NTTのメタバース”XR World”とは?DOORとの違いも紹介
関連技術の進歩やオンラインコミュニケーション需要の高まりなどを背景とし、今後急速に人々の生活や仕事に普及していくと考えられるメタバース。
そんな中、日本を代表する企業であるNTTドコモが提供するメタバースサービス「XR World」が話題となっています。
一方で、「XR worldとはどのようなサービスなのかよくわからない」、「同じNTTドコモのメタバースサービスDOORとの違いがわからない」という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、XR Worldのサービスの内容やDOORとの違いを分かりやすくご紹介します。
本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。
- XR worldとはどのようなサービスなのか知りたい
- XR Worldがどのようにビジネスに活用されているか知りたい
- 同じNTTドコモのメタバースサービスであるDOORとの違いをおさえておきたい
本記事を読めば、XR Worldのサービスの内容やDOORとの違いまで一気にキャッチアップできる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。
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目次
XR Worldとは
XR Worldは、スマホやウェブブラウザから手軽に無料で参加することができるメタバースプラットフォームです。
ユーザーは、メタバース空間においてアバターを通して他のユーザーとコミュニケーションをとったり、音楽・アニメ・ダンスなどのエンタメコンテンツを楽しんだり、スポーツ・教育・観光などにも活用したりすることができます。
スマートフォンやパソコンから気軽に参加できるため、初心者でも始めやすいサービスとなっています。
ユーザーがXR Worldでできること3選
ユーザーがXR Worldでできることとして、主に以下の3つが挙げられます。
- ①アバターを通じたコミュニケーション
- ②アニメやゲームなどのエンタメコンテンツの体験
- ③他の企業が制作した国内の様々なメタバース空間への訪問
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
①アバターを通じたコミュニケーション
1つ目は、アバターを通じたコミュニケーションです。ユーザーは、アバターの姿で、XR Worldの世界にアクセスし、他のユーザーとコミュニケーションをとることができます。
コミュニケーションの方法としては、音声通話、テキストによるチャットのほか、エモート(リアクション)機能により、手を振ったりハイタッチしたりなど、ジェスチャーを使ったコミュニケーションをすることもできます。
また、dアカウントでログインすれば、XR World空間内で、他のユーザーをフレンドに登録することも可能です。
ユーザーは、現実世界での知り合いだけでなく、XR Worldで新たに出会った人ともフレンドになり、交流を楽しむことができます。
②アニメやゲームなどのエンタメコンテンツの体験
2つ目は、アニメやゲームなどのエンタメコンテンツの体験です。
ユーザーは、XR World内の様々なアニメとのコラボやゲームコンテンツの配信など、豊富なエンタメコンテンツを楽しむことができます。また、アーティストとのコラボも行われており、ライブイベントやミュージックビデオの鑑賞などを楽しむことができます。
さらに、エンタメだけでなく、教育や観光など他のジャンルのコンテンツの提供も続々と進められており、コンテンツの幅がさらに広がっていくと期待されます。
③他の企業が制作した国内の様々なメタバース空間への訪問
3つ目は、他の企業が制作した国内の様々なメタバース空間への訪問です。XR Worldは、個々のユーザーが異なるメタバース同士を自由に行き来することができるオープンメタバース構想を掲げており、XR Worldを、様々な企業が提供する他のメタバースとつないでいくことを目指しています。
この取り組みが進んでいけば、ユーザーは、XR Worldから他の様々なメタバースを気軽に訪問することができるようになります。
企業によるXR Worldのビジネスへの活用事例3選
企業などの法人は、XR Worldにおいて、独自のワールドを作成することができます。
この機能を使った、企業によるXR Worldのビジネスへの活用事例として、主に以下の3つが挙げられます。
- ①実物大ゴジラをアバターで体験できるファンイベントの開催
- ②三代目J SOUL BROTHERS今市隆二氏のアバターと交流できるイベントの開催
- ③歌手の森口博子氏のミュージックビデオを視聴できる音楽イベントの開催
それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。
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①実物大ゴジラをアバターで体験できるファンイベントの開催
XR Worldでは、バーチャルの実物大ゴジラが設置され、ファンがアバターの姿で楽しめるイベントを開催しています。単に外側からゴジラの姿を見ることができるだけでなく、コロッセオの外壁沿いに設置された階段をアバターの姿で登りながら、様々な角度からゴジラの全身を観察することができます。
また、ユーザーは、ゴジラの頭を被ったアバターを選択したり、展望スペースではゴジラと同じ目線で迫力満点の記念撮影をしたりすることができるなど、メタバースでしか体験できない様々なコンテンツを楽しむことができます。
②三代目J SOUL BROTHERS今市隆二氏のアバターと交流できるイベントの開催
2022年4月、人気グループ三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのボーカル今市隆二氏のアルバム「CHAOS CITY」とコラボレーションしたイベントがXR World上で開催されました。
ユーザーは、アルバムで描かれた世界観を存分に体験できるメタバース空間の中で、無料でアルバム収録曲を試聴したり、ミュージックビデオを楽しむことができます。今市氏本人もアバターとして登場し、ユーザーと一緒に写真撮影ができるイベントも行われました。
このように、メタバース空間をファンとの新たな交流の場として活用する動きは、今後も増えていくものと考えられます。
③歌手の森口博子氏のミュージックビデオを視聴できる音楽イベントの開催
2022年3月に、歌手の森口博子氏による「森口博子 GUNDAM SONG COVERS」というワールドがオープンしました。このワールドを訪れたユーザーは、森口氏のアルバム「森口博子 GUNDAM SONG COVERS 3」の楽曲を試聴したり、ミュージックビデオを楽しむことができます。
また、2022年6月13日の森口氏の誕生日イベントでは、アバター姿の森口氏と会話をしたり、記念撮影をしたりするなど、メタバースならではの体験をすることができました。
NTTドコモのもう一つのメタバースDOORとの違い
NTTドコモは、XR Worldのほかに、DOORというメタバースサービスも提供しています。DOORは、2020年11月にリリースされたメタバースプラットフォームで、XR World同様、ユーザーがアバターでのコミュニケーションや音楽ライブ、イベントなどを楽しむことができます。
XR WorldとDOORとは、①対応デバイスと②ワールドの作成者の2つの観点からの違いがあります。
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①対応デバイス
XR Worldは、スマートフォンまたはパソコンに対応していますが、ヘッドセットは現段階では対応していません。
一方、DOORは、スマートフォン、パソコンのほか、ヘッドセットも対応しています。
②ワールドの作成者
XR Worldにおいては、企業などの法人のみがワールドを作成することができます。一方、DOORは、法人だけでなく個人ユーザーもワールドを作成することができます。
企業がメタバースを活用する3大メリット【事例あり】
企業がメタバースを活用する代表的なメリットとして以下の3つが挙げられます。
- ①新規事業の創出
- ②マーケティング・ブランディングの強化
- ③企業の社内業務の効率化
それぞれのメリットを代表的な事例とともに紹介していきます。
①新規事業の創出
1つ目のメリットは、メタバースサービスやイベントなどの新規事業の創出です。
メタバースを活用し新たなサービスを構築することで、ユーザーに対し現実に存在するもの/しないものを含め、仮想空間上に3Dの世界を構築することができるというメタバースならではの特徴を活かし、ユニークな体験を提供するサービスを提供することができます。
また、メタバース上でアーティストや企業を集めたイベントをすることで、入場券やデジタルコンテンツの販売など収益性の高い新たなビジネスを展開できることが挙げられます。
そんなメタバースを活用した新規事業に取り組む事例として以下の2つが挙げられます。
- バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるメタバースを構築へ
- サンリオ:50組以上のアーティストが参加の有料ライブイベント
それぞれの事例を分かりやすく紹介していきます。
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バンダイナムコ:ガンダムファンが交流できるメタバースを構築へ
バンダイナムコグループは、2022年4月から掲げる中期ビジョン「Connect with Fans」の重点戦略の1つとして、IPでファンとつながる「IPメタバース」を設定しました。
これは、メタバースを介して、バンダイナムコグループとファンのコミュニティを作る仕組みで、その第1弾がガンダムメタバースです。先日のガンダムカンファレンスで流れたイメージ映像では、メタバース上に世界中のガンダムファンが集い、語り合ったり、ライブイベントに参加したりする様子が描かれていました。
今後はバンダイナムコグループ以外の企業によるガンダムビジネスへの参入促進やガンダムファンがガンダムを活用したビジネスができる場の提供を目指して事業展開を行っていく予定とのことです。
サンリオバーチャルフェス:50組以上のアーティストが参加の有料ライブイベント
サンリオは、メタバース上に、50組以上のリアル/バーチャルの有名アーティストを集めた、有料のライブイベント「サンリオバーチャルフェス」を開催しました。
参加者は、メタバース上で有名アーティストのライブパフォーマンスを楽しんだり、参加者同士でコミュニケーションを取ったり、リアル・バーチャルの限定グッズを購入することができたりします。
バーチャルのライブイベントでありながら、有料チケットの価格は5,000円〜10,000円超えのものも存在するなど、リアルのライブイベントと同様の価格であることも注目を集めました。
同イベントが多くのユーザーを集めた理由として、ユーザーが求めるものを実現するために、企業や団体の垣根を超えたコラボレーションを実現させた点が挙げられます。参加するアーティストは、AKB48などのリアルの有名アーティストから、Vtuber、VRChat上で活動するバーチャルアーティストまで、幅広いジャンル・所属企業のアーティストが一堂に会することで、大きな話題を呼びました。
このように、ユーザーを特定の企業やプラットフォームに囲い込もうとするWeb2.0的な発想とは違った取り組みが、今後のメタバースイベントの盛り上がりに繋がっていくと予想されます。
②マーケティング・ブランディングの強化
2つ目のメリットは、メタバースを活用したマーケティング・ブランディングの強化です。
メタバースが人々の生活に普及するにつれ、オフラインからオンラインへ、WebからSNSへと起こってきたのと同様の顧客接点のシフトが、メタバースでも起こると考えられます。
メタバースをマーケティング・ブランディングに活用することで、従来はオンラインでの実施が難しかった商品・サービスの販促やメタバースならではの体験を通じた強力なブランディングを行うことができます。メタバースは従来のWebページや動画と比べ伝えられる情報がリッチかつインタラクティブな体験を提供可能なため、ユーザーを惹きつけやすく幅広い業種での活用が進んでいます。
そんなメタバースを活用したマーケティングの代表的な事例として以下の2つが挙げられます。
- 三越伊勢丹:独自のメタバース空間を構築し新たなEC体験の提供へ
- 日産自動車:VR chat上で新車発表・試乗会を開催
それぞれの事例を分かりやすく紹介していきます。
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三越伊勢丹:独自のメタバース空間を構築し新たなEC体験の提供へ
三越伊勢丹は、自社の百貨店の店舗を再現したメタバース「Rev worlds」をスマホ向けアプリをリリースしています。同社はこのアプリを通じて、”バーチャルな伊勢丹の店舗”で”リアルな買い物”体験を提供しています。ユーザーはアバターの姿で商品を見て回ることができ、その商品を実際にECで購入することが可能です。店員のアバターも配置され、チャット機能を使った接客も受けられます。
現在は婦人服や食品など310ブランドを扱っていますが、今後は家具や日用品にも対象を広げる方針です。友人のアバターと一緒に会話しながら買い物できるようにするなど機能も強化する予定です。
他社がメタバース上で開催されるイベントへの出展が中心のなか、三越伊勢丹は既に独自のメタバース空間を構築・提供しており、マーケティングへのメタバース活用をリードする存在といえます。
日産自動車:VR chat上で新車発表・試乗会を開催
日産自動車はメタバース上で、新型軽電気自動車「日産サクラ」の発表・試乗会を開催しました。イベントは世界最大のVR SNSプラットフォーム「VRChat」で開催されました。
発表会は日産副社長のアバターが登場し、ボイスレターが再生されるという形で進行。また、試乗会では日本の四季を感じられるドライブコースでバーチャルなサクラを運転することができました。VR上での試乗は通常の試乗とは違い、書類での手続きなどが不要で、いつでもどこからでも体験可能な点が強みです。
今回の取り組みにより、販売スタッフのアバター操作経験不足や、リアルな商品を仮想空間上でプロモーションする難しさなどが明らかになったとのことです。このような試験的な取り組みを重ねるなかで、将来的に製品のプロモーションチャネルとしてVRイベントが本格的に活用できるユースケースが確立されていくことが期待されます。
③企業の社内業務の効率化
メタバース・デジタルツインを社内業務の効率化に活用することで、バリューチェーン全体や工程全体の最適化や社員の作業のサポート、研修の効率化をすることができます。
メタバース上で現状存在しない施設や設備を設計し、シミュレーションを行うことで、最適な製造ラインや運用方法を特定したり、メタバースの特徴である3Dでの情報の表示により、AR/MRグラスで現場の作業員の作業をサポートしたり、VRグラスにより様々なシチュエーションを想定した研修を行ったりと多岐にわたる活用方法が存在します。
そんなメタバースを活用した社内業務の効率化に取り組む代表的な事例として以下の3つが挙げられます。
- ウォルマート:メタバース上で混雑等の状況を再現した研修
- DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化
- 川崎重工:工場を丸ごとメタバース化する計画を発表
それぞれの事例を分かりやすく紹介していきます。
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ウォルマート:メタバース上で混雑等の状況を再現した研修
世界的なスーパーマーケットチェーンであるウォルマートは、接客のトレーニングにVRを導入しています。従業員にHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着させ、ブラックフライデーなどの販売イベント時に大勢のお客様に対応するための研修を行っています。従来の研修とは異なり、現実には再現が困難な状況を実際に体験しているかのような、リアリティの高い研修を行うことができます。
この研修を行うため、ウォルマートは1万7000台のOculas Questを約4700店舗に準備するなど大規模な投資を行っており、VRを活用した研修に本腰を入れています。
DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化
ドイツの大手物流企業のDHL社は、グーグルのスマートグラス「Glass Enterprise Edition 2」を導入し、倉庫での配送業務にARを活用しています。従業員はピッキング作業の現場でグラスを着用することで、製品・商品の保管場所やカート配置場所といった必要な情報を確認することが可能です。ハンズフリーで即座に必要な情報にアクセスできるため、作業の精度と効率の向上に繋がります。
また、多くのスマートグラスにはマイク機能が搭載されており、遠隔かつハンズフリーで会話による連携を取ることも可能です。
川崎重工:工場を丸ごとメタバース化する計画を発表
川崎重工はマイクロソフト社のカンファレンス「Build2022」にて、工場を丸ごとメタバース化する「インダストリアルメタバース」の構築に取り組むことを発表しました。この取り組みにより、工場における全工程をバーチャル空間上でシミュレーションできるデジタルツインの構築を目指すとのことです。
同社は、マイクロソフトのクラウド/IoT管理ソリューション「Azure IoT」、エッジAIソリューション「Azure Percept」、MRデバイス「HoloLens 2」を採用し、生産ラインや製造現場の管理に取り組んでいます。これにより、ロボットの障害発生時の迅速な対応や、トラブルを未然に防ぐ予知保全が可能になります。また、リアルタイムかつ遠隔で専門家からのアドバイス、支援を受けることができるようになりました。
また、「Azure Digital Twins」を用いることで、過去・現在・未来の稼働状況を仮想空間上で把握することで、問題の原因を特定し解決することも可能です。従来は物理的に目を通しにくかった箇所の点検や、未来の状況予測が可能になるため、未然の事故防止に繋がると考えられています。
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