ARを構成するテクノロジーや仕組みとは?活用事例12選も紹介

関連技術の進歩やオンラインコミュニケーション需要の高まりなどを背景とし、今後急速に人々の生活や仕事に普及していくと考えられるAR。

 

ARのビジネス活用を検討している方の中には、ARを構成するテクノロジーや仕組みについて知りたいという方も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は、ARを構成するテクノロジーや仕組みについて、具体的な活用事例とともにわかりやすくご紹介します。

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

 

  • ARのビジネス活用を検討している
  • ARを構成するテクノロジーや仕組みについて知りたい
  • ARの具体的な活用事例を知りたい

 

本記事を読めば、ARを構成するテクノロジーや仕組みの全体像を一気にキャッチアップできる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。


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目次

そもそもARとは?

ポケモンGO
(画像:ポケモン)

ARとはAugumeted Realityの略称で、拡張現実とも呼ばれます。リアルの世界にデジタルの情報/コンテンツを視覚的に重ね合わせることで、リアルの世界を拡張する技術のことを指します。ARには、ゴーグルを装着せずに、スマートフォンやタブレットの画面にデジタルの情報/コンテンツを表示させるものも含みます。

 

ARを活用することで、「Pokemon Go」のように、リアルの街にポケモンが存在するかのようなゲームを楽しんだり、「GoogleMap」のARナビのように、リアルの街に道順を示す矢印などの情報が表示され、スムーズに目的地にたどり着くことができたりと、私たちの暮らしをより豊かに・便利にすることができます。

ARを構成するテクノロジーとは?

ARを構成するテクノロジーとは?

ARを構成するテクノロジーについて、その技術カテゴリごとに分かりやすく説明していきます。

 

ARを構成する技術カテゴリとしては以下の4つが挙げられます。

  • 1.ARデバイス
  • 2.3Dコンテンツ
  • 3.空間認識
  • 4.通信

 

また、ARを構成する要素技術としては以下の7つが挙げられます。

  • ①ディスプレイ
  • ②バッテリー
  • ③プロセッサー
  • ④3Dモデリング
  • ⑤空間構造データ
  • ⑥自己位置認識
  • ⑦5G

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

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1.ARデバイス

oculus
(画像:Meta)

MetaQuestやPlaystation ARに代表されるようなARヘッドマウントディスプレイの進化は、ARの発展において最も重要なファクターの1つです。近年様々な要素技術の発展により、「より没入感のある体験」を「より身体的な負担が少なく楽しめる」デバイスが登場し始めています。

①ディスプレイ

ARデバイスに搭載されるディスプレイ技術の発展は、AR空間により没入しているような体験の実現に繋がっています。具体的にはディスプレイの解像度や反応速度、色合いなど様々な要素の発展が、ARへの没入感を増大させ、体験価値を大きく向上させています。

②バッテリー

ARデバイスに搭載されるバッテリー技術の発展は、AR空間にアクセスする負担を減らし、長時間アクセスし続けることを可能にしています。スマホなどのデバイスにも言えることですが、バッテリーの小型化・軽量化により、ユーザーが長時間利用し続けることが可能になりつつあります。

③プロセッサー

ARデバイスに搭載されるプロセッサー技術の発展は、AR空間における体験の質の向上とアクセスの負担軽減に繋がっています。具体的には、プロセッサーの性能の進化に伴い、デバイスからアクセスするAR空間のコンテンツの解像度や処理速度の向上が進んでいます。また、プロセッサーの小型化・軽量化に伴い、デバイスをPCにコードで接続することのない、小型・軽量のスタンドアロン型のデバイスが登場しています。

2.3Dコンテンツ作成

3Dコンテンツ作成技術の進化は、ARの発展において非常に重要なファクターです。AR上に存在するモノやヒトを、よりリアルかつ簡単に作成することができるツールの開発・普及により、多くの企業やクリエイターがAR空間自体やコンテンツを制作する環境が整ってきています。

④3Dモデリング

Unity 3Dモデリング
(画像:Unity)

3Dモデリングとは、3Dモデルと呼ばれる、3次元のオブジェクトをソフトウェアを使用して作成することを指します。

3Dモデリング技術の発展は、AR空間上のコンテンツの質と量の向上に繋がっています。

近年ゲーム向けを中心に、3Dモデル制作ツールが発展したきたことにより、3Dモデルを用いたコンテンツが広く普及しました。3Dモデル制作ツールの代表例として、「Unity」や「Maya」、「Blender」などが存在し、これらは高度なプログラミングを用いずに利用することができるため、3Dモデルを取り扱えるクリエイターや企業の数が増えたことが、3Dモデルを用いたコンテンツが広く普及してきた背景の1つです。

3.空間認識

空間認識技術の発展は、メタバースを次のレベルに大きく飛躍させる可能性を秘めています。現状メタバースとして広く利用されているのは、完全な仮想空間をベースとするVRメタバースです。一方で、今後はリアルの世界とバーチャルの世界が融合したAR/MRメタバースが発展していくと考えられています。そこで必要になるのが、空間認識の技術です。リアルとバーチャルの世界を融合させるためには、リアルの世界のデータとユーザーがどのような場所にいるのか特定する技術が非常に高い精度で求められます。

⑤空間構造データ

PLATEAU 国土交通省
(画像:国土交通省)

空間構造データとは、現実世界の土地や建物などの3Dデータのことです。空間構造データが整備されることで、現実世界と紐づいたメタバース(AR/MRメタバース)が実現されています。

 

空間構造データは企業や政府が整備を進めており、代表的なプレイヤーとしてはGoogleMapによる大量の地図データを有するGoogleや、日本の国土交通省等が挙げられます。国土交通省は2020年度から「Project PLATEAU(プロジェクトプラトー)」という、スマートシティをはじめとする都市開発のDX化を目的とし、都市の3Dモデルの整備・活用を推進するプロジェクトを進めています。地方自治体や民間企業を巻き込みながら、全国の3D都市モデルのデータ整備、ユースケース開発、3D都市モデルの整備・利活用ムーブメントの惹起とオープンデータ化に取り組んでいます。

⑥自己位置認識

自己位置認識 マクニカ
(画像:マクニカ)

自己位置認識技術とは、デバイスが世界のどの位置にあるかをリアルタイムで計測する技術の事です。自己位置認識技術の発展により、現実世界と紐づいたメタバース(AR/MRメタバース)が実現されています。自己位置認識には大きく、SLAMとVPSのいずれかの技術が用いられます。

 

SLAMは「Simultaneous Localization and Mapping」の略で、地図データと位置情報の特定によって、自分がどこにいるのか、周辺環境はどのようなものなのかを判断する技術の事です。強みとしてはGPSをベースにしているため、世界中幅広いエリアをカバーできるという点が挙げられます。

 

VPSは、「Visual Positioning Service」の略で、スマホ等のカメラから得られた画像情報を基に、自分がどこにいるのか、どちらを向いているのかなどを判断する技術の事です。強みとしては、SLAMに比べ、数センチ単位での正確な位置特定ができる点と、屋外だけでなく屋内の位置特定ができる点が挙げられます。

 

一方で、VPSサービスを利用するには、対象エリアの画像情報を大量に収集する必要があり莫大なコストがかかります。将来的な本格活用を見据え、大量の地図データを持つGoogleやApple、ポケモンGOを提供する米ナイアンティック社など、海外ビックテックがデータ収集を進めています。このように、SLAMとVPSにはメリット・デメリットが存在し、どちらの技術を採用するかに、各社の戦略が現れています。

4.通信

⑦5G

5Gとは、第5世代移動通信システム(5th Generation)のことで、大きな特徴として「高速大容量」、「高信頼・低遅延」、「多数同時接続」の3つが挙げられます。5G通信が普及したことで、多くのユーザーがAR空間でスムーズな体験をすることが可能になりました。ARは三次元の仮想空間上に多くのユーザーがアクセスするため、データ通信技術の発展は、ARの普及の絶対条件と言えます。

ARとVR・MR・メタバースの違い

ARとVR・MR・メタバースの違い

ARとVRの違い

VRとはVirtual Realityの略称で、仮想現実とも呼ばれます。最先端の3DモデリングやVRデバイスなどの技術により、まるでその世界に入り込んでいるかのように感じられる、デジタル上の仮想空間を提供する技術のことを指します。Meta Quest2などのVRゴーグルやスマホの専用アプリからアクセスすることができます。

 

VRはARと同時に紹介されることが多いのですが、両者は異なる概念です。ARはリアルの世界がベースで、視覚・音声などの情報を新たに追加する技術であるのに対し、VRはあくまでデジタル上の仮想空間がベースで、まるでその世界に入り込んでいるような感覚を提供する技術です。

ARとMRとの違い

MRとはMixed Realityの略称で、複合現実とも呼ばれます。ARとVRを融合させたような概念で、リアルの世界にデジタルのオブジェクト(情報/コンテンツ)が表示された上で、手などを使ってオブジェクトを直観的に操作できる技術のことを指します。名称の通り、現実世界と仮想世界がミックスされたような体験をすることができます。

 

MRもARと同時に紹介されることが多いのですが、両者は似ているものの異なる概念です。MRではリアルの世界の上に重ねられたデジタルのオブジェクトを、直観的に操作できるのに対し、ARでは操作することができません。

ARとメタバースの違い

ARとメタバースの違い

メタバースとは、人々がコミュニケーションや経済活動を行うことができる三次元の仮想空間のことを指します。ユーザーは自身の分身であるアバターを操作して、三次元の仮想空間内を移動し、他のユーザーと交流します。

 

そのため、現在提供されているARサービスではアバターを介したユーザー同士の活発な交流や経済活動は見られず、一方的な情報の取得がメインであるため、メタバースとは異なる概念と言えます。

 

しかし、将来的にAR上でユーザー同士の交流が活発に行われるよう進化していけば、メタバースの一種として捉えることもできるかもしれません。

ARでできること10選

ARでできること10選

個人がARでできること5選

個人がARでできることとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①ARゲームを楽しむ
  • ②ARスポーツを楽しむ
  • ③家具や家電のシュミレーションをする
  • ④アパレルアイテム・コスメのバーチャル試着をする
  • ⑤AR道案内サービスを利用する

 

それぞれについて分かりやすく紹介していきます。

①ARゲームを楽しむ

ARゲームを楽しむ ポケモンGO
(画像:任天堂)

ARと位置情報を組み合わせたARゲームでは、まるで現実世界とゲームの世界が融合しているような新たなゲーム体験を楽しむことができます。

ARゲームの代表例としてポケモンGOが挙げられます。ポケモンGOとは株式会社ポケモンが提供するスマートフォン向け位置情報ゲームアプリです。現実世界でポケモンを探して捕まえることができます。また、ポケモンを見つけて捕まえるだけでなく、捕まえたポケモンを育てたり、ポケモンのタマゴを孵化したり、他のトレーナーとポケモンを交換したり、など様々な楽しみ方ができます

②ARスポーツを楽しむ

HADOのルール
(動画:HADO)

ARを活用することで、全身を使いまるでゲームの世界に入り込んだかのような新たなスポーツ体験を楽しむことができます。

ARスポーツの代表例として、HADOが挙げられます。HADOは頭にヘッドマウントディスプレイ、腕にアームセンサーを装着して対戦するARスポーツです。自らの手でエナジーボールやシールドを発動させ、フィールドを自由に移動し、仲間と連携しながら最大3対3で対戦を楽しむことができます。HADOは専用施設で遊ぶことができ、既に世界39カ国109店舗に展開されています。

③家具や家電のシュミレーションをする

家具や家電のシュミレーションをする IKEA
(画像:イケア)

ARを活用することで、購入を検討している家具や家電を自分の部屋に配置するシミュレーションを行い、サイズやデザインを詳細に検討することができます。

既にIKEAやニトリなど大手の家具企業がARを活用したシミュレーションサービスをリリースしています。

④アパレルアイテム・コスメのバーチャル試着をする

アパレルアイテム・コスメのバーチャル試着をする NIKE
(画像:ナイキ)

ARを活用することで自宅に居ながらアパレルアイテムやコスメをバーチャルに試し、サイズや質感を詳細に検討することができます。

消費者にとっては、ECなどで商品を購入する際にイメージと違ったと返品しないといけない自体を防ぐことができ、一方企業にとってもECでの購買促進や返品対応のためのコスト削減ができるといったように双方にメリットが存在します。

⑤AR道案内サービスを利用する

AR道案内サービスを利用する GoogleMAP
(画像:Google)

ARマップサービスを利用することで、目的地への道順をより視覚的に理解することができます。

既にマップサービス大手のグーグルマップはiPhoneのAR機能を活用することで利用可能な「LiveView」機能をリリースしており、通常のグーグルマップよりも直観的に目的地にたどり着くことが可能になりました。

企業がARでできること5選

企業がARでできることとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ⑥マーケティング・プロモーションへの活用
  • ⑦設計・デザインでの業務効率化
  • ⑧建設業界での業務効率化
  • ⑨物流業界での業務効率化
  • ⑩製造業界での業務効率化

 

それぞれについて分かりやすく紹介していきます。

⑥マーケティング・プロモーションへの活用

ドミノ・ピザ l ワールド10チーズ・クワトロ – ドミノ ”世界のチーズをめぐる旅”AR​ 体験動画
(動画:ドミノピザ)

ARをマーケティングやプロモーションに活用することで、ARならではのユニークな体験を通じて商品やサービスの魅力を訴求することができます。

事例としてドミノピザ社による、AR上で世界のチーズをめぐる旅を体験してもらいながら、チーズピザの購買に繋げるというプロモーションが挙げられます。

チラシや特設サイトからARカメラ起動ページにアクセスすると、目の前に地球儀が登場し、世界中のチーズの名産地が表示されます。ユーザーは各産地のチーズの特徴や楽しみ方を確認することができました。

 

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⑦設計・デザインでの業務効率化

設計・デザインでの業務効率化 Meta
(画像:Meta)

ARを設計・デザインに活用することで、机の上など好きな位置に3Dの設計イメージを表示させ、それを用いながら議論やイメージのすり合わせを行うことができます。

この活用により、社内や顧客と早い段階から完成イメージをすり合わせることで、顧客の要望通りの設計やデザインを行うことが可能になります。

⑧建設業界での業務効率化

建設業界での業務効率化 ASATEC
(画像:ASATEC)

ARを建設業界の設計イメージのすり合わせに活用することで、建設現場や会議室など好きな位置に3Dの設計イメージを表示させ、それを用いながら議論やイメージのすり合わせを行うことができます。

この活用により、社内や顧客と早い段階から完成イメージをすり合わせることで、顧客の満足度向上や施工ミスの防止などに繋がります。

⑨物流業界での業務効率化

DHL 物流業界での業務効率化
(画像:DHL)

ARを物流業界のピッキングなどの業務に活用することで、現場の作業員が適宜必要な情報を確認することができます。両手で荷物を持ったまま視線を移動させる必要がないため、作業の精度と効率の向上に繋がります。

⑩製造業界での業務効率化

ARを製造業の作業現場に活用することで、現場の作業員が適宜必要な情報を確認することができます。製造業界の現場では立体的な作業が求められるため、設計図や作業指示を紙やタブレットなどの2Dの媒体で理解するのが難しいという課題が存在します。そこでARを活用することで、作業の効率化や施工ミスの防止に繋げることができます。

 

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ARの業界別ビジネスへの活用事例12選

ARの業界別ビジネスへの活用事例12選

ARのビジネスへの活用事例として、業界別に以下のように12例が挙げられます。

 

  • ①アパレル業界:NIKEがアプリで計測された足のサイズから靴をレコメンド
  • ②アパレル業界:WarbyparkerはARでメガネを試着できるアプリをリリース
  • ③化粧品業界:資生堂がARメイクで複数のアイシャドウを試せるアプリで顧客体験向上
  • ④化粧品業界:ZOZOCOSMEがARメイクで自分の顔で化粧品を試してECの活用
  • ⑤日用品業界:花王がヘアカラー剤の色選びサポートにARを活用
  • ⑥食品業界:ジャックダニエルが歴史や製造方法を学べるAR絵本でマーケティング
  • ⑦食品業界:ドミノピザがAR上で世界中のチーズをめぐる旅を体験できるアプリでプロモーション
  • ⑧家具業界:IKEAが自宅の部屋で家具を自由にレイアウト可能
  • ⑨家具業界:ニトリが家具や設置場所を測定しサイズ違いの不安を解消
  • ⑩不動産業界:東急住宅リースが内見にARを活用
  • ⑪不動産業界:不動産SHOPナカジツでは完成予定図をARで確認
  • ⑫物流業界:DHLが倉庫でのピッキング作業を効率化

 

それぞれについて、わかりやすく解説します。

 

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①アパレル業界:NIKEがアプリで計測された足のサイズから靴をレコメンド

アパレル業界:NIKEがアプリで計測された足のサイズから靴をレコメンド
(画像:NIKE)

Nikeは公式アプリ上で足のサイズを測ることのできる機能である「Nike Fit」を提供しています。Nike Fitは最新のAR技術を使って、わずか数秒で両足の13カ所からデータを収集し、足のサイズや幅などの計測を行うことができます。

計測結果をもとに、ユーザーに最適なシューズがレコメンドされ、サイズ違いで返品しなければならなくなる事態を防ぐことができます。また、このデータはアプリに保存されるので、ナイキの実店舗に行ったときや、オンラインで次のキックを注文するときにも、QRコードを使ってすぐに店員にサイズを伝えることができます。

②アパレル業界:WarbyparkerはARでメガネを試着できるアプリをリリース

アパレル業界:WarbyparkerはARでメガネを試着できるアプリをリリース
(画像:Warbyparker)

アメリカのメガネブランドであるWarbyparkerは、いつでもどこでもARを活用して眼鏡を試着できるサービスを提供しています。

こちらのサービスでは、iPhoneのFace ID等に活用されるカメラ機能を用いて、自分の顔にメガネをかけるとどうなるかをリアルにシミュレーションすることができます。

 

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③化粧品業界:資生堂がARメイクで複数のアイシャドウを試せるアプリで顧客体験向上

化粧品業界:資生堂がARメイクで複数のアイシャドウを試せるアプリで顧客体験向上
(画像:資生堂)

資生堂は、自社の総合美容サイト「ワタシプラス」内でARを活用したメイクのシミュレーション機能を導入しました。

様々なブランドのアイシャドウを組み合わせてシミュレーションすることができ、手持ちの商品との相性なども、店舗を訪れずに手軽に確認できます。

④化粧品業界:ZOZOCOSMEがARメイクで自分の顔で化粧品を試してECの活用

化粧品業界:ZOZOCOSMEがARメイクで自分の顔で化粧品を試してECの活用
(画像:ZOZOCOSME)

ZOZOTOWNはZOZOTOWN上のコスメ専門モール「ZOZOCOSME」でバーチャルにメイクアップアイテムを試せる新機能「ARメイク」を提供しています。
ZOZOTOWNの「ARメイク」機能は、商品詳細ページからワンタップで起動し、簡単な操作でにメイクを施すシミュレーションを行うことができます。

「ARメイク」機能では、メイクの濃淡を調整したり、メイクのオンオフを切り替えることができ、実際にコスメアイテムを使用した際の色や質感を容易に想像することができます。また、「ARメイク」画面下部の「カートに入れる」ボタンから直接商品の購入に進むことができます。

⑤日用品業界:花王がヘアカラー剤の色選びサポートにARを活用

日用品業界:花王がヘアカラー剤の色選びサポートにARを活用
(画像:花王)

花王は、ヘアカラー材の色選びのサポートにARを活用する取り組みを進めています。

この取り組みにより、従来のリアルな毛束見本を用いたサポートと比較し、いつでもどこでもイメージを確認できたり、毛束見本に使われるプラスチックが削減できたりするなどの成果を上げました。

⑥食品業界:ジャックダニエルが歴史や製造方法を学べるAR絵本でマーケティング

Jack Daniel's | Augmented Reality
(動画:ジャックダニエル)

ウイスキーメーカーであるジャックダニエルは、自社の歴史やウイスキーの製法を学べるARアプリをリリースしました。

アプリにてウイスキーボトルを読み取ると、ボトル上に飛び出す絵本のような立体的なコンテンツが表示され、楽しみながらジャックダニエルの歴史やウイスキーの製法を学ぶことができます。

このARアプリの提供は、短期的な売上だけでなく、中長期的なブランドへのロイヤリティ向上に向けた効果がある取り組みと言えます。

⑦食品業界:ドミノピザがAR上で世界中のチーズをめぐる旅を体験できるアプリでプロモーション

ドミノ・ピザ l ワールド10チーズ・クワトロ – ドミノ ”世界のチーズをめぐる旅”AR​ 体験動画
(動画:ドミノピザ)

ドミノピザ社は、AR上で世界のチーズをめぐる旅を体験してもらいながら、チーズピザの購買に繋げるというプロモーションを行いました。

チラシや特設サイトからARカメラ起動ページにアクセスすると、目の前に地球儀が登場し、世界中のチーズの名産地が表示されます。ユーザーは各産地のチーズの特徴や楽しみ方を確認することができました。

⑧家具業界:IKEAが自宅の部屋で家具を自由にレイアウト可能

家具業界:IKEAが自宅の部屋で家具を自由にレイアウト可能
(画像:IKEA)

IKEAは自宅の部屋にIKEAの家具をレイアウトしコーディネートできるアプリ「IKEA Studio」を発表しました。IKEA Studioは、LiDARを搭載したiPhone 12 Proおよび12 Pro Max向けのアプリケーションで、部屋の形状を測定し、窓やドアを認識し、必要に応じて家具やオブジェクトを配置し、床に転がっているおもちゃなどのオブジェクトを消したり、白く塗ったりすることも可能です。
また、壁紙の色を変えたり、様々なIKEAの家具を置いたりして、実際にどのように見えるかを確認することができます。また、オブジェクトを重ねることができるのも特徴です。例えば、ARで表示されるイスの上に、ランプや植木鉢のオブジェを置くことができるのです。IKEA Studioはβ版のみのリリースとなっており、スペインとスウェーデン、韓国のみで利用可能となっています。

⑨家具業界:ニトリが家具や設置場所を測定しサイズ違いの不安を解消

家具業界:ニトリが家具や設置場所を測定しサイズ違いの不安を解消
(画像:ニトリ)

ニトリは公式アプリ上で、家具やそれらの設置場所のサイズをスマホのAR機能を使って計測できるサービスを提供しています。顧客はこのサービスを活用することで、家具や家電を選ぶ際に重要なサイズの計測が簡単にできるようになり、サイズ違いの心配をすることなく家具をECで購入できるようになりました。

顧客は公式アプリを起動した状態でスマホカメラで家具や設置場所を撮影すると、大きさなどが記載された画像が生成され、その画像は編集・保存ができメモとしても活用できます。

⑩不動産業界:東急住宅リースが内見にARを活用

不動産業界:東急住宅リースが内見にARを活用
(画像:東急住宅リース)

東急住宅リースは、同社が管理する賃貸マンションにおいて、ARを活用した内見サービス「AR内見」の実証実験を開始しました。同社では、内見客に本サービスを利用してもらい、成約が増えれば本格的な導入に踏み切る考えです。x garden社のメガネ型デバイス「AR glasses」を使い、家具などのバーチャル映像を内見する部屋に重ね合わせることで、家具のレイアウトや入居後の生活スタイルがイメージしやすくなります。

⑪不動産業界:不動産SHOPナカジツでは完成予定図をARで確認

不動産業界:不動産SHOPナカジツでは完成予定図をARで確認
(画像:不動産SHOPナカジツ)

愛知県岡崎市で戸建住宅を販売する株式会社不動産SHOPショップナカジツは、お客様が検討している住宅が建設後にどのようになるかをイメージしやすいように、ASATEC株式会社の「build+」サービスを採用しました。販売前の未開発の土地に、現在の分譲地の様子をイメージした画像を重ねることで、着工前のお客様に新しい住まいのイメージをより鮮明にお伝えすることができます。広さや間取りのイメージを着工前にお客様にシェアすることが可能なため、購買意欲の促進が期待されています。

⑫物流業界:DHLが倉庫でのピッキング作業を効率化

DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化
(画像:DHL)

ドイツの大手物流企業のDHL社はグーグルのスマートグラス「Glass Enterprise Edition 2」を倉庫での配送業務に導入しています。従業員はピッキング作業の現場でグラス型デバイスを着用することで、適宜必要な情報を確認することができます。荷物を持ったまま視線を移動させる必要がないため、作業の精度と効率の向上に繋がります。

企業がAR活用を進めるための4つのフェーズ

企業がメタバース活用を進めるための4つのフェーズ

企業のAR活用の進める流れとして、大きく以下の4つのフェーズが挙げられます。

 

  • Phase1:市場動向・知見のキャッチアップ
  • Phase2:戦略/企画の立案
  • Phase3:事業計画の策定
  • Phase4:開発・運用

 

それぞれのフェーズについて分かりやすく紹介していきます。

Phase1:市場動向・知見のキャッチアップ

1つ目のPhaseとして取り組むべきは、最先端の市場動向・知見のキャッチアップです。MetaやApple、Microsoftなどのビックテックやユーザーの動向・先行活用事例など、日々変化する市場動向やナレッジへのキャッチアップが必要です。

このフェーズが、成果に繋がる骨太な戦略/企画策定の基盤となります。

Phase2:戦略/企画の立案

2つ目のPhaseはAR活用の戦略/企画です。活用目的を踏まえ、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方、実現に向けた企画を立案しましょう。

ユーザーバリューと自社の事業性の両方を満たす、質の高い戦略/企画の立案が、成果につながるAR活用の実現に向け最も重要なポイントとなります。

Phase3:事業計画の策定

3つ目のPhaseは事業計画の策定です。事業に期待する成果や開発・運用のアプローチやタイムライン、必要な投資額などを検討しましょう。

AR開発・運用といっても、プロジェクト毎に求められるケイパビリティは様々であるため、自社にマッチするツール・ベンダーの選定が非常に重要です。

Phase4:開発・運用

4つ目のPhaseが開発・運用です。AR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを有効活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完しつつ、ユーザーに届けたい体験を実現するARの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。 

 

4つのフェーズで取り組むべき35のステップに関しては、以下の関連記事で詳しく解説しています。

 

※関連記事:メタバースを活用した事業を作る方法|全4フェーズと35ステップ【担当者必見】

企業がAR活用で成果を上げるための5つのポイント

企業がAR活用で成果を上げるための5つのポイント

企業がAR活用で成果を上げるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
  • ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
  • ③ユーザーファーストなUX設計
  • ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
  • ⑤強力な開発・運用体制の構築

 

それぞれについて分かりやすく紹介していきます。

①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ

1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。

デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。

 

AR活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。

②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案

2つ目のポイントは、ARを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。

現在AR活用に取り組む企業には、AR活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。

 

その結果、活用のPDCAが回らない、AR活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。

 

自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜARではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。

③ユーザーファーストな企画・UX設計

3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなARの企画・UX設計です。

現在、多くの企業がARに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなARが多く存在します。それらのARは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。

 

そのため、「ARならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。

④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進

4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。

AR市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。

 

そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。

⑤強力な開発・運用体制の構築

5つ目のポイントは、強力なAR開発・運用体制の構築です。

高いユーザー体験と事業性を両立するARの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。

 

AR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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