【入門編】UnityでVRアプリを開発する方法を4ステップで解説

MetaのVRヘッドセットのQuestシリーズが累計販売台数2,000万台を突破し、Appleも初のXRデバイスの発売を発表するなど、近年VRやメタバースへの注目はより一層高まっています。

 

そんな中、「VRのビジネス活用や新規事業を検討しているが、実際にどのように開発を進めれば良いのか分からない」という方も多いのではないでしょうか?

 

そこで今回は、現在VRアプリの開発におけるメインツールとして利用されている「Unity」でVRアプリを開発する方法を分かりやすくご紹介します。

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

 

  • UnityでVRアプリを開発する方法やメリットを把握したい
  • VR開発におけるUnityの活用事例を知りたい

 

本記事を読めば、Unityを利用したVRアプリ開発について一気にキャッチアップできる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。


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そもそもUnityとは

そもそもUnityとは
(画像:Unity)

Unityは2005年にユニティ・テクノロジー社により開発された、世界で最も普及しているゲームエンジンです。初心者でも比較的簡単に扱えることや、活用できるアセットなどの開発環境が充実していることから、世界180万人以上のユーザーに利用されています。

 

3Dコンテンツを開発するゲームエンジンとしてのコア機能はもちろん、ゲームらしい振る舞いをする実行環境や、開発に活用できる充実したアセット(イラスト、パーツ、背景、音声など)などの機能を備えていることから、ゲーム/3Dコンテンツの開発プラットフォームと言えます。

VRアプリ開発にUnityを活用する3つのメリット

VRアプリ開発にUnityを活用する3つのメリット

VRアプリ開発にUnityを活用するメリットとして、主に以下の3つが挙げられます。

 

  • ①初心者でも比較的扱いやすい
  • ②多様なプラットフォーム・デバイスに対応している
  • ③開発・学習にあたり参考にできる情報量が多い

 

それぞれのメリットに関して、わかりやすく紹介していきます。

 

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①初心者でも比較的扱いやすい

1つ目のメリットは、他の3Dコンテンツ作成ツールと比べ、初心者にも扱いやすいという点です。その理由として、高度なプログラミング言語の知識が不要で直観的に操作が可能なことや、コンテンツを作る上で必要になる材料(イラスト、パーツ、背景、音声など)を活用できること等が挙げられます。

②多様なプラットフォーム・デバイスに対応している

2つ目のメリットは、開発したサービス/コンテンツをAndroidやiOSなど多様なプラットフォームやデバイスでリリースできるという点です。この特徴により、iPhone向けユーザーとAndroid向けユーザーの両方に対して、サービス/コンテンツをリリースしたい際に、大きな修正などの必要がなく非常に効率的です。

③開発・学習にあたり参考にできる情報量が多い

3つ目のメリットは、開発・学習にあたり、参考にできる情報量が多い点です。Unityが世界最大手のゲーム開発エンジンであり、利用する開発者は180万人以上いると言われています。そのため、多くの開発者向けに書かれた書籍等はもちろん、彼ら自身がブログなどで多くの知見を発信しており、開発・学習に必要な情報に容易にアクセスすることができます。

UnityでVRアプリを開発するための4ステップ

UnityでVRアプリを開発するための4ステップ

UnityでVRアプリを開発するためのステップとして以下の4ステップが挙げられます。

 

  • ①Unityのインストール
  • ②新規プロジェクトの作成
  • ③VR開発用SDKのインストール
  • ④アプリの開発・ビルド

 

それぞれのステップについて分かりやすく説明していきます。

 

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①Unityのインストール

Unityのインストール
(画像:Unity)

1つ目のステップは、Unityのインストールです。Unityのインストールに当たっては、Unity Hubを利用するのがおススメです。Unity HubはすべてのUnityプロジェクトとインストールを管理できるツールであり、複雑になりがちなコンポーネント、プロジェクトなどの管理が可能となります。Unity Hubのダウンロードページからダウンロードし、お使いの環境にUnity Hubをインストールしてください。

 

次に、UnityをUnity Hubにインストールします。Unityのダウンロードページを開き、Unityをダウンロードしましょう。特に指定しなければ、最新バージョンのUnityがインストールされます。

②新規プロジェクトを作成する

新規プロジェクトを作成する Unity
(画像:Unity)

2つ目のステップは、新規プロジェクトの作成です。「プロジェクト」タブをクリックし、「New Project」をクリックします。クリック後の画面で、VR開発の場合は「3D」を選択し、プロジェクト名を入力、「Create Projects」をクリックすると、新規のプロジェクトが作成されます。

③VR開発用SDKのインストール

3つ目のステップは、SDK(Software Development Kit)のインストールです。SDKとは、ソフトウェア開発キットの略称で、VRアプリの開発に必要な機能が入ったソフトウェアです。

 

代表的なSDKとしては、Unity社の純正SDK「XR Interaction Toolkit」や、Meta社のMeta Quest向けSDKの「Oculus Integration」などがあり、開発したい機能やデバイスに応じてSDKを選びましょう。具体的なインストール方法は各社のHPに記載されているので、その内容に沿ってインストールを行いましょう。

④アプリの開発・ビルド

4つ目のステップは、アプリの開発・ビルドです。これまでのステップで開発環境の構築を一通り行った後、実際の開発を行っていきます。基本的な開発方法については、UnityやSDKを提供する各社のHPにチュートリアルとして載っていますので、まずはHPを参考にすると良いでしょう

 

アプリの開発をUnity上で行った後、実際のVRデバイスで試すためには、ビルドという作業が発生します。ビルドとは、コーディングしたソースコードを基に、各デバイスで動作するファイルを生成する作業を指します。こちらについても基本的な設定方法や作成方法はUnityのHPに記載されています。

UnityでのVRアプリ開発におススメのSDK3選

UnityでのVRアプリ開発におススメのSDK3選

UnityでのVRアプリ開発に利用できるおススメのSDKとして以下の3つが挙げられます。

 

  • ①XR Interaction Toolkit:Unity社が提供するXR開発用SDK
  • ②Oculus Integration:Meta社が提供するMeta Questシリーズ向けSDK
  • ③Mixed Reality Toolkit:Microsoft社が提供するXR開発用SDK

 

それぞれについて分かりやすく説明していきます。

①XR Interaction Toolkit:Unity社が提供するXR開発用SDK

XR Interaction Toolkit:Unity社が提供するXR開発用SDK
(画像:Unity)

1つ目は、Unity社が提供する純正のXR開発用SDKである「XR Interaction Toolkit」です。Meta Questシリーズや、Windows Mixed Realityなどの様々なVRデバイスに対応しているのが特徴で、コントローラー入力やオブジェクトの操作などのVR開発に最低限必要な機能を実装できます。

 

多様なデバイスに対応している一方で、デバイス固有の機能を実装することができないといったデメリットも存在します。そのため、あるデバイスの機能や性能をフルに引き出す必要があるアプリの開発をしたい場合は、そのデバイスの提供会社のSDKを用い、様々なデバイスで利用可能なアプリを開発する場合は「XR Interaction Toolkit」を用いるといった使い分けが良いでしょう。

②Oculus Integration:Meta社が提供するMeta Questシリーズ向けSDK

Oculus Integration:Meta社が提供するMeta Questシリーズ向けSDK
(画像:Meta)

2つ目は、Meta社が提供するMeta Questシリーズ向けのSDKである「Oculus Integration」です。「Oculus Integration」を利用することで、Meta Questのハンドトラッキング機能や、Metaプラットフォームの機能(MetaのアバターシステムであるMeta Avatar SDKなど)を利用できます。Meta Quest向けのアプリを開発する場合には必須のSDKと言えます。

③Mixed Reality Toolkit:Microsoft社が提供するHoloLens/WindowsMR向けSDK

Mixed Reality Toolkit:Microsoft社が提供するHoloLens/WindowsMR向けSDK
(画像:Microsoft)

3つ目は、Microsoft社が提供するSDKである「Mixed Reality Toolkit」です。元々はMicrosoft社のXRデバイスであるHoloLensシリーズ向けのSDKでしたが、近年他のデバイス向けのサポートも強化しています。2023年現在Meta QuestやAndroidやiOSデバイスのXR開発もサポートを開始しており、今後も対応デバイスが増えていくと想定されます。

VR開発におけるUnity活用事例3選

VR開発におけるUnity活用事例3選

VR開発におけるUnityの活用事例として以下の3つが挙げられます。

 

  • VRChat:世界最大のソーシャルVRプラットフォーム
  • ②TOYOTA:車両整備の研修・作業サポート向けMR/VRサービス
  • ③ウォルマート:VRを活用した接客トレーニングコンテンツ

 

それぞれのメリットを分かりやすく解説していきます。

 

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①VRChat:世界最大のソーシャルVRプラットフォーム

VRChat:世界最大のソーシャルVRプラットフォーム
(画像:VRChat)

VRChatとは、VR上で世界中の人々とコミュニケーションが取れる、世界最大のソーシャルVRプラットフォームです。ユーザーは、好きなアバターの姿でチャットや音声通話、身振り手振りなどを通じてコミュニケーションを取ることができます。また、コミュニケーションはVRChat内に存在する無数のワールドと呼ばれるバーチャル空間内で行われ、ユーザー自身がワールドを作成したり、そこでイベントを開いたりすることもできます。

 

2022年1月には同時接続者が過去最高の約4.2万人にまで上り、世界を代表するVR/メタバース空間に成長しています。このVRChatの開発にもUnityが活用されています。

 

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②TOYOTA:車両整備の研修・作業サポート向けMR/VRサービス

TOYOTA:車両整備の研修・作業サポート向けMR/VRサービス
(画像:トヨタ自動車)

トヨタ自動車は、全国56の販売店で車両整備の研修・作業のサポートに、Unityによって開発されたMR/VRサービスを活用しています。

 

従来の作業整備の研修や作業時に参考にする情報は、2Dの図面などによって共有されていましたが、立体的な作業が求められる現場には不十分でした。そこで、Hololens2を活用することで、車両の各所に合わせて表示されるデジタルオブジェクトを参考にしながら点検・修理作業を行うことで、作業ミスの抑制や作業の効率化を実現しました。

 

また、Hololens2の導入により、円滑な遠隔地と現場のコミュニケーションが行えるため、専門家が遠隔地の現場に対して作業指示を出すなどの連携も可能になりました。

③ウォルマート:VRを活用した接客トレーニングコンテンツ

ウォルマート:VRを活用した接客トレーニングコンテンツ
(画像:ウォルマート)

世界的なスーパーマーケットチェーンであるウォルマートは、接客のトレーニングにVRを導入しています。従業員にHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着させ、ブラックフライデーなどの販売イベント時に大勢のお客様に対応するためのトレーニングを行っています。

 

従来の研修とは異なり、現実には再現が困難な状況を実際に体験しているかのような研修を行うことができます。

この研修のVR向けの3Dコンテンツ作成にもUnityが活用されています。

企業がVRアプリをビジネスに活用する3つのメリット

企業がVRアプリをビジネスに活用する3つのメリット

企業がVRを活用する代表的なメリットとして以下の3つが挙げられます。

 

  • ①新規事業の創出
  • ②マーケティング・ブランディングの強化
  • ③企業の社内業務の効率化

 

それぞれのメリットを分かりやすく紹介していきます。

 

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①新規事業の創出

新規事業の創出 バンダイナムコ
(画像:バンダイナムコ)

1つ目のメリットは、VRサービスやイベントなどの新規事業の創出です。

VRを活用し新たなサービスを構築することで、ユーザーに対し現実に存在するもの/しないものを含め、仮想空間上に3Dの世界を構築することができるというVRならではの特徴を活かし、ユニークな体験を提供するサービスを提供することができます。

 

また、VR上でアーティストや企業を集めたイベントをすることで、入場券やデジタルコンテンツの販売など収益性の高い新たなビジネスを展開できることが挙げられます。

②マーケティング・ブランディングの強化

マーケティング・ブランディングの強化 三越伊勢丹
(画像:三越伊勢丹)

2つ目のメリットは、VRを活用したマーケティング・ブランディングの強化です。

VRが人々の生活に普及するにつれ、オフラインからオンラインへ、WebからSNSへと起こってきたのと同様の顧客接点のシフトが、VRでも起こると考えられます。

 

VRをマーケティング・ブランディングに活用することで、従来はオンラインでの実施が難しかった商品・サービスの販促やVRならではの体験を通じた強力なブランディングを行うことができます。VRは従来のWebページや動画と比べ伝えられる情報がリッチかつインタラクティブな体験を提供可能なため、ユーザーを惹きつけやすく幅広い業種での活用が進んでいます。

③企業の社内業務の効率化

企業の社内業務の効率化 DHL
(画像:DHL) 

VR・デジタルツインを社内業務の効率化に活用することで、バリューチェーン全体や工程全体の最適化社員の作業のサポート、研修の効率化をすることができます。

 

VR上で現状存在しない施設や設備を設計し、シミュレーションを行うことで、最適な製造ラインや運用方法を特定したり、VRの特徴である3Dでの情報の表示により、AR/MRグラスで現場の作業員の作業をサポートしたり、VRグラスにより様々なシチュエーションを想定した研修を行ったりと多岐にわたる活用方法が存在します。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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