まちづくりへのVR活用事例11選|6大メリットも紹介

MetaのXRヘッドセットのQuestシリーズが累計販売台数2,000万台を突破し、Appleも初のXRデバイスの発売を発表するなど、近年VRの注目はより一層高まっています。

 

そんなVRですが、近年は、代表的な利用用途であるゲームやSNSとしての利用に留まらず、まちづくり領域へのVRの活用が進んでいるのをご存知でしょうか?

 

そこで今回は、まちづくり領域にVRを活用する6つのメリットを最新事例11選とともにご紹介します。

 

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

  • まちづくり領域へのVRの活用を検討している
  • まちづくり領域にVR活用するメリットを知りたい
  • まちづくり領域にVRを活用している先端事例を抑えておきたい

 

本記事さえ読めば、まちづくり領域にVRを活用するために抑えておくべき情報を一気にキャッチアップできる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。


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目次

そもそもVRとは?

そもそもVRとは? 三越伊勢丹
(画像:三越伊勢丹)

VRとはVirtual Realityの略称で、別名仮想現実とも呼ばれます。最先端の3DモデリングやVRデバイス、ゴーグル等の技術により、まるでその世界に入り込んでいるかのように感じられる、デジタル上の仮想空間を提供する技術のことを指します。

 

日本バーチャルリアリティ学会ではVRを「みかけや形は原物そのものではないが、本質的あるいは効果としては現実であり原物であること」と定義しています。すなわち、VRは、現実世界そのものではないが、実質は現実世界とほとんど変わらないという意味です。

 

VRの定義についてはこの他にも色々な考え方がありますが、いずれにしても、本質的には現実とほとんど変わらないというところがポイントになります。

 

様々なユースケースの中でも特にゲームの使用を中心に利用が拡大しており、まるでゲームの世界に入り込んだかのような没入感・臨場感を感じながらプレイすることが出来ます。

 

また、最近ではゲームだけでなく、仮想現実に出店し商品を販売したり、仮想空間上で社員研修や教育を行ったり、建築のシミュレーションを行ったりするなど、様々な分野でVRが活用されています。

まちづくりへVRを活用する6つのメリット

まちづくりへVRを活用する6つのメリット

まちづくりへVRを活用するメリットとして以下の6つが挙げられます。

 

  • ①まち全体の設計の質向上
  • ②防災機能の強化
  • ③建設の質・効率の向上
  • ④バーチャル内見による居住者の増加
  • ⑤新たな体験提供によるまちの魅力向上
  • ⑥遠隔地の人々へのPR力向上

 

それぞれのメリットについて分かりやすく紹介していきます。

 

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①まち全体の設計の質向上

まち全体の設計の質向上 デジタルツイン
(画像:ソフトバンク)

1つ目のメリットは、VRやデジタルツインを活用した高度なシミュレーションによる、まち全体の設計の質の向上です。

 

VR・デジタルツインを活用することで、バーチャル空間上に建設予定のまちの様子をほぼ実物同然に再現することができます。そのモデルに、リアルの世界のIoTなどで収集された、物流・人流・車両データなどを取り込むことで、どのような設計が、最も人々が快適かつ効率的に生活できるかを、高度にシミュレーションすることが可能です。

②防災機能の強化

防災機能の強化 デジタルツイン
(画像:読売新聞オンライン)

2つ目のメリットは、VRやデジタルツインを活用した高度なシミュレーションや、VRを活用した防災訓練により、まちの防災機能を強化することができます。

 

1つ目のメリット同様、VRやデジタルツインを活用したモデル上で、大雨や地震の際の災害の建物や人流に与える影響を、高精度でシミュレーションすることで、あらかじめ災害に強いまちの設計が可能です。

 

また、VRを活用した臨場感のある防災訓練を住民に対し実施することで、住民が災害発生時に適切な対処を行い、災害の被害を最小限に留めることも可能となります。

③建設の質・効率の向上

建設の質・効率の向上 東急建設
(画像:東急建設)

3つ目のメリットは、建物の建設のシミュレーションや作業現場のサポートにVRを活用することによる、建物の質や効率の向上です。

 

VR・デジタルツインを活用した高度なシミュレーションにより、建物の設計や施工方法を最適化することができます。

 

また、現場の作業員に対し、XRデバイスを使用してもらうことで、3Dのデジタルガイダンスを行い、従来の2Dの図面等での作業指示よりも正確かつ効率的な施工を実現できます。

④バーチャル内見による居住者の増加

バーチャル内見による居住者の増加 イツデモ内見
(画像:イツデモ内見)

4つ目のメリットは、VR上に再現した住居を内見してもらう、”バーチャル内見”による居住者の増加です。

 

まちづくりを進め、居住者を募集する際に、バーチャル内見を導入することで、遠隔地の人々に手軽に内見をしてもらい、住居の魅力を訴求することができます。

⑤新たな体験提供によるまちの魅力の向上

新たな体験提供によるまちの魅力の向上 STYLY
(画像:STYLY

5つ目のメリットは、VR/XRを活用した新たな体験提供による、まちの魅力向上です。まちを訪れた人々がスマホやグラス型デバイスを使用し、まちを巡ってもらうことで、リアルの街にバーチャルコンテンツが重なり、従来では実現し得なかったような新たなエンタメ体験を提供することができます。

⑥遠隔地の人々へのPR力向上

遠隔地の人々へのPR力向上 嬉野温泉
(画像:大日本印刷)

6つ目のメリットは、VR上での遠隔地の人々へのPR力向上です。VR上にまちを再現したり、まちの魅力が伝わるブースを開設したりすることで、普段はまちになじみのない遠隔地の人々に対し、魅力をPRすることが可能です。

  

まちの人々とのインタラクティブなコミュニケーションやゲーム要素を取り入れた設計などにより、従来のwebマーケティングと比べ、強力にまちの魅力を訴求することができます。

まちづくりへのVR活用事例11選

まちづくりへのVR活用事例11選

まちづくりのVRへの活用事例として、代表的なものとして以下の11事例が挙げられます。

 

  • ①トヨタ自動車:スマートシティ「Woven City」や同都市でのサービス開発にVRを活用
  • ②鹿島建設:国内初 建築の全フェーズでBIMによるデジタルツイン構築に成功
  • ③大林組:4D施工管理システムを開発
  • ④奥村組:VR上で設計・施工のシュミレーション
  • ⑤東京海上日動:大災害の予測にデジタルツインを活用
  • ⑥大和ハウス:VR上の住宅展示場を自由に見学
  • ⑦国交省:都市づくりのDXを推進
  • ⑧大日本印刷:秋葉原を再現した「バーチャル秋葉原」をオープン
  • ⑨志摩スペイン村:VRゲーム Roblox上にリゾート施設を再現
  • ⑩NTT:VR上で参加型の水害対策訓練を実施
  • ⑪佐賀県嬉野市:嬉野温泉駅と周辺の観光地を再現した独自のVR空間を開設

 

それぞれについて、わかりやすく解説します。

 

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①トヨタ自動車:スマートシティ「Woven City」や同都市でのサービス開発にVRを活用

トヨタ自動車:スマートシティ「Woven City」や同都市でのサービス開発にVRを活用
(画像:TOYOTA)

トヨタ自動車は、自動運転やMaaS、ロボット物流などの様々な技術・サービスの実証実験を行うスマートシティである「Woven City」を静岡県裾野市の自社工場跡地に建設しています。

 

WovenCityでは、地上に自動運転車用、人と小型モビリティ用、歩行者用の3種類、地下には自動運転車などによる物流の道路が開通する予定です。

 

また、WovenCityは「人中心」、「実証実験」、「未完成」をコンセプトとしており、実際に人が住む環境下で、モビリティ・エネルギー・IoTなどの12領域での多数のサービスの実証実験が行われる予定です。

 

これらの実証実験は「ソフトウェアファースト」の考え方がベースとなっており、リアルの世界での建物や設備を建設する前に、バーチャルの世界でのシミュレーションやソフトウェア開発を先行させ、仮説検証の効率を高める狙いがあります。

②鹿島建設:国内初 建築の全フェーズでBIMによるデジタルツイン構築に成功

鹿島建設:国内初 建築の全フェーズでBIMによるデジタルツイン構築に成功
(画像:鹿島建設)

2020年に鹿島建設はオービック御堂筋ビルの新築工事において、プロジェクトの全フェーズにおいてBIMによるデジタルツインを活用することで、プロジェクトの各フェーズにおける建物データの連携・共有を可能にしました。

 

企画・設計フェーズでは周辺環境へのビル風のシュミレーション、建物内のシュミレーションに、施工フェーズでは工事プロセスのデジタル化と進捗管理、MRの活用による、実際の施工状況の確認に、維持管理フェーズでは、ファシリティマネジメントのデータへの連携、日常の点検から得られた情報を収集し、その後の建築の企画・開発への活用になど、多岐にわたるユースケースでデジタルツインを活用しました。

 

デジタルツインを活用することで、建物自体の高品質化はもちろん、企画・設計から竣工後の管理・運営までの一連の建物にまつわる情報をデジタル化し、お客様に提供することが建物の更なる価値向上に繋がると考えているとのことです。

 

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③大林組:4D施工管理システムを開発

大林組:4D施工管理システムを開発
(画像:大林組)

大林組は建築物の3Dモデルに建設現場周辺の地形やクレームの位置などの施工現場の状況を、デジタル上のモデルにリアルタイムに反映する「4D施工管理システム」を開発しました。

 

このシステムは、北海道で2023年3月の開業を控える「エスコンフィールドHOKKAIDO」の建設現場で実証が進められています。この実証では、クレーンに設置したセンサーからの位置や方角のデータを基に、クレーンの動作に関するデータをリアルタイムに収集し、デジタルツインに反映することで、施工の品質向上はもちろん、各業者の作業の出来高の算出にも活用されています。

 

また、現場に設置された入退場システムから取得した作業員の入退場データを基に、各作業を担当する作業員の工数を測定し、作業の効率化に繋げる試みも行われています。

④奥村組:VR上で設計・施工のシュミレーション

奥村組:VR上で設計・施工のシュミレーション
(画像:奥村組)

奥村組はVR上でのシュミレーションにより設計・施工の工数削減を目指すため、独自のVR空間である「メタバース技術研究所」の構築を発表しました。

メタバース技術研究所の構築にはSynemon社のVR構築サービス「NEUTRANS」が活用されたました。

 

従来は建築用のモックアップを作るのは当たり前のことでしたが、原寸大で製作する場合、多くの産業廃棄物を発生させることになります。また、縮小版で制作する場合も、手戻りが発生した際に膨大な工数が発生するという問題がありました。

 

そこで、同社の技術研究所内にある実験棟をVR化することで、設計や施工の細部の精度を高め、室内環境の際現に必要な施工にかかる工数を削減することができます。

VR技術研究所では、4種類の日射条件が室内環境の快適性や省エネルギーに与える影響を検証することができます。仮想空間上で工事関係者の合意形成を行い、実験結果をもとに実際の増改築工事を進めることで、手戻りを減らすことが期待できます。

 
また、同社はメタバース技術研究所の取り組みによりSDGs(持続可能な開発目標)を推進するとしています。その理由は、現実の素材を一切使用しないことにあります。

 

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⑤東京海上日動:大災害の予測にデジタルツインを活用

東京海上日動:大災害の予測にデジタルツインを活用
(画像:東京海上日動)

東京海上日動はNTTコミュニケーションズらと共同で、地震や水害など複数の種類の大規模災害をデジタルツインで予測する研究を開始しました。予測に基づく安全対策や補償を検討することが目的です。

 

具体的には、デジタルツインの仮想空間において、人の流れ、空間、気象、自然災害に関するデータと、防災科学技術研究所の災害予測技術を融合し、リアルタイム性の高い被害予測モデルを構築する予定です。また、このモデルの予測に基づき、災害の種類や規模に応じた複数パターンの災害初動対応策を策定します。

 

また、災害発生時の個別避難誘導、災害情報の一元管理、インフラシステムの安定運用を目的とした防災アプリケーションやクラウド型防災管理システムの研究を行います。

 

さらに、防災ソリューションの高度化に向け、リスクデータの活用やデータドリブンな保険商品についても研究していくとのことです。

⑥大和ハウス:VR上の住宅展示場を自由に見学

大和ハウス:VR上の住宅展示場を自由に見学
(画像:大和ハウス)

大和ハウスはアバターを用いて担当者と見学者がコミュニケーションを図りながら仮想空間上の住宅展示場を自由に見学できる「メタバース住宅展示場」を公開しました。ユーザーはスマホやタブレット・PCからVRにアクセスでき、最大6名の見学者とともに担当者にリアルタイムに質問や相談を実施することが可能です。

 

メタバース上にある住宅展示場という特徴を活かし地面から屋根の上までさまざまな角度から見学できることに加え、室内では子どもやペットなどの視点でも見学が可能です。また、見学者が床や壁紙・天井等の色や素材、インテリアなどを瞬時に切り替えて、イメージを検討することもできます。今後、対応する住宅商品ラインナップを拡充していく方針とのことです。

 

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⑦国交省:都市づくりのDXを推進

国交省:都市づくりのDXを推進
(画像:国土交通省)

2020年度より国土交通省は、「ProjectPLATEAU」で都市づくりのDXを推進しています。日本全国の都市で3D都市モデルを構築し、オープンデータとして公開することで、誰もが自由に都市データにアクセスし、防災やまちづくり、AR/VRなどさまざまな用途に活用できるようになります。

 

都市の3Dモデルは、都市計画・開発の様々な場面で利用することができます。例えば、交通の流れやバス停の混み具合、駐車場の空き状況、建物や公共施設に必要なスペースの把握、交通システムから排出されるCO2の量、自然災害の評価など、都市空間が持つさまざまなデータ・機能・特徴を把握することができるのです。

 

2021年には全国都市の3D都市モデルの整備が完了し、そのモデルを様々な地方公共団体や民間企業が活用し、数多くの未来のまちづくりにむけた実証実験が行われています。

⑧大日本印刷:秋葉原を再現した「バーチャル秋葉原」をオープン

大日本印刷:秋葉原を再現した「バーチャル秋葉原」をオープン
(画像:大日本印刷)

大日本印刷とAKIBA観光協議会は、現実世界と仮想世界を融合させた地域共創型XR街づくりプロジェクトとして、2022年4月に「バーチャル秋葉原」をオープンしました。

 

生活者は、PC用アプリケーションやVRゴーグル、Webブラウザなどを通じて、世界のどこからでもいつでも秋葉原の魅力を楽しむことができます。仮想空間には、ショッピングができる店舗やギャラリースペース、広告看板などが設置されており、コンテンツホルダーをはじめとする様々な企業が、情報発信や販促活動を行う「第3のチャネル」として利用することができます。

 

秋葉原の特徴である商標の看板等も地元企業の協力のもと、バーチャルリアリティ上で再現します。一部のバーチャル店舗の中には、商品などを展示するスペースがあり、ECサイトへ誘導して購入に繋げることができます。

 

バーチャル秋葉原は、ユーザーの分身であるアバターが集まり、動画視聴や商品購入、バーチャルゲームへの参加などを同時に行うことができる空間です。現実の特性を踏まえ、企業はコンテンツを提供・実施するだけでバーチャル秋葉原の世界に参加できます。

 

また、クリエイターが同一IPの二次創作を行い、スペース内で展示・販売できるよう、新たなビジネススキームを準備しています。コンテンツはNFTで管理し、クリエイティブビジネスの健全な循環を実現するとのことです。

⑨志摩スペイン村:VRゲーム Roblox上にリゾート施設を再現

志摩スペイン村:VRゲーム Roblox上にリゾート施設を再現
(画像:志摩スペイン村)

三重県志摩市のリゾート施設である志摩スペイン村は、大人気VRプラットフォームのRoblox上で志摩スペイン村を再現したエリアをオープンすることを発表しました。

 

ユーザーは志摩スペイン村の広場や街並みを楽しんだり、スペインの奇祭「牛追い祭り」「トマト祭り」をモチーフにした生き残りゲームを楽しむことができる予定です。

 

志摩スペイン村は、魅力的なアトラクションやフードがあるのに対し、立地の悪さから気軽にアクセスしにくいという課題を抱えており、若者や遠隔地在住の人に志摩スペイン村の魅力を知ってもらうことを目的とし、今回の取り組みを進めているとのことです。

 

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⑩NTT:VR上で参加型の水害対策訓練を実施

NTT:VR上で参加型の水害対策訓練を実施
(画像:NTTコミュニケーションズ)

NTTコミュニケーションズは、東京理科大学と共同で、水害リスクの高い地域での防災・減災を実現するために、市民参加型の「デジタル防災訓練」を用いた実証実験を開始すると発表しました。

 

構築されたVRは、国が提供するオープンな都市空間データや独自のデータに基づいて店舗や看板などを3D CGでリアルに再現されたもので、市民はアバターとして水害発生前後の避難行動をシュミレーションし、その行動データをNTTが分析するとのこと。

 

これにより、避難行動の可視化、防災意識の向上、安全な避難のための対策検討などに役立てることができます。また、デジタルツインの構築における技術的な課題を明らかにする予定です。

 
同社は、本実証実験のデータをもとに、企業や行政機関へ防災・減災のための提言を行うとともに、企業や行政などの共創パートナーとともに新しいサービスを開発していきたいと考えているとのことです。

⑪佐賀県嬉野市:嬉野温泉駅と周辺の観光地を再現した独自のVR空間を開設

佐賀県嬉野市:嬉野温泉駅と周辺の観光地を再現した独自のVR空間を開設
(画像:大日本印刷)

佐賀県嬉野市は、西九州新幹線の開業に合わせ、独自のVR空間である「デジタルモール嬉野」を開設しました。

 
デジタルモール嬉野は、西九州新幹線の嬉野温泉駅とその周辺の街並みや観光地を高精細なグラフィックで再現したVR空間で、同時に200人以上がアクセスすることが可能です。
ユーザーはこのVR上で、アバター姿で自由に散策したり、嬉野市に関するクイズやスタンプラリー、名産品のショッピングなどを楽しむことができます。

 
またVR内には、コインを獲得できるポイントが存在し、それらのコインを集めるとリアル店舗で活用できる様々な特典の得られるカプセルトイガチャを回すことができるなど、VRならではのゲーミフィケーションを上手く取り入れ、遠隔地の人々に市としての魅力をPRしています。

 
こちらの事例は、多彩な特産物や観光資源に恵まれながらも、少子高齢化やコロナウイルスの影響などにより、経済活動の停滞に悩まされる地方自治体にとって非常に参考になる活用事例となっています。

VRのまちづくりへの活用を成功させるための5つのポイント

VRのまちづくりへの活用を成功させるための5つのポイント

VRのまちづくりへの活用を成功させるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
  • ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
  • ③ユーザーファーストなUX設計
  • ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
  • ⑤強力な開発・運用体制の構築

 

それぞれについて分かりやすく紹介していきます。

 

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①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ

1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。

デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。

 

VR活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。

②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案

2つ目のポイントは、VRを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。

現在VR活用に取り組む企業には、VR活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。

 

その結果、活用のPDCAが回らない、VR活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。

 

自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜVRではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。

③ユーザーファーストな企画・UX設計

3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなVRの企画・UX設計です。

現在、多くの企業がVRに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなVRが多く存在します。それらのVRは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。

 

そのため、「VRならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。

④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進

4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。

VR市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。

 

そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。

⑤強力な開発・運用体制の構築

5つ目のポイントは、強力なVR開発・運用体制の構築です。

高いユーザー体験と事業性を両立するVRの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。

 

VR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。

VR活用を進めるための4ステップ

VR活用を進めるための4ステップ

VR活用を進める上では、大きく4つのフェーズと以下の35ステップを抑える必要があります。

 

<Phase1:業界動向・知見のキャッチアップ>

  • VRの基礎知識
    • ①ユーザー・企業ができること/メリット
    • ②注目を集める背景・歴史
    • ③XRデバイス・Web3等の関連テクノロジー
    • ④今後の普及・発展への展望
  • 市場/ユーザー動向
    • ⑤ビックテックなどの戦略・取り組み
    • ⑥主要VRプラットフォーム
    • ⑦各業界における大手企業の取り組み
    • ⑧国内外のユーザーの動向
  • VR活用手法・先行事例
    • ⑨VR活用手法の全体像
    • ⑩自社と類似する業界における国内外の事例
    • ⑪自社が検討する活用手法の国内外の事例

  

<Phase2:戦略/企画の立案>

  • 自社が取り得る活用の方向性の洗い出し
    • ⑫ターゲットとする経営課題と活用目的の明確化
    • ⑬目的達成に向けた活用手法候補の幅出し
  • 目的達成に向けた活用の方向性の評価
    • ⑭自社の目的に合わせた評価軸の設定
    • ⑮評価軸に沿った活用の方向性の評価
  • VR戦略の立案
    • ⑯自社の強み・アセットの活かし方を検討
    • ⑰中長期で目指す姿と企画のコンセプトの立案
    • ⑱ビジネスモデルの設計
  • 詳細な先行事例ベンチマーク
    • ⑲企画コンセプトに類似する国内外の事例ベンチマーク
    • ⑳企画の立案・具体化に向けた示唆出し
  • 企画の立案・具体化
    • ㉑コアターゲット像と提供価値
    • ㉒ユーザー体験/コンテンツ案
    • ㉓活用チャネル/プラットフォーム案

  

<Phase3:事業計画の策定>

  • 事業計画の策定
    • ㉔期待する成果/主要KGI・KPIの設定
    • ㉕開発・運用アプローチ(活用ツール・ベンダー等)の設計
    • ㉖必要なリソース(コスト・人員等)の算出
  • ロードマップ策定
    • ㉗開発・運用のタイムラインの設定
    • ㉘主要マイルストーンの設定
    • ㉙想定されるリスクと対処方法の検討

  

<Phase4:開発・運用>

  • 開発
    • ㉚不足するケイパビリティやリソースの補完
    • ㉛要件定義・システムの基本設計
    • ㉜開発の実行
  • 運用
    • ㉝VRへの集客/マーケティング
    • ㉞運用・保守の実施
    • ㉟効果測定と運用方法の見直し

 

それぞれのフェーズとステップの詳細については以下の記事をご覧ください。

 

※関連記事:VRを活用した事業を作る方法|全4フェーズと35ステップ

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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