AIアシスタントとは?種類や4大メリット、導入事例9選も紹介
2022年末に登場したChatGPTなど、AIはますます性能が向上しており、人間の代わりに特定のタスクを担う「AIアシスタント」と呼ばれる技術も登場しています。
多くの企業がAIアシスタントを業務に取り入れ、自動化や効率化に成功している一方で、「AIアシスタントを自社にどのように活用したらよいかわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、AIアシスタントの業務での利用を検討している方向けに、AIアシスタントの基本から導入のメリット、企業の導入事例などをわかりやすくご紹介します。
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目次
AIアシスタントとは?
AIアシスタントとは、ユーザーの指示に従い、特定のタスクを実行するアシスタントのような機能を持つAIのことです。
AppleのSiriやAmazonのAlexaなどのスマートデバイス型のもの、顧客の問い合わせに対応するチャットボット、接客や製造現場等で使われるAIロボットなど様々な種類があり、業務の効率化や人手不足解消、ユーザーの体験価値向上などに役立っています。
近年では、生成AIにより自然な対話を行うことができる人間のようなAIアシスタントが登場しており、活用の幅がさらに広がっています。
AIアシスタントを導入する4つのメリット
企業がAIアシスタントを導入するメリットとして、以下の4つが挙げられます。
- ①顧客対応の最適化・自動化による顧客満足度向上
- ②顧客対応の最適化・自動化による業務効率化・コスト削減
- ③物理的作業の自動化・効率化
- ④社内知見の共有・業務の標準化
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①顧客対応の最適化・自動化による顧客満足度向上
AIと社内データを活用し、顧客対応向けの独自のチャットボット型のAIアシスタントを構築することで、顧客からの問い合わせ等に対して、24時間365日自動対応し、パーソナライズされた回答やサポートを行うことができます。
AIと人間が適切な分担を行うことで、従来よりスムーズできめ細やかな顧客が提供可能となり、顧客/ユーザーの満足度が向上します。
②顧客対応の最適化・自動化による業務効率化・コスト削減
AIアシスタントを導入することで、一部の顧客対応業務を自動化することができ、業務効率化やコスト削減を実現することができます。
特に従来コールセンターやお客様対応窓口などが行っていた、定型的な顧客対応は生成AIによる自動化が容易で、それらの業務担当を従業員から生成AIに置き換えることで、コストを削減したり、より重要な業務に注力してもらったりと、企業の競争力強化に繋げることができます。
③物理的作業の自動化・効率化
AIアシスタントの中でもロボット型のものは、製造現場での単純作業や飲食店での料理の持ち運びなど様々なタスクを人間の代わりに担うことができます。
近年では、AIの自然言語でロボットアームを操作する技術や、AIが料理の動画を見るだけでその料理を再現する技術など、より高度なタスクを行えるAIが登場しており、自動化・効率化の動きがさらに加速しています。
④社内知見の共有・業務の標準化
社内向けのチャットボットなどのAIアシスタントを構築することで、これまで、社内の各所に文書やPDFデータの形で点在していた知見を、AIを活用し構築したデータ基盤に統合することが可能です。
従業員は自分の置かれた状況や知りたい知見をチャット形式で入力することで、業務マニュアルやノウハウなどの最適な知見に即座にアクセスすることが可能となります。
【目的別】AIアシスタントの導入事例9選
目的別のAIアシスタントの導入事例は以下の通りです。
<顧客対応の最適化・自動化>
- ①ヤマト運輸:AIオペレータによる集荷依頼対応の自動化
- ②MILIZE:金融に関する相談ができるAIチャットボットをLINE上で提供
- ③ベルシステム:AIと人間の協働によりコールセンター業務を効率化
- ④トランスコスモス:生成AIを活用しエスカレーションを6割削減
<物理的作業の自動化・効率化>
- ⑤ケンブリッジ大学:動画を参考に料理ができるAIロボットを開発
- ⑥オムロン:生成AIを活用した言語指示で動くロボットの開発へ
- ⑦HPE:自然言語でのロボット操作を生成AIで実現
<社内知見の共有・業務の標準化>
- ⑧パナソニックコネクト:AIアシスタントを導入し1日5000回の利用
- ⑨鹿島建設:業務に関する質問を行える独自のチャットボット型AIを導入
それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。
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顧客対応の最適化・自動化
①ヤマト運輸:AIオペレータによる集荷依頼対応の自動化
ヤマト運輸は、顧客からの集荷依頼の電話にAIの自動音声オペレータが対応する「AIオペレータ」を導入しています。
顧客がヤマト運輸のサービスセンターに電話し、音声ガイダンスに従いボタンを押すと、AIオペレータの受付が開始されます。オペレータに、集荷先の住所や希望する配達時間を伝えると、AIが音声を認識します。
これにより、顧客からの電話対応にかかる人員コストの大幅な削減、業務効率化に成功しました。
②MILIZE:金融に関する相談ができるAIチャットボットをLINE上で提供
株式会社MILIZEは、ChatGPT技術を駆使した「MILII TALK(β版)」をリリースしました。
このサービスでは、LINEを通じてユーザーからのお金に関する質問にAI金融アドバイザー「MILI」が即座に回答します。
回答はChatGPT(GPT-3.5)のAPIによって生成され、ユーザーは家計、不動産、年金、保険など幅広いトピックについて質問可能です。
このサービスにより、ユーザーはいつでもどこでも手軽に質問し、専門的な金融アドバイスを受けられるようになります。
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③ベルシステム:AIと人間の協働によりコールセンター業務を効率化
コールセンターのベルシステム24は、AIと人の力を融合させたハイブリッド型コールセンター運営サービスを提供しています。
このサービスでは、AIチャットボットが顧客からの問い合わせを受け、簡単な質問には即座にAIが回答し、難しい問い合わせには人間が対応するアプローチを取っています。
この新たなアプローチにより、顧客サービスの迅速化と効率化を図り、高品質な顧客対応を実現しています。
また、AIの導入により企業側の大幅なコスト削減にも貢献しています。
④トランスコスモス:AIを活用しエスカレーションを6割削減
トランスコスモスは、AIを活用してコールセンターの生産性と対応品質を向上させる取り組みを進めています。
顧客からの難しい質問に対して、オペレーターが直接AIに問い合わせ、過去の社内ドキュメントから最適な回答を得る方法を採用しています。
この取り組みにより、最初に電話を受けたオペレーターが、専門知識を有する別の担当者に質問を引き継ぐ「エスカレーション」の件数を6割削減する見込みとのことで、顧客の待ち時間の大幅な短縮が期待されています。
物理的作業の自動化・効率化
⑤ケンブリッジ大学:動画を参考に料理ができるAIロボットを開発
ケンブリッジ大学の研究チームが開発した、生成AIを活用した「ロボットシェフ」は、料理の動画を見るだけで、その料理を再現できる能力を持っています。
このロボットシェフは、人間のように料理動画を通じて新しいレシピを学習し、実際に料理を作ることが可能です。
また、同ロボットは既存のレシピ通りに料理を作るだけでなく、オリジナルのレシピを考案する能力も持っているとのことです。
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⑥オムロン:生成AIを活用した言語指示で動くロボットの開発へ
オムロンサイニックエックス(OSX)は、ロボットアームが自然言語の指示に応じて動作する技術の開発に取り組んでいます。
この技術は、食材の切り方など、特定の作業動作を学習したAIモデルが生成することで実現されます。
このプロジェクトは、人間の思考プロセスを模倣することで、ロボットがより自然な方法でタスクを実行できるようにすることを目指しています。
⑦HPE:自然言語でのロボット操作を生成AIで実現
Hewlett Packard Enterprise(HPE)は、生成AIを用いて、産業用ロボットの操作をサポートするシステムのデモを実施しました。
このシステムでは、自然言語および画像を用いた対話で、工場作業員がロボットと効率的にコミュニケーションを取れるように設計されています。
AIアシスタントは、数百ページのマニュアルを用いたトレーニングを受け、作業者の質問に自然言語で対応し、ロボット操作の効率と安全性を大きく向上させるとしています。
社内知見の共有・業務の標準化
⑧パナソニックコネクト:チャットボット型AIを導入し1日5000回の利用
パナソニック コネクトでは、社内データベースを連携させたチャットボット型AIによる業務効率化のプロジェクトを進めています。
この取り組みにより、自社業務や現場の個別課題に対応した回答生成が可能となり、社外秘情報にも対応する自社特化AIの運用開始も予定しています。
導入後3カ月で、想定の5倍以上の約26万回の利用があり、日々約5000回もの質問がAIに投げかけられているとのことです。
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⑨鹿島建設:業務に関する質問を行える独自のチャットボット型AIを導入
鹿島建設は、自社および国内外のグループ会社従業員約2万人を対象に、独自開発した対話型AI「Kajima ChatAI」の運用を開始しました。
このAIの導入により、従業員は社内固有の業務に対する質問や情報検索を迅速に行え、業務効率と生産性が向上することが期待されます。
このAIは、情報が外部に漏洩しない安全な環境で動作しており、さらに、利用時の従業員認証や利用履歴の記録など、独自のセキュリティ機能を付加し、より安全に利用できるようになっています。
企業がAI活用を成功させるための5つのポイント
企業がAI活用を成功させるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。
- ①中長期でのAI活用戦略の策定
- ②投資対効果の高い活用目的・方法の選定
- ③アジャイルアプローチでの開発・導入
- ④システムとルールの両面からのリスク管理
- ⑤研修等での社員のAI活用リテラシー向上
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①中長期でのAI活用戦略の策定
AIの性能進化が加速しているこれからの時代、足元の取り組みはもちろん、3年・5年スパンでAIをどこまでダイナミックに活用できるかが、企業の競争優位性に直結します。
また、AI活用のレベルは、比較的簡単な各社員のAIツール利用による生産性向上から、AI活用による業務プロセス革新、顧客向けサービスの進化、新サービス/商品の創出まで様々です。
そのため、中長期で目指すAI活用の姿を見据え、その実現に向け逆算したロードマップや、まず足元進めるべき活用を設計することが重要です。
②投資対効果の高い活用目的・方法の選定
AIは人間と同様、全ての業務に対して万能という訳ではなく、膨大なデータに基づいた分析や対応、コンテンツ制作は得意だが、複雑な問いに対して正確な答えを出すのは苦手といった、得意不得意が明確に存在します。
そのため、自社の業務の現状やAIの特徴を踏まえた上で、どのような課題/目的に対して、どのようなアプローチ/範囲/ツールで活用を進めるかを、検討・選定するステップがプロジェクトの投資対効果を左右する、極めて重要なプロセスとなります。
③アジャイルアプローチでの開発・導入
AIは、一度開発・導入して終わりという進め方ではなく、何度もモデル・学習データ・利用方法等を細かくカスタマイズしなおすことで、より理想とする活用を実現することができます。
具体的には、初期仮説に基づいた簡易的なプロトタイプを構築し実際に利用してみる、というサイクルを、1サイクル数週間~数ヶ月の期間で何度も繰り返し、ブラッシュアップしていくという、アジャイル開発のアプローチを取ることが適しています。
④システムとルールの両面からのリスク管理
企業がAI活用に踏み切れない最大の理由として、機密情報漏洩などのリスクへの懸念が挙げられます。
確かに、社員に特段ルールを設けず、一般に公開されているAIツールを使用させるなどの場合、様々な問題が発生する可能性は存在します。
一方で、セキュリティ対策を行ったシステム構築や、社員向けのAIの使用ルールやガイドラインの策定により、リスクをマネジメントし最小化することが可能です。
⑤研修等での社員のAI活用リテラシー向上
AI(特に生成AI)を活用するにあたっては、同じAIを利用していても、使い手のリテラシーによって成果が大きく左右されるという点に注意が必要です。
そのため、AIのポテンシャルを最大限に活用するためには、従業員のAIに対する理解とスキル、すなわちAI活用リテラシーを向上させることが不可欠です。
そこで、研修プログラムや実践的なトレーニングを通じて、従業員がAIの基本的な知識、適切な使用方法、関連するリスクを理解してもらい、効率的かつ責任ある方法で使用できる環境の構築が重要となります。
企業がAIを導入するための4つのステップ
企業がAI導入を進めるための流れとして、以下の4つのステップがあげられます。
<STEP1:活用業務の選定>
- 最新の市場動向のリサーチ
- 自社での活用対象業務の幅出し・選定
- AI活用の目的・目標の設定
<STEP2:活用範囲と業務プロセスの決定>
- 対象業務の棚卸し・効率化余地の検討
- AIを活用する業務範囲の決定
- AIと人間の役割分担の設計
<STEP3:試験開発・運用(PoC)>
- 要件定義・プロトタイプ開発
- 試験運用
- フィードバック収集・評価
<STEP4:本開発・運用>
- PoCを踏まえた本開発
- 運用・評価
- 活用方針・方法の継続的なカイゼン
各ステップについてわかりやすく紹介していきます。
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STEP1:活用業務の選定
AIは、定型的な社内業務の効率化から新規事業創出まで幅広い業務に活用可能だからこそ、
AI活用の投資対効果が高い業務を適切に選定することが最も重要となります。
最新の技術や競合の活用動向をキャッチアップした上で、自社の活用可能性の幅出し・整理を行います。その上で、AIをどのような業務・目的・成果目標で導入するかを設定しましょう。
STEP2:活用範囲と業務プロセスの決定
大きなポテンシャルを持つAI活用ですが、人間と同様、どのようなシチュエーション・任せ方でも万能というわけではありません。
そのため、活用業務の現状・課題と、AI・人間の得意/不得意を踏まえた上で、どの範囲の業務をどのように人間と協業しながら任せるかを決定することが重要になります。
STEP3:試験開発・運用(PoC)
いきなり大規模な導入を進めるのではなく、比較的小規模な試験開発・運用(PoC)により、その有効性を確かめることで、AI活用全体の投資対効果を大きく高めることが可能です。
検証したい仮説を事前に明確にした上で、実際にプロトタイプでの試験運用を行い、活用業務や方法の改善ポイントを洗い出しましょう。
STEP4:本開発・運用
PoCで得られた改善ポイントに基づき、自社の経営課題・業務の現状にベストマッチするAI活用の内容やシステムの要件を再度設計し、本開発を行います。
また、本開発後も継続的に成果や活用状況を評価し、継続的なカイゼンを行うことで、自社でのAI活用のインパクトを最大化することができます。
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