生成AIの4つのモデルを比較|特徴や画像生成サービス5選も紹介
リリース以降、2ヶ月で1億ユーザーを突破したChatGPTの登場・普及をきっかけにますます注目が集まっている生成AI。
生成AIのモデルには様々な種類があり、それぞれ異なるやり方で、元のデータから新しい文章や画像などを生成しています。
本記事では、生成AIに関心のある方向けに、生成AIの4つのモデルについて、特徴や比較をわかりやすくご紹介します。
またAI総研では、AI活用を検討する上で押さえておきたい、AI・ChatGPTの最新活用事例50選の狙いや取り組みをまとめたレポートを無料で配布しています。ご興味のある方は、以下リンクからダウンロードしてご活用ください。
⇒AI・ChatGPT活用事例50選の資料ダウンロードはこちら(無料)
目次
生成AIのモデル「生成モデル」とは?
ChatGPTなどの生成AIに使われている生成モデルとは、AIが学習したデータをもとに文章や画像などの新たなデータを生成するモデルのことです。
例えば、テキストを入力することによりそのテキストの内容を表現したイラストを生成したり、小説や詩を作成したりすることができます。
人間が作成するよりもはるかに高速で作成でき、時に人間が思いつかないようなクリエイティブなアウトプットも生み出すことができるため、業務の大幅な効率化や新規サービスの創出などに役立つとして、多くの企業から注目されています。
※これさえ読めば、ChatGPTの機能・できること・活用方法まで全てわかる、最新情報をまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒【5分でわかる】ChatGPT活用ガイドブックの資料ダウンロードはこちら(無料)
識別モデルとの違いとは?
識別モデルとは、データを線で分割して学習することで、データをカテゴライズし、各カテゴリーに含まれる確率をモデルにしたものです。
例えば、犬と猫を区別する際、生成モデルは「この範囲までは犬、この範囲からは猫」というように、同じ種類のデータが存在している範囲を学習・認識します。
これに対し、識別モデルは、「この線からこっちは犬、この線からあっちは猫」というように、データを線で分けたカテゴリーで分類します。
深層生成モデルとは?
深層生成モデルとは、生成モデルとディープラーニングを組み合わせたモデルのことです。ディープラーニングとは、AIが大量のデータを学習する中で、自律的に、注目すべき特徴の抽出・ルール改善を行い、分析や予測を行う技術のことです。
ディープラーニングを使った学習により、AIが元のデータから新たなデータを自律的に創出できるようになるため、従来の機械学習による生成モデルよりもはるかに高精度な文章や画像を生成することができます。
深層生成モデルの代表的なモデルには、GAN、VAE、フローベース生成モデル、拡張モデルの4つがあります。
代表的な深層生成モデル4選
代表的な深層生成モデルとして、以下の4つが挙げられます。
- ①VAE:データの圧縮と再構築により新たな画像を生成
- ②GAN:GeneratorとDiscriminatorの競争により洗練された出力を実現
- ③フローベース生成モデル:データを逆算して画像の生成過程を理解
- ④拡張モデル(拡散モデル):破壊と復元により新たな画像を生成
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
※生成AI/ChatGPTの活用を検討する際に必ず押さえておきたい、基礎知識から活用の進め方、ポイントまでをまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒【ゼロから分かる】生成AI/ChatGPT活用ガイドブックの資料ダウンロードはこちら(無料)
①VAE:データの圧縮と再構築により新たな画像を生成
VAE(variational autoencoder)とは、生成AIが画像データを認識・学習し、新たな画像を生成するためのモデルです。
VAEは、「エンコーダ」と「デコーダ」という2つのモデルから構成されます。エンコーダでは、学習すべき画像データを特徴的な部分に絞って圧縮します。その後、圧縮されたデータから元のデータを再構築するデコーダという過程を経て、新たな画像を生成します。
デコーダにおいては、AIが入力データの生成過程を学ぶことで、新たな画像を作り出すことができるようになります。
②GAN:GeneratorとDiscriminatorの競争により洗練された出力を実現
GAN(敵対的生成ネットワーク、Generative Adversarial Networks)は、「生成モデル(Generator)」と「識別モデル(Discriminator)」という2つのモデルを競わせて、AIにより高度で正確な学習をさせるモデルのことです。
(i) 偽物の絵画を描く人(生成モデル)と(ii) それを見破る鑑定士(識別モデル)がそれぞれ、(i) 本物と見分けがつかないハイクオリティな絵画を作成するスキルと(ii) 本物と偽物を見分ける能力を高め合うかのように、競争のプロセスを経ることで、よりリアルな画像や自然な文章などを生成することが可能となります。
GANの技術は、絵画などの芸術作品の制作、ゲームの背景やキャラクターの作成、映画の特殊効果など、多岐にわたる分野で応用されています。
③フローベース生成モデル:データを逆算して画像の生成過程を理解
フローベース生成モデルとは、あることが起こる可能性を示す値(尤度(ゆうど))を明示した上でAIに学習を行わせるモデルです。フローベース生成モデルでは、「データ変形関数」と呼ばれる数値を学習します。
データ変形関数により、データがどのように生成されたかを逆算することで、複雑なデータをシンプルで理解しやすい形に変換し、これをもとに新しい画像や文章を生成することが可能となります。
VAEやGANと異なり、2つのモデルを学習せず、データ変形関数という数値だけを学習することで新しい画像や文章を生成できる点が特徴です。
④拡張モデル(拡散モデル):破壊と復元により新たな画像を生成
拡張モデル(拡散モデル)は、「ノイズを追加する関数」と「画像を復元するネットワーク」の2種類のモデルを活用して新たな画像を生成するモデルのことです。
AIに画像データを与えると、ノイズを追加する関数によって、画像データにノイズを追加し、画像を劣化させます。その後、画像を復元するネットワークによって、ノイズを除去し、元の画像に戻したり、類似する画像を生成します。
このように、AIが画像データが劣化・破壊する過程を学習することで画像が作成される仕組みを理解し、新たな画像を生成することができるようになります。
深層生成モデルを活用した画像生成AIツール5選
深層生成モデルを活用した画像生成AIツールとして、以下の5つが挙げられます。
- ①Midjourney:Discord上で利用できるハイクオリティな画像生成AI
- ②Stable Diffusion:オープンソースとして無料で公開されている画像生成AI
- ③DALL・E2:OpenAIが提供するクリエイティブな画像生成AI
- ④Adobe Firefly:100を超える言語に対応したアドビの画像生成AI
- ⑤Bing Image Creator:自動でプロンプトも作成してくれるユーザーフレンドリーな画像生成AI
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
※生成AIツールの導入を検討される方に、おすすめの10大生成AIツールの特徴や選び方、活用方法をまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒10大生成AIツール徹底比較の資料ダウンロードはこちら(無料)
①Midjourney:Discord上で利用できるハイクオリティな画像生成AI
Midjourneyは、日本でも多くのユーザーに利用されている最も有名なハイクオリティ画像生成AIで、1600万人以上のユーザーを擁しています。チャットアプリであるDiscord上で利用でき、単語や文章などのテキストを入力するだけで簡単に画像を作成することが可能です。
日々バージョンが更新され、よりクオリティの高い画像を生成できるようになっており、アニメやマンガのイラスト作成やプレゼン資料の作成など様々な場面で活用することができます。
料金プランは、10ドルから120ドルまで複数用意されており、使う頻度や目的によって自由に選択することができます。そのため、気軽に画像生成で遊んでみたい方にとっても、本格的に仕事で使いたい方にとってもおすすめです。
②Stable Diffusion:オープンソースとして無料で公開されている画像生成AI
Stable Diffusionは、イギリスのAIベンチャーStability AIが開発・提供している画像生成AIです。
Stable Diffusionの重要な特徴として、オープンソースとして無料で公開されている点が挙げられます。これは、「誰もが自由にAI技術を活用できるようになるべきである」というStability AIの考えに基づくものです。その結果、多くのユーザーから支持を集め、ユーザー数は1000万人に上ると推定されています。
2023年には、日本法人Stability AI Japan株式会社が設立され、日本向けのサービス提供も本格的に始動しています。
無料で使えるため、AIツール初心者やライトユーザーにおすすめのツールです。
③DALL・E2:OpenAIが提供するクリエイティブな画像生成AI
DALL・E2(ダリ ツー)はChatGPTをリリースしたOpenAIが提供する画像生成AIツールです。
DALL・E2の特徴として、現実にはあり得ない奇想天外でクリエイティブな画像を生成できる点が挙げられます。例えば、「An astronaut riding a horse in photorealistic style.」(馬に乗っている宇宙飛行士の写実感のある画像)という一見想像しがたい画像も、上のように忠実に生成することができます。
回数制限はありますが、無料で利用することも可能なので、気軽に画像生成を試してみたい方にもおすすめです。
※ChatGPTや生成AIツールを活用する際に、コピペで使える定番のプロンプト21選や、上手に書くコツをまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒ChatGPT/生成AIツールの定番プロンプト21選の資料ダウンロードはこちら(無料)
④Adobe Firefly:100を超える言語に対応したアドビの画像生成AI
Adobe Fireflyは、アドビが開発し、100を超える言語に対応しているAI画像生成ツールです。
シンプルなテキスト入力で美しい画像やカラーパレットなど最高品質の作品を制作することができます。また、生成した画像の特定のオブジェクトを削除したり、新しいオブジェクトを追加することもできます。
毎月生成できる画像の枚数に応じて、無料プランとプレミアムプランがありますが、プレミアムプランでも月680円と比較的低額で利用できる点も魅力の一つです。
⑤Bing Image Creator:自動でプロンプトも作成してくれるユーザーフレンドリーな画像生成AI
Bing Image Creatorは、Microsoftが提供する画像生成AIツールです。Microsoftのアカウントを持っていれば、無料で気軽に試すことができます。
Microsoftアカウントでログインし、テキストでプロンプトを入力するだけで、簡単に好みの画像を作成することができます。また、自動でプロンプトを作成してくれる機能も搭載されているので、AIサービスの利用に慣れていない初心者にも優しい設計となっています。
Bing Image Creatorは、対話型生成AIであるBing AIのチャット上でも利用することができ、どのような画像を生成してほしいかをチャットで指示すれば、すぐに画像が生成されます。
その手軽さと使いやすさから、Microsoftアカウントユーザーを中心に、今後大きく普及していくと考えられます。
企業が生成AIを活用する際の7大リスク
企業が生成AIを活用する際の代表的なリスクとして以下の7つが挙げられます。
- ①機密情報の漏洩
- ②プロンプトインジェクション
- ③著作権・商標権などの権利侵害
- ④ディープフェイク
- ⑤間違ったアウトプットの生成(ハルシネーション)
- ⑥倫理的に不適切なアウトプットの生成
- ⑦生成AIの過信による業務ミス
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
※生成AI/ChatGPTを導入する前に必ず押さえておきたい、主要なリスクと具体的な対策をまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒生成AI/ChatGPT導入のリスクと対策ガイドブックの資料ダウンロードはこちら(無料)
①機密情報の漏洩
各ユーザーが生成AIに入力したデータは、生成AIが学習し進化するために、基本的にはクラウド上で保管されます。
そのため、会社内部の機密情報や顧客の個人情報などを入力してしまうと、生成AIサービス提供者や他のユーザーに機密情報が流出してしまうリスクが存在します。
②プロンプトインジェクション
プロンプトインジェクションとは、悪意あるユーザーが、ChatGPTなどの対話型AIに、特殊な指示や質問を入力することで、本来公開すべきでない機密情報やデータを引き出すサイバー攻撃の一種です。
2023年2月には、米国の大学生がマイクロソフト社のBingに搭載される生成AI検索エンジンに対し、プロンプトインジェクションを行い、非公開の指示やBingチャットの開発用コードネームを引き出すことに成功したなど、実際に機密情報が流出する事例も存在します。
③著作権・商標権などの権利侵害
生成AIの既存の著作物を学習データ活用することは、原則として著作権者の許諾なく可能とされています。
一方で、生成AIによって生成されたコンテンツの公開や販売をする際には、基本的には通常の著作権侵害の検討が適用されます。
生成されたコンテンツに、既存のコンテンツとの類似性や依拠性が認められれば、著作権者は著作権侵害として損害賠償請求・差止請求が可能であるほか、刑事罰の対象となりえます。
④ディープフェイク
ディープフェイクとはディープラーニング技術を活用し、実際に存在しない、人物の動画や画像を生成する技術です。
この技術により、人間が見ても区別がつかないほど高精度なメディアが作成可能となり、そのリアルさから、詐欺やフェイクニュースの拡散などに悪用され、大きな問題となっています。
⑤間違ったアウトプットの生成(ハルシネーション)
生成AIの利用方法によっては、事実と異なる誤った情報/アウトプットを真実のように堂々と生成するハルシネーションという現象が起こります。
例えば、高度な専門性を要する分野での回答や定量データの抽出や計算において、ハルシネーションが多く見られる傾向にあります。
⑥倫理的に不適切なアウトプットの生成
生成AIのアウトプットは学習データの内容に大きく左右されます。
そのため、学習データのボリュームが少なく、内容にバイアスがある場合、人種や性意識に関する差別や憎悪を助長する内容など、倫理的に不適切なアウトプットが生成されてしまうリスクが存在します。
⑦生成AIの過信による業務ミス
生成AIは非常に便利なツールであり、適切に利用することで業務生産性を大きく高めることが可能ですが、どのようなシチュエーションでも万能という訳ではありません。
生成AIは入力データに依存して機能するため、そのデータが不完全だったり偏りを持っていたりすると、生成される結果も誤りを含むことがあります。さらに、生成AIは人間の倫理感覚や判断能力を有していないので、提供する情報が常に正確であるわけではありません。
例えば、生成AIを利用して法的な契約書を作成した場合、誤った法的内容を含む文書が作成されることも考えられます。このような状況では、法的な問題に発展する可能性が高まり、その結果、深刻なトラブルに繋がるリスクがあります。
企業が生成AIのリスクに対して取るべき6つの対応策
企業が生成AIのリスクに対して取るべき代表的な対応策として以下の6つが挙げられます。
- ①最適な生成AI活用範囲の設定
- ②最適なAIツールの選定・導入
- ③リスクを最小化するデータマネジメント
- ④従業員向けの利用ルール・マニュアルの策定
- ⑤従業員の生成AI活用リテラシーの向上
- ⑥最新動向を踏まえた生成AI活用方法の定期的な見直し
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
※AI総研では経験豊富なコンサルタントによる、生成AI/ChatGPT活用の個別無料相談会を実施しております。自社に合った活用方法や導入の進め方などでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
⇒生成AI/ChatGPT活用の個別無料相談会の詳細はこちら
①最適な生成AI活用範囲の設定
生成AIは全ての業務に対して万能という訳ではなく、明確に得意不得意が存在します。
そのため、生成AI活用の成果を最大化し、リスクを最小化するためには、活用する範囲を適切に設定することが極めて重要です。
これにより、不適切な情報生成や不意の法的問題の防止につながります。
②最適なAIツールの選定・導入
各企業の状況や目的に最適なAIツールの選定と導入は、安全かつ効率的なAI活用に向けて非常に重要です。
利用するAIツールは、その機能、性能、セキュリティ対策が自社の要求を満たしているかを評価し、適切なものを選ぶ必要があります。
さらに、AIツールの導入時も、ユーザーが入力した内容を学習させない「オプトアウト」を選択する等の対処を取ることで、自社のリスクを最小化することができます。
③リスクを最小化するデータマネジメント
生成AIは、入力されたデータに基づいて動作するため、データマネジメントの質がAIの出力品質に直結します。
データの正確性、偏りのなさ、機密性の保持は、リスクを最小化する上で極めて重要です。
適切なデータマネジメントの実施により、データの質を確保し、情報漏洩や不正確な情報生成のリスクを低減します。
④従業員向けの利用ルール・マニュアルの策定
生成AIの効果的な利用とリスクの最小化のためには、企業が従業員向けの明確な利用ルールやマニュアルを策定することが重要です。
具体的には、社内でのAIの使用目的、使用範囲、倫理ガイドライン、データ取り扱いのルール・マニュアルを策定する必要があります。
⑤従業員の生成AI活用リテラシーの向上
生成AIのポテンシャルを最大限に活用し、同時にリスクを管理するためには、従業員のAIに関する理解とスキル、すなわちAIリテラシーを向上させることが不可欠です。
研修プログラムや実践的なトレーニングを通じて、従業員が生成AIの基本的な知識、適切な使用方法、関連するリスクを理解してもらい、効率的かつ責任ある方法で使用できる環境を構築することが求められます。
⑥最新動向を踏まえた生成AI活用方法の定期的な見直し
生成AIの技術・サービスは日々進化しており、新たな活用方法や利用プロセスが登場し、それに応じて新たなリスクが生じる可能性が高いです。
したがって、国内外の生成AIに関する最新の動向を常に把握し、企業の生成AI活用方法を定期的に見直し、更新することが必要となります。
企業が生成AI活用を成功させるための5つのポイント
企業が生成AI活用を成功させるために抑えるべきポイントは以下の5つです。
- ①業務内容の棚卸しと活用インパクトの試算
- ②投資対効果の高い課題/目的と活用方法の選定
- ③アジャイルアプローチでの開発・導入
- ④システムとルールの両面からのリスク管理
- ⑤研修等での社員のAI活用リテラシーの向上
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
※200事例の分析に基づく、企業の生成AI/ChatGPT活用でよくある失敗とベストプラクティスをまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒生成AI/ChatGPT活用しくじり大全の資料ダウンロードはこちら(無料)
①業務内容の棚卸しと活用インパクトの試算
生成AI活用の成否を分ける最大のポイントは、生成AIを活用する意義の大きな業務に対して活用することに尽きます。
活用の方針や戦略がないまま活用を進めるのではなく、自社の業務内容・フローをしっかりと棚卸しした上で、どの程度業務効率やアウトプット向上に繋がるかを試算することが重要となります。
②投資対効果の高い課題/目的と活用方法の選定
生成AIは全ての業務に対して万能という訳ではなく、膨大なデータに基づいたコンテンツ制作は得意だが、複雑な問いに対して正確な答えを出すのは苦手といった、明確な得意不得意が存在します。
そのため、自社の業務の現状や生成AIの特徴を踏まえた上で、どのような課題/目的に対して、どのようなアプローチ/範囲/ツールで活用を進めるかを、検討・選定するステップがプロジェクトの投資対効果を左右する、極めて重要なプロセスとなります。
③アジャイルアプローチでの開発・導入
生成AIは、一度開発・導入して終わりという進め方ではなく、何度もモデル・学習データ・利用方法等を細かくカスタマイズしなおすことで、より理想とする活用を実現することができます。
具体的には、初期仮説に基づいた簡易的なプロトタイプを構築し実際に利用してみる、というサイクルを、1サイクル数週間の期間で何度も繰り返し、ブラッシュアップしていくという、アジャイル開発のアプローチを取ることが適しています。
④システムとルールの両面からのリスク管理
企業が生成AIの活用に踏み切れない最大の理由として、機密情報漏洩や著作権侵害などのリスクへの懸念が挙げられます。
確かに、社員に特段ルールを設けず、一般に公開されている生成AIを活用させた場合、様々な問題が発生する可能性は存在します。
一方で、入力するデータが学習されないようなシステム構築や使用範囲・機密情報の取扱等の運用ルールの策定により、リスクをマネジメントし最小化することが可能です。
⑤研修等での社員のAI活用リテラシーの向上
生成AIの特徴として、AIとの対話によってアウトプットを引き出すことが求められるため、使い手のリテラシーによって成果が大きく左右されることが挙げられます。
そのため、生成AIのポテンシャルを最大限に活用するためには、従業員のAIに対する理解とスキル、すなわちAIリテラシーを向上させることが不可欠です。
研修プログラムや実践的なトレーニングを通じて、従業員が生成AIの基本的な知識、適切な使用方法、関連するリスクを理解してもらい、効率的かつ責任ある方法で使用できる環境の構築が必要となります。
企業が生成AIを活用するための4つのステップ
企業が生成AI活用を進めるための流れとして、以下の4つのステップがあげられます。
<Step1:活用方針の検討>
- 最新の市場動向のキャッチアップ
- 自社の活用可能性の整理
- 生成AIの活用目的・ゴールの設定
<Step2:利用環境構築>
- セキュリティ・データ管理体制の強化
- ガイドライン・マニュアルの策定
- 社員向けのAIリテラシー研修
- 社内業務での試験運用
<Step3:試験開発・運用(PoC)>
- PoCを行うユースケースの検討
- 要件定義・プロトタイプ開発
- 運用と評価
<Step4:本開発>
- 本開発を行うユースケースの検討
- 要件定義・本開発
- 運用と評価
- 活用方針・内容の継続的なカイゼン
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
※生成AI/ChatGPTを導入する前に必ず押さえておきたい、基礎知識や導入方法3パターンの比較、リスクと対策などをまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒生成AI/ChatGPT導入マニュアルの資料ダウンロードはこちら(無料)
Step1:活用方針の検討
1つ目のステップは、自社として生成AIをどのように活用していくかの大方針の検討です。
生成AIは社内業務効率化や顧客体験の向上、新規事業創出など様々な目的で活用が可能だからこそ、自社の課題にマッチした目的とユースケースで活用することが、投資対効果を大きく左右します。
最新の技術や競合の動向をキャッチアップした上で、自社の活用可能性の幅出し・整理を行います。その上で、生成AIをどのような領域で、どの程度ダイナミックに活用していくかの目的やゴールを初期的に設定しましょう。
Step2:利用環境構築
2つ目のステップは、生成AIを安全かつ効率的に活用できる、社内のシステムやルールなどの利用環境の構築です。
企業が生成AI活用に踏み切れない理由として、機密情報漏洩などのセキュリティリスクの懸念が挙げられますが、適切なシステム設計・データ管理やガイドラインの策定などを行うことで、それらのリスクに対処しながら、業務効率化に繋げることが可能です。
社員に対し、生成AIをリサーチや文書作成などの日常的な業務に安心して活用できる環境を提供することで、自社のどのような業務と生成AIの相性が良いのかという現場からの示唆を得ることができ、プロトタイプ・本開発の企画への重要なインプットとなります。
Step3:試験開発・運用(PoC)
3つ目のステップは、自社にマッチするユースケースの検証に向けた、プロトタイプの開発と運用です。
顧客対応支援や社内のナレッジ検索、新機能・サービスの実装などの生成AIの幅広いユースケースの中から、自社の経営課題解決にマッチするいくつかのユースケースに絞り込み、プロトタイプを開発し、実際の業務で運用します。
PoCを実施することで、コストを抑えながら生成AI活用のインパクトを検証しつつ、見えてきた改善点から本開発の精度を高めることが可能です。
Step4:本開発と運用
4つ目のステップは、本格的な生成AIを活用したシステムの開発と運用、継続的なカイゼンです。
自社独自のデータ基盤の構築・連携や活用シーンに特化したアウトプット精度の改善などを実施し、自社の目的達成に特化した生成AIシステムを開発します。
PoCの結果を踏まえ、本開発を行うユースケースや活用範囲を決定することで、生成AI活用の費用対効果を最大化することが可能です。
また、開発しっぱなしで終わるのではなく、本開発したシステムを運用し上がった成果や改善点、技術進化などを踏まえて、活用方法や内容を継続的にカイゼンしていくことが重要です。
このプロセスを通じ、生成AI活用のポテンシャルを最大限に発揮することで、業務生産性や顧客への提供価値の観点から、大きな競争優位性を構築することに繋がります。
AI・ChatGPT活用の個別無料相談会実施中
AI総研では、AI・ChatGPT活用の個別無料相談会を実施しています。
各社様のご要望に合わせ、最新の市場動向や具体的な活用アイデアなどを、個別のオンライン個別のオンラインMTGにて、無料でご紹介させていただきます。
以下のようなお悩みをお持ちのご担当者様は、この機会にぜひお申込みください。
- 興味はあるが、そもそも活用するかどうか迷っている
- 自社に合った活用方法へのアドバイスが欲しい
- 自社の企画の参考になる活用事例を知りたい
- どのように活用を進めていけば良いか分からず困っている