メタバースの6つのデメリットとは?9つのメリットや活用事例も解説

MetaのXRヘッドセットのQuestシリーズが累計販売台数2,000万台を突破し、Appleも初のXRデバイスの発売を発表するなど、近年メタバースへの注目はより一層高まっています。

 

そのため、幅広い業界の企業がメタバース活用を推進・検討しているものの、普及への課題や活用時の注意点など、リスクに関しても理解しておきたいという方も多いのではないでしょうか?

 

そこで、今回はメタバースのユーザーや企業にとっての6つのデメリットや9つのメリットを事例と共に分かりやすく解説します。

 

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

  • 自社でのメタバース活用を推進・検討している
  • メタバースを利用するユーザーのデメリットについて把握しておきたい
  • メタバースを活用する企業のデメリットについて把握しておきたい

 

本記事を読めば、メタバース活用を進める上で抑えておきたい代表的なデメリットと対処を効率良くキャッチアップできると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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メタバースの6つのデメリット

メタバースの6つのデメリット

メタバースの代表的なデメリットとして以下の6つが挙げられます。

 

  • ①個人情報や企業の機密情報の流出
  • ②デジタルアセットの盗難やウォレットのハッキング
  • ③個人情報や企業の機密情報の流出
  • ④デジタルアセットの盗難やウォレットのハッキング
  • ⑤メタバース空間の改ざん・ハッキング
  • ⑥匿名性を悪用した詐欺などの犯罪

 

それぞれのデメリットについて分かりやすく紹介していきます。

メタバースを利用するユーザーの抱える2つのデメリット

➀ユーザーへの心理的な悪影響

1つ目はユーザーへの心理的な悪影響です。メタバースはスマホやPCと比べ、コンテンツへの非常に没入感が強く、中毒性が高いのではないかと考えられています。また、若年層のユーザーはアイデンティティが確立されている段階であり、メタバース上で自由自在に設定できるアバターの人格で長時間に渡り活動を続けた結果、現実世界での自分のアイデンティティとのギャップに悩まされ精神的ストレスを抱えるというリスクも懸念されています。

②ユーザーへの身体的な悪影響

2つ目はユーザーへの身体的な悪影響です。HMDなどのデバイスを装着してメタバースにアクセスする際に、乗り物酔いや転倒などの事故のリスクが存在します。また、メタバース内で様々な活動を行うようになると、人々の運動量が減少し生活習慣病などのリスクが増大するという可能性が考えられます。

メタバースを活用する企業が抱える4つのデメリット

③個人情報や企業の機密情報の流出

3つ目が個人情報や企業の機密情報の流出です。悪意のあるハッカーがメタバース空間のセキュリティの脆弱性を狙い、メタバースに関する個人や企業の情報をハッキングするリスクが考えられます。メタバース空間での活動データは従来のWeb上での活動データよりもリッチなものになる可能性があり、それらのデータが流出することは個人にとっても、企業にとっても大きな損害をもたらすと考えられます。

④デジタルアセットの盗難やウォレットのハッキング

4つ目がデジタルアセットの盗難やウォレットのハッキングです。メタバース上で利用されるアバターやファッションアイテムや土地などのデジタルアセットは、今後多くのケースでNFTを活用して取引が行われると考えられています。一方で、そのやりとりを行う暗号資産、デジタルアセットのウォレットがハッキングされるリスクが存在します。2018年に暗号資産取引所であるCoinCheckがハッキングされ、約580億円相当の仮想通貨が流出するという事件が代表的です。

⑤メタバース空間の改ざん・ハッキング

5つ目がメタバース空間の改ざん・ハッキングです。悪意のあるハッカーがメタバース空間のセキュリティの脆弱性を狙い、メタバース空間を改ざん・ハッキングしてしまうというリスクが考えられます。メタバースが人々の生活により普及し、様々な活動が行われる要になっていればいるほど、企業やユーザーは大きなダメージを受けることとなります。

⑥匿名性を悪用した詐欺などの犯罪

6つ目が匿名性を悪用した詐欺などの犯罪です。メタバースの特徴として、見た目や名前など全てのプロフィールを自由に設定でき、現実世界と異なる人格で様々な活動を楽しめるという点があります。一方で、悪意のあるユーザーがその特徴を活かし、匿名のアバターの姿で詐欺などの犯罪行為を犯すというリスクが考えられます。

ユーザーがメタバースを利用する6つのメリット

ユーザーがメタバースを利用するメリットは主に以下の6つです。

 

  • ①ゲーム・エンタメサービスの利用
  • ②オンラインショッピング
  • ③他ユーザーとのコミュニケーション
  • ④イベントへの参加
  • ⑤NFTの売買・利用
  • ⑥仕事をしてお金を稼ぐ

 

ユーザーがメタバースでできることの詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

企業がメタバースを活用する3大メリット【事例あり】

企業がメタバースを活用する3大メリット【事例あり】

企業がメタバースを活用する代表的なメリットとして以下の3つが挙げられます。

 

  • ①新規事業の創出
  • ②マーケティング・ブランディングの強化
  • ③企業の社内業務の効率化

 

それぞれのメリットを代表的な事例とともに紹介していきます。

 

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①新規事業の創出

1つ目のメリットは、メタバースサービスやイベントなどの新規事業の創出です。

メタバースを活用し新たなサービスを構築することで、ユーザーに対し現実に存在するもの/しないものを含め、仮想空間上に3Dの世界を構築することができるというメタバースならではの特徴を活かし、ユニークな体験を提供するサービスを提供することができます。

 

また、メタバース上でアーティストや企業を集めたイベントをすることで、入場券やデジタルコンテンツの販売など収益性の高い新たなビジネスを展開できることが挙げられます。

そんなメタバースを活用した新規事業に取り組む事例として以下の2つが挙げられます。

 

  • バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるメタバースを構築へ
  • サンリオ:50組以上のアーティストが参加の有料ライブイベント

 

それぞれの事例を分かりやすく紹介していきます。

 

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バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるメタバースを構築へ

(画像:バンダイナムコ)

バンダイナムコグループは、2022年4月から掲げる中期ビジョン「Connect with Fans」の重点戦略の1つとして、IPでファンとつながる「IPメタバース」を設定しました。

 

これは、メタバースを介して、バンダイナムコグループとファンのコミュニティを作る仕組みで、その第1弾がガンダムメタバースです。先日のガンダムカンファレンスで流れたイメージ映像では、メタバース上に世界中のガンダムファンが集い、語り合ったり、ライブイベントに参加したりする様子が描かれていました。

 

今後はバンダイナムコグループ以外の企業によるガンダムビジネスへの参入促進やガンダムファンがガンダムを活用したビジネスができる場の提供を目指して事業展開を行っていく予定とのことです。

サンリオバーチャルフェス:50組以上のアーティストが参加の有料ライブイベント

サンリオバーチャルフェス:50組以上のアーティストが参加の有料ライブイベント
(画像:サンリオ)

サンリオは、メタバース上に、50組以上のリアル/バーチャルの有名アーティストを集めた、有料のライブイベント「サンリオバーチャルフェス」を開催しました。

 

参加者は、メタバース上で有名アーティストのライブパフォーマンスを楽しんだり、参加者同士でコミュニケーションを取ったり、リアル・バーチャルの限定グッズを購入することができたりします。

バーチャルのライブイベントでありながら、有料チケットの価格は5,000円〜10,000円超えのものも存在するなど、リアルのライブイベントと同様の価格であることも注目を集めました。

 

同イベントが多くのユーザーを集めた理由として、ユーザーが求めるものを実現するために、企業や団体の垣根を超えたコラボレーションを実現させた点が挙げられます。参加するアーティストは、AKB48などのリアルの有名アーティストから、Vtuber、VRChat上で活動するバーチャルアーティストまで、幅広いジャンル・所属企業のアーティストが一堂に会することで、大きな話題を呼びました。

 

このように、ユーザーを特定の企業やプラットフォームに囲い込もうとするWeb2.0的な発想とは違った取り組みが、今後のメタバースイベントの盛り上がりに繋がっていくと予想されます。

②マーケティング・ブランディングの強化

2つ目のメリットは、メタバースを活用したマーケティング・ブランディングの強化です。

メタバースが人々の生活に普及するにつれ、オフラインからオンラインへ、WebからSNSへと起こってきたのと同様の顧客接点のシフトが、メタバースでも起こると考えられます。

 

メタバースをマーケティング・ブランディングに活用することで、従来はオンラインでの実施が難しかった商品・サービスの販促やメタバースならではの体験を通じた強力なブランディングを行うことができます。メタバースは従来のWebページや動画と比べ伝えられる情報がリッチかつインタラクティブな体験を提供可能なため、ユーザーを惹きつけやすく幅広い業種での活用が進んでいます。

 

そんなメタバースを活用したマーケティングの代表的な事例として以下の2つが挙げられます。

 

  • 三越伊勢丹:独自のメタバース空間を構築し新たなEC体験の提供へ
  • 日産自動車:VR chat上で新車発表・試乗会を開催

 

それぞれの事例を分かりやすく紹介していきます。

 

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三越伊勢丹:独自のメタバース空間を構築し新たなEC体験の提供へ

三越伊勢丹:独自のメタバース空間を構築し新たなEC体験の提供へ
(画像:三越伊勢丹)

三越伊勢丹は、自社の百貨店の店舗を再現したメタバース「Rev worlds」をスマホ向けアプリをリリースしています。同社はこのアプリを通じて、”バーチャルな伊勢丹の店舗”で”リアルな買い物”体験を提供しています。ユーザーはアバターの姿で商品を見て回ることができ、その商品を実際にECで購入することが可能です。店員のアバターも配置され、チャット機能を使った接客も受けられます。

 

現在は婦人服や食品など310ブランドを扱っていますが、今後は家具や日用品にも対象を広げる方針です。友人のアバターと一緒に会話しながら買い物できるようにするなど機能も強化する予定です。

 

他社がメタバース上で開催されるイベントへの出展が中心のなか、三越伊勢丹は既に独自のメタバース空間を構築・提供しており、マーケティングへのメタバース活用をリードする存在といえます。

 

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日産自動車:VR chat上で新車発表・試乗会を開催

日産自動車:VR chat上で新車発表・試乗会を開催
(画像:日産自動車)

日産自動車はメタバース上で、新型軽電気自動車「日産サクラ」の発表・試乗会を開催しました。イベントは世界最大のVR SNSプラットフォーム「VRChat」で開催されました。

 

発表会は日産副社長のアバターが登場し、ボイスレターが再生されるという形で進行。また、試乗会では日本の四季を感じられるドライブコースでバーチャルなサクラを運転することができました。VR上での試乗は通常の試乗とは違い、書類での手続きなどが不要で、いつでもどこからでも体験可能な点が強みです。

 

今回の取り組みにより、販売スタッフのアバター操作経験不足や、リアルな商品を仮想空間上でプロモーションする難しさなどが明らかになったとのことです。このような試験的な取り組みを重ねるなかで、将来的に製品のプロモーションチャネルとしてVRイベントが本格的に活用できるユースケースが確立されていくことが期待されます。

 

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③企業の社内業務の効率化 

メタバース・デジタルツインを社内業務の効率化に活用することで、バリューチェーン全体や工程全体の最適化社員の作業のサポート、研修の効率化をすることができます。

 

メタバース上で現状存在しない施設や設備を設計し、シミュレーションを行うことで、最適な製造ラインや運用方法を特定したり、メタバースの特徴である3Dでの情報の表示により、AR/MRグラスで現場の作業員の作業をサポートしたり、VRグラスにより様々なシチュエーションを想定した研修を行ったりと多岐にわたる活用方法が存在します。

 

そんなメタバースを活用した社内業務の効率化に取り組む代表的な事例として以下の3つが挙げられます。

 

  • ウォルマート:メタバース上で混雑等の状況を再現した研修
  • DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化
  • 川崎重工:工場を丸ごとメタバース化する計画を発表

 

それぞれの事例を分かりやすく紹介していきます。

 

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ウォルマート:メタバース上で混雑等の状況を再現した研修

ウォルマート:メタバース上で混雑等の状況を再現した研修
(画像:ウォルマート)

世界的なスーパーマーケットチェーンであるウォルマートは、接客のトレーニングにVRを導入しています。従業員にHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着させ、ブラックフライデーなどの販売イベント時に大勢のお客様に対応するための研修を行っています。従来の研修とは異なり、現実には再現が困難な状況を実際に体験しているかのような、リアリティの高い研修を行うことができます。

 
この研修を行うため、ウォルマートは1万7000台のOculas Questを約4700店舗に準備するなど大規模な投資を行っており、VRを活用した研修に本腰を入れています。

 

※関連記事:メタバースの研修・教育への活用事例14選|メリットや活用方法も解説!

DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化

DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化
(画像:DHL)

ドイツの大手物流企業のDHL社は、グーグルのスマートグラス「Glass Enterprise Edition 2」を導入し、倉庫での配送業務にARを活用しています。従業員はピッキング作業の現場でグラスを着用することで、製品・商品の保管場所やカート配置場所といった必要な情報を確認することが可能です。ハンズフリーで即座に必要な情報にアクセスできるため、作業の精度と効率の向上に繋がります

 

また、多くのスマートグラスにはマイク機能が搭載されており、遠隔かつハンズフリーで会話による連携を取ることも可能です。

川崎重工:工場を丸ごとメタバース化する計画を発表

川崎重工:工場を丸ごとメタバース化する計画を発表
(画像:川崎重工)

川崎重工はマイクロソフト社のカンファレンス「Build2022」にて、工場を丸ごとメタバース化する「インダストリアルメタバース」の構築に取り組むことを発表しました。この取り組みにより、工場における全工程をバーチャル空間上でシミュレーションできるデジタルツインの構築を目指すとのことです。

 

同社は、マイクロソフトのクラウド/IoT管理ソリューション「Azure IoT」、エッジAIソリューション「Azure Percept」、MRデバイス「HoloLens 2」を採用し、生産ラインや製造現場の管理に取り組んでいます。これにより、ロボットの障害発生時の迅速な対応や、トラブルを未然に防ぐ予知保全が可能になります。また、リアルタイムかつ遠隔で専門家からのアドバイス、支援を受けることができるようになりました。

 

また、「Azure Digital Twins」を用いることで、過去・現在・未来の稼働状況を仮想空間上で把握することで、問題の原因を特定し解決することも可能です。従来は物理的に目を通しにくかった箇所の点検や、未来の状況予測が可能になるため、未然の事故防止に繋がると考えられています。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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