AIの物体検出とは?4つの手法やビジネス活用事例7選も紹介
AIの物体検出とは、AIが画像の中から特定のモノの内容・種類・個数・位置などを識別する技術のことです。写真から特定の人物だけをマーキングしたり、特定のモノの個数や位置を判定することができます。
AIの物体検出技術は、自動運転、顔認証システム、製品の不良品検知、医療画像の診断など、あらゆる分野で活用されています。
本記事では、AIの物体検出とは何かについて、仕組みや活用事例とともにわかりやすくご紹介します。
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目次
AIの物体検出とは?

AIの物体検出とは、AIが画像の中から特定のモノの内容・種類・個数・位置などを識別する技術のことです。あらゆるモノが写っている画像から特定の種類のモノだけをマーキングしたり、位置を特定したり、個数を数えたりすることができます。
AIの物体検出を活用することで、様々な業務を自動化・効率化することができます。工場での不良品検知、顔認証システム、医療画像診断、自動運転における障害物検知など様々な場面で活用が広がっています。
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AIの物体検出の仕組み~2つのステップで紹介~

AIの物体検出は、以下の2つのステップにより行われます。
- ①バウンディングボックスの発見:対象となるモノがありそうな範囲の絞り込み
- ②カテゴリー判断:バウンディングボックスごとの画像認識
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
①バウンディングボックスの発見:対象となるモノがありそうな範囲の絞り込み

バウンディングボックスとは、画像の中の特定の領域を囲い込む長方形の枠のことです。これにより、対象となるモノがありそうな範囲を絞り込みます。
スマホカメラの顔認識機能で、顔の周りが枠で囲まれますが、これはバウンディングボックスの一例です。
②カテゴリー判断:バウンディングボックスごとの画像認識
カテゴリー判断では、バウンディングボックスごとに、画像認識を行い、その範囲内でのモノの有無・位置・個数を判断します。
AIの画像分類と物体検出の違い
AIの物体検出とよく似た概念として、画像分類というものがあります。画像分類とは、画像内のモノの種類を分類する技術です。
例えば、車の写真から車種を識別して分類したり、不良品と正常な商品を分類して仕分けを行ったりするのが画像分類です。
これに対し、物体検出は、モノの種類を分類するだけでなく、そのモノの内容、個数、位置を特定します。例えば、ある写真から、「中央に、男女5人が写っている」と判断することができます。
AIの物体検出に用いられる畳み込みニューラルネットワークとは?
AIの物体検出には、ディープラーニングの一種である畳み込みニューラルネットワーク(CNN、Convolutional Neural Networks)という技術が用いられます。
CNNは、画像をいくつかのパーツに分け、パーツごとに特徴(色合いや線の変化など)を抽出します(畳み込み)。抽出した特徴は、プーリングという方法でまとめられ、重要な情報だけが保持されます。
畳み込みとプーリングを繰り返すことで、AIが画像全体の特徴やパターンを学習し、何がどこに写っているかを判断します。
AIによる物体検出の4つの手法

AIによる物体検出の方法として、以下の4つが挙げられます。
- ①R-CNN:2000個ものバウンディングボックスから物体を検出
- ②YOLO:画像全体をパッと見て、モノの有無を迅速に判断
- ③SSD:R-CNNとYOLOの組み合わせで、高速かつ高精度な検出が可能
- ④DCN:異常な形状のモノでも漏らさずに検出可能
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①R-CNN:2000個ものバウンディングボックスから物体を検出
R-CNNは、画像の中のモノを囲む領域であるバウンディングボックスを約2000個抽出して物体を検出する方法です。
それぞれのバウンディングボックスに対して畳み込みとプーリングを繰り返し、検出したいモノが写っているか否かを判定します。
R-CNNは、大量のバウンディングボックスごとに分析を行うため、物体検出の精度が高いというメリットがある一方で、計算量が非常に多く、処理速度が遅いというデメリットがあります。
この弱点を克服するために、畳み込みとプーリングの回数を削減するなどして処理速度を早めたFaster R-CNNという派生的な手法も存在します。
②YOLO:画像全体をパッと見て、モノの有無を迅速に判断
YOLO(You Only Look Once)とは、あらかじめ画像全体をいくつかの正方形のパーツに分割し、各パーツに検出したいモノが含まれているかを判定する手法です。
その名の通り、まずは画像全体を見て、明らかに対象となるモノが存在しないであろう部分をカットします。
R-CNNと比べて、物体検出速度が早いというメリットがある一方、検出の精度はやや低下します。
③SSD:R-CNNとYOLOの組み合わせで、高速かつ高精度な検出が可能
SSD(Single Shot MultiBox Detector)は、一定の検出精度を保ちつつ、処理速度も早めた手法です。その特徴として、一度の画像処理で複数のモノを同時に検出できる点が挙げられます。
SSDでは、入力された画像を小さなパーツに分割します。パーツごとにその領域内に対象となるモノがあるかどうかをチェック。もしあれば、その位置とサイズを予測します。
R-CNNとYOLOの良いとこどりをしたような手法です。
④DCN:異常な形状のモノでも漏らさずに検出可能
DCN(Deformed Convolutional Networks)は、CNNの変形版です。畳み込みを行う際のパーツの形を変形させることで、様々な形のモノの検出を可能にし、検出精度を高めることができます。
通常のCNNでは、パーツの形は四角形に制限されるため、変わった形のモノをうまく検出できないことがありました。
DCNでは、パーツの形を柔軟に変更することができるため、変わった形のモノでも見逃すことなく検出することが可能となります。
AIの物体検出のビジネス活用事例7選

AIによる物体検出のビジネス活用事例として、以下の7つが挙げられます。
- ①自動運転
- ②製造現場での不良品や異常の検知
- ③商品の販売状況の監視
- ④レジでの価格清算の自動化
- ⑤工場での従業員の安全確保
- ⑥医療画像の診断
- ⑦顔認証システム
それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。
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①自動運転

自動運転は、AIの物体検出を活用した典型的な事例です。AIの物体検出なしには、自動運転を実現させることは不可能です。
交通標識や信号はもちろん、あらゆる障害物の位置や個数をAIが検出することで、自動運転の精度・安全性を飛躍的に高めることができます。
②製造現場での不良品や異常の検知

製造現場での製品や設備の異常検知にもAIの物体検出を活用することができます。不良品を自動で識別して取り除いたり、設備に問題・異常がないかを判断することで、人間の作業を代替します。
人間による肉眼での確認よりも迅速かつ正確に識別検知が可能であり、業務の生産性・効率性が格段にアップするでしょう。
例えば、キューピーは、総菜の原料となるカット野菜の検査にAIの物体検出による原料検査装置を活用し、不良品を特定するシステムを確立しています。
③商品の販売状況の監視

小売店での商品の販売状況の監視にもAIの物体検出を活用することができます。
陳列棚にAIを搭載したカメラを設置することで、どの商品がいくつ売れたかをAIがリアルタイムで監視。売行きに応じて自動で価格調整を行ったり、追加仕入れの必要性を判断したりすることが可能となります。
例えば、ディスカウントストアのトライアルは、店内にAIカメラを設置し、物体検出による価格の自動調整システムを導入しました。AIカメラによる画像解析によって各商品の販売状況を確認し、在庫に余りが出そうな商品については自動で値下げをすることができます。
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④レジでの価格清算の自動化

AIの物体検出により、コンビニやスーパーでの商品清算を完全に自動化することが可能となります。AIが買い物客のもつ商品を認識・識別することで、自動で価格を計算することができます。
これにより、レジでの待ち時間の短縮や人件費の削減といったメリットが得られます。
⑤工場での従業員の安全確保

工場や建設現場などでの作業員の安全確保にもAIの物体検出を活用することができます。作業員が、立ち入り禁止エリアや危険区域に入ろうとした場合にAIがそれを検知し、警告音を発したり、設備の稼働を止めることで、現場での事故を未然に防止することができます。
例えば、JFEスチールは、工場にAIと連携したカメラを設置して、作業員が危険なエリアに立ち入った際に、警報音を発し、工場ラインを停止させるシステムを導入しています。
⑥医療画像の診断

AIの物体検出により、医療画像の中からがんの有無を見分けたり、病気の兆候を発見したりすることが可能となります。
人間の医師とダブルチェック体制をとることで、誤診断や病気の見逃しのリスクを減らし、正確な診断ができるようになります。
例えば、国立がん研究センターは、内視鏡画像をAIに解析・診断させ、消化器系のがんの早期発見につなげる取り組みを実施しています。AIに約5,000件の内視鏡画像を学習させたところ、偽陽性率を1%に抑えたまま、98%の病変発見率を達成し、解析時間もわずか0.1秒以内であるという結果が出ました。
⑦顔認証システム

AIの物体検出は、顔認証システムに活用することができます。特定の人の顔を識別したり、大量の人物が写っている画像から特定の人物のみを探し出したりすることが可能となります。
顔認証システムは、公共施設やオフィスなどでのセキュリティ対策や犯罪捜査など、様々な場面で利用が進んでいます。
AIに物体検出を行わせる際の3つの注意点

AIに物体検出を行わせる際の注意点として、以下の3つが挙げられます。
- ①学習データとなる画像の構図を整える
- ②画像の解像度を適切に保つ
- ③検出するモノの種類や個数を絞る
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①学習データとなる画像の構図を整える
AIが物体検出を行えるようにするためには、事前に画像データを学習させる必要があります。
この学習の素材となる画像の構図をしっかり整えておかないと、正確な物体検出は困難になります。不要な背景をカットしたり、余計な障害物が入らないようにしたりして、AIが学習しやすいように準備することが重要です。
②画像の解像度を適切に保つ
AIに認識させる画像の解像度は必要最小限に保つことを意識しましょう。あまりにも高い解像度の画像を認識させると、過剰な負荷がかかり、処理速度が遅くなることがあります。
一方で、画像の解像度が低すぎると特徴を抽出することができず、検出の精度が下がってしまいます。
画像を圧縮したり、白黒にするなどして、検出精度を保ちつつ、処理速度が遅くならないよう、適切な解像度に保つことが重要です。
③検出するモノの種類や個数を絞る
AIに検出させるモノの種類や個数が多くなればなるほど、計算量が増加し、処理速度は遅くなります。
そのため、AIに検出させるモノの種類・個数や画像内に映るモノの個数を必要最小限度に絞り、AIに過剰な負荷がかからないようにすることが重要です。
企業がAI活用を成功させるための5つのポイント

企業がAI活用を成功させるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。
- ①中長期でのAI活用戦略の策定
- ②投資対効果の高い活用目的・方法の選定
- ③アジャイルアプローチでの開発・導入
- ④システムとルールの両面からのリスク管理
- ⑤研修等での社員のAI活用リテラシー向上
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①中長期でのAI活用戦略の策定
AIの性能進化が加速しているこれからの時代、足元の取り組みはもちろん、3年・5年スパンでAIをどこまでダイナミックに活用できるかが、企業の競争優位性に直結します。
また、AI活用のレベルは、比較的簡単な各社員のAIツール利用による生産性向上から、AI活用による業務プロセス革新、顧客向けサービスの進化、新サービス/商品の創出まで様々です。
そのため、中長期で目指すAI活用の姿を見据え、その実現に向け逆算したロードマップや、まず足元進めるべき活用を設計することが重要です。
②投資対効果の高い活用目的・方法の選定
AIは人間と同様、全ての業務に対して万能という訳ではなく、膨大なデータに基づいた分析や対応、コンテンツ制作は得意だが、複雑な問いに対して正確な答えを出すのは苦手といった、得意不得意が明確に存在します。
そのため、自社の業務の現状やAIの特徴を踏まえた上で、どのような課題/目的に対して、どのようなアプローチ/範囲/ツールで活用を進めるかを、検討・選定するステップがプロジェクトの投資対効果を左右する、極めて重要なプロセスとなります。
③アジャイルアプローチでの開発・導入
AIは、一度開発・導入して終わりという進め方ではなく、何度もモデル・学習データ・利用方法等を細かくカスタマイズしなおすことで、より理想とする活用を実現することができます。
具体的には、初期仮説に基づいた簡易的なプロトタイプを構築し実際に利用してみる、というサイクルを、1サイクル数週間~数ヶ月の期間で何度も繰り返し、ブラッシュアップしていくという、アジャイル開発のアプローチを取ることが適しています。
④システムとルールの両面からのリスク管理
企業がAI活用に踏み切れない最大の理由として、機密情報漏洩などのリスクへの懸念が挙げられます。
確かに、社員に特段ルールを設けず、一般に公開されているAIツールを使用させるなどの場合、様々な問題が発生する可能性は存在します。
一方で、セキュリティ対策を行ったシステム構築や、社員向けのAIの使用ルールやガイドラインの策定により、リスクをマネジメントし最小化することが可能です。
⑤研修等での社員のAI活用リテラシー向上
AI(特に生成AI)を活用するにあたっては、同じAIを利用していても、使い手のリテラシーによって成果が大きく左右されるという点に注意が必要です。
そのため、AIのポテンシャルを最大限に活用するためには、従業員のAIに対する理解とスキル、すなわちAI活用リテラシーを向上させることが不可欠です。
そこで、研修プログラムや実践的なトレーニングを通じて、従業員がAIの基本的な知識、適切な使用方法、関連するリスクを理解してもらい、効率的かつ責任ある方法で使用できる環境の構築が重要となります。
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