ARの製造業界での活用事例5選|3大メリットや費用相場も紹介

ポケモンGOやsnowなどのARアプリの普及やAppleによる初のXRデバイスVision Pro発表など、近年ARへの注目はより一層高まっています。

  

近年では、製造現場作業の効率化や品質管理の強化などにもARが活用されるなど、AR活用の動きは製造業界にも広がっています。

 

そこで今回は、製造業界でのARの活用事例について、活用のメリットや成功のポイントなどとともにわかりやすくご紹介します。

 

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

 

  • 製造業界でのAR活用を検討している
  • 製造業界でのARの活用事例を押さえておきたい
  • AR活用を成功させるためのポイントを押さえておきたい

 

本記事を読めば、製造業界でのAR活用を進める上で絶対に押さえておきたいポイントを効率よくキャッチアップできると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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目次

そもそもARとは?

そもそもARとは? ポケモンGO
(画像:ポケモン)

ARとはAugumeted Realityの略称で、拡張現実とも呼ばれます。リアルの世界にデジタルの情報/コンテンツを視覚的に重ね合わせることで、リアルの世界を拡張する技術のことを指します。ARには、ゴーグルを装着せずに、スマートフォンやタブレットの画面にデジタルの情報/コンテンツを表示させるものも含みます。

 

ARを活用することで、「Pokemon Go」のように、リアルの街にポケモンが存在するかのようなゲームを楽しんだり、「GoogleMap」のARナビのように、リアルの街に道順を示す矢印などの情報が表示され、スムーズに目的地にたどり着くことができたりと、私たちの暮らしをより豊かに・便利にすることができます。

ARを製造業界で活用する3つのメリット

ARを製造業界で活用する3つのメリット

ARを製造業界で活用するメリットとして、以下の3つが挙げられます。

 

  • ➀シミュレーションによる品質の向上・リスクの削減
  • ②現場作業の効率化・標準化
  • ③リードタイムやコストの削減

 

それぞれのメリットについてわかりやすく紹介していきます。

➀シミュレーションによる品質の向上・リスクの削減

AR上の3D映像と現実の生産ラインを統合することで、タブレットで製造工程を常に把握できるようになり、製品設計の質向上や生産効率の向上が可能になります。これにより、需要に応じた人員の再配置や、リードタイム短縮のための工程入れ替えなど、さまざまな方法で最適化を図ることができます。

また、ARを活用したシミュレーションを実施することで、多くの関係者がタブレットなどを通して生産の様子を同時に確認できるようになりました。これにより、品質向上、リスク低減、製品・生産ラインへの信頼性向上につながります。

②現場作業の効率化・標準化

通常、現場での作業指示は紙やタブレットを通じて行われていますが、毎回片手がふさがることになるので、大きな時間ロスの原因となっています。

 
ARグラスなどのデバイスを装着することで、両手がふさがらない形で、適切なタイミングでデジタルの作業指示を出すことができます。

また、従来の作業指示書が2Dであったのに対し、ARであれば3Dでのコンテンツ表示が可能なため、立体的な作業が求められる製造業の現場とは非常に相性が良いです。

③リードタイムやコストの削減

ARにより3D映像を表示させてシミュレーションを行うことで、従来のシミュレーションにかかるリードタイムやコストの削減が期待できます。

 
仮説検証をデジタル上で行うことができ、これまで物理的なプロトタイプや生産ラインの試運転に費やしていた時間を最小限にし、シミュレーションのスピード向上とコスト削減の両方を実現することができます。

ARの製造業界での活用事例5選

ARの製造業界での活用事例5選

ARの製造業界での活用事例として、以下の5つが挙げられます。

 

  • ①Nestle:専門家が遠隔で工場での作業を指示
  • ②NEXCO中日本:高速道路の点検作業を安全かつ効率的に
  • ③AGCO Fendt:瞬時にエラーを修正し品質管理を強化
  • ④DHL:ARグラスで倉庫でのピッキング作業を効率化
  • ⑤不動産SHOPナカジツ:建物の完成予定図をARで確認

 

それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。

①Nestle:専門家が遠隔で工場での作業を指示

Nestlé Remote Factory Assistance
(動画:Nestle)

創業150年、世界最大手の食品・飲料メーカーであるNestle(ネスレ)は、工場での作業にAR技術を用いた遠隔コミュニケーションを導入しています。

 

Nestleは全世界に工場を持つため、各種専門人材と各工場は遠隔のやりとりをします。作業者がスマートグラスを着用することで、専門家から直接リアルタイムで指示を受け取ることが可能です。

②NEXCO中日本:高速道路の点検作業を安全かつ効率的に

NEXCO中日本:高速道路の点検作業を安全かつ効率的に
(画像:NEXCO中日本)

高速道路の建設、維持管理を行っているNEXCO中日本は、高速道路の点検作業にスマートグラスを活用しています。

 

1人で作業を行う必要のある場所でも、スマートグラスを通じてリアルタイムで状況をシェアし、音声でコミュニケーションを取ることで、より安全に作業することが可能となりました。また、業務経験の少ない作業者も、スマートグラスを活用したOJTで、本来なら行くことのできない難しい現場での作業を実践できています。

③AGCO Fendt:瞬時にエラーを修正し品質管理を強化

AGCO Fendt:瞬時にエラーを修正し品質管理を強化
(画像:AGCO Fendt)

ドイツの農業機械メーカーであるAGCO Fendt社は、工場での作業にスマートグラスを用いた品質管理を導入しています。

 

生産ラインでエラーが発生した際、スマートグラスを通じてすぐにエラーが発見され、修正手段が適用されます。従来の紙やタブレットなどの媒体を見ながらマンパワーで行っていた検査に比べ、エラーチェックの正確性を高め、チェックにかかる時間を大幅に削減することが可能です。 

④DHL:倉庫でのピッキング作業を効率化

DHL:倉庫でのピッキング作業を効率化
(画像:DHL)

ドイツの大手物流企業のDHL社はグーグルのスマートグラス「Glass Enterprise Edition 2」を倉庫での配送業務に導入しています。従業員はピッキング作業の現場でグラス型デバイスを着用することで、適宜必要な情報を確認することができます。荷物を持ったまま視線を移動させる必要がないため、作業の精度と効率の向上に繋がります。

⑤不動産SHOPナカジツ:建物の完成予定図をARで確認

不動産SHOPナカジツ:建物の完成予定図をARで確認
(画像:不動産SHOPナカジツ)

愛知県岡崎市で戸建住宅を販売する株式会社不動産SHOPショップナカジツは、お客様が検討している住宅が建設後にどのようになるかをイメージしやすいように、ASATEC株式会社の「build+」サービスを採用しました。

 

販売前の未開発の土地に、現在の分譲地の様子をイメージした画像を重ねることで、着工前のお客様に新しい住まいのイメージをより鮮明に伝えることができます。広さや間取りのイメージを着工前にお客様にシェアすることが可能なため、購買意欲の促進が期待されています。

製造業界でのAR活用を成功させるための5つのポイント

製造業界でのAR活用を成功させるための5つのポイント

製造業界でのAR活用を成功させるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
  • ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
  • ③ユーザーファーストなUX設計
  • ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
  • ⑤強力な開発・運用体制の構築

 

それぞれについて分かりやすく紹介していきます。

①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ

1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。

デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。

 

AR活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。

②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案

2つ目のポイントは、ARを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。

現在AR活用に取り組む企業には、AR活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。

 

その結果、活用のPDCAが回らない、AR活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。

 

自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜARではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。

③ユーザーファーストな企画・UX設計

3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなARの企画・UX設計です。

現在、多くの企業がARに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなARが多く存在します。それらのARは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。

 

そのため、「ARならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。

④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進

4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。

AR市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。

 

そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。

⑤強力な開発・運用体制の構築

5つ目のポイントは、強力なAR開発・運用体制の構築です。

高いユーザー体験と事業性を両立するARの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。

 

AR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。

AR活用にかかる費用相場

AR活用にかかる費用相場

AR活用にかかる費用相場は、ARの制作会社に依頼する場合とAR制作ツール/プラットフォームを活用する場合で異なります。

  • ①制作会社に依頼
  • ②制作ツール/プラットフォームを活用

それぞれの費用相場について分かりやすく紹介します。

①制作会社に依頼

制作会社に依頼し、専用のARサービス/コンテンツを1から開発する場合、総額300〜500万円程度〜が相場となっています。その内訳は大きく➀システム開発費用②プロジェクトマネジメント費用③コンテンツ作成費用に分けられます。➀のシステム開発費用は大体200〜300万円、②のプロジェクトマネジメント費用が200〜300万円、それらに加えて③コンテンツ作成費用が必要になる場合が多いです。

 

※関連記事:AR開発にかかる費用とは?検討のポイントやAR制作会社も紹介!

②制作ツール/プラットフォームを活用

AR制作ツール/プラットフォームを用いて、プロモーション等に活用する簡易的なARを作成する場合、AR制作ツール/プラットフォームは月額約3万円程度〜利用することができます。基本のプランが月額制で設定されており、作成できるARの数や、表現できるコンテンツのリッチさなどにより追加で課金する設定となっていることが多いです。

おススメのAR活用支援会社3選

おススメのAR活用支援会社3選

おススメのAR活用支援会社として以下の3社が挙げられます。

 

  • ①AQUASTAR:ARコンテンツの開発支援等を行う会社
  • メタバース総研:各社の目的達成に向けた成果に繋がるメタバース/XRを開発
  • ③株式会社エム・ソフト:豊富な実績・ノウハウを活用したARアプリの開発支援

 

それぞれの会社について分かりやすく紹介していきます。

①AQUASTAR:ARコンテンツの開発支援等を行う会社

AQUASTAR:ARコンテンツの開発支援等を行う会社
(画像:AQUASTAR)

AQUASTARは、ARコンテンツの開発支援等を行う会社です。実績としては、株式会社スパイク・チュンソフトのダンガンロンパフォトフレームARやキリンビバレッジの午後の紅茶シリーズ ひな祭りARや明治のバレンタインイベントブースphotoサイネージなどがあります。

 

AQUASTARの強みは次の2点です。

  • 1.アプリレスでAR構築できるサービス
  • 2. AR活用のコンサルティングを実施

1.アプリレスでAR構築できるサービス

AQUASTARが制作するARコンテンツはインストール不要で楽しむことができます。

2. AR活用のコンサルティングを実施

AQUASTARはSNSでの発信力を高めるAR活用の提案に長けており、オリジナルイラストから、壁画、SNS用、キャンペーンキービジュアルなど様々なジャンルの制作に対応できます。

②メタバース総研:各社の目的達成に向けた成果に繋がるメタバース/XRを開発

メタバース総研:各社の目的達成に向けた成果に繋がるメタバース/XRを開発

メタバース総研は、企業向けのメタバース/XRのコンサルティング・開発を行っている会社です。

  

メタバース総研の強みとして以下の3点が挙げられます。

 

  • 1.国内最大級のメディア運営/豊富なコンサルティング経験による戦略策定力
  • 2.中立的な立場から各社に最適なツール/プラットフォームを選定可能
  • 3.強力なパートナー企業/クリエイターによる総合的な支援力

1.国内最大級のメディア運営/豊富なコンサルティング経験による戦略策定力

メタバース総研 国内最大級のメディア運営/豊富なコンサルティング経験による戦略策定力

メタバース総研は、国内最大級のビジネスに特化したメタバース/XRメディアの運営と幅広い業界の大手企業へのコンサルティング経験を通じた戦略策定力を強みとしています。

 

そのため支援の際は、クライアント企業様の事業の課題・活用の目的を踏まえたメタバースの活用戦略/企画策定を徹底しています。このこだわりが、多くの企業が陥っている”メタバース/XR活用自体の目的化”を防ぎ、成果に繋がる活用を実現します。

2.中立的な立場から各社に最適なツール/プラットフォームを選定可能

メタバース総研 中立的な立場から各社に最適なツール/プラットフォームを選定可能

メタバース総研は、特定のメタバース/XR開発ツールやプラットフォームを有していません。

 

そのため、特定の開発ツールやプラットフォームの活用ありきの支援ではなく、中立的な立場からクライアント企業様のプロジェクト毎に最適なプラットフォームやツールを選定し、支援することが可能です。

3.強力なパートナー企業/クリエイターによる総合的な支援

メタバース総研 強力なパートナー企業/クリエイターによる総合的な支援

メタバース総研は、技術領域・ユースケース毎に、業界を代表する実績/ソリューションを有する12社の企業や38名のクリエイターとパートナーとして協働しています。

 

そのため、クライアント企業様の課題やご要望に合わせ、パートナー企業/クリエイターらとともに最適な各種ソリューションをご提供しています。

 
※メタバース総研は豊富な経験とナレッジに基づき、各社様に合わせた先進事例や具体的な活用アイデアなどの最新ナレッジをご提供させていただいております。 メタバース/XR活用でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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③株式会社エム・ソフト:豊富な実績・ノウハウを活用したARアプリの開発支援

株式会社エム・ソフト:豊富な実績・ノウハウを活用したARアプリの開発支援
(画像:エム・ソフト)

株式会社エム・ソフトはARアプリ開発支援・ソリューションの提供を行っている会社です。
同社は、世界初のARライブラリであるARToolKitの日本国内代理店としてAR技術の初期段階からアプリ開発に携わり、多くの実績とノウハウを蓄積しています。また、「ビジネスに強いAR」というコンセプトで、独自のソリューションサービス「BIZ-AR」を提供しています。

 
エム・ソフトの強みは次の3点です。

  • 1. 企画・提案から開発・保守までワンストップ対応が可能
  • 2. 柔軟性とコストパフォーマンスの高さ
  • 3. 35年以上に渡る信頼と実績

1. 企画・提案から開発・保守までワンストップ対応が可能

エム・ソフトはARを初めて活用するお客様にも丁寧なヒアリングを行い、企画を実現するための様々な提案を行います。また、要件が固まっていない場合でも相談でき、お客様の要望に合わせた最適な提案が可能です。

2. 柔軟性とコストパフォーマンスの高さ

エム・ソフトはXR(AR/VR/MR)の分野で多く実績を持っている為、開発済みのソフトウェアをお客様に使いやすく再構築したり、必要に応じて組み合わせる事が可能です。これにより、お客様の要望に合わせた柔軟なアプリ開発と低コストを実現しています。

3. 35年以上に渡る信頼と実績

エム・ソフトは多数の大手企業との取引を中心に、35年に渡る実績と信頼を構築してきました。特に、建設業や製造業などの産業分野で多くの開発実績があり、組込み・画像処理からAWS・クラウドまで幅広くサポートしています。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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