【5分要約】経済産業省のレポートから見るメタバースの可能性と課題

関連技術の進歩やオンラインコミュニケーション需要の高まりなどを背景とし、今後急速に人々の生活や仕事に普及していくと考えられるメタバース。

高い市場成長性が期待されていることや日本の武器であるアニメ・マンガ等のIPコンテンツとの相性も良いことから、日本経済全体として重要な市場として注目が集まっています。

 

そんななか、政府も日本企業のメタバース事業の展開支援を進める姿勢を見せており、経済産業省は「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」という研究調査を実施し、調査を担当したKPWGコンサルティングとともに、7月にその報告書を公開しました。

 

一方で、「メタバースの今後の可能性や現状の課題を理解しておきたい」、「経産省が発行したレポートを全て読むのは大変なので、要点だけ効率良く知りたい」という方も多いのではないでしょうか?

 

そこで今回は、経産省が発行したメタバースに関するレポートの要点をまとめ、分かりやすく紹介します。

本記事を読めば、メタバースの今後の可能性や現状の課題を効率良くキャッチアップ出来ると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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そもそもメタバースとは

そもそもメタバースとは

メタバースとは、ユーザーひとり一人のアバターを通じてコミュニケーションや経済活動を行うことのできる3次元の仮想空間のことです。

メタバースの語源は「超越」を意味する「meta」と「世界」を意味する「universe」から来ており、1992年に発表された、ニール・スティーブンソン作のSF小説「スノウ・クラッシュ」で初めて用いられた言葉とされています。

 

メタバース空間では、現実に近い環境で活動ができます。例えば、集まって会話をしたり、スポーツやライブや買い物などを楽しんだりすることができます。また、将来的には、SF映画のように、メタバース上のサービスとデバイスが進化していけば、「食事と睡眠以外のほぼ全てが体験できるようになる」とも言われています。

 

一般ユーザーに広く普及しているメタバースサービスとして、「Fortinite」や「Roblox」などのゲーム型のメタバース、「VR Chat」や「Cluster」などのSNS型のメタバースが挙げられます。これらのサービスはPCやスマートフォンからでもアクセス可能ですが、Meta Quest2のようなヘッドマウントディスプレイからアクセスすることにより、より没入感ある仮想体験が可能になります。

 

VR MR AR 違い

また、メタバースのベースにはXRというリアルとバーチャルを融合する先端技術が存在します。VR(仮想現実)をベースとするメタバースはVRメタバースと呼ばれ、バーチャルの世界をベースとしており、MetaQuestなどのHMDを利用してアクセスするのが主流です。

一方でAR(拡張現実)をベースとするメタバースはARメタバースと呼ばれ、リアルの世界をベースとします。

 

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メタバース市場の成長に向けた課題のPEST分析

メタバース市場の成長に向けた課題のPEST分析

経済産業省はメタバース市場の成長に向けた課題を政治・経済・社会・技術の4つの観点から整理しています。

 

  • 政治的観点:法整備、ガイドライン整備
  • 経済的観点:VRデバイスの低価格化、マネタイズ
  • 社会的観点:XR人材確保、XRコンテンツの普及
  • 技術的観点:VRデバイスの進化、XR仕様の標準化

 

8つの要因について分かりやすく紹介していきます。

 

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政治的観点:法整備・ガイドライン整備

①メタバースビジネスに関する法整備

1つ目の課題は、メタバースに関する法整備が整っていないという点です。現行の法律はメタバースビジネスの存在を想定していないため、メタバース上のアバターなどのデジタルアセットの権利保護などの法整備が不十分というのが現状です。

②メタバースビジネスに関するガイドライン整備

2つ目の課題は、メタバースに関するガイドラインが整っていないという点です。例えば、現実空間に存在するものをメタバース上に移行する際の権利の取り扱いなど、メタバースビジネスを行う際のガイドラインの制定が不十分というのが現状です。

経済的観点:VRデバイスの低価格化、マネタイズ

③VRデバイスの低価格化

3つ目の課題は、MetaQuestに代表されるVRヘッドマウントディスプレイの低価格化が進んでいないという点です。数年前に比べると、一般消費者向けのVRヘッドマウントディスプレイの価格は約5~10万円になるなど、低価格化が進んでいるものの、熱心なゲーマーなどを除いた一般層が購入する価格帯には至っていないというのが現状です。

④マネタイズ

4つ目の課題は、企業によるマネタイズが進んでいないという点です。メタバースの活用を進める各社は先行投資の位置づけでサービスを展開している事が多く、大きくマネタイズに成功している企業は限定的です。一方で、3Dのメタバース空間やメタバース上のコンテンツの制作は、2Dのwebサイトやサービスに比べると制作コストがかさむことも多く、企業にとって大きな負担となる場合があります。

 

メタバース事業単体で収益化に成功する企業が増えてくるとより投資が加速し、メタバース市場全体の成長の加速が期待できます。

社会的観点:XR人材確保、XRコンテンツの普及

⑤XR領域における人材の確保

5つ目の課題は、XR領域における人材の確保が進んでいないという点です。メタバースサービスがより充実していくためには、3Dモデリングのスキルを有する技術者はもちろん、業界に精通しビジネス企画を行える人材が必要となります。

⑥XR領域におけるコンテンツの普及

6つ目の課題は、XR領域におけるヒットコンテンツの登場・普及が進んでいないという点です。LINEなどの圧倒的に人気なサービスが登場したためスマホを購入する人が増えたという流れと同様、一般層がVRデバイスを購入するようになるには、多くの人が楽しめるヒットコンテンツの登場が必須と言えます。現状のヒットコンテンツは存在しないわけではないものの、VRゲームなど特定のカテゴリに限られています。

技術的観点:VRデバイスの進化、XR仕様の標準化

⑦VRデバイスの性能及びユーザビリティの向上

7つ目の課題は、VRデバイスの性能及びユーザビリティの向上が必要という点です。以前と比べると性能やユーザビリティはかなり向上しているものの、一般層が長時間利用するには、より小型・軽量化やVR酔い対策に向けた改良がなされる必要があります。

 

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⑧XRの仕様の標準化

8つ目の課題は、XRの仕様の標準化が進んでいないという点です。メタバース空間やサービス、コンテンツが相互に連携し利用可能になるためには、それらの仕様の標準化が必須となります。アバターに関しては標準規格が策定されつつあるものの、その他のメタバース空間やコンテンツについても標準化を進める必要があります。

行政に期待される3つの支援

行政に期待される3つの支援

企業が行政に期待する支援として大きく以下の3つが挙げられます。

 

  • ①産業に対する支援:ハードの普及、コンテンツ制作、人材育成支援
  • ②事業者への直接的な支援:資金面の支援、活用機会の創出
  • ③ルールメイク:ガイドライン整備、ルールメイク戦略、標準化

 

それぞれの支援の概要について分かりやすく紹介していきます。

①産業に対する支援:ハードの普及、コンテンツ制作、人材育成支援

ハードの普及

VRヘッドマウントディスプレイの購入を支援することで、事業者の参入が促進されると考えられます。一方で、VRヘッドマウントディスプレイは外資企業であるMeta社のMetaQuestの一強であるため、支援分野は医療や教育など社会的意義の大きい分野に限定する等の検討が必要です。

コンテンツ制作

メタバース上でのコンテンツ制作を支援することで、多くの企業がメタバースコンテンツの制作に参入しやすくなります。一方で、メタバース上のコンテンツ自体は現状の3Dアニメーションやゲームと変わらないため、どのようにメタバースならではのコンテンツを選定し支援するかが重要となります。

人材育成支援

XR人材の支援は、日本企業のメタバース市場参入に向け非常に重要な要素となります。具体的な取り組みとしては、XR人材育成事業者への金銭的な支援やXR人材に求められるスキルの定義・発信が挙げられます。また、ゲームや建設業などの他業界にXR人材に求められるスキルを有している人材が多く存在するため、副業や転職の促進など人材の流動性を高める取り組みも有効と言えます。

②事業者への直接的な支援:資金面の支援、活用機会の創出

資金面の支援

3Dのメタバース空間やメタバース上のコンテンツの制作は、2Dのwebサイトやサービスに比べると制作コストがかさむことも多く、企業にとって大きな負担となる場合あるため、補助金や税制優遇などのの資金面での支援が期待されます。

活用機会の創出

万博や地域活性化に向けた取り組みなど、行政主導の取り組みでメタバースを活用できる機会を創出することで、企業は実証やプロモーションを大きく前進させることができます。現状、メタバースを活用する機会が限定されているため、実証やプロモーションが上手く進まず、サービスが盛り上がらないという状況に陥っている企業も多く存在します。

③ルールメイク:ガイドライン整備、ルールメイク戦略、標準化

ガイドライン整備

メタバース事業における権利関係の知見が不足している事業者が多いため、メタバースに関連するガイドライン整備により、より多くの事業者がリスクを最小化しながら事業に参入できるようになります。また、プラットフォーム事業を行う企業向けに、資金決済法やユーザーの著作権侵害等に関するガイドラインが整備されることが期待されます。

ルールメイク戦略

メタバースに関する権利保護や標準化に向けたルールメイクに日本が遅れを取ってしまうと、海外プラットフォーマーに市場を独占されてしまうリスクがあります。

カーボンニュートラルのルールメイクに関して、欧州各国が先行し、経済的なメリットを大きく享受していることが記憶に新しいですが、メタバースに関するルールメイキングも日本経済にとって非常に重要となります。

標準化

現在、メタバースプラットフォームが乱立している状況で、ユーザーや企業がメタバース空間やコンテンツを相互に連携できるようになるには、標準仕様の策定が必要となります。ルールメイク戦略を踏まえどのような標準仕様を策定していくべきかは、日本の企業ひいては経済に大きな影響を与える可能性があります。

 

※参照:経済産業省 令和2年度コンテンツ海外展開促進事業(仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業)

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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