ソニーがメタバースに注力する4つの理由とは?5つの事業も徹底解説

関連技術の進歩やオンラインコミュニケーション需要の高まりなどを背景とし、今後急速に人々の生活や仕事に普及していくと考えられるメタバース。

 

そんななか、日本を代表する企業であるソニーが経営方針説明会でモビリティと並ぶ2大注力領域の1つとして言及するほどの本気度で、メタバース領域に参入しています。

 

一方で、「ソニーがメタバースに注力するらしいけど背景までは分からない」、「具体的にどのような事業を展開しているのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか?

 

そこで今回は、ソニーがメタバースに注力する4つの理由と展開する5つの事業を分かりやすく紹介していきます。

本記事を読めば、ソニーのメタバース領域での戦略や取り組みを通じてメタバース市場への理解を深められると思いますので、是非最後までご一読ください。


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ソニーがメタバースに注力する4つの理由

ソニーがメタバースに注力する4つの理由

ソニーがメタバースに注力する理由として以下の4つが挙げられます。

 

  • ①メタバース市場が魅力的だから
  • ②メタバースの土台となる強力な事業基盤を有しているから
  • ③メタバースに活用し得る多数の要素技術を有しているから
  • ④ソニーの掲げるパーパス(存在意義)とマッチするから

 

それぞれの理由について分かりやすく紹介していきます。

 

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①メタバース市場が魅力的だから

メタバース市場が魅力的だから

1つ目の理由は、メタバース市場が魅力的であり大きな収益獲得の機会となり得るからです。

矢野経済研究所によると、日本国内のメタバースの市場規模は2021年度時点で約744億円、2026年度には約1兆円にまで成長すると予想されています。世界市場と同様急速な成長を見せると考えられ、年率成長率は約170%程度になると予測されています。

②メタバース展開の土台となる強力な事業基盤を有しているから

メタバース展開の土台となる強力な事業基盤を有しているから ソニー
(画像:ソニー)

2つ目の理由は、メタバース展開の土台となる強力な事業基盤を有しているからです。

メタバースは、SNS、エンターテインメント、NFT、ECなどコアとなる体験が存在し、そこに多数のユーザーが集まり社会性が生まれることで発展していきます。

そこでソニーは、ゲームや音楽などのエンターテインメント領域の体験をコアとしたメタバースの展開を狙っています。

 

ソニーは世界一の売上を誇るゲーム事業(ソニーインタラクティブエンターテインメント)や世界第二位の売り上げを誇る音楽レーベル(ソニーミュージック)、世界一の売上を誇る独立系映画スタジオ(ソニー・ピクチャーズ)などエンターテインメント領域で世界的に見ても強力な事業基盤を有しており、エンターテインメントをコアとするメタバース展開と非常に相性が良いです。

③メタバースに活用し得る多数の要素技術を有しているから

メタバースに活用し得る多数の要素技術を有しているから ソニー
(画像:ソニー)

3つ目の理由は、メタバースに活用し得る多数の要素技術を有しているからです。メタバースはハードウェアからソフトウェアまで幅広い要素技術によって構成されていますが、ソニーは、これまでのゲームや音楽などの事業を展開するなかで、数多くの関連要素技術を開発してきました。

 

具体的には、マイクロOLEDなどのディスプレイ、アイトラッキングのようなセンシング、リアルタイムCGレンダリングや3Dオーディオなどが挙げられます。

④ソニーの掲げるパーパス(存在意義)とマッチするから

CEOインタビュー:クリエイターと共に創るソニーのメタバース【ソニー公式】
(動画:ソニー)

4つ目の理由は、メタバース領域での事業展開がソニーの掲げるパーパス(存在意義)とマッチするからです。ソニーのパーパスは「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というものであり、ユーザーのクリエイティビティと先端テクノロジーがカギとなるメタバースと非常に相性が良いです。

 

吉田CEOはインタビューの中で、「エンターテインメントの本質はライブ。時間と空間を共有できるライブ空間として進化しつつあるメタバースは、ソニーが、クリエイターのクリエイティビティを支え、広げるための新しい感動空間だと思っている」と述べています。

ソニーのメタバース領域での取り組み5選

ソニーのメタバース領域での取り組み5選

ソニーのメタバース領域での取り組みとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①最新VRヘッドマウントディスプレイPlayStation VR2を発売
  • ②メタバース向けモバイルモーションキャプチャmocopiを発売
  • ③仮想空間上で最先端のXRライブプロジェクトを実施
  • ④VR上にマンチェスターシティのスタジアムを再現
  • ⑤街や施設を巡りながら楽しむ音声ARアプリLocatoneを展開

 

それぞれについて分かりやすく紹介していきます。

 

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①最新VRヘッドマウントディスプレイPlayStation VR2を発売

最新VRヘッドマウントディスプレイPlayStation VR2を発売
(画像:ソニー)

ソニーは、2023年2月にPlayStation VR2を発売すると発表しました。

PlayStation VR2はPlayStation5と接続することで使用できるVRヘッドマウントディスプレイです。

初代のPlayStation VRと比べ、より高い没入感が体験できることや、Playstationとの接続方法がより簡単になったことなど様々な進化を遂げています。

 

PlayStation VR2では、大人気ゲームタイトルであるバイオハザードやHorizon Zero Dawnシリーズの新作がリリース予定となっており、世界中のゲームファンから大きな注目を集めています。

②メタバース向けモバイルモーションキャプチャmocopiを発売

メタバース向けモバイルモーションキャプチャmocopiを発売
(画像:ソニー)

mocopiとは、SONYが販売する小型・軽量のモバイルモーションキャプチャーです。

ユーザーは、6つの小型・軽量(直径約3cm、重さ各8g)のセンサーを全身に装着し、専用スマホアプリを組み合わせることで、高精度かつリアルタイムでのモーションキャプチャーをすることができます。価格は税込49,500円で2023年1月下旬に販売予定です。

 

mocopiは、Vtuberやメタバース市場の盛り上がりに伴い、アバターを介したコミュニケーション需要が高まっていることを背景として開発されました。

mocopi最大の特徴は誰でも手軽に全身のモーションキャプチャーを行い、様々なサービスで利用することができる点です。

 

従来モーションキャプチャーを行うには、専用のスタジオで高額の機材を使用し、作成したデータをソフトウェア上で加工する必要がありました。

一方mocopiは、小型・軽量のデバイスとスマホさえあれば、いつでもどこでも、ソフトウェアの知識が無い人でも高精度かつリアルタイムでのモーションキャプチャーを行うことができます。

③仮想空間上で最先端のXRライブプロジェクトを実施

KEIJU – Falling/Tears/In My Eyez [XR LIVE] ReVers3:x vol.3 / リバースクロス
(動画:ソニーミュージック)

ソニー・ミュージックレーベルズは新たな仮想空間プロジェクト「ReVers3:x(リバースクロス)」の始動を発表しています。「ReVers3:x」では独自に制作した仮想空間を舞台に様々なアーティストのライブを楽しむことができるショートライブプロジェクトです。「ReVers3:x」の第1弾として、ラッパーのKEIJUのライブが配信されました。仮想空間上に作られた東京のストリートに設置されたステージ上にはデジタルアーティストによるアートも配置され、音楽のみならず、空間としても楽しめるコンテンツとなっています。

④VR上にマンチェスターシティのスタジアムを再現

VR上にマンチェスターシティのスタジアムを再現
(画像:ソニー)

ソニーは英国のプロサッカークラブであるマンチェスターシティのホームスタジアムであるエティハドスタジアムの仮想バージョンをVR空間上に構築しました。

ファンは自由にカスタマイズ可能なアバターの姿でこのVR空間を訪れることで、選手やチームを身近に感じながら、ファン同士での交流を図ることができます。

 

今回の取り組みには、ソニーのソニーの画像解析技術やセンシング技術に加え、ソニーのグループ会社であるホークアイのエレクトロニックパフォーマンストラッキングシステムが活用される。これらの技術により、VR上に全選手の位置や骨格の動きレベルでのプレーの様子が、精度高く再現されます。

 

マンチェスターシティとソニーはこの取り組みを通じて、バーチャルを融合した新たなスポーツエンターテイメントの構築と、特定のチームの選手やファンだけでなく、リーグ全体のファンの繋がりの創出を実現したいとしています。

⑤街や施設を巡りながら楽しむ音声ARアプリLocatoneを展開

Locatone™(ロケトーン)プロモーションビデオ(フルバージョン)【ソニー公式】
(動画:ソニー)

Locatoneとは、街中や施設内などのマップ上の特定のスポットを訪れると、臨場感のある音声やARコンテンツを楽しむことのできるスマホアプリです。

数十分程度のツアー形式で音を聞きながら街や施設を巡ることで、新しい魅力や楽しみ方を発見することができます。

 

Locatoneには、ソニー独自の立体音響技術や身体の動作と連動して音を鳴らせるモーションサウンド技術などが活用されています。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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