病院でのメタバース活用事例5選|7大メリットや活用方法も解説

MetaのXRヘッドセットのQuestシリーズが累計販売台数2,000万台を突破し、Appleも初のXRデバイスの発売を発表するなど、近年メタバースへの注目はより一層高まっています。

 

そんなメタバースですが、近年は、代表的な利用用途である、ゲームやSNSとしての利用に留まらず、病院の業務へのメタバースの活用が進んでいるのをご存知でしょうか?

 

そこで今回は、病院の業務へのメタバース活用事例5選を7大メリットや活用時の注意点とともにご紹介します。

 

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

  • 病院の業務へのメタバースの活用を検討している
  • 病院の業務にメタバース活用するメリットを知りたい
  • 病院の業務にメタバースを活用している先端事例を抑えておきたい

 

本記事さえ読めば、病院の業務にメタバースを活用するために抑えておくべき情報を一気にキャッチアップできる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。


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病院の業務にメタバースを活用する7つのメリット

医療・製薬業界におけるメタバース活用のメリットとして、以下の7つが存在します。

 

  • ①医師・看護師への研修への活用
  • ②遠隔治療への活用
  • ③リハビリ患者向けの体験型トレーニングへの活用
  • ④アバターを介した診察による心理的障壁の低下
  • ⑤患者の自身の健康態理解への活用
  • ⑥医療従事者への情報提供への活用
  • ⑦採用活動の強化・効率化への活用

 

それぞれのメリットをわかりやすく説明していきます。

 

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①医師・看護師への研修への活用

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、対面での研修が制限されていること、先生となるはずの医療従事者がコロナ患者への緊急対応に追われていることなどから、医師・看護師を目指す学生・研修医の学ぶ機会が減少しています。

 

そこで、メタバースを活用し、没入感の高い形で患者の治療の際の手技など、現場での実務的な動きを学ぶことができる環境を整備することは、将来の医療を担う学生・研修医や日本の医療業界全体にとって非常に価値のある取り組みだと言えます。

②遠隔治療への活用

病院を訪れることが難しい地方在住の患者や移動が困難な患者への治療の実現や、手術の効率化など多くのメリットがあり、注目を集めている遠隔医療ですが、実現には様々なハードルが存在しています。そのハードルの解消にメタバースの活用が有効ではないかと考えられています。 

 
例えば、メタバース/XRを活用し遠隔地から操作を行う医師への情報提供を行うことで、手術中に視線を動かさずに情報を確認したり。現場の助手との連携をスムーズにしたりすることができます。

③リハビリ患者向けの体験型トレーニングへの活用

メタバースはその没入感の高さと身体の動きとの連動性から、学校教育や企業研修の分野への活用が始まっていますが、同様の理由でリハビリ患者向けの体験型トレーニングへの活用も期待されています。

 
リハビリ患者に提供できるリハビリ環境は、そもそも身体が不自由で移動の制約があることから限定的でしたが、視覚や聴覚、触覚など五感を通じた、患者のリハビリの効率化、モチベーション向上に繋がる体験を提供することが出来ます。

 
また、リハビリサービスを提供する側も、今まではトレーナー個人に留まってしまっていた、リハビリの効果検証をデータを通じて行う事が可能で、リハビリのプログラム自体の改善にも繋げることができます。

④アバターを介した診察による心理的障壁の低下

これまで病院での病気の診察やメンタルヘルスのカウンセリングは、患者にとって心理的障壁の高いものでした。ただでさえ、身体や心が弱っている時に、自らの健康に関するセンシティブな相談をするのは、かなりの負担を伴うものでした。

 
そこで、メタバース空間上でアバターを通じた診療やカウンセリングを行うことで、お互いの表情や声色は感じ取りつつ、リラックスした状態でのコミュニケーションを実現できるのではないかと期待されており、既に日本国内でもサービスが開発されています。

⑤患者の自身の健康態理解への活用

これまで、患者自身が健康状態を理解するのは、口頭、文書ベースでの医師からの診断や、文書ベースでの健康診断の結果など、身体の中で何が起こっているのかをイメージするのが難しいことばかりでした。

 
そこで、メタバース空間上に患者自身の身体のモデルを作成し、体内の臓器などの状態を3Dで再現することで、患者自身のリアルな健康状態を視覚的に理解することができます。

 

これにより、自身の健康状態が理解しきれないことによる心理的負担の改善や健康への危機意識の高まりによる生活習慣の改善などが期待できます。

⑥医療従事者への情報提供への活用

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、MRの方々が医療従事者の方に対面で情報提供を行う場が減少しています。もちろん、メールやZOOMなどでのコミュニケーションの方が、効率的で適している場面もあります。一方で、対面ならではの信頼関係構築やその場での偶然な出会いなどの機会は失われつつあります。

 
そこで、メタバース空間上でMRの方や医療従事者の方が交流できる場を提供することで、コロナ以前にあったコミュニケーションの機会を再現しようという動きが始まっています。

⑦採用活動の強化・効率化への活用

新卒・中途問わず、採用活動に苦戦する病院がメタバースの活用により、採用の強化・効率化を図る動きが進んでいます。従来対面で行っていた採用イベントなどの活動をメタバース上で行うことで、遠隔地などより多くの候補者にリーチすることができたり、アバター姿でのコミュニケーションにより、候補者・担当者がお互いにリラックスした状態で相互理解を深められたりするなどの多くのメリットが存在します。

病院の業務へのメタバースを活用事例5選

病院の業務へのメタバース活用事例として以下の5事例が挙げられます。

 

  • ①イマクリエイト:VRを活用した注射手技の研修
  • ②メディカロイド:MRを活用した手術支援ロボの操作
  • ③comatsuna:アバターを介した対話によるメンタルケア
  • ④mediVR:VRを活用したリハビリのサポート
  • ⑤IBM×順天堂大学:メタバースを用いた医療サービス構築へ

 

それぞれの事例について分かりやすく紹介していきます。

 

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①イマクリエイト:VRを活用した注射手技の研修

イマクリエイト:VRを活用した注射手技の研修
(画像:イマクリエイト)

イマクリエイトの提供する「VRワクチン注射シミュレーター」は、VR内に表示される模型に従うだけで、筋肉注射の手順を感覚的に習得することができる研修用のサービスです。座学や教材を用いた事前学習にシミュレーターを加えることで、手順の間違いや抜けを防ぐことが期待されます。

 

実際の患者さんに注射の処置を行えるようになるためには、十分な準備が必要です。しかし、定期的にトレーニング用品を補充する必要があることや、多数の生徒が同時に練習することが困難であり、医療現場での悩みの種となっています。

 
そこでイマクリエイトは「実生活と同じように自分の身体を使って練習する」というコンセプトのもと、このバーチャルトレーニングシステムを開発しました。医学生は施設や設備の有無にかかわらず、いつでも、何度でもトレーニングが可能になりました。

 

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②メディカロイド:MRを活用した手術支援ロボの操作

メディカロイド:MRを活用した手術支援ロボの操作
(画像:メディカロイド)

2020年、川崎重工業とシスメックスの合弁会社であるメディカロイド社が初の国産手術支援ロボットである「hinotori」を実用化しました。同年12月に前立腺がん手術の1例目が行われ、その後も実績を積み上げています。

 
Hitonoriは4本のロボットアーム、内視鏡カメラ、手術器具を搭載した手術ユニットで構成されており、医師は3D画像を見ながら、内視鏡カメラと手術器具を搭載したアームをコントローラーで遠隔操作します。

 
手術支援ロボットを活用した手術は患者側、医師側双方に多く存在します。患者側のメリットとしては手術の出血や手術後の少なさ、感染症のリスクの低さなどが挙げられ、医師側のメリットとしては直観的な操作が可能、手術部位を拡大して確認できる、手の震えが伝わらないなどのメリットが挙げられます。

③comatsuna:アバターを介した対話によるメンタルケア

comatsuna:アバターを介した対話によるメンタルケア
(画像:comatsuna)

2022年5月にデジタルヘルスケア・産業保健事業を手がける株式会社comatsunaは先ごろ、メタバースを活用した法人向け社員メンタル支援サービス「メンサポドクター」をリリースしました。

 
メンズサポートドクターは、アバター介したオンラインでのコミュニケーションによりメンタルヘルスの改善を図るもので、人見知りや対面でのコミュニケーションに抵抗のある方にも、気軽に利用できるメンタルヘルスケアサービスを提供することを目的に作られました。アバターを介したコミュニケーションが、対面での対話に比べ、人々の緊張を和らげ、より早く心を開いてもらい、悩みを相談しやすくすることができると考えているとのことです。

 
企業もこのサービスを導入することで、社員の潜在的な不満や不安、問題点をいち早く検出することができるとともに、社員のメンタル不調予防、離職予防をすることができます。

④mediVR:VRを活用したリハビリのサポート

mediVR:VRを活用したリハビリのサポート
(画像:mediVR)

mediVRの提供するリハビリサポートサービスであるmediVRカグラは、姿勢の崩れや不安定さを抱える患者さんが、仮想現実空間に表示された物体に向かって手を伸ばす動作(リーチング動作)を繰り返すことで、姿勢バランスや重心移動のコツをつかむことができるリハビリテーション用医療機器です。歩行特性を改善することを目的としています。

 
このサービスの特徴として立ったまま歩行することが困難な方でも取り組める点やこれまで曖昧だったリハビリの指示や評価が明確に行える点、視覚・聴覚・触覚からのフィードバックにより、脳の報酬系を刺激することでモチベーション向上が期待できる点などが挙げられます。また、同社は2018年に経済産業省が主催するジャパンヘルスケアビジネスコンテストで最優秀賞を受賞。J-Startupに選出されています。

 

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⑤IBM×順天堂大学:メタバースを用いた医療サービス構築へ

IBM×順天堂大学:メタバースを用いた医療サービス構築へ
(画像:日本IBM)

日本IBMと順天堂大学は「メディカル・メタバース共同研究講座」を設置し、産学連携の取り組みを開始しました。同共同研究講座では、VR/メタバース技術の活用による時間と距離を超えた新たな医療サービスの研究・開発に取り組むとのこと。

 

具体的には、患者や家族が来院前にバーチャルで病院を体験できる環境や外出が困難な入院患者が病院の外の仮想空間で家族や友人と交流できる「コミュニティ広場」の構築、メタバース空間での活動によるメンタルヘルス等の疾患の改善の実証などを検討しています。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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