ハプティクス技術とは?注目される3つの理由や事例3選も紹介

近年注目を集めるメタバースの普及とともに、頻繁に話題に上がるようになった技術として「ハプティクス」というものがあります。メタバース上での体験を触覚や味覚、嗅覚などを通じて感じることができる画期的な技術として注目を集めています。

 

一方で、「ハプティクスとはどういう技術なのかよくわからない」という方も多いのではないでしょうか?

 

そこで今回は、ハプティクス技術とは何かについて、活用事例とともに分かりやすくご紹介します。

 

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

 

  • ハプティクスとは何かについて知りたい
  • ハプティクスにより、どのようなことができるようになるのか知りたい
  • 企業によるハプティクスの活用事例をおさえておきたい

 

本記事を読めば、ハプティクスに関する基本的な知識を一気にキャッチアップできる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。


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ハプティクスとは

ハプティクスとは Meta
(画像:Meta)

ハプティクスとは、デジタル空間における触覚での体験を実現する技術です。デジタル空間での体験と連動した振動や圧力、動きを皮膚に与えるテクノロジーのことで、手に装着するグローブ型のデバイスや、全身に装着するボディスーツ型のデバイスなどが研究されています。

 

既に足元で普及している例としては、2022年10月にMeta社から発売されたMetaQuestProのコントローラーには、デジタル空間上での体験と連動し振動する機能が搭載されており、ユーザーはゲームなどのメタバース上での体験に没入できるようになりました。

 

また、中長期的な展望としては、Meta社が約7年ほどグローブ型のハプティクスデバイスの研究に取り組んでおり、将来的な実用化を目指しています。同社CEOのマークザッカーバーグ氏は、メタバースへの没入感において触覚は視覚や聴覚と同程度重要な感覚だと考えており、リアルな触覚をユーザーに伝えるためのグローブの開発に取り組んでいます。

ハプティクスでできること5選

ハプティクスでできること5選

ハプティクスでできることとして、以下の5つが挙げられます。

 

  • ①よりリアリティのあるゲームやエンタメ体験の実現
  • ②バイブレーションによるユーザーへの通知
  • ③スマホやタブレットのUIの向上
  • ④建設機械や医療機器の遠隔操作技術の向上
  • ⑤製造現場などでの臨場感のある社員研修の実現

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

①よりリアリティのあるゲームやエンタメ体験の実現

よりリアリティのあるゲームやエンタメ体験の実現 Meta
(画像:Meta)

1つ目は、よりリアリティのあるゲームやエンタメ体験の実現です。

ゲームのプレイ中に、敵から攻撃を受けたり、障害物にぶつかったりした際に、コントローラーが振動することで、プレイヤーに触覚情報を伝達することができます。

 

また、メタバース上のゲームやエンタメ体験においても、ハプティクスを活用することにより、よりリアルに近い体験を実現することができます。例えば、メタバース上の3Dオブジェクトに触れた際に実際にその触覚を感じたり、においや味覚を感じたりすることも可能となります。

②バイブレーションによるユーザーへの通知

2つ目は、バイブレーションによるユーザーへの通知です。

スマートフォンでメッセージを受信した際などに、バイブレーションによりユーザーに通知されるのも、ハプティクス技術の1つです。

③スマホやタブレットのUIの向上

スマホやタブレットのUIの向上 Apple
(画像:Apple)

3つ目は、スマホやタブレットのUIの向上です。

スマホやタブレットの画面のボタンを押した際に、実際にボタンを押した感覚を再現することができます。

 

メタバースにおいても、ユーザーが3D空間上に表示されたアイコンをクリックした際に、実際にそのアイコンに触れた感覚を味わえるようになると考えられます。

④建設機械や医療機器の遠隔操作技術の向上

建設機械や医療機器の遠隔操作技術の向上 京セラ
(画像:京セラ)

4つ目は、建設機械や医療機器の遠隔操作技術の向上です。

建設機械や医療機器の遠隔操作にハプティクスを活用すると、操作時の感覚を作業者に伝えることができ、作業者はより細かな作業をしやすくなります。

 

これにより、遠隔操作の精度が上がり、操作ミスによる事故などの危険を減らすことができると考えられます。

⑤製造現場などでの臨場感のある社員研修の実現

製造現場などでの臨場感のある社員研修の実現 京セラ
(画像:京セラ)

5つ目は、製造現場などでの臨場感のある社員研修の実現です。

近年、社員研修や訓練をメタバースやVRを活用して行う事例が増えています。その際にハプティクスを活用すれば、研修受講者は、メタバース上で実際にモノに触れた感覚を感じることが可能となり、より臨場感のある研修を実現することができます。

ハプティクスが注目される3つの理由

ハプティクスが注目される3つの理由

ハプティクスが注目される理由として、以下の3つが挙げられます。

 

  • ①メタバースやVR/ARの普及
  • ②通信技術や触覚フィードバック技術の向上
  • ③ゲーム領域における需要の増加

 

それぞれの理由についてわかりやすく紹介していきます。

 

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①メタバースやVR/ARの普及

メタバースやVR/ARの普及 VRChat
(画像:VRChat

1つ目の理由は、メタバースやVR/ARが普及したことです。

近年、コロナによるリモートコミュニケーションの普及や関連技術の進歩により、メタバースやVR・ARが大きな注目を集め、普及しています。

 

ハプティクスを活用することで、メタバース上での体験を触覚、味覚、嗅覚を通じて感じることができます。このようにハプティクスは、メタバース/VR/AR体験のリアリティを高めることができる技術として注目を集めるようになりました。

②通信技術や触覚フィードバック技術の向上

通信技術や触覚フィードバック技術の向上 Meta
(画像:Meta)

2つ目の理由は、通信技術や触覚フィードバック技術が向上したことです。

ハプティクスの実現のためには、触覚などの感覚を情報として確実に伝えられるだけの通信速度が必要となります。近年、5Gの実用化により大容量のデータ転送が可能となるなど、通信技術が向上しており、この課題が解決されつつあります。

 

また、手指に振動を与えることで触っている感覚を生み出す触覚フィードバック技術も、近年急速に進歩しています。

 

通信技術の向上や触覚フィードバック技術の進歩により、ハプティクスの実現が可能な素地が整いつつあります

③ゲーム領域における需要の増加

ゲーム領域における需要の増加 フォートナイト
(画像:Epic Games)

3つ目の理由は、ゲーム領域における需要の増加です。

多くのゲームユーザーはよりリアルなゲーム体験を求めているため、ゲーム領域はハプティクス技術の需要が大きい分野となっています。

 

また、近年は、メタバースゲームも若い世代を中心に大きな人気を集めており、メタバースゲームにおける没入感の向上やリアリティの向上を実現する技術としてハプティクス技術への需要が高まっています。

ハプティクスのビジネスへの活用事例3選

ハプティクスのビジネスへの活用事例として、以下の3つが挙げられます。

 

  • ①Nintendo Switch:リアルな振動により新たな次元のゲーム体験を提供
  • ②Meta Quest Pro:振動の大きさを調整し様々な感覚を与えるVRデバイス
  • ③3D Systems Haptic Devices:PC上の仮想オブジェクトに触れて操作できるデバイス

 

それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。

 

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①Nintendo Switch:リアルな振動により新たな次元のゲーム体験を提供

Nintendo Switch:リアルな振動により新たな次元のゲーム体験を提供
(画像:任天堂)

任天堂が発売し大ヒットしたゲーム機Nintendo Switchのコントローラーには、HD振動という技術が使われています。

 

HD振動は、単にプレイヤーに振動を感じさせるだけでなく、高速かつ精度の高い振動により、硬い・やわらかい、ざらざらしている・つるつるしているなど、よりリアルな触感を作り出すことができる技術です。

 

これにより、プレイヤーのゲーム体験の質やリアリティの向上が実現されています。

②Meta Quest Pro:振動の大きさを調整し様々な感覚を与えるVRデバイス

Meta Quest Pro:振動の大きさを調整し様々な感覚を与えるVRデバイス
(画像:Meta)

MetaがリリースしたVRヘッドセットMeta Quest Proには、「TruTouchハプティクス」という技術が搭載されています。TruTouchハプティクスは、単にコントローラーが振動するだけでなく、振動の大きさや数を場面ごとに変えることで、ユーザーに異なる感覚を与えることができます。

 

例えば、アプリのアイコンをクリックする場面、ゲームにおいてピストルを撃つ場面など、場面ごとにユーザーに与えられる感覚が異なります。これにより、コントローラーがまるで手の延長のように感じられる自然な操作感を実現しています。

③3D Systems Haptic Devices:PC上の仮想オブジェクトに触れて操作できるデバイス

3D Systems Haptic Devices:PC上の仮想オブジェクトに触れて操作できるデバイス
(画像:3D Systems)

3D Systems社の開発した3D Systems Haptic Devicesは、ユーザーが、PC上の仮想オブジェクトに実際に触れた感覚を味わうことができるデバイスです。

 

ユーザーに対し、視覚情報に加えて、物体に触れた時の手に伝わる感覚を伝達することで操作性が向上します。遠隔ロボット制御や手術の訓練など様々なビジネスシーンで活用されています。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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