生成AIは著作権違反にあたる?判断方法/注意点~侵害事例まで
リリース以降、2ヶ月で1億ユーザーを突破したChatGPTの登場・普及をきっかけにますます注目が集まっている生成AI。
生成AIで生成した文章や画像は、各サービスの規約で認められていれば商用利用も可能ですが、その際には他社の著作権を侵害しないように注意する必要があります。
そこで本記事では、生成AIで生成したコンテンツが著作権違反にあたるかについて、判断方法、注意点、実際の侵害事例とともにわかりやすくご紹介します。
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生成AIは著作権違反になるか?
テキストでの指示に基づき生成AIが生成した文章や画像は、利用方法によっては著作権侵害に当たる可能性があります。文化庁と内閣府が公表した「AIと著作権の関係等について」と題するガイドラインによれば、生成AI活用における著作権侵害のパターンとして以下の2つを挙げています。
- ①生成AIの開発・学習の段階での他社の著作物の利用
- ②生成AIで他社の著作物を模倣したコンテンツの公開・販売
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①生成AIの開発・学習の段階での他社の著作物の利用
著作権侵害の1つ目のパターンは、生成AIの開発・学習の段階での他社の著作物の利用です。
内閣府によると、一般的にAI開発のような情報解析等において、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用においては 、原則として著作権者の許諾なく利用することが可能とされています(著作権法第30条の4)。
一方で、情報解析用に販売されているデータベースの著作物を、AI学習目的で複製する場合など、必要と認められる限度を超える場合や著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、著作権者の許諾が必要となります。
②生成AIで他社の著作物を模倣したコンテンツの公開・販売
著作権侵害の2つ目のパターンは、生成AIで他社の著作物を模倣したコンテンツの公開・販売です。
生成AIによって生成されたコンテンツの公開や販売をする際には、基本的には通常の著作権侵害の検討が適用されます。
生成されたコンテンツに、既存のコンテンツとの類似性や依拠性が認められれば、著作権者は著作権侵害として損害賠償請求・差止請求が可能であるほか、刑事罰の対象となりえます。
生成AIが著作権違反にあたるかを判断する方法
生成AIが著作権違反にあたるかを判断するためには、以下の2つの事項をチェックする必要があります。
- ①そもそも著作物に該当するか
- ②類似性・依拠性が認められるか
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
①そもそも著作物に該当するか
前提として、他社のコンテンツが著作権として保護される著作物に該当しなければ、著作権侵害にはあたりません。
著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものをいいます。したがって、単なるデータや事実を記載しただけの文章は原則として著作物に当たりませんが、イラストや芸術的な文章などは著作物に当たる可能性が高いです。
②類似性・依拠性が認められるか
次に、著作権侵害の要件である類似性・依拠性を考慮する必要があります。
類似性とは著作物が持つ独自の表現が似ていることであり、そのコンテンツの本質的な特徴において類似していることをいいます。依拠性とは、その著作物に依拠して作成したことをいい、その著作物に存在を知らず、たまたま似てしまった場合には依拠性に該当しません。
類似性・依拠性のいずれの要件にも該当する場合には、著作権侵害に当たることになります。
著作権を侵害せずに生成AIを利用する3つの注意点
著作権を侵害せずに生成AIを利用するために注意すべきポイントとして、以下の3つが挙げられます。
- ①生成されたコンテンツをダブルチェックする
- ②各生成AIサービスの規約を確認する
- ③フリー素材や自社保有のコンテンツに絞って学習させる
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①生成されたコンテンツをダブルチェックする
生成されたコンテンツが、既存の他社のコンテンツと類似している場合には、著作権侵害に該当する可能性があります。
そのため、生成されたコンテンツを業務等に利用する前に、当該コンテンツが他社のコンテンツと類似していないかを人の目でしっかりとダブルチェックすることが重要です。
②各生成AIサービスの規約を確認する
生成AIサービスの利用規約やポリシーには、著作権やその他の法律を遵守し、適切に生成AIを活用するためのルールが定められています。
生成AIサービスを利用する前に、規約等をしっかりと読み込み、注意すべき点を把握しておくことが重要です。
③フリー素材や自社保有のコンテンツに絞って学習させる
生成AIに他社のコンテンツを学習させると、そのコンテンツに類似するコンテンツが生成される可能性が高まります。
生成AIに学習させるコンテンツをフリー素材や自社のコンテンツに絞るなどして、他者類似のコンテンツが生成されるリスクを低下させることができます。
生成AI活用による著作権侵害事例3選
生成AI活用による代表的な著作権侵害事例として以下の3事例が挙げられます。
- ①ニューヨークタイムズが自社の記事が学習されたとしてオープンAIを訴訟
- ②米国の作家が著作物を学習されたとしてオープンAIを訴訟
- ③中国にて生成AIで作成した画像に関して、一審で著作権が認められる
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①ニューヨークタイムズが記事が学習されたとしてオープンAIを訴訟
ニューヨーク・タイムズがオープンAIとマイクロソフトに対し、「数十億ドル」の損害賠償責任を求める形で訴訟を提起しました。
同紙は、インターネット上の膨大なデータを分析して「学習」するチャットGPTが、許可なく同紙の記事を利用し、購読料収入及び広告収入の機会を奪っていると主張。この訴訟は、AIの利用と著作権の保護という点で新たな議論を呼び起こしています。
②米国の作家が著作物を学習されたとしてオープンAIを訴訟
「ゲーム・オブ・スローンズ」の作者ジョージ・R・R・マーティン氏などの作家たちは、対話型AI「チャットGPT」が自身の著作権を侵害しているとして、その開発元であるオープンAIに対して訴訟を起こしました。
この訴訟では、チャットGPTが作家たちの許可なく著作物のデータを使用していることが問題視されています。
一方、オープンAIも、作家の権利を尊重していると説明。「作家らもAI技術から利益を得るべきだ」との考えを表明しており、今後の動向に注目が集まっています。
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③中国にて生成AIで作成した画像に関して、一審で著作権が認められる
中国初のAIによる生成画像に関する著作権訴訟で、北京インターネット裁判所は、人による独創性が示されていれば著作物と認定されるという判決を言い渡しました。
この事例では、李さんが作成しSNSに投稿したAI生成画像を、劉さんが無断で使用し、画像の著作権を侵害したという内容です。裁判所は、劉さんの行為が李さんの情報ネットワーク伝達権及び氏名表示権の侵害に当たると判断しました。
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