【事例10選】バーチャルショッピングの活用方法やメリットを解説!

コロナウイルス感染拡大による行動制限の影響で、多くの企業の店頭でのマーケティング/販売活動が大きな打撃を受けています。

 

そんななか、バーチャルショッピングをマーケティングに活用する動きが注目を集めています。

実は既に三越伊勢丹や日産自動車など幅広い業界の大手企業がビジネスへのバーチャルショッピングの活用を進めています。

 

一方で、「バーチャルショッピングを活用している事例を知りたい」、「バーチャルショッピングを活用するビジネス上のメリットを理解しておきたい」という方も多いのではないでしょうか?

 

そこで、今回は、バーチャルショッピングの業界別の活用事例やメリットをご紹介します。

本記事をお読みいただければ、メタバースをマーケティングに活用するためのヒントが得られるかと思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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バーチャルショッピングとは

バーチャルショッピングとは
(画像:三越伊勢丹)

バーチャルショッピングとは、消費者が実店舗を訪れることなく、VR(バーチャル空間)上で買い物ができるサービスのことです。

 

消費者は店舗内を自由に歩き回ったり、商品のサイズ感や質感を確かめたり、店員から接客を受けたりと、実店舗さながらの買い物体験をいつでもどこからでも楽しむことができます。

 

コロナウイルス感染拡大の影響で、人々の生活がよりオフラインからオンラインにシフトする近年、バーチャルショッピングの活用が様々な業界から注目を集めています。

バーチャルショッピングをビジネスに活用する3つのメリット

バーチャルショッピングをビジネスに活用する3つのメリット

バーチャルショッピングをビジネスに活用するメリットとして主に以下の3つが挙げられます。

 

  • ①コロナ禍対策としてのオンラインシフト
  • ②幅広い顧客にリーチできる
  • ③メタバースならではの体験により訴求力が向上する

 

それぞれのメリットについてわかりやすく紹介していきます。

 

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①コロナ禍対策としてのオンラインシフト

1つ目のメリットは、コロナウイルス感染拡大防止のための行動制限などの影響で、幅広い業界のマーケティング・プロモーション活動が打撃を受けています。商材によってはオンラインでのプロモーションへのシフトを成功させています。

 

一方で、実物を確認して買いたいという人が多い商材や実店舗でのプロモーションイベントや顧客ひとり一人に寄り添った提案が重要な商材のマーケティングのオンラインシフトは非常に難易度が高く、幅広い業界の企業の課題となっています。

 

そこで、マーケティングにメタバース活用することで、実店舗などのリアル空間で行っていたマーケティング施策のオンラインシフトを行うことが可能です。

②幅広い顧客にリーチできる

幅広い顧客にリーチできる ふくや
(画像:ふくや)

2つ目のメリットは、幅広い顧客にリーチできるという点です。バーチャルショッピングを活用したマーケティングの特徴の1つとして、「いつでも、どこからでもアクセスしてもらえる」という点があります。従来のリアルな空間でのプロモーションイベントでは、ターゲットとなる人が地理的に大きく制限されているため、一定程度ターゲットが密集している都心部など以外で施策を実施しづらいという課題がありました。そこで、メタバース上でマーケティング施策を行うことで、幅広い地域のターゲットにリーチすることが可能です。

 

また、バーチャルショッピングを活用することで、従来若者世代との接点獲得に苦戦していた企業・商材のマーケティングを加速させることもできます。メタバースがデジタルネイティブの比較的若い世代から人気を集めていることや、人気のコンテンツなどとコラボしたりゲーミフィケーションを取り入れたプロモーション施策との相性が良いことから、若者世代の顧客獲得への打ち手としての活用が進んでいくことが考えられます。

③バーチャルショッピングならではの体験による訴求力向上

バーチャルショッピングならではの体験による訴求力向上 日産自動車
(画像:日産自動車)

3つ目のメリットは、バーチャルショッピングならではの体験による訴求力向上ができるという点です。

バーチャルショッピングを活用することで、オンラインでの商材の訴求力を向上することができます。訴求力向上に繋がるポイントは大きく2点あります。

 

1点目は、3Dモデルを活用した訴求力の向上です。顧客が商材や店舗、施設を目の前にしているような体験を提供でき、従来オンラインで商材の魅力が伝わりづらく、オンラインプロモーションに苦戦していた商材の訴求力を向上することができます。

 

2点目は、バーチャルショッピングならではの体験を通じた、新たな購買体験による訴求力の向上です。オンラインでありながら、友人と一緒に買い物が出来る環境を構築したり、リアルでは簡単に提供できない非現実的な体験型のプロモーション施策を低コストで実施したりすることができます。

バーチャルショッピングの活用事例10選

バーチャルショッピングの活用事例10選

バーチャルショッピングの業界別活用事例として以下の10事例が挙げられます。

 

<小売業界>

  • ①三越伊勢丹:独自のVR空間上に百貨店を再現
  • ②大丸松坂屋:VR上の百貨店で600種類の食品を販売
  • ③凸版印刷:VR上のショッピングモールメタパを展開
  • ④阪急阪神百貨店:VR上の百貨店でアバター接客を実施
  • ⑤高島屋:VRを活用した家具のオンライン接客を実施

 

<食品業界>

  • ⑥ふくや :ECにバーチャルショッピングを活用しCVR30%を記録
  • ⑦カンジュクファーム:VR空間上でフルーツを販売

 

<自動車業界>

  • ⑧日産自動車:VRChat上で新車発表・試乗会を開催

 

<不動産業界>

  • ⑨大和ハウス:VR上にを自由に見学できる住宅展示場をオープン
  • ⑩東急不動産:複数人での同時参加可能なVRモデルルーム

 

それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。

 

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小売業界

①三越伊勢丹:独自のVR空間上に百貨店を再現

三越伊勢丹:独自のVR空間上に百貨店を再現
(画像:三越伊勢丹)

三越伊勢丹は、独自のVR上の百貨店である「レヴ ワールズ」を構築し、専用アプリから提供しています。利用者はアバターを登録し、デジタル空間の「バーチャル伊勢丹」での買い物を楽しむことができます。店員のアバターも配置され、チャット機能を使った接客も受けられます。

 

β版のリリースから1年以上が経過する「レヴ ワールズ」ですが、百貨店の強みである「デパ地下」や「ギフト」への関心の高さが確認できているとのことです。

 

現在は婦人服や食品など180ブランドを扱っていますが、今後は家具や日用品にも対象を広げる方針です。友人のアバターと一緒に会話しながら買い物できるようにするなど機能も強化する予定です。

 

他社がVR上で開催されるイベントへの出展が中心のなか、三越伊勢丹は既に独自のメタバース空間を構築・提供しており、百貨店業界のメタバース活用をリードする存在といえます。

 

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②大丸松坂屋:VR上の百貨店で600種類の食品を販売

大丸松坂屋:VR上の百貨店で600種類の食品を販売
(画像:大丸松坂屋)

大丸松坂屋は、世界最大のメタバース/VRのイベント「バーチャルマーケット」への出展を発表しました。大丸松坂屋は専用のブースであるニューヨークの街並みを再現した空間に、「バーチャル大丸・松坂屋」を出展します。来場者は百貨店内で600種類以上のグルメの買い物を楽しんだり、大丸松坂屋の400年の歴史を体感できるアトラクションを楽しんだりすることができます。

 

食品ブースでは、来場者が自由に店内をまわり、食品3Dモデルを手に取って商品の形状を確認したり、バーチャルカタログで詳細を見たり、商品を購入することが可能です。夏に食べたい「しろくまアイス」や「盛岡冷麺」などのグルメを600点以上が販売される予定です。購入した商品は、後日自宅に届きます。

 

また、今回のイベント開催に伴い、「メタバース上で働くアルバイト」を初めて採用。バーチャル接客の経験があり、商品知識を身につけたスタッフが商品の魅力を伝えます。

③凸版印刷:VR上のショッピングモールメタパを展開

凸版印刷:VR上のショッピングモールメタパを展開
(画像:凸版印刷)

メタパは凸版印刷が提供するリアルとバーチャルを融合したVR/メタバースショッピングモールです。
メタパの特徴は次の2点です。

 

  • 1.リアルとバーチャルを融合した新しい買い物体験
  • 2.友だちや家族とグループでショッピングができる

 

1点目のリアルとバーチャルを融合した新しい買い物体験に関して、メタパではリアルのお店で販売されているリアルの商品をメタバース上で購入することができます。

 

2点目の友だちや家族とグループでショッピングができる点に関して、メタパは メタ+パーティの造語であり、仲間と集まれるメタバース(仮想空間)です。人が集まる賑わいや、友だちや家族といろんなお店を一緒に巡ってショッピングできる楽しさをバーチャルで体験できます。

 

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④阪急阪神百貨店:VR上の百貨店でアバター接客を実施

阪急阪神百貨店:VR上の百貨店でアバター接客を実施
(画像:阪急阪神百貨店)

阪急阪神百貨店は、世界最大のメタバース/VRのイベント「バーチャルマーケット」への出展を発表しました。来場者は自身のアバターの姿で、百貨店内を自由に歩き回り、洋服や食品、家電などの買い物を楽しむことができます。

 

洋服コーナーでは、実在する靴下を愛する阪神百貨店のスタッフが、アバターの姿で接客を担当し、来場者ひとり一人にピッタリの靴下をレコメンドしてくれます。実物の靴下をECから購入できるのはもちろん、実物と同様のデザインのアバターが着用できるデジタルアイテムとしての靴下も購入可能です。

 

食品コーナーでは、関西の名物グルメである「551HORAI」「阪神名物いか焼き」「クラブハリエ」「フジマル醸造所」などのショップが、阪神梅田本店内のショップをイメージした内装でメタバースに登場。ECサイトとも連携しており、購入後日本全国に発送可能です。

 

家電コーナーでは、人気の生活家電ブランド「バルミューダ」のコーヒーメーカーやケトルなどを3DCGで再現します。ケトルを手に持って好きな角度から眺めたり、椅子に座るなど人気のインテリアアイテムをバーチャル上で試すことが可能です。

⑤高島屋:VRを活用した家具のオンライン接客を実施

高島屋:VRを活用した家具のオンライン接客を実施
(画像:高島屋)

高島屋はVRを活用した家具のバーチャル売り場を構築している。家具売り場の一角に設けられたVR体験スペースでは、来客がVRヘッドセットを着用し、仮想空間上に構築された12部屋のモデルルームに配置された家具を体感することができます。12部屋の内の1つは本店に実在するバラショップの部屋で、バラを飾った生活を体験し、気に入った場合は購入をすることも可能です。こちらのバーチャル家具売り場と連携する取引先を2022年には3倍にも拡大する予定です。

 

従来の家具販売では、スペースの関係で限られた家具しか置けないなか、バーチャル空間上で多数のモデルルームや家具を体感してもらいながら接客をすることで、百貨店の強みがより活かされるとしています。今後は、家具だけでなく百貨店の取り扱う生活全般の提案にVRが活用できないか検討していくとのことです。

食品業界

⑥ふくや :ECにバーチャルショッピングを活用しCVR30%を記録

ふくや :ECにバーチャルショッピングを活用しCVR30%を記録
(画像:ふくや)

明太子メーカーのふくやは、バーチャル店舗をメタバース上に設置し、リアル店舗同様に商品を確認し、店員から説明を受け、購入ができるという取り組みを実施し、来場者の約3割が商品を購入するという成果をあげました。

 

来場者は、PRG風のメタバース空間上で、自分のアバターを操作し、別のアバターに近づくことでチャットやビデオ通話などができ、コミュニケーションをとりながら買い物を楽しむことができました。

 

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⑦カンジュクファーム:VR空間上でフルーツを販売

カンジュクファーム:VR空間上でフルーツを販売
(画像:カンジュクファーム)

山梨県で果物の生産・販売を行う株式会社カンジュクファームは、3D仮想空間「ガイアタウン」内に設計した自社独自のVR空間で、果物の販売を開始しました。販売だけでなく、現在利用者が急増しているメタバース空間でアバターと直接会話することで、フルーツ王国・山梨の素晴らしさを国内外の消費者に伝えることを目的としています。

 

同社は、バーチャルショッピングを活用した新たなコミュニケーションにより、農家と消費者の関係性を進化させようとしています。生産者や他のお客さまとのボイスチャットを通じて、お客さまが果物のさまざまな食べ方を楽しめる体験を提供しています。また専用フロアでは、桃の生産工程を見学することができます。

 

6月にオープンした自社専用フロアでは、すでに初日からアバターによるコミュニケーションのみで注文を獲得しています。今後は、桃に続き、キウイフルーツ、さらにシャインマスカットや山梨の秋の名産品「あんぽ柿」などを季節に合わせて販売する予定です。

自動車業界

⑧日産自動車:VRChat上で新車発表・試乗会を開催

日産自動車:VRChat上で新車発表・試乗会を開催
(画像:日産自動車)

日産自動車はメタバース上で、新型軽電気自動車「日産サクラ」の発表・試乗会を開催しました。イベントは参加者は世界最大のVR SNSプラットフォーム「VRChat」で開催されました。

発表会では日産副社長のアバターが登場し、ボイスレターが再生されました。

 

また、試乗会では日本の四季を感じられるドライブコースでバーチャルなサクラを運転することができます。自分で運転席に座って運転したり、後部座席に座ってみたりと、現実の試乗さながらの体験ができ、新車の特徴を確認することができます。メタバース上での試乗は通常の試乗とは違い、書類での手続きなども不要で、いつでもどこからでも体験可能なのが強みです。

 

日産の担当者いわく、今回の取り組みにより、販売スタッフのアバター操作経験不足やリアルな商品を仮想空間上でプロモーションする難しさなどが明らかになったとのこと。

 

このような試験的な取り組みを重ねるなかで、将来的に製品のプロモーションチャネルとしてメタバースが本格的に活用できるユースケースが確立されていくことが期待されます。

 

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不動産業界

⑨大和ハウス:VR上にを自由に見学できる住宅展示場をオープン

大和ハウス:VR上にを自由に見学できる住宅展示場をオープン
(画像:大和ハウス)

大和ハウスはアバターを用いて担当者と見学者がコミュニケーションを図りながら仮想空間上の住宅展示場を自由に見学できる「メタバース住宅展示場」を公開しました。ユーザーはスマホやタブレット・PCからメタバースにアクセスでき、最大6名の見学者とともに担当者にリアルタイムに質問や相談を実施することが可能です。

 

VR上にある住宅展示場という特徴を活かし地面から屋根の上までさまざまな角度から見学できることに加え、室内では子どもやペットなどの視点でも見学が可能です。また、見学者が床や壁紙・天井等の色や素材、インテリアなどを瞬時に切り替えて、イメージを検討することもできます。今後、対応する住宅商品ラインナップを拡充していく方針とのことです。

⑩東急不動産:複数人での同時参加可能なVRモデルルーム

東急不動産:複数人での同時参加可能なVRモデルルーム
(画像:東急不動産)

東急不動産は、複数人が同時に参加できるモデルルームをブランズシティ湘南台マンションギャラリーにて公開しました。こちらのVRモデルルームはVR企画制作を行うハシラス社のVRソリューションである「キネトスケイプ」を活用しています。

 

これまでのVRモデルルームは体験人数が1人に限定されていましたが、こちらのソリューションを活用することにより、複数人で同時にVRを視聴することが可能になり、ご家族と話をしながらのリアルな内見さながらの体験をすることが可能です。こちらの物件は若い世代がターゲットであることから、VRでの物件提案が有効と考え導入を決定したとのこと。今後も他のマンションギャラリーへの活用を進める方針です。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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