スマートコンタクトレンズとは?利点や実用化への4つの課題も解説
MetaによるMeta Questの販売やAppleによるVision Proの発表など、関連デバイスの普及に伴い、急速に注目を集めるメタバース。
そんなデバイスの中でも、特に画期的なものとして、近年スマートコンタクトレンズが話題に上がっています。
一方で、「スマートコンタクトレンズとはどのようなものなのかよくわからない」「スマートコンタクトレンズの実用化にあたってどのような課題があるのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、スマートコンタクトレンズとは何かについて、メリットや課題とともに分かりやすくご紹介します。
本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。
- スマートコンタクトレンズとはどのようなものか知りたい
- スマートコンタクトレンズにはどのようなメリットがあるのか知りたい
- スマートコンタクトレンズの実用化に向けた課題をおさえておきたい
本記事を読めば、スマートコンタクトレンズのメリットや実用化に向けた課題を効率よく理解できる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。
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目次
スマートコンタクトレンズとは?
スマートコンタクトレンズとは、通常のコンタクトレンズと同様の形態をとりながら、様々な情報の表示やデジタル機能を提供するウェアラブルデバイスです。
スマートコンタクトレンズを装着すれば、視線をスマホやパソコンに向けたりすることなく、リアルタイムでデジタルコンテンツを見ることができます。
スマートコンタクトレンズにより、シームレスに現実世界にデジタルコンテンツを重ね合わせることが可能となります。また、常に目に装着しているというコンタクトレンズの性質上、生体情報を取得しやすいという特徴があります。
メタバース向けの次世代デバイスとして注目を集めており、実用化されると、メタバース市場の発展に大きく貢献すると考えられます。
スマートコンタクトレンズの5つのメリット
スマートコンタクトレンズのメリットとしては以下の5つが挙げられます。
- ①リアルタイムの情報表示による日常生活や業務の効率化
- ②手軽な没入体験の実現
- ③生体情報の取得による健康管理
- ④視力補正機能による視力のサポート
- ⑤情報の盗み見リスクの防止
それぞれのメリットについて、わかりやすく紹介していきます。
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①リアルタイムの情報表示による日常生活や作業の効率化
1つ目のメリットは、リアルタイムの情報表示による日常生活や作業の効率化です。
スマートコンタクトレンズは、一度目に装着するだけで、視界に文字や画像を表示することができるため、スマートフォンやパソコンなどを使用する場合と異なり、情報にアクセスする際に手を使った操作が不要となります。そのため、歩いたり会話したりしながらでも情報にアクセスすることができ、日常生活や作業の効率化を図ることができます。
例えば、ナビゲート機能が実装されれば、歩きながら道順を確認することができ、スマートフォンで地図を確認する手間を省くことができます。また、運動しながらでも装着できるので、自分の心拍数などの生体情報を表示しながら運動することも可能です。
②手軽な没入体験の実現
2つ目のメリットは、没入体験を手軽に実現できるということです。
スマートコンタクトレンズは、目に装着するだけで、目の前に情報やデジタルコンテンツが映し出され、手軽に没入体験を実現することができます。
また、ヘッドマウントディスプレイやゴーグルの場合、長時間装着すると重さにより首や肩に負担がかかるなどの問題が生じますが、スマートコンタクトレンズの場合このような問題が生じず、長時間装着することも可能と考えられます。
③生体情報の取得による健康管理
3つ目のメリットは、生体情報の取得による健康管理が可能なことです。
スマートコンタクトレンズにはセンサーが組み込まれており、血液の状態や心拍数、体温などの生体情報をリアルタイムで取得することができます。
これにより、個人の健康状態を常時把握することができ、病気の早期発見や予防に役立てることができます。
④視力補正機能による視力のサポート
4つ目のメリットは、視力補正機能による視力のサポートです。
スマートコンタクトレンズは、通常のコンタクトレンズと同様、視力を補正する機能を持たせることもできるので、近視や乱視の人でもクリアな画像を見ることが可能となります。
また、スマートコンタクトレンズが目の健康状態をチェックすることにより、長時間付け過ぎている場合に警告を発したり、適切なタイミングで休憩を促したりすることも可能となると考えられます。
⑤情報の盗み見リスクの防止
5つ目のメリットは、情報の盗み見リスクの防止です。
スマートフォンやパソコンの場合、画面表示がそばにいる他人の視界にも入るので、情報漏れのリスクがあります。
しかし、スマートコンタクトレンズの場合、画面を見ることができるのは装着者だけなので、第三者に画面を見られて、情報が漏洩するリスクがなくなります。
スマートコンタクトレンズを開発する代表的な企業2選
スマートコンタクトレンズを開発する代表的な企業として以下の2社が挙げられます。
- ①Mojo Vision:スマートコンタクト開発のパイオニアとして注目を集めたスタートアップ
- ②Inwith:スマートコンタクトの実用化が最も期待されているスタートアップ
それぞれの企業について分かりやすく紹介していきます。
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①Mojo Vision:スマートコンタクト開発のパイオニアとして注目を集めたスタートアップ
企業の概要
Mojo Visionは、2015に創業しカリフォルニア州に拠点を置く、スタートアップ企業で、スマートコンタクトレンズの開発で知られています。従来より小型かつ高画質なディスプレイを実現するマイクロLED技術の開発に力を注いでおり、この技術を活用して様々な画期的な製品の開発・商用化に取り組んでいます。
しかし、Mojo Visionは、2023年初めに、資金不足などを理由にスマートコンタクトレンズの開発の停止を発表しており、2023年8月現在、スマートコンタクトレンズの開発は行っていません。
開発するスマートコンタクトレンズの概要
Mojo Visionが開発しようとしていた主力製品である「Mojo Lens」は、直径0.5ミリ程度のマイクロLEDディスプレイを搭載するスマートコンタクトレンズです。Mojo Lens内には、センサーが埋め込まれており、メッセージ通知やナビゲーションなど、リアルタイムの情報をユーザーに提供する機能を有していました。
また、Mojo Lensは、目の動きを継続的に追跡し、目の動きに合わせて、画像を停止させることもできるなど、画期的な技術で注目されていました。
開発の進捗
Mojo Visionは、スマートコンタクトレンズの開発のため、日本のコンタクトレンズメーカーである株式会社メニコンと共同開発契約を締結し、2022年3月末に最新プロトタイプ版の「Mojo Lens」を発表しました。
しかし、上記の通り、2023年初めに資金難を理由に開発の停止を発表しています。Mojo VisionのCEOであるDrew Perkins氏は、世界経済の低迷、厳しい資本市場の状況、先進的なARプロダクトの市場ポテンシャルが実証されていないことなどが、資金調達が困難となった理由であると説明しています。
今後、Mojo Visionがスマートコンタクトレンズの開発を再開するかは明らかではありませんが、スマートコンタクトレンズ開発のための高度な知見や技術を有した会社として、引き続きその動向は注目されると考えられます。
②Inwith:スマートコンタクトの実用化が最も期待されるスタートアップ
企業の概要
Inwithは、カリフォルニア州に拠点を置き、スマートコンタクトレンズを開発するスタートアップ企業です。固体部品や電子回路をコンタクトレンズに統合する技術を開発し、特許を取得しています。
開発するスマートコンタクトレンズの概要
Inwithの主力製品は、視力の矯正とARの両方の実現を目指すスマートコンタクトレンズです。装着することで視力を矯正するとともに、デジタル情報を視界に表示することができます。
Mojo Lensがハードコンタクトレンズなのに対し、Inwithはソフトコンタクトレンズを用いた開発を進めている点が、Mojo Visionとの大きな違いの一つです。
AR技術はビジネスの場面でも活用されているため、AR機能を搭載したスマートコンタクトレンズは、単に個人向けのデバイスとしてだけでなく、医療や製造現場、スポーツなど様々な場面での応用が期待できます。
開発の進捗
Inwithは、2020年に大手ソフトコンタクトレンズ大手メーカーのBausch&Lomb(ボシュロム)との提携を発表し、これにより、ソフトコンタクトレンズに電子回路を統合する技術の開発が一気に加速しました。
また、2022年に開催された電子機器の見本市であるCESでは、メタバースコンタクトレンズの開発状況を発表しました。電子ソフトコンタクトレンズのプラットフォームを構築し、メタバースの世界へと容易に移ることができるデバイスを実現することを宣言しました。また、米食品医薬品局(FDA)のブレイクスルーセラピーの指定を受けることで、製品の承認までの期間を短縮することも目指しています。
Inwithのスマートコンタクトレンズはまだ商用化されていませんが、Mojo Visionと異なり、今でも開発を続けていると考えられるので、スマートコンタクトレンズをいち早く市場に販売できる企業として期待できます。
スマートコンタクトレンズの実用化に向けた4つの課題
スマートコンタクトレンズの実用化に向けた課題として、以下の4つが挙げられます。
- ①ピントの調整機能の改善
- ②搭載するバッテリーの小型軽量化
- ③製造コストの削減
- ④目への酸素供給量の確保
それぞれの課題について分かりやすく紹介していきます。
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①ピントの調整機能の改善
1つ目の課題は、ピントの調整機能の改善です。
スマートコンタクトレンズは、ユーザーの視界に情報を表示するため、いかに正確にピントをあわせることができるかが重要なポイントとなります。
例えば、眼球の動きなどを把握したり、アイトラッキング技術を活用したりしてピントを調整するなどの方法により、この問題を解決することが期待できます。
このような技術を実用化までもっていけるかが大きな課題となると考えられます。
②搭載するバッテリーの小型軽量化
2つ目の課題は、搭載するバッテリーの小型軽量化です。
スマートコンタクトレンズは極めて小さいデバイスであるため、限られたスペースを効率的に活用してバッテリーを収めることが重要となります。
一方で、バッテリーを小型化すると、その分、容量や持続時間が限定され、機能やグラフィックのクオリティにも制限が生じると考えられます。
したがって、いかに容量や持続時間を落とさずに、バッテリーを小型軽量化できるかが大きな課題といえます。
③製造コストの削減
3つ目の課題は、製造コストの削減です。
スマートコンタクトレンズは、高度な技術を要するため、まだまだ製造コストが高く、したがって、手ごろな値段で販売することが難しい状況です。
また、スマートコンタクトレンズは医療機器としての側面も有するため、安全性を確保するために検査などを行う必要があり、これもコスト上昇の大きな要因となっています。
スマートコンタクトレンズが広く一般の人に普及するためには、いかに製造コストをおさえ、手ごろな値段で販売することができるかが大きな課題となります。
④目への酸素供給量の確保
4つ目の課題は、目への酸素供給量の確保です。
目の奥に光を届ける角膜の機能を保つためには、空気中から酸素を取り入れる必要があります。
しかし、スマートコンタクトレンズは、通常のコンタクトレンズよりサイズが大きく、また、電子回路が内蔵されているため、目に酸素が届きにくくなってしまいます。これにより、角膜の機能が低下することで、感染症など様々な目の病気のリスクが上がってしまいます。
したがって、スマートコンタクトレンズの安全性を確保するためには、いかにレンズの酸素透過性を高めることができるかが大きな課題となります。
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