VR開発/活用に必要な8つの技術とは?仕組みや活用のメリットも紹介

関連技術の進歩やオンラインコミュニケーション需要の高まりなどを背景とし、今後急速に人々の生活や仕事に普及していくと考えられるVR。

エンタメから製造業まで様々な業界の企業が自社のビジネスへのVR活用を進めています。

 

一方で、「VRを活用するのに必要な技術を知りたい」という方も多いのではないでしょうか?

そこで、今回はVRの開発・活用に必要な8つの要素技術を分かりやすく解説します。

 

本記事を読めば、VRを構成する技術の全体像を効率良くキャッチアップできると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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そもそもVR(仮想現実)とは

VRとはVirtualRealityの略称で、別名仮想現実とも呼ばれます。最先端の3DモデリングやVRデバイス等の技術により、まるでその世界に入り込んでいるかのように感じられる、デジタル上の仮想空間を提供する技術のことを指します。

VRの仕組みとは

VRの仕組みとは

VRは、人間の「視差」を利用した仕組みにより、まるで現実世界のような3D空間に入り込んだような感覚を味わうことができます。

 

私たちは左右2つの目から視覚情報を得ていますが、それぞれ異なる位置から対象を見るため、対象の大きさや角度、対象との距離など、得られる情報は左右で若干異なります。この差のことを「視差」と呼びます。VRヘッドセットはこの視差を利用し、左右のディスプレイに少し異なる別々の映像を出力しています。これにより、ユーザーは映像が3Dに見えて、自身が3D空間の中にいるように感じるのです。

 

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VRを構成する3つの技術カテゴリと8つの要素技術

VRを構成する3つの技術カテゴリと8つの要素技術

VR体験を構成する技術カテゴリとして以下の3つが挙げられます。

 

  • 1.デバイス
  • 2.3Dコンテンツ
  • 3.通信

 

また、VRを構成する要素技術として以下の8つが挙げられます。

 

  • ①ディスプレイ
  • ②バッテリー
  • ③プロセッサー
  • ④モーションキャプチャー
  • ⑤3Dモデリング
  • ⑥アバター生成
  • ⑦ボリュメトリックビデオ
  • ⑧5G

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

1.VRヘッドマウントディスプレイ

VRヘッドマウントディスプレイ meta
(画像:Meta)

MetaQuestやPlaystation VRに代表されるようなVRヘッドマウントディスプレイの進化は、VRの発展において最も重要なファクターの1つです。近年様々な要素技術の発展により、「より没入感のある体験」を「より身体的な負担が少なく楽しめる」デバイスが登場し始めています。

 

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①ディスプレイ

VRデバイスに搭載されるディスプレイ技術の発展は、VR空間により没入しているような体験の実現に繋がっています。具体的にはディスプレイの解像度や反応速度、色合いなど様々な要素の発展が、VRへの没入感を増大させ、体験価値を大きく向上させています。

②バッテリー

VRデバイスに搭載されるバッテリー技術の発展は、VR空間にアクセスする負担を減らし、長時間アクセスし続けることを可能にしています。スマホなどのデバイスにも言えることですが、バッテリーの小型化・軽量化により、ユーザーが長時間利用し続けることが可能になりつつあります。

③プロセッサー

VRデバイスに搭載されるプロセッサー技術の発展は、VR空間における体験の質の向上とアクセスの負担軽減に繋がっています。具体的には、プロセッサーの性能の進化に伴い、デバイスからアクセスするVR空間のコンテンツの解像度や処理速度の向上が進んでいます。また、プロセッサーの小型化・軽量化に伴い、デバイスをPCにコードで接続することのない、小型・軽量のスタンドアロン型のデバイスが登場しています。

④モーションキャプチャー

モーションキャプチャー Rokoko
(画像:Rokoko)

モーションキャプチャーとは、デバイスの操作者の手や目の動きを追跡し、アバターの動きや表情などに反映する技術のことです。

 

VRデバイスに搭載されるモーションキャプチャー技術の発展は、VR空間上でユーザーのアバターをコントロールする負担の軽減とコミュニケ―ションの円滑化に繋がっています。具体的には、アバターの操作をコントローラーでの操作だけでなく、ハンドジェスチャーや目の動きによって行うことで、操作の負担を大幅に減らすことができます。また、これらの操作が自身のアバターの身振り手振りや表情に細かく反映されることで、他ユーザーに伝わる情報量が増え、コミュニケーションの円滑化にも繋がっています。

2.3Dコンテンツ作成

3Dコンテンツ作成技術の進化は、VRの発展において非常に重要なファクターです。VR上に存在するモノやヒトを、よりリアルかつ簡単に作成することができるツールの開発・普及により、多くの企業やクリエイターがVR空間自体やコンテンツを制作する環境が整ってきています。

⑤3Dモデリング

3Dモデリング Unity
(画像:Unity)

3Dモデリングとは、3Dモデルと呼ばれる、3次元のオブジェクトをソフトウェアを使用して作成することを指します。

3Dモデリング技術の発展は、VR空間上のコンテンツの質と量の向上に繋がっています。

 

近年ゲーム向けを中心に、3Dモデル制作ツールが発展したきたことにより、3Dモデルを用いたコンテンツが広く普及しました。3Dモデル制作ツールの代表例として、「Unity」や「Maya」、「Blender」などが存在し、これらは高度なプログラミングを用いずに利用することができるため、3Dモデルを取り扱えるクリエイターや企業の数が増えたことが、3Dモデルを用いたコンテンツが広く普及してきた背景の1つです。

 

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⑥アバター生成

アバター生成 Ready Player Me
(画像:Ready Player Me)

アバター生成技術とは、ユーザーがVR上で自身の分身として利用するアバターを生成する技術のことです。アバター生成技術の発展は、VR空間での活動への没入感を高めることに繋がっています。

 

アバターの作成の方法として、簡単なオプションから選択する方法や、「Unity」等の本格的なツールを使い3Dモデリングを自分で行う方法、「Ready Player Me」のようなツールを使い、自分の顔写真から自動生成する方法があります。

⑦ボリュメトリックビデオ

ボリュメトリックビデオ キャノン
(画像:キャノン)

ボリュメトリックビデオとは、現実世界の空間や人、その人の動きなど全体を撮影し、3次元データ化する技術のことです。ボリュメトリックビデオ技術の発展により、デバイスから特定の空間内においてあらゆる視点から映像を見たり、操作したりすることが可能になりました。

 

具体的には、バスケのコート内に自分がアバターの姿で入り込み、プレー中にリアルタイムでコート内を移動しながら観戦するといった活用方法が考えられています。直近では、主にスポーツ観戦などの分野で活用が進んでいくと考えられています。

3.通信

⑧5G

5Gとは、第5世代移動通信システム(5th Generation)のことで、大きな特徴として「高速大容量」、「高信頼・低遅延」、「多数同時接続」の3つが挙げられます。5G通信が普及したことで、多くのユーザーがVR空間でスムーズな体験をすることが可能になりました。VRは三次元の仮想空間上に多くのユーザーがアクセスするため、データ通信技術の発展は、VRの普及の絶対条件だったと言えます。

VRが企業にもたらす5つのメリット

VRが企業にもたらす5つのメリット

VRが企業にもたらすメリットとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①VR領域での新たなビジネスの創出
  • ②VRから得られたデータの活用による商品・サービスの改善
  • ③新たな顧客接点の獲得
  • ④社内コミュニケーションの円滑化
  • ⑤研修への活用による社員のスキル向上

 

それぞれのメリットを分かりやすく解説していきます。

 

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①VR領域での新たなビジネスの創出

VR領域での新たなビジネスの創出 バレンシアガ フォートナイト
(画像:EpicGames)

1つ目のメリットはVR領域での新たなビジネスの創出です。検索エンジン、EC、SNSに並ぶ次なるキラーサービスになるとも言われているVRですが、多様な業界の企業がVR領域に参入しており、サービス構築を目論んでいます。VRがより人々に普及し、VR上で過ごす時間が増えるようになると、VR領域でのビジネスの市場規模も拡大していくと考えられます。

②VRから得られたデータの活用による商品・サービスの改善

2つ目のメリットはVRから得られたデータの活用による商品・サービスの改善です。VR上の人々の行動データはWebサイトやSNS上のものに比べ圧倒的にリッチになると考えられています。VR上ではいつ、誰と、どのような行動を取っていたかはもちろん、ウェアラブルデバイスの発展によりどのような感情になっていたかなどの多様なデータを取得できるようになると考えられています。

 

そのため、VR上のユーザーに商品やサービスを試してもらい、その反応をデータとして収集することで、商品やサービスの改善につなげることが可能です。

③新たな顧客接点の獲得

新たな顧客接点の獲得 日産自動車
(画像:日産自動車)

3つ目のメリットは新たな顧客接点の獲得です。VR空間にはいつでもどこからでもアクセスできるという特徴があり、コロナウイルス感染拡大の影響で実店舗での顧客との繋がりが希薄化するなか、新たな顧客接点としての活用が期待されています。

 

VRの特徴である、3Dのコンテンツで、スタッフが説明しながら商品やサービスを訴求できるという点を活かし、今までEC化に苦戦していた業界の企業にとって、貴重なオンラインでの接点になり得ると考えられます。

④社内コミュニケーションの円滑化

社内コミュニケーションの円滑化 Gather
(画像:Gather)

4つ目のメリットは社内コミュニケーションの円滑化です。コロナウイルス感染拡大の影響で、多くの企業がリモートワークへの移行を進めています。

 

一方で、リモートワーク環境下ではホワイトボードを用いた共同作業ができない、相手の細かな表情や声色が読み取れずコミュニケーションが停滞する、自然発生的なコミュニケーションが減ってしまうなどの課題が存在します。

 

それらの課題をVR空間上のオフィス「VRオフィス」で一緒に働くことで解決することができるのではないかと期待されています。

⑤研修への活用による社員のスキル向上

研修への活用による社員のスキル向上 ウォルマート
(画像:ウォルマート)

5つ目のメリットは研修への活用による社員のスキル向上です。VRを企業の研修に活用することで、コンテンツが3Dで表示されるため学習効率が向上する、非常時のシチュエーションを簡単に再現できる、学習の時間的・地理的制約から解消されるなどのメリットがあり、社員のスキル向上に繋げることができます。

VRの業界別ビジネスへの活用事例10選

VR 活用事例

企業がVRをビジネスに活用した代表的な事例として、業界別に以下の10個が挙げられます。

 

  • ①小売業界:三越伊勢丹がVR空間上に百貨店を再現
  • ②ファッション業界:BEAMSがVRイベントへの出展を通じリアル店舗への送客
  • ③エンタメ業界:ぴあがバーチャルライブ向けの独自メタバースを構築
  • ④広告業界:博報堂がVR空間上での広告枠の販売を開始
  • ⑤製造業界:日産自動車がVR上での新車発表・試乗会を開催
  • ⑥不動産業界:東急不動産が複数人での同時参加可能なVRモデルルーム
  • ⑦医療業界:comatsunaがアバターを介した対話によるメンタルケアサービス
  • ⑧観光業界:大日本印刷がVR空間上に「バーチャル秋葉原」をオープン
  • ⑨自治体:吉本興行×養父市がかつての日本一の鉱山をVR空間上に再現
  • ⑩金融業界:みずほ銀行がVR空間上に店舗を開設し、決済機能提供などを検討

 

それぞれの事例について以下の記事で詳しく紹介しています。

 

※関連記事:VRの仕組みとは?企業が活用するメリットや業界別の代表事例も紹介

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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