトウェアの知識とスキルが必要とされていました。
一方で、mocopiでは専用のスマホアプリを利用し、誰でも簡単にモーションキャプチャデータを保存、転送することができます。
④様々なゲームプラットフォームやメタバースと連携可能
特徴の4つ目が、作成したデータを様々なゲームプラットフォームやメタバースと連携可能な点です。
mocopiで作成したデータは、ゲーム開発プラットフォーム「Unity」や、ソーシャルVR「VRChat」、アバター操作ツール「Virtual Motion Capture」など様々なサービスで利用することが可能と見られています。
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mocopiの秘める可能性・今後
mocopiの登場により、メタバース領域でのサービスや体験が大きく進化する可能性があります。先述の通り、mocopiを利用することで、誰でも手軽に全身のモーションキャプチャを行うことができるため、既存のサービスでの機能強化への活用や全身のモーションキャプチャをベースとした新たなサービスの登場が期待されます。
SONYはmocopiのモーションキャプチャを活用したサービス開発の活性化に向け、独自のSDKの提供やmocopiと提携するサービスを開発するパートナ企業の拡大を発表しており、今後の取り組みに大きな期待が寄せられています。
ソニーがメタバースに注力する4つの理由
ソニーがメタバースに注力する理由として以下の4つが挙げられます。
- ①メタバース市場が魅力的だから
- ②メタバースの土台となる強力な事業基盤を有しているから
- ③メタバースに活用し得る多数の要素技術を有しているから
- ④ソニーの掲げるパーパス(存在意義)とマッチするから
それぞれの理由について分かりやすく紹介していきます。
①メタバース市場が魅力的だから
1つ目の理由は、メタバース市場が魅力的であり大きな収益獲得の機会となり得るからです。
矢野経済研究所によると、日本国内のメタバースの市場規模は2021年度時点で約744億円、2026年度には約1兆円にまで成長すると予想されています。世界市場と同様急速な成長を見せると考えられ、年率成長率は約170%程度になると予測されています。
②メタバース展開の土台となる強力な事業基盤を有しているから
2つ目の理由は、メタバース展開の土台となる強力な事業基盤を有しているからです。
メタバースは、SNS、エンターテインメント、NFT、ECなどコアとなる体験が存在し、そこに多数のユーザーが集まり社会性が生まれることで発展していきます。
そこでソニーは、ゲームや音楽などのエンターテインメント領域の体験をコアとしたメタバースの展開を狙っています。
ソニーは世界一の売上を誇るゲーム事業(ソニーインタラクティブエンターテインメント)や世界第二位の売り上げを誇る音楽レーベル(ソニーミュージック)、世界一の売上を誇る独立系映画スタジオ(ソニー・ピクチャーズ)などエンターテインメント領域で世界的に見ても強力な事業基盤を有しており、エンターテインメントをコアとするメタバース展開と非常に相性が良いです。
③メタバースに活用し得る多数の要素技術を有しているから
3つ目の理由は、メタバースに活用し得る多数の要素技術を有しているからです。メタバースはハードウェアからソフトウェアまで幅広い要素技術によって構成されていますが、ソニーは、これまでのゲームや音楽などの事業を展開するなかで、数多くの関連要素技術を開発してきました。
具体的には、マイクロOLEDなどのディスプレイ、アイトラッキングのようなセンシング、リアルタイムCGレンダリングや3Dオーディオなどが挙げられます。
④ソニーの掲げるパーパス(存在意義)とマッチするから
4つ目の理由は、メタバース領域での事業展開がソニーの掲げるパーパス(存在意義)とマッチするからです。ソニーのパーパスは「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というものであり、ユーザーのクリエイティビティと先端テクノロジーがカギとなるメタバースと非常に相性が良いです。
吉田CEOはインタビューの中で、「エンターテインメントの本質はライブ。時間と空間を共有できるライブ空間として進化しつつあるメタバースは、ソニーが、クリエイターのクリエイティビティを支え、広げるための新しい感動空間だと思っている」と述べています。
ソニーのメタバース領域での取り組み4選
ソニーのメタバース領域での取り組みとして以下の4つが挙げられます。
- ①最新VRヘッドマウントディスプレイPlayStation VR2を発売
- ③仮想空間上で最先端のXRライブプロジェクトを実施
- ③VR上にマンチェスターシティのスタジアムを再現
- ④街や施設を巡りながら楽しむ音声ARアプリLocatoneを展開
それぞれについて分かりやすく紹介していきます。
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①最新VRヘッドマウントディスプレイPlayStation VR2を発売
ソニーは、2023年2月にPlayStation VR2を発売すると発表しました。
PlayStation VR2はPlayStation5と接続することで使用できるVRヘッドマウントディスプレイです。
初代のPlayStation VRと比べ、より高い没入感が体験できることや、Playstationとの接続方法がより簡単になったことなど様々な進化を遂げています。
PlayStation VR2では、大人気ゲームタイトルであるバイオハザードやHorizon Zero Dawnシリーズの新作がリリース予定となっており、世界中のゲームファンから大きな注目を集めています。
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②仮想空間上で最先端のXRライブプロジェクトを実施
ソニー・ミュージックレーベルズは新たな仮想空間プロジェクト「ReVers3:x(リバースクロス)」の始動を発表しています。「ReVers3:x」では独自に制作した仮想空間を舞台に様々なアーティストのライブを楽しむことができるショートライブプロジェクトです。「ReVers3:x」の第1弾として、ラッパーのKEIJUのライブが配信されました。仮想空間上に作られた東京のストリートに設置されたステージ上にはデジタルアーティストによるアートも配置され、音楽のみならず、空間としても楽しめるコンテンツとなっています。
③VR上にマンチェスターシティのスタジアムを再現
ソニーは英国のプロサッカークラブであるマンチェスターシティのホームスタジアムであるエティハドスタジアムの仮想バージョンをVR空間上に構築しました。
ファンは自由にカスタマイズ可能なアバターの姿でこのVR空間を訪れることで、選手やチームを身近に感じながら、ファン同士での交流を図ることができます。
今回の取り組みには、ソニーのソニーの画像解析技術やセンシング技術に加え、ソニーのグループ会社であるホークアイのエレクトロニックパフォーマンストラッキングシステムが活用される。これらの技術により、VR上に全選手の位置や骨格の動きレベルでのプレーの様子が、精度高く再現されます。
マンチェスターシティとソニーはこの取り組みを通じて、バーチャルを融合した新たなスポーツエンターテイメントの構築と、特定のチームの選手やファンだけでなく、リーグ全体のファンの繋がりの創出を実現したいとしています。
④街や施設を巡りながら楽しむ音声ARアプリLocatoneを展開
Locatoneとは、街中や施設内などのマップ上の特定のスポットを訪れると、臨場感のある音声やARコンテンツを楽しむことのできるスマホアプリです。
数十分程度のツアー形式で音を聞きながら街や施設を巡ることで、新しい魅力や楽しみ方を発見することができます。
Locatoneには、ソニー独自の立体音響技術や身体の動作と連動して音を鳴らせるモーションサウンド技術などが活用されています。
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