VRの食品業界での活用事例13選|5大メリットも紹介

関連技術の進歩やMetaやAppleのデバイス発売などに伴い、多くの企業がVRの活用を進めています。

 

最近では、VRと食品業界との相性の良さから、VRを食品業界に活用する企業が増えています。

 

そこで今回は、食品業界へのVRの活用事例13選を、活用のメリット、成功のポイントなどとともにわかりやすくご紹介します。

 

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

 

  • 食品業界で自社のVR活用を検討している
  • 他社による食品業界へのVRの活用事例を押さえておきたい
  • VRを食品業界に活用するメリットが知りたい

 

本記事を読めば、食品業界へのVR活用を進める上で押さえておきたい知識を、一気にキャッチアップできる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。


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目次

そもそもVRとは

そもそもVRとは? 三越伊勢丹
(画像:三越伊勢丹)

VRとはVirtual Realityの略称で、別名仮想現実とも呼ばれます。最先端の3DモデリングやVRデバイス、ゴーグル等の技術により、まるでその世界に入り込んでいるかのように感じられる、デジタル上の仮想空間を提供する技術のことを指します。

 

日本バーチャルリアリティ学会ではVRを「みかけや形は原物そのものではないが、本質的あるいは効果としては現実であり原物であること」と定義しています。すなわち、VRは、現実世界そのものではないが、実質は現実世界とほとんど変わらないという意味です。

 

VRの定義についてはこの他にも色々な考え方がありますが、いずれにしても、本質的には現実とほとんど変わらないというところがポイントになります。

 

様々なユースケースの中でも特にゲームの使用を中心に利用が拡大しており、まるでゲームの世界に入り込んだかのような没入感・臨場感を感じながらプレイすることが出来ます。

 

また、最近ではゲームだけでなく、仮想現実に出店し商品を販売したり、仮想空間上で社員研修や教育を行ったり、建築のシミュレーションを行ったりするなど、様々な分野でVRが活用されています。

 

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VRを食品業界に活用する5つのメリット

VRを食品業界に活用する5つのメリット

VRを食品業界のビジネスに活用するメリットとして主に以下の5つが挙げられます。

 

  • ①コロナ禍対策としてのオンラインシフト
  • ②幅広い顧客にリーチできる
  • ③VRならではの体験により訴求力が向上する
  • ④ブランドへのロイヤリティを強化しやすい
  • ⑤SNS等でのバズマーケティングに繋がりやすい

 

それぞれのメリットについてわかりやすく紹介していきます。

 

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①コロナ禍対策としてのオンラインシフト

コロナ禍対策としてのオンラインシフト 大丸松坂屋
(画像:大丸松坂屋)

1つ目のメリットは、コロナウイルス感染拡大防止のための行動制限などの影響で、幅広い業界のマーケティング・プロモーション活動が打撃を受けています。商材によってはオンラインでのプロモーションへのシフトを成功させています。

 

一方で、実物を確認して買いたいという人が多い商材や実店舗でのプロモーションイベントや顧客ひとり一人に寄り添った提案が重要な商材のマーケティングのオンラインシフトは非常に難易度が高く、幅広い業界の企業の課題となっています。

 

そこで、マーケティングにVRを活用することで、実店舗などのリアル空間で行っていたマーケティング施策のオンラインシフトを行うことが可能です。

②幅広い顧客にリーチできる

2つ目のメリットは、幅広い顧客にリーチできるという点です。VRを活用したマーケティングの特徴の1つとして、「いつでも、どこからでもアクセスしてもらえる」という点があります。

 

従来のリアルな空間でのプロモーションイベントでは、ターゲットとなる人が地理的に大きく制限されているため、一定程度ターゲットが密集している都心部など以外で施策を実施しづらいという課題がありました。そこで、VR上でマーケティング施策を行うことで、幅広い地域のターゲットにリーチすることが可能です。

 

また、VRを活用することで、従来若者世代との接点獲得に苦戦していた企業・商材のマーケティングを加速させることもできます。VRがデジタルネイティブの比較的若い世代から人気を集めていることや、人気のコンテンツなどとコラボしたりゲーミフィケーションを取り入れたプロモーション施策との相性が良いことから、若者世代の顧客獲得への打ち手としての活用が進んでいくことが考えられます。

③VRならではの体験による訴求力向上

VRならではの体験による訴求力向上 ギグワークスアドバリュー
(画像:ギグワークスアドバリュー)

3つ目のメリットは、VRならではの体験による訴求力向上ができるという点です。

マーケティングにVRを活用することで、オンラインでの商材の訴求力を向上することができます。訴求力向上に繋がるポイントは大きく2点あります。

 

1点目は、3Dモデルを活用した訴求力の向上です。顧客が商材や店舗、施設を目の前にしているような体験を提供でき、従来オンラインで商材の魅力が伝わりづらく、オンラインプロモーションに苦戦していた商材の訴求力を向上することができます。

 

2点目は、VRならではの体験を通じた、新たな購買体験による訴求力の向上です。オンラインでありながら、友人と一緒に買い物が出来る環境を構築したり、リアルでは簡単に提供できない非現実的な体験型のプロモーション施策を低コストで実施したりすることができます。

④ブランドへのロイヤリティを強化しやすい

4つ目のメリットは、ブランドへのロイヤリティを強化しやすいという点です。VRを活用することで新たなブランド体験を提供できるためです。広告・マーケティング活動をWebやSNSで行う場合とVR上で行う場合の最も大きな違いは、ブランドがユーザーに対し3次元の空間上でインタラクションを交えた体験を設計できることです。

 

そのため、従来は各ブランドがリアルで開催していたイベントや、リアルでは実現の難しいゲーミフィケーションを交えた体験設計などを通じて、ブランドの世界観を体験してもらう取り組みが可能です。

⑤SNS等でのバズマーケティングに繋がりやすい

5つ目のメリットはSNS等でのバズマーケティングに繋がりやすいという点です。VRは他の画像や動画をベースとした一般的なWeb広告と比べ、珍しさがあることや、アニメーションやゲーミフィケーションを取り入れることで、コンテンツとしての魅力があることなどからSNS等でシェアされやすい傾向があります、

 

そのため、広告宣伝費以上の広告効果が得られたり、SNS上でのトレンドになれば、ユーザーに対し強力なインパクトを残すことができます。

VRの食品業界での活用事例13選

VRの食品業界での活用事例13選

VRの食品業界での活用事例として代表的なものに以下の13事例が挙げられます。

 

  • ①ブルボン:自社の世界観を伝える専用VR空間を構築
  • ②ふくや :ECにVRを活用しCVR30%を記録
  • ③コカ・コーラ:VR上で新製品のプロモーションイベントを開催
  • ④キリン:VR上でオンライン工場見学を実施
  • ⑤ネスレ:VR内の店舗で料理コンテストなどを開催
  • ⑥オレオ:ミニゲームなどを楽しめる独自のVRをリリース
  • ⑦McCormick:Decentraland上にバーチャルスパイスマーケットを構築
  • ⑧KFC:店舗の新人研修をVRゲームで実施し時間を50%以上短縮
  • ⑨マクドナルド:ハッピーセットでVRヘッドセットプレゼント
  • ⑩モスバーガー:VR上でハンバーガー作り体験
  • ⑪TGI Fridays:レストランでVR体験が出来るキャンペーンを実施
  • ⑫Chipotle:Roblox上でキャンペーン「Burrito Builder」を実施
  • ⑬Wendy’s:VR上に店舗を出店

 

それぞれについて、わかりやすく解説します。

 

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①ブルボン:自社の世界観を伝える専用VR空間を構築

ブルボン:自社の世界観を伝える専用VR空間を構築
(画像:ブルボン)

ブルボンは、お菓子の持つ「楽しさ」を伝えるブルボンの世界観と、ブルボン本社がある新潟県柏崎市の魅力を発信するための専用のVR空間を構築しました。

 

VR空間では、ブルボンの歴史などを学んだり、道中で拾ったコインでカプセルトイのガチャガチャで遊べます。また、自販機からはブルボンのオンラインストアへアクセスでき、VRコラボ商品を含めたブルボンの商品を注文できます。

 

今後は、企業と生活者の安全・安心な対話型のコミュニケーションを実現する場として展開し、さらなるファンの獲得とファン同士のコミュニティの活性化につなげていくことを目標としています。

②ふくや :ECにVRを活用しCVR30%を記録

ふくや :ECにVRを活用しCVR30%を記録
(画像:ギグワークスアドバリュー)

明太子メーカーのふくやは、バーチャル店舗をVR上に設置し、リアル店舗同様に商品を確認し、店員から説明を受け、購入ができるという取り組みを実施し、来場者の約3割が商品を購入するという成果をあげました。

 

来場者は、PRG風のVR空間上で、自分のアバターを操作し、別のアバターに近づくことでチャットやビデオ通話などができ、コミュニケーションをとりながら買い物を楽しむことができました。

③コカ・コーラ:VR上で新製品のプロモーションイベントを開催

コカ・コーラ:VR上で新製品のプロモーションイベントを開催
(画像:コカ・コーラ)

コカ・コーラは、VR内のバーチャルショップで新製品のプロモーションやイベントを開催し、消費者とのVR内のつながりを強化しています。VR上のゲームに発想を得て開発した新飲料「コカ・コーラゼロシュガーバイト」は人気オンラインゲームフォートナイト上で飲料の発売前から体験できるようにし、消費者の期待を高めました。

 

コカ・コーラは他にもVR上に復元した過去の自動販売機をNFTを使ってオークションで販売するなど、VRを活用した新たな消費者の獲得に積極的に取り組んでいます。

 

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④キリン:VR上でオンライン工場見学を実施

キリン:VR上でオンライン工場見学を実施
(画像:キリン)

キリンが提供している「おいしさ体験オンラインツアー」は、工場見学ガイドによる案内を受けながら3D空間を自由に操作することのできるVRを活用した体験型のオンラインコンテンツです。ツアーでは、キリンビールの製造過程や歴史を学んだり、講師からビールの味わいや香りの説明を受けたりすることができます。

 

これにより、消費者は製品の魅力を深く理解し、新たな飲み方や楽しみ方を発見することができます。キリンのおいしさ体験オンラインツアーは、消費者とのエンゲージメントを高めるだけでなく、製品の認知度や魅力を向上させる効果的な取り組みとなっています。

⑤ネスレ:VR内の店舗で料理コンテストなどを開催

ネスレ:VR内の店舗で料理コンテストなどを開催
(画像:ネスレ)

ネスレは大手VRプラットフォームDecentraland上にバーチャルストア「Nestlé MUNCH」を構築しました。このバーチャルストアはネスレブランドの延長として設計されており、仮想上の商品を購入できるほか、料理コンテスト、味覚テストなどの仮想イベントも開催されました。

 

VRの活用によって消費者との新たな関わりによるブランドイメージの向上とビジネスの拡大を目指しています。

⑥オレオ:ミニゲームなどを楽しめる独自のVRをリリース

オレオ:ミニゲームなどを楽しめる独自のVRをリリース
(画像:オレオ)

オレオはVRを利用した独自のバーチャルスペース「oreoverse」を提供しています。oreoverseではブランドとの交流やゲームへの参加が可能であり、ユーザーは新しいフレーバーや限定版製品を発見する機会を得られます。

 

消費者は楽しみながら商品の価値や魅力を知ることができ、このような体験はオレオがブランドの魅力を消費者に伝える有効な手段となっています。

 

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⑦McCormick:Decentraland上にバーチャルスパイスマーケットを構築

McCormick:Decentraland上にバーチャルスパイスマーケットを構築
(画像:McCormick)

McCormickはアメリカに本社を構える世界最大のスパイスメーカーです。McCormickは仮想スパイスマーケット「House of Flavor by McCormick®」をDecentraland上に構築しました。ユーザーはさまざまなスパイスと、料理でのそれらの用途について学ぶことができます。

 

VR上でのこうしたイベントは、料理教室、ワークショップ、コミュニティ イベントを通じて、ブランド認知度を向上させ、より広い客層にアプローチすることができます。

⑧KFC:店舗の新人研修をVRゲームで実施し時間を50%以上短縮

KFC 'The Hard Way' VR training game
(動画:KFC)

ケンタッキー・フライド・チキンは、従業員教育にVRコンテンツを活用しています。従業員は、ケンタッキーのフライドチキンの揚げ方の研修をVRによって体験しながら受講することができます。

 

VR研修の導入により、実際のキッチンで行うと25分程度かかるトレーニングが10分まで時間短縮できたという成果が得られました。また、コンテンツにはゲーム的な要素を多分に盛り込んでおり、楽しみながら研修を行うことができます。

⑨マクドナルド:ハッピーセットでVRヘッドセットプレゼント

Happy Goggles – A virtual reality headset made from a Happy Meal Box.
(動画:マクドナルド)

スウェーデンのマクドナルドは、ハッピーセット販売30周年を記念して、ダンボール製のVRゴーグル「Happy Goggles」をハッピーセットのおまけとして販売しました。

 

Googleが開発したダンボール製の本体に手持ちのスマートフォンと組み合わせることで完成するヘッドマウントディスプレイ「Google Cardboard」と同じ仕組みで、ボックスを解体して組み立て、中にスマートフォンを入れれば、VR上でスキーのゲームを楽しむことができます。詳細は下記の動画をご確認ください。

⑩モスバーガー:VR上でハンバーガー作り体験

モスバーガー:VR上でハンバーガー作り体験
(画像:モスバーガー)

モスバーガーは。世界最大のSNSVRプラットフォーム「VRChat」上に仮想店舗をオープンしました。

この取り組みは、モスバーガー初となる“月見”商品「月見フォカッチャ」に合わせたもので、仮想店舗は月面上に設置されており、VRゴーグルを持っていれば誰でも自由にアクセス可能です。

 

また、3日間の期間限定で、都内3店舗でVRゴーグルの貸出・VR上でのハンバーガー作りの体験会も開催されました。

 

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⑪TGI Fridays:レストランでVR体験が出来るキャンペーンを実施

TGI Fridays – #JingleEffect
(動画:TGI Fridays)

TGI Fridaysは、世界60ヶ国以上で992店舗展開する、「古きよきアメリカ」をコンセプトとするカジュアルダイニングレストランです。同社は、新メニューのプロモーションのために、世界初のバーチャル犬ぞり体験を提供しました

 

また、「何頭の犬がメインのソリを引いていますか?」というクイズに正解した人から抽選でVRゴーグル等をプレゼントするというキャンペーンも同時に開催しており、Facebook等のSNSを経由して多数の方が本キャンペーンに参加していました。

⑫Chipotle:Roblox上でキャンペーン「Burrito Builder」を実施

Chipotle:Roblox上でキャンペーン「Burrito Builder」を実施
(画像:Chipotle)

アメリカを中心に世界各国で展開するメキシコ料理のレストランチェーンのChipotle社は、「ゲーム版のYoutube」と言われるゲームプラットフォーム「Roblox」上で「Burrito Builder」というブリトーを作るゲームを提供しました。

 

ユーザーはRoblox上でブリトーを作ることで、ブリトーコイン(Burrito Bucks)を獲得することができます。獲得したブリトーコインは、Tシャツやネックレスやサングラスなどのゲーム内アイテムと交換することができます。

⑬Wendy’s:VR上に店舗を出店

Wendy’s:VR上に店舗を出店
(画像:Wendy’s)

世界中で人気を誇るファーストフードチェーンWendy’sは、MetaのVRプラットフォーム「Horizon Worlds」上にVR体験スペースWendyverseを開設しています。
ユーザーはVR内で店員体験をしたり他のユーザーとコミュニケーションをとることができます。

 

また、VR内には数多くのゲームが用意されており、Horizon Worlds内で利用可能な無料フードチケットなどが獲得できるチャンスもあります。

Wendy’sは、このVR空間が若い世代との繋がりを強めることを期待しています。

食品業界へのVR活用を成功に導く5つのポイント

食品業界へのVR活用を成功に導く5つのポイント

企業がVR活用で成果を上げるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
  • ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
  • ③ユーザーファーストなUX設計
  • ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
  • ⑤強力な開発・運用体制の構築

 

それぞれについて分かりやすく紹介していきます。

 

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①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ

1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。

デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。

 

VR活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。

②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案

2つ目のポイントは、VRを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。

現在VR活用に取り組む企業には、VR活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。

 

その結果、活用のPDCAが回らない、VR活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。

 

自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜVRではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。

③ユーザーファーストな企画・UX設計

3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなVRの企画・UX設計です。

現在、多くの企業がVRに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなVRが多く存在します。それらのVRは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。

 

そのため、「VRならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。

④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進

4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。

VR市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。

 

そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。

⑤強力な開発・運用体制の構築

5つ目のポイントは、強力なVR開発・運用体制の構築です。

高いユーザー体験と事業性を両立するVRの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。

 

VR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。

食品業界へのVR活用を進めるための4つのステップ

食品業界へのVR活用を進めるための4つのステップ

VR活用を進める上では、大きく4つのフェーズと以下の35ステップを抑える必要があります。

 

<Phase1:業界動向・知見のキャッチアップ>

  • VRの基礎知識
    • ①ユーザー・企業ができること/メリット
    • ②注目を集める背景・歴史
    • ③XRデバイス・Web3等の関連テクノロジー
    • ④今後の普及・発展への展望
  • 市場/ユーザー動向
    • ⑤ビックテックなどの戦略・取り組み
    • ⑥主要VRプラットフォーム
    • ⑦各業界における大手企業の取り組み
    • ⑧国内外のユーザーの動向
  • VR活用手法・先行事例
    • ⑨VR活用手法の全体像
    • ⑩自社と類似する業界における国内外の事例
    • ⑪自社が検討する活用手法の国内外の事例

  

<Phase2:戦略/企画の立案>

  • 自社が取り得る活用の方向性の洗い出し
    • ⑫ターゲットとする経営課題と活用目的の明確化
    • ⑬目的達成に向けた活用手法候補の幅出し
  • 目的達成に向けた活用の方向性の評価
    • ⑭自社の目的に合わせた評価軸の設定
    • ⑮評価軸に沿った活用の方向性の評価
  • VR戦略の立案
    • ⑯自社の強み・アセットの活かし方を検討
    • ⑰中長期で目指す姿と企画のコンセプトの立案
    • ⑱ビジネスモデルの設計
  • 詳細な先行事例ベンチマーク
    • ⑲企画コンセプトに類似する国内外の事例ベンチマーク
    • ⑳企画の立案・具体化に向けた示唆出し
  • 企画の立案・具体化
    • ㉑コアターゲット像と提供価値
    • ㉒ユーザー体験/コンテンツ案
    • ㉓活用チャネル/プラットフォーム案

  

<Phase3:事業計画の策定>

  • 事業計画の策定
    • ㉔期待する成果/主要KGI・KPIの設定
    • ㉕開発・運用アプローチ(活用ツール・ベンダー等)の設計
    • ㉖必要なリソース(コスト・人員等)の算出
  • ロードマップ策定
    • ㉗開発・運用のタイムラインの設定
    • ㉘主要マイルストーンの設定
    • ㉙想定されるリスクと対処方法の検討

  

<Phase4:開発・運用>

  • 開発
    • ㉚不足するケイパビリティやリソースの補完
    • ㉛要件定義・システムの基本設計
    • ㉜開発の実行
  • 運用
    • ㉝VRへの集客/マーケティング
    • ㉞運用・保守の実施
    • ㉟効果測定と運用方法の見直し

 

それぞれのフェーズとステップの詳細については以下の記事をご覧ください。

 

※関連記事:VRを活用した事業を作る方法|全4フェーズと35ステップ

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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