MR/メタバースで生身の推しキャラと暮らせる時代がやってくる|Gugenka 三上氏
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三上さんプロフィール
株式会社Gugenka 代表取締役CEO。初音ミク公式バーチャルテーマパーク「MIKULAND」やサンリオ初のバーチャル音楽フェス「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」にXRプロデューサーとして参加。日テレVTuberネットワークV-Clan顧問や各社XR事業のアドバイザーとしてXR分野において新規事業立案、コンテンツプロデュースを多数手掛ける。
株式会社Gugenka会社紹介
2002年に設立し、ハリウッド映画などのウェブプロモーションを経て、2021年よりVR/ARアプリケーションに特化した制作スタジオとして社名変更。アニメやゲーム、キャラクターなどのIPを活用したVR/ARコンテンツの制作・配信を手掛ける。特徴としては、アニメ等のIPを使ったXR関連のビジネスをしている点。代表的な企画としては、「MIKU LAND」というイベントの主催等。「MIKU LAND」はVR機器を用いてメタバース内で初音ミク公式のアミューズメントパークを再現したもの。自社サービスとして、様々なメタバースで使える自分だけのアバターを具現化するMakeAvatar(メイクアバター)というサービスや、ARで好きな場所にデジタルフィギュアを飾ることのできるHoloModels(ホロモデル)というサービスも展開中。
思い描いていた世界が技術の進歩で実現可能に
ーGugenkaの会社紹介をお願いしても宜しいでしょうか。
三上:Gugenkaはもともと新潟に本社を構えた地方での発信がルーツの会社でしたが、現在は新潟本社スタジオ、マニラと東京にオフィスを構えています。事業内容は、以前はハリウッド映画やアニメの宣伝を行うウェブプロモーションの会社で、そこでAR等を活用していました。2013年ごろにはJunaioJunaioというサービスを通じてARについて知り、J映画用のプロモーション用のARコンテンツの制作などを行っておりました。同時期に、デジタルフィギュア事業であるHoloModelsをリリースしました。時間軸としては、Google Glassが出始めたタイミングです。当時のGoogle Glassは思い描いていた世界の実現にはほど遠いものでした。それが今、MetaQuestProなどのパススルー技術によって、HoloModelsでの体験が当初イメージしていたものに近づいてきているという状況です。
人々の可処分時間を奪わない新しい楽しみ方のコンテンツ、それがHoloModels
ーHoloModelsの概要を教えてください。
三上:HoloModelsは、端的に言うとデジタルフィギュアのサービスです。HoloModelsでは、フィギュアを通じて得ることのできる体験をデジタル空間の中で体験できるというサービスです。スマホを通じて見るだけでは平面的な2次元の体験となってしまいますが、パススルー型のMRデバイスを通じてこれを見ることで、デジタル上の世界があたかもリアルの世界の中に共存しているような体験をすることができます。つまりはデジタルが日常にオーバーレイされるようなコンテンツです。こういったサービスを立ち上げるにあたって、人々の可処分時間を奪うことのないサービスを目指しています。フィギュアは自分の生活の中にあること自体で私たちの幸福度を高めてくれますよね。そんな可処分時間を奪うことにならないデジタルサービスが私たちの目指す方向性です。
ーHoloModelsの立ち上げの経緯を教えてください。
三上:私自身がこんなサービスが欲しいと思ったことから企画が立ち上がりました。HoloModelsは結果的に自分たちのやりたいことや向かっていきたい方向が必ず訪れる未来にマッチしていると確信したのでスタートしたサービスとなります。私自身、サービスがユーザーに対して受け入れられるかどうかという部分に関してはそのサービスの作り手の熱量に依存する部分が大きいと考えています。HoloModelsは私達がこんなものを作りたい、という思いが詰まった分、多くの人に受け入れられているのだと思います。
推しキャラと一緒に暮らす体験がMRデバイスの進化によって可能に
ーHoloModelsがMR対応していることの意義はどのようなものだと考えていますか。
三上:HoloModelsの進化した機能であるMR対応によって、等身大の推しキャラと暮らすような体験が可能になります。例えば、KDDIさんやかみつばきさんが行っているイベントのように、デジタルフィギュアがリアル空間にオーバーレイされることで、日常がデジタルで拡張される体験を提供できるようになります。現在は特別なイベントの様なものでしか体験することができないものですが、MRデバイス自体が広まっていけば日常生活の延長線上にこうした体験を得ることが可能となっていきます。
日本が誇るキャラクターを武器に、メタバースイベントを
ー日本企業が世界のメタバース市場で勝つためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。
三上:日本企業がこの分野で有する強みとして強力なアニメ/マンガ等のIPが挙げられると思います。これを活用することで、世界にむけてより魅力的なコンテンツを生み出し、市場での存在感を高めることができます。もちろん、単にIPを使えばいいというわけではなく、そのIPのファンに届くような想いや技術が必要で簡単なことではないと思っています。また、本当にメタバースでサービスを作りたいという思いが当事者にないと、ユーザーが置いてけぼりになってしまうことが往々にしてあります。メタバースやVR、ARをそれほど体験したことが無い状態で参入されることを目にしますが、まずは体験して欲しいですし、その中で自社の強みを見つけることが大切だと思います。AR/MRでリアル空間の利用によってIP以外の部分のコスト削減が可能に
ーVRメタバースが注目されている中、AR/MRメタバース×コンテンツ/IPの領域にフォーカスしている理由をお伺いできますか。
三上:もちろんバーチャル世界へフルダイブするような未来も楽しみですが、もうひとつ楽しみなのが現実世界にデジタルがオーバーレイする未来。日常を拡張できるほうが利便性の向上も関係するので一般的な普及も早いと思います。また、制作面でもMRやARはVRよりも3DCGで作るものが少ないことも魅力です。3DCGを作るのは時間と費用がかかりますから。リアルは空間がすでにあるのでキャラクターとコミュニケーションをする体験ならキャラクターの3DCGだけで成立させることができます。デジタルコンテンツのノベルティは、壁紙やLINEスタンプなど多かったですが、MRスマートフォンのように普及した際にはここにデジタルフィギュアなどが加わることで、新たな可能性が生まれてくると思います。現状、物理的なノベルティなどを大量に作る必要があり、在庫問題と向き合う必要があります。ARやMRの活用を行うことで、そんな問題解決にも繋がります。
公式と二次創作の棲み分けをいかにして実現させるか
ー企業として、クリエイターエコノミーはどう活用していけばいいのでしょうか。
これからクリエイターエコノミーというのはどの企業も向き合っていかないといけないワードです。現在リリースしているXMarketは公式からの許諾を得たものに特化しているので、そういう意味でクリエイターズエコノミーという概念とは相反するものとなっています。二次創作物を発表する場と、IPを守り著作権を守る場を共存させることは現状難しいからです。後々にはなりますが、二次創作を中心としたクリエイターエコノミーにふさわしい場として、新しいサービスを提供する予定です。
今、日本企業がメタバース市場でするべきこととは
ー日本企業がメタバース市場で注意するべき点を教えてください。
日本はサービスを構成する要素が1から10まであったら、自社で1から10まで全部やろうしてしまう傾向があります。当社がお取引している海外企業では1から2くらいの部分に集中して、その残りはパートナーやクリエイターと組んでやってもらう、といった進め方をしていることが多い印象です。日本のやり方では、結局全部やろうとしてやり切れずに中途半端になってしまったり、どれも同じようなサービスに終始してしまう傾向があるように思います。全員がプラットフォーマーにならなくとも、ミドルウェアやコンテンツなど協奏できるような余白が必要ではないでしょうか。
ー足元では日本企業はどんな取り組みを進めていくべきでしょうか。
まずは、メタバースの良さをできる限り知ってほしいと思っています。昨年のムーブメントを経て今は幻滅期と言われていますが、確実にユーザー数も熱量もクリエイターも増えています。バズワードから表層だけで「勝手に過度な期待」をして「勝手に幻滅」しているのが幻滅期の実体ではないでしょうか。もしメタバースでのビジネスに興味があったら、「まずはメタバースを体験する」という当たり前の経験をしてほしいという思いがあります。そういった体験の場も当社では用意していますし、メタバース総研などのメディアを通じてメタバース導入の最初の一歩を見つけていくことはとってもいいと思います。
ー今回はお忙しいところ貴重なお話をありがとうございました。今後も業界の注目企業/ビジネスパーソンを取材し、メタバースのビジネス活用の最前線に迫っていきますので、どうぞお楽しみに。
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