AI導入の7大メリットとデメリット|活用事例や導入方法も紹介
2022年末に登場したChatGPTなど、AIはますます性能が向上しており、幅広い業界の企業がAIを導入し、業務効率化やサービスの付加価値向上などに向けた取り組みを進めています。
そんな中、「自社でもAIを導入しようかどうか迷っている」「AIを導入する前に、AIのメリットやデメリットを理解しておきたい」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、AIの導入を検討している方に向けて、AIを導入するメリットとデメリットを、事例とともにわかりやすくご紹介します。
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目次
そもそもAI(人工知能)とは?
AIとは、「Artificial Intelligence(人工知能)」の略称で、コンピューターがまるで人間のように学習・判断・予測などの知的作業を行うことを可能にする技術のことを指します。
例えば、画像を認識し異常を検知する、過去のデータから未来を予測する、依頼を元に文章や画像を作成するなどの様々な活用が可能です。
近年、ビッグデータの蓄積や分析技術の進歩などにより、2020年以降その性能が飛躍的に向上し、幅広い業界・用途での活用が急激に進んでいます。
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AIを導入する7つのメリット
AIを導入するメリットとして、主に以下の7つが挙げられます。
- ①生産性向上
- ②人手不足解消
- ③人件費などのコスト削減
- ④業務品質向上・標準化
- ⑤高度なデータ活用
- ⑥コミュニケーションの円滑化
- ⑦顧客満足度の向上
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①生産性向上
AIは、単純な事務作業や定型的な業務を得意としており、人間よりもはるかに正確かつ迅速にこれらの業務をこなします。また、人間と異なり、24時間365日休むことなく稼働を続けることができます。
これにより、業務生産性の大幅な向上を実現します。
②人手不足解消
AIは、工場での検品や顧客からの問い合わせ対応など、人手を確保することが困難な定型的な作業を得意としています。AIがこのような作業を代替することで、人手不足を解消することができます。
③人件費などのコスト削減
AIに、単純作業や定型作業を代替させることで、雇用を抑え、人件費や社会保険料などのコストを削減することができます。
AIの進化により、AIが代替できる業務が増えることで、人件費削減効果はさらに高まると期待されています。
④業務品質向上・標準化
AIによる業務プロセスの自動化により、ヒューマンエラーや属人的な仕事の仕方のズレをなくすことで、業務品質向上や標準化が可能です。
また、AIを活用して社内データや知見を統合し、チャットボットなどの形式で手軽にアクセス可能とすることで、全従業員がタイムリーに最適な判断や作業を可能にする取り組みも進んでいます。
⑤高度なデータ活用
AIの最大の強みである膨大なデータに基づく分析により、あらゆる意思決定の質を高め、最適化することができるようになります。
例えば、顧客の購買データの分析に基づく販売戦略の策定、物価データの分析に基づく建設費用の正確な見積り、患者の健康診断データの分析に基づく疾病リスクの正確な予測など、複雑なデータの分析も可能となります。
⑥コミュニケーションの円滑化
AIを活用することで、あらゆる形態のコミュニケーションを円滑化することができます。
例えば、AIを搭載したチャットボットによる顧客からの問い合わせ対応や社内情報の共有やAIの自動翻訳機能を活用した外国人との会話など、様々な場面で、円滑なコミュニケーションが可能となります。
⑦顧客満足度の向上
AIの活用により、顧客満足度の向上を図る取り組みも進められています。
例えば、市場分析に基づく商品・サービスの企画や、各顧客の状況・ニーズを踏まえたサービスのパーソナライズ・機能強化、即時かつ丁寧な顧客対応などの実現にAIが活用可能です。
AIを導入する6つのデメリット
AIを導入するデメリットとして、以下の6つが挙げられます。
- ①雇用の減少
- ②個人情報や機密情報の漏洩
- ③AIの過信による業務ミスの発生
- ④責任の所在の不明確化
- ⑤思考プロセスのブラックボックス化
- ⑥一時的なコストの増大
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①雇用の減少
AIが人間の仕事を代替することで、人手不足を解消できる一方、雇用が減少し、人間の仕事が奪われるのではないかという懸念も指摘されています。特に、単純な事務作業や定型作業は、人間よりもAIの方がはるかに上手にこなすことができるため、AIが人間に代替する動きは加速していくと考えられます。
ただし、AIが普及することで、AIを使った新たな仕事が生まれるともいわれており、必ずしも雇用不足に繋がるとは限りません。
②個人情報や機密情報の漏洩
AIに個人情報や機密情報を学習させることで、サーバーやネットワークを経由してこれらの情報が漏洩するリスクが生じます。また、AIシステムの脆弱性を突いたサイバー攻撃などのセキュリティリスクも存在します。
そのため、AIの活用にあたっては、安全なセキュリティシステムの構築や利用ルール/ガイドラインの策定が重要なポイントとなります。
③AIの過信による業務ミスの発生
AIを適切に利用することで業務生産性を大きく高めることが可能ですが、どのようなシチュエーションでも万能という訳ではありません。
AIによるデータ分析の結果を鵜吞みにすることで誤った経営判断を下したり、倫理的に問題のあるアウトプットを社外に公開してしまうなど、深刻な問題につながる可能性もあります。
AIの能力を過信せず、人間の目でしっかりとダブルチェックを行う体制を構築することが重要です。
④責任の所在の不明確化
AIを搭載したロボットや自動車による事故が発生し、第三者に損害を与えてしまった場合に、責任の所在が不明確になってしまう可能性があります。
そのため、AIを搭載したロボット等の事故が発生した場合に、誰がどのような責任を負うのかをあらかじめ明確に規定しておくことが重要です。
⑤思考プロセスのブラックボックス化
AIは、大量のデータを迅速に処理してアウトプットを出力するため、そのような結論に至った理由・思考プロセスを把握することができません。
これにより、AIが下した結論が本当に適切なものかを判断することが困難となるだけでなく、AIにエラーやトラブルが発生した場合に原因を究明することができなくなるというリスクもあります。
⑥一時的なコストの増大
AI活用により中長期では生産性向上やコスト削減に繋がるものの、導入時には一定のシステム構築やコンサルティング等のコストが発生します。
また、適切な目的や範囲の選定や、大規模導入前のスモールスタートによる有効性の検証などの取り組みを進めないと、投資対効果は低下してしまいます。
【業界別】AI導入のメリットの具体例7選
AIを導入するメリットの具体例として、業界別に以下の7つが挙げられます。
- 【小売・飲食】ロボットによる接客
- 【ファッション】商品のレコメンド
- 【製造】不良品の検知
- 【医療】疾病リスクの予測
- 【農業】ロボットによる収穫
- 【教育】生徒の質問に答えるチャットボット
- 【コールセンター】顧客対応の自動化
それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。
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【小売・飲食】ロボットによる接客
小売店や飲食店において、AIを搭載したロボットが、会計や料理の運搬などの接客業務を代替することで、人間の店員を雇うことにより発生する人件費を節約することができます。
例えば、中国の小売企業である京東(JD.com)は、調理・配膳・注文・会計までをAIロボットで自動化する未来型レストランをオープンしました。
これにより、人件費を削減するだけでなく、新たな外食体験を顧客に提供し、満足度を向上させることができました。
【ファッション】商品のレコメンド
AIが、ユーザーの商品検索履歴や購買履歴をトラッキングすることで、個々のユーザーの好みに応じた最適な商品をレコメンドすることができるようになります。
また、ファッション分野では、ユーザーの容姿をもとに、そのユーザーに似合った洋服やアイテムをAIが選定するサービスが登場しています。
JINSは、ユーザーが試着したメガネの似合い度を、顔の形や髪型をもとにAIが判定する「JINS BRAIN」というサービスを提供しています。
【製造】不良品の検知
AIに、工場での不良品の見分け方を学習させれば、人間よりも正確に不良品を検知することができ、検査漏れ防止と検査の自動化・効率化につながります。
例えば、キューピーは、総菜の原料となるカット野菜の検査にAIの画像解析による原料検査装置を活用し、不良品を特定するシステムを確立しています。
また、ロボットと連動させることで、AIが検知した不良品を自動で除去することも可能となります。
【医療】疾病リスクの予測
AIの高度なデータ分析能力を活用することで、患者の健康診断のデータや医療データをもとに、個々の患者が将来どのような病気になりやすいかを予測することができるようになります。
東京ミッドタウンクリニックは、疾病リスク予測AIサービスというツールを活用して、人間ドックを受診した患者に対して疾病リスクの予測結果を報告しています。疾病リスク予測AIサービスは、1年分の健康診断データをもとにAIが6年先までの疾病リスクを予測するサービスです。
AIによる正確な疾病リスクの予測は、質の高い予防医療の実現に貢献します。
【農業】ロボットによる収穫
農業は、深刻な人手不足問題を抱えている分野の一つです。AIを活用することで、農作業の一部を自動化し、人手不足を解消する取り組みが行われています。
例えば、デンソーは、AIを搭載したトマトの自動収穫ロボットを開発しました。AIの画像認識技術を用いてトマトの実がどこにあるかを認識し、それをもとにAIがロボットアームの動きを制御します。これにより、収穫作業を自動化し、人手不足の解消を目指しています。
【教育】生徒の質問に答えるチャットボット
AIを搭載したチャットボットを活用することで、生徒からの質問に即時に応答したり、個々の生徒の成績やテスト結果に応じた最適な学習アドバイスを提供するサービスの導入が可能となります。
これにより、教師がその場にいなくてもAIにいつでも質問できるようになり、学習効率が大幅に向上します。
例えば、学研は、対話型生成AIであるChatGPTを搭載した学習システムを開発し、各生徒に対して適切な学習アドバイスを提供したり、質問に回答するサービスを提供しています。
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【コールセンター】顧客対応の自動化
AIの音声認識・会話機能を活用することで、コールセンターでの顧客からの問い合わせ対応を自動化することができます。
例えば、ベルシステム24では、AIチャットボットが顧客からの問い合わせを受け、簡単な質問には即座にAIが回答し、難しい質問には人間が対応するというハイブリッド型のアプローチを採用しています。
これにより、迅速な顧客対応が可能となり、顧客サービスの質向上・標準化を実現することができます。
企業がAI活用を成功させるための5つのポイント
企業がAI活用を成功させるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。
- ①中長期でのAI活用戦略の策定
- ②投資対効果の高い活用目的・方法の選定
- ③アジャイルアプローチでの開発・導入
- ④システムとルールの両面からのリスク管理
- ⑤研修等での社員のAI活用リテラシー向上
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①中長期でのAI活用戦略の策定
AIの性能進化が加速しているこれからの時代、足元の取り組みはもちろん、3年・5年スパンでAIをどこまでダイナミックに活用できるかが、企業の競争優位性に直結します。
また、AI活用のレベルは、比較的簡単な各社員のAIツール利用による生産性向上から、AI活用による業務プロセス革新、顧客向けサービスの進化、新サービス/商品の創出まで様々です。
そのため、中長期で目指すAI活用の姿を見据え、その実現に向け逆算したロードマップや、まず足元進めるべき活用を設計することが重要です。
②投資対効果の高い活用目的・方法の選定
AIは人間と同様、全ての業務に対して万能という訳ではなく、膨大なデータに基づいた分析や対応、コンテンツ制作は得意だが、複雑な問いに対して正確な答えを出すのは苦手といった、得意不得意が明確に存在します。
そのため、自社の業務の現状やAIの特徴を踏まえた上で、どのような課題/目的に対して、どのようなアプローチ/範囲/ツールで活用を進めるかを、検討・選定するステップがプロジェクトの投資対効果を左右する、極めて重要なプロセスとなります。
③アジャイルアプローチでの開発・導入
AIは、一度開発・導入して終わりという進め方ではなく、何度もモデル・学習データ・利用方法等を細かくカスタマイズしなおすことで、より理想とする活用を実現することができます。
具体的には、初期仮説に基づいた簡易的なプロトタイプを構築し実際に利用してみる、というサイクルを、1サイクル数週間~数ヶ月の期間で何度も繰り返し、ブラッシュアップしていくという、アジャイル開発のアプローチを取ることが適しています。
④システムとルールの両面からのリスク管理
企業がAI活用に踏み切れない最大の理由として、機密情報漏洩などのリスクへの懸念が挙げられます。
確かに、社員に特段ルールを設けず、一般に公開されているAIツールを使用させるなどの場合、様々な問題が発生する可能性は存在します。
一方で、セキュリティ対策を行ったシステム構築や、社員向けのAIの使用ルールやガイドラインの策定により、リスクをマネジメントし最小化することが可能です。
⑤研修等での社員のAI活用リテラシー向上
AI(特に生成AI)を活用するにあたっては、同じAIを利用していても、使い手のリテラシーによって成果が大きく左右されるという点に注意が必要です。
そのため、AIのポテンシャルを最大限に活用するためには、従業員のAIに対する理解とスキル、すなわちAI活用リテラシーを向上させることが不可欠です。
そこで、研修プログラムや実践的なトレーニングを通じて、従業員がAIの基本的な知識、適切な使用方法、関連するリスクを理解してもらい、効率的かつ責任ある方法で使用できる環境の構築が重要となります。
企業がAIを導入するための4つのステップ
企業がAI導入を進めるための流れとして、以下の4つのステップがあげられます。
<STEP1:活用業務の選定>
- 最新の市場動向のリサーチ
- 自社での活用対象業務の幅出し・選定
- AI活用の目的・目標の設定
<STEP2:活用範囲と業務プロセスの決定>
- 対象業務の棚卸し・効率化余地の検討
- AIを活用する業務範囲の決定
- AIと人間の役割分担の設計
<STEP3:試験開発・運用(PoC)>
- 要件定義・プロトタイプ開発
- 試験運用
- フィードバック収集・評価
<STEP4:本開発・運用>
- PoCを踏まえた本開発
- 運用・評価
- 活用方針・方法の継続的なカイゼン
各ステップについてわかりやすく紹介していきます。
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STEP1:活用業務の選定
AIは、定型的な社内業務の効率化から新規事業創出まで幅広い業務に活用可能だからこそ、AI活用の投資対効果が高い業務を適切に選定することが最も重要となります。
最新の技術や競合の活用動向をキャッチアップした上で、自社の活用可能性の幅出し・整理を行います。その上で、AIをどのような業務・目的・成果目標で導入するかを設定しましょう。
STEP2:活用範囲と業務プロセスの決定
大きなポテンシャルを持つAI活用ですが、人間と同様、どのようなシチュエーション・任せ方でも万能というわけではありません。
そのため、活用業務の現状・課題と、AI・人間の得意/不得意を踏まえた上で、どの範囲の業務をどのように人間と協業しながら任せるかを決定することが重要になります。
STEP3:試験開発・運用(PoC)
いきなり大規模な導入を進めるのではなく、比較的小規模な試験開発・運用(PoC)により、その有効性を確かめることで、AI活用全体の投資対効果を大きく高めることが可能です。
検証したい仮説を事前に明確にした上で、実際にプロトタイプでの試験運用を行い、活用業務や方法の改善ポイントを洗い出しましょう。
STEP4:本開発・運用
PoCで得られた改善ポイントに基づき、自社の経営課題・業務の現状にベストマッチするAI活用の内容やシステムの要件を再度設計し、本開発を行います。
また、本開発後も継続的に成果や活用状況を評価し、継続的なカイゼンを行うことで、自社でのAI活用のインパクトを最大化することができます。
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