医療業界へのAI活用事例20選|メリット・デメリットも紹介
2022年末に登場したChatGPTなど、AIはますます性能が向上しており、幅広い業界の企業が業務効率化やサービスの付加価値向上などに向けた活用を進めています。
そんな中、多くの病院や大学において、医療データの分析や画像診断などへのAI活用が進んでいます。
本記事では、医療業界でのAI活用に関心のある方向けに、病院やその他の医療機関でのAI活用事例や活用のメリットをまとめてご紹介します。
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目次
AIを医療業界で活用する5つのメリット
AIを医療業界で活用するメリットとして、以下の5つが挙げられます。
- ①患者の身体状況に応じた適切な治療・予防策の提案
- ②データ分析による診断の正確性の向上・病気の早期発見
- ③事務作業の自動化による業務効率化・負担軽減
- ④医学知見や患者情報の共有の円滑化
- ⑤AIを搭載したロボットによる手術のサポート
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①患者の身体状況に応じた適切な治療・予防策の提案
AIを搭載したウェアラブルデバイスを患者に身に付けさせることで、AIが患者の身体状況をモニタリング・分析し、各患者に応じて個別化された適切な治療や予防策を提案することができるようになります。
②データ分析による診断の正確性の向上・病気の早期発見
AIは、学習した医療データに基づき医療画像を解析して、がんなどの病気を高精度で特定することができます。これにより、人間による診断よりも正確な診断が可能となり、病気の早期発見に貢献します。
③事務作業の自動化による業務効率化・負担軽減
AIにより、レセプト業務やオンライン上での簡単な問い合わせ対応等の事務作業を自動化することができます。これにより医療従事者の負担を軽減し、業務の効率化を実現することができます。
④医学知見や患者情報の共有の円滑化
これまで、組織内の各所に文書やPDFデータの形で点在していた患者情報や医学知識を、AIを活用して構築したデータ基盤に統合することが可能です。
医師や看護師は、自分が担当する患者の情報や最新の医学知識をチャット形式で入力することで、診療データや医学文献などに簡単にアクセスすることが可能となります。
⑤AIを搭載したロボットによる手術のサポート
AIをロボットに搭載することで、手術を実施させることもできます。これにより、医師の負担を軽減できることに加えて、不注意によるミスなどのリスクを回避することも可能となります。
AIの医療業界における活用事例20選
AIの医療業界における活用事例として、以下の20事例が挙げられます。
<患者に対する問診>
- ①日本赤十字社:AI問診ツールを導入し、1回の診察時間を3分短縮
- ②福岡和白病院:来院前のAI問診で来院後の待ち時間を短縮
- ③大阪国際がんセンター:生成AIで医師の問診を支援する会話型システムを導入
<疾病リスク予測/診断精度向上>
- ④東京ミッドタウンクリニック:健康診断データをもとに疾病リスクをAIが予測
- ⑤日本医科大学:AI×ビッグデータにより疾病予測精度の大幅な改善
- ⑥東京大学医学部附属病院:心電図データから心疾患を検知するAIを開発
- ⑦東京慈恵医科大学付属病院:AI搭載のCTを導入し、CT検査の効率化
- ⑧国立がん研究センター:AIが内視鏡検査を実施し、98%の病変発見率を達成
- ⑨マサチューセッツ総合病院:脳出血を高精度で検出するAIを開発
- ⑩サンカルロス医療研究所:AIが精神病患者の診断意思決定をサポートし、95%の正確性を実現
<医療事務作業の効率化>
- ⑪東北大学病院:日本語大規模言語モデルで医療文書の作成時間を47%削減
- ⑫順天堂大学:生成AIで診療報酬算定作業を数分に短縮するシステム開発を開始
- ⑬恵寿総合病院:生成AIで退院時サマリー作成時間を1/3に削減する実証実験を実施
- ⑭京都大学医学部附属病院:生成AIを利用し、文書作成の省力化を目指す
<医学知見や患者情報の共有>
- ⑮メイヨークリニック:大量の医療データに効率的にアクセスできる生成AIを導入
<製薬>
- ⑯理化学研究所×富士通:生成AIで創薬プロセスを10倍以上短縮化に期待
- ⑰第一三共:60億種類の化合物をAIが2か月で分析し、最適な薬成分を発掘
- ⑱塩野義製薬:AIが認知症やうつ病を診断するプログラムの開発に着手
- ⑲沢井製薬:薬に関する電話応対業務の時間を3分の1に削減見込み
- ⑳中外製薬:AIで治験関連文書作成を自動化する実験を実施
それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。
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<患者に対する問診>
①日本赤十字社:AI問診ツールを導入し、1回の診察時間を3分短縮
日本赤十字社の石巻赤十字病院は、診察時間の短縮のため、AIを使用した事前問診ツール「Ubie」を導入しました。
カルテの記入作業や患者への問診などをAIにより自動化することで、医師や看護師の負担が軽減されました。1回の診察当たり3分の作業時間短縮を達成したとのことです。
また、Ubeiの参考病名を提案する機能は、研修医が新たな気づきや学びを得られる効果も生み出しており、研修医の成長にも貢献しています。
②福岡和白病院:来院前のAI問診で来院後の待ち時間を短縮
福岡和白病院は、患者が来院前に問診を受けることができる来院前AI問診を実施しています。
患者は、来院前にスマホ又はパソコンからホームページにアクセスし、AIによる事前問診に答えるだけで簡単に問診を受けることができます。
これにより、病院側としては、問診業務の自動化による業務効率化を実現でき、患者としては来院後の待ち時間を短縮することができます。
③大阪国際がんセンター:生成AIで医師の問診を支援する会話型システムを導入
大阪国際がんセンターは、生成AIを活用し、医師の問診を支援する新たな会話型のシステムを導入する計画を発表しました。
このシステムは、生成AIを用いたアバターの医師が症状を聞き取ったり治療の流れを説明したりするもので、今後、各学会の診療ガイドラインをAIに学習させながらテストを行い、来年以降の実用化を目指す予定です。
来院する前にWEB上で問診を行うことで診察時間や医師の負担を削減するとともに、システムで集めた情報はデータベース化して新たな治療法や新薬の開発などにも活用することが期待されています。
<疾病リスク予測/診断精度向上>
④東京ミッドタウンクリニック:健康診断データをもとに疾病リスクをAIが予測
東京ミッドタウンクリニックは、人間ドックを受診した患者に対して疾病リスクの予測結果を報告する際に、疾病リスク予測AIサービスというツールを活用しています。
疾病リスク予測AIサービスとは、東芝デジタルソリューションズが提供するソリューションで、1年分の健康診断データをもとにAIが6年先までの6疾病(糖尿病・高血圧症・脂質異常症・腎機能障害・肝機能障害・肥満症)のリスクを予測するサービスです。
これにより、より正確な疾病リスク予測を患者に届けることができるだけでなく、疾病リスクの予測にかかる医師の工数を削減し業務効率化を達成することができます。
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⑤日本医科大学:AI×ビッグデータにより疾病予測精度の大幅な改善
日本医科大学は、電子カルテとAIを融合し、医療ビッグデータを多角的に解析するマルチモーダルAIを構築しました。
従来のAIでは、単一の検査データを対象とするものが多かったのに対し、今回のAIは、複数の検査データを同時に解析することができます。実証実験では、前立腺がんの電子カルテデータや病理画像をAIに解析させたところ、手術から5年後までの再発予測の精度が、既存手法と比べて10%向上しました。
これにより、治療計画の最適化、疾患の早期発見などが可能となり、医療サービスの質向上、医療従事者の業務負担減少などの効果が期待されています。
⑥東京大学医学部附属病院:心電図データから心疾患を検知するAIを開発
東京大学医学部附属病院は、富士通と共同で心電図のデータから心臓の動きの異常を検知するAIを開発し、臨床研究を開始しました。
東大病院がこれまでに診察した患者の心電図データ約63万件と心臓超音波検査データ約14万件をAIに学習させ、これらのデータをもとにAIが心臓の動きの異常の有無を推定することができます。
これにより、心疾患系の病気の早期発見・早期治療による患者の重症化防止というメリットが期待されています。
⑦東京慈恵医科大学付属病院:AI搭載のCTを導入し、CT検査の効率化
東京慈恵医科大学付属病院は、AIを搭載した最新のCTを導入し、救急CT検査の質を大幅に向上させることに成功しました。
AIが必要な箇所を全自動で撮影することで、CT撮影にかかる医師の業務負担を大幅に削減することができました。これにより、月1000件のペースで発生する救急検査の標準化と迅速化を実現しました。
また、短時間で高画質な撮影を取得できるようになったため、患者の被ばく量を最小限に抑えられるというメリットも生まれています。
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⑧国立がん研究センター:AIが内視鏡検査を実施し、98%の病変発見率を達成
国立がん研究センターは、内視鏡画像をAIに解析・診断させ、消化器系のがんの早期発見につなげる取り組みを実施しています。これまで、内視鏡検査は医師が肉眼で行っており、医師によって診断内容にばらつきがあったり、がんの兆候の見逃しがあるなどの課題がありました。
今回の取り組みでは、AIに約5,000件の内視鏡画像を学習させたところ、偽陽性率を1%に抑えたまま、98%の病変発見率を達成し、解析時間もわずか0.1秒以内であるという結果が出ました。
経験の浅い医師でも病変を正確に発見できるようになり、診断の質向上、病気の早期発見・治療という効果が期待されています。
⑨マサチューセッツ総合病院:脳出血を高精度で検出するAIを開発
アメリカのマサチューセッツ総合病院では、急性脳内出血を高精度で検出するディープラーニング技術の研究が進められています。
脳出血は脳卒中の中で2番目に多いタイプであり、急速に進行することから、早期かつ正確な診断・治療が重要となります。マサチューセッツ総合病院の研究者は、904枚の頭部CT画像を活用してAIをトレーニングし、脳出血を的確に検出できるAIモデルの開発を進めています。
実験の結果、専門的な放射線医師と同等またはそれ以上に優れた正確さを発揮したとのことです。
⑩サンカルロス医療研究所:AIが精神病患者の診断意思決定をサポートし、95%の正確性を実現
スペインのサンカルロス医療研究所では、富士通と共同で、精神病患者の診断をサポートするAIの実証実験を実施しました。
36,000件もの過去の診断データと100万以上の医療関連論文・データをAIに学習させ、診断に係る医師の意思決定をサポートします。これまでは、診断に必要な患者記録の選別だけで約10分もかかっていましたが、AIにより、わずか数秒で必要な情報へのアクセスが可能となりました。これにより、医師の診断時間を半減することに成功しています。
また、診断精度95%の正確さを達成し、ベテラン医師に引けをとらない精度にまで高められています。
<医療事務作業の効率化>
⑪東北大学病院:日本語大規模言語モデルで医療文書の作成時間を47%削減
東北大学病院は、生成AIにおける日本語大規模言語モデル(Large Language Model)を活用し、電子カルテなどの情報をもとに医療文書を自動作成する実証実験を行いました。
実証実験の結果、医療文書の作成時間を平均47%削減でき、文章の表現や正確性についても高い評価を受けました。
この取り組みにより、医療文書作成などの単純な事務作業を省力化して医師の負担を軽減するとともに、診療サービスの質を向上させることができると期待されています。
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⑫順天堂大学:生成AIで診療報酬算定作業を数分に短縮するシステム開発を開始
順天堂大学は、生成AIを活用し、診療報酬の算定を効率化するシステムを開発することを発表しました。
株式会社FIXERの大規模言語モデル(LLM)を使った生成AIサービス「GaiXer(ガイザー)」を活用し、順天堂大学が提供する電子カルテの情報をもとに診療報酬算定の労力を減らす仕組みを構築します。
従来は病院全体で数日かかっていた診療報酬の算定作業を数分程度に短縮できる見込みで、医療現場の負担や医療費を削減するとともに、来院者の待ち時間を短縮することができると期待されています。
⑬恵寿総合病院:生成AIで退院時サマリー作成時間を1/3に削減する実証実験を実施
恵寿総合病院は退院時サマリーや意見書作成業務を生成AIで自動化することで病院内全体の業務効率化を目指す実証実験を実施しました。
医師の退院時サマリー作成にかかる時間を約15分から5分と最大1/3に削減することに成功しました。これにより、年間約540時間の医師の作業時間削減できる可能性が示されました。
実証実験は引き続き行われ、生成AIを活用した業務効率化と医療のさらなる質向上の両立を目指しています。
⑭京都大学医学部附属病院:生成AIを利用し、文書作成の省力化を目指す
京都大学医学部附属病院は、生成AIを利用して医療現場における医療文書作成業務の自動化・効率化を図る共同研究を開始しています。
患者の診断の際には、診療録、退院サマリ、診療情報提供書など様々な文書を作成する必要がありますが、それぞれガイドラインが定められており、作成に相応の手間がかかります。生成AIの文章作成機能を活用することで、これらの文書作成の自動化・省力化が期待されています。
研究の結果、効果が見込まれると判断された場合は、本格的にシステムを導入するとのことです。
<医学知見や患者情報の共有>
⑮メイヨークリニック:大量の医療データに効率的にアクセスできる生成AIを導入
アメリカの有名な病院であるメイヨークリニックは、Googleと提携し、同社の生成AIソフトウェアを導入することを発表しました。
まずは、Generative AI App BuilderのEnterprise Searchを導入し、AIによるチャットボット機能を活用して、医療従事者が患者の病歴や診断画像、研究論文などのあらゆる医療情報に効率よくアクセスできるようにする予定です。
医療データに限らず、生成AIの大規模言語モデルを活用することで、大量の情報に効率的にアクセスできるシステムを構築することが可能であり、あらゆる業界で注目されています。
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<製薬>
⑯理化学研究所×富士通:生成AIで創薬プロセスを10倍以上短縮化に期待
生成AIが大量の電子顕微鏡画像からタンパク質の構造変化を予測できる創薬技術を開発しました。
ウィルス感染を防止する薬を効率的に開発するためには、薬の標的となるタンパク質の構造の変化を的確に把握する必要があり、これには高度な専門知識や多くの開発費用が必要でした。
生成AIにより、従来の方法に比べて10倍以上も速くタンパク質の構造変化の予測が可能となるため、新薬開発のプロセスを大幅に短縮化できると期待されています。
⑰第一三共:60億種類の化合物をAIが2か月で分析し、最適な薬成分を発掘
第一三共は、AIを活用した創薬プロジェクトを実施しました。AIの分析能力を活かして、病気の原因となるタンパク質の中でも難易度の高いターゲットに対して、有効な化合物を選定することに成功しました。
約60億種類もの化合物群の中から、病気に効果のある最適な化合物を見つけるためのAIスクリーニングを行い、約2か月という短期間で有望な化合物を見つけ出しました。
短時間で膨大なデータを分析できるAIの能力は、莫大な数の化合物の組み合わせを検証しなければならない新薬開発の分野にマッチしており、今後さらなる活用の拡大が期待されています。
⑱塩野義製薬:AIが認知症やうつ病を診断するプログラムの開発に着手
塩野義製薬は、AIの自然言語処理技術を活用し、認知症やうつ病を診断するモデルの開発と実装に取り組んでいます。
患者と医師の会話データをAIが解析し、認知症やうつ病の傾向や症状の有無を判定します。専門医だけでなく、一般医による使用や遠隔診療での活用が想定されています。
これにより、増加する認知症・うつ病患者の早期診断と速やかな治療を実現することを目指しています。
⑲沢井製薬:薬に関する電話応対業務の時間を3分の1に削減見込み
沢井製薬は、ジェネリック医薬品に関する顧客からの電話問い合わせに対応するためにAIを導入しました。
沢井製薬の医薬品情報センターでは、1日約200件もの薬に関する問い合わせ電話が来ており、対応する人員が不足するという問題が生じていました。また、問い合わせ内容は、情報共有のため、システムに記録する必要があり、これが大きな負担になっていました。
AIで電話応対や記録作業の一部を自動化することで、業務時間を3分の2も削減できる見込みとのことです。
⑳中外製薬:AIで治験関連文書作成を自動化する実験を実施
中外製薬は、AIを活用し、治験関連文書の作成を効率化するソリューションを試す実証実験を行いました。
治験には、計画、実施、承認申請等の各プロセスにおいて多くの文書を作成する必要があります。AIを用いて治験実施計画書から治験関連文書を作成するなど、業務効率化を目指す試みが行われました。
実証実験の結果、自動生成すべき文書の大部分をAIで生成することができ、同意説明文書で平均61%、症例報告書で平均40%の作成時間削減効果があったとのことです。
医療業界でAIを安全に活用するための6つの注意点
医療業界でAIを安全に活用するための注意点として、以下の6つが挙げられます。
- ①最適なAI活用範囲の設定
- ②最適なAIツールの選定・導入
- ③リスクを最小化するデータマネジメント
- ④従業員向けの利用ルール・マニュアルの策定
- ⑤従業員のAI活用リテラシーの向上
- ⑥最新動向を踏まえたAI活用方法の定期的な見直し
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①最適なAI活用範囲の設定
AIは全ての業務に対して万能という訳ではなく、明確に得意不得意が存在します。
そのため、AI活用の成果を最大化し、リスクを最小化するためには、活用する範囲を適切に設定することが極めて重要です。
これにより、不適切な情報の利用や不意の法的問題の防止につながります。
②最適なAIツールの選定・導入
各医療機関等の状況や目的に最適なAIツールの選定と導入は、安全かつ効率的なAI活用に向けて非常に重要です。
利用するAIツールは、その機能、性能、セキュリティ対策が自社の要求を満たしているかを評価し、適切なものを選ぶ必要があります。
さらに、AIツールの導入時も、ユーザーが入力した内容を学習させない「オプトアウト」を選択する等の対処を取ることで、自社のリスクを最小化することができます。
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③リスクを最小化するデータマネジメント
AIは、学習したデータに基づいて動作するため、データマネジメントの質がAIのパフォーマンスに直結します。
データの正確性、偏りのなさ、機密性の保持は、リスクを最小化する上で極めて重要です。
適切なデータマネジメントの実施により、データの質を確保し、情報漏洩や不正確な分析・情報生成のリスクを低減します。
④従業員向けの利用ルール・マニュアルの策定
AIの効果的な利用とリスクの最小化のためには、医療機関等が医師や従業員向けの明確な利用ルールやマニュアルを策定することが重要です。
具体的には、社内でのAIの使用目的、使用範囲、倫理ガイドライン、データ取り扱いのルール・マニュアルを策定する必要があります。
⑤従業員のAI活用リテラシーの向上
AIのポテンシャルを最大限に活用し、同時にリスクを管理するためには、医師や従業員のAIに関する理解とスキル、すなわちAIリテラシーを向上させることが不可欠です。
研修プログラムや実践的なトレーニングを通じて、従業員がAIに関する基本的な知識、適切な使用方法、関連するリスクを理解してもらい、効率的かつ責任ある方法で使用できる環境を構築することが求められます。
⑥最新動向を踏まえたAI活用方法の定期的な見直し
AIの技術・サービスは日々進化しており、新たな活用方法や利用プロセスが登場し、それに応じて新たなリスクが生じる可能性が高いです。
したがって、国内外のAIに関する最新の動向を常に把握し、医療分野でのAI活用方法を定期的に見直し、更新することが必要となります。
医療業界でのAI活用を成功させるための5つのポイント
医療業界でのAI活用を成功させるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。
- ①中長期でのAI活用戦略の策定
- ②投資対効果の高い活用目的・方法の選定
- ③アジャイルアプローチでの開発・導入
- ④システムとルールの両面からのリスク管理
- ⑤研修等での社員のAI活用リテラシー向上
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①中長期でのAI活用戦略の策定
AIの性能進化が加速しているこれからの時代、足元の取り組みはもちろん、3年・5年スパンでAIをどこまでダイナミックに活用できるかが、競争優位性に直結します。
また、AI活用のレベルは、比較的簡単な各社員のAIツール利用による生産性向上から、AI活用による診断の質の向上、新たな医療サービスの創出まで様々です。
そのため、中長期で目指すAI活用の姿を見据え、その実現に向け逆算したロードマップや、まず足元進めるべき活用を設計することが重要です。
②投資対効果の高い活用目的・方法の選定
AIは人間と同様、全ての業務に対して万能という訳ではなく、膨大なデータに基づいた分析や対応、コンテンツ制作は得意だが、複雑な問いに対して正確な答えを出すのは苦手といった、得意不得意が明確に存在します。
そのため、自社の業務の現状やAIの特徴を踏まえた上で、どのような課題/目的に対して、どのようなアプローチ/範囲/ツールで活用を進めるかを、検討・選定するステップがプロジェクトの投資対効果を左右する、極めて重要なプロセスとなります。
③アジャイルアプローチでの開発・導入
AIは、一度開発・導入して終わりという進め方ではなく、何度もモデル・学習データ・利用方法等を細かくカスタマイズしなおすことで、より理想とする活用を実現することができます。
具体的には、初期仮説に基づいた簡易的なプロトタイプを構築し実際に利用してみる、というサイクルを、1サイクル数週間~数ヶ月の期間で何度も繰り返し、ブラッシュアップしていくという、アジャイル開発のアプローチを取ることが適しています。
④システムとルールの両面からのリスク管理
AI活用に踏み切れない最大の理由として、機密情報漏洩などのリスクへの懸念が挙げられます。
確かに、社員に特段ルールを設けず、一般に公開されているAIツールを使用させるなどの場合、様々な問題が発生する可能性は存在します。
一方で、セキュリティ対策を行ったシステム構築や、医師や社員向けのAIの使用ルールやガイドラインの策定により、リスクをマネジメントし最小化することが可能です。
⑤研修等での社員のAI活用リテラシー向上
AI(特に生成AI)を活用するにあたっては、同じAIを利用していても、使い手のリテラシーによって成果が大きく左右されるという点に注意が必要です。
そのため、AIのポテンシャルを最大限に活用するためには、医師や従業員のAIに対する理解とスキル、すなわちAI活用リテラシーを向上させることが不可欠です。
そこで、研修プログラムや実践的なトレーニングを通じて、従業員がAIの基本的な知識、適切な使用方法、関連するリスクを理解してもらい、効率的かつ責任ある方法で使用できる環境の構築が重要となります。
医療業界でのAI活用を進めるための4つのステップ
医療業界でのAI活用を進めるための流れとして、以下の4つのステップがあげられます。
<STEP1:活用業務の選定>
- 最新の市場動向のリサーチ
- 自社での活用対象業務の幅出し・選定
- AI活用の目的・目標の設定
<STEP2:活用範囲と業務プロセスの決定>
- 対象業務の棚卸し・効率化余地の検討
- AIを活用する業務範囲の決定
- AIと人間の役割分担の設計
<STEP3:試験開発・運用(PoC)>
- 要件定義・プロトタイプ開発
- 試験運用
- フィードバック収集・評価
<STEP4:本開発・運用>
- PoCを踏まえた本開発
- 運用・評価
- 活用方針・方法の継続的なカイゼン
各ステップについてわかりやすく紹介していきます。
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STEP1:活用業務の選定
AIは、定型的な業務の効率化から新規サービスの創出まで幅広い業務に活用可能だからこそ、AI活用の投資対効果が高い業務を適切に選定することが最も重要となります。
最新の技術や競合の活用動向をキャッチアップした上で、自社の活用可能性の幅出し・整理を行います。その上で、AIをどのような業務・目的・成果目標で導入するかを設定しましょう。
STEP2:活用範囲と業務プロセスの決定
大きなポテンシャルを持つAI活用ですが、人間と同様、どのようなシチュエーション・任せ方でも万能というわけではありません。
そのため、活用業務の現状・課題と、AI・人間の得意/不得意を踏まえた上で、どの範囲の業務をどのように人間と協業しながら任せるかを決定することが重要になります。
STEP3:試験開発・運用(PoC)
いきなり大規模な導入を進めるのではなく、比較的小規模な試験開発・運用(PoC)により、その有効性を確かめることで、AI活用全体の投資対効果を大きく高めることが可能です。
検証したい仮説を事前に明確にした上で、実際にプロトタイプでの試験運用を行い、活用業務や方法の改善ポイントを洗い出しましょう。
STEP4:本開発・運用
PoCで得られた改善ポイントに基づき、自社の経営課題・業務の現状にベストマッチするAI活用の内容やシステムの要件を再度設計し、本開発を行います。
また、本開発後も継続的に成果や活用状況を評価し、継続的なカイゼンを行うことで、自社でのAI活用のインパクトを最大化することができます。
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